JP5919787B2 - 乾式クリーニング筐体及び乾式クリーニング装置 - Google Patents
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Description
本発明は、例えば、フローはんだ槽工程で用いられる、ディップパレットもしくはキャリアパレットと呼称されるマスク治具に付着したフラックスを除去するのに用いられ、特に洗浄対象物の側面や開口部の周辺など、狭い領域に固着したフラックスを除去することに適している。
一般的には、このような洗浄は溶剤に浸漬して行うため、大量の溶剤を消費しており、コストアップを避けられず、作業者への負荷も極めて大きい。
浸漬せずに装置内で溶剤を洗浄対象物に噴射する方式も知られているが、溶剤を大量に使用するという点に変わりはない。
特許文献1、2には、円筒形の容器の側面に開口部を設け、容器内で圧縮気流の旋回空気流により円周方向に洗浄媒体を飛翔させ、開口部に接した洗浄対象物に洗浄媒体を衝突させる洗浄方法が開示されている。
しかしながらこの方式では、圧縮気流で旋回空気流を形成しているため、開口部から洗浄対象物が離された際に、洗浄媒体が容器外部に漏出するという問題を避けられない。
この問題を解消すべく、特許文献1では開口部に網部材を設けて漏出を防いでいるが、洗浄媒体が洗浄対象物に衝突する際のエネルギーが低下したり、網部材に洗浄媒体が挟まって洗浄能力が低下するなどの新たな問題を抱えている。
特許文献2では、開口部を塞ぐ開閉蓋を設けて漏出を防ぐようにしているが、開口部から洗浄対象物が離された際に開閉蓋を素早く移動させて塞ぐ必要があり、作業者に余計な注意力や労力を強いるとともに、機構的に複雑で操作が難しく、故障しやすいという問題があった。
この乾式クリーニング装置によれば、開口部から洗浄対象物が離されても、通気路が大気圧と同レベルとなって旋回空気流が消失するとともに、吸気による負圧で開口部から外気が筐体内に多く流入するため、筐体内の洗浄媒体は多孔手段に吸着された状態となって筐体内に留まり、開口部からは漏れない。
開口部18は、上記筐体4の外周面の一部をカットするイメージで形成されている。換言すれば、洗浄対象物20の洗浄面を、円筒形状をなす筐体の外周円に対する接線とみなしたとき、旋回空気流の旋回軸中心Pを通る線Sと接線とが直角に交わる点を中心に開口部18が形成されている。
この開口部18に対して、外部からの流入気流が旋回空気流と合流するときの加速機能と、洗浄媒体5を開口部18になるべく短い距離で衝突させる機能とを得るべくインレット24の角度θi(以下、「インレット角度」という)が決定されている。
インレット角度とは、上記のように、インレットから流入する外部空気の進行方向と、開口部が被洗浄物に接する面とのなす角度であり、インレット角度を、図17に矢印Kで示すように起して垂直に近づけた場合には、インレットと開口部とが垂直方向(上下方向)で対向することになる。
洗浄能力を高める観点から最も望ましいのは、インレット角度が垂直状(略90°)となる構成である。このようにすれば、インレットから流入する気流の高速エネルギーを、洗浄媒体が洗浄対象物に衝突するエネルギーとして効率的に利用できるからである。
すなわち、インレットから流入した高速気流で旋回空気流を加速して洗浄媒体を開口部に衝突させずに、インレットから流入した高速気流をそのまま洗浄媒体の衝突エネルギーとして利用し、衝突後のエネルギーを旋回空気流を維持するエネルギーとすれば、洗浄能力を格段に向上させることができる。
具体的には、洗浄媒体を気流により飛翔させ、洗浄媒体を気流により飛翔させ、前記洗浄媒体を洗浄対象物に当てて洗浄対象物の洗浄を行う乾式クリーニング筐体において、前記洗浄媒体を飛翔させる内部空間と、前記洗浄対象物に当接して前記洗浄媒体を前記洗浄対象物に衝突させる開口部と、外部からの空気を前記内部空間へ通す通気路と、前記通気路を介して前記内部空間に導入された空気を吸引することにより前記内部空間に旋回気流を生じさせる吸気口と、前記内部空間で旋回気流の旋回軸を規定する流路制限部材と、前記洗浄対象物から除去された除去物を前記吸気口側へ通過させる多孔手段と、を備え、前記開口部は、旋回気流の径方向における旋回軸中心を通る線上から前記通気路と対向する側に位置をずらして配置され、前記通気路側の筐体の外側面と前記開口部とが隣接し、前記筐体の外側面と、前記開口部が前記洗浄対象物に接する面とのなす角度が90°以下であることを特徴とする。
本発明における「筐体」とは、内側に旋回空気流を発生させやすい形状の空間を備えた容器状の構造物を示す。旋回空気流を発生させやすい形状とは、気流が筐体の内壁を沿って流れて循環する、連続した内壁を持つ形状であり、より望ましくは回転体形状の内壁または内部空間を備える形状である。
「通気路」とは、気流を一定の方向に流れやすくする手段のことであり、滑らかな内面を備える管形状であることが一般的である。しかしながら、たとえば滑らかな面を持つ、板状の流路制御板などを用いても、気体を面に沿った方向に流れやすくする、整流効果が発現するため、このような形態も含めて通気路とする。
管形状を備え、一方の端部が筐体内壁の空気流入口に接続し、もう一方の端部が筐体外の大気に開放されている空気取り入れ口である通気路を、本発明では「インレット」と呼称する。インレットは一般的に流体抵抗が低く、滑らかな内面を持ち、管の断面は円形、長方形、スリット形状などが用いられる。
まず、図14乃至図16に基づいて、本発明の基礎となった上記先願技術に係るハンディタイプの乾式クリーニング装置の基本構成及び機能について説明する。
図14に基づいて、該ハンディタイプの乾式クリーニング装置2の構成の概要を説明する。図14(a)はA−A線での横断面図、(b)はB−B線での縦断面図である。
乾式クリーニング装置2は、内部に洗浄媒体5の飛翔空間を有する乾式クリーニング筐体(以下、単に「筐体」という)4と、筐体4内を負圧化する吸気手段6とを備えている。
筐体4は、筐体本体部としての円筒形状の上部筐体4Aと、逆円錐形状の下部筐体4Bとから一体として構成されている。ここでの上部、下部は図面上の便宜的呼称であって、実機上の上下とは必ずしも関係はない。
吸気手段6は、吸気口8に一端を接続されたフレキシブルな吸引ホース10と、該吸引ホース10の他端に接続された吸引装置12とを有している。吸引装置12としては、家庭用掃除機、真空モータや真空ポンプ、あるいは流体の圧送により間接的に低圧化ないし負圧化を生じさせる装置などを適宜用いることができる。なお、部材の上面、底面等の上下の位置関係は図面上の基準にすぎない。
上部筐体4Aの底面部における下部筐体4Bとの境界部分には、多孔手段としての多孔性の分離板14が設けられている。分離板14は、パンチングメタルのような穴が空いた板状の部材である。分離板14は、吸引されたときの洗浄媒体5の下部筐体4B側への移動を阻止するものである。図14(a)では分離板14の表示を一部省略している。なお、洗浄媒体5は分かり易くするためにその大きさを誇張表示している。
多孔手段としては、洗浄媒体5を通さずに空気及び粉塵(洗浄対象物から除去された除去物)を通過させる大きさの細孔を多く備える多孔形状であればよく、スリット板や網などを用いてもよく、材質も滑らかな面を備えていれば、樹脂や金属などを自由に選択して良い。
多孔手段は旋回空気流の旋回軸と直交する面として配置されている。これにより、多孔手段に沿う方向に気流が流れることにより、洗浄媒体5の滞留を防ぐ効果がある。
旋回空気流の減衰を抑えるために、筐体内面は段差、凹凸がなく平滑であることが望ましい。
筐体4の材質は特に限定されないが、異物の付着や洗浄媒体との摩擦による消耗を防ぐために、例えばアルミ二ウムやステンレスなどの金属製が好適であるが、樹脂製のものを用いることもできる。
流路制限部材16は旋回空気流の流路断面積を絞って流速を向上させる目的で設けられている。流路制限部材16により上部筐体4A内には滑らかな壁面を有するリング状の旋回空気流移動空間(洗浄媒体の飛翔空間)が形成されている。
上部筐体4Aの形状によっては、流路制限部材16の中心軸と上部筐体4Aの中心軸を必ずしも共通にする必要はなく、リング状の空間が確保できていれば偏芯していても良い。
上部筐体4Aは直径に対して高さが極めて小さい円筒形状であり、その高さを形成する側面の一部に開口部18を設けることにより、筐体4全体としては、図14(b)に示すように、開口部18以外の外周部分が洗浄対象物20から大きく逃げる(離れる)レイアウトとなり、洗浄対象物20に対する局所的当接、換言すればピンポイントクリーニングの自由度が高められている。
開口部18は、上部筐体4Aの側面を円筒軸に平行な平断面により切断した形状であり、円筒軸と直交する方向から見て矩形形状をなしている。
インレット24は分離板14に略平行に設定されており、その通気方向は、上部筐体4Aの半径方向に対して傾き、その通気路中心の延長線が開口部18に達するように位置している。
インレット24は、上部筐体4Aの高さ方向に延びる幅を有している。インレット24は上部筐体4Aの高さよりも径又は幅が小さいものを1つ配置してもよく、単体のインレットを高さ方向に複数配置する構成としてもよい。
図14に示すように、開口部18が洗浄対象物20に当接して塞がれると、筐体4内が閉空間としてなり、インレット24から外気が高速で流入し、この高速気流は洗浄媒体5を開口部18へ向けて加速させるとともに旋回気流としての旋回空気流30を生成する。
閉空間が形成された時に生じる旋回空気流は、分離板14上に吸着した洗浄媒体を吹き払い、再飛翔させる効果を有する。
このような構成を備えることにより、乾式クリーニング装置2を洗浄対象物に当てていない間は、空気流入口22が大気圧に近づくことによって、外部との差圧が低下し、その結果流入する気流が劇的に低減する。一方、開口部18から流入する気流は多くなるため、洗浄媒体5が筐体4内から漏れ出ることを防ぐことができる。
また、開口部18が開放されている状態では、閉塞されている場合に比べて流入する気流の総量が2〜3倍になるため、とくに薄片状の洗浄媒体では多孔手段上に吸着されるため、再飛翔せず筐体の外に漏れることがない。これを開口部開放時における洗浄媒体吸着効果という。
薄片状の洗浄媒体とは面積が1mm2以上200mm2以下の薄片である。また、洗浄媒体の材質はポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタラート、アクリル、セルロース樹脂などの耐久性のある素材からなるフィルムであり、厚みは0.02mm以上1.0mm以下である。
但し、洗浄対象物によっては洗浄媒体の厚みやサイズや材質を変えることが効果的な場合もあり、これらの洗浄媒体を使用する場合も本発明の範囲に含まれるため、前記洗浄媒体条件にはとらわれないものとする。
洗浄媒体の材質に関しては、樹脂だけにとどまらず、紙、布などの薄片や、あるいは、雲母などの鉱物、セラミックやガラス、金属箔であっても、薄く軽量で飛翔しやすい形状にすることで使用することができる。
流路制限部材16の内部空間34は、旋回空気流が作用しない空間である。
図15(b)は、開口部18を洗浄対象物20から離して開口部18を開放し吸気を行っている状態を、図15(a)は、開口部18を洗浄対象物20に当てて閉塞した状態を示している。
クリーニング動作に先立って、洗浄媒体5を筐体4内に供給する。筐体4内に供給された洗浄媒体5は、図15(b)下図に示すように、分離板14に吸い付けられて筐体4内に保持される。
筐体4内は吸気により負圧状態となっているので、筐体外部の空気がインレット24を通して筐体4内に流入するが、このときのインレット24内の流れは流速・流量ともに小さいので、筐体4内に発生する旋回空気流30は洗浄媒体5を飛翔させる強さには至らない。
開口部18が塞がれると、開口部18からの吸気が止まるので、筐体4内の負圧は一気に増大し、インレット24を通じて吸い込まれる空気量・流速ともに増大し、インレット24内で整流され、インレット出口(空気流入口22)から筐体4内に高速空気流となって吹き出す。
吹き出した空気流は、分離板14上に保持されている洗浄媒体5を開口部18に対向する洗浄対象物20の表面に向けて飛翔させる。
上記空気流は、旋回空気流30となって、筐体4の内壁に沿って円環状に流れつつ、一部は分離板14の穴を通って吸気手段6により吸気される。
このように筐体4内を円環状に流れた旋回空気流30がインレット24の出口部に戻ると、インレット24から入り込む空気流が旋回空気流30に合流しつつ加速する。このようにして筐体4内に安定した旋回空気流30が形成される。
分離した汚れは、分離板14の穴を通って吸気手段6により筐体4の外部へ排出される。
筐体4内に形成される旋回空気流30は、その旋回軸が、分離板14の表面に直交しており、旋回空気流30は分離板14の表面に平行方向の気流となる。
このため、旋回空気流30は分離板表面に吸い着けられた洗浄媒体5に、横方向から吹き付けて洗浄媒体5と分離板14の間に入り込み、分離板14に吸い付けられている洗浄媒体5を分離板14から引き剥がして再度飛翔させる効果が生じる。
また、開口部18が塞がれて上部筐体4A内の負圧が増大して、下部筐体4B内の負圧に近くなるため、洗浄媒体5を分離板14の表面に吸い付ける力も低下して、洗浄媒体5の飛翔がより容易になる効果が生じる。
旋回空気流30は、一定の方向に気流が加速されるため高速の気流が生成しやすく、洗浄媒体5の高速飛翔運動も容易となる。高速で旋回移動する洗浄媒体5は、分離板14に吸い付けられにくく、洗浄媒体5に付着した汚れが、遠心力により洗浄媒体5から分離され易い。
洗浄対象物は前述したフローはんだ槽工程で用いられるディップパレットであり、符号100で示す。
ディップパレット100には、マスク開口部101、102、103が開口しており、これらマスク開口部の穴周辺にフラックスFLが堆積・固化している。この堆積・固化したフラックスFLが除去すべき汚れである。
図16に示すように、下部筐体4Bの根元部(吸気口8部位)を手HDで握り、吸気状態で、筐体4の開口部18を被クリーニング部位に押し当てる。
開口部18が被クリーニング部位に押し当てられる以前は、筐体4内は吸気され、洗浄媒体5は分離板14に吸い付けられているので、開口部18は下方を向いているものの、筐体4内から洗浄媒体5が外部へ漏れることは無い。
勿論、開口部18が被クリーニング部位に押し当てられた以後は、筐体内が気密状態となり、洗浄媒体の漏れ出しはない。
クリーニング作業者は、上述の如く下部筐体4Bの根元を手HDに持ち、ディップパレット100に対して移動させて、被クリーニング部位を順次移動させ、付着・固化したフラックスFLを全て除去することができる。
図16の状態では、ディップパレット100のマスク開口部101の周辺部がクリーニングされ、マスク開口部102、103の周辺部がクリーニング途上である。
被クリーニング部位に対して開口部を移動させる時に被クリーニング部位から開口部18が離されても、前述の洗浄媒体吸着効果により、洗浄媒体5が筐体内から漏れ出さないため、洗浄媒体数が維持され、洗浄媒体量の減少によるクリーニング性能の低下は生じない。
このような場合は、新しい洗浄媒体群を筐体4内に補給する。
本実施形態に係る乾式クリーニング筐体40は、旋回軸方向の両側から吸引して上記基本構成をさらにコンパクト化した構成としている。
図3及び図4に示すように、乾式クリーニング筐体40は、筐体本体42と、筐体本体42の上部に一体に形成された吸気口8と、筐体本体42の旋回軸方向両側に分離板44を挟んで配置された旋回軸方向の側面としての吸気カバー46A、46Bと、外側面としてのフロントカバー48と、筐体本体42の上部でフロントカバー48側に形成されたインレット50と、筐体本体42の内部に配置された円筒状の流路制限部材52等から構成されている。乾式クリーニング装置の構成では、吸気口8に吸引ホース10が接続される。
筐体本体42には、吸気口8に連通する円弧状の吸気路42aが旋回軸方向に貫通して形成されている。筐体本体42の上面先端部42bはインレット50の一部を構成し、空気抵抗を低減するように滑らかな湾曲面状に形成されている。筐体本体42の下面先端部42cは、開口部18の一辺を規定している。
各分離板44は、中心部に流路制限部材52を支持する支持穴44aを有しているとともに、吸気路42aに連通する円弧状の開口44bを有している。
吸気カバー46A、46Bは、開口44bを介して吸気路42aに連通する空隙部46aを有している。
吸気カバー46Bには、流路制限部材52に挿入される円筒状の支持凸部46bが形成されており、吸気カバー46Aには支持凸部46bの挿通孔46cが形成されている。
吸気カバー46A、46Bと分離板44は筐体本体42にネジで一体に固定され、フロントカバー48は吸気カバー46A、46Bにネジで固定されている。
流路制限部材52は、分離板44と同様に多孔構造を有している。
図2は、組立構成において、吸気カバー46A側を破断した状態を示している。
インレット50は、外部空気の流入側が大きく開口し、開口部18側へ向って徐々に狭くなるように形成されている。すなわち、開口部18側へ向って断面積を狭くして流入気流の速度を増加させる構成を有している。
また、フロントカバー48の下端は開口部18の一辺を規定しており、開口部18と隣接している。
開口部18の大きさは、洗浄対象物の形状や、リリース時や非洗浄時に吸気による負圧で開口部から外気が筐体内に流入できるよう適宜決定される。
図2に示すように、旋回空気流30で旋回飛翔する洗浄媒体5は、インレット50から流入した外部空気による高速気流で垂直方向に加速されてそのまま洗浄対象物20に衝突する。なお図2では分離板44の多孔構造は省略している(他の図においても適宜省略する)。
衝突した後の洗浄媒体5は、旋回空気流30に乗り、再びインレット50の高速気流の領域に達し、この洗浄動作が繰り返される。
洗浄媒体5は、インレット50から流入する高速気流のエネルギーで飛翔し、減速する間もなく洗浄対象物へ衝突するため、衝突エネルギー効率が高く、洗浄効率が良い。
図5に示すように、洗浄能力はインレット角度が90°のときが最も高い。このため、インレット部で加速された洗浄媒体の衝突エネルギーが分力化されることなく、洗浄効率が良い。
換言すれば、インレット50から流入した高速気流のエネルギーが旋回空気流と混ざって減衰する度合いが低く、ほとんどが洗浄媒体5の衝突エネルギーとして効率的に使用されるからである。
本写真は、樹脂板に貼り付けた感圧紙に対して10秒間洗浄を加え、洗浄媒体の衝突による打痕を感圧紙上に生じさせて、スキャナーで画像読み取りしたものである。画像が黒い領域ほど打痕の密度が高く、洗浄媒体が多く衝突しているために洗浄能力が高い。
図6(a)はインレット角度が30°の場合、図6(b)はインレット角度が60°の場合、図6(c)はインレット角度が90°の場合(本実施形態)の結果を示している。
図7は、上記画像をグラフ化したもので、細い破線(a)は図6(a)に、太い破線(b)は図6(b)に、実線(c)は図6(c)に対応している。
この結果からインレット角度が垂直に近づくほど洗浄能力が高くなることがわかる。
図2に示すように、フロントカバー48が垂直に立ち上がっているため、洗浄対象物20の洗浄面がL字形状や階段状であっても、開口部18をコーナーに近接して洗浄することができる。
すなわち、図17で示した先願技術の筐体構造に比べて、筐体の外面形状が洗浄対象物20の垂直面20aへのアクセスを阻害する度合いが非常に少なく、フロントカバー48の厚みのみとなる。
また、インレット角度を90°未満であるが垂直近傍の場合、例えば80°とした場合でも、洗浄媒体が洗浄対象物に衝突した後の跳ね返りの方向が旋回空気流方向と同じとなるために、洗浄媒体はスムーズに飛翔しやすくなり、若干の洗浄能力低下で収まる。
本実施形態では、インレット角度を90°以下にしたことを特徴としている。筐体の形状から、洗浄対象物20の垂直面20aに対して逃げを有する干渉しにくい形状となるため、垂直面20aとの接触が殆どなく、より狭い箇所へのアクセスも可能となる。そのためインレット角度と開口部位置は洗浄対象物の形状により適宜決めると良い。
上記のように、フロントカバー48が垂直状の構成では、洗浄対象物20のコーナー部に対してアクセスが容易であるが、フロントカバー48の厚み分は非洗浄領域として残る。本実施形態で非洗浄領域が残らずにコーナー部を良好に洗浄することを目的としている。
図9(a)に示すように、本実施形態では、フロントカバー48の下端部が除去されており、該除去された部分を任意に覆うことが可能なコーナー洗浄用可動部材としての開閉プレート56を有している。開閉プレート56は両側を図示しない溝に嵌められて上下方向にスライド可能となっている。
コーナー部を洗浄しない場合には、図9(a)に示すように、開閉プレート56はそのストッパ56aがフロントカバー48の上面に当接するように設定され、除去部分からの洗浄媒体5の漏れを阻止する。この場合、開閉プレート56の下端は開口部18の一辺を規定する。
コーナー部を洗浄する場合には、図9(b)に示すように、開閉プレート56を引き上げる。このようにすることで、コーナー部に対する開口部が拡大され、洗浄残りがなくなる。
上記のように、開口部位置を旋回流路中心線S上からインレット側に偏心した位置に配置した場合、流路制限部材52の形状が円筒であると、開口部近傍では、旋回流路の断面積が他の流路よりも広く、また変化も大きくなってしまう。
旋回流路の断面積が広くなるとその場所での流速が減速されてしまう。また変化が大きい場合にも流路抵抗が増して旋回流速が弱まり、洗浄媒体の循環速度が低下して洗浄性能が低下する。
これを防止するため、本実施形態では、流路制限部材52が旋回流路の断面積を略一定にする形状を有している。
図10に示すように、本実施形態における流路制限部材52は、開口部18側に向って略直角に突出した凸部52aを有した断面非円形形状に形成されており、開口部18の位置がずれたことによって拡大した開口部18近傍の旋回流路の断面積を小さくしている。
流路制限部材は旋回空気流の流路断面積を絞って流速を向上させる目的で設けられている。流路制限部材の大きさは、特に限定されないが、洗浄媒体が密集して目詰まりしない程度の旋回流路幅が必要である。また旋回流路幅が広いと流路断面積が大きくなるため流速が遅くなり旋回速度が遅くなる。そのため流路制限部材の大きさは、洗浄媒体の大きさと投入量で決定される。
上記凸部52aを設ける構成は、インレットから開口部まで、すなわち洗浄媒体が加速された後、洗浄対象物へ衝突するまでが最も重要であり、この部分に適用すると効果が大きい。
通常、洗浄媒体が加速された後に洗浄対象物へ衝突した後、衝突直後には洗浄媒体の速度が0となり、洗浄媒体が衝突の衝撃で跳ね返っていく。跳ね返り後は旋回空気流の影響により垂直よりも旋回空気流の影響を受けて斜めに飛翔しながら最終的に筐体内壁に沿っていくが、洗浄対象物の形状や洗浄媒体の衝突姿勢によっては跳ね返り後に流路制限部材へ衝突する洗浄媒体も存在する。
その時に、他の洗浄媒体の飛翔を阻害して、旋回速度の低下を生じたり洗浄媒体が密集して目詰まりする原因となり得る。
本実施形態では、この懸念を解消することを目的としている。
具体的には、開口部18を基準として、凸部52aの旋回方向下流側に、衝突後の洗浄媒体を旋回方向下流側へ案内するテーパ面52a−1を有する構成としている。
これにより、旋回空気流と逆方向へ跳ね返ることを防止でき、跳ね返り後に逆流せずにスムーズに旋回していくようなる。
本実施形態では、凸部52aに、衝突後の洗浄媒体を旋回方向下流側へ案内する湾曲面52a−2を有していることを特徴とする。
図のような湾曲形状では、インレットから開口部付近までは流路断面積が変化していないので、旋回速度が低下することがない。
5 洗浄媒体
8 吸気口
12 吸引手段
18 開口部
20 洗浄対象物
40 乾式クリーニング筐体
44 多孔手段としての分離板
48 外側面としてのフロントカバー
50 通気路
52 流路制限部材
52a−1 テーパ面
52a−2 湾曲面
56 コーナー洗浄用可動部材としての開閉プレート
Claims (9)
- 洗浄媒体を気流により飛翔させ、前記洗浄媒体を洗浄対象物に当てて洗浄対象物の洗浄を行う乾式クリーニング筐体において、
前記洗浄媒体を飛翔させる内部空間と、
前記洗浄対象物に当接して前記洗浄媒体を前記洗浄対象物に衝突させる開口部と、
外部からの空気を前記内部空間へ通す通気路と、
前記通気路を介して前記内部空間に導入された空気を吸引することにより前記内部空間に旋回気流を生じさせる吸気口と、
前記内部空間で旋回気流の旋回軸を規定する流路制限部材と、
前記洗浄対象物から除去された除去物を前記吸気口側へ通過させる多孔手段と、
を備え、
前記開口部は、旋回気流の径方向における旋回軸中心を通る線上から前記通気路と対向する側に位置をずらして配置され、
前記通気路側の筐体の外側面と前記開口部とが隣接し、前記筐体の外側面と、前記開口部が前記洗浄対象物に接する面とのなす角度が90°以下であることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、
前記通気路から流入する外部空気の進行方向と、前記開口部が前記洗浄対象物に接する面とのなす角度が略90°であることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1又は2に記載の乾式クリーニング筐体において、
前記筐体の外側面が、前記内部空間側に若干傾斜していることを特徴とする乾式クリーニング装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体において、
前記筐体の外側面の前記開口部側端部が除去されており、該除去された部分を任意に覆うことが可能なコーナー洗浄用可動部材を有していることを特徴とする乾式クリーニング装置。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体において、
前記流路制限部材が、旋回流路の断面積を略一定にする形状を有していることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体において、
前記流路制限部材が、前記洗浄対象物に衝突した後の洗浄媒体が旋回方向と逆方向へ飛散することを防止する形状を有していることを特徴とする乾式クリーニング装置。 - 請求項6に記載の乾式クリーニング筐体において、
前記流路制限部材が、一部が前記開口部へ向って突出した断面非円形形状を有し、突出した部分に、衝突後の洗浄媒体を旋回方向下流側へ案内するテーパ面を有していることを特徴とする乾式クリーニング装置。 - 請求項6に記載の乾式クリーニング筐体において、
前記流路制限部材が、一部が前記開口部へ向って突出した断面非円形形状を有し、突出した部分に、衝突後の洗浄媒体を旋回方向下流側へ案内する湾曲面を有していることを特徴とする乾式クリーニング装置。 - 請求項1〜8のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体と、前記吸気口に接続される吸引手段と、前記洗浄媒体とから構成されることを特徴とする乾式クリーニング装置。
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JP2011271526A JP5919787B2 (ja) | 2011-12-12 | 2011-12-12 | 乾式クリーニング筐体及び乾式クリーニング装置 |
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