JP5921326B2 - 電磁シールド扉 - Google Patents

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Description

この発明は、シールドルームの出入り口などにおいて、電磁波の漏洩と侵入を防止するために用いられる電磁シールド扉に関するものである。
従来の電磁シールド扉の構成例を図20,図21に示す。図20は従来の電磁シールド扉を示す正面図であり、図21は図20の一点鎖線X8−X8’を通るXY断面図である。電磁シールド扉は、図20,図21に示すように、壁面1、扉2、導電性ガスケット3、ヒンジ機構4および開閉ハンドル5から構成されている。
壁面1および扉2は導電性を有している。また、扉2は、壁面1にヒンジ機構4を介して保持され、開閉ハンドル5を操作することにより開閉可能に構成されている。
導電性ガスケット3は、導電性かつ弾性を有し、扉2が閉じられた際に対向する壁面1と扉2の各対向面のうち、少なくともどちらか一方に設けられている。なお、図21に示す例では、導電性ガスケット3は壁面1に設けられている。また、壁面1と扉2の良好な電気的接触を得るために、扉2のガスケット接触部には凸部2aが形成されている。
次に、上記のように構成された電磁シールド扉の動作について説明する。扉2が閉じられると、図21に示すように、扉2の凸部2aに圧迫されて導電性ガスケット3が扉2との隙間を埋めるように変形する。このように、導電性ガスケット3によって扉2との隙間を埋めて、壁面1と扉2を電気的に密に接続することで、壁面1と扉2の隙間における電磁波の漏洩と侵入を防ぎ、電磁シールド特性を得ることができる。
なお、高性能な電磁シールド特性を実現するための構成として、特許文献1には、導電性クッション材を用いた扉と壁面間の接続構造について開示されている。
特開平07−094886号公報
上述したように、従来の電磁シールド扉では、導電性の扉2と導電性の壁面1の少なくともどちらか一方に導電性ガスケット3を配置することで、扉2が閉じられた際に導電性ガスケット3を変形させて扉2と壁面1を電気的に密に接続し、電磁シールド特性を実現していた。
しかしながら、扉2の開閉回数が多くなると、導電性ガスケット3の磨耗や金属疲労により電磁シールド特性が劣化するため、定期的なメンテナンスが必要となるという課題があった。また、扉2を閉じる際に、扉2と壁面1を電気的に密に接続するように伝導性ガスケット3を変形させるには、扉2に対して高い圧力を加えて押さえつけるための複雑な加圧機構が必要となるという課題があった。また、扉2を壁面1に押さえつけるために開き戸構造である必要があるため、扉2の稼動範囲に広いスペースを必要とするという課題があった。また、扉2と壁面1を電気的に密に接触させることにより電磁シールド特性を実現するため、電磁波の減衰量を調整することは困難であるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電磁シールド特性が劣化せず定期的なメンテナンスが不要であり、複雑な加圧機構および扉の開閉に広いスペースを必要とせず、電磁波の減衰量を容易に調整可能な電磁シールド扉を提供することを目的とする。
この発明による電磁シールド扉は、導電性の壁面と、前記壁面と平行に移動して前記壁面に設けられた開口部を開閉する導電性の扉とを備え、前記扉を閉めた状態における前記壁面と扉の間隙において、前記壁面の開口部の周囲と前記扉の周囲の少なくとも一方に沿って前記壁面または前記扉における対向面と非接触になるように電磁波減衰構造を配置し、前記電磁波減衰構造は、前記対向面と向かい合う面および内部に導体パターンを有する誘電体により構成され、前記導体パターンは、前記扉または前記壁面と電気的に接続され、前記導体パターンにおける前記扉と前記壁面の開口部の周に垂直な方向の幅が電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数の4分の1波長としたものである
この発明によれば、上記のように構成したので、電磁シールド特性が劣化せず定期的なメンテナンスを不要とし、複雑な加圧機構および扉の開閉に広いスペースを必要とせず、電磁波の減衰量を容易に調整することができる。
この発明の実施の形態1による電磁シールド扉の構成を示すXY面図である。 図1の破線X1−X1’を通るXZ断面図である。 図1の破線Y1−Y1’を通るZY断面図である。 この発明の実施の形態2による電磁シールド扉の構成を示すXY面図である。 図4の破線X2−X2’を通るXZ断面図である。 図4の破線Y2−Y2’を通るZY断面図である。 実施の形態3による導体パターンの一部を壁面への添付面と反対側から見たXY面図である。 図7の破線Z3−Z3’を通るZY断面図である。 実施の形態4による導体パターンの一部を壁面への添付面と反対側から見たXY面図である。 図9の破線Z4−Z4’を通るZY断面図である。 この発明の実施の形態5による電磁シールド扉の構成を示すXY面図である。 図11の破線X5−X5’を通るXZ断面図である。 図11の破線Y5−Y5’を通るZY断面図である。 この発明の実施の形態6による電磁シールド扉の構成を示すXY面図である。 図14の破線X6−X6’を通るXZ断面図である。 図14の破線Y6−Y6’を通るZY断面図である。 この発明の実施の形態7による電磁シールド扉の構成を示すXY面図である。 図17の破線X7−X7’を通るXZ断面図である。 図17の破線Y7−Y7’を通るZY断面図である。 従来の電磁シールド扉を示す図である。 図20の破線X8−X8’を通るXZ断面図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1から図3は、この発明の実施の形態1による電磁シールド扉の構成を示す図であり、扉2が閉じられている状態について、図1は正面を示すXY面図を示し、図2は図1の破線X1−X1’を通るXZ断面図を示し、図3は図1の破線Y1−Y1’を通るZY断面図を示している。
電磁シールド扉は、図1から図3に示すように、壁面1、扉2、電磁波減衰構造6から構成されている。
壁面1と扉2は導電性であり、扉2は壁面1に取り付けられたレール11上をローラー10によって平行移動可能な構造であり、取っ手9の操作により開口部8を開閉可能な構造を有している。
電磁波減衰構造6は、扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において壁面1の開口部8の周囲および扉2の周囲に沿って互いが非接触になるように配置されている。この電磁波減衰構造6は、共振構造を有し、対向面に配置された同様の電磁波減衰構造6と向かい合わせることで、電磁波減衰構造6と他方の電磁波減衰構造6の間に導波路7を形成する。
次に、実施の形態1による電磁シールド扉の動作について説明する。電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数の電磁波が、壁面1と扉2の隙間、すなわち、電磁波減衰構造6により形成された導波路7を伝搬する場合を考えると、電磁波減衰構造6が共振して電磁波と電磁界結合し、導波路7を伝搬する電磁波は減衰する。その結果、電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数において、電磁シールド特性を得ることができる。
このように、実施の形態1による電磁シールド扉によれば、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2の開閉回数が多くなった場合にも電磁シールド特性が劣化せず、定期的なメンテナンスが不要となる。
また、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2を閉じる際に、扉2に対して高い圧力を加える必要がなく、複雑な加圧機構が不要となる。
また、扉2を壁面1に対して平行に移動することにより開口部8を開閉可能にしているため、扉2の開閉に広いスペースを必要としない。
また、実施の形態1によって得られる電磁シールド特性は導波路7の長さにより決まるため、電磁波減衰構造6を導波路7の向きと平行方向に複数配置することにより、電磁波の減衰量を容易に調整できる。
なお、実施の形態1では、電磁波減衰構造6と対向面に設置された電磁波減衰構造6を向かい合わせ、2つの電磁波減衰構造6の間に導波路7を形成しているが、どちらか一方の電磁波減衰構造6の代わりに導体を設置し、電磁波減衰構造6と導体を向かい合わせて導波路7を形成しても構わない。
また、実施の形態1では、電磁波減衰構造6を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部の周囲および扉2の周囲に沿って配置しているが、電磁波減衰構造6は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において壁面1の開口部8の周囲または扉2の周囲のどちらかに沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態1では、ローラー10およびレール11を用いて壁面1から扉2を支持しているが、扉2が平行移動することにより開口部8を扉2が開閉する構造であれば、何を用いて扉2を支持しても構わない。
また、実施の形態1では、取っ手9に力を加えて扉2を開閉する構造としているが、扉2を開閉する構造であれば別の方法を用いても構わない。
以上のように、実施の形態1における電磁シールド扉によれば、導電性の壁面1と、壁面1と平行に移動して壁面1に設けられた開口部8を開閉する導電性の扉2と、扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲と扉2の周囲の少なくとも一方に沿って対向面と非接触になるように電磁波減衰構造6を配置するように構成したので、電磁シールド特性が劣化せず定期的なメンテナンスを不要とし、複雑な加圧機構および扉の開閉に広いスペースを必要とせず、電磁波の減衰量を容易に調整することができる。
実施の形態2.
図4〜図6は、この発明の実施の形態2による電磁シールド扉の構成を示す図であり、扉2が閉じられた状態について、図4は正面を示すXY面図、図5は図4の破線X2−X2’を通るXZ断面図、図6は図4の点線Y2−Y2’を通るZY断面図をそれぞれ示している。図4〜図6は、実施の形態1の図1〜図3に示す電磁シールド扉の構成に対して、電磁波減衰構造6の代わりに導体パターン12および誘電体13を備える点で異なり、実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
導体パターン12は電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数にて共振する共振回路を構成する。
誘電体13は扉2を閉じた状態における壁面1と扉2の間隙において壁面1の開口部8の周囲および扉2の周囲に沿って互いが非接触になるように配置されており、この誘電体13は表面および内部に導体パターン12を有している。この導体パターン12は、電磁波に対して共振するように配置されて共振構造を構成し、導体パターン12が共振して電磁波と電磁界結合することで電磁波を減衰させる。この誘電体13を対向面に配置された同様の誘電体13と向かい合わせることで、同様の誘電体13との間に導波路7を形成する。
次に、実施の形態2による電磁シールド扉の動作について説明する。電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数の電磁波が、壁面1と扉2の隙間、つまり導体パターン12と誘電体13により形成された導波路7を伝搬する場合を考えると、導体パターン12が共振して電磁波と電磁界結合し、導波路7を伝搬する電磁波は減衰する。この結果、電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数において、電磁シールド特性を得ることができる。
このように、実施の形態2による電磁シールド扉によれば、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2の開閉回数が多くなった場合にも電磁シールド特性が劣化せず、定期的なメンテナンスが不要な電磁シールド扉を実現できる。
また、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2に対して高い圧力を加える必要が無く、複雑な加圧機構が不要な電磁シールド扉を実現できる。
また、扉2は壁面1に対して平行に移動することにより開口部8を開閉可能にしているため、扉2の開閉に広いスペースを必要としない。
また、実施の形態2によって得られる電磁シールド特性は導波路7の長さにより決まるため、導体パターン12を有する誘電体13を導波路7の向きと平行方向に複数配置することにより、電磁波の減衰量を調整できる。
なお、実施の形態2では、導体パターン12を有する誘電体13は対向面の同様の誘電体13と向かい合わせることにより導波路7を形成しているが、どちらか一方の誘電体13の代わりに導体を設置し、誘電体13と導体を向かい合わせることにより導波路7を形成してもよい。
また、実施の形態2では、誘電体13は表面および内部に導体パターン12を有するものとしているが、対向面に配置された同様の誘電体13または導体と向かい合わせることにより導波路7を形成し、導波路7の内部を伝搬する電磁波を減衰することができれば、誘電体13は導体パターン12を表面または内部のどちらか一方に有するものとしても構わない。
また,実施の形態2では、導体パターン12を有する誘電体13を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲および扉2の周囲に沿って配置しているが、誘電体13は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲または扉2の周囲のどちらかに沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態2では、ローラー10およびレール11を用いて壁面1上において扉2を支持しているが、扉2が平行移動して開口部8を開閉する構造であれば、壁面1上において扉2を支持する構成に別の構成を用いても構わない。
また、実施の形態2では、取っ手9に力を加えて扉2を開閉する構造としているが、扉2を開閉する構成であれば別の構成を用いても構わない。
以上のように、実施の形態2における電磁シールド扉によれば、電磁波減衰構造6は、表面および内部に導体パターン12を有する誘電体13により構成されるように構成したので、電磁シールド特性が劣化せず定期的なメンテナンスを不要とし、複雑な加圧機構および扉の開閉に広いスペースを必要とせず、電磁波の減衰量を容易に調整することができる。
実施の形態3.
図4から図8を用いてこの発明の実施の形態3による電磁シールド扉について説明する。図4から図6は、実施の形態2による電磁シールド扉と同じなので説明は省略する。
次に、図7,図8を用いて誘電体13が有する導体パターン12の共振構造について説明する。図7は実施の形態3による導体パターン12の一部を図6に示された壁面への添付面と反対側から見たXY面図であり、図8は、図7における破線Z3−Z3’を通るZY断面図である。
図7と図8において、誘電体13の壁面1への添付面と反対側の表面にX軸方向、すなわち扉2の開口部8の周方向に帯状に配置された導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hと貫通スルーホール列14a,14b,14c,14dが示されている。また、各導体パターンのY軸方向の寸法は、La,Lb,Lc,Ld,Le,Lf,Lg,Lhであり、それぞれ異なる周波数fa,fb,fc,fd,fe,ff,fg,fhにおいて、誘電体13上での4分の1波長となっている。
導体パターン12bと12c間のY方向間隔はSa、導体パターン12dと12e間のY方向間隔はSb,導体パターン12fと12g間のY方向間隔はScとなっている。
貫通スルーホール列14aは導体パターン12aと12bを、貫通スルーホール列14bは導体パターン12cと12dを、貫通スルーホール列14cは導体パターン12eと12fを、貫通スルーホール列14dは導体パターン12gと12hを、それぞれ壁面1または扉2に電気的に接続している。
次に、実施の形態3による電磁シールド扉の動作について説明する。導体パターン12aのY方向寸法は、周波数faにおいて、誘電体13上で4分の1波長となっており、Y方向の片端は開放端、もう片端は貫通スルーホール列14aに接続されているので、周波数faと、その高調波であるfaの奇数倍の周波数(3×fa,5×fa,・・・,(2n+1)×fa(nは自然数))において共振する片端短絡の共振器として動作する。同様に、導体パターン12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hはそれぞれ周波数fb,fc,fd,fe,ff,fg,fhと各々の奇数倍の周波数において共振する方端短絡の共振器として動作する。
周波数faの電磁波が壁面1と扉2の隙間、すなわち導波路7をY軸方向に伝搬する場合を考えると、導体パターン12aが共振して電磁波と電磁界結合し,導波路7をY方向に伝搬する電磁波は減衰する。同様に、周波数faの奇数倍の周波数、および、周波数fb,fc,fd,fe,ff,fg,fhと各々の奇数倍の周波数の電磁波が導波路7をY方向に伝搬する場合、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hのいずれかが共振して電磁波と電磁界結合するので、これらの周波数においても導波路7をY方向に伝搬する電磁波は減衰する。その結果、周波数fa,fb,fc,fd,fe,ff,fg,fhと、これら各周波数の奇数倍の周波数において、導波路7、すなわち、壁面1と扉2の隙間において電磁波を減衰させることができ、これらの周波数における電磁シールド特性を得ることができる。
このように、実施の形態3による電磁シールド扉によれば、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2の開閉回数が多くなった場合にも電磁シールド特性が劣化せず、定期的なメンテナンスが不要となる。
また、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2を閉じる際に、扉2に対して高い圧力を加える必要がなく、複雑な加圧機構が不要となる。
また、扉2を壁面1に対して平行に移動することにより開口部8を開閉可能にしているため、扉2の開閉に広いスペースを必要としない。
また、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hのY方向寸法La,Lb,Lc,Ld,Le,Lf,Lg,Lhのそれぞれを、電磁シールド特性が要求される複数の共振周波数となるように分散化することで、広帯域な電磁シールド特性を得ることができる。
また、実施の形態3によって得られる電磁シールド特性は導波路7の長さにより決まるため、導体パターン12を有する誘電体13を導波路7の向きと平行方向に複数配置することにより、電磁波の減衰量を調整可能な電磁シールド扉を実現できる。
なお、実施の形態3では、導体パターン12を有する誘電体13は対向面に配置された同様の誘電体13と向かい合わせることにより導波路7を形成しているが、どちらか一方の誘電体13の代わりに導体を設置し、誘電体13と導体を向かい合わせることにより導波路7を形成してもよい。
また、実施の形態3では、誘電体13は表面および内部に導体パターン12を有するものとしているが、対向面に配置された同様の誘電体13または導体と向かい合わせることにより導波路7を形成し、導波路7の内部を伝搬する電磁波を減衰することができれば、誘電体13は導体パターン12を表面または内部のどちらか一方に有するものとしても構わない。
また、実施の形態3では、導体パターン12を有する誘電体13を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲および扉2の周囲に沿って配置しているが、誘電体13は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲または扉2の周囲のどちらかに沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態3では、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hの共振周波数fa,fb,fc,fd,fe,ff,fg,fhはそれぞれ異なる周波数としているが、広帯域な電磁シールド特性が得られるのであれば、全て異なる周波数にする必要はない。
また、実施の形態3では、導体パターン12a、12b、12c、12d,12e,12f,12g,12hは片端短絡の共振構造としているが、共振器として動作すれば片端短絡の共振構造に限定する必要はなく、例えば、両端開放、両端短絡、リング型等の共振回路を適用してもよい。なお、両端開放の共振回路の場合、開放端間の最短距離が半波長となる周波数をfとすると、周波数f,2f,3f,・・・,n×fで共振し、両端短絡の共振回路の場合、短絡端間の最短距離が半波長となる周波数をfとすると、周波数f,2f,3f,・・・,n×fで共振する。また、リング型の共振回路の場合、リングの周長が1波長となる周波数をfとすると、周波数f,2f,3f,・・・,n×fで共振する。
また、実施の形態3では、8つの導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hと4つの貫通スルーホール列10a,10b,10c,10dを有するものとしているが、導体パターンの数および貫通スルーホール列の数は上記の数に限定する必要はない。
また、実施の形態3では、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hと壁面1または扉2とを電気的に接続する構造として貫通スルーホール列10a,10b,10c,10dを用いているが、各導体パターン12と壁面1または扉2とを電気的に接続する構造であれば、貫通スルーホール列14に限定する必要はない。
また、実施の形態3では、ローラー10およびレール11を用いて壁面1上において扉2を支持しているが、扉2が平行移動して開口部8を開閉する構造であれば、壁面1上において扉2を支持する構成に別の構成を用いても構わない。
また、実施の形態3では、取っ手9に力を加えて扉2を開閉する構造としているが、扉2を開閉する構成であれば別の構成を用いても構わない。
以上のように、実施の形態3における電磁シールド扉によれば、導体パターン12は扉2または壁面1と電気的に接続され、導体パターン12の幅が電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数の4分の1波長であるように構成したので、この発明の実施の形態2における効果に加え、広帯域な電磁シールド特性を有する。
実施の形態4.
図4から図6と図9と図10を用いてこの発明の実施の形態4による電磁シールド扉について説明する。図4から図6は、実施の形態2による電磁シールド扉と同じなので説明は省略する。
図9,図10を用いて誘電体13が有する導体パターン12の共振構造について説明する。図9は、実施の形態4による導体パターン12の一部を図6に示された壁面への貼付面と反対側から見たXY面図であり、実施の形態3の図7に示す導体パターンの構成に対して、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hのY軸方向の寸法が異なり、実施の形態3と同様の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図10は、図9における破線Z4−Z4’を通るZY断面図である。
図9と図10において、誘電体13の壁面1への添付面と反対側の表面にX軸方向に帯状に配置された導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hと貫通スルーホール列14a,14b,14c,14dが示されている。また、各導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hのY軸方向の寸法はいずれもLであり、周波数fにおいて誘電体13上での4分の1波長となっている。
次に、実施の形態4による電磁シールド扉の動作について説明する。導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hのY方向寸法は、周波数fにおいて、誘電体13上で4分の1波長となっており、Y方向の片端は開放端、もう片端は貫通スルーホール列14a,14b,14c,14dのいずれかに接続されているので、周波数fと、その高調波であるfの奇数倍の周波数(3×f,5×f,・・・,(2n+1)×f(nは自然数))において共振する片端短絡の共振器として動作する。
周波数fの電磁波が壁面1と扉2の隙間、すなわち導波路7をY軸方向に伝搬する場合を考えると、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hが共振して電磁波と電磁界結合し、導波路7をY方向に伝搬する電磁波は減衰する。同様に、周波数fの奇数倍の周波数の電磁波が導波路7をY方向に伝搬する場合、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hが共振して電磁波と電磁界結合するので、それらの周波数においても導波路7のY方向に伝搬する電磁波は減衰する。
その結果、周波数fとその奇数倍の周波数において、導波路7、すなわち、壁面1と扉2の隙間において電磁波を減衰させることができ、それらの周波数における電磁シールド特性を得ることができる。
周波数fとその奇数倍の周波数において、全ての導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hが共振するので、壁面1と扉2の隙間を伝搬する電磁波が壁面1と扉2の隙間を伝搬する電磁波の周波がfまたはfの奇数倍の周波数の場合、実施の形態3による電磁シールド扉よりも高い減衰量を得ることができる。その結果、特定の周波数に特に有効な電磁シールド扉を実現できる。
このように、実施の形態4による電磁シールド扉によれば、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2の開閉回数が多くなった場合にも電磁シールド特性が劣化せず、定期的なメンテナンスが不要となる。
また、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2を閉じる際に、扉2に対して高い圧力を加える必要がなく、複雑な加圧機構が不要となる。
また、扉2を壁面1に対して平行に移動することにより開口部8を開閉可能にしているため、扉2の開閉に広いスペースを必要としない電磁シールド扉を実現できる。
また、実施の形態4によって得られる電磁シールド特性は導波路7の長さにより決まるため、導体パターン12を有する誘電体13を導波路7の向きと平行方向に複数配置することにより、電磁波の減衰量を調整可能な電磁シールド扉を実現できる。
なお、実施の形態4では、導体パターン12を有する誘電体13は対向面に配置された同様の誘電体13と向かい合わせることにより導波路7を形成しているが、どちらか一方の誘電体13の代わりに導体を設置し、誘電体13と導体を向かい合わせることにより導波路7を形成してもよい。
また、実施の形態4では、誘電体13は表面および内部に導体パターン12を有するものとしているが、対向面に配置された同様の誘電体13または導体面と向かい合わせることにより導波路7を形成し、導波路7の内部を伝搬する電磁波を減衰することができれば、誘電体13は導体パターン12を表面または内部のどちらか一方に有するものとしても構わない。
また、実施の形態4では、導体パターン12を有する誘電体13を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲および扉2の周囲に沿って配置しているが、誘電体13は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲または扉2の周囲のどちらかに沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態4では、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hは片端短絡の共振構造としているが、共振器として動作すれば片端短絡の共振構造に限定する必要はなく、例えば、両端開放、両端短絡、リング型等の共振回路を適用してもよい。なお、両端開放の共振回路の場合、開放端間の最短距離が半波長となる周波数をfとすると、周波数f,2f,3f,・・・,n×fで共振し、両端短絡の共振回路の場合、短絡端間の最短距離が半波長となる周波数をfとすると、周波数f,2f,3f,・・・,n×fで共振する。また、リング型の共振回路の場合、リングの周長が1波長となる周波数をfとすると、周波数f,2f,3f,・・・,n×fで共振する。
また、実施の形態4では、8つの導体パターン12a、12b、12c、12d,12e,12f,12g,12hと4つの貫通スルーホール列10a,10b,10c,10dを有するものとしているが、導体パターンの数および貫通スルーホール列の数は上記の数に限定する必要はない。
また、実施の形態4では、導体パターン12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12hと壁面1とを電気的に接続する構造として貫通スルーホール列10a,10b,10c,10dを用いているが、各導体パターン12と壁面1とを電気的に接続する構造であれば、貫通スルーホール列14に限定する必要はない。
また、実施の形態4では、ローラー10およびレール11を用いて壁面1上において扉2を支持しているが、扉2が平行移動して開口部8を開閉する構造であれば、壁面1上において扉2を支持する構成に別の構成を用いても構わない。
また、実施の形態4では、取っ手9に力を加えて扉2を開閉する構造としているが、扉2を開閉する構成であれば別の構成を用いても構わない。
以上のように、実施の形態4によると、この発明の実施の形態2における効果に加え、特定の周波数に特に有効な電磁シールド特性を有する。
実施の形態5.
図11から図13は、この発明の実施の形態5による電磁シールド扉の構成を示す図であり、扉が閉じられた状態について、図11は正面を示すXY面図、図12は図11の破線X5−X5’を通るXZ断面図、図13は図11の破線Y5−Y5’を通るZY断面図をそれぞれ示している。図11から図13は、実施の形態2の図4から図6に示す電磁シールド扉の構成に対して、戸袋15を追加で備える点で異なり、実施の形態2と同様の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
戸袋15は、壁面上に設置され、扉2を閉じた状態において少なくとも扉2の一部と対向する面を有し、扉3を開けた状態において扉2を収納するものである。図12,図13に示すように、扉2を閉じた状態において扉2と戸袋15は開口部8の上下左右において対向しており、扉2を閉じた状態における扉2と戸袋15の間隙において、扉2の周囲および戸袋15の開口部8の周囲に沿って導体パターン12を有する誘電体13が互いが非接触になるように配置され、向かい合う誘電体13の間に導波路7が形成されている。
次に、実施の形態5による電磁シールド扉の動作について説明する。電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数の電磁波が、壁面1と扉2の隙間および扉2と戸袋15の隙間、すなわち導体パターン12と誘電体13により形成された導波路7を伝搬する場合を考えると、壁面1と扉2との対向面および扉2と戸袋15との対向面に配置された導体パターンが共振して電磁波と電磁界結合し、導波路7を伝搬する電磁波は減衰する。その結果、電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数において、電磁シールド特性を得ることができる。
また、実施の形態5では、導体パターン12を有する誘電体13が扉2を閉じた状態における壁面1と扉2の間隙に加え、扉2と戸袋15の間隙にも配置されているため、形成される2つの導波路7を合わせた長さは実施の形態2により形成される導波路7よりも長くなり、実施の形態2よりも電磁波を減衰することが可能となる。
このように、実施の形態5による電磁シールド扉によれば、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2の開閉回数が多くなった場合にも電磁シールド特性が劣化せず、定期的なメンテナンスが不要となる。
また、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2を閉じる際に、扉2に対して高い圧力を加える必要がなく、複雑な加圧機構が不要となる。
また、扉2を壁面1に対して平行に移動することにより開口部8を開閉可能にしているため、扉2の開閉に広いスペースを必要としない。
また、実施の形態5によって得られる電磁シールド特性は導波路7の長さにより決まるため、導体パターン12を有する誘電体13を導波路7の向きと平行方向に複数配置することにより、電磁波の減衰量を調整できる。
なお、実施の形態5では、導体パターン12を有する誘電体13は対向面に配置された同様の誘電体13と向かい合わせることにより導波路7を形成しているが、どちらか一方の誘電体13の代わりに導体を設置し、誘電体13と導体を向かい合わせることにより導波路7を形成してもよい。
また、実施の形態5では、誘電体13は表面および内部に導体パターン12を有するものとしているが、対向面に配置された同様の誘電体13または導体と向かい合わせることにより導波路7を形成し、導波路7の内部を伝搬する電磁波を減衰することができれば、誘電体13は導体パターン12を表面または内部のどちらか一方に有するものとしても構わない。
また、実施の形態5では、導体パターン12を有する誘電体13を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲および扉2の周囲に沿って配置しているが、誘電体13は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲または扉2の周囲のどちらかに沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態5では、導体パターン12を有する誘電体13を扉2を閉めた状態における扉2と戸袋15の間隙において、扉2の周囲および戸袋15の開口部8の周囲に沿って配置しているが、誘電体13は扉2を閉めた状態における扉2と戸袋15の間隙において、扉2の周囲または戸袋15の開口部8の周囲のどちらかに沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態5では、ローラー10およびレール11を用いて壁面1上において扉2を支持しているが、扉2が平行移動して開口部8を開閉する構造であれば、壁面1上において扉2を支持する構成に別の構成を用いても構わない。
また、実施の形態5では、取っ手9に力を加えて扉2を開閉する構造としているが、扉2を開閉する構成であれば別の構成を用いても構わない。
以上のように、実施の形態5によると、扉2を閉じた状態において少なくとも扉2の一部と対向する面を有する戸袋15を壁面1上にさらに備え、扉2を閉めた状態における扉2と戸袋15の間隙において、扉2の周囲または戸袋15の開口部8の周囲の少なくとも一方に沿って電磁波減衰構造6を対向面と非接触になるように配置するように構成したので、実施の形態2よりも長い導波路7を形成して実施の形態2よりも電磁波を減衰することが可能となる。
実施の形態6.
図14から図16は、この発明の実施の形態6による電磁シールド扉の構成を示す図であり、扉が閉じられた状態について、図14は正面を示すXY面図、図15は図14の破線X6−X6’を通るXZ断面図、図16は図14の破線Y6−Y6’を通るZY断面図をそれぞれ示している。図14から図16は、実施の形態2の図4から図6に示す電磁シールド扉の構成に対して、導電性ガスケット16を追加で備える点で異なり、実施の形態2と同様の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
導電性ガスケット16は、導電性かつ弾性の特性を有しており、扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において壁面1の開口部8の周囲と扉2の周囲の少なくとも一方に沿って壁面1と扉2を電気的に密に接続する。
次に、実施の形態6による電磁シールド扉の動作について説明する。まず、導電性ガスケット16により、壁面1と扉2が電気的に密に接続されているので、壁面1と扉2の隙間には、電磁波はほぼ侵入しない。そして、導電性ガスケット16を通過して壁面1と扉2の隙間を伝搬する電磁波は、実施の形態2で説明した動作により減衰される。
すなわち、実施の形態6によれば、電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数において、実施の形態2が有する電磁シールド特性を上回る電磁シールド特性を得ることができる。
なお、導電性ガスケット16は、従来技術と同様に磨耗や押し付けによる劣化によって電磁シールド特性の劣化は起こり得るが、主なシールド特性が内部の共振構造によって得られるため、従来技術の扉と同様のシールド特性を得ることを考える場合、ガスケットを押し付ける力は従来技術よりも小さくなり、また、従来技術よりもガスケットの劣化、すなわちシールド特性の劣化が少ない。
また、実施の形態6によれば、扉2を壁面1に対して平行に移動することにより開口部8を開閉可能にしているため、扉2の開閉に広いスペースを必要としない。
また、実施の形態6によって得られる電磁シールド特性は導波路7の長さにより決まるため、導体パターン12を有する誘電体13を導波路7の向きと平行方向に複数配置することにより、電磁波の減衰量を調整可能な電磁シールド扉を実現できる。
なお、実施の形態6では、導体パターン12を有する誘電体13は対向面に配置された同様の誘電体13と向かい合わせることにより導波路7を形成しているが、どちらか一方の誘電体13の代わりに導体を設置し、誘電体13と導体を向かい合わせることにより導波路7を形成してもよい。
また、実施の形態6では、誘電体13は表面および内部に導体パターン12を有するものとしているが、対向面に配置された同様の誘電体13または導体と向かい合わせることにより導波路7を形成し、導波路7の内部を伝搬する電磁波を減衰することができれば、誘電体13は導体パターン12を表面または内部のどちらか一方に有するものとしても構わない。
また、実施の形態6では、導体パターン12を有する誘電体13を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲および扉2の周囲に沿って配置しているが、誘電体13は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲または扉2の周囲のどちらかに沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態6では、導電性ガスケット16は導電性かつ男性の特性を有し、図15,図16に示す構造を有しているが、扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1と扉2とを電気的に密に接続できるのであれば、導電性ガスケット16が有する特性と構造は本実施の形態と同一である必要はない。
また、実施の形態6では、導電性ガスケット16を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲に沿って配置しているが、導電性ガスケット16は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、扉2の周囲または壁面1の開口部8の周囲と扉2の周囲の両方に沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態6では、ローラー10およびレール11を用いて壁面1上において扉2を支持しているが、扉2が平行移動して開口部8を開閉する構造であれば、壁面1上において扉2を支持する構成に別の構成を用いても構わない。
また、実施の形態6では、取っ手9に力を加えて扉2を開閉する構造としているが、扉2を開閉する構成であれば別の構成を用いても構わない。
以上のように、実施の形態6によると、導電性ガスケット16をさらに備え、導電性ガスケット16が、扉2を閉めた状態における壁面1と扉2が対向する箇所において、壁面1の開口部8の周囲または扉2の周囲の少なくとも一方に沿って対向面と接触するように配置されるように構成したので、電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数において、実施の形態2が有する電磁シールド特性を上回る電磁シールド特性を得ることができる。
実施の形態7.
図17から図19は、この発明の実施の形態7による電磁シールド扉の構成を示す図であり、扉が閉じられた状態について、図17は正面を示すXY面図、図18は図17の破線X7−X7’を通るXZ断面図、図19は図17の破線Y7−Y7’を通るZY断面図をそれぞれ示している。図17から図19は、実施の形態2の図4から図7に示す電磁シールド扉の構成に対して、扉2の面に配置された誘電体13の代わりに電磁波吸収体17を備える点で異なり、実施の形態2と同様の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
電磁波吸収体17は、使用される材料により決まる特定の周波数帯域において、電気的損失、誘電損失、あるは磁気的損失により電磁波を吸収する特性を有しており、壁面1と扉2との対向面において扉2に配置されている。
次に、実施の形態7による電磁シールド扉の動作について説明する。まず、壁面1と扉2の隙間を伝搬する電磁波は、実施の形態2で説明した動作により減衰させられる。また、壁面1と扉2の隙間において扉2には電磁波吸収体が配置されているので、電磁波吸収体17の材料により決まる特定の周波数帯域において、電磁波は電磁波吸収体17に吸収される。その結果、電磁シールド特性を得ることができる。
すなわち、実施の形態7による電磁シールド扉によれば、電磁波吸収体17が有する電磁シールド特性に加え、実施の形態2が有する電磁シールド特性を併せ持った電磁シールド扉を実現できる。
このように、実施の形態7による電磁シールド扉によれば、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2の開閉回数が多くなった場合にも電磁シールド特性が劣化せず、定期的なメンテナンスが不要となる。
また、壁面1と扉2とが非接触であるため、扉2を閉じる際に、扉2に対して高い圧力を加える必要がなく、複雑な加圧機構が不要となる。
また、扉2を壁面1に対して平行に移動することにより開口部8を開閉可能にしているため、扉2の開閉に広いスペースを必要としない電磁シールド扉を実現できる。
また、実施の形態7によって得られる電磁シールド特性は導波路7の長さにより決まるため、導体パターン12を有する誘電体13または電磁波吸収体17を導波路7の向きと平行方向に複数配置することにより、電磁波の減衰量を調整できる。
また、実施の形態7では、誘電体13は表面および内部に導体パターン12を有するものとしているが、対向面に配置された同様の誘電体13または電磁波吸収体17と向かい合わせることにより導波路7を形成し、導波路7の内部を伝搬する電磁波を減衰することができれば、誘電体13は導体パターン12を表面または内部のどちらか一方に有するものとしても構わない。
また、実施の形態7では、導体パターン12を有する誘電体13を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲に沿って配置しているが、誘電体13は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、扉2の周囲または壁面1の開口部8の周囲と扉2の周囲の両方に沿って配置するとしても構わない。
また、実施の形態7では、電磁波吸収体17を扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、扉2の周囲に沿って配置しているが、電磁波吸収体17は扉2を閉めた状態における壁面1と扉2の間隙において、壁面1の開口部8の周囲または壁面1の開口部8の周囲と扉2の周囲の両方に沿って配置するとしても構わない。
また、電磁波吸収体17の配置箇所および数についても実施の形態7と同一である必要はない。
また、実施の形態7では、ローラー10およびレール11を用いて壁面1上において扉2を支持しているが、扉2が平行移動して開口部8を開閉する構造であれば、壁面1上において扉2を支持する構成に別の構成を用いても構わない。
また、実施の形態7では、取っ手9に力を加えて扉2を開閉する構造としているが、扉2を開閉する構成であれば別の構成を用いても構わない。
以上のように、実施の形態7によると、電磁波吸収体17をさらに備え、電磁波吸収体17が、壁面1と扉2の間隙において壁面1の開口部8の周囲と扉2の周囲の少なくとも一方に沿って対向面と非接触になるように配置されるように構成したので、電磁波吸収体17に使用された材料に応じた特定の周波数帯域において電磁波を吸収して電磁シールド特性を得ることができる。
また、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
1 壁面、2 扉、2a 凸部、3 導電性ガスケット、4 ヒンジ機構、5 開閉ハンドル、6 電磁波減衰構造、7 導波路、8 開口部、9 取っ手、10 ローラー、11 レール、12 導体パターン、13 誘電体、14 貫通スルーホール列、15 戸袋、16 導電性ガスケット、17 電磁波吸収体。

Claims (6)

  1. 導電性の壁面と、
    前記壁面と平行に移動して前記壁面に設けられた開口部を開閉する導電性の扉とを備え
    前記扉を閉めた状態における前記壁面と扉の間隙において、前記壁面の開口部の周囲と前記扉の周囲の少なくとも一方に沿って前記壁面または前記扉における対向面と非接触になるように電磁波減衰構造を配置し、
    前記電磁波減衰構造は、前記対向面と向かい合う面および内部に導体パターンを有する誘電体により構成され、
    前記導体パターンは、前記扉または前記壁面と電気的に接続され、前記導体パターンにおける前記扉と前記壁面の開口部の周に垂直な方向の幅が電磁シールド特性が要求される帯域内の周波数の4分の1波長である
    ことを特徴とする電磁シールド扉。
  2. 前記導体パターンは、前記扉と前記壁面の開口部の周に垂直な方向に複数配置され、
    当該複数の導体パターンにおける前記扉と前記壁面の開口部の周に垂直な方向の幅は、少なくとも2つ以上の異なる周波数の4分の1波長であることを特徴とする請求項1記載の電磁シールド扉。
  3. 前記導体パターンは、前記扉と前記壁面の開口部の周に垂直な方向に複数配置され、
    当該複数の導体パターンにおける前記扉と前記壁面の開口部の周に垂直な方向の幅は、同じ周波数の4分の1波長であることを特徴とする請求項1記載の電磁シールド扉。
  4. 前記扉を閉じた状態において少なくとも前記扉の一部と対向する面を有する戸袋を前記壁面上にさらに備え、
    前記扉を閉めた状態における前記扉と戸袋の間隙において、前記扉の周囲または戸袋の開口部の周囲の少なくとも一方に沿って前記電磁波減衰構造を前記対向面と非接触になるように配置する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の電磁シールド扉。
  5. 導電性ガスケットをさらに備え、
    前記導電性ガスケットが、前記扉を閉めた状態における前記壁面と扉が対向する箇所において、前記壁面の開口部の周囲または扉の周囲の少なくとも一方に沿って前記対向面と接触するように配置される
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の電磁シールド扉。
  6. 電磁波吸収体をさらに備え、
    前記電磁波吸収体が、前記壁面と扉の間隙において前記壁面の開口部の周囲と前記扉の周囲の少なくとも一方に沿って前記対向面と非接触になるように配置される
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の電磁シールド扉。
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