以下、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。図1に示されるように、画像形成装置1は、画像読取部200と画像形成本体部10とを備える。画像読取部200は、原稿給紙部210と、スキャナ部220と、CIS231と、ユーザーインターフェイス部Iと、後述する反転機構を備えてなる。
原稿給紙部210は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211、ピックアップローラ212、プラテン213、排紙ローラ214及び排紙トレイ215を有する。原稿トレイ211には、読取対象とされる原稿が載置される。原稿トレイ211に載置された原稿は、1枚ずつピックアップローラ212によって取り込まれ、間隙を介して順次プラテン213へ搬送される。プラテン213を経由した原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215へ順次排出される。
前記プラテン213の周面に対向する位置のうち、原稿の搬送方向において読取位置Pより手前の予め定められた位置には、用紙を検出する図略のタイミングセンサが設置されており、該タイミングセンサの出力要求に基づき、前記読取位置Pへの原稿の搬送タイミングが図られる。前記タイミングセンサは、例えばフォトインタラプタにより構成される。
スキャナ部220は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部220は、ガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charged Coupled Device)229を備える。
このスキャナ部220は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプが用いられ、前記第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿からの光をCCD229に導く。スキャナ部220は、光源222として冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプを用いて構成されていることから、光源として3色LED等が用いられる後述のCIS231よりも色再現性に優れる。
ガラス221には、前記原稿給紙部210によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。光源222及び第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224及び第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持されている。
画像読取部200の原稿読取方式として、ガラス221上に載置された原稿をスキャナ部220が読み取るフラットベッド読取モードと、原稿を原稿給紙部210(ADF)によって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
フラットベッド読取モードでは、光源222がガラス221上に載置された原稿を照射し、主走査方向1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
CCD229は一次元のイメージセンサであり、1ライン分の原稿の画像データを重複して処理する。第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)に移動可能に構成されており、1ライン分の読み取りが終了すると、副走査方向に第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227が移動し、次のラインの読み取りが行われる。
ADF読取モードでは、原稿給紙部210が原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212によって1枚ずつ取り込む。このとき、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227は、読取窓230の下方に位置する予め定められた読取位置Pに配置される。
原稿給紙部210による原稿搬送で、原稿がプラテン213から排紙トレイ215への搬送経路に設けられた読取窓230上を通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。続いて原稿は原稿給紙部210によって搬送され、次のラインが読み取られる。
更に、原稿給紙部210は、切換ガイド216、反転ローラ217及び反転搬送路218を備えた原稿反転機構を有する。この原稿反転機構が、1回目のADF読み取りによって表面が読み取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に再搬送することで、再度CCD229によって裏面の読み取りが行われる。
この原稿反転機構は、両面読み取り時にのみ動作し、片面読み取り時は動作しない。片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、切換ガイド216は上側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は、排紙ローラ214によって排紙トレイ215に排紙される。
両面読み取り時における表面読み取り後、切換ガイド216は下側に切り替えられ、プラテン213を経た原稿は反転ローラ217によって反転搬送路218へ搬送される。その後、切換ガイド216は上側へ切り替わり、反転ローラ217が逆回転して原稿をプラテン213へ再給紙する。以下、原稿反転機構を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面反転読取モードと表記する。
更に、本実施形態の画像読取部200は、ADF読取モード時において、前述したように原稿の搬送途中でCCD229(スキャナ部220)によって原稿の表面の読み取りを行わせると略重複して(略並行して)、CIS231によって原稿の裏面の読み取りを行わせることが可能である。この場合、原稿トレイ211から原稿給紙部210により搬送された原稿は、読取窓230上を通過するときにCCD229によって表面が読み取られ、更にCIS231の配置箇所を通過する際に裏面が読み取られる。なお、CIS231では、光源としてRGBの3色LED等が用いられる。
このようにCCD229とCIS231を用いることで、原稿給紙部210による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの一回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面の読み取りが可能となる。以下、このようにCCD229とCIS231を用いて原稿の両面を読み取らせるモードを両面同時読取モードと表記する。
この両面反転読取モード及び両面同時読取モードは、ADF読取モードを用いて原稿の両面読み取りを行う際の読取モードとして備えられている。両面反転読取モードは、両面の印刷画像の画質を揃えたい場合に利用される一方、両面同時読取モードは、両面の印刷画像の画質に差があっても、読取時間の短縮化を優先させたい場合に利用される。なお、本実施形態における画像形成装置1は、両面同時読取モードに初期設定されており、前記読取モードのモード設定操作が何も行われないまま画像形成指示が入力された場合には、両面同時読取モードで原稿の画像読取動作が行われるようになっている。
画像読取部200は、読み取った原稿の画像を表す画像データを後述のRAM103に記憶させる。
画像形成装置1は、画像形成本体部10と、画像形成本体部10の左方に配設されたスタックトレイ6とを有している。画像形成本体部10は、複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する画像形成部40とを備える。また、画像形成本体部10は、給紙トレイ471と該給紙トレイ471に載置された記録紙を1枚ずつ画像形成部40に向けて繰り出す繰り出しローラ472とを備える。
画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を帯電させる帯電装置422と、スキャナ部220で取得された画像データに基づいてレーザー光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、前記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が転写されて重ね合わせされる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
なお、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色に対するトナーの供給は、図略のトナーカートリッジから行われる。また、画像形成部40を通過した記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等が設けられている。
記録紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部40で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ48側の搬送ローラ463にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ463を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48に排出する。
また、画像形成本体部10の前方には、タッチパネルなどで構成された表示部5、及び、各種の操作ボタンを有する操作部18が組み込まれたユーザーインターフェイス部Iが、画像形成本体部10の前方に露出するように設けられている。
図2は、ユーザーインターフェイス部Iの構成の一例を示した正面図である。ユーザーインターフェイス部Iは、操作部18として、操作ボタン18A〜18Hを備える。操作ボタン18A〜18Dは、まとまった状態で機能選択ボタン群180を構成している。操作ボタン18Aから18Dの各々は、コピー、プリンタ、スキャナ、及びFAXのいずれか1つの機能を画像形成装置1に実行させるためにユーザが操作する操作ボタンである。
操作ボタン18Hは、複数まとまった状態で数字キー群を構成している。この数字キー群は、例えば、画像形成装置1にコピー機能を動作させる際はコピー枚数を、ファクシミリ機能を動作させる際は送信先の電話番号等を入力するためのものである。
操作ボタン18Eは、節電ボタンを構成している。操作ボタン18Eは、画像形成装置1に省電力モードを実行させるためにユーザにより操作されるボタンである。
操作ボタン18Fは、ストップ/クリアボタンを構成しており、コピー動作やスキャナ動作等の停止、入力操作の取り消しを行うボタンである。操作ボタン18Gは、スタートボタンを構成しており、コピー動作やスキャナ動作等を開始させるボタンである。
図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の電気的構成を概略的に示した機能ブロック図である。画像形成装置1は、画像形成処理部100と、NIC(Network Interface Controller)部7と、電源部8と、その他回路部9とを備える。なお、画像読取部200や画像形成部40の記載は省略している。
NIC部7は、通信インターフェイス部Aと、例えばCPUを用いて構成された制御部75とを含む。
画像形成処理部100は、NIC部7により受け付けられたデータを記録紙上に形成するために設けられている。画像形成処理部100は、画像形成制御部Bと、データ蓄積処理部Cとを含む。画像形成制御部Bは、画像処理部101と、データインターフェイス部102と、RAM(Random Access Memory)103と、データインターフェイス部106とを備える。データ蓄積処理部Cは、ハードディスク(データ蓄積部)104と、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory;データ蓄積部)105と、本体制御部107とを備える。
画像処理部101は、RAM103、ハードディスク104、又はEEPROM105に記憶された画像データに対して予め定められた画像処理を施す。そして、画像処理部101は、画像処理が施された画像データを画像形成部40へ送信すると共に、データインターフェイス部106を介してその他回路部9へ制御信号を出力する。その他回路部9は、画像処理部101からの制御信号、すなわち画像形成制御部Bからの制御信号に応じて、画像形成部40、給紙ローラ462、繰り出しローラ472、及び搬送ローラ463,464等の動作を制御する。これにより、画像形成制御部Bは、画像形成部40によって、画像処理が施された画像データに基づく画像を記録紙に形成させる。
なお、画像形成部40、給紙ローラ462、繰り出しローラ472、及び搬送ローラ463,464等の動作を制御するための制御信号をその他回路部9へ出力することによって、画像形成部40によって画像処理が施された画像データに基づく画像を記録紙に形成させる処理を、本体制御部107(本体制御部107を構成するCPU)が実行する構成としてもよい。この場合、本体制御部107は、画像形成制御部Bとデータ蓄積処理部Cとで兼用される。
データインターフェイス部102は、画像形成処理部100がNIC部7との間で画像データを始めとする各種のデータを通信するための緩衝装置である。
RAM103は、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有する。ハードディスク104及びEEPROM105は、それぞれ、データを蓄積する。データインターフェイス部106は、画像形成処理部100がその他回路部9との間で画像データを始めとする各種のデータを通信するための緩衝装置である。
本体制御部107は、CPU(Central Processing Unit)などから構成されている。この本体制御部107は、データインターフェイス部102によりNIC部7より受け付けたデータをRAM103に一時的に蓄積し、RAM103に一時的に蓄積されたデータを読み出してハードディスク104に記録する。
また、本体制御部107は、データインターフェイス部102によりNIC部7より受け付けたデータをRAM103に一時的に蓄積し、RAM103に一時的に蓄積されたデータを読み出してEEPROM105に蓄積させる。
このように、本体制御部107は、データインターフェイス部102により受け付けられたデータをRAM103に一時的に蓄積させ、RAM103に蓄積されたデータをハードディスク104或いはEEPROM105に蓄積させる。
以下、RAM103に蓄積されたデータをハードディスク104或いはEEPROM105に蓄積させる処理をデータ蓄積処理という。このデータ蓄積処理は、RAM103、ハードディスク104又はEEPROM105、及び、本体制御部107により行われる。そのため、RAM103、ハードディスク104又はEEPROM105、及び、本体制御部107は、データ蓄積処理部Cを構成する。
本体制御部107は、このようなデータ蓄積処理が開始されたときには、当該データ蓄積処理が開始されたことを表す蓄積開始信号をNIC部7に出力する。また、本体制御部107は、データ蓄積処理が終了したときには、当該データ蓄積処理が終了したことを表す蓄積終了信号をNIC部7に出力する。
さらに、本体制御部107は、操作ボタン18E(節電ボタン)(図2参照)が操作されるか、又は、画像形成装置1が所定時間使用されなかった場合に、通常電力モードから省電力モードに切り換えるべきタイミングになったと判断し、その旨をNIC部7に通知する。
このような構成の画像形成処理部100では、RAM103、ハードディスク104又はEEPROM105、及び本体制御部107からなるデータ蓄積処理部Cの電源ラインが、他の各部の電源ラインと分離されており、他の各部への電力供給を遮断したまま、データ蓄積処理部Cへの電力供給を行って、データ蓄積処理部Cによるデータ蓄積処理が可能なように構成されている。
電源部8は、商用電力ACの遮断を検知するAC断検知回路80(電源断検知部)と、省電力用電力供給部81(電源部)と、通常電力用電力供給部82(電源部)とを備える。
AC断検知回路80は、商用電力ACの供給が遮断されたことを検知したことを表すAC断検知信号を、NIC部7に出力する。このAC断検知回路80は、例えば、予め設定された時間内に商用電力ACのゼロクロス点を1つも検知しないときに、商用電力ACの供給が遮断されたことを検知して、AC断検知信号を出力する。
ここにおいて、商用電力ACの供給が遮断されたときには、AC断検知回路80は、例えば、キャパシタ(バックアップ電源)81Aに蓄積されたバックアップ電力により駆動する。
省電力用電力供給部81は、商用電力ACの供給を受け付けて、予め設定された電圧レベル(例えば3.3V)の直流電力を生成し、生成した直流電力をNIC部7の駆動電力としてNIC部7に供給する。
ここにおいて、NIC部7が駆動するのに必要な電力レベルは、画像形成処理部100とその他回路部9とが駆動するのに必要な電力レベルより小さいため、省電力用電力供給部81は、通常電力用電力供給部82よりも電力容量の小さな電源回路を用いて構成することができる。
このような電力容量の少ない電源回路は、スイッチング素子やコイル等に、電力定格の小さな部品を用いることができる。一般に、電力定格の大きな部品は電力損失が大きいので、省電力用電力供給部81を電力容量の小さな電源回路を用いて構成することで、通常電力用電力供給部82を省電力モードの電源供給に用いる場合よりも電力損失を低減させることが可能となる。
さらに、省電力用電力供給部81は、停電などにより、商用電力ACの供給が遮断されたときのために、蓄電素子、例えばキャパシタ(バックアップ電源)81Aを備えている。キャパシタ81Aには、例えば、商用電力ACが整流及び平滑されて充電されることにより、バックアップ電力が電荷の形で蓄積される。
通常電力用電力供給部82は、商用電力ACの供給を受け付けて、予め設定された電圧レベル(例えば5V)の直流電力を生成し、生成した直流電力を画像形成処理部100及びその他回路部9の駆動電力として、画像形成処理部100及びその他回路部9に供給する。
また、通常電力用電力供給部82は、商用電力ACの供給を受け付けて、画像形成処理部100及びその他回路部9の駆動電力よりも大きな電力レベル(例えば24V)の直流電力を生成し、生成した直流電力を、モータ96の駆動電力としてモータ96に供給する。
さらに、通常電力用電力供給部82は、停電などにより、商用電力ACの供給が遮断されたときのために、蓄電素子、例えばキャパシタ(バックアップ電源)82Aを備えている。キャパシタ82Aには、例えば、商用電力ACが整流及び平滑されて充電されることにより、バックアップ電力が電荷の形で蓄積される。
図4は、図3に示す画像形成装置1の電源系統を説明するための概念的なブロック図である。図4に示す画像形成装置1は、省電力用電力供給部81から制御部75へ動作用電力を供給するための第1スイッチSW1と、省電力用電力供給部81から通信インターフェイス部Aへ動作用電力を供給するための第2スイッチSW2と、通常電力用電力供給部82からデータ蓄積処理部Cへ動作用電力を供給するための第3スイッチSW3と、通常電力用電力供給部82から画像形成制御部Bへ動作用電力を供給するための第4スイッチSW4とを備えている。
制御部75は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、及び第4スイッチSW4のオン、オフを制御することによって、省電力用電力供給部81及び通常電力用電力供給部82による、制御部75、通信インターフェイス部A、データ蓄積処理部C、及び画像形成制御部Bへの動作用電力の供給を個別に制御可能にされている。
制御部75は、通常電力モード及び省電力モードを実行する際、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオンすることで、通信インターフェイス部A及び制御部75へ、省電力用電力供給部81から商用電力ACに基づく電力を供給させる。
また、制御部75は、商用電力ACの供給が遮断されたときには、第1スイッチSW1をオン、第2スイッチSW2をオフすることで、省電力用電力供給部81から、通信インターフェイス部Aへは電力供給させずに制御部75のみにキャパシタ81Aに蓄積されているバックアップ電力を供給させる。これにより、制御部75は、商用電力ACの供給が遮断されても駆動する。
制御部75は、このように、省電力用電力供給部81から制御部75のみにバックアップ電力が供給されている際に、後述するデータ蓄積処理が終了した場合、さらに第2スイッチSW2をオンとして、通信インターフェイス部Aに対して、キャパシタ81Aに蓄積されているバックアップ電力を供給する。これにより、NIC部7全体が駆動する。
制御部75は、通常電力モードを実行する際は、第3スイッチSW3をオン、第4スイッチをオンすることで、画像形成制御部B及びデータ蓄積処理部Cに、通常電力用電力供給部82から商用電力ACに基づく電力を供給させる。また、制御部75は、省電力モードを実行する際は、第3スイッチSW3及び第4スイッチをオフすることで、通常電力用電力供給部82からの画像形成制御部B及びデータ蓄積処理部Cへの電力供給を遮断する。
また、制御部75は、商用電力ACの供給が遮断されたときには、第3スイッチSW3をオン、第4スイッチをオフして、通常電力用電力供給部82からキャパシタ82Aに蓄積されているバックアップ電力をデータ蓄積処理部Cのみに供給させる。
尚、電源部8は、画像形成装置1の電源起動時には、省電力用電力供給部81及び通常電力用電力供給部82を駆動させるよう、省電力用電力供給部81及び通常電力用電力供給部82を通電するよう構成されている。
その他回路部9は、センサからの信号が入力されるセンサ入力部90と、画像形成処理部100との間で画像データを始めとした各種のデータを通信するための緩衝装置となるデータインターフェイス91と、RAM92と、その他回路部9を統括的に制御するCPU93と、ROM94と、モータ96と、モータ96が接続されモータ96の駆動を制御するためのポート95と、を備えている。
モータ96は、画像形成部40における駆動部や、給紙ローラ462、繰り出しローラ472、及び搬送ローラ463,464等を駆動するためのモータを総称したものである。
通信インターフェイス部Aは、通信ネットワークの1つであるLAN(Local Area Network)N1上の他の通信機器との間で、所定のプロトコルに従った通信を行う通信インターフェイス回路として構成されている。
LAN(N)上には、パーソナルコンピュータ(以下、PCという)12、サーバー(図5では「Server」と表記)13、及び、PC12及びサーバー13が接続されたハブ(集線装置;図5では「HUB」と表記)11が配置されている。
通信インターフェイス部Aは、LAN(N)上に配置されたPC12やサーバー13との間で、通信を行う。そのために、通信インターフェイス部Aは、MAC(Media Access Control)コントローラー70と、通信インターフェイス部Aが駆動するために必要な各種のデータを格納したメモリー71とを備えている。
MACコントローラー70は、OSI基本参照モデルで表される7階層のうちの第2層(データリンク層)の部分に相当して通信機器同士がフレームを確実に送受信する方法や、フレーム・フォーマットなどを規定したMAC(媒体アクセス制御)と呼ばれるプロトコルに基づく動作を実行する。
例えば、MACコントローラー70は、通信ネットワーク上において伝送されているデータが自機宛のものであるか否かを、そのデータに含まれているMACアドレスが自己に割り当てられたMACアドレスと同値の宛先MACアドレスであるか否かに基づいて判断し、そうであるときに該データを取り込む処理や、他の通信機器から送信されるデータと通信上の衝突を起こさないように前記MACに従って送信タイミングを制御する処理を行う。
また、通信インターフェイス部Aは、MACコントローラー70やメモリー71の他に、信号インターフェイス部72及び73、及びデータインターフェイス部74を備える。
信号インターフェイス部72は、NIC部7が電源部8との間で各種の信号を通信するための緩衝装置であり、AC断検知回路80が商用電力ACの遮断を検知したことを表すAC断検知信号を受け付け、制御部75に中継する。
信号インターフェイス部73は、NIC部7が画像形成処理部100との間で各種の信号を通信するための緩衝装置であり、画像形成処理部100から、後述する蓄積開始信号及び蓄積終了信号を受け付け、制御部75に中継する。
データインターフェイス部74は、NIC部7が画像形成処理部100との間で各種のデータを通信するための緩衝装置である。制御部75は、NIC7を統括的に制御するとともに、電源部8を制御する。
制御部75は、通常電力モード及び省電力モードのいずれか一方を実行する。制御部75は、通常電力モードでは、省電力用電力供給部81及び通常電力用電力供給部82を通電させて、NIC部7、画像形成処理部100、及び、その他回路部9へ駆動電力を供給する。
一方、省電力モードでは、制御部75は、通常電力用電力供給部82を通電させずに、省電力用電力供給部81のみを通電させて、NIC部7のみに駆動電源を供給する。
このような構成の制御部75は、操作ボタン18E(節電ボタン)が操作されるか、又は、画像形成装置1が所定時間使用されなかったことにより通常電力モードから省電力モードに切り替えるべきタイミングになった旨の通知を本体制御部107から受信すると、通常電力モードの実行を中止して、省電力モードの実行を開始する。
また、制御部75は、省電力モード中には、LAN(N)を通じてデータが到来しているか否かを監視する。すなわち、制御部75は、省電力モード中において、MACコントローラ311によりデータが受信されると、そのデータに係るプロトコルを認識する。
ここにおいて、プロトコルとしては、印刷ジョブに係るプロトコル(印刷ジョブプロトコル)の他、例えばトナー量などの当該画像形成装置1の保守点検を行うためのメンテナンスプロトコルや、IPアドレスからEthernet(登録商標)のMACアドレスを求めるのに使われるARP(Address Resolution Protocol)と呼ばれるプロトコルが一例としてある。
制御部75は、認識したプロトコルに応じて、省電力モードを維持すべきか、省電力モードを中止して通常電力モードを実行すべきかを判断する。
例えば、制御部75は、認識したプロトコルが印刷ジョブプロトコルやメンテナンスプロトコルである場合には、省電力モードを中止して通常電力モードを実行する。一方、制御部75は、認識したプロトコルが、ARPである場合には、省電力モードを維持する。
これは、ARPに係るデータに基づく動作を行う場合に、その動作に画像形成処理部100が関わらないため、画像形成処理部100に電力を供給する必要が無いことに基づく。
さらに、制御部75は、画像形成処理部100の本体制御部107から、データ蓄積処理を開始したことを示す蓄積開始信号を受け付けた後、当該データ蓄積処理が終了したことを示す蓄積終了信号を受け付けるまでの間に、信号インターフェイス部72を通じて、AC断検知回路80からのAC断検知信号を受け付けたときには、通常電力用電力供給部82により、キャパシタ82Aに蓄積されているバックアップ電力を、データ蓄積処理部Cのみに供給させる。
さらに、制御部75は、画像形成処理部100におけるデータ蓄積処理が終了したことを、画像形成処理部100から出力される蓄積終了信号を受け付けることで知る。
このような構成のNIC部7では、制御部75の電源ラインが、他の各部の電源ラインと分離されており、他の各部への電力供給を遮断したまま、制御部75への電力供給を行って、当該制御部75による制御が可能なように構成されている。これにより、制御部75は、第1スイッチSW1がオン、第2スイッチSW2がオフされることで供給されたバックアップ電力を受け付けて駆動する。
そして、制御部75は、バックアップ電力を受け付けて駆動している際に、画像形成処理部100から出力される蓄積終了信号を受け付けたときには、通常電力用電力供給部82によるデータ蓄積処理部Cへのバックアップ電力の供給を、第3スイッチSW3をオフさせて停止させる。
ついで、制御部75は、第2スイッチSW2をオンさせて、NIC部7の各部のうち制御部75以外の各部が駆動するためのバックアップ電力を、当該制御部75以外の各部に向けて供給させて、LAN(N)上のPC12やサーバー13に異常通知を行う。
ここにおいて、異常通知は、画像形成装置1において電源に異常があることを表す通知であり、例えば、商用電力ACの供給が遮断されたことを表す通知や、データ蓄積処理が行われている途中に商用電力ACの供給が遮断されたことを表す通知が挙げられる。
図5は、商用電力ACの供給が遮断されていないときにおける制御部75の基本動作の一例を示したフローチャートである。尚、以下の処理を行う前提として、通常電力モードが実行されているものとする。このとき、先述したように、省電力用電力供給部81及び通常電力用電力供給部82が通電されている。
制御部75は、省電力モードに移行すべきとき、つまり、通常電力モードから省電力モードに切り換えるべきタイミングである旨が本体制御部107から到来したときには(ステップS1のYES)、通常電力用電力供給部82の通電を遮断して、通常電力用電力供給部82による、画像形成処理部100、その他回路部9、及びモータ96への駆動電力の供給を停止させる(ステップS2)。これにより、通常電力モードの実行が中止され、省電力モードの実行が開始される。
省電力モード中には、制御部75は、以下のように動作する。つまり、制御部75は、LAN(N)を通じて送られてきたデータをMACコントローラー70が受け付けたときには(ステップS3のYES)、受信したデータに係るプロトコルを認識する(ステップS4)。
制御部75は、認識したプロトコルが、省電力モードを中止して通常電力モードを実行すべきプロトコルであるときには(ステップS5のYES)、通常電力用電力供給部82を通電させて、画像形成処理部100、その他回路部9、及び、モータ96への駆動電力の供給を再開させる(ステップS6)。
一方、制御部75は、認識したプロトコルが、省電力モードを中止して通常電力モードを実行すべきプロトコルではないときには(ステップS5のNO)、ステップS3の処理に戻る。これにより、省電力モードが継続される。
以上のように、画像形成装置1は、省電力モードでは、画像形成処理部100及びその他回路部9への駆動電力の供給を行わず、画像形成処理部100及びその他回路部9よりも消費電力が小さなNIC部7のみに駆動電力の供給を行う。
また、画像形成装置1は、省電力モード中に、省電力モードを中止して通常電力モードを実行すべきプロトコルに従ってデータを受信したときには、省電力モードを中止して通常電力モードを実行する。
これにより、省電力モード中でも、通信ネットワークを通じた通信機能を残しながら消費電力の低減を図ることができる。
図6は、商用電力ACの供給が遮断されたときにおける制御部75の基本動作の一例を示したフローチャートである。
制御部75は、AC断検知回路80から出力されたAC断検知信号を受け付けたときには(ステップS10のYES)、画像形成処理部100において、データがハードディスク104に書き込まれている途中であったり(ステップS11のYES)、或いは、データがEEPROM105に書き込まれている途中である場合には(ステップS12のYES)、通常電力用電力供給部82により、第3スイッチSW3をオン、第4スイッチSW4をオフさせて、データ蓄積処理部C、つまり、RAM103、ハードディスク104又はEEPROM105、及び、本体制御部107に対して、バックアップ電力を供給させる(ステップS13)。
これにより、データ蓄積処理部Cによるデータ蓄積処理に必要最低限のバックアップ電力がデータ蓄積処理部Cに供給される。
ここにおいて、ステップS11及びステップS12において、制御部75は、本体制御部107から蓄積開始信号を受け付けたが蓄積終了信号を受け付けていないときに、それぞれ「YES」と判断する。
そして、制御部75は、本体制御部107から蓄積終了信号を受け付けると(ステップS14のYES)、通常電力用電力供給部82に対し、第3スイッチSW3をオフさせて、データ蓄積処理部Cへのバックアップ電力の供給を停止させる(ステップS15)。
その後、制御部75は、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をオンさせて、NIC部7全体が駆動するためのバックアップ電力を省電力用電力供給部81からNIC部7に供給させ(ステップS16)、LAN(N)上のPC12やサーバー13に対して異常通知を行う(ステップS17)。
以上のように、画像形成装置1は、商用電力ACの供給が遮断されたときには、データ蓄積処理部Cのみにバックアップ電力を供給するため、キャパシタ82Aから供給されたバックアップ電力に基づきデータのバックアップ処理を実行する際に、バックアップ電力の利用効率を向上させることができる。
また、画像形成装置1は、データ蓄積処理が終了したときには、データ蓄積処理部Cへのバックアップ電力の供給を停止してから、NIC部7全体が駆動するためのバックアップ電力をNIC部7に供給して異常通知を行うため、蓄積できるバックアップ電力に限りのあるキャパシタ82Aにより供給される電力を、データ蓄積処理以外の他の処理のために温存することができる。