JP2014140805A - 乾式クリーニング筐体及び乾式クリーニング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】図示しない吸引手段を稼動させた状態で、乾式クリーニング筐体50の開口部18を洗浄対象物20に当てて塞ぐと、インレット24から外部空気が高速で流入し、旋回気流30が生じる。旋回気流30の最外周側には、気流噴射口としてのノズル孔62aが設けられ、圧縮空気流CFが旋回気流30に略平行に噴射される。圧縮空気流CFにより旋回気流30の速度が増加し、これに伴って洗浄媒体5の飛翔速度が増加して洗浄対象物20に衝突する衝撃及び循環飛翔回数が増加する。
【選択図】図1
Description
このようなマスク治具(ディップパレット、あるいはキャリアパレットと呼ばれる)は、繰り返し使用されるうちに、表面にフラックスが堆積して固着しマスクの精度を下げるために、定期的に洗浄する必要があった。
一般的には、このような洗浄は溶剤に浸漬して行うため、大量の溶剤を消費しており、コストアップを避けられず、作業者や環境への負荷も極めて大きい。
浸漬せずに装置内で溶剤を洗浄対象物に噴射する方式も知られているが、溶剤を大量に使用するという点に変わりはない。
これらの装置では、内部空間を有する筐体に吸引口を介して吸引手段を接続して筐体内を負圧化し、筐体の外周面の一部に設けられた通気路から外部空気を高速で流入させることにより筐体内で旋回気流を生じさせている。
この旋回気流で薄片状の洗浄媒体を筐体内で循環飛翔させるようになっている。
吸引手段を稼動させた状態で、筐体の外周面の一部に形成された、上記通気路よりも大きな断面積を有する開口部を洗浄対象物に当てて塞ぐことにより上記旋回気流が生じる。
開口部で洗浄媒体が洗浄対象物の表面に高速で衝突し、これが繰り返されることにより洗浄対象物の汚れが除去されるものである。
特許文献2には、粘弾性汚れ等の除去が極めて困難な汚れも除去可能とすることを目的として、吸引方式と圧縮方式とを併用した乾式クリーニング装置が提案されている。
この装置の特徴は、内部空間の吸引によって生じる旋回気流で飛翔する洗浄媒体に向けて、圧搾空気源からの圧縮空気流を噴射し、洗浄媒体の飛翔速度を向上させ、粘弾性汚れを削り取ることが可能な飛翔速度を得るというものである。
その理由を以下に説明する。
図11は、特許文献2の一つの実施例を模式的に示している。
図11において、符号100は筐体を、101は通気路としてのインレットを、102は旋回気流を、5は洗浄媒体を、103は開口部を、20は洗浄対象物を示している。
また、符号104は旋回気流の旋回軸を規定する流路制限部材を、105は図示しない圧搾空気源に接続された圧縮空気流噴射ノズルを示している。
換言すれば、旋回気流に乗って開口部103に向かう洗浄媒体5に直接圧縮空気流を噴射して洗浄媒体5の飛翔速度を高めるようになっている。
淀み気流107が生じると、洗浄媒体を再び洗浄対象物まで循環させることがスムーズに行えない。
すなわち、淀み気流107によって洗浄媒体の循環飛翔が阻害されやすい。
この例では、圧縮空気流噴射ノズル107はインレット101に設けられている。
この場合、圧縮空気流106と旋回気流102との速度差が大きいと、合流部で洗浄媒体が圧縮空気流106に弾かれて、洗浄媒体の速度が十分に加速できない。
すなわち、圧縮空気流106はインレットの合流側出口で急激に広がるため、この広がりで旋回気流に乗って飛翔する洗浄媒体が弾かれる。
これにより、洗浄対象物への衝突速度が阻害される。
まず、図8乃至図10に基づいて、洗浄動作原理上、本発明の基礎となるハンディタイプの乾式クリーニング装置の基本構成及び機能について説明する。
図8に基づいて、該ハンディタイプの乾式クリーニング装置2の構成の概要を説明する。図8(a)はA−A線での横断面図、(b)はB−B線での縦断面図である。
乾式クリーニング装置2は、内部に洗浄媒体5の飛翔空間を有する乾式クリーニング筐体(以下、単に「筐体」ともいう)4と、筐体4内を負圧化する吸引手段6とを備えている。
筐体4は、筐体本体部としての円筒形状の上部筐体4Aと、逆円錐形状の下部筐体4Bとから一体として構成されている。ここでの上部、下部は図面上の便宜的呼称であって、実機上の上下とは必ずしも関係はない。
吸引手段6は、吸引口8に一端を接続されたフレキシブルな吸引ホース10と、該吸引ホース10の他端に接続された吸引装置12とを有している。
吸引装置12としては、家庭用掃除機、真空モータや真空ポンプ、あるいは流体の圧送により間接的に低圧化ないし負圧化を生じさせる装置などを適宜用いることができる。なお、部材の上面、底面等の上下の位置関係は図面上の基準にすぎない。
上部筐体4Aの底面部における下部筐体4Bとの境界部分には、多孔手段としての多孔性の分離板14が設けられている。分離板14は、パンチングメタルのような穴が空いた板状の部材である。
分離板14は、吸引されたときの洗浄媒体5の下部筐体4B側への移動を阻止するものである。図8(a)では分離板14の表示を一部省略している。なお、洗浄媒体5は分かり易くするためにその大きさを誇張表示している。
材質も滑らかな面を備えていれば、樹脂や金属などを自由に選択して良い。
多孔手段は旋回気流の旋回軸と直交する面として配置されている。
これにより、多孔手段に沿う方向に気流が流れることにより、洗浄媒体5の滞留を防ぐ効果がある。
旋回空気流の減衰を抑えるために、筐体内面は段差、凹凸がなく平滑であることが望ましい。
筐体4の材質は特に限定されないが、異物の付着や洗浄媒体との摩擦による消耗を防ぐために、例えばアルミ二ウムやステンレスなどの金属製が好適であるが、樹脂製のものを用いることもできる。
流路制限部材16は旋回気流の流路断面積を絞って流速を向上させる目的で設けられている。流路制限部材16により上部筐体4A内には滑らかな壁面を有するリング状の旋回気流移動空間(洗浄媒体の飛翔空間)が形成されている。
リング状の旋回気流移動空間(内部空間)を、以下「旋回流路」ともいう。流路制限部材16は旋回気流の旋回軸を規定する部材でもある。
上部筐体4Aの形状によっては、流路制限部材16の中心軸と上部筐体4Aの中心軸を必ずしも共通にする必要はなく、リング状の空間が確保できていれば偏芯していても良い。
上部筐体4Aは直径に対して高さが極めて小さい円筒形状であり、その高さを形成する側面の一部に開口部18を設けている。
これにより、筐体4全体としては、図8(b)に示すように、開口部18以外の外周部分が洗浄対象物20から大きく逃げる(離れる)レイアウトとなり、洗浄対象物20に対する局所的当接、換言すればピンポイントクリーニングの自由度が高められている。
開口部18は、上部筐体4Aの側面を円筒軸に平行な平断面により切断した形状であり、円筒軸と直交する方向から見て矩形形状をなしている。
インレット24は分離板14に略平行に設定されており、その通気方向は、上部筐体4Aの半径方向に対して傾き、その通気路中心の延長線が開口部18に達するように位置している。
インレット24は、上部筐体4Aの高さ方向に延びる幅を有している。インレット24は上部筐体4Aの高さよりも径又は幅が小さいものを1つ配置してもよく、単体のインレットを高さ方向に複数配置する構成としてもよい。
閉空間が形成された時に生じる旋回空気流は、分離板14上に吸着した洗浄媒体を吹き払い、再飛翔させる効果を有する。
このような構成を備えることにより、開口部18を洗浄対象物に当てていない間は、空気流入口22が大気圧に近づくことによって、外部との差圧が低下し、その結果流入する気流が劇的に低減する。
一方、開口部18から流入する気流は多くなるため、洗浄媒体5が筐体4内から漏れ出ることを防ぐことができる。
また、開口部18が開放されている状態では、閉塞されている場合に比べて流入する気流の総量が2〜3倍になるため、とくに薄片状の洗浄媒体では多孔手段上に吸着されるため、再飛翔せず筐体の外に漏れることがない。
これを開口部開放時における「洗浄媒体吸着効果」という。
薄片状の洗浄媒体とは面積が1mm2以上200mm2以下の薄片である。
また、洗浄媒体の材質は、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタラート、アクリル、セルロース樹脂などの耐久性のある素材からなるフィルムであり、厚みは0.02mm以上1.0mm以下である。
但し、洗浄対象物によっては洗浄媒体の厚みやサイズや材質を変えることが効果的な場合もあり、これらの洗浄媒体を使用する場合も本発明の範囲に含まれるため、前記洗浄媒体条件にはとらわれないものとする。
洗浄媒体の材質に関しては、樹脂だけにとどまらず、紙、布などの薄片や、あるいは、雲母などの鉱物、セラミックやガラス、金属箔であっても、薄く軽量で飛翔しやすい形状にすることで使用することができる。
流路制限部材16の内部空間34は、旋回空気流が作用しない空間である。
なお、図9では、部材の厚み等を省略し、分かり易くするために静空間としての内部空間34をハッチングで表示している。
図9(b)は、開口部18を洗浄対象物20から離して開口部18を開放し吸気を行っている状態を、図9(a)は、開口部18を洗浄対象物20に当てて閉塞した状態を示している。
クリーニング動作に先立って、洗浄媒体5を筐体4内に供給する。筐体4内に供給された洗浄媒体5は、図9(b)下図に示すように、分離板14に吸い付けられて筐体4内に保持される。
筐体4内は吸気により負圧状態となっているので、筐体外部の空気がインレット24を通して筐体4内に流入するが、このときのインレット24内の流れは流速・流量ともに小さいので、筐体4内に発生する旋回気流30は洗浄媒体5を飛翔させる強さには至らない。
開口部18が塞がれると、開口部18からの吸気が止まるので、筐体4内の負圧は一気に増大し、インレット24を通じて吸い込まれる外部の空気量・流速ともに増大する。
吸い込まれる外部空気はインレット24内で整流され、インレット出口(空気流入口22)から筐体4内に高速空気流となって吹き出す。
吹き出した空気流は、分離板14上に保持されている洗浄媒体5を開口部18に対向する洗浄対象物20の表面に向けて飛翔させる。
このように筐体4内を円環状に流れた旋回気流30がインレット24の出口部に戻ると、インレット24から入り込む空気流が旋回気流30に合流しつつ加速する。このようにして筐体4内に安定した旋回気流30が形成される。
分離した汚れは、分離板14の穴を通って吸引手段6により筐体4の外部へ排出される。
筐体4内に形成される旋回気流30は、その旋回軸が、分離板14の表面に直交しており、旋回気流30は分離板14の表面に平行方向の気流となる。
このため、旋回気流30は分離板表面に吸い着けられた洗浄媒体5に、横方向から吹き付けて洗浄媒体5と分離板14の間に入り込み、分離板14に吸い付けられている洗浄媒体5を分離板14から引き剥がして再度飛翔させる効果が生じる。
旋回気流30は、一定の方向に気流が加速されるため高速の気流が生成しやすく、洗浄媒体5の高速飛翔運動も容易となる。
高速で旋回移動する洗浄媒体5は、分離板14に吸い付けられにくく、洗浄媒体5に付着した汚れが、遠心力により洗浄媒体5から分離され易い。
洗浄対象物は前述したフローはんだ槽工程で用いられるディップパレットであり、符号100で示す。
ディップパレット100には、マスク開口部101、102、103が開口しており、これらマスク開口部の穴周辺にフラックスFLが堆積・固化している。この堆積・固化したフラックスFLが除去すべき汚れである。
図10に示すように、下部筐体4Bの根元部(吸引口8部位)を手HDで握り、吸気状態で、筐体4の開口部18を被クリーニング部位に押し当てる。
開口部18が被クリーニング部位に押し当てられる以前は、筐体4内は吸気され、洗浄媒体5は分離板14に吸い付けられているので、開口部18は下方を向いているものの、筐体4内から洗浄媒体5が外部へ漏れることは無い。
勿論、開口部18が被クリーニング部位に押し当てられた以後は、筐体内が気密状態となり、洗浄媒体の漏れ出しはない。
旋回気流30は、分離板14に吸い付けられた洗浄媒体5を飛翔させ、ディップパレット100の被クリーニング部位に付着固化したフラックスFLに衝突させてフラックスFLを除去する。
クリーニング作業者は、上述の如く下部筐体4Bの根元を手HDに持ち、ディップパレット100に対して移動させて、被クリーニング部位を順次移動させ、付着・固化したフラックスFLを全て除去することができる。
被クリーニング部位に対して開口部を移動させる時に被クリーニング部位から開口部18が離されても、前述の洗浄媒体吸着効果により、洗浄媒体5が筐体内から漏れ出さない。
このため、洗浄媒体数が維持され、洗浄媒体量の減少によるクリーニング性能の低下は生じない。
このため、乾式クリーニング装置を長時間使用していると、筐体内に保持された洗浄媒体の量が減少する。
このような場合は、新しい洗浄媒体群を筐体4内に補給する。
なお、上記基礎技術と同一部分は適宜同一符号で示す。また、洗浄動作及び洗浄媒体の飛翔原理は上記基礎技術と同様であり、乾式クリーニング装置としての用い方も同様であるので、乾式クリーニング装置としての構成は省略する。
図2に示すように、本実施形態に係る乾式クリーニング筐体50は、旋回軸心方向に貫通穴を有する筐体本体52と、筐体本体52の穴の中心部に配置される円筒状の流路制限部材16とを有している。
また、乾式クリーニング筐体50は、筐体本体52の旋回軸心方向両側に固定される分離板14A、14Bと、各分離板14の外側を覆う外装カバー54A、54Bと、流路制限部材16の内側に二重筒構成で配置される円筒状の集塵ダクト56等を有している。
筐体本体52、分離板14A、14B、外装カバー54A、54Bには、旋回軸心方向に延びる図示しない長ボルトを挿通する穴があいており、該長ボルトで一体に組み付けられるようになっている。
集塵ダクト56の他端部56bは吸引口としてなる。吸引口56bは外装カバー54Bの中心穴54B−1を貫通し、上述した吸引手段6に筐体の内部空間を吸引可能に接続される。
集塵ダクト56の外周面には、吸気穴56cが複数形成されている。
筐体本体52は、第1本体部52Aと、第2本体部52Bとの分割構成となっており、インレット24と開口部18は第2本体部52Bに一体に形成されている。
かかる構成により、図示しないネジにより筐体本体52の上部が一体に締結される。
第2本体部52Bの下面52cにはネジ孔52dが形成されており、下面52cが第1本体部52Aの下に潜り込んで重なる。
かかる構成により、図示しないネジにより筐体本体52の下部が一体に締結される。
吸引手段6の稼働中は、インレット24より流入した気流が旋回流路(内部空間)から分離板14を介して内部空間の外に流れ、流路制限部材の内側と集塵ダクト内の空間を通じて、吸引口56bから吸引手段へ排出されるように気流が生じている。
筐体内に洗浄媒体が存在する状態で、洗浄対象物から開口部18を離すと、洗浄媒体は分離板14に吸着し、筐体内に保持される。
アタッチメント60は、図4及び図5に示すように、第1本体部52Aの一部をなす挿入部62と、図示しない圧搾空気源(エアーコンプレッサ)に接続するための接続部64とから構成されている。
接続部64にはフレキシブルなエアホース65(図1参照)のプラグを接続するためのネジ穴64aが形成されている。
挿入部62には、旋回軸心方向に間隔をおいて気流噴射口としての複数のノズル孔62aが形成されている。
各ノズル孔62aとネジ穴64aは空気孔66で連通している。
接続部64は挿入部62により外方に突出する大きさを有し、突出する接続部64の下端面64bはアタッチメント60を装着するときのストッパとして機能する。
ストッパにより筐体にアタッチメント60を差し込むだけで所定位置に固定することができる。
また、気流噴射口を有しないアタッチメントを用意することにより、圧縮空気の使用の有無を容易に切り替えることもできる。
気流噴射口を有しないアタッチメントは、内部空間を、気流噴射口が設けられない場合の構成と同等の機能を持つようにでき、気流噴射口により気流を噴射しない構成を任意に選択できる旋回気流専用化部材としてなる。
すなわち、図1に示すように、ノズル孔62aの向きは旋回気流30の速度を増加させるように、旋回気流に対して略平行に配置されている。
なお、図1等では、集塵ダクト56は省略している。また、ノズル孔62aのみを分かりやすく模式的に表示している。
本実施形態では、ノズル孔62aの位置は旋回気流の最外周部の速度を増加させるように配置されている。
したがって、旋回気流の最外周部に沿って旋回気流よりも大きい速度で噴射される圧縮空気流CFは、旋回気流30の流れを乱すことなく旋回気流30を加速させる。
このことは、旋回気流30の最外周部を飛翔する洗浄媒体の飛翔速度を増加させることに寄与することを意味する。
これによって洗浄媒体の洗浄対象物20に向かう飛翔速度が増加し、強い衝撃で洗浄対象物に衝突するので、洗浄機能が向上する。
本発明はこれに限定される趣旨ではなく、旋回気流30の流れを妨げずに洗浄媒体の飛翔速度を増加させることができれば、旋回気流上のどの位置であってもよい。
アタッチメント60とコンプレッサとの間には、手動で開閉されるバルブ67が設けられている。
気流噴射口は、小径の穴が横並びに整列したもの、またはスリット状の構成となっており、流路断面積が同じであれば使用する洗浄媒体の形状などにより選択する。
流路断面積は、コンプレッサの出力と筐体の奥行きに合せて決定する。
まず、吸引手段6を稼働させて洗浄媒体を筐体内に取り込み、洗浄対象物20で開口部18を塞いでインレット24からの取り込み気流(第1の気流)により旋回気流を発生させる点は従来と同様である。
その後さらに、手動バルブを開き、気流噴射口からの第2の気流(圧縮空気流)を旋回気流の最外周部に向けて噴射する。
第2の気流の供給流量は少なくとも吸引手段6の吸引量以下で、なおかつ流速が第1の気流よりも大きいことが望ましい。
洗浄媒体は洗浄対象物に衝突した後、旋回気流によって筐体内を循環し、再加速されて繰り返し洗浄対象物に衝突する。
上記のように、この構成では旋回気流自体が速まるため、洗浄媒体の循環速度が向上する。
このため、衝突速度が上がるとともに単位時間あたりの洗浄媒体衝突数も向上するため、洗浄能力が大幅に向上する。
洗浄が終了したら、まずバルブを閉じて圧縮空気の供給を停止し、しかる後に吸引手段6を稼働させたまま、開口部18を洗浄対象物から引き離す。
洗浄媒体の飛翔・吸着効果により、洗浄媒体は漏れたり落下したりせずに筐体内の分離板上に保持される。
圧縮空気を用いた気流は、オリフィスを絞ることで早い流速を得ることはできるが、流量を大きくすることは限界があり、洗浄媒体を飛翔させる十分強い旋回気流を生成させるには不向きである。
また、旋回気流には内外周で速度勾配があり、内側へ行くほど旋回気流速度が低下し、外側へ行くほど旋回気流速度が向上する。
したがって、本装置では、取り込み気流から生まれる旋回気流によって筐体内を所定の旋回気流速度に保ち、圧縮空気の噴射により旋回気流の最外周のみを加速するものである。
このため、圧縮空気による気流の噴射速度は、旋回気流の最外周の速度以上であるものとする。
また、旋回流路上に洗浄媒体の旋回を阻害しないように気流噴射口を設けてもよい。
例えば旋回流路上に流線形状のノズルを分離板で支持して配置してもよい。
このため、薄片状の洗浄媒体が開口部18の境目から漏れやすくなるという問題点がある。
しかしながら、洗浄媒体の漏れやすさを問題にしなければ、圧縮空気による気流のみで旋回気流を発生させても十分に洗浄機能が得られることが本発明者らの実験で確認されている。
そのため、圧縮空気の流量としては、筐体内から吸引手段6によって吸引できる吸気量以下である必要がある。
吸気量以上の空気を筐体内に導入すると、吸引手段6が空気を吸引しきれずに筐体内が大気圧もしくは陽圧になる。
筐体内が陽圧である場合は、開口部18と洗浄対象物20とを密着させることが困難であったり、インレット24や、開口部18と洗浄対象物との隙間から洗浄媒体が漏れやすくなる。
少ない流量の気流ではすぐにエネルギーが減衰してしまい、噴射口径に比べて圧倒的に大きい広い流路面積をもつ旋回流路では、強い旋回気流を生むことができず、開口部18の幅を大きくできずに大面積の洗浄が不可能である。
しかし、負圧による吸引力によって、インレットから外気を取り込み、流速が相対的に遅くても流量が大きい旋回気流の最外周のみを圧縮空気で加速させることにより、比較的広域で強い旋回気流を生じさせることができる
これにより開口部18の開口幅を大きくでき、大面積の洗浄が可能となる。
乾式クリーニング筐体に洗浄媒体ダミーとなる球体を1個充填し、開口部に感圧紙を張った洗浄対象物のダミーで塞ぎ、一定時間集塵機(吸引手段)を稼動した状態で、洗浄媒体ダミーの衝突回数の変化を求めた。
これにより洗浄媒体の局所的な速度ではなく、筐体内の平均的な循環速度の観察ができる。
吸引手段による吸引流量:1000l/min
圧縮空気流量(第2の気流の流量):300l/min
感圧紙の大きさ:25×20mm
洗浄媒体ダミー:直径2mmのセラミック球
図6(a)に示すように、従来の乾式クリーニング筐体で、吸引のみによる洗浄媒体ダミーの衝突回数は20回であった。
図6(b)に示すように、従来の乾式クリーニング筐体で、吸引に加えて、インレットから圧縮空気を噴出した場合(図12の構成に相当)では、洗浄媒体ダミーの衝突回数は26回であった。
吸引のみよりは速度向上、すなわち循環回転数の向上が見られたが、圧縮空気による流量増加分程度の向上にとどまっている。
この結果は、流路制限部材から開口部へ向けて圧縮空気を噴出した場合(図6(c)、図11の構成に相当)とほぼ同等の数値であった。
図6(d)に示すように、流路制限部材から旋回気流方向の最外周部へ向けて圧縮空気を噴出した場合もほぼ同等の数値(35回)であった。
樹脂製の電子複写機外装板に残留した粘着汚れを除去するのに、従来方式では約30秒かかった。
図6(e)の条件で洗浄媒体をクリーニング筐体内で飛翔させたところ、約10秒に短縮することが可能になり、効果が確認された。
また、手動のバルブ67が開状態と閉状態の2段階であるものとしたが、バルブに流量調節手段を備え、多段階で圧縮空気の噴射量を制御し、洗浄性能もしくは洗浄対象物母材へのダメージを調整できるようにしてもよい。
手動バルブによる流量調整は、噴出流速の調整を意味する。
なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する。
本実施形態では、インレット24を開閉する通気路開閉手段70を有していることを特徴とする。
上記の負圧の条件を満たしていても洗浄開始直後、すなわち吸引手段6の稼動直後は筐体内の負圧は十分ではない。
この状態で手動のバルブ67を開き圧縮空気を噴射すると、瞬間的に筐体内が陽圧となってしまい、インレットから洗浄媒体が漏れる場合が生じる。
また、吸引手段6を稼動せずにバルブ67を開き圧縮空気を噴射する人為的なミスもある。上述したようにこの場合にも洗浄媒体が筐体外部に飛散しやすい。
これらの問題を回避するため、本実施形態では、内部空間が旋回気流を生じる程度に吸引されたときに自動的にインレット24を開放する通気路開閉手段70を設けている。
また、通気路開閉手段70は、蓋部材72を常時閉じるように付勢する図示しない付勢部材(例えばトーションバネ)を有している。
トーションバネのバネ力は、筐体内が所定の負圧以下になった場合にのみ蓋部材72が開くように設定されている。
すなわち、図7(b)に示すように、蓋部材72が閉じているのでインレット24からの洗浄媒体の漏れは阻止される。
18 開口部
20 洗浄対象物
24 通気路としてのインレット
30 旋回気流
50 乾式クリーニング筐体
56b 吸引口
60 ユニットとしてのアタッチメント
62a 気流噴射口としてのノズル孔
70 通気路開閉手段
72 蓋部材
74 軸部材
Claims (9)
- 洗浄媒体を気流により飛翔させ、前記洗浄媒体を洗浄対象物に当てて洗浄対象物の洗浄を行う乾式クリーニング装置に用いられる乾式クリーニング筐体であって、
吸引手段に接続され、前記洗浄媒体を飛翔させる内部空間と、
前記洗浄対象物に当接して前記洗浄媒体を前記洗浄対象物に衝突させる開口部と、
外部からの空気を前記内部空間へ通す通気路と、
を有し、
前記内部空間を吸引することにより、前記通気路から前記内部空間へ導入される気流で前記内部空間に洗浄媒体を飛翔させる旋回気流を生じさせる乾式クリーニング筐体において、
前記旋回気流の速度を増加させる気流を噴射する気流噴射口を備えていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1に記載の乾式クリーニング筐体において、
前記気流噴射口が、前記旋回気流の外周側で該旋回気流に沿って気流を噴射するように設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項2に記載の乾式クリーニング筐体において、
前記気流噴射口が、前記旋回気流の旋回方向における前記通気路の上流側であって、前記通気路からの気流と前記旋回気流とが合流する部位の洗浄媒体を加速できる位置に設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体において、
前記気流噴射口が一体に形成されていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体において、
前記気流噴射口と、前記旋回気流の流路を形成する筐体の一部とがユニットとして一体に形成され、筐体に対して着脱自在であることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体において、
前記通気路を開閉する通気路開閉手段を有し、該通気路開閉手段は、前記内部空間が前記旋回気流を生じる程度に吸引されたときに前記通気路を開放するように設けられていることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項6に記載の乾式クリーニング筐体において、
前記通気路開閉手段が、蓋部材と、該蓋部材を回動自在に支持する軸部材と、前記蓋部材を前記通気路を塞ぐように付勢する付勢部材とを有していることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1〜7のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体において、
前記内部空間を、前記気流噴射口が設けられない場合の構成と同等の機能を持つようにでき、前記気流噴射口により気流を噴射しない構成を任意に選択できる旋回気流専用化部材を有していることを特徴とする乾式クリーニング筐体。 - 請求項1〜8のいずれか1つに記載の乾式クリーニング筐体と、前記吸引手段と、前記洗浄媒体とから構成されることを特徴とする乾式クリーニング装置。
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