JP5919227B2 - セルロースアシレートフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板、液晶表示装置、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板、液晶表示装置、及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セルロースアシレートフィルム、偏光板保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。テレビ等の高品位の画像が要求される市場に加えて、携帯電話やタブレット型PC等いわゆるモバイル用途の市場が拡大するにつれて、薄型化のニーズが一段と高まっている。
液晶表示装置の基本的な構成は液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。前記偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通す役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板は、一般にヨウ素や染料を吸着配向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子と、その偏光子の表裏両側に透明な保護フィルムを貼り合わせた構成となっている。偏光板保護フィルムとしては、セルロースアセテートに代表されるセルロースアシレート系の偏光板保護フィルムが、透明性が高く、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの密着性を容易に確保できることから広く使用されてきた。
液晶表示装置の薄型化にともない、偏光板、特に偏光板保護フィルムの薄膜化の要求が高まっている。特許文献1には分子内に複数の環状構造を有する化合物を添加したセルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いることが記載されている。
特開2007−204754号公報
偏光板保護フィルムを薄膜化する上での大きな問題は、高温高湿下で偏光子の性能が劣化しやすくなることである。本発明者らの検討では、特許文献1のセルロースアシレートフィルムでは上記問題に対して不十分であることが明らかとなった。
本発明の目的は、薄膜であっても、透明性が高く、高温高湿下で偏光性能の劣化を抑制できる偏光板保護フィルムとして利用可能なセルロースアシレートフィルムを提供することにある。また、本発明の別の目的は、該セルロースアシレートフィルムからなる偏光板保護フィルム、該偏光板保護フィルムと偏光子とを含む偏光板、及び該偏光板を含む液晶表示装置を提供することにある。
本発明者らが上記課題を解決することを目的として鋭意研究したところ、偏光子中のヨウ素が偏光板保護フィルム中に拡散することが偏光性能劣化の大きな原因のひとつであることを突き止めた。さらに、偏光子中のヨウ素の偏光板保護フィルムへの移動は、1)ヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数の最大値吸光係数が3000以下の化合物(例えば芳香環を多数有し、直鎖アルキル鎖を有しない低分子化合物)を偏光板保護フィルムに添加すること、及び2)偏光板保護フィルムから酸成分を偏光子中に移動させ偏光子のpHを酸性側に調節し、ヨウ素分子とヨウ化イオンからヨウ素錯体(I 、I )が生成する平衡をヨウ素錯体側に寄せること、により大幅に低減できることを見出した。
すなわち、上記課題は、以下の構成によって解決される。
<1>
セルロースアシレート、下記ヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数の最大値吸光係数が3000以下の化合物(a)、及び酸解離定数が3以上10以下の有機酸を少なくとも含有し、
膜厚が5μm以上60μm以下であり、
前記酸解離定数が3以上10以下の有機酸が、下記一般式(2−a)で表される化合物である、セルロースアシレートフィルム。
<ヨウ素取り込み低減指数>
ヨウ化カリウム5.4mg/Lとヨウ素(I )0.36mg/Lを含む水溶液(b)にフィルム10.8cm を60℃で30分浸漬後のセルロースアシレートフィルムの波長360nmの吸光度を測定し、以下の式(A)によりヨウ素取り込み低減指数を算出する。
式(A):
ヨウ素取り込み低減指数={(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}/{(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}
Figure 0005919227

上記一般式(2−a)中、L 〜L は、各々独立に、単結合又はアルキレン基を表す。但し、上記L 及びL 、又は上記L 及びL は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。Ar 〜Ar は、各々独立に、炭素数6〜20のアリール基を表す。
<2>
前記化合物(a)が、少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が85以上250以下である化合物である<1>に記載のセルロースアシレートフィルム。
<3>
前記化合物(a)が、下記一般式(1)で表される化合物である、<1>又は<2>に記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1)
Figure 0005919227

一般式(1)において、Xはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、アリールアミノカルボニル基、又はカルボキシル基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
11 、R 12 、R 13 、R 14 、R 15 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、R 25 、R 31 、R 32 、R 33 、R 34 及びR 35 は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R 11 とR 21 、R 15 とR 35 、又はR 25 とR 31 は単結合又は2価の連結基により結合してもよい。
<4>
前記化合物(a)が単糖誘導体である、<1>又は<2>に記載のセルロースアシレートフィルム。
<5>
前記セルロースアシレートの全アシル置換度が2.88以上2.97以下である<1>〜<4>のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
<6>
前記化合物(a)の含有量が前記セルロースアシレート100質量部に対して1質量部以上20質量部以下である、<1>〜<5>のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
<7>
<1>〜<6>のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルムである偏光板保護フィルム。
<8>
<1>〜<6>のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム又は<7>に記載の偏光板保護フィルムが偏光子に貼合されてなる偏光板。
<9>
<8>に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
<10>
膜厚が5μm以上60μm以下である光学フィルムの製造方法であって、下記(a)、(b)及び(c)の工程を含む光学フィルムの製造方法であって、
工程(b)における酸解離定数が3以上10以下の有機酸が、下記一般式(2−a)で表される化合物である、光学フィルムの製造方法。
(a)セルロースエステルを含むポリマーと溶媒とを混合する工程
(b)前記(a)で得られた混合物にヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数が3000以下の化合物、及び酸解離定数が3以上10以下の有機酸を混合する工程
(c)前記(b)で得られたセルロースエステル溶媒を流延用支持体上に流延する工程
Figure 0005919227

上記一般式(2−a)中、L 〜L は、各々独立に、単結合又はアルキレン基を表す。但し、上記L 及びL 、又は上記L 及びL は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。Ar 〜Ar は、各々独立に、炭素数6〜20のアリール基を表す。
<11>
セルロースエステルを含むA層と前記セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含むB層を含む剥離性積層フィルムの製造方法であって、
少なくとも前記セルロースエステル溶媒を含む、A層形成用のドープAと、少なくとも前記セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂と溶媒を含む、B層形成用のドープBとを流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層後、前記ドープAと前記ドープBの積層体を流延用支持体より剥離し、乾燥させることを特徴とする<10>に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明は上記<1>〜<11>に関するものであるが、参考のためその他の事項(下記[1]〜[13]など)についても記載した。
[1]
セルロースアシレート、下記ヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数の最大値吸光係数が3000以下の化合物(a)、及び酸解離定数が3以上10以下の有機酸を少なくとも含有し、
膜厚が5μm以上60μm以下である、セルロースアシレートフィルム。
<ヨウ素取り込み低減指数>
ヨウ化カリウム5.4mg/Lとヨウ素(I)0.36mg/Lを含む水溶液(b)にフィルム10.8cmを60℃で30分浸漬後のセルロースアシレートフィルムの波長360nmの吸光度を測定し、以下の式(A)によりヨウ素取り込み低減指数を算出する。
式(A):
ヨウ素取り込み低減指数={(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}/{(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}
[2]
上記化合物(a)が、少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下である化合物である[1]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[3]
上記化合物(a)が、下記一般式(1)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1)
Figure 0005919227
一般式(1)において、Xはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、アリールアミノカルボニル基、又はカルボキシル基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34及びR35は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R11とR21、R15とR35、又はR25とR31は単結合又は2価の連結基により結合してもよい。
[4]
上記化合物(a)が単糖誘導体である、[1]又は[2]に記載のセルロースアシレートフィルム。
[5]
上記酸解離定数が3以上10以下の有機酸が、下記一般式(2)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
Figure 0005919227
一般式(2)において、R26はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R27及びR28はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、R29は水素原子を表す。R26、R27、及びR28はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。
[6]
上記酸解離定数が3以上10以下の有機酸が、下記一般式(3)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(3)
Figure 0005919227
一般式(3)において、s及びtは、各々独立して1、2又は3であり、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。
[7]
上記セルロースアシレートの全アシル置換度が2.88以上2.97以下である[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[8]
上記化合物(a)の含有量が上記セルロースアシレート100質量部に対して1質量部以上20質量部以下である、[1]〜[7]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
[9]
[1]〜[8]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムである偏光板保護フィルム。
[10]
[1]〜[8]のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム又は[9]に記載の偏光板保護フィルムが偏光子に貼合されてなる偏光板。
[11]
[10]に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
[12]
膜厚が5μm以上60μm以下である光学フィルムの製造方法であって、下記(a)、(b)及び(c)の工程を含む光学フィルムの製造方法。
(a)セルロースエステルを含むポリマーと溶媒とを混合する工程
(b)前記(a)で得られた混合物にヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数が3000以下の化合物
、及び酸解離定数が3以上10以下の有機酸繰り返し単位を有する化合物を混合する工程
(c)前記(b)で得られたセルロースエステル溶媒を流延用支持体上に流延する工程
[13]
セルロースエステルを含むA層と前記セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含むB層を含む剥離性積層フィルムの製造方法であって、
少なくとも前記セルロースエステル溶媒を含む、A層形成用のドープAと、少なくとも前記セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂と溶媒を含む、B層形成用のドープBとを流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層後、前記ドープAと前記ドープBの積層体を流延用支持体より剥離し、乾燥させることを特徴とする[12]に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明によれば、薄膜であっても、高温高湿下で偏光性能の劣化を抑制できる偏光板保護フィルムとして利用可能なセルロースアシレートフィルムを提供することができる。また、上記性能に加え、耐光性に優れ、かつ液晶表示装置に組み込んだ際に表示ムラを抑制できるセルロースアシレートフィルムを提供することができる。更に、該セルロースアシレートフィルムからなる偏光板保護フィルム、該偏光板保護フィルムと偏光子とを含む偏光板、及び該偏光板を含む液晶表示装置を提供することができる。
本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
[セルロースアシレートフィルム]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレート、下記ヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数が3000以下の化合物(a)、及び酸解離定数が3以上10以下の有機酸を含有し、
膜厚が5μm以上60μm以下である、セルロースアシレートフィルムである。
<ヨウ素取り込み低減指数>
ヨウ化カリウム5.4mg/Lとヨウ素(I)0.36mg/Lを含む水溶液にフィルム10.8cmを60℃で30分浸漬後のセルロースアシレートフィルムの波長360nmの吸光度を測定し、以下の式(A)によりヨウ素取り込み低減指数を算出する。
式(A):
ヨウ素取り込み低減指数={(セルロースアシレートに添加剤10質量部を添加したフィルムの浸漬後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレートに添加剤10質量部を添加したフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}/{(セルロースアシレート単独のフィルムの浸漬後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレート単独のフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}
以下に本発明のセルロースアシレートフィルムについて詳しく説明する。
(セルロースアシレート)
まず、本発明に用いることができるセルロースアシレートについて、詳しく説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。本発明において、セルロースの置換度はセルロースを重水素置換されたジメチルスルフォキシド等の溶剤に溶解して13C−NMRスペクトルを測定し、アシル基中のカルボニル炭素のピーク強度比から求めることにより算出することができる。セルロースアシレートの残存水酸基をセルロースアシレート自身が有するアシル基とは異なる他のアシル基に置換したのち、13C−NMR測定により求めることができる。測定方法の詳細については、手塚他(Carbohydrate.Res.,273(1995)83−91)に記載がある。
本発明のセルロースアシレートの全アシル置換度は2.88〜2.97であることが好ましく、2.90〜2.96であることがより好ましく、2.92〜2.95であることが特に好ましい。全アシル置換度を上記範囲とすることにより、溶剤に対する溶解性を維持しつつ、製膜後のフィルムがヨウ素を取り込みにくいセルロースアシレートが得られる。
本発明に用いることができるセルロースアシレートのアシル基としては、特に限定されないが、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、炭素数2〜10のアシル基がより好ましく、炭素数2〜8のアシル基が更に好ましい。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が特に好ましく、アセチル基が最も好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量(Mn)を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜200000の数平均分子量を有することが最も好ましい。また、本発明で用いられるセルロースアシレートは、100000〜500000の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましく、150000〜450000の重量平均分子量を有することがさらに好ましく、170000〜400000の重量平均分子量を有することが最も好ましい。
本発明のセルロースアシレートの数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は1.8以上4.5以下が好ましく、2.0以上4.0以下が好ましく、2.0以上3.5以下が最も好ましい。Mw/Mnが4.5以下であれば低分子成分の比率が多くならず、フィルムの弾性率が上がりやすく好ましい。一方、Mw/Mnが1.8以上であれば添加剤がセルロースアシレートと相溶しやすくなり、ヘイズが高くなりにくく好ましい。
本発明のセルロースアシレートの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
セルロースアシレートの平均分子量及び分子量分布の測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:23℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI (RI−71S)Shodex
ポンプ: DU−H7000 SYSTEM−21H(Shodex)
流量:1.0ml/min
注入量:300μl
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明で用いられるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。前記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でアシル化してセルロースエステルを合成する。
前記方法においては、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖(β)1,4−グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフィルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
(ヨウ素取り込み低減剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、下記ヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数の最大値吸光係数が3000以下の化合物(a)を含有する。該化合物(a)は、セルロースアシレートへのヨウ素の取り込みを抑制する化合物(以下、「ヨウ素取り込み低減剤」とも称する)である。
セルロースアシレートフィルムへのヨウ素の取り込みは以下の方法により評価することができる。
ヨウ化カリウム5.4mg/Lとヨウ素(I)0.36mg/Lを含む水溶液(b)にフィルム10.8cmを60℃で30分浸漬後、室温で24時間風乾した後、セルロースアシレートフィルムの波長360nmの吸光度を測定し、以下の式(A)によりヨウ素取り込み低減指数を算出する。
式(A):
ヨウ素取り込み低減指数={(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}/{(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}
本発明のヨウ素取り込み低減剤のヨウ素取り込み低減指数は、偏光子中のヨウ素イオン、及びヨウ素分子の少なくとも一方がセルロースアシレートに移動し、偏光子中のヨウ素イオン(ヨウ素錯体)濃度が低下することによる偏光性能の劣化を抑制する観点から、0.28以下であり、0.26以下が好ましく、0.24以下がより好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムに添加するヨウ素取り込み低減剤としては、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比率が85以上250以下の化合物が好ましい。これはヨウ素取り込み低減剤中の水素結合性水素供与性基がセルロースアシレートのカルボニル基と水素結合性基を形成し、かつヨウ素取り込み低減剤中の剛直な芳香環がセルロースアシレート分子鎖の運動を抑制することにより、セルロースアシレート中へのヨウ素の浸入を抑制するものであると考えられ、従来知られている添加剤による透湿度の低減等の効果とは一義的には対応しないものである。
水素結合性水素供与性基の例は、例えば、Jeffrey,George A.著、Oxford UP刊のIntroduction to Hydrogen Bonding等の成書に記載されている。
本発明におけるヨウ素取り込み低減剤中の水素結合性水素供与性基としては、セルロースアシレート中のカルボニル基との相互作用の観点から、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、又はカルボキシル基が好ましく、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ基、又はヒドロキシ基がより好ましく、アミノ基、又はヒドロキシ基が更に好ましい。これらの水素結合性水素供与性基は置換基を有していてもよい。
本発明のヨウ素取り込み低減剤中の分子量/芳香環数の比は85以上250以下であることが好ましく、より好ましくは80以上180以下であり、更に好ましくは80以上160以下である。
分子量/芳香環数の比を300以下にすることにより、高温高湿下における、偏光子からセルロースアシレートフィルムへのヨウ素の移動を効果的に抑制することができる。
本発明のヨウ素取り込み低減剤の波長300nm〜700nmにおけるモル吸光係数は3000以下であり、好ましくは2000以下である。波長300nm〜700nmにおけるモル吸光係数は3000以下することにより、長時間光があたっても変色しにくいフィルムを得ることができる。
本発明において規定されるモル吸光係数の測定方法に関しては、例えば日本化学会編「第4版実験化学講座 7 分光II」(丸善、1992年)180〜186ページなどに記載されている。具体的には、適当な溶媒に試料を溶解し、石英製またはガラス製のセルを用いて、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計によって測定される。用いる溶媒は、試料の溶解性と合わせて、測定波長領域に吸収を持たないこと等が要求される。上記条件を満たす溶媒であれば、任意のものを選択することができる。本発明においては、メタノールを溶媒に用いて測定を行うこととする。
(分子量)
前記ヨウ素取り込み低減剤の分子量は200〜1000であることが好ましく、250〜800であることがより好ましく、280〜600であることが特に好ましい。分子量が上述の範囲の下限値以上であるとセルロースアシレートフィルムの製膜時のヨウ素取り込み低減剤の揮散による消失を抑制でき、分子量が上述の範囲の上限値以下であるとセルロースアシレートとヨウ素取り込み低減剤の相溶性が良好で低ヘイズのセルロースアシレートフィルムが得られるため、好ましい。
ヨウ素取り込み低減剤としては、下記一般式(1)で表される化合物を好ましく用いることができる。
一般式(1)
Figure 0005919227
一般式(1)において、Xはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、アリールアミノカルボニル基、又はカルボキシル基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34及びR35は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R11とR21、R15とR35、又はR25とR31は単結合又は2価の連結基により結合してもよい。
Xは、好ましくはアミノ基、又はヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。
11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34ないしR35は水素原子または置換基を表し、置換基としては以下の置換基Tが適用できる。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。中でも、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換基Tで置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(1)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 0005919227
Figure 0005919227
一般式(1)で表される化合物は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。
(単糖誘導体)
本発明におけるヨウ素取り込み低減剤としては、単糖誘導体(以下、「単糖誘導体系ヨウ素取り込み低減剤」ともいう)も好ましく用いることができる。
前記単糖誘導体系ヨウ素取り込み低減剤を構成する単糖は、好ましくは分子中の置換可能な基(例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基など)が置換されている。置換されて形成される構造の例としては、アルキル基、アリール基、アシル基などを挙げることができる。また、水酸基をアルキル基によって置換されて形成されるエーテル構造、水酸基をアシル基によって置換されて形成されるエステル構造、アミノ基によって置換されて形成されるアミド構造やイミド構造などを挙げることができる。
前記単糖の例としては、例えば、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、グルコース、フルクトース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、キシリトール、ソルビトールなどを挙げることができる。
好ましくは、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、キシリトール、ソルビトールであり、さらに好ましくは、アラビノース、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、であり、特に好ましくは、キシロース、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、マルトース、キシリトール、ソルビトールである。
また、前記単糖誘導体系ヨウ素取り込み低減剤の置換基の例としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4、特に好ましくは炭素数1〜2のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−シアノエチル基、ベンジル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18、特に好ましくは6〜12のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアシル基、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ベンゾイル基、トルイル基、フタリル基、ナフタル基など)を挙げることができる。また、アミノ基によって置換されて形成される好ましい構造として、アミド構造(好ましくは炭素数1〜22、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8のアミド、例えばホルムアミド、アセトアミドなど)、イミド構造(好ましくは炭素数4〜22、より好ましくは炭素数4〜12、特に好ましくは炭素数4〜8のイミド、例えば、スクシイミド、フタルイミドなど)を挙げることができる。
これらの中で、さらに好ましいものはアルキル基、アリール基またはアシル基であり、特に好ましくはアシル基である。
前記単糖誘導体系ヨウ素取り込み低減剤はピラノース構造あるいはフラノース構造を有することが好ましい。
本発明に用いられる単糖誘導体としては以下に示す化合物が特に好ましい。ただし、本発明で用いることができる単糖誘導体は、これらに限定されるものではない。なお、以下の構造式中、Rはそれぞれ独立に任意の置換基を表し、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。以下の構造において、置換基1、2はそれぞれ任意のRを表す。また、置換度は、Rが該置換基で表される数を表す。「なし」はRが水素原子であることを表す。
Figure 0005919227
(入手方法)
前記単糖誘導体は市販の単糖に対して既知のエステル誘導体化法(例えば、特開平8−245678号公報に記載の方法)を行うことにより合成可能である。
(ヨウ素取り込み低減剤の含有量)
前記ヨウ素取り込み低減剤は、セルロースアシレート100質量部に対して1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。1質量部以上であれば、偏光子耐久性改良効果が得られやすく、また20質量部以下であれば、セルロースアシレートフィルムを製膜した場合にブリードアウトや染み出しも発生しにくい。前記ヨウ素取り込み低減剤の含有量はセルロースアシレート100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
<有機酸>
本発明のセルロースアシレートフィルムは、25℃におけるTHF/水=6/4の体積比である混合溶媒中における酸解離定数(pK)が3以上10以下の有機酸を少なくとも1種含有する。以下に本発明の有機酸について説明する。酸解離定数(pK)が3以上10以下の有機酸をセルロースアシレートフィルムに添加することにより、偏光子中のpHを調節することができ、偏光子中のヨウ素錯体を安定化することが可能となる。
(酸解離定数)
本発明のフィルムに含まれる有機酸は、25℃におけるTHF/水=6/4の体積比である混合溶媒中における酸解離定数が3以上10以下の有機酸である。前記有機酸のTHF/水=6/4の体積比である混合溶媒中における酸解離定数は3〜8であることが好ましく、3〜7であることがより好ましく、3〜5であることが特に好ましい。
本発明における前記酸解離定数の測定方法としては、丸善(株)刊 実験化学講座第2版の215ページ〜217ページに記載のアルカリ適定法を採用した。
(分子量)
本発明のフィルムに含まれる有機酸の分子量は、200〜600であることが好ましく、250〜550であることがより好ましく、280〜500であることが特に好ましい。分子量が上述の範囲の下限値以上であると高温低湿下における偏光子耐久性が改善され、分子量が上述の範囲の上限値以下であると高温高湿下における偏光子耐久性が改良され、好ましい。
(構造)
本発明のフィルムに含まれる有機酸は、芳香環構造を含むことが好ましく、炭素数6〜12のアリール基を含むことが好ましく、フェニル基を含むことが特に好ましい。前記有機酸の芳香環構造は、その他の環と縮合環を形成していてもよい。前記有機酸の芳香環構造は、置換基を有していてもよく、該置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアシル基であることが好ましく、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアシル基であることがより好ましく、塩素原子またはメチル基アリール基、アルコキシ基又はアシル基であることが特に好ましい。
<一般式(2)で表される化合物>
本発明の有機酸として、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005919227
一般式(2)において、R26はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を表し、R27及びR28はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、R29は水素原子を表す。R26、R27及びR28はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい。
前記R26は炭素数1〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数6〜20のアリール基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜20のアルケニル基又は炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、炭素数が1〜12のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基であることが更に好ましく、炭素数が1〜8のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましく、炭素数が1〜6であるアルキル基(シクロアルキル基も含む)、又は炭素数6〜12のアリール基であることが最も好ましい。
なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基又はナフチル基であることが更に好ましく、メチル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であることが最も好ましい。
前記R27およびR28はそれぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜20のアリール基又は炭素数6〜20のヘテロアリール基であることが好ましく、炭素数1〜12のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、炭素数が1〜12のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜10のアルケニル基又は炭素数6〜18のアリール基であることが更に好ましく、炭素数が1〜8のアルキル基(シクロアルキル基も含む)、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数6〜12のアリール基であることが特に好ましく、炭素数が1〜6であるアルキル基(シクロアルキル基も含む)、又は炭素数6〜12のアリール基であることが最も好ましい。
なかでも、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基またはフェニル基、ナフチル基であることが最も好ましく、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基又はフェニル基であることが特に好ましい。
前記R26が有していてもよい置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基であることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、塩素原子、メチル基、又はフェニル基であることが特に好ましい。
前記R27およびR28が有していてもよい置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、炭素数6〜12のアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物として、下記一般式(2−a)で表される化合物を用いることができる。一般式(2−a)で表される化合物は製膜時の揮散抑制の観点で好ましい。
Figure 0005919227
上記一般式(2−a)中、L〜Lは、各々独立に、単結合又はアルキレン基を表す。上記L〜Lは単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基であることがより好ましく、単結合、メチレン基又はエチレン基であることが更に好ましく、単結合又はメチレン基であることが特に好ましい。前記2価の連結基は置換基を有していてもよく、当該置換基は、後述するAr、Ar、及びArが有しうる置換基と同義である。
上記一般式(2−a)中、Ar〜Arは、各々独立に、炭素数6〜20のアリール基を表し、好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、フェニル基が更に好ましい。Ar〜Arは置換基を有してもよく、当該置換基は、後述するAr、Ar、及びArが有しうる置換基と同義である。Ar〜Arは置換基を有さないか、又は置換基を有する場合には、当該置換基は環構造を有さないことが好ましい。
Ar、Ar、及びArは置換基を有してもよい。当該置換基としては、特に制限はなく、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10で、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘプチル、1−エチルペンチル、ベンジル、2−エトキシエチル、1−カルボキシメチル等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル、アリル、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル、ブタジイニル、フェニルエチニル等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル、1−ナフチル、4−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、3−メチルフェニル等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数0〜20のヘテロ環基で、環構成ヘテロ原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましく、5または6員環でベンゼン環やヘテロ環で縮環していてもよく、該環が飽和環、不飽和環、芳香環であってもよく、例えば、2−ピリジル、4−ピリジル、2−イミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、2−チアゾリル、2−オキサゾリル等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ベンジルオキシ等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシ、3−メチルフェノキシ、4−メトキシフェノキシ等)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、ベンジルチオ等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ、1−ナフチルチオ、3−メチルフェニルチオ、4−メトキシフェニルチオ等)、アシル基(アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、炭素数は20以下が好ましく、例えば、アセチル、ピバロイル、アクリロイル、メタクロロイル、ベンゾイル、ニコチノイル等)、アリーロイルアルキル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル等)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜20で、例えば、アミノ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチルアミノ、アニリノ、1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホニル等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド、N−フェニルスルホンアミド等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルアミノ、アクリロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、ニコチンアミド等)、シアノ基、水酸基、メルカプト基またはハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。
Ar、Ar、及びArが有しうる上記置換基は、さらに上記置換基を有していてもよい。
ここで、Ar、Ar、及びArの各基が有してもよい上記の置換基のうち、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基が好ましい。
前記一般式(2)又は(2−a)で表される化合物の分子量は250〜1200であることが好ましく、300〜800であることがより好ましい。
分子量が250以上であれば、フィルムからの揮散が抑制され、1200以下であれば、セルロースアシレートとの相溶性に優れるため、フィルムの透明性が良好となる。
以下に、前記一般式(2)又は(2−a)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記例示化合物中、Meはメチル基を表す。
Figure 0005919227
Figure 0005919227
Figure 0005919227
Figure 0005919227
Figure 0005919227
Figure 0005919227
上記一般式(2)で表される化合物は、尿素誘導体とマロン酸誘導体とを縮合させるバルビツール酸の合成法を用いて合成できることが知られている。N上に置換基を2つ有するバルビツール酸は、N,N’二置換型尿素とマロン酸クロリドを加熱するか、マロン酸と無水酢酸などの活性化剤とを組合わせて加熱することにより得られ、例えば、Journal of the American Chemical Society、第61巻、1015頁(1939年)、Journal of Medicinal Chemistry、第54巻、2409頁(2011年)、Tetrahedron Letters、第40巻、8029頁(1999年)、WO2007/150011号公報などに記載の方法を好ましく用いることができる。
また、縮合に用いるマロン酸は、無置換のものでも置換基を有するものでもよく、Rに相当する置換基を有するマロン酸を用いれば、バルビツール酸を構築することにより本発明の一般式(2)で表される化合物を合成することができる。また、無置換のマロン酸と尿素誘導体を縮合させると5位が無置換のバルビツール酸が得られるので、これを修飾することにより本発明の一般式(2)で表される化合物を合成してもよい。
なお、本発明に用いる一般式(2)で表される化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
一般式(2)で表される化合物は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。
下記一般式(3)で表されるカルボン酸誘導体も本発明の有機酸として好ましい。
一般式(3)
Figure 0005919227
一般式(3)において、s及びtは、各々独立して1、2又は3であり、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。
s及びtは好ましくは、独立して1または2であり、さらに好ましくは、1である。
は、好ましくは、炭素数6〜30のアルキル基(置換基を有しても良い)、炭素数6〜30のアリールスルホニル基(置換基を有しても良い)、アシル基(置換基を有しても良い)である。
が有しても良い置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、水酸基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、カルボキシル基等が挙げられる。Rが有しても良い置換基として、より好ましくは、アルキル基、アシル基、アリール基、カルバモイル基、であり、さらに好ましくは、アリール基、カルバモイル基である。
また、Rとして最も好ましいのは、アリール基、カルバモイル基を有する、炭素数6〜24のアルキル基である。
前記一般式(3)で表されるカルボン酸誘導体の具体例としては、以下に示す。
Figure 0005919227
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一般式(3)で表される化合物は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおける有機酸の添加量は、セルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上15質量部以下が好ましく、1質量部以上10質量部以下がより好ましい。有機酸の添加量がセルロースアシレート100質量部に対して0.1質量部以上であると高温高湿下における偏光子の性能劣化を抑制する効果が得られやすく、また添加量が15質量部以下であると高温高湿環境下に長期保存した場合にセルロースアシレートの分解が起こりにくいため好ましい。
<セルロースアシレートフィルムの製造方法>
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。以下、本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法について説明する。
ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
前記炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
セルロースアシレート溶液(ドープ)は、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。セルロースアシレート溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
セルロースアシレート溶液中におけるセルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
セルロースアシレート溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、且つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
冷却溶解法により、セルロースアシレート溶液を調製することもできる。冷却溶解法の詳細については、特開2007−86748号公報の〔0115〕〜〔0122〕に記載されている技術を用いることができる。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープにはレターデーション発現剤を添加することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
また、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが好ましい。
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
2層以上の複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能であり、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明におけるセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
(ヨウ素取り込み低減剤の添加)
セルロースアシレート溶液に対し、前記ヨウ素取り込み低減剤を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時セルロースアシレートと混合してもよい。
(有機酸の添加)
セルロースアシレート溶液に対し、前記有機酸を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、セルロースアシレートの合成時点で添加してもよいし、ドープ調製時セルロースアシレートと混合してもよい。
(紫外線吸収剤の添加)
本発明においてはセルロースアシレート溶液に、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、セルロースアシレートフィルム100質量部に対して0.1質量部〜10.0質量部が好ましい。
(その他の添加剤の添加)
本発明のセルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
また、セルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.1μmが最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有する偏光板保護フィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレート溶液(ドープ液)と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤微粒子の添加量は1mあたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明における偏光板保護フィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
(延伸処理)
本発明のセルロースアシレートフィルムには、延伸処理を行うことが好ましい。延伸処理によりセルロースアシレートフィルムの弾性率を大きくすることが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
フィルムの延伸は、加熱条件下で実施する。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの延伸は、前記偏光板保護フィルムのガラス転移温度Tgを用いて、(Tg−5℃)〜(Tg+40℃)の温度で行うことが好ましく、Tg〜(Tg+35℃)であることがより好ましく、(Tg+10℃)〜(Tg+30℃)であることが特に好ましい。乾膜の場合、130℃〜200℃が好ましい。
また、流延後にドープ溶剤が残存した状態で延伸を行う場合、乾膜よりも低い温度で延伸が可能となり、この場合、100℃〜170℃が好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの延伸倍率(延伸前のフィルムに対する伸び率)は、1%〜50%が好ましく、5%〜30%がさらに好ましい。延伸速度は1%/分〜300%/分が好ましく、10%/分〜300%/分がさらに好ましく、30%/分〜300%/分が最も好ましい。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、最大延伸倍率まで延伸したのちに、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下、「緩和工程」と称することがある。)を経て製造してもよい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%が最も好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がさらに好ましい。
[剥離性積層フィルムを用いたセルロースアシレートフィルムの製膜方法]
セルロースアシレートフィルムは、剥離性積層フィルムからセルロースアシレートフィルムを剥ぎ取ることによっても製造することができる。剥離性積層フィルムは、セルロースアシレートを含むA層と前記セルロースアシレートとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含むB層との積層体を有し、A層とB層の密着力が5N/cm以下であることが好ましい。
以下、剥離性積層フィルムの好ましい態様について説明する。
<剥離性積層フィルムの層構成>
(A層の厚み)
剥離性積層フィルムの積層体は、セルロースアシレートを含むA層と、セルロースアシレートとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含有するB層とを有し、A層とB層の密着力が5N/cm以下である積層体であることが好ましい。このような構成により、剥離性積層フィルムは、厚膜の製造条件下で各層が薄膜として適した特性を有する。またA層とB層の密着力は0.1N/cm以上2.0N/cm以下が好ましく、0.1N/cm以上1.8N/cm以下がより好ましく、0.2N/cm以上1.0N/cm以下が更に好ましく、0.2N/cm以上0.7N/cm以下が特に好ましい。層間密着力が小さすぎると、製膜工程の搬送中で剥離してしまい製造トラブルを起こしてしまう。一方高すぎると、剥離ムラなど面状を悪化させてしまうので、好ましくない。
A層とB層を含む前記積層体の合計膜厚は、20μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上180μm以下の厚みであることがより好ましく、30μm以上150μm以下であることが特に好ましく、最も好ましくは40μm以上100μm以下である。薄すぎると成膜適性の観点から面状の悪化等が懸念され、厚すぎるとハンドリング性の悪化等が懸念される。積層体の合計膜厚が40μm以上100μm以下であると、現在セルロース系フィルムとして流通している厚みに近いため、搬送や加工などの各種技術や装置の転用や導入が非常に容易である点でも好ましい。
また、A層単体の膜厚は所望の厚みとすることができるが、5μm以上60μm以下であることが好ましく、8μm以上50μm以下の厚みであることがより好ましく、更には8μm以上30μm以下、10μm以上25μm以下であることが特に好ましい。
(B層の厚み)
B層単体の膜厚は、A層同様に所望の厚みとすることができる。
ただし、B層を搬送用支持体として製造する場合は、B層は他の層を支持補助するために適度な機械性能を有する必要があるため、ある程度の厚みを有することが好ましい。
(積層態様)
剥離性積層フィルムは、A層とB層以外に、A層やB層と異なる溶液成膜可能な樹脂を含むC層を更に含んでも良く、またA層、B層及びC層をそれぞれ複数層有する互層構造とすることもできる。
<B層>
剥離性積層フィルムにおいて、B層は、セルロースアシレートとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含有する。本明細書中、セルロースアシレートとは異なる溶液成膜可能な樹脂とは、(メタ)アクリル系樹脂(「(メタ)アクリル樹脂」、「(メタ)アクリル酸系樹脂」ともいう)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、等が挙げられ、これらの樹脂及びこれら複数種の樹脂の混合樹脂から選ぶことができる。
また、B層は前記A層と密着力が5N/cm以下と剥離性を有する様に積層されることが好ましい。
剥離性を付与するためには、A層とB層の組成が相溶性を有しないことが好ましく、その指標としてSP値(溶解度パラメーター)を用いることができ、上記樹脂やその組成を適宜選択してB層を形成することができる。
本発明において剥離性を付与するためには、A層とB層のSP値の差が0.2以上となる様にそれぞれの層に用いる材料を選択することで調整することができる。なお、層のSP値とは、実質的に層に用いる樹脂のSP値に相当する。したがって、本発明において、A層に用いる樹脂(セルロースアシレート)とB層に用いる樹脂のSP値の差は0.2以上であることが好ましい。より好ましいSP値の差は0.5以上3.5以下であり、更に好ましいSP値の差は1.0以上3.5以下であり、最も好ましくは1.5以上3.5以下である。溶解度パラメーターは、例えばJ.Brandrup、E.H等の「PolymerHandbook(4th.edition)」、VII/671〜VII/714に記載の内容のものを表す。
なお、(メタ)アクリル系樹脂は、メタクリル系樹脂とアクリル系樹脂の両方を含む概念である。また、(メタ)アクリル系樹脂には、アクリレート/メタクリレートの誘導体、特にアクリレートエステル/メタクリレートエステルの(共)重合体も含まれる。
((メタ)アクリル系樹脂)
前記(メタ)アクリル酸系樹脂の繰り返し構造単位は、特に限定されない。前記(メタ)アクリル酸系樹脂は、繰り返し構造単位として(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の繰り返し構造単位を有することが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。
前記(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中のその含有割合は、本発明の効果を十分に発揮させる上で、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜100質量%、更に好ましくは40〜100質量%、特に好ましくは50〜100質量%である。
前記単量体成分は重合した後にラクトン環を形成していてもよい。その場合、単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得ることが好ましい。
前記単量体成分を重合して分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を用いた重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂としては、共重合成分として脂環式アルキル基を含有するか、又は分子内環化により分子主鎖に環状構造を形成させた(メタ)アクリル樹脂も用いることができる。分子主鎖に環状構造を形成させた(メタ)アクリル樹脂の例としては、一つの好ましい態様としてラクトン環含有重合体を含む(メタ)アクリル系の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましい樹脂組成や合成方法は特開2006−171464号公報に記載されている。また、別の好ましい態様としてグルタル酸無水物を共重合成分として含有する樹脂が挙げられ、共重合成分や具体的合成方法については特開2004−070296号公報に記載されている。
B層を形成する樹脂の重量平均分子量(質量平均分子量と称することもある)とA層との重量平均分子量の組合せに制限はないが、製膜の過程で最適となるよう、適宜、重量平均分子量を選択できる。
ここで、(メタ)アクリル系樹脂として一般に分子量10万程度のものが製膜に用いられている。詳しくは、溶融製膜では、高分子量の(メタ)アクリル系樹脂フィルムを製膜することがそもそも不可能である。また、(メタ)アクリル樹脂フィルムは溶液製膜によっても製膜可能だが、その場合は溶液流延しやすい粘度のドープを調製する必要がある。分子量30万以上の(メタ)アクリル系樹脂であれば、流延適性が高いドープを調製しやすく、このような(メタ)アクリル樹脂が従来製膜に用いられていた。
これに対し、剥離性積層フィルムではセルロースアシレートのA層との共流延を実現するため、更に大きい重量平均分子量の(メタ)アクリル系樹脂を用いて製膜されたことが好ましい。すなわち、本発明の剥離性積層フィルムに用いられるB層を形成する樹脂は、特に光学フィルムとしての脆性、自己成膜性の観点で、重量平均分子量(Mw)は60万〜400万が好ましく、80万〜200万がより好ましく、100万より大きく200万以下の範囲であることが更に好ましく、100万より大きく180万以下の範囲であることが特に好ましい。(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、その主成分となる(メタ)アクリル系樹脂の重合平均分子量が60万〜400万であることが好ましく、80万〜200万がより好ましい。なお、主成分とは層を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
B層を形成する樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
B層を形成する樹脂が、重量平均分子量80万〜200万であり、分子内にメチルメタクリレート単位を50質量%以上有する(メタ)アクリル系樹脂であることが特に好ましい。
B層を形成する樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは110℃以上である。
A層、B層の剥離力は、適宜、B層に後述する添加剤を添加し、調整することが好ましく、A層、B層の主たる高分子樹脂の親疎水性のバランスに対し、添加する添加剤の親疎水性を制御することで、剥離力を制御する。また、使用する溶媒の溶媒組成を変えることで、適宜、調整することができる。
(ポリカーボネート系樹脂)
本発明におけるB層としては、市販のポリカーボネート樹脂に、適宜剥離力や、靭性を制御するべく添加剤を入れて、用いることができる。
(ポリスチレン系樹脂)
本発明におけるB層としては、市販のポリスチレン系樹脂に、適宜剥離力や、靭性を制御するべく添加剤を入れて、用いることができる。
(環状ポリオレフィン系樹脂)
本発明において環状ポリオレフィン樹脂をB層に用いることができる。ここで、環状ポリオレフィン系樹脂(環状ポリオレフィン、あるいは環状ポリオレフィンポリマーとも称する)とは、環状オレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に用いる環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。
(B層に含まれてもよいその他の熱可塑性樹脂)
本発明における前記B層は、上記の樹脂以外のその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。その他の熱可塑性樹脂は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に種類は問わないが、熱力学的に相溶する熱可塑性樹脂の方が、機械強度や所望の物性を向上させる点において好ましい。
上記その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。ゴム質重合体は、表面に本発明のラクトン環重合体と相溶し得る組成のグラフ卜部を有するのが好ましく、また、ゴム質重合体の平均粒子径は、フィルム状とした際の透明性向上の観点から、100nm以下である事が好ましく、70nm以下である事が更に好ましい。
B層を形成する樹脂と熱力学的に相溶する熱可塑性樹脂としては、シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体、具体的にはアクリロニトリル−スチレン系共重合体やポリ塩化ビニル樹脂、メタクリル酸エステル類を50質量%以上含有する重合体を用いるとよい。それらの中でもアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いると、ガラス転移温度が120℃以上、面方向の100μmあたりの位相差が20nm以下で、全光線透過率が85%以上である前記B層を容易に得ることが可能となる。
前記B層が上記その他の熱可塑性樹脂を含有するとき、上記B層を形成する樹脂とその他の熱可型樹脂の含有割合は、好ましくは60〜99:1〜40質量%、より好ましくは70〜97:3〜30質量%、更に好ましくは80〜95:5〜20質量%である。但し、前記B層も、光学フィルムとして利用する場合はポリマーブレンドの観点からは、相溶性がかなり高くない限りは前記その他の熱可塑性樹脂を含有しないことが好ましい。
(残留溶媒量)
剥離性積層フィルムは、共流延や逐次流延による積層によって製膜されることが好ましい。このように溶液製膜によって、セルロースアシレートとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含有する前記B層を形成することによって、セルロースアシレートとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含有する層を溶融製膜により形成した場合よりも、前記A層の表面面状を改善することができる。
<添加剤>
剥離性積層フィルムには、前記B層及び前記A層のそれぞれにおいて、主原料となる1種又は2種以上の熱可塑性樹脂とともに、添加剤、例えば、可塑剤、脆性改良剤、A層とB層の層間剥離促進剤、帯電防止剤、フィラー、紫外線吸収剤、遊離酸、ラジカルトラップ剤、粒子等を、本発明の趣旨に反しない限りにおいて含有させてもよい。
(膜厚)
本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚は5μm以上60μ以下である。好ましくは5μm以上45μm以下であり、最も好ましくは5μm以上35μm以下である。上記範囲に膜厚を制御することにより、セルロースアシレートフィルムを液晶表示装置に組み込み、高温高湿の環境下に保存した際の表示ムラを小さくすることができる。
<フィルムのヘイズ>
本発明のセルロースアシレートフイルムのヘイズは0.01〜0.5%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.3%である。ヘイズが0.5%以上になると液晶表示装置のコントラストの低下が著しい。ヘイズが低いほど光学的性能が優れるが原料選択や製造管理も考慮すると上記範囲が好ましい。
ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフイルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定した。
(フィルムの色相)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムの色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL表色系における明度指数Lおよびクロマティクネス指数aとbを用いて好ましく評価される。L、a、bの定義は、例えば、東京電機大学出版局刊、色彩光学等に記載されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、温度60℃、相対湿度50%の環境下で100時間保存した後に、フィルムを10枚重ねて測定したbが1以上5以下であることが好ましい。さらに好ましくは、1以上4.5以下であり、最も好ましくは1以上4以下である。
次に、bの求め方について述べる。
明度指数:L=116(Y/Yn)1/3−16
=500{(X/Xn)1/3−(Y/Yn)1/3
=200{(Y/Yn)1/3 −(Z/Zn)1/3
ただし
Y/Yn>0.008856
X/Xn>0.008856
Z/Zn>0.008856
ここで、X、Y、Zは試料のXYZ表色系における三刺激値である。
Xn、Yn、Znは完全拡散反射面の三刺激値であり、X/Xn、Y/Yn、Z/Znに0.008856以下のものがある場合は、上式で対応する立方根の項をそれぞれ以下の式に置き換えて計算できる。
(X/Xn)1/3 →7.787(X/Xn)+16/116
(Y/Yn)1/3 →7.787(Y/Yn)+16/116
(Z/Zn)1/3 →7.787(Z/Zn)+16/116
(鹸化処理)
前記セルロースアシレートフィルムはアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
鹸化の方法については、特開2007−86748号公報の〔0211〕と〔0212〕に記載される方法を用いることができる。
例えば前記偏光板保護フィルムに対するアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
アルカリ鹸化処理の代わりに、特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
[偏光板]
以下に本発明の偏光板について詳しく説明する。
本発明の偏光板は、本発明のセルロースアシレートフィルム又は本発明の偏光板保護フィルムが偏光子に貼合されてなる。
<偏光板の性能>
(直交透過率CT)
本発明の偏光板は、直交透過率CTがCT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、最も好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)である。
(直交透過率変化)
また、偏光板耐久性試験前後では直交透過率の変化量は小さいほうが好ましい。
本発明の偏光板は、60℃、相対湿度95%に1000時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.65%以下、且つ、105℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)に50時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.05%以下であることが好ましい。
60℃、相対湿度95%に1000時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)は、5%未満であることが好ましく、1%未満であることがより好ましい。
ここで、直交透過率の変化量とは下記式で算出されるものである。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%)−耐久性試験前の直交透過率(%)
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下および高温低湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
本発明において、偏光板の直交透過率CTは、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて、以下の方法により波長410nmで測定した。
本発明の偏光板を、粘着剤を介してガラスの上に貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作成する。この際、本発明の偏光板保護フィルムがガラスと反対側(空気界面)側になるように貼り付ける。直交透過率測定はこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を直交透過率とする。
(その他の特性)
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
<形状・構成>
本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子及びその両面を保護する偏光板保護フィルムで構成されているが、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。
前記プロテクトフィルム及び前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
以下、本発明の偏光板に用いることができる偏光子と2枚の偏光板保護フィルムの詳細について説明する。
<偏光子>
まず、本発明の偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明の偏光板に用いることができる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
(PVA)
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
この他、本発明の偏光板には、特許第3021494号公報に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量%混合した溶液や、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
(二色性分子)
二色性分子はI やI などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。
本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。このような二色性染料の具体例としては、特開2007−086748号公報に記載のものを挙げることができる。
(ホウ酸)
本発明の偏光板は偏光子に架橋剤としてホウ酸を含有することが好ましい。ホウ酸で偏光子を架橋することにより、二色性分子とPVAから形成される錯体の安定性が向上し、高温高湿条件における偏光性能劣化を抑制することができる。本発明の偏光板の偏光子中のホウ酸の含有率は偏光子100質量部に対して1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下が好ましい。上記範囲にホウ酸の含有率を制御することにより色味のバランスのとれた偏光子を作製することができる。
本発明の偏光板は、60℃、相対湿度95%、1000時間経時前後における偏光子中のホウ酸の減少率が50%以下であることが好ましい。該ホウ酸の減少率は、40%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましい。
(偏光子の膜厚)
偏光子の延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、10〜200μmが特に好ましい。また、特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
本発明の偏光子の延伸後の厚みは、3μm以上30μm以下である。3μm以上20μm以下がさらに好ましく、3μm以上15μm以下が最も好ましい。偏光子を前記厚みにすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができ、表示ムラを改良することができる。
(偏光板の厚み)
本発明の偏光板の厚みは、15μm以上150μm以下であることが好ましい。15μm以上120μm以下がより好ましく、15μm以上100μm以下が更に好ましい。偏光板を前記厚みにすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
<偏光板保護フィルム>
(偏光板保護フィルムの厚み)
偏光板保護フィルムの厚みは5μm〜60μmが好ましく、5μm〜40μmより好ましく、10μm〜30μmが特に好ましい。
ここで、本発明の偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムは、ともに同じ偏光板保護フィルムであっても、異なる偏光板保護フィルムであってもよい。本発明の偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムのうち少なくとも1枚は本発明のセルロースアシレートフィルムである。
本発明の偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムのうち1枚のみが本発明のセルロースアシレートフィルムである場合、もう1枚の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)、特開2006−58322号公報に記載の脂環式構造含有重合体樹脂フィルム、特開2009−122644号公報に記載のアクリル系樹脂などを好ましく用いることができる。
<偏光子の製造方法>
本発明の偏光板の製造方法における前記偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
具体的には、前記偏光子の製造方法を、PVA系樹脂溶液の調製工程、流延工程、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けてもよい。
(PVA系樹脂溶液の調製)
前記PVA系樹脂溶液の調製工程では、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を調製することが好ましい。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、好ましくは5〜20質量%である。例えば、PVAのウェットケーキを溶解槽に入れ、必要に応じて可塑剤、水を加え、槽底から水蒸気を吹き込みながら攪拌する方法が好ましい。内部樹脂温度は50〜150℃に加温することが好ましく、系内を加圧してもよい。
また、前記偏光子中に酸を添加しなくてもよく、添加してもよいが、添加する場合はこの工程で加えることが好ましい。なお、偏光子中に酸を添加する場合は、前記偏光板保護フィルムに含まれる前記有機酸と同じものを用いてもよい。
(流延)
前記流延工程は、上記にて調製したPVA系樹脂溶液原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。流延の方法としては、特に制限はないが、加熱した前記PVA系樹脂溶液原液を2軸押し出し機に供給し、ギアポンプにより排出手段(好ましくはダイ、より好ましくはT型スリットダイ)から支持体上に流涎して製膜することが好ましい。また、ダイからの排出される樹脂溶液の温度については特に制限はない。
前記支持体としては、キャストドラムが好ましく、ドラムの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。
その後、得られたロールの裏面と表面とを乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なうことが好ましい。
(膨潤)
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
なお、膨潤工程のときにわずかに延伸を行ってもよく、例えば1.3倍程度に延伸する態様が好ましい。
(染色)
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素とヨウ化カリウムの質量比については特開2007−086748号公報に記載の態様を用いることができる。
また、特許登録第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
(硬膜)
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
また、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行ってもよく、特開2007−086748号公報に記載の方法を用いることができる。
なお、ここで、高温環境下における耐久性を高める方法として公知の酸性溶液による浸漬処理を行っても、行なわなくてもよい。前記酸性溶液による処理としては、特開2001−83329号公報、特開平6−254958号公報、国際公開WO2006/095815号公報などに記載の方法を挙げることができる。
(延伸)
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95としたりすることも好ましく行うことができる。
(乾燥)
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許登録第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングしたりすることも好ましく行うことができる。
このような工程により、膜厚10〜200μmの偏光子を製造することが好ましい。なお、膜厚の制御は、公知の方法で制御することができ、例えば前記流延工程におけるダイスリット幅や、延伸条件を適切な値に設定することで制御できる。
<偏光子と偏光板保護フィルムの積層方法>
本発明の偏光板の製造方法は、上記にて得られた前記偏光子の両面に、2枚の偏光板保護フィルムを積層する。
本発明の偏光板の製造方法では、偏光板保護フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全鹸化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
前記偏光板保護フィルムの処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
本発明の偏光板の偏光板保護フィルムの前記偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と前記偏光板保護フィルムの遅相軸が実質的に平行となるように貼り合せることが好ましい。
ここで、実質的に平行であるとは、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。ずれが1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下しにくく、光抜けが生じにくく好ましい。
<偏光板の機能化>
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作成することができる。
[液晶表示装置]
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする。
図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層5とこの上下に配置された液晶セル上電極基板3および液晶セル下電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板8からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板1および下側偏光板8は、それぞれ2枚の偏光板保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、少なくとも一方の偏光板が本発明の偏光板であることが好ましい。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、前記偏光板保護フィルム、偏光子、一般の透明保護フィルムの順序で積層することが特に好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
特開2012−82235号の段落0245〜0260に記載のVAモード、及びIPSモード液晶表示装置は本発明の液晶表示装置として好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
(添加剤のヨウ素取り込み低減指数の測定)
<モデルフィルムの作製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液001を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液001の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・Mw335000、Mn150000、アセチル置換度2.86のセルロ
ースアセテート 100.0質量部
・ヨウ素取り込み低減剤(C−7) 10.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 389.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 58.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヨウ素取り込み低減剤C−7
Figure 0005919227
上記セルロースアシレート溶液001を17℃に冷却したガラス板上に流延した。ガラス板上で60℃で6分間乾燥した後、ガラス板から剥ぎ取り、枠に貼り付けて100℃で10分乾燥したのち、さらに140℃で30分乾燥した。室温に冷却したのち、枠からフィルムをはずし、以下のヨウ素取り込み低減指数の測定実験に用いた。フィルムの厚みは60μmであった。
<添加剤のヨウ素取り込み低減指数の測定>
ヨウ化カリウム5.4mg/Lとヨウ素(I)0.36mg/Lを含む水溶液(b)にフィルム10.8cmを60℃で30分浸漬後、室温で24時間風乾した後、セルロースアシレートフィルムの波長360nmの吸光度を測定し、以下の式(A)によりヨウ素取り込み低減指数を算出した。
式(A)
ヨウ素取り込み低減指数={(セルロースアシレート100質量部に添加剤10質量部を添加したフィルムの浸漬後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレート100質量部に添加剤10質量部を添加したフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}/{(セルロースアシレート単独のフィルムの浸漬後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレート単独のフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}
(波長300〜700nmにおけるモル吸光係数の最大値吸光係数の測定)
メタノールに表1に記載のヨウ素取り込み低減剤、その他の添加剤を各々溶解し(吸光度が1となるように濃度を調整)試料とした。試料を石英製またはガラス製のセル(1cm×1cm×1cm)に充填し、試料用と対照用の2つのセルを使用して分光光度計(できれば機器名など)によって波長300〜700nmの範囲の吸収スペクトルを測定した。測定スペクトルの最大吸収波長の吸光度からを算出した。
[実施例101]
(1)セルロースアシレートフィルムの製膜
(セルロースアシレート溶液101の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液101を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液101の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.94、Mw350000、Mn150000のセルロ
ースアセテート 100.0質量部
・ヨウ素取り込み低減剤(C−7) 7.0質量部
・紫外線吸収剤D 1.5質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 389.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 58.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤D
Figure 0005919227
(マット剤溶液102の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液102を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液102の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、
日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.5質量部
メタノール(第2溶媒) 11.3質量部
前記セルロースアシレート溶液101 0.9質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(有機酸溶液103の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、有機酸溶液103を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
有機酸溶液103の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
有機酸(2−3) 20.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 69.6質量部
メタノール(第2溶媒) 10.4質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
有機酸(2−3)
Figure 0005919227
<流延>
上記マット剤溶液102の1.3質量部と、有機酸溶液103の3.4質量部をそれぞれ濾過後にインラインミキサーを用いて混合し、更にセルロースアシレート溶液101を95.3質量部加えて、インラインミキサーを用いて混合した。バンド流延装置を用い、前記調製したドープをステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープ中の残留溶媒量が略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が5〜10質量%の状態で、120℃の温度下で幅方向に1.10倍(10%)延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、更に乾燥し、実施例101のセルロースアシレートフィルムを得た。得られたセルロースアシレートフィルムの厚みは30μm、幅は1480mm、巻き長さは5000mであった。
[実施例102〜128、及び比較例201〜208]
実施例101のセルロースアシレートフィルムの作製において、セルロースアシレートの全アシル置換度、ヨウ素取り込み低減剤の種類および添加量、有機酸の種類および添加量、フィルム厚みを下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例102〜128、及び比較例201〜208のセルロースアシレートフィルムを製造した。
ヨウ素取り込み低減剤(C−1)
Figure 0005919227
ヨウ素取り込み低減剤(C−11)
Figure 0005919227
ヨウ素取り込み低減剤(C−17)
Figure 0005919227
ヨウ素取り込み低減剤(K−101)
平均ベンゾイル置換度が1のグルコースベンゾエート
Figure 0005919227
ヨウ素取り込み低減剤(K−102)
平均ベンゾイル置換度が2のグルコースベンゾエート
ヨウ素取り込み低減剤(K−103)
平均ベンゾイル置換度が3のグルコースベンゾエート
ヨウ素取り込み低減剤(K−106)
平均ベンゾイル置換度が2、平均アセチル置換度が2のグルコースアセテートベンゾエート
Figure 0005919227
トリフェニルフォスフェート(特開2007−204754の実施例1中の例示化合物)
Figure 0005919227
エチルフタリルエチルグリコレート(特開2007−204754の実施例1中の例示化合物)
Figure 0005919227
アビエチン酸(特開2007−204754中の例示化合物)
Figure 0005919227
比較例の糖誘導体(K−201)
スクロースオクタベンゾエート
比較例のトリアジン系化合物L
Figure 0005919227
<光照射によるフィルムの変色>
作製した各実施例及び比較例のセルロースアシレートフィルムに対して、(株)スガ試験機社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75で、60℃、相対湿度50%の環境下において100時間光を照射した。
(株)島津製作所製分光光度計UV−3150により、フィルムを10枚重ねて、波長400nm〜780nmの透過率を2mごとに測定し、付属のカラー測定ソフトウェア COL−UVPCを視野2°、C照明を用いてb値を算出し、以下に基準により光照射によるフィルムの変色を評価し、結果を表1に示した。
A:フィルムを10枚重ねて測定したb値が5未満
B:フィルムを10枚重ねて測定したb値が5以上
(ヘイズの測定)
ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフイルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定した。
Figure 0005919227
実施例101〜125、128は、それぞれ参考例101〜125、128に読み替えるものとする。
ルロースアシレートフィルム101〜128は比較例のセルロースアシレートフィルム208に比べて、光照射によるフィルムの変色がなく好ましいことがわかる。
[実施例301]
(アクリル溶液301の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、アクリル溶液301を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
アクリル溶液301の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR88(溶剤型熱可塑性アクリルレジン)
100.0質量部
・ヨウ素取り込み低減剤(C−7) 11.0質量部
・紫外線吸収剤C 2.0質量部
・有機酸(2−3) 6.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 393.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 59.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(セルロースアシレート溶液301の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液301を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液301の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.94、Mw340000、Mn153000のセルロ
ースアセテート 100.0質量部
・ヨウ素取り込み低減剤(C−7) 11.0質量部
・紫外線吸収剤C 2.0質量部
・有機酸(2−3) 6.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 414.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 62.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(紫外線吸収剤C)
Figure 0005919227
<積層フィルムの作製>
3層共流延が可能な流延ギーサーを通して、アクリル溶液301とセルロースアシレート溶液301を用いて、金属支持体上に近い側から、アクリル層/セルロースアシレート層/アクリル層=30μm/10μm/30μmの層構成となるように流延した。金属支持体上にある間、ドープを40℃の乾燥風により乾燥してフィルムを形成した後に剥ぎ取り、フィルム両端をピンで固定し、その間を同一の間隔で保ちつつ105℃の乾燥風で5分間乾燥した。ピンを外した後、更に130℃で20分間乾燥し、積層フィルムの状態で巻き取った。
このようにして製造した積層フィルムから、上層および下層のアクリルフィルムを剥離して取り除くことにより、膜厚が10μmで巻き長さが6500mの実施例301のセルロースアシレートフィルムを得た。
[実施例302〜304]
実施例301のセルロースアシレートフィルムの作製においてフィルム厚みを下記表2に記載の値に変更した以外は同様にして、実施例302〜304のセルロースアシレートフィルムを製造した。
このようにして製造した実施例301〜304のセルロースアシレートフィルムについて、実施例101と同様にして、光照射による変色を評価し、結果を表3に示した。
実施例301〜304は、それぞれ参考例301〜304に読み替えるものとする。
Figure 0005919227
<偏光子Aの作製>
平均重合度2400、鹸化度99.9%以上のPVA粉体を純水に溶解して10質量%になるように調整した水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液に浸漬して1.5倍に縦一軸延伸した。ヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素濃度0.38質量%とした。次いで、50℃の4.25質量%のホウ酸水溶液中で、総延伸倍率が7倍になるように縦一軸延伸し、30℃の水浴に浸漬して水洗し、50℃、4分間乾燥し、厚さ12.5μmの偏光子Aを得た。
<偏光子Bの作製>
平均重合度2400、鹸化度99.9%以上のPVA粉体を純水に溶解して12質量%になるように調整した水溶液を、ポリエステルフィルム上に塗布して40℃、3時間乾燥した後、さらに110℃、60分乾燥を行ない、厚さ50μmのPVAフィルムを得た。得られたフィルムを30℃の温水で1分間膨潤させ、30℃のヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液に浸漬して2倍に縦一軸延伸した。ヨウ化カリウム/ヨウ素(質量比10:1)の水溶液の濃度は、ヨウ素濃度0.38質量%とした。次いで、ホウ酸4.25質量%の50℃水溶液中で、総延伸倍率が6.5倍になるように縦一軸延伸し、30℃の水浴に浸漬して水洗し、50℃、4分間乾燥し、厚さ16μmの偏光子Bを得た。
<偏光子Cの作製>
原反膜厚を32μmとした以外は、偏光子Aと同様にして偏光子Cを作製した。偏光子Cの厚さは8μmだった。
<偏光子Dの作製>
原反膜厚を16μmとした以外は、偏光子Aと同様にして偏光子Dを作製した。偏光子Dの厚さは4μmだった。
<偏光子Eの作製>
原反膜厚を77μmとした以外は、偏光子Aと同様にして偏光子Eを作製した。偏光子Eの厚さは19μmだった。
[実施例A−101]
〔セルロースアシレートフィルムの鹸化処理〕
作製した実施例101のセルロースアシレートフィルムを、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、実施例101のセルロースアシレートフィルムについて表面の鹸化処理を行った。
〔偏光板の作製〕
鹸化処理した実施例101のセルロースアシレートフィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、上記にて製造した偏光子Aの両側に貼り付けた。この際、偏光子の透過軸と作成したセルロースアシレートフィルムの幅方向とが平行になるように配置した。このようにして実施例A−101の偏光板を作製した。
[実施例A−102〜A−128、A−301〜A−304、B−101、C−101、D−101、E−101、及び比較例A−201〜A−208の偏光板の作製]
実施例A−101において、セルロースアシレートフィルム及び偏光子の種類を表3に記載のものに変更した以外は実施例A−101と同様にして、実施例の偏光板及び比較例の偏光板を作製した。
〔液晶表示装置の作製〕
市販のIPSモード液晶テレビの2枚の偏光板をはがし、視認者側及びバックライト側に表3に記載した偏光板を表3で液晶セルに近い側として示したセルロースアシレートフィルムがそれぞれ液晶セル側、液晶セルから遠い側として示したセルロースアシレートフィルムがそれぞれ液晶セルの反対側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
(偏光板耐久性の評価)
上記で作製した各実施例及び比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率を下記の方法で測定した。
偏光板の直交透過率CTは、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて、以下の方法により波長410nmで測定した。
偏光板を、粘着剤を介してガラスの上に貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作成した。この際、上記作成したセルロースアシレートフィルムがガラスと反対側(空気界面)側になるように貼り付けた。直交透過率測定はこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定した。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を直交透過率とした。
その後、60℃、相対湿度95%の環境下で1000時間保存した後についても同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化量を求め、以下の基準により評価し、これを偏光子耐久性として下記表3にその結果を記載した。
A:波長410nmの直交透過率変化が1%未満
B:波長410nmの直交透過率変化が1%以上5%未満
C:波長410nmの直交透過率変化が5%以上10%未満
D:波長410nmの直交透過率変化が10%以上
(表示ムラの評価)
このようにして作製した液晶表示装置に対して、60℃、相対湿度90%において48時間保管した後の、画面の表示ムラを目視にて以下の基準で評価し、表3に示した。
A:ムラの面積が5%未満
B:ムラの面積が5%以上20%未満
C:ムラの発生面積が20%以上
Figure 0005919227
実施例A−101〜A−125、A−128、A−301〜A−304、B−101、C−101、D−101、E−101は、それぞれ参考例A−101〜A−125、A−128、A−301〜A−304、B−101、C−101、D−101、E−101に読み替えるものとする。
表3の結果から偏光板A−101〜A−128、A−301〜A−304、B−101、C−101、D−101、E−101は比較例の偏光板A−201〜A−208に対して、高温高湿下に長期間保存しても偏光性能の劣化が抑制されていることがわかる。
また液晶表示装置A−101〜A−128、A−301〜A−304、B−101、C−101、D−101、E−101は比較例の液晶表示装置A−207に対して表示ムラの発生が抑制され、優れた表示性能を示すことがわかった。
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置

Claims (11)

  1. セルロースアシレート、下記ヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数の最大値吸光係数が3000以下の化合物(a)、及び酸解離定数が3以上10以下の有機酸を少なくとも含有し、
    膜厚が5μm以上60μm以下であり、
    前記酸解離定数が3以上10以下の有機酸が、下記一般式(2−a)で表される化合物である、セルロースアシレートフィルム。
    <ヨウ素取り込み低減指数>
    ヨウ化カリウム5.4mg/Lとヨウ素(I)0.36mg/Lを含む水溶液(b)にフィルム10.8cmを60℃で30分浸漬後のセルロースアシレートフィルムの波長360nmの吸光度を測定し、以下の式(A)によりヨウ素取り込み低減指数を算出する。
    式(A):
    ヨウ素取り込み低減指数={(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(セルロースアシレート100質量部に対して化合物(a)を10質量部添加したフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}/{(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムを水溶液(b)に浸漬させた後の360nmの吸光度)−(化合物(a)を含有しないセルロースアシレートフィルムの浸漬前の360nmの吸光度)}
    Figure 0005919227

    上記一般式(2−a)中、L 〜L は、各々独立に、単結合又はアルキレン基を表す。但し、上記L 及びL 、又は上記L 及びL は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。Ar 〜Ar は、各々独立に、炭素数6〜20のアリール基を表す。
  2. 前記化合物(a)が、少なくとも1つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が85以上250以下である化合物である請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  3. 前記化合物(a)が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
    一般式(1)
    Figure 0005919227

    一般式(1)において、Xはアミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルバモイル基、アリールアミノカルボニル基、又はカルボキシル基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
    11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34及びR35は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R11とR21、R15とR35、又はR25とR31は単結合又は2価の連結基により結合してもよい。
  4. 前記化合物(a)が単糖誘導体である、請求項1又は2に記載のセルロースアシレートフィルム。
  5. 前記セルロースアシレートの全アシル置換度が2.88以上2.97以下である請求項1〜のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. 前記化合物(a)の含有量が前記セルロースアシレート100質量部に対して1質量部以上20質量部以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルムである偏光板保護フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載のセルロースアシレートフィルム又は請求項に記載の偏光板保護フィルムが偏光子に貼合されてなる偏光板。
  9. 請求項に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
  10. 膜厚が5μm以上60μm以下である光学フィルムの製造方法であって、下記(a)、(b)及び(c)の工程を含む光学フィルムの製造方法であって、
    工程(b)における酸解離定数が3以上10以下の有機酸が、下記一般式(2−a)で表される化合物である、光学フィルムの製造方法
    (a)セルロースエステルを含むポリマーと溶媒とを混合する工程
    (b)前記(a)で得られた混合物にヨウ素取り込み低減指数が0.28以下で、かつ300nm以上700nm以下の波長範囲におけるモル吸光係数が3000以下の化合物、及び酸解離定数が3以上10以下の有機を混合する工程
    (c)前記(b)で得られたセルロースエステル溶媒を流延用支持体上に流延する工程
    Figure 0005919227

    上記一般式(2−a)中、L 〜L は、各々独立に、単結合又はアルキレン基を表す。但し、上記L 及びL 、又は上記L 及びL は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。Ar 〜Ar は、各々独立に、炭素数6〜20のアリール基を表す。
  11. セルロースエステルを含むA層と前記セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂を含むB層を含む剥離性積層フィルムの製造方法であって、
    少なくとも前記セルロースエステル溶媒を含む、A層形成用のドープAと、少なくとも前記セルロースエステルとは異なる溶液成膜可能な樹脂と溶媒を含む、B層形成用のドープBとを流延用支持体上に同時又は逐次に流延して積層後、前記ドープAと前記ドープBの積層体を流延用支持体より剥離し、乾燥させることを特徴とする請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
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