JP5920058B2 - スピンドル装置、並びにそれを備えた工作機械及び半導体製造装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されたスピンドル装置は、ディスク回転支持装置として適用されるものであり、回転軸内にシリンダ機構が配置され、シリンダの回転軸への押付けは、内蔵されたコイルばねの弾性力を利用している。
そこで、本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、回転モータにかかる負荷を軽減することができるスピンドル装置、並びにそれを備えた工作機械及び半導体製造装置を提供することにある。
本発明は、本発明者らによる上記知見に基づくものであり、上記課題を解決するための本発明の請求項1に係るスピンドル装置は、前端部にフランジ部が設けられた円筒形状の回転軸と、該回転軸内で前後移動可能かつ回転可能に配設され、前記フランジ部の前面に対向する後面を有するキャップ部を前端部に設けたシリンダとを有し、
前記フランジ部の前面及び前記キャップ部の後面の少なくとも何れかには、前記フランジ部の前面と前記キャップ部の後面とが当接した際に閉空間を形成する凹部が設けられ、
前記閉空間を減圧して、前記閉空間に生じる差圧で、前記フランジ部と前記キャップ部とを互いに保持させる保持制御部が設けられたことを特徴としている。
また、本発明の請求項3に係る工作機械は、請求項1又は2に記載のスピンドル装置を備えたことを特徴としている。
また、本発明の請求項4に係る半導体製造装置は、請求項1又は2に記載のスピンドル装置を備えたことを特徴としている。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るスピンドル装置の第1の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。また、図2〜4は、本発明に係るスピンドル装置の第1の実施形態における動作を示す軸方向に沿う断面図である。なお、本実施形態の説明においては、図1〜4の上方を前方、図1〜4の下方を後方として説明する。また、説明の便宜上、図1〜4においてハッチング表示は省略する。
図1に示すように、本実施形態のスピンドル装置1は、回転軸10と、シリンダ20と、保持制御部30とを有する。これらのうち、回転軸10とシリンダ20とがスピンドルユニット2を構成する。
<回転軸>
回転軸10は、中空の円筒形状をなす。回転軸10の内部には、前後移動可能かつ回転可能にシリンダ20が配設されている。
また、回転軸10の前端部には、フランジ部11が設けられている。
シリンダ20は、円柱形状をなし、中空の円筒形状をなす回転軸10の内部に、前後移動可能かつ回転可能に配設される。
シリンダ20の前端部には、キャップ部21が固定されている。このキャップ部21の前面21aには、真空チャック23が搭載されている。この真空チャック23には、ワーク50が吸着保持される。すなわち、シリンダ20は、その前端部にワーク50が吸着保持された真空チャック23を搭載して、回転軸10に対して前後方向(図1における上下方向)に動作する。
一方、キャップ部21の後面21bは、フランジ部11の前面11aに対向し、前面11aに当接可能とされる。
ここで、フランジ部11の前面11a及びキャップ部21の後面21bの少なくとも何れかには、フランジ部11とキャップ部21とが当接した際に閉空間Sを形成する凹部12(22)が設けられる。すなわち、平坦に形成された前面11aと凹部22が形成された後面21bとによってフランジ部11とキャップ部21とが当接した際に閉空間Sが形成されてもよいし、凹部12が形成された前面11aと、平坦に形成された後面21bとによってフランジ部11とキャップ部21とが当接した際に閉空間Sが形成されてもよいし、凹部12が形成された前面11aと、凹部22が形成された後面21bとによってフランジ部11とキャップ部21とが当接した際に閉空間Sが形成されてもよい。なお、図1では、凹部12のみ形成された態様を示した。
特に、前面11及び後面21bの少なくとも何れか一方の外縁部に、前面11と後面21bとの接触面が形成されるように、凹部12(22)を設けるようにすると、同一の押付け力でも大きなトルクを伝達可能となる。
保持制御部30は、フランジ部11とキャップ部21とが当接した際に形成される閉空間Sに連通する経路60と共に構成され、かかる経路60を介して閉空間Sに給排気して圧力制御する手段である。具体的には、前面11及び後面21bの少なくとも何れか一方に連通する経路60を介して保持制御部30が、閉空間Sを減圧して、該閉空間Sに生じる差圧で、フランジ部11とキャップ部21とを互いに保持させる手段である。保持制御部30としては、例えば、真空ポンプ等が挙げられる。なお、以下の「給排気」の説明では、保持制御部30と同様に真空ポンプ等が用いられる。
その結果、真空排気によって、真空チャック23の給排気経路61の排気が乱されることがない、という効果を奏する。
特に、真空チャック23は、回転時に強い保持力が必要となる。
したがって、回転時(シリンダ20が下降時)に、真空チャックの23の給排気経路61の排気が強く、上昇時はワーク50がずれ落ちない程度の保持力を要すると想定すると、本実施形態のスピンドル装置の構造は、その構造がシンプルであること以外に、単動(型)として、真空排気で駆動するメリットが明らかであるといえる。
また、ばね手段70は、その構造のなかでストローク端において滑らかに速度を停止させるための手段である。このばね手段を用いた単動式のシリンダ構造は、本実施形態に固有の技術ではなく、一般的な構成である。
なお、本実施形態では、前側のスラスト軸受81とラジアル軸受82の間の排気をスピンドル外へ排気する流路は、従来(例えば後側)と異なる構造を採用している。これは、後述のシール構造を採用するための構造である。
本実施形態では、閉空間Sに連通する経路60としての「シリンダ20の押付け用の給排気経路60」が回転軸10及びハウジング3に設けられている。また、回転軸10及びハウジング3には、「真空チャック23の給排気経路61」、「シリンダ20の上下用の給排気経路62」、「静圧気体軸受の排気経路63」、「シリンダ給気の漏れ排気経路64」も設けられている。
ここで、上記経路60〜64は、回転軸10とシリンダ20との間に形成される空間への給排気経路であるため、以下の構成を採用している。
また、回転軸10の外周面にて給気する気体が回転軸10の前後方向へ流れない、あるいは排気する場合は、回転軸10の外周面の気体を排気して排気効率を低下させないようにシール構造が設けられている。
シール構造としては、本実施形態では、数〜数十μmの隙間となるシール構造(ラビリンス構造)を採用した。これは、非接触式の静圧気体軸受の特徴を活かすために非接触式のシール構造を採用したものである。
ラビリンスシールの外側には、前後に隣り合う静圧軸受や給排気ポートの圧力の影響を軽減するために、スピンドル装置1の周囲の圧力とほぼ同一となるような、ハウジング3内に溝及び半径方向に連通した穴、すなわち開放ポートが設けられている。
回転軸10には、それぞれの給排気経路60〜64を構成するために半径方向の穴が配置されている。図1では、各1本の位相に見える箇所もあるが、貫通させて180度の位相の経路を2本、90度の位相の経路を4本にするなど適宜変更可能である。
図2〜4は、本実施形態のスピンドル装置の動作を示す軸方向に沿う断面図であり、図2は、ワークを吸着してスピンドルが回転動作している際の給気・排気状態を示す図、図3は、回転を停止し、リフトを前側(上側)へ移動開始する際に必要な動作を示す図、図4は、図3の後、シリンダに正圧を給気してシリンダを上昇させている状態を示す図である。
その後、図4に示すように、シリンダ20の動作が滑らかになるように、給気経路に絞りを配置して流入量が大とならないようにすべきである。
移動完了は、ばね力による反力よりも前方向への押付け力が若干上回る程度として滑らかに停止するようにさせる。
図5は、本発明に係るスピンドル装置の第2の実施形態における構成を示す軸方向に沿う断面図である。また、図6〜8は、本実施形態のスピンドル装置の動作を示す軸方向に沿う断面図であり、図6は、ワークを吸着してスピンドルが回転動作している際の給気・排気状態を示す図、図7は、回転を停止し、リフトを前側(上側)へ移動開始する際に必要な動作を示す図、図8は、図7の後、シリンダに正圧を給気してシリンダを上昇させている状態を示す図である。なお、本実施形態のスピンドル装置は、キャップ部21及びフランジ部11の形状が上述した第1の実施形態と異なるだけであるため、第1の実施形態と重複又は相当する部材等については図に同一符号を付して説明を省略する。また、本実施形態においても、説明の便宜上、図5〜8においてハッチング表示を省略する。
挿入力は自重+真空による差圧(最大1気圧)に対し、引抜においては正圧を用いるため、例えばθ=2°として0.29MPa(大気圧:0.1MPaのため0.19MPa(ゲージ圧))を供給することで外すこともできる。ただし、挿入が外れた際に、シリンダ20に作用している力が、シリンダ20を前側へ加速させる力となり、前側へ飛び出る恐れもある。
なお、本実施形態においては、上述の第1の実施形態に対し、図7に示すように、シリンダ20内部を大気圧あるいは正圧として、シリンダ20を後側へ吸引しない構成が必要である。
さらに、押付け力が必要な場合、あるいは、高速回転におけるアンバランスを避けるためには、キャップ部とフランジ部とをテーパ嵌合として、同一の押付け力で得られる摩擦による保持力を高めるとともに、回転軸とシリンダの同軸を管理することでアンバランスを低減することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに、種々の変更、改良を行うことができる。
10 回転軸
11 フランジ部
11a 前面
20 シリンダ
21 キャップ部
21b 後面
30 保持制御部
Claims (4)
- 前端部にフランジ部が設けられた円筒形状の回転軸と、該回転軸内で前後移動可能かつ回転可能に配設され、前記フランジ部の前面に対向する後面を有するキャップ部を前端部に設けたシリンダとを有し、
前記フランジ部の前面及び前記キャップ部の後面の少なくとも何れかには、前記フランジ部の前面と前記キャップ部の後面とが当接した際に閉空間を形成する凹部が設けられ、
前記閉空間を減圧して、前記閉空間に生じる差圧で、前記フランジ部と前記キャップ部とを互いに保持させる保持制御部が設けられたことを特徴とするスピンドル装置。 - 前記フランジ部と前記キャップ部とがそれぞれ嵌合可能なテーパ形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
- 請求項1又は2に記載のスピンドル装置を備えたことを特徴とする工作機械。
- 請求項1又は2に記載のスピンドル装置を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
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