JP2015178386A - プレススルーパックの蓋材及びそれを用いたプレススルーパック - Google Patents

プレススルーパックの蓋材及びそれを用いたプレススルーパック Download PDF

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【課題】少なくともAl箔とヒートシール層とを有する積層体からなるPTPの蓋材であって、PTP用の容器とヒートシールした際のAl箔へのカヤの発生が抑制されているPTPの蓋材を提供する。【解決手段】少なくともAl箔1とヒートシール層9とを有する積層体からなるPTPの蓋材であって、Al箔1は、Al含有量が98.0重量%以上であり、Fe含有量が0.2〜1.5重量%であり、Cu含有量が0.02〜0.05重量%であり、Si含有量が0.2重量%以下であり、積層体の引張強度が170MPaを超えることを特徴とするPTPの蓋材。【選択図】図1

Description

本発明は、プレススルーパックの蓋材及びそれを用いたプレススルーパックに関する。
プレススルーパック(PTP)は、錠剤やカプセル状の薬剤、菓子等を収容(包装)するための包装容器である。PTPは、例えば、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル等からなるPTP用の容器に、少なくともアルミニウム箔(Al箔)とヒートシール層(熱接着層)とを有する積層体からなる蓋材をヒートシール(熱接着)することにより作製される。
ヒートシール時における容器と蓋材との接着強度が不十分な場合には、蓋材が不用意に剥離したり、容器と蓋材との界面から水分等が浸入して内容物が変質したりするおそれがある。そのため、ヒートシール時の圧力を高めに設定してヒートシールしたり、蓋材の表面に網目模様が賦型されるようにヒートシールバーやヒートシールロールの表面に網目状の凸条を設けたりすることにより、接着強度を高めることが試みられている。
近年、例えば、特許文献1に記載の通り、PTPの蓋材にバーコードを印刷することが義務化されている。そして、当該バーコードの読み取りのために、バーコードの下地にベタ着色層(白ベタ着色層等)を介在させることが要求されている。そのため、ヒートシール時の圧力を更に高めに設定してヒートシールする傾向がある。
また、PTPの蓋材には厚みが15〜25μm程度の薄いAl箔が使用されている。そのため、上記の様に、ヒートシール時の圧力を高めに設定してヒートシールしたり、蓋材の表面に網目模様が賦型される様にヒートシールしたりすると、ヒートシール後のAl箔に「カヤ」と称される不良部分が発生する場合がある。カヤは、Al箔に発生するピンホール状の孔を意味し、Al箔にカヤが生じるとPTPのガスバリアー性が低下したり、蓋材における印刷が欠損したりし、不良品の扱いとされている。
特許第5154906号
本発明は、少なくともAl箔とヒートシール層とを有する積層体からなるPTPの蓋材であって、PTP用の容器とヒートシールした際のAl箔へのカヤの発生が抑制されているPTPの蓋材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、少なくともAl箔とヒートシール層とを有する積層体からなるPTPの蓋材において、該Al箔が特定の含有量でAl、Fe、Cu及びSiを含み、且つ該積層体が特定の引張強度を有する場合には、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のPTPの蓋材及PTPである。
項1. 少なくともアルミニウム箔とヒートシール層とを有する積層体からなるプレススルーパックの蓋材であって、
該アルミニウム箔は、Al含有量が98.0重量%以上であり、Fe含有量が0.2〜1.5重量%であり、Cu含有量が0.02〜0.05重量%であり、Si含有量が0.2重量%以下であり、
該積層体の引張強度が170MPaを超える、
ことを特徴とするプレススルーパックの蓋材。
項2. 前記積層体が更にベタ着色層を含む、前記項1に記載のプレススルーパックの蓋材。
項3. 前記ヒートシール層が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する、前記項1又は2に記載のプレススルーパックの蓋材。
項4. 前記積層体の破断点伸び率が2.0%を超える、前記項1〜3のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材。
項5. 前記アルミニウム箔の厚みが15〜25μmである、前記項1〜4のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材。
項6. 前記項1〜5のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材とプレススルーパック用の容器とをヒートシールすることにより得られるプレススルーパックであって、
該蓋材の表面に網目模様が賦型されるようにヒートシールされたプレススルーパック。
項7. 前記項1〜5のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材とプレススルーパック用の容器とをヒートシールすることにより得られるプレススルーパックであって、
該蓋材の表面に網目模様が賦型されるように、薬剤充填包装機を用いて温度260〜280℃、圧力0.3〜0.5MPaの条件でヒートシールされ、該蓋材を構成する前記アルミニウム箔にピンホール状の孔が発生していないプレススルーパック。
本発明のPTPの蓋材は、少なくともAl箔とヒートシール層とを有する積層体からなるPTPの蓋材であって、PTP用の容器とヒートシールした際のAl箔へのカヤの発生が抑制されている。
この効果は、特に高いヒートシール温度及びヒートシール圧力(例えば温度260〜280℃、圧力0.3〜0.5MPaのヒートシール条件)が要求されるベタ着色層を含んだPTPの蓋材において、顕著に発揮される。
本発明のPTPの蓋材の一態様を示す図である。 本発明のPTPの蓋材を用いて形成したPTPの一態様を示す図である。 本発明のPTPを製造する工程の一態様を示す図である。 Al箔に発生するカヤ(ピンホール状の孔)を示す図である。
以下に本発明を詳細に説明する。
(1)PTPの蓋材
本発明のPTPの蓋材は、少なくともAl箔とヒートシール層とを有する積層体からなり、該Al箔は、Al含有量が98.0重量%以上であり、Fe含有量が0.2〜1.5重量%であり、Cu含有量が0.02〜0.05重量%であり、Si含有量が0.2重量%以下であり、該積層体の引張強度が170MPaを超える、ことを特徴とする。
本発明のPTPの蓋材は、上記特徴を有することにより、PTP用の容器とヒートシールした際のAl箔へのカヤの発生が抑制されている。
(1-1)アルミニウム箔(Al箔)
Al箔は、Al含有量が98.0重量%以上であり、Fe含有量が0.2〜1.5重量%であり、Cu含有量が0.02〜0.05重量%であり、Si含有量が0.2重量%以下である。Al箔の上記元素以外の残部は、不可避的不純物等を含んでも差し支えない。
Alの含有量(アルミニウム純度)
Al箔は、Al含有量が98.0重量%以上である。Al箔のAl純度を98.0重量%以上にすることにより、延性及び生産性を確保することが可能である。
Al含有量(Al純度)は、好ましくは98.5重量%以上であり、更に好ましくは99重量%以上である。上限値は、99.5重量%程度が望ましい。
Fe(鉄)の含有量
Al箔は、Fe含有量が0.2〜1.5重量%である。
Feは、熱間圧延と箔圧延との間の冷間圧延工程中の中間焼鈍時の結晶粒を微細化する目的、固溶強化による強度を向上させる目的、更にはサブグレイン(又は「サブストラクチャー」、「亜結晶」等とも呼ばれる)を安定化させる目的等で、添加する元素である。
Fe含有量が0.2〜1.5重量%であることにより、中間焼鈍時に結晶粒を微細化することが可能である。またFe含有量が前記所定量であることにより、Al箔の強度を向上させることが可能である。その結果、後記するCu含有量の要件との組み合わせにより、Al箔の圧延後の引張強度を190MPa以上とすることが可能である。
Fe含有量が0.2重量%未満であると、結晶粒が粗大となり、厚み方向及び圧延方向に十分に微細化しない傾向がある。また、Al箔に十分な強度を付与できない傾向がある。また、Fe含有量が1.5重量%を超えると、Al箔の延性や伸びが低下する傾向がある。
Fe含有量は、好ましくは0.2〜0.7重量%であり、更に好ましくは0.3〜0.5重量%である。
Cu(銅)の含有量
Al箔は、Cu含有量が0.02〜0.05重量%である。
Cuは、Alマトリックス中へのCu原子の固溶強化による強度を向上させる目的で、添加する元素である。
本発明のPTPの蓋材は、Fe、Cu及びSiの含有量の規定の中でも特にCu含有量が0.02〜0.05重量%であることにより、カヤの発生を効果的に防止することが可能である。また、Cu含有量が前記所定量であることにより、Al箔の強度を向上させることが可能である。その結果、前記したFe含有量の要件との組み合わせにより、Al箔の圧延後の引張強度を190MPa以上とすることが可能である。
Cu含有量が0.02重量%未満であると、Al箔に十分な強度を付与できない傾向がある。また、Cu含有量が0.05重量%を超えると、Al箔の伸びが低下する傾向がある。
Cu含有量は、好ましくは0.025〜0.045重量%であり、更に好ましくは0.025〜0.04重量%である。
Si(珪素)の含有量
Al箔は、Si含有量が0.2重量%以下である。
Siは、Al箔製造において不可避的に混入し易い元素である。
Si含有量を0.2重量%以下に抑えることにより、Al-Fe系の金属間化合物が粗大なα-Al-Fe-Si系の金属間化合物となることを抑制することが可能である。また、Al箔の伸びを低下させることがない。また、Al箔の結晶粒径を粗大に成長させず、Al箔の厚み方向に十分なサブグレイン数を得ることが可能である。
Si含有量が0.2重量%を超えると、Al-Fe系の金属間化合物が粗大なα-Al-Fe-Si系の金属間化合物となり易くなる傾向がある。また、Al箔の伸びが低下する傾向がある。また、金属間化合物の分布密度が減少することにより、Al箔の結晶粒径が粗大となる傾向がある。その結果、サブグレインのサイズを十分に小さくすることができない傾向がある。
Si含有量は、好ましくは0.1重量%以下である。尚、下限値は特に制限はないが、不可避的に存在するので0.01重量%程度が望ましい。
その他の成分の含有量
その他の元素として、鋳塊組織を効果的に微細化する目的で、Al-Ti(チタン)-B(硼素)中間合金を添加することも可能である。例えば、Ti:B=5:1或いは5:0.2の割合とした鋳塊微細化剤を、ワッフル或いはロッドの形態で溶湯へ添加することが可能である。Ti含有量の上限値は、例えば0.1重量%程度まで許容することができる。前記「溶湯」とは、地金を溶解後スラブ凝固前における、溶解炉、介在物フィルター、脱ガス装置、溶湯流量制御装置等へ投入された、いずれかの段階での溶湯を指す。
また、Al箔の結晶粒径を微細化する目的で、Cr(クロム)、Zr(ジルコニウム)、V(バナジウム)等を添加することも可能である。Al箔の延性、靭性等の性能低下を避ける目的で、Cr、Zr、V等の含有量は、夫々0.03重量%以下であることが好ましい。
残部(不可避的不純物)
本発明で用いるAl箔のAl純度は98.0重量%以上である。Al箔は、前記成分の他、不可避的不純物が含まれ得る。不可避的不純物としては、Zn(亜鉛)、Mn(マンガン)、Mg(マグネシウム)、Ga(ガリウム)、Ni(ニッケル)等である。
不可避的不純物として、例えばZnが含まれる場合は、その含有量は0.1重量%以下であることが好ましい。Znの含有量が0.1重量%を超えると耐食性が悪くなる傾向がある。
Mn、Mg、Ga、Ni等は、地金や中間合金に含まれ得る元素である。不可避的不純物として、例えばMn、Mg、Ga、Ni等が含まれる場合は、その含有量は、夫々0.03重量%以下であることが好ましい。
Al箔の製造方法
Al箔は、上記の条件を満たすものであれば市販品を用いることが可能である。
また、次の方法により製造することも可能である。例えば、Al鋳塊を、(i)定法により、均質化熱処理、熱間圧延を行い、(ii)次いで、所定条件で、冷間圧延、必要に応じて中間焼鈍を行い、(iii)次いで、冷間圧延、箔圧延を行う、ことである。
・均質化熱処理
均質化熱処理は、均熱温度を350〜560℃の条件で行うことが好ましい。
均熱温度が350℃未満の場合は均質化不足になりAl箔の伸びが低下する傾向がある。均熱温度が560℃を超えると、分散粒子が粗大且つ疎に分布する傾向がある。その結果、粒界ピン止め力が低下し、微細な結晶粒子を得ることができず、Al箔の伸びが低下する傾向がある。
均質化熱処理を、均熱温度を350〜560℃の均熱温度の範囲で行うこと、好ましくは低温側で行うことにより、分散粒子の粒界ピン止め力を増加させ、Al箔の結晶粒を微細化することが可能である。
・熱間圧延及び中間焼鈍
Al箔において、サブグレインのサイズを小さくするためには、中間焼鈍をしないか、中間焼鈍を連続焼鈍(CAL)により急速加熱・急速冷却することが好ましい。その結果、中間焼鈍時のAl板中の結晶の粒子径を微細とすることが可能である。前記「中間焼鈍」とは、冷間加工で硬化した材料を軟化し、引き続いて行う冷間加工を容易にする目的で、再結晶温度以上で行う焼なましのことである。
熱間圧延後から中間焼鈍までの冷間加工率(冷延率)は高いことが好ましく、30%以上の冷間加工率とすることが好ましい。30%以上の冷間加工率とすることにより、Al箔の強度を向上させることが可能である。
中間焼鈍までの冷間加工率が85%を超えると、その効果が飽和してしまい、経済性に劣る傾向がある。よって、冷間加工率は85%以下が好ましい。
中間焼鈍をバッチ焼鈍で行うと、中間焼鈍時の再結晶粒径が粗大になり、中間焼鈍を行わない場合よりもAl箔の伸びが低下する傾向がある。
中間焼鈍は、Al板中の再結晶の粒子径を微細とすることができ、Al箔のサブグレインのサイズを厚み方向で0.8μm以下とすることができ、圧延方向で45μm以下とすることができることから、連続焼鈍炉にて焼鈍することが好ましい。
Al箔のサブグレインサイズは、厚み方向で0.8μm以下であることが好ましく、圧延方向で45μm以下であることが好ましい。9〜20μm(シングル圧延の場合)の厚みのAl箔又は5〜20μm(重合圧延の場合)の厚みのAl箔での伸びを増加することが可能である。また、Al箔のサブグレインサイズが微細であればあるほどよく、下限は特に限定されるものではない。
厚み方向及び圧延方向のAl箔のサブグレインのサイズの測定方法について説明する。先ず、Al箔を約5×10mmに切断し、薄板基盤に、電導性テープを用いて、この切断した箔を、箔が僅かに出っ張った状態となる様に貼付ける。次に、この箔の部分をFIB(Focused Ion Beam)装置で切断し、平行断面を観察出来る状態にする。そして、この断面について、SEMにて、観察倍率を×2000倍とし、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction)解析を行い、方位マッピング像を得る。測定は、一つの試料につき、通常10視野にて行うことができる。通常、表面から観察するため、解析ソフトは自動的に表面から見たND面の方位マッピング像を表示する。或いは、平行断面(RD-TD面)観察では、RD-ND面から見たND面の方位マッピング像が得られる様に回転操作する。得られた方位マッピング像により、線分法にてサブグレインのサイズを算出する。具体的には、サブグレインは、結晶粒間の傾角が0〜15°であり、傾角15°未満の境界と傾角15°以上の境界を方位マッピング上に線で角度差別に色別表示することができる。この事項をもとに、方位マッピング像(方位マッピング図)から結晶粒間の傾角と色とを肉眼にて判定し、サブグレインのサイズを測定する。
焼鈍温度(到達温度)を380〜550℃、保持時間を1分以下の条件で行うことが好ましい。焼鈍温度が380℃未満であると、Al板中の加工硬化組織の再結晶が十分に進まず、サブグレインのサイズが大きくなる傾向がある。また、析出原子の再固溶の程度が不十分となる傾向がある。焼鈍温度が550℃を超えると、Al板中の加工硬化組織の再結晶並びに再固溶の効果が飽和すると共に、Al箔の表面外観が劣化し易くなる傾向がある。
焼鈍温度の昇降温速度は、連続焼鈍における常法の範囲であればよい。
バッチ焼鈍では、常法の範囲であっても、加熱中に析出が進み、箔圧延時にサブグレイン同士の合体及びサブグレインの粗大化が進行する傾向がある。また、焼鈍後の冷間加工による硬化の程度も不十分となり、Al箔の強度が低下する傾向がある。
連続焼鈍の場合、昇温速度を1〜100℃/秒、降温速度を1〜500℃/秒とすることが常法範囲であり、好ましい。
析出原子の再固溶の目的で、連続焼鈍及びバッチ焼鈍の保持時間は長いことが望ましいが、連続焼鈍炉である場合は、ライン速度が著しく遅くなるため経済的に劣る傾向があることから、1分を超えない範囲で保持することが好ましい。
・冷間圧延
中間焼鈍後は高い冷間加工率(冷延率)でAl箔を作製することが好ましい。中間焼鈍後の冷間加工率、即ち、中間焼鈍後から最終的なAl箔(最終品)を作製するまでのトータルの冷間加工率を98.5%以上とすることが好ましい。その結果、Al箔中の結晶粒のサブグレイン化をより促進できると共に、Al箔の強度を向上させることが可能である。
中間焼鈍時の板厚を1〜2mm程度とすることが好ましい。
高い強度のAl箔を作製する目的で、中間焼鈍時のAl板厚を1mm以上に調整することが好ましい。Al板厚が2mmを超えると、中間焼鈍において、強度が高くなり過ぎてAl箔圧延が困難となる傾向がある。
・箔圧延
箔圧延は、シングル圧延又は重合圧延のいずれかの方法により行うのが一般的である。シングル圧延とは、最終パスまで1枚のAl箔をロールに供給し、圧延することである。重合圧延とは、最終パスにおいてAl箔を2枚重ねてロールに供給し、圧延することである。
Al箔圧延によるAl箔中の結晶粒のサブグレイン化を促進する目的で、ある程度温度上昇が必要であり、コイル巻き取り後に40〜100℃程度になる様にAl箔圧延を行うことが好ましい。Al箔圧延中に温度上昇が無いと、サブグレイン化による結晶粒子の微細化が困難である傾向がある。
上記方法により、Al含有量が98.0重量%以上であり、Fe含有量が0.2〜1.5重量%であり、Cu含有量が0.02〜0.05重量%であり、Si含有量が0.2重量%以下でAl箔を製造することが可能である。
Al箔の態様
Al箔は、蓋材の強度維持及びカヤの発生抑制という理由から、180MPa程度以上の引張強度を有することが好ましい。Al箔の引張強度は、180MPa〜250MPa程度がより好ましく、190MPa〜230MPa程度が更に好ましく、200MPa〜230MPa程度が特に好ましい。Al箔の引張強度は、JIS Z2241の金属材料の引張試験に準じて測定することができる。なお、本発明における引張強度及び破断点伸び率(伸び率)は、アルミニウム箔のMD方向(圧延方向)を基準として採用している。
Al箔は、柔軟性の確保及びカヤの発生抑制という理由から、1.7%程度以上の破断点伸び率(伸び率)を有することが好ましい。Al箔の破断点伸び率は、1.9%程度以上がより好ましく、2.0%〜5%程度が更に好ましい。Al箔の破断点伸び率は、JIS Z2241の金属材料の引張試験に準じて測定することができる。
Al箔の厚みは、PTP包装に好適であるという理由から、15〜25μm程度であることが好ましい。Al箔の厚みは、15〜19μm程度がより好ましく、16.3〜18.7μm程度が更に好ましい。Al箔の厚みは、マイクロメーター、またはSEM等の断面観察により測定することができる。
(1-2)ヒートシール層
ヒートシール層には、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂を用いることが好ましい。ヒートシール層には、前記合成樹脂の中でも、熱接着性、耐久性、汎用性等に優れるという理由から、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の合成樹脂を用いることが好ましい。ヒートシール層には、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を用いることが更に好ましい。
ヒートシール層の厚みは、熱接着性及び生産性が良好であるという理由から、1〜10μm程度であることが好ましく、1.5〜7μm程度がより好ましく、2.5〜5μm程度が更に好ましい。
(1-3)積層体
PTPの蓋材は、少なくともAl箔とヒートシール層とを有する積層体からなる。
積層体の引張強度は、170MPaを超えるのが好ましい。積層体の引張強度が170MPaを超えることにより、蓋材の強度維持及びカヤの発生抑制が可能であると考えられる。積層体の引張強度は、170MPaを超え〜230MPa以下がより好ましく、180MPaを超え〜210MPa以下が更に好ましい。積層体の引張強度は、前記の引張試験に準じて測定することができる。
Al箔は、前述の通り、180MPa程度以上の引張強度を有することが好ましい。Al箔の引張強度は、積層体の引張強度に比べて高い値を有する。また、ヒートシール層(樹脂層)の引張強度は、Al箔及び積層体の引張強度に比べて低い値を有する。
積層体の破断点伸び率(伸び率)は2.0%を超えることが好ましい。積層体の破断点伸び率が2.0%を超えることにより、柔軟性を確保し易くなる。積層体の破断点伸び率(伸び率)は、2.0%を超え〜7%以下がより好ましく、2.5〜5%程度が更に好ましい。積層体の破断点伸び率は、JIS Z2241の金属材料の引張試験に準じて測定することができる。
積層体は、更にベタ着色層を含むことが好ましい。
ベタ着色層には、酸化チタン(二酸化チタン等)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウム等)、鉛白(塩基性炭酸鉛、2PbCO3Pb(OH)2)、リトポン(硫酸バリウムと硫化亜鉛の混合物)、バライト粉(重晶石、硫酸塩鉱物)等の白色顔料を含むことが好ましい。Al箔の艶面に、白色顔料を含むベタ着色層を設けることが好ましい。
ベタ着色層の白色顔料の含有量は、固形分基準でベタ着色層中10〜70重量%とすることが好ましく、20〜60重量%とするのが更に好ましく、20〜30重量%とするのが特に好ましい。ベタ着色層中の白色顔料の含有量が10重量%未満であると、発色に乏しくなり、バーコードの読み取り精度が落ちる傾向がある。ベタ着色層中の白色願料の含有量が70重量%を超えると、白色顔料の分散不良の原因になり、インキの粘度調整がし難くなり、印刷不良の原因になる傾向がある。
乾燥状態でのベタ着色層における白色顔料の含有率は、印刷し乾燥したバーコード部のインキ層の部分をかき取ったサンプルについて、化学分析等により定量分析することが可能である。
ベタ着色層中の着色顔料以外の残部は、主に合成樹脂からなり、通常のインキに使用される樹脂を用いることができる。ベタ着色層に用いる合成樹脂としては、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、石油系炭化水素樹脂、ニトロセルロース、ブチラール等を使用することができる。ベタ着色層に用いる合成樹脂としては、前記合成樹脂の中でも、本発明の効果が顕著に出易いという理由から、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いることが好ましい。
ベタ着色層の厚みは、(バーコードが印刷される場合の)バーコードの読取性、ヒートシール適性、意匠性等を確保する理由から、0.1〜10μm程度であることが好ましく、0.3〜5μm程度がより好ましく、0.5〜2μm程度が更に好ましい。
積層体は、更にベタ着色層の上にバーコードや印刷を施すことが可能であり、これらを被覆する様にオーバーコート層を形成してもよい。以下、当該積層体からなるPTPの蓋材の具体的な態様について図面を参照しながら説明する。
PTPの蓋材の具体的な態様
図1は、本発明のPTPの蓋材の好ましい一態様を示す図である。
図2は、PTPの蓋材を用いてPTPを形成した状態を示す図である。
図1において、蓋材6は、バーコード部3と、薬品名、成分含有量、錠剤の取出し方法等を表示するその他の印刷部5とが設けられていることが好ましい。バーコード部3及びその他の印刷部5は、下地をなすベタ着色層2上に印刷され、そしてオーバープリント層7で覆われていることが好ましい。
オーバープリント層の成分として、ニトロセルロース系、アクリル系、エポキシ系等の透明樹脂を用いることが好ましい。オーバープリント層の成分として、前記透明樹脂の中でも、耐熱性、透明性等が優れるという理由から、エポキシ系の透明樹脂を用いることが好ましい。
オーバープリント層の厚みは、特に制限されるものではない。オーバープリント層の厚みは、通常0.5〜3.0μm程度あることが好ましい。オーバープリント層中には、酸化珪素、その他の体質顔料からなるマット剤を、通常1〜10重量%程度含んでもよい。
図1において、ベタ着色層2とAl箔1との間には、透明又は半透明の下地層(図示せず)を介在させることが好ましい。
図1において、蓋材6は、バーコード部3の反対側の面である裏面において、Al箔1の上に、直接、薬品名等を印刷した裏面印刷部8を備えることが好ましい。その裏面印刷部8を覆う様に、ヒートシール層9が設けられ、PTPを形成する相手側の収納シートのポケット部を塞ぐ様に、収納シート(容器)にヒートシール(熱接着)されることが好ましい。
ヒートシール層には、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いることが好ましい。
図1において、裏面印刷部8を覆う様に、着色層(キーラッカー層ともいう。図示せず。)を設けた後、ヒートシール層9を設けることもできる。
図1において、Al箔1の少なくとも片面に設けるベタ着色層2には、公知の白インキを使用することが可能である。
ベタ着色層には、酸化チタン(二酸化チタン等)等の白色顔料を含むことが好ましい。Al箔の艶面に、白色顔料を含むベタ着色層を設けることが好ましい。ベタ着色層を印刷する際は、適宜、有機溶剤で希釈して粘度調整することが可能である。
白色顔料と合成樹脂とを主成分とするベタ着色層の塗装量は、乾燥後重量で単位面積当たり0.2〜4g/m2であることが好ましい。ベタ着色層の塗装量は、Al箔上に0.5〜3g/m2で塗装することがより好ましい。
塗装方法は、通常の方法を用いることができる。ベタ着色層を、例えばグラビアロールコーター、カーテンフローコーター、オフセット印刷、UV塗装等で塗装することが可能である。
塗料(インキ)は、上記白色顔料と、合成樹脂と、合成樹脂を溶解して白色顔料を分散させる溶剤等とによって構成することが好ましい。ベタ着色層は、複数のベタ着色層で構成されていてもよい。例えば、ベタ着色層を2度塗りすることが可能である。
ベタ着色層を、所定の単位面積当たりの付着重量(乾燥後の塗装量)に調整することにより、バーコードリーダーでバーコードを読み取る際、Al箔のグレー色や光反射特性の影響を抑え、ベタ着色層とバーコードとのコントラストをはっきり付けることが可能である。
ベタ着色層の単位面積当たりの付着重量が0.2g/m2未満であると、Al箔のグレー色や光反射特性の影響を抑え、ベタ着色層とバーコードとのコントラストを明瞭につけるには不十分になる傾向がある。その結果、バーコードリーダーに小面積化及び高密度化したバーコードを精度良く確実に読み取ることができない傾向がある。ベタ着色層の単位面積当たりの付着重量が4g/m2を超えると、ベタ着色インキの乾燥に長時間かかる上、液ダレや乾燥後の偏肉が生じる傾向がある。その結果、コイル巻き取り時のAl箔(蓋材)のたるみ、しわの発生等の不具合を生じ易くなる傾向がある。
図1において、バーコード部3を設ける場合のバーコード印刷は、通常行われる、グラビア版を用いてグラビア印刷することが可能である。例えば、ロール面に設けたセル(凹部)にインキを溜めて、そのインキをバーコード印刷部に転移させることが可能である。インキの転移は、直接、グラビア版からベタ着色層に転移させることが可能である(直接式)。また、インキの転移は、或いは、間にゴムロールを介在させてグラビア版から一度ゴムロールに移し、それをベタ着色層上に転移させることも可能である(オフセット式)。
図1において、印刷層4は、グラビア版からインキを転移されて形成されたインキ層(乾燥状態)である。このインキ層は、黒、濃紺、濃茶色、濃緑色等の低明度色の層(以下、単に黒着色層という)が好ましい。インキ層が赤、黄色等であると、白色着色とバーコードとのコントラストを明瞭に付けることが不十分になる傾向がある。
印刷層の厚みは、通常0.5〜2μm程度で形成されることが好ましい。印刷層の顔料の含有量は、通常固形分基準でインキ層中10〜40重量%程度であることが好ましく、10〜20重量%程度であることがより好ましい。
図1において、その他の印刷部5及び裏面印刷部8も、必要に応じて任意の色でグラビア印刷することが可能である。
図2は、蓋材を用いてPTP(プレススルーパック)を形成した状態を示す図である。
図2では、PTP10では、蓋材11が蓋用シートとして用いられ、接着される相手の収納シート12は、ポケット部13と、平坦部14とからなり、ポケット部13に錠剤Tを収納することが可能である。
図2に示すPTPの状態で、矢印の方向から見て、図1に示す蓋材のバーコード部3及びその他の印刷部5を見ることができる。
(2)プレススルーパック(PTP)
PTPは、本発明のPTPの蓋材とPTP用の容器とをヒートシールして作製することができる。PTPは、前記蓋材の表面に網目模様が賦型されるようにヒートシールされていることが好ましい。
PTPは、本発明のPTPの蓋材とPTP用の容器とをヒートシールして作製することができる。PTPは、前記該蓋材の表面に網目模様が賦型されるように、薬剤充填包装機を用いて温度260〜280℃、圧力0.3〜0.5MPaの条件でヒートシールされていることが好ましい。PTPは、該蓋材を構成する前記Al箔にピンホール状の孔が発生していないことが好ましい。
PTPの製造方法
図3に、本発明のプレススルーパック(PTP)を製造する工程の一例を示す。
図3に示す様に、PTP包装機(薬剤充填包装機)の最上流側では、帯状の収納シート33がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された収納シート33は、間欠的に搬送される様になっており、収納シート33の搬送経路に沿って、加熱手段18とポケット成形手段19とが順に並設されている。これら加熱手段18及びポケット成形手段19によってポケット部形成装置20が構成されている。そして、加熱装置18によって包装用フィルムが部分的に加熱され、収納シート33が比較的柔軟になった状態において、ポケット成形手段19によって収納シート33にポケット部16が成形される。尚、このポケット部16の成形は、収納シート33の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
図3において、ポケット部16が形成された収納シート33の移送経路に沿って、ポケット部16に錠剤Tを自動的に充填する充填装置21、外観検査装置22、シール手段23が配設されている。充填装置21は、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤Tを落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部16に錠剤Tが投入される。
図3において、外観検査装置22は、錠剤Tが各ポケット部16に確実に充填されているか否か、また錠剤の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。外観検査装置22は、ポケット部16の開口側からの検査を行う。
図3において、帯状に形成された蓋材17は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回された蓋材17の引出し端は、シール手段23の方へと案内されている。シール手段23は、フィルム受けロール24と加熱ロール25とを備えており、フィルム受けロール24に加熱ロール25が圧接可能に構成されている。そして、両ロール24及び25間に収納シート33及び蓋材17が送り込まれるようになっており、収納シート33及び蓋材17が、両ロール24及び25間を加熱圧接状態で通過することで、収納シート33に蓋材17が貼着され、これにより、錠剤Tが各ポケット部16に充填された帯状のブリスタフィルムとしてのPTP 15が製造される。このとき、加熱ロール25の表面には、シール用の網目模様の凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。
図3において、蓋材17のポケット部16とは反対側の面に、バーコードからなるコード部が付されている。ロール状に巻回された蓋材17として、予めコード部が所定間隔毎に印刷されているものを用いているが、PTP包装機内に印刷手段を設け、貼着の直前に印刷を施すこととしてもよい。
図3において、外観検査装置27の下流ではPTPフィルム移送経路に沿って、スリット成形装置28及びシート打抜装置29が順に配設されている。スリット成形装置28は、PTPフィルムの所定位置に横スリットを形成する機能を有する。シート打抜装置29は、PTPフィルムをPTP:1単位(例えば10錠分)に打抜く機能を有する。前記シート打抜装置29の下流側には、シート打抜装置29から落下する端材30を貯留するためのスクラップ用ホッパ31が設けられている。また、シート打抜装置29の下側には、打抜かれたPTPシートを移送するためのコンベア32が設けられており、PTPシートは完成品用ホッパに移送されるようになっている。
PTPは、PTPの蓋材とPTP用の容器とを良好にヒートシールすることができるという理由から、前記蓋材の表面に網目模様が賦型されるようにヒートシールされていることが好ましい。
網目模様は、ほぼ隙間無く圧力を確実に伝え易いという理由から、平行四辺形単位が2次元上で周期的に繰返す模様が好ましい。平行四辺形は、正方形、長方形、ひし形等のいずれの形状であってもよく、格子状に整列した形状が望ましい。
平行四辺形の一辺の長さは、特に制限されるものではない。平行四辺形の一辺の長さは、接着強度及びバリアー性の確保という理由から、0.5〜1mm程度が好ましい。網目模様の最小単位は、平行四辺形に制限されるものではなく、三角形や六角形等他の形状であることも可能である。
網目模様は、網目模様の凸条を有する加熱ロールを用いることにより、ヒートシールした蓋材の表面に網目模様を転写することが可能である。
PTPの蓋材とPTP用の容器とのヒートシールは、薬剤充填包装機、ブリスター包装機、薬品包装機等によって実施することが可能である。PTPの蓋材とPTP用の容器とを良好にヒートシールすることができ、蓋材の表面に網目模様を良好に賦型できるという理由から、薬剤充填包装機を用いることが好ましい。
ヒートシールの温度は、接着強度及びバリアー性の確保という理由から、220〜280℃程度が好ましく、260〜280℃程度がより好ましい。
ヒートシールの圧力は、接着強度及びバリアー性の確保という理由から、0.2〜0.5MPa程度が好ましく、0.3〜0.5MPa程度がより好ましい。
ヒートシールのショット速度は、生産効率及び不良品低減の観点から、200〜600ショット/分(シート速度6〜30m/分)が好ましく、約250〜450ショット/分(シート速度10〜20m/分)がより好ましい。
上記条件の温度、圧力及びショット速度でPTPの蓋材とPTP用の容器とがヒートシールされることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及比較例
(1)積層体Aの作製(比較例1)
表1に示すアルミニウム箔A(Al箔A、厚み17.5μm)を用いて蓋材を作製した。Al箔の一方面に、白色顔料を含むベタ着色層を形成した。白色顔料は二酸化チタンであり、マトリックスはポリプロピレン系樹脂である。ベタ着色層は、白色顔料を固形分基準で約20重量%含む。Al箔の一方面に、ベタ着色層を乾燥後重量で2g/m2となる様に形成した。
次いで、ベタ着色層上にOPコートを乾燥後重量で1g/m2となる様に塗布した。OPコートの主成分はエポキシ樹脂である。
次いで、Al箔の他方面にヒートシール剤(熱接着剤)を乾燥後重量で4g/m2となる様に塗布し、蓋材試料(積層体A)を作製した。ヒートシール剤は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂からなる。
(2)積層体Bの作製(実施例1)
表1に示すアルミニウム箔B(Al箔B、厚み17.5μm)を用いた以外は、積層体Aと同様に蓋材試料(積層体B)を作製した。
(3)積層体Cの作製(実施例2)
表1に示すアルミニウム箔C(Al箔C、厚み17.5μm)を用いた以外は、積層体Aと同様に蓋材試料(積層体C)を作製した。
(4)積層体Dの作製(実施例3)
表1に示すアルミニウム箔C(Al箔C、厚み17.5μm)を用い、ベタ着色層の形成を省いた以外は、積層体Aと同様に蓋材試料(積層体D)を作製した。
表1に、Al箔A、Al箔B及びAl箔Cの各元素成分、引張強度及び破断点伸び率を示した。
Figure 2015178386
(3)評価試験(積層体の引張強度及び破断点伸び率)
表2に各蓋材試料(積層体)の引張強度及び破断点伸び率(伸び率)を示す。
引張強度及び破断点伸び率(伸び率)は、JIS Z2241の金属材料の引張試験に準じて測定した。引張試験は、島津製作所製オートグラフを用い、歪速度を20mm/minとし、試験片は15mm幅の短冊状とした。引張強度は最大引張強度である。
(4)PTPの作製
CKD株式会社製ブリスター包装機FBP-600Eを用いて、前記蓋材と、塩化ビニル製の収納シート(シート厚み:250μm)とをヒートシールした。ヒートシールの温度を260℃とし、圧力を0.3MPa、ショット速度を400ショット/分(シート速度約16m/分)とした。
加熱ロールには、1辺0.8mmの正方形が格子状に整列する様に、網目模様の凸条が施されている。その加熱ロールを用いて、PTPを作製した。
(5)評価試験(PTPのカヤの発生数)
表2に、PTP:幅200mm×長さ1000mmの検体中にカウントされたカヤの発生数を示す。「カヤ」とは、蓋材の少なくともAl箔を貫通するピンホール状の孔を指す(図4参照)。
表2に、積層体A、積層体B、積層体C及び積層体Dの引張強度、破断点伸び率及びカヤの発生個数を示した。
Figure 2015178386
表2から、本発明のプレススルーパックの蓋材(積層体B、積層体C及び積層体D)を用いると、PTPにおいてカヤの発生を効果的に抑制することが確認できた。
即ち、少なくともAl箔とヒートシール層とを有する積層体からなるPTPの蓋材であって、該Al箔は、Al含有量が98.0重量%以上であり、Fe含有量が0.2〜1.5重量%であり、Cu含有量が0.02〜0.05重量%であり、Si含有量が0.2重量%以下であり、該積層体の引張強度が170MPaを超えることを特徴とすることにより、PTPの蓋材においてカヤの発生を抑制することが可能なPTPの蓋材を作製することができる。
1:Al箔
2:ベタ着色層
3:バーコード部
4:印刷層
5:印刷部
6:蓋材
7:オーバープリント層
8:裏面印刷部
9:ヒートシール層
10:PTP(プレススルーパック)
11:蓋材
12:収納シート
13:ポケット部
14:平坦部
T:錠剤
15:PTP
16:ポケット部
17:蓋材
18:加熱手段
19:ポケット成形手段
20:ポケット部形成装置
21:充填装置
22:外観検査装置、
23:シール手段
24:フィルム受けロール
25:加熱ロール
26:位置調整機構
27:外観検査装置
28:スリット成形装置
29:シート打抜装置
30:端材
31:スクラップ用ホッパ
32:コンベア
33:収納シート

Claims (7)

  1. 少なくともアルミニウム箔とヒートシール層とを有する積層体からなるプレススルーパックの蓋材であって、
    該アルミニウム箔は、Al含有量が98.0重量%以上であり、Fe含有量が0.2〜1.5重量%であり、Cu含有量が0.02〜0.05重量%であり、Si含有量が0.2重量%以下であり、
    該積層体の引張強度が170MPaを超える、
    ことを特徴とするプレススルーパックの蓋材。
  2. 前記積層体が更にベタ着色層を含む、請求項1に記載のプレススルーパックの蓋材。
  3. 前記ヒートシール層が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する、請求項1又は2に記載のプレススルーパックの蓋材。
  4. 前記積層体の破断点伸び率が2.0%を超える、請求項1〜3のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材。
  5. 前記アルミニウム箔の厚みが15〜25μmである、請求項1〜4のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材とプレススルーパック用の容器とをヒートシールすることにより得られるプレススルーパックであって、
    該蓋材の表面に網目模様が賦型されるようにヒートシールされたプレススルーパック。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のプレススルーパックの蓋材とプレススルーパック用の容器とをヒートシールすることにより得られるプレススルーパックであって、
    該蓋材の表面に網目模様が賦型されるように、薬剤充填包装機を用いて温度260〜280℃、圧力0.3〜0.5MPaの条件でヒートシールされ、該蓋材を構成する前記アルミニウム箔にピンホール状の孔が発生していないプレススルーパック。
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