JP5922493B2 - アラミド心線及び伝動ベルト - Google Patents

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本発明は、伝動ベルト側面での単糸のホツレを防止できるとともに、伝動ベルトの屈曲疲労を抑制できるアラミド心線及びその製造方法、前記アラミド心線を用いた伝動ベルト及びその製造方法に関する。
伝動ベルトは、円筒状の成形型の外周に、少なくとも第1の未加硫ゴムシートと心線と第2の未加硫ゴムシートとを順次巻き付けた積層体を加硫して加硫ベルトスリーブを形成し、この加硫ベルトスリーブを周方向に輪切りして製造される。心線としては、ガラス心線、ポリエステル心線などが汎用されているが、いずれも強力と弾性とを両立できないため、アラミド心線の使用が望まれる。しかし、アラミド心線を使用しても、ポリエステル心線に比べれば弾性が十分でなく、加硫ベルトスリーブのカット面(伝動ベルトの側面)で単糸が突出してホツレが生成し易い。このように、ホツレが生成した状態で、伝動ベルトを走行させると、心線がポップアウトして(引き抜かれて)プーリに絡みつき、伝動ベルトが破断するため、伝動ベルトの耐久性を著しく低下させる。そのため、伝動ベルトのカット面での単糸のホツレは、研磨などにより物理的に除去する必要があり、このような作業は生産性を大きく低下させる。さらに、アラミド心線は、伝動ベルトのカット面で単糸が突出していなくても、伝動ベルトを走行させると、単糸が突出してホツレ易い。そこで、特定の処理剤でアラミド心線を処理することにより、単糸のホツレを防止する方法が提案されている。
例えば、特開2010−95814号公報(特許文献1)には、実質的に無撚りの芳香族ポリアミド繊維に対し、ポリウレタン樹脂を主とする前処理液に含浸し、熱処理した後、加撚処理する補強用芳香族ポリアミド繊維コードの製造方法が開示されている。この文献の実施例では、実質的に無撚りの芳香族ポリアミド繊維に対し、水分散エステル系ポリウレタン樹脂スーパーフレックスE−2000(第一工業製薬社製、固形分濃度50%、粒子系)、水分散ブロックドイソシアネートIL−6(EMS社製、固形分濃度50%)、エポキシ化合物デナコールEX614(ナガセケムテックス社製)を含む前処理液に浸漬し、熱処理し、加撚し、撚糸コードを作製し、この撚糸コードを、クロロフェノールを含むレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)接着処理液に浸漬し、熱処理し、ゴム補強用繊維コードを作製した例が記載されている。しかし、このゴム補強用繊維コードは、ポリウレタン樹脂粒子の水分散液に浸漬して作製されるため、コードの内部にポリウレタン樹脂を含浸できない。そのためか、アラミド繊維を十分に集束できず、コードの単糸のホツレを有効に防止できない。
特開2001−226876号公報(特許文献2)には、ウレタンプレポリマーを主成分とし、このプレポリマーに対し、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを固形分比率で20〜50重量%含有する有機溶剤溶液の処理液で処理するポリウレタン樹脂接着用アラミド繊維コードの製造方法が開示されている。この文献の実施例では、ウレタンプレポリマーとして、無黄変ウレタンプレポリマーが使用されている。しかし、このアラミド繊維コードも、処理液による被膜が硬くなりすぎるためか、ベルトカット面での単糸のホツレを有効に防止できず、ベルトの屈曲疲労性も防止できない。
特開2010−95814号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2001−226876号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、伝動ベルト側面(カット面)での耐ホツレ性と、伝動ベルトの耐屈曲疲労性とを両立できるアラミド心線及びその製造方法、並びに前記アラミド心線を用いた伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、撚糸であっても、耐ホツレ性と耐屈曲疲労性とを両立できるアラミド心線及びその製造方法、並びに前記アラミド心線を用いた伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、アラミド心線の原糸を、ウレタンプレポリマーと有機溶媒とを含み、かつポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含まない処理剤で処理すると、上記処理剤を原糸のフィラメント間に均一かつ効率よく浸透して含浸でき、アラミド繊維とウレタンプレポリマーとの化学的な相互作用もあるためか、フィラメントの集束性を向上できるとともに、ウレタン骨格によりアラミド心線の表面に柔軟な被膜を形成でき、フィラメントの集束状態を保持できるため、伝動ベルト側面での耐ホツレ性と伝動ベルトの耐屈曲疲労性とを両立できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法は、伝動ベルトに使用されるアラミド心線を製造する方法であり、
アラミド心線の原糸(例えば、撚糸)を、ウレタンプレポリマーと有機溶媒とを含み、かつポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含まない処理剤(A)で被覆又は含浸する工程と、
処理剤(A)で被覆又は含浸したアラミド心線の原糸を、レゾルシンとホルマリンとラテックスとを含む処理剤(B)で被覆又は含浸する工程とを含んでいる。
ウレタンプレポリマーは、末端イソシアネート基を有し、かつ芳香族ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物であってもよい。芳香族ポリイソシアネートは、ビス(イソシアナトフェニル)C1−4アルカンであってもよい。ポリエーテルポリオールは、ポリC3−6アルキレングリコールであってもよい。ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率は、5〜35質量%程度であってもよい。ウレタンプレポリマーの割合は、処理剤(A)全体に対して、1〜30質量%程度であってもよい。
上記方法は、処理剤(A)と処理剤(B)とで被覆又は含浸したアラミド心線の原糸を、オレフィン系ゴム(又はオレフィン系エラストマー)を含む処理剤(C)で被覆又は含浸する工程を含んでいてもよい。
本発明は、上記方法により得られるアラミド心線も包含する。また、本発明は、ベルトの長手方向に沿って、上記アラミド心線を埋設した接着ゴム層と、この接着ゴム層の一方の面に圧縮ゴム層とを備えた伝動ベルトも包含する。接着ゴム層及び圧縮ゴム層は、それぞれ、オレフィン系ゴム(又はオレフィン系エラストマー)を含んでいてもよい。さらに、本発明は、一対の未加硫ゴムシートの間に、上記アラミド心線を挟持させた円筒状の積層体を加硫して加硫ベルトスリーブを形成し、この円筒状の加硫ベルトスリーブを周方向にカッティングすることにより伝動ベルトを製造する方法も包含する。
なお、本発明は、伝動ベルトに使用されるアラミド心線を処理するための処理剤(例えば、アラミド心線の耐ホツレ性と耐屈曲疲労性とを向上させるための処理剤)であって、ウレタンプレポリマーと有機溶媒とを含み、かつポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含まない処理剤も包含する。
本発明では、ウレタンプレポリマーと有機溶媒とを含み、かつポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含まない処理剤で処理されたアラミド心線を伝動ベルトに使用するため、伝動ベルト側面でのアラミド心線の毛羽立ちやホツレを防止できるとともに、伝動ベルトの耐屈曲疲労性を顕著に向上できる。特に、アラミド心線が撚糸であっても、フィラメント同士の狭い隙間に上記処理剤を均一かつ効率よく浸透して含浸できるためか、耐ホツレ性と耐屈曲疲労性とを両立できる。
図1は、本発明の伝動ベルトの一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の伝動ベルトの他の例を示す概略断面図である。 図3は、実施例の伝動ベルトの屈曲疲労性を評価するための試験機を示す概略図である。 図4は、実施例の伝動ベルトの走行後のホツレ状態を評価するための試験機を示す概略図である。
[アラミド心線の製造方法]
伝動ベルト用アラミド心線の製造方法は、アラミド心線の原糸(アラミド心線本体)を特定の第1の処理剤及び第2の処理剤で処理(被覆又は含浸)する工程を含んでいる。
アラミド心線の原糸としては、伝動ベルトの走行に耐えうる強度を有する限り特に制限されず、例えば、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)のモノフィラメント糸を含むマルチフィラメント糸(アラミド系マルチフィラメント糸)などが例示できる。
アラミド繊維としては、例えば、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維などが例示できる。パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(例えば、帝人(株)の「トワロン(登録商標)」、東レ・デュポン(株)の「ケブラー(登録商標)」など)、ポリパラフェニレンテレフタルアミドと3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミドとの共重合体繊維(例えば、帝人(株)の「テクノーラ(登録商標)」など)などが例示できる。メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(例えば、帝人(株)の「コーネックス(登録商標)」など)などが例示できる。これらのアラミド繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのアラミド繊維のうち、高モジュラス性を有する点から、パラ系アラミド繊維が好ましい。
アラミド系マルチフィラメント糸は、アラミド繊維のモノフィラメント糸を含んでいればよく、必要であれば、他の繊維(ポリエステル繊維など)のモノフィラメント糸を含んでいてもよい。本発明では、特定の第1の処理剤で原糸を処理するため、原糸がアラミド繊維のマルチフィラメント糸(アラミド繊維のモノフィラメント糸のみからなるマルチフィラメント糸)であっても伝動ベルト側面でのホツレを防止でき、かつ伝動ベルトの耐屈曲疲労性を向上できる。
アラミド系マルチフィラメント糸は、複数のモノフィラメント糸を含んでいればよく、伝動ベルトの耐久性の点から、例えば、100〜5000本、好ましくは500〜4000本、さらに好ましくは1000〜3000本程度のモノフィラメント糸を含んでいるのが好ましい。
モノフィラメント糸の平均繊度は、例えば、1〜10dtex、好ましくは1.2〜8dtex、さらに好ましくは1.5〜5dtex程度であってもよい。
アラミド系マルチフィラメント糸は、モノフィラメント糸同士を集束させることなく(例えば、無撚りで)使用してもよく、複数のモノフィラメント糸を集束手段(例えば、加撚、交絡、結束など)により集束して使用してもよい。本発明では、アラミド系マルチフィラメント糸が集束されていても(特に、アラミド系マルチフィラメント糸が撚糸であっても)、特定の第1の処理剤で処理するため、モノフィラメント糸同士の隙間に第1の処理剤を効率よく浸透でき、アラミド心線の耐ホツレ性と耐屈曲疲労性とを両立できる。このように、本発明では、アラミド心線の原糸を予め集束(加撚など)できるため、複数の種類の処理剤を処理する場合でも、連続して処理することができ、生産性にも優れている。
撚糸(又はコード)は、複数のモノフィラメント糸を単糸として、少なくとも1本の単糸を右撚り(S撚り)又は左撚り(Z撚り)した方撚糸であってもよい。単糸は、強度の点から、例えば、10〜2000本、好ましくは100〜1800本、さらに好ましくは500〜1500本程度のモノフィラメント糸を含んでいてもよい。単糸の平均繊度は、例えば、500〜3000dtex、好ましくは1000〜2500dtex、さらに好ましくは1500〜2000dtex程度であってもよい。
方撚糸は、通常、1〜6本、好ましくは1〜4本、さらに好ましくは1〜3本(例えば、1〜2本)程度の単糸を含んでいる場合が多い。なお、方撚糸が複数の単糸を含む場合、複数の単糸を束ねて(引き揃えて)加撚されている場合が多い。
方撚糸は、例えば、甘撚糸又は中撚糸(特に、甘撚糸)であってもよい。方撚糸の撚り数は、例えば、20〜50回/m、好ましくは25〜45回/m、さらに好ましくは30〜40回/m程度であってもよい。方撚糸において、下記式(1)で表される撚り係数(T.F.)は、例えば、0.01〜1、好ましくは0.1〜0.8程度であってもよい。
撚り係数=[撚り数(回/m)×√トータル繊度(tex)]/960 (1)
撚糸は、さらに強度を向上させる点から、複数の方撚糸を下撚り糸として上撚りした糸(例えば、諸撚糸、駒撚糸、ラング撚糸など)であってもよく、方撚糸と単糸とを下撚り糸として上撚りした撚糸(例えば、壁撚糸など)であってもよい。これらの撚糸を構成する下撚り糸の数は、例えば、2〜5本、好ましくは2〜4本、さらに好ましくは2〜3本程度であってもよい。また、方撚り方向(下撚り方向)と上撚り方向とは、同一方向及び逆方向のいずれであってもよく、耐屈曲疲労性の点から、同一方向(ラング撚り)が好ましい。
上撚りの撚り数は、特に制限されず、例えば、50〜200回/m、好ましくは80〜180回/m、さらに好ましくは100〜150回/m程度であってもよい。上撚りにおいて、式(1)で表される撚り係数は、例えば、0.5〜6.5、好ましくは0.8〜5、さらに好ましくは1〜4程度であってもよい。
アラミド心線の原糸の平均径は、例えば、0.2〜2.5mm、好ましくは0.4〜2mm、さらに好ましくは0.5〜1.5mm程度であってもよい。
第1の処理剤(又は前処理剤)は、ウレタンプレポリマーと有機溶媒(又は有機溶剤)とを含み、かつポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)を含まない。水系処理剤は、アラミド心線の内部まで浸透しにくいのに対して、有機溶剤系処理剤は、アラミド心線の表面のみならず内部に均一かつ効率よく浸透でき、アラミド繊維とウレタンプレポリマーとの化学的な相互作用もあるためか、アラミド繊維の集束性を向上できる。また、ポリメリックMDIを含まない処理剤は、アラミド心線の表面に柔らかい被膜を形成でき、繊維の集束状態を保持できるためか、カット面でアラミド心線の単糸が解れるのを有効に抑制でき、しかも耐屈曲疲労性を向上できる。
ウレタンプレポリマーは、ウレタン骨格(−NH−C(=O)−O−)を含んでいる限り特に制限されず、通常、末端イソシアネート基を有しており、ポリイソシアネート類とポリオール類との反応生成物(ポリオール類で変性されたポリイソシアネート類)である場合が多い。
ポリイソシアネート類(ウレタンプレポリマーのポリイソシアネート成分)としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ポリイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添ビス(イソシアナトフェニル)メタンなどの脂環族ポリイソシアネートなどであってもよいが、アラミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維)との親和性の点から、芳香族ポリイソシアネート(芳香脂肪族ポリイソシアネートを含む)を使用する場合が多い。
芳香族ポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トルイジンジイソシアネート(TODI)、ビス(イソシアナトフェニル)アルカン[例えば、ビス(イソシアナトフェニル)メタン(モノメリックMDI又はピュアMDI)、ビス(イソシアナトフェニル)エタン、ビス(イソシアナトフェニル)プロパンなどのビス(イソシアナトフェニル)C1−4アルカンなど]などの芳香族ジイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)などのポリアルキレンポリフェニルポリイソシアネートなどが例示できる。
ポリイソシアネート類には、上記ポリイソシアネートの二量体、三量体、アダクト体、ビウレット体なども含まれる。
これらのポリイソシアネート類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのポリイソシアネート類のうち、機械的特性などの点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、加硫ベルトスリーブのカット時の繊維の集束性を向上し、ベルトカット面での単糸のホツレを有効に防止する点から、モノメリックMDIなどのビス(イソシアナトフェニル)C1−4アルカンが特に好ましい。
ポリオール類(ウレタンプレポリマーのポリオール成分)としては、脂肪族ポリオール(エチレングリコール、プロピレングリコールなどのC2−6アルキレングリコール;グリセリン;トリメチロールプロパン;ペンタエリスリトールなど)、脂環族ポリオール(シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのシクロアルカンジオール類;水添ビスフェノール類など)、芳香族ポリオール(キシリレングリコールなどの芳香脂肪族ジオール;ビスフェノール類など)などであってもよいが、通常、ポリマーポリオールを使用する場合が多い。
ポリマーポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリル系ポリマーポリオールなどが例示できる。これらのポリマーポリオールのうち、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールが汎用され、柔軟性を向上し、加硫ベルトスリーブのカット時にアラミド心線の単糸のホツレを有効に抑制できる点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリエーテルジオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリテトラメチレングリコールなどのポリC2−6アルキレングリコールなどが例示できる。これらのポリエーテルポリオールのうち、機械的強度などの点から、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリC3−6アルキレングリコール、特にポリテトラメチレングリコールなどのポリC4−6アルキレングリコールが好ましい。
これらのポリオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオール類の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、200〜20000、好ましくは200〜10000(例えば、250〜5000)、さらに好ましくは200〜3000(例えば、300〜3000)程度であってもよい。重量平均分子量が小さすぎると、アラミド心線の硬度が増大して弾性が低下し硬く脆くなり、処理剤により形成される被膜が破損されやすくなり、フィラメント同士の集束性が低下しやすい。重量平均分子量が大きすぎると、アラミド心線の弾性が増大してフィラメント同士の集束性が低下する虞がある。
ポリオール類の使用量(ポリオール変性率)は、ポリイソシアネート類100質量部に対して、例えば、0.1〜100質量部、好ましくは0.5〜80質量部、さらに好ましくは1〜60質量部(例えば、30〜50質量部)程度であってもよい。ポリオール変性率が小さすぎると、耐ホツレ性、耐屈曲疲労性が低下しやすい。ポリオール変性率が大きすぎると硬化性が低下し被膜が破損しやすくなる。
また、ポリイソシアネート類とポリオール類とを、ポリイソシアネート類のイソシアネート基とポリオール類のヒドロキシル基との割合(モル比)が、例えば、前者/後者=1/1〜3/1、好ましくは1.2/1〜2.8/1、さらに好ましくは1.5/1〜2.5/1程度となる割合で使用してもよい。ヒドロキシル基に対してイソシアネート基が過剰モル存在すると、ウレタンプレポリマーの末端にイソシアネート基を効率よく導入できる。
ポリイソシアネート類とポリオール類との反応は、通常、不活性ガス雰囲気下(例えば、窒素雰囲気下)で行う場合が多い。反応温度は、例えば、40〜90℃、好ましくは60〜80℃程度である。反応時間は、例えば、1〜8時間、好ましくは2〜3時間程度である。
これらのウレタンプレポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率は、例えば、5〜35質量%、好ましくは7〜34質量%、さらに好ましくは10〜32質量%(例えば、11〜30質量%)程度であってもよく、5〜25質量%(好ましくは10〜20質量%)程度であってもよい。イソシアネート基含有率が高すぎると、硬質セグメント含量の増加により、ウレタンプレポリマーの硬度及び耐摩耗性が改善されるものの、反応性が高くなりすぎて十分長い作業時間が得られなくなる。また、イソシアネート基含有率が低すぎると、ウレタンプレポリマーは高粘度になりやすく、作業性が低下し、有機溶媒との均一な混合が困難になり、不均一な厚みの被膜が形成されやすくなる。なお、イソシアネート基含有率は、慣用の方法、例えば、JIS K7301に準拠して、ウレタンプレポリマーを乾燥トルエンに溶解し、過剰のジ−n−ブチルアミンを加えて反応させ、残存したジ−n−ブチルアミンを塩酸で逆滴定し、その滴定量から測定できる。
ウレタンプレポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、800〜100000、好ましくは1000〜50000程度であってもよい。
ウレタンプレポリマーの粘度は、温度25℃でB型粘度計で測定したとき、例えば、100〜5000mPa・s、好ましくは130〜4000mPa・s、さらに好ましくは150〜3000mPa・s程度であってもよい。粘度が高すぎると、アラミド心線の原糸の内部への含浸性が低下し、アラミド心線にホツレが生成しやすくなる。
有機溶媒(又は有機溶剤)としては、ウレタンプレポリマーに対して反応性を有しない限り特に制限されず、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン;シクロヘキサノンなどの環状ケトン)、エステル類(例えば、酢酸エチルなどの酢酸エステル)などが例示できる。これらの有機溶媒は、単独で又は混合溶媒としてもよい。これらの有機溶媒のうち、ウレタンプレポリマーをアラミド心線の原糸内部に効率よく浸透させる点から、トルエンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン類が好ましい。
なお、硬化剤を添加すると処理剤が硬化してゲル化しやすくなるため、第1の処理剤は硬化剤を実質的に含まないのが好ましい。
ウレタンプレポリマーの割合は、第1の処理剤全体に対して、例えば、0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは5〜25質量%(例えば、10〜20質量%)程度であってもよい。ウレタンプレポリマーの割合が少なすぎると、アラミド心線の原糸の内部への含浸量や表面付着量が低減し、耐ホツレ性が低下する。一方、ウレタンプレポリマーの割合が多すぎると、アラミド心線の原糸の表面付着量が多くなり、内部への含浸性が低下し、アラミド心線の曲げ剛性が大きくなり、耐屈曲疲労性が低下する虞がある。
アラミド心線の原糸に第1の処理剤を処理する方法としては、特に制限されず、例えば、噴霧、塗布、浸漬などが例示できる。これらの処理方法のうち、浸漬が汎用される。浸漬時間は、例えば、1〜20秒、好ましくは2〜15秒程度であってもよい。
アラミド心線の原糸を第1の処理剤で処理した後、必要に応じて乾燥してもよい。乾燥温度は、例えば、100〜250℃、好ましくは110〜220℃、さらに好ましくは120〜200℃程度であってもよい。乾燥時間は、例えば、10秒〜30分、好ましくは30秒〜10分、さらに好ましくは1〜5分程度であってもよい。さらに、乾燥は、アラミド心線の原糸に対して張力を作用させて行ってもよい。張力は、例えば、5〜15N、好ましくは10〜15N程度であってもよい。張力の作用下で乾燥させると、アラミド心線の原糸に対して処理剤が馴染み易くなり、アラミド心線の原糸が撚糸である場合、撚りムラを低減でき、撚りムラによって生じる撚糸の径のばらつきを小さくすることができる。
第1の処理剤で処理したアラミド心線の原糸に付着した第1の処理剤の付着率[(第1の処理剤の処理後の質量−第1の処理剤の処理前の質量)/第1の処理剤の処理後の質量×100]は、1〜20質量%、好ましくは1.5〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%程度であってもよい。
第2の処理剤(未加硫のゴム組成物又はRFL液)は、レゾルシン(R)とホルムアルデヒド(F)との縮合物(RF縮合物)とゴム又はラテックス(L)とを含んでいる。第2の処理剤により、アラミド心線と伝動ベルト本体との接着性を向上できる。
RF縮合物としては、ウレタンプレポリマーとともにアラミド繊維の集束性を向上できる限り特に制限されず、例えば、ノボラック型、レゾール型、これらの組み合わせなどが例示できる。RF縮合物は、メチロール基濃度が高く、エポキシ化合物との反応性に優れる点から、レゾール型であるのが好ましい。
RF縮合物は、例えば、水及び塩基触媒(水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属塩;アルカリ土類金属塩;アンモニアなど)の存在下、レゾルシンとホルムアルデヒドとを反応することにより得られる反応生成物(例えば、初期縮合物又はプレポリマー)であってもよい。なお、本発明の効果を阻害しない限り、レゾルシンと共に、フェノール、クレゾールなどの芳香族モノオールを併用してもよく、カテコール、ハイドロキノンなどの芳香族ジ又はポリオールを併用してもよい。また、ホルムアルデヒドとしては、ホルムアルデヒドの縮合体(例えば、トリオキサン、パラホルムアルデヒドなど)を使用してもよく、ホルムアルデヒドの水溶液(ホルマリンなど)を使用してもよい。
レゾルシンとホルムアルデヒドとの割合(使用割合)は、例えば、前者/後者(モル比)=1/0.5〜1/5、好ましくは1/0.6〜1/4、さらに好ましくは1/0.7〜1/3程度であってもよい。なお、レゾルシンに対してホルムアルデヒドを過剰に用いると、レゾール型を効率よく得ることができる。
ラテックスを構成するゴムとしては、アラミド心線に柔軟性を付与できる限り特に制限されず、例えば、ジエン系ゴム[例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、これらのジエン系ゴムの水添物など]、オレフィン系ゴム[例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム(エチレン−α−オレフィンエラストマー)、ポリオクテニレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴムなど]、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム、ウレタン系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、これらの組み合わせなどが例示できる。
ラテックスを構成するゴムは、後述する第3の処理剤(又はゴム糊)のゴムの種類、伝動ベルトにおいて心線を埋設するゴム層のゴムの種類などに応じて適宜選択することもできる。例えば、第3の処理剤のゴム又は伝動ベルトのゴム層のゴムが、オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−α−オレフィン系ゴム)を含んでいる場合、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴムが好ましい。
RF縮合物100質量部に対して、ラテックスの割合は、固形分換算で、40〜700質量部程度の範囲から選択でき、例えば、45〜600質量部、好ましくは50〜500質量部、さらに好ましくは55〜400質量部程度であってもよい。
第2の処理剤は、通常、水を含んでいる場合が多い。また、第2の処理剤は、必要であれば、第3の処理剤の項で例示する添加剤(例えば、加硫剤、加硫促進剤、共加硫剤、接着性改善剤、充填剤、老化防止剤、滑剤など)を含んでいてもよい。
第2の処理剤の全固形分濃度(RF縮合物の固形分質量とラテックスの固形分質量との合計質量を処理剤の質量で除した濃度)は、例えば、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜15質量%(例えば、1〜11質量%)、さらに好ましくは1.5〜10質量%(例えば、2〜10質量%)程度であってもよい。第2の処理剤の全固形分濃度が小さすぎると、アラミド心線の原糸に対する固形分付着量が低減し、アラミド心線の特性を十分に改善できなくなる。また、第2の処理剤の全固形分濃度が大きすぎても、アラミド心線の原糸に対する固形分付着量が多くなり、アラミド心線が硬くなりすぎて、耐屈曲疲労性が低下する。
なお、第2の処理剤の処理方法は、第1の処理剤の処理方法と同様である。
第1の処理剤及び第2の処理剤で処理したアラミド心線の原糸に付着した第2の処理剤の付着率[(第2の処理剤の処理後の質量−第2の処理剤の処理前の質量)/第2の処理剤の処理後の質量×100]は、例えば、1〜20質量%、好ましくは1.5〜15質量%、さらに好ましくは2〜10質量%程度であってもよい。
第1の処理剤の付着量と、第2の処理剤の付着量との比率(質量比)は、固形分換算で、例えば、前者/後者=0.5/1〜20/1、好ましくは0.6/1〜10/1、さらに好ましくは0.7/1〜5/1(例えば、0.8/1〜2/1)程度であってもよい。
第2の処理剤により形成される被膜の平均厚みは、1〜30μm、好ましくは2〜25μm、さらに好ましくは5〜20μm程度である。被膜の厚みが小さすぎると、各処理剤で形成される被膜同士の接着力が十分でなくなり、アラミド心線とゴムとの接着力も不十分になる虞がある。一方、被膜の厚みが大きすぎると、被膜内部に破損が生じやすく、被膜の強度が低下し、アラミド心線とゴムとの接着力が却って低下する虞がある。
伝動ベルト用アラミド心線の製造方法は、さらに、第1の処理剤と第2の処理剤とで処理したアラミド心線の原糸を、ゴムを含む第3の処理剤(未加硫のゴム組成物又はゴム糊)で処理する工程を含んでいてもよい。ゴムとしては、第2の処理剤に含有されるゴムの種類、伝動ベルトでアラミド心線を埋設するゴム層のゴムの種類などに応じて適宜選択でき、第2の処理剤の項で例示したゴム、例えば、オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−α−オレフィン系ゴム)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴムなど)、ジエン系ゴム(例えば、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムなど)などが例示できる。これらのゴムは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのゴムのうち、オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー)が汎用される。
エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−α−オレフィンゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムなどが挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンなどの鎖状α−C3−12オレフィンなどが挙げられる。α−オレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。α−オレフィンのうち、プロピレンなどのα−C3−4オレフィン(特にプロピレン)が好ましい。
エチレンとα−オレフィンとの割合は、例えば、前者/後者(質量比)=40/60〜90/10、好ましくは45/55〜85/15(例えば、50/50〜82/18)、さらに好ましくは55/45〜80/20(例えば、55/45〜75/25)程度であってもよい。
ジエン成分としては、通常、非共役ジエン系単量体、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどのC5−15非共役ジエン系単量体などが例示できる。これらのジエン成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ジエン成分の割合は、4〜15質量%程度の範囲から選択でき、例えば、4.2〜13質量%(例えば、4.3〜12質量%)、好ましくは4.4〜11.5質量%(例えば、4.5〜11質量%)程度であってもよい。
代表的なエチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−α−オレフィンゴム[エチレン−プロピレンゴム(EPR)]、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴム[エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDMなど)]などが例示できる。
エチレン−α−オレフィンエラストマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。エチレン−α−オレフィンエラストマーの中でも、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴム(例えば、EPDM)が好ましい。なお、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムのヨウ素価は、例えば、3〜40、好ましくは5〜30、さらに好ましくは10〜20程度であってもよい。また、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムのムーニー粘度は、JIS K6300−1に準じて100℃で測定したとき、例えば、25〜120、好ましくは30〜110程度であってもよい。
第3の処理剤は、ゴムに加えて、必要により、慣用の添加剤、例えば、加硫剤(又は架橋剤)、共加硫剤(又は共架橋剤)、加硫促進剤(又は架橋助剤)、加硫遅延剤、接着性改善剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、安定剤、カップリング剤、可塑剤、滑剤、着色剤、溶媒などを含んでいてもよい。添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。添加剤のうち、加硫剤、共加硫剤、加硫促進剤、接着性改善剤、充填剤、老化防止剤、滑剤、溶媒などが汎用される。
加硫剤は、硫黄系加硫剤と非硫黄系加硫剤とに分類できる。硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄(例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄など)、硫黄化合物(例えば、一塩化硫黄、二塩化硫黄などの塩化硫黄など)などが例示できる。
非硫黄系加硫剤としては、例えば、有機過酸化物[例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド(例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど)など]、オキシム類[例えば、キノンジオキシムなど]、マレイミド類[例えば、ビスマレイミド、フェニルマレイミド、N−N’−m−フェニレンビスマレイミドなど]、アリルエステル類[例えば、DAF(ジアリルフマレート)、DAP(ジアリルフタレート)、TAC(トリアリルシアヌレート)、TAIC(トリアリルイソシアヌレート)、TMAIC(トリメタリルイソシアヌレート)など]、(メタ)アクリレート類[例えば、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジ乃至テトラオールのジ乃至テトラ(メタ)アクリレートなど]などが例示できる。
加硫剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。加硫剤の中でも、硫黄系加硫剤(例えば、硫黄)が好ましい。加硫剤の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは0.01〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部(例えば、0.5〜5質量部)程度であってもよい。
共加硫剤としては、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなどが例示できる。共加硫剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。共加硫剤の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜15質量部(例えば、1〜10質量部)程度であってもよい。
加硫促進剤としては、例えば、チウラム系促進剤(例えば、テトラメチルチウラム・モノスルフィド(TMTM)、テトラメチルチウラム・ジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラム・ジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラム・ジスルフィド(TBTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)など)、チアゾ−ル系促進剤(例えば、2−メルカプトベンゾチアゾ−ル又はその塩など)、スルフェンアミド系促進剤(例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなど)、ウレア系促進剤(例えば、エチレンチオウレアなど)、これらの組み合わせなどが例示できる。
加硫促進剤の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜15質量部(例えば、1〜10質量部)程度であってもよい。
接着性改善剤としては、例えば、第2の処理剤の項で例示したRF縮合物、メラミン類とアルデヒド類との縮合物(例えば、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、ヘキサC1−4アルコキシメチロールメラミンなど)、エポキシ化合物(例えば、アルカントリ乃至ヘキサオールポリグリシジルエーテル、ポリC2−4アルキレングリコールジグリシジルエーテル、C6−8ポリアルカントリ乃至テトラオールポリグリシジルエーテルなど)、イソシアネート化合物(例えば、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネートなど)、これらの組み合わせなどが例示できる。なお、接着性改善剤は、市販の接着剤、例えば、ロード社製の「ケムロック402」などを使用してもよい。
接着性改善剤の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、50質量部以下、好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部(例えば、1〜20質量部)程度であってもよい。
充填剤(補強剤も含む)としては、有機又は無機充填剤、例えば、粉粒状充填剤[例えば、カーボンブラック(例えば、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、GPF、SRFなどのファーネスブラックなど)、シリカ(乾式シリカ、湿式シリカ)、炭酸カルシウム、タルクなど]、繊維状充填剤[例えば、ポリアミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの短繊維など]、これらの組合せなどが例示できる。充填剤のうち、無機充填剤(例えば、カーボンブラック、シリカなどの粉粒状充填剤)が汎用される。
充填剤の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、1〜80質量部、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは10〜40質量部程度であってもよい。
老化防止剤としては、例えば、アミン系老化防止剤[例えば、芳香族第2級アミン類(例えば、N−フェニル−1−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミンなど)、ケトン−アミン反応生成物(例えば、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物、アセトンとジフェニルアミンとの縮合物、アセトンとN−フェニル−2−ナフチルアミンとの縮合物など)など]、フェノール系老化防止剤[例えば、モノフェノール類(例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなど)、ビスフェノール類(例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)など]、これらの組み合わせなどが例示できる。
老化防止剤の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜15質量部(例えば、1〜10質量部)程度であってもよい。
滑剤としては、例えば、高級飽和脂肪酸又はその塩(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩など)、ワックス、パラフィン、これらの組み合わせなどが例示できる。滑剤の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば、30質量部以下、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜15質量部(例えば、1〜10質量部)程度であってもよい。
溶媒としては、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロアルカン類)、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルカノール類)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、エステル類(例えば、酢酸エチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン、シクロヘキサノンなどの環状ケトン)、セロソルブ類、カルビトール類などが例示できる。溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用してもよい。
溶媒の割合は、ゴム1質量部に対して、例えば、0.5〜50質量部、好ましくは1〜20質量部程度であってもよい。
代表的な第3の処理剤としては、ゴムとRF縮合物と添加剤(例えば、加硫剤、共加硫剤、加硫促進剤、接着性改善剤、充填剤、老化防止剤、滑剤)とを含む組成物を溶媒に溶解させたゴム糊などが挙げられる。なお、ゴム糊に対するゴム濃度は、特に限定されず、例えば、1〜15質量%、好ましくは2〜10質量%程度であってもよい。
第1の処理剤と第2の処理剤と第3の処理剤とで処理したアラミド心線の原糸に付着した第3の処理剤の付着率[(第3の処理剤の処理後の質量−第3の処理剤の処理前の質量)/第3の処理剤の処理後の質量×100]は、例えば、1〜20質量%、好ましくは5〜15質量%程度であってもよい。第3の処理剤の割合が小さすぎると、伝動ベルトのゴム層とアラミド心線との接着力が低下し、第3の処理剤の割合が大きすぎても、第3の処理剤による被膜の厚みが大きくなり、被膜が破損しやすくなり、接着力が低下し易い。
第3の処理剤により形成される被膜の平均厚みは、特に制限されず、例えば、1〜20μm、好ましくは5〜15μm程度であってもよい。
[アラミド心線]
本発明のアラミド心線は、耐ホツレ性と耐屈曲疲労性とを両立できるため、伝動ベルト用途に適しており、通常、伝動ベルトのゴム層[例えば、オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマーなど)を含むゴム層]に埋設して利用される。
伝動ベルト用アラミド心線は、前記の製造方法により得られるアラミド心線であってもよい。すなわち、伝動ベルト用アラミド心線は、ウレタンプレポリマーと有機溶媒とを含む処理剤(第1の処理剤)と、RF縮合物とラテックスとを含む処理剤(第2の処理剤)と、必要によりゴム(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのオレフィン系ゴム)を含む処理剤(第3の処理剤)とで被覆又は含浸されたアラミド系マルチフィラメント糸(例えば、撚糸)であってもよい。さらに、伝動ベルト用アラミド心線は、第1の処理剤と第2の処理剤と必要により第3の処理剤とで被覆又は含浸した後、加硫されたアラミド系マルチフィラメント糸であってもよい。
アラミド心線の平均径は、例えば、0.3〜3mm、好ましくは0.5〜2.5mm、さらに好ましくは0.6〜2mm程度であってもよい。
[伝動ベルト]
伝動ベルトは、上記のアラミド心線を含んでいればよく、通常、ベルトの長手方向(又は周方向)に複数のアラミド心線を埋設したゴム層を備えた伝動ベルトである場合が多い。隣接する心線の間隔(スピニングピッチ)は、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.6〜1.5mm、さらに好ましくは0.7〜1.3mm程度であってもよい。
図1は、本発明の伝動ベルトの一例であるVリブドベルトを示す概略断面図である。この例では、ベルトの長手方向にアラミド心線1を埋設した接着ゴム層2と、この接着ゴム層の一方の面(内周面)に形成された圧縮ゴム層3と、前記接着ゴム層の他方の面(外周面又は背面)に形成された伸張ゴム層4とを備えており、圧縮ゴム層3にV字状溝のリブ5が形成されている。圧縮ゴム層3には、伝動ベルトの耐側圧性を向上させるため、ポリアミド短繊維6が含有されている。なお、接着ゴム層2、圧縮ゴム層3及び伸張ゴム層4は、それぞれ、第3の処理剤に含有する成分と同様の成分を含有するゴム組成物[オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマー)を含むゴム組成物]で形成されている場合が多い。また、伸張ゴム層4の背面には、織物、不織布、編物などで形成された補強布を積層してもよい。
図2は、本発明の伝動ベルトの他の例であるローエッジVベルトを示す概略断面図である。図2に示すベルトは、圧縮ゴム層3にリブ5が形成されていない点及び外周面から内周面に向かってベルト幅が小さくなる台形状である点を除き、図1と同様に構成されている。なお、圧縮ゴム層3には、ベルトの長手方向に沿って、複数のコグ(凸部)を所定の間隔をおいて形成してもよい。また、圧縮ゴム層3の面(内周面)及び伸張ゴム層4の面(外周面)には、織物、不織布、編物などで形成された補強布を積層してもよい。
これらの伝動ベルトは、円筒状の成形ドラムに、圧縮ゴム層用シートと第1の接着ゴム層用シートとを順次巻き付け、この上にアラミド心線を螺旋状にスピニングし、さらに、第2の接着ゴム層用シートと伸張ゴム層用シートとを順次巻き付けて積層体を形成し、この積層体を加硫して加硫ベルトスリーブを作製し、この円筒状の加硫ベルトスリーブを周方向に切断して形成される。この切断の際、周方向に配列又は配向したアラミド心線も切断され、アラミド心線が伝動ベルトの側面(切断面)に露出する。アラミド心線が伝動ベルトの側面に露出していると、アラミド糸が解れ易くなり、伝動ベルトの側面から解れたアラミド糸を起点として、アラミド心線が伝動ベルトの側面から突出するポップアウトが生じ、ポップアウトしたアラミド心線が回転するプーリの軸に巻き付いて伝動ベルトが破断するおそれがある。しかし、図1及び図2に示す伝動ベルトでは、接着ゴム層に特定の処理剤で処理されたアラミド心線を埋設しており、アラミド心線のフィラメント同士の結束性が高いため、伝動ベルトの側面でアラミド心線が解れることがなく、アラミド心線のポップアウトを有効に防止でき、伝動ベルトの耐久性を著しく向上できる。
伝動ベルトは、前記Vリブドベルト及びローエッジVベルトに限定されず、歯付ベルト、平ベルトなどにも利用できる。
[伝動ベルトの製造方法]
伝動ベルトは、慣用の方法、例えば、一対の未加硫ゴムシート(未加硫の積層ゴムシートを含む)の間に、特定の処理剤で処理したアラミド心線を挟持させた円筒状の積層体を加硫して伝動ベルト前駆体(加硫ベルトスリーブ)を作製し、この円筒状の伝動ベルト前駆体を周方向にカッティングすることにより作製できる。このようにカッティングしても、伝動ベルトの側面において、アラミド心線の毛羽立ちやホツレが生成しない。なお、一対の未加硫ゴムシートは、同一又は異なって、第3の処理剤の項で例示した成分(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのオレフィン系ゴムなど)を含むゴム組成物で形成されている場合が多い。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)原料
(1-1)ゴム
EPDM:デュポン・ダウエラストマージャパン(株)製「IP3640」、ムーニー粘度40(100℃)
(1-2)末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー
コロネート1559[日本ポリウレタン工業社製ポリオール変性MDI、ポリオール変性率1質量%、NCO含有率30質量%、ポリオール:ポリプロピレングリコール(PPG)]
コロネート1446[日本ポリウレタン工業社製ポリオール変性MDI、ポリオール変性率2質量%、NCO含有率29質量%、ポリオール:ポリプロピレングリコール(PPG)]
コロネート1180[日本ポリウレタン工業社製ポリオール変性MDI、ポリオール変性率6質量%、NCO含有率29質量%、ポリオール:ポリプロピレングリコール(PPG)]
コロネート4412[日本ポリウレタン工業社製ポリオール変性MDI、ポリオール変性率40質量%、NCO含有率15質量%、ポリオール:キャスターオイル(植物油由来)]
コロネート4370[日本ポリウレタン工業社製ポリオール変性MDI、ポリオール変性率40質量%、NCO含有率15質量%、ポリオール:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)]
DSR3837[日本ポリウレタン工業社製ポリオール変性MDI、ポリオール変性率60質量%、NCO含有率11質量%、ポリオール:ポリプロピレングリコール(PPG)]
ミリオネートMR−200[日本ポリウレタン工業社製ポリメリックMDI、NCO含有率30質量%]
(1-3)RF縮合物
レゾルシン・ホルマリン共重合体(レゾルシノール樹脂):レゾルシノール20%未満、ホルマリン0.1%未満のレゾルシン・ホルマリン共重合物
(1-4)添加剤
有機過酸化物:化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14RP」
加硫促進剤MBTS:2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド
加硫促進剤DM:ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド 含水シリカ:東ソー・シリカ(株)製「Nipsil VN3」、比表面積240m/g
カーボンHAF:東海カーボン(株)製「シースト3」
老化防止剤:精工化学(株)製「ノンフレックスOD3」
パラフィン系軟化剤:出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイル」
ポリアミド短繊維:旭化成(株)製「66ナイロン」
(2)ホツレ試験
アラミド心線のホツレ性を評価するため、次の方法でVリブドベルトを作製した。まず、表面が平滑な円筒状の成形モールドの外周に、1プライのゴム付綿帆布を巻き付け、この綿帆布の外側に、表1に示すゴム組成物で形成された未加硫の接着ゴム層用シートを巻き付けた。次に、接着ゴム層用シートの上からアラミド心線をスピニングして巻き付け、さらにこの上に、表1に示すゴム組成物で形成された未加硫の接着ゴム層用シート及び表2に示すゴム組成物で形成された未加硫の圧縮ゴム層用シートをこの順に巻き付けた。圧縮ゴム層用シートの外側に加硫用ジャケットを配置した状態で、成形モールドを加硫缶に入れて加硫した。加硫して得られた筒状の加硫ゴムスリーブを成形モールドから取り出し、加硫ゴムスリーブの圧縮ゴム層をグラインダーにより複数のV字状溝を同時に研削した後、加硫ゴムスリーブを輪切りするようにカッターで周方向に切断することによって、3つのリブを形成したVリブドベルトを得た。
Figure 0005922493
Figure 0005922493
上記のように作製したVリブドベルトについて、カッターで周方向に切断したベルト側面におけるアラミド心線のホツレの状態を以下の基準で評価した。なお、評価が「○」以上の場合を良好と判定した。
◎:ベルトカット時に端面にホツレはなく、端面を擦ってもベルトを走行させてもホツレが生成しない
○:ベルトカット時に端面にホツレはなく、端面を擦ってもベルトを走行させてもホツレが殆ど生成しない
△:ベルトカット時に端面にホツレはないが、端面を擦ったりベルトを走行させるとホツレが生成する
×:ベルトカット時に端面にホツレが生成する。
なお、上記評価において、擦過時のホツレ状態は、Vリブドベルトのベルトカット面を長さ方向10cmの範囲で一方向に沿って鉄製の金属板を押し当てて移動させ、この操作を10回繰り返した後、ベルトカット面に露出した心線を観察することにより評価した。
また、ベルト走行後のホツレ状態は、図3に示すように、Vリブドベルト11を、駆動プーリ12(直径60mm)、2つのテンションプーリ13(直径50mm)、2つのアイドラープーリ14(直径50mm)に巻き付け、駆動プーリ12に400N/3リブの荷重を作用させ、130℃の雰囲気下で、駆動プーリ12を回転数3300rpmで回転させて100時間走行させ後、ベルトカット面に露出した心線を観察することにより評価した。
(3)屈曲疲労試験
屈曲疲労試験用の試験片を次のようにして作製した。まず、表1に示す組成の未加硫のゴムシート(厚み0.5mm)を円筒状の金型に巻き付け、この上にアラミド心線をスパイラル状に巻き付け、さらにこの上に表1に示す組成の未加硫ゴムシート(厚み0.5mm)を巻き付け、このゴムシートにジャケットを被せて加熱することよって加硫し、加硫ゴムスリーブを作製した。アラミド心線が2本埋設され、かつカットした側面にアラミド心線が露出しないように加硫ゴムスリーブを周方向にカッターでカットし、幅3mm、長さ50cm、厚み1.5mmの試験片21を作製した。
屈曲疲労試験は、図4に示すように、上記のように作製した試験片21を、上下に配置した一対の円柱形の回転バー(直径30mm)22a,22bに屈曲させて巻き掛け、試験片21の一端をフレーム23に固定すると共に、試験片21の他端に2kgの荷重24を作用させ、一対の回転バー22a,22bを相対距離を一定に保ったまま、上下方向に30万回往復(ストローク:100mm、サイクル:100回/分)させることによって、回転バー22a,22bへの試験片21の巻き付け・巻き戻しを繰り返し、屈曲疲労させた。オートグラフ((株)島津製作所製「AGS−J10kN」)を用いて、屈曲後の試験片を引張速度50mm/分の条件で引張り、試験片の破断時の強力を測定した。一方、屈曲前の試験片の破断時の強力を予め測定しておき、下記式に基づいて強力保持率を算出した。
強力保持率(%)=(屈曲後の強力/屈曲前の強力)×100
実施例1〜11及び比較例1〜3
(アラミド繊維コードの作製)
1670dtex(フィラメント数1000本)のアラミド繊維(帝人(株)製「テクノーラ(登録商標)」)からなる無撚りでリボン状に引き揃えたアラミド繊維フィラメントの束(アラミド繊維単糸という)1本を、下撚り数を3.7回/10cmで下撚り(Z撚り)し、この下撚り糸を2本束ね、上撚り数を13.1回/10cmで下撚りと同じ方向に上撚り(Z撚り)し、アラミド繊維コードを作製した。
(第1処理液の作製)
表3に示すウレタンプレポリマーをトルエンに混合し、室温で10分攪拌し、第1処理液(前処理液)を作製した。
Figure 0005922493
(第2処理液の作製)
表4に示す各成分を、室温で10分攪拌し、第2処理液(RFL液)を得た。
Figure 0005922493
(第3処理液の作製)
表5に示すEPDM配合ゴム組成物をトルエンに溶解し、ポリメリックMDIを添加し、表6に示す組成の第3処理液(ゴム糊)を作製した。
Figure 0005922493
Figure 0005922493
(アラミド心線の作製)
アラミド繊維コードを、第1処理液に10秒間通過させることにより浸漬処理し、180℃、4分間の条件で乾燥処理した。なお、実施例7では、第1処理液の付着率[(第1処理液の処理後の質量−第1処理液の処理前の質量)/第1処理液の処理後の質量×100]が3.5質量%であった。
第1処理液で処理したアラミド繊維コードを、第2処理液に浸漬処理し、乾燥処理した。浸漬条件及び乾燥条件は、第1処理液の場合と同じである。なお、実施例7では、第2処理液の付着率[(第2処理液の処理後の質量−第2処理液の処理前の質量)/第2処理液の処理後の質量×100]が2.5質量%であった。
第2処理液で処理したアラミド繊維コードを、第3処理液に3秒間通過させることにより浸漬処理し、170℃、1.5分間の条件で乾燥処理することによって、アラミド心線を得た。なお、実施例7では、第3処理液の付着率[(第3処理液の処理後の質量−第3処理液の処理前の質量)/第3処理液の処理後の質量×100]が8質量%であった。
実施例1〜11及び比較例1〜3で得られたアラミド心線について、耐ホツレ試験、屈曲疲労試験を評価した結果を表7〜9に示す。
Figure 0005922493
Figure 0005922493
Figure 0005922493
表7〜9から明らかなように、比較例に比べて、実施例では、アラミド心線の単糸のホツレを有効に抑制できるとともに、強力保持率も高く耐屈曲疲労性に優れる。
本発明のアラミド心線は、耐ホツレ性と耐屈曲疲労性とを両立できるため、伝動ベルト[例えば、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどの摩擦伝動ベルト、歯付ベルト(タイミングベルト、両面歯付ベルトなど)、コグドベルトなどの噛み合い伝動ベルトなど]の用途に適している。また、本発明のアラミド心線は、前記特性に加えて、高モジュラスであるため、印刷機械、自動販売機、工作機械、自動車エンジンなどの高負荷伝動機器部材などにも好適に利用できる。
1…アラミド心線
2…接着ゴム層
3…圧縮ゴム層
4…伸張ゴム層
5…リブ
6…アミド短繊維
11…Vリブドベルト
12…駆動プーリ
13…テンションプーリ
14…アイドラープーリ
21…試験片
22a,22b…回転バー
23…フレーム
24…荷重

Claims (10)

  1. 伝動ベルトに使用されるアラミド心線を製造する方法であって、
    アラミド心線の原糸を、ウレタンプレポリマーと有機溶媒とを含み、かつポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを含まない処理剤(A)で被覆又は含浸する工程と、
    処理剤(A)で被覆又は含浸したアラミド心線の原糸を、レゾルシンとホルマリンとラテックスとを含む処理剤(B)で被覆又は含浸する工程と
    処理剤(A)及び処理剤(B)で被覆又は含浸したアラミド心線の原糸を、オレフィン系ゴムを含む処理剤(C)で被覆又は含浸する工程とを含むアラミド心線の製造方法。
  2. ウレタンプレポリマーが、末端イソシアネート基を有し、かつ芳香族ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとの反応生成物である請求項1記載の方法。
  3. 芳香族ポリイソシアネートが、ビス(イソシアナトフェニル)C1−4アルカンである請求項2記載の方法。
  4. ポリエーテルポリオールが、ポリC3−6アルキレングリコールである請求項2又は3記載の方法。
  5. ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有率が、5〜35質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. ウレタンプレポリマーの割合が、処理剤(A)全体に対して、1〜30質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. アラミド心線の原糸が、撚糸である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 一対の未加硫ゴムシートの間に、請求項1〜7のいずれかに記載の方法で得られたアラミド心線を挟持させた円筒状の積層体を加硫して加硫ベルトスリーブを形成し、この円筒状の加硫ベルトスリーブを周方向にカッティングすることにより伝動ベルトを製造する方法。
  9. 伝動ベルトが、ベルトの長手方向に沿って、アラミド心線を埋設する接着ゴム層と、この接着ゴム層の一方の面に圧縮ゴム層とを備えている請求項8記載の製造方法。
  10. 接着ゴム層及び圧縮ゴム層が、それぞれ、オレフィン系ゴムを含む請求項9記載の製造方法。
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