一方、画像形成部は、通常動作モードでは比較的高温になるが、スリープモードとなると、給電が停止され、温度は低下する。特に、高温の定着装置を備える電子写真方式の画像形成装置では、このような大幅な温度変化が顕著である。そして、この電子写真の現像プロセスにおいて、待機時にドラム結露が発生した場合には、復帰時に特別な起動動作、具体的にはドラム表面の除湿動作(エージング動作)が必要になることがある。このため、待機状態においても、温度および湿度といった環境変化を監視しつつ、待機電力を削減する必要がある。
ここで、前記特許文献1は、典型的なプリンタと、復帰監視部となるコントローラとの構成である。したがって、このような構成で、前記温度および湿度を監視しようとすると、プリンタに温度センサおよび湿度センサを設け、コントローラは定期的にプリンタをスリープモードから通常動作モードに復帰させてセンシングを行わせなければならず、省電力効果が低下する。一方、コントローラに前記温度センサおよび湿度センサを設けると、プリンタは、カラーやモノクロ、またカラーでも転写ベルトを使用するか、転写ドラムを使用するか等、仕様によって大きく異なり、その仕様に合わせて、センサの数や種類等が異なるので、前記コントローラの種類が増加し、コストが上昇する。
本発明の目的は、画像形成部の環境監視を行うにあたって、待機電力を削減することができるとともに、コストを削減することができる画像形成装置を提供することである。
本発明に係る画像形成装置は、画像形成を行うことができる通常動作モードから、所定の条件が満足されることで前記画像形成の不能なスリープモードに切換わり可能な画像形成部と第1のCPUとを含む本体部と、前記本体部に前記通常動作モードで給電を行い、前記スリープモードで前記本体部への給電を停止する第1の電源供給部と、前記第1の電源供給部よりも給電量の少ない第2の電源供給部とを備える電源供給部と、プリンタ連動を実現するネットワークインタフェイスと記憶部と第2のCPUとを備え、少なくとも前記画像形成部がスリープモードにある間に、前記第2の電源供給部から給電が行われ、所定の条件が満足されることで前記画像形成部をスリープモードから通常動作モードに復帰させる復帰監視部と、前記画像形成部における少なくとも環境温度および湿度を検出する温湿度センサとRAMと第3のCPUとを含むとともに、少なくとも前記画像形成部がスリープモードにある間に、前記第2の電源供給部から給電が行われる環境監視部とを含み、前記第3のCPUは、前記スリープモードにある間に、前記温湿度センサによって前記環境温度および湿度を検出させてその検出結果を前記RAMに記憶させ、前記環境監視部は、前記本体部と前記復帰監視部との間に介在し、前記第3のCPUは、前記スリープモードにある間に、前記環境温度および湿度の検出結果を解析して結露の有無を判定し、その判定結果を前記RAMと前記復帰監視部の前記記憶部とに記憶させ、前記第1のCPUは、前記復帰監視部によってスリープモードから通常動作モードに復帰させられた時点で前記RAMの記憶内容を参照し、起動手順を選択することを特徴とする。
上記の構成によれば、待機時の省電力化のために、画像形成部が、画像形成を行うことができる通常動作モードから所定の条件が満足されることで前記画像形成の不能なスリープモードに切換わり可能であり、これに対応して、電源供給部が、前記画像形成部に前記通常動作モードで給電を行い、前記スリープモードで給電を停止する第1の電源供給部と、前記第1の電源供給部よりも給電量の少ない第2の電源供給部とを備えて構成され、前記第2の電源供給部では少なくとも前記画像形成部がスリープモードにある間に復帰監視部に給電を行い、該復帰監視部は、所定の条件が満足されることで前記画像形成部をスリープモードから通常動作モードに復帰させるようにした画像形成装置において、新たに環境監視部を設ける。
そして、この環境監視部は、少なくとも前記画像形成部がスリープモードにある間に、前記第2の電源供給部から給電が行われ、前記画像形成部における少なくとも環境温度および湿度を検出し、検出結果を記憶しておく。一方、前記画像形成部は、前記復帰監視部によってスリープモードから通常動作モードに復帰させられた時点で、この環境監視部の記憶内容を参照し、起動手順を選択する。具体的には、スリープ中に画像形成部が結露の疑われる条件となったか否かを判定し、結露の疑いの無い場合には、そのままトナー撹拌や感光体ドラムのクリーニングから帯電を行うなどの通常の起動動作を行い、結露の疑いの有る場合には、一旦ドラム表面の除湿動作(エージング動作)を行った後、前記通常の起動動作を行う。
なお、復帰監視部および環境監視部は、第1の電源供給部が給電しているときはそれから、給電していないときは第2の電源供給部から給電を受けるようにしてもよく、或いは前記第1の電源供給部は前記画像形成部専用として、常時第2の電源供給部から給電を受けるようにしてもよい。
したがって、画像形成部が直接環境監視を行う場合に比べて、最低限の消費電力で、スリープ復帰要因と、環境監視とを行うことができる。また、そのような画像形成部の環境監視を行うにあたって、たとえば電子写真方式の画像形成部においては、カラーやモノクロ、またカラーでも転写ベルトを使用するか、転写ドラムを使用するか等、仕様(機種別)によって大きく異なる画像形成部に合わせて、前記少なくとも環境温度および湿度を検出するセンサの数や種類等の異なる環境監視部を用いる、すなわち環境監視機能を復帰監視部から分離することで、該復帰監視部をモジュール化して、複数の仕様(機種)間で共用可能とし、コストを削減することができる。
また、本発明の画像形成装置では、前記環境監視部は、前記環境温度および湿度の検出結果から結露の有無を判定し、その判定結果のフラグを記憶しており、前記画像形成部は、前記フラグを読込み、前記起動手順を選択することを特徴とする。
上記の構成によれば、画像形成部は、環境温度および湿度の検出結果から複雑な結露判定を行う必要は無く、スリープモードから通常動作モードに復帰させられた時点で、環境監視部のフラグを読込むだけで、速やかに起動手順を選択することができる。
さらにまた、本発明の画像形成装置では、前記復帰監視部は、プリンタ連動を実現するネットワークインタフェイスと、記憶部とを備え、前記環境監視部は、前記結露の有無の判定結果を前記復帰監視部の記憶部にも記憶させておくことを特徴とする。
上記の構成によれば、前記復帰監視部がプリンタ連動を実現するネットワークインタフェイスを備える場合、連動相手のパーソナルコンピュータなどからは該画像形成装置がどのような状況にあるのかのステータス情報の問い合わせがある。そこで、この復帰監視部に記憶部を設けておき、前記第2の電源供給部から給電されて、共にスリープモードでも動作しているこの復帰監視部に対して、前記環境監視部は、前記結露の有無の判定結果をこの記憶部にも記憶させておく。
したがって、前記ステータス情報として、結露の有無、すなわち通常よりも印字に時間が掛かるかの問い合わせに容易に対応することができる。
また、本発明の画像形成装置では、前記環境監視部は、1または複数の給紙トレイにおける収容記録紙サイズセンサおよび残量センサ、ならびにトナー残量センサの内の少なくとも1つの検出結果を、前記復帰監視部の記憶部に記憶させることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記画像形成部がスリープモードにある間に、用紙の切換えや補充或いはトナーカートリッジの交換が行われた場合、これを画像形成部を通常動作モードに復帰させることなく、前記環境監視部で監視することができる。そして、給紙トレイなどはオプションで増設可能になっていたりして、仕様によって異なるので、これも前記のように仕様によって異なる環境監視部で監視することで、前記復帰監視部は共用可能とし、コストを削減することができる。
また、前記の収容記録紙サイズおよび残量ならびにトナー残量は、前記のプリンタ連動時に連動相手のパーソナルコンピュータなどからステータス情報として問い合わせがあるので、前記結露の有無の判定結果と共に復帰監視部の記憶部に記憶させておくことで、前記問い合わせに容易に対応することができる。
本発明の画像形成装置は、以上のように、待機時の省電力化のために、画像形成部が通常動作モードからスリープモードに切換わり可能であり、復帰監視部が所定の条件が満足されることで前記画像形成部をスリープモードから通常動作モードに復帰させるようにした画像形成装置において、新たに環境監視部を設け、この環境監視部が前記スリープモードの間に前記画像形成部における少なくとも環境温度および湿度を検出して検出結果を記憶しておき、前記画像形成部は通常動作モードに復帰させられた時点で、この環境監視部の記憶内容を参照し、起動手順を選択する。
それゆえ、画像形成部が直接環境監視を行う場合に比べて、最低限の消費電力で、スリープ復帰要因と、環境監視とを行うことができる。また、そのような画像形成部の環境監視を行うにあたって、仕様(機種別)によって大きく異なる画像形成部に合わせて、センサの数や種類等の異なる環境監視部を用いる、すなわち環境監視機能を復帰監視部から分離することで、該復帰監視部をモジュール化して、複数の仕様(機種)間で共用可能とし、コストを削減することができる。
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置1の内部構成を模式的に示した縦断面図である。この画像形成装置1は、フルカラーコピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を集約的に備えた前記MFPとして実現される。この画像形成装置1は、大略的に、画像読取部2と装置本体3とを有する。
前記画像読取部2は、原稿給紙部21と、スキャナ部22と、CIS231と、ユーザインタフェイス部5と、原稿反転機構210とを備えて成る。原稿給紙部21は、ADF(Automatic Document Feeder)を備え、原稿トレイ211に載置された原稿をピックアップローラ212により1枚ずつ間隙を介して順次プラテン213に搬送し、プラテン213を経由した原稿を排紙ローラ214により排紙トレイ215に順次排出する構成を備える。
スキャナ部22は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものであり、原稿載置台221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、CCD(Charge Coupled Device)229を備えて構成されている。
前記光源222としてたとえば冷陰極蛍光管等の白色蛍光ランプが採用されており、前記スキャナ部22は、前記第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227および結像レンズ228によって、前記光源222からの光による原稿からの反射光をCCD229に導き、原稿画像が読取られる。
前記原稿載置台221には、前記原稿給紙部21によらない原稿読取時に、ユーザの手動により原稿が載置される。このため、光源222および第1ミラー223は第1キャリッジ226によって支持され、第2ミラー224および第3ミラー225は第2キャリッジ227によって支持され、副走査方向(矢符Yおよびその逆方向)への走査が可能になっている。
前記画像読取部2の原稿読取方式として、詳細には説明しないが、原稿載置台221上に載置された原稿をスキャナ部22が、前記キャリッジ226,227を移動させてCCD229で読取るフラットベッド読取モードと、前記キャリッジ226,227を固定して原稿を原稿給紙部21(ADF)によって取込み、その搬送途中でCCD229および場合によってCIS231を併用して読取るADF読取モードがある。
詳しくは、前記ADF読取モードは、両面反転読取モードと両面同時読取モードとに分けられる。すなわち、原稿給紙部21は、切換ガイド216、反転ローラ217、反転搬送路218および一時排出部219を備えた前記原稿反転機構210を有し、両面反転読取モードは、この原稿反転機構210が、CCD229による1回目のADF読取りによって表面(原稿の一方の面)が読取られた原稿を表裏反転させて読取窓230に再搬送することで、再度CCD229によって裏面(原稿の他方の面)の読取りを行う読取モードである。
両面同時読取モードは、原稿トレイ211から搬送された原稿のうち、表面を読取窓230上を通過するときにCCD229で読取り、裏面をCIS231上を通過するときにCIS231で読取るというように、原稿給紙部21による原稿トレイ211から排紙トレイ215までの1回の原稿搬送操作(ワンパス)によって原稿の表裏両面を読取る読取モードである。
前記装置本体3は、複数の給紙カセット461と、手差しトレイ471と、前記給紙カセット461および手差しトレイ471から用紙を1枚ずつ繰出して画像形成部40へ搬送する給紙ローラ462,472と、給紙カセット461および手差しトレイ471から搬送されてきた用紙に画像を形成する画像形成部40とを備える。この装置本体3の側方にはスタックトレイ6が配設されている。
前記画像形成部40は、感光体ドラム43の表面から残留電荷を除電する除電装置421と、除電後の感光体ドラム43の表面を一様に帯電させる帯電装置422と、スキャナ部22で取得された画像データやプリンタデータに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43の表面を露光し、当該感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置423と、前記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)の各色のトナー像を形成する現像装置44K,44Y,44M,44Cと、感光体ドラム43に形成された各色のトナー画像が順次転写されて重合わせられる転写ドラム49と、転写ドラム49上のトナー像を用紙に一括転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
なお、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色に対するトナーの供給は、図略のトナー供給容器(トナーカートリッジ)から行われる。また、画像形成部40を通過した用紙をスタックトレイ6または排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463,464等が設けられている。そして、用紙の両面に画像を形成する場合は、画像形成部40で用紙の一方の面に画像を形成した後、この用紙を排出トレイ48側に排出して、その端部を搬送ローラ463にニップされた状態とし、この状態で搬送ローラ463を反転させて用紙をスイッチバックさせ、反転搬送路465を介して前記画像形成部40の上流域に再度搬送し、画像形成部40により他方の面に画像を形成した後、用紙をスタックトレイ6または排出トレイ48に排出する。
また、装置本体3の前方には、ユーザが操作画面や各種メッセージ等を視認することができる表示部51や、種々の操作命令を入力するための操作ボタン等を有するユーザインタフェイス部5が備えられている。図2は、ユーザインタフェイス部5の正面図の一例である。
ユーザインタフェイス部5は、表示部51、タッチパネル52、数字キー群53、各種操作ボタン54〜57、機能選択ボタン58等を備える。表示部51は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって構成され、用紙サイズ選択、倍率選択、濃度選択等のユーザに対する操作案内画面が表示される。この表示部51は、タッチパネル52と一体的に形成されている。
数字キー群53は、該画像形成装置にコピー機能を実現させる場合にはコピー枚数を、ファクシミリ機能を実現させる場合には送信先の電話番号等を入力するためのものである。節電ボタン54は、複合機1をスリープモード(省電力モード)にするボタンである。スタートボタン55はコピー動作やスキャナ動作等を開始させるボタンであり、ストップ/クリアボタン56はコピー動作やスキャナ動作等の停止、入力操作の取消しを行うボタンである。リセットボタン57は表示部51の表示や各種設定を初期状態または標準動作状態にするボタンである。機能選択ボタン58は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を設定するためのボタンである。
なお、本実施形態の画像形成装置1は、電力を供給するモードとして、該画像形成装置1内の各部に電力を供給する通常動作モードの他に、前記スリープモード(省電力モード)が設けられている。前記スリープモードは、たとえばユーザインタフェイス部5に設けられている前述の節電ボタン54が操作された場合の他、該画像形成装置1が所定時間使用されなかった場合等にも自動的に切換わるモードである。
図3は、上述のように構成される画像形成装置1の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1において、注目すべきは、画像形成を行うことができる通常動作モードから、所定の条件が満足されることで前記画像形成の不能なスリープモードに切換わり可能な前記画像形成部40に、前記画像読取部2などを備える本体部100と、所定の条件が満足されることで前記画像形成部40をスリープモードから通常動作モードに復帰させる復帰監視部110との間に、環境監視部120を介在し、この環境監視部120が中継して前記画像形成部100と復帰監視部110とが連携して動作を行うことである。この図3では、前記本体部100において、スリープモードとなる画像形成部40のみを記載し、動作が終了すると電源供給が遮断される原稿給紙部21やスキャナ部22などの画像読取部2の構成は、省略している。
この画像形成装置1における電源供給部130は、通常動作モードの期間のみに前記本体部100、復帰監視部110および環境監視部120の総てに給電を行う第1の電源供給部131と、スリープモードの期間のみに前記復帰監視部110および環境監視部120に給電を行う第2の電源供給部132とを備えて構成される。現像装置44K,44Y,44M,44Cや定着装置45を始めとする本体部100の機構部に給電を行う第1の電源供給部131は、たとえば数百Wの大パワーの給電が可能であり、これに対してスリープモードの期間のみ、電子回路から成る復帰監視部110および環境監視部120に給電を行う第2の電源供給部132は、前記第1の電源供給部131よりも給電量が少なく、たとえば数W程度である。
したがって、一般に、電力定格の大きな部品は電力損失が大きいので、第1の電源供給部131を低効率で動作させてスリープモードの電源供給に用いるよりも、第2の電源供給部132を高効率で動作させることで、待機時の電力損失を低減することが可能となる。なお、前記第1の電源供給部131は本体部100の専用として前記通常動作モードの期間のみに給電を行い、第2の電源供給部132は復帰監視部110および環境監視部120の専用として常時給電を行うようにしてもよい。
前記本体部100は、前記画像形成部40と、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理部)101と、CPU101の動作を規定するプログラムを格納するROM(Read Only Memory)102と、CPU101のデータを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)103と、インタフェイス部104,105とを備えて構成される。
一方、復帰監視部110は、CPU111と、ROM112と、RAM113と、インタフェイス部114,115と、MAC(Media Access Control)部116と、復帰要因監視部117とを備えて構成される。
前記MAC部116は、Ethernet(登録商標)等の通信ネットワーク118を介してプリンタ連動やスキャナデータの送信を行うパーソナルコンピュータやサーバなどと接続されており、たとえばIEEE802.3に準拠したに規格によって、それらとの間で通信を行う。前記MAC部116は、前記通信ネットワーク118上において伝送されているデータが自機宛のものであるか否かを、そのデータに含まれているMACアドレスが自己に割り当てられたMACアドレスと同値の宛先MACアドレスであるか否かに基づいて判断し、そうであるときに該データを取り込んで本体部100に通知する処理や、他の電子機器から送信されるデータと通信上の衝突を起こさないように前記MACに従って送信タイミングを制御する処理を行ったりするものである。
また、環境監視部120は、CPU121と、ROM122と、RAM123と、インタフェイス部124,125と、I/O(入出力)部126と、温湿度センサ127とを備えて構成される。
上述のように構成される画像形成装置1において、通常動作モードで通信ネットワーク118を介して復帰監視部110で受信されたプリントデータは、MAC部116からインタフェイス部115へ転送され、本体部側のインタフェイス部105に転送されて、CPU101で所定の画像処理が施され、前記画像形成部40から印字出力される。受信されたデータがファクシミリデータである場合や、プリントデータである場合でも画像形成部40が直ちに印字出力できない場合には、RAM113などに蓄積され、適宜印字出力される。また、本体部100内のスキャナ部22で読取られた原稿画像のデータも、前記CPU101で所定の画像処理が施され、前記画像形成部40から印字出力される。
そして、本体部100のCPU101は、所定時間使用されなかった場合に、通常動作モードからスリープモードに切換わるべきタイミングになったと判断し、インタフェイス部104から、環境監視部120のインタフェイス部125を経て、CPU121へその旨を通知する。
CPU121は、その通知をインタフェイス部124から復帰監視部110のインタフェイス部114を経て、CPU111へ通知する。これを受信したCPU111は、電源供給部130の第1の電源供給部131を停止させることで本体部100への給電を停止させ、代わって第2の電源供給部132を動作させることで、復帰監視部110および環境監視部120への給電は継続し、スリープモードに切換わる。
前記ユーザインタフェイス部5の節電ボタン54が操作された場合も、CPU111は、電源供給部130の第1の電源供給部131を停止させ、第2の電源供給部132を動作させて、スリープモードに切換わる。
これに対して、MAC部116で自機宛のプリントやファクシミリデータを受信したとき、或いはユーザインタフェイス部5のタッチパネル52や機能選択ボタン58等が操作されたとき、図示しないが原稿トレイ211に原稿が載置されたり、原稿載置台221が開閉されとき、または給紙カセットが開閉されたとき等のユーザー操作が行われたとき、それらの復帰要因が復帰要因監視部117で検知され、CPU111は通常動作モードへ復帰することを判定する。
そして、CPU111は、電源供給部130の第1の電源供給部131を動作させることで本体部100への給電を開始させ、代わって第2の電源供給部132を停止させて、前記通常動作モードに切換える。
ここで、前記本体部100は、前述のように現像装置44K,44Y,44M,44Cや定着装置45を始めとする発熱部分が通常動作モードでは発熱しており、結露の虞は少ないのに対して、その高温状態からスリープモードに入って、放冷すると、感光体ドラム43に結露が生じる可能性がある。
そこで、注目すべきは、前記本体部100と復帰監視部110との間に介在させた環境監視部120において、少なくとも前記スリープモードの間に、CPU121は、温湿度センサ127に環境温度および湿度を検出させて、その検出結果をRAM123に記憶させておき、前記本体部100のCPU101は、前記復帰監視部110によってスリープモードから通常動作モードに復帰させられた時点で、インタフェイス104,125を介して前記RAM123の記憶内容を参照し、起動手順を選択することである。
具体的には、CPU101は、前記RAM123の記憶内容から、スリープ中に画像形成部40が結露の疑われる条件となったか否かを判定し、結露の疑いの無い場合には、そのままトナー撹拌や感光体ドラム43のクリーニングから帯電を行うなどの通常の起動動作を行い、結露の疑いの有る場合には、一旦感光体ドラム43の表面の除湿動作(エージング動作)を行った後、前記通常の起動動作を行う。
したがって、本体部100に前記温湿度センサ127を設けて、該本体部100が直接環境監視を行う場合に比べて、最低限の消費電力で、復帰監視部110がスリープ復帰要因を、環境監視部120が環境を、それぞれ監視することができる。また、そのような本体部100の環境監視を行うにあたって、電子写真方式の画像形成部40においては、カラーやモノクロ、またカラーでも転写ベルトを使用するか、転写ドラム43を使用するか、或いは感光体ドラム43の材質の違いや、カセット・カバーの構成の違い等、仕様(機種別)によって、該画像形成部40は大きく異なる。その仕様に合わせて、前記温湿度センサ127の数や種類等の異なる環境監視部120を用いる、すなわち環境監視機能を復帰監視部110から分離することで、該復帰監視部110をスリープ中に必要最低限の機能に限定してモジュール化し、複数の仕様(機種)間で共用することで、コストを削減することができる。
また、前記環境監視部120のRAM123には、前記本体部100のCPU101から通信でリードできるレジスタ空間123aを持つ。CPU121は、前述のようにスリープモードの間に、温湿度センサ127の検出結果をこのRAM123に記憶させているが、逐次それらのデータを解析し、結露の有無、すなわち復帰時に除湿対応が必要となる環境変動を検出した時点で、このレジスタ空間123aにその旨のレジスタフラグを書込む。したがって、CPU101は、前記フラグを読込むだけで、速やかに起動手順(除湿動作を行うかどうか)を選択することができる。
さらにまた、前記復帰監視部110のRAM113には、CPU111を介して通信ネットワーク118側から通信でリードできるレジスタ空間113aを持つ。そして、前記環境監視部120のCPU121は、前記結露の有無の判定結果のフラグを、前記レジスタ空間123aと共に、このレジスタ空間113aにも記憶させておく。
これによって、前記復帰監視部110がプリンタ連動を実現するMAC部116を備え、連動相手のパーソナルコンピュータなどから該画像形成装置1がどのような状況にあるのかのステータス情報の問い合わせ(メンテナンスプロトコル)があっても、復帰監視部110のCPU111は、結露の有無、すなわち通常よりも印字に時間が掛かるかの問い合わせに容易に対応することができる。
また、前記ステータス情報としては、前記環境監視部120のCPU121には、給紙トレイ461および手差しトレイ471に設けられる収容記録紙サイズおよび残量センサS1、ならびにトナー残量センサS2の検出結果が、I/O(入出力)部126を介して入力され、該CPU121は、これらの検出結果を、前記インタフェイス124,114を介して、復帰監視部110側のレジスタ空間113aに記憶させる。
図4(a)は環境監視部120のレジスタ空間123aの記憶内容を示す図であり、図4(b)は復帰監視部110のレジスタ空間113aの記憶内容を示す図である。図4(a)で示すように、環境監視部120のレジスタ空間123aには、結露の有無の判定結果のフラグに、スリープモードから通常動作モードに復帰した要因のフラグが記憶される。前記復帰要因は、復帰監視部110のCPU111から送信される。本体部100のCPU101は、これらのフラグを参照して起動する。
この図4(a)の例では、復帰時に除湿動作が必要、すなわちスリープ中に結露が生じたことを表しており、また復帰要因としては、通信ネットワーク118を介するプリンタ印字ジョブの発生であることを示している。また、2つのフラグは、本体部100側から書込むことはできず、読出しのみとなっている。
また、図4(b)で示すように、復帰監視部110のレジスタ空間113aには、CPU11で書込まれた復帰要因のフラグと共に、CPU121によって書込まれた前記除湿動作の有無、各給紙トレイ461および手差しトレイ471の収容記録紙サイズおよび残量ならびにトナー残量のフラグが記憶される。図4(b)の例では、1段目の給紙トレイ461−1の収容記録紙サイズはA4縦、残量は100%、2段目の給紙トレイ461−2には用紙が無し、3段目の給紙トレイ461−3の収容記録紙サイズはA3縦、残量は50%、手差しトレイ471には用紙が無し、黒トナー残量は60%をそれぞれ示している。前述のように、収容記録紙サイズおよび残量、トナー残量ならびに除湿動作の有無の各フラグは、環境監視部120のCPU121によって書込まれ、復帰要因のフラグのみが該復帰監視部110のCPU111によって書込まれる。
このように構成することで、前記本体部100がスリープモードにある間に、用紙の切換えや補充或いはトナーカートリッジの交換が行われた場合、これを本体部100を通常動作モードに復帰させることなく、前記環境監視部120で監視することができ、スリープ中も総合的なマシーンステータスを監視することが可能となる。そして、給紙トレイ461などはオプションで増設可能になっていたりして、仕様によって異なるので、これも前記のように仕様によって異なる環境監視部120で監視することで、前記復帰監視部110は共用可能とし、コストを削減することができる。
また、前記の収容記録紙サイズおよび残量ならびにトナー残量は、前記のプリンタ連動時に連動相手のパーソナルコンピュータなどからステータス情報として問い合わせがあるので、前記結露の有無の判定結果と共に復帰監視部110の記憶部に記憶しておくことで、前記問い合わせに容易に対応することができる。