JP5918988B2 - 染色キット及び染色方法 - Google Patents

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Description

本発明は、生物組織の染色方法及びその染色方法に使用される染色キットに関する。
生体組織の顕微鏡等による観察は、病理診断において公知の検査方法である(例えば特許文献1〜3)。病理診断には、永久標本による病理組織診断と、術中迅速病理診断が含まれる。
術中迅速病理診断は、手術中に、腫瘍の良性悪性の判定や、腫瘍の転移の有無、切除断端における腫瘍残存の有無等を判定する。手術中に採取された病変組織を、包埋剤と共に急速に凍結させ、クライオスタットという特別な装置で薄切をし、スライドガラスに貼り付ける。
次に凍結組織薄切切片を染色する。凍結組織薄切切片はほとんど無色であり、細かい構造を観察するには各種の色素を用いて特定の成分を染める。一般にはHE染色が用いられる。
次に染色された凍結組織薄切切片を脱水処理後、封入剤を滴下し、カバーガラスで覆い、迅速病理標本とする。これにより例えば透過光式(明視野)生物顕微鏡にて組織内の微細構造を観察することができる。
しかし、応急標本である為、パラフィン包埋の工程を経て作製された、いわゆる永久病理組織標本と比較して、細胞所見、核所見の判定が難しく、高い技能が要求される。更に術中迅速病理診断標本の作製も高い技能が必要であり、しかも10分程度で作製作業を完了することが必要である。
一方、外科材料における永久病理組織標本の作製では、まず、採取された組織がホルマリン等の固定液にて固定される。固定は主として組織内・細胞内成分を化学的に架橋することでなされる。これにより組織・臓器の自家融解及び腐敗が停止し、蛋白質・核酸・糖質等の組織成分が保持され、組織染色性の低下が防止される。
次に病理医による外科組織材料の切り出しが行われる。すなわち、外科組織材料から病理組織標本作製のために肉眼観察で必要箇所を選定し、例えば2cm×3cm〜4cmまでの大きさ、薄さ0.5cmのブロック状に切り取る。肉眼での観察の為、病変部の微妙な性状の違いから、腫瘍本体や広がりを判断せざるを得ない。肉眼観察では視認できない場合、病変の可能性のある部位を全てブロックにする必要があり、ブロック数が非常に多くなる。固定の終わった組織片は、そのままでは硬さが不均一であるうえに柔らかすぎて数μmの薄い切片に切ることは不可能である。そのため、次にパラフィン等の包埋剤が組織に浸透させられ、これによりパラフィン包埋組織ブロックが作製される。この過程は、例えば、脱水・脱脂→脱水剤の除去及び仲間剤への置換→パラフィンの浸透から構成される。
次に組織の薄切がなされる。パラフィン包埋組織ブロックをミクロトームにてミクロン単位の厚さで薄く切る。
次に薄切された切片を温水面に浮かべ、スライドガラスに貼り付け、乾燥させる。
次に薄切切片を染色する。薄切切片はほとんど無色であり、細かい構造を観察するには各種の色素を用いて特定の成分を染める。一般にはHE染色が用いられる。
次に染色された薄切切片を脱水処理後、封入剤を滴下し、カバーガラスで覆う。これにより例えば透過光式(明視野)生物顕微鏡にて組織内の微細な構造を観察することができる。
特開2002−082026号公報 特開2004−132838号公報 特開2008−286694号公報
しかし、術中迅速病理診断における凍結標本の作製には、クライオスタットという特別な装置を必要とし、更に、作製自体に高い技能、熟練を必要とする。脂肪組織は包埋剤が浸透しない為、凍結切片の作製が出来ない。また、骨組織等の硬い組織においても、切れない為、凍結切片の作製が出来ない。
また、従来の外科材料の永久病理組織標本作製のための切り出し工程では、肉眼での観察の為、病変部の微妙な性状の違いから、腫瘍本体や広がりを判断せざるを得ず、腫瘍を視認できない場合、病変の可能性のある部位を全てブロックにする必要があり、ブロック数が非常に多くなる。更に、従来の外科材料永久病理組織標本作製には、顕微鏡による病理診断が可能となるまでに5〜7日程度を必要とする。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、クライオスタットのない施設においても、凍結薄切切片の作製をすることなく、簡易に、術中迅速病理診断が可能となり、脂肪組織や骨組織等の凍結切片の作製の不可能な組織においても術中迅速病理診断が可能であり、また外科材料永久病理組織標本作製のための切り出し工程の段階にて病理診断を可能とする、染色キット及び染色方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる染色キットは、生物組織の表面及び割面を染色する染色キットであって、前記生物組織の上皮細胞の細胞質を染色すメチレンブルーと、前記生物組織の細胞の細胞核を染色すヘマトキシリンと、前記メチレンブルーにて染色された生物組織の間質の過剰な染色を脱色させる還元剤と、細胞質を染色しているメチレンブルーが還元されることを防止する酸化剤と、を備える。
また、本発明にかかる染色方法は、生物組織の表面及び割面を染色する染色方法であって、前記生物組織の上皮細胞の細胞質をメチレンブルーにて染色する第1の染色工程と、前記メチレンブルーにて染色された生物組織の間質の過剰な染色を還元剤にて脱色する脱色工程と、前記生物組織の細胞の細胞核を更にヘマトキシリンにて染色する第2の染色工程と、前記メチレンブルーにて染色された生物組織の上皮細胞の細胞質における色素の退色を酸化剤にて防止する退色防止工程と、を有する。
本発明によれば、手術中に提出された未固定組織材料の表面及び割面を直接染色し、その正常組織構築、腫瘍組織構築、細胞所見、及び核所見を視認することができる。そのためクライオスタットのない施設や、凍結標本作製のための熟練した検査技師のいない施設においても、簡易に、術中迅速病理診断が可能となる。脂肪組織や骨組織等の凍結切片の作製の不可能な組織においても術中迅速病理診断が可能となる。
また本発明によれば、外科材料永久病理組織標本作製のための切り出し工程の段階にて、固定された生物組織の表面及び割面を直接染色し、その正常組織構築、腫瘍組織構築、細胞所見、及び核所見を視認することができる。このため適切な切り出しが出来、ブロック数の低減やステージングを含めたより正確な病理診断につながる。また、外科材料永久病理組織標本作製のための切り出し工程の段階にて、腫瘍の診断及び進達度の判定、並びに断端検索が可能となる。更に管腔や嚢胞の内腔面等、薄切切片標本と比べ三次元的に染色される範囲が広いため、より多くの情報が得られる。
更には本発明によれば、例えば学校等のミクロトームやクライオスタットのない施設においても、未固定生物組織材料や、固定された生物組織材料の表面及び割面おける、細胞所見、核所見を含む組織構築の観察が可能となる。
実施例1における甲状腺乳頭癌組織の生物顕微鏡写真図である。 実施例2における胃癌組織の生物顕微鏡写真図である。 実施例3における皮膚青色母斑組織の生物顕微鏡写真図である。 実施例4における唾液腺腺様嚢胞癌組織の生物顕微鏡写真図である。 実施例5における鶏砂嚢組織の生物顕微鏡写真図である。 実施例6における鶏骨組織の実体顕微鏡写真図である。 実施例7における豚舌組織の生物顕微鏡写真図である。 参考例における大腸癌組織の実体顕微鏡写真図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
(染色キット)
本実施形態にかかる染色キットは、生物組織の割面を染色する染色キットである。生物組織学的診断において、生物組織の割面を染色することは新規であり、本実施形態にかかる染色キットは、この新規染色方法に使用される。ここで生物組織は例えば病理組織であり、生物組織の割面とは、生物組織(例えば腫瘍)の所定部(例えば中心部)を通るラインに沿って切断刃による割を入れて形成される切断面である。生物組織の割面と一緒にその表面を染色することも可能である。染色対象となる生物組織は、生体から単離された生物組織又は手術中の生物組織のいずれとすることも可能であり、固定又は未固定のいずれの生物組織でも可能である。
本実施形態にかかる染色キットは、生物組織を染色するためのメチレンブルーと、生物組織を染色するためのヘマトキシリンと、メチレンブルーにて染色された生物組織における過剰な染色を脱色するための還元剤と、メチレンブルーにて染色された生物組織における色素の退色を防止するための酸化剤と、を備える。
まず、メチレンブルーは、生物組織の1回目の染色に使用される。このメチレンブルーにて生物組織の主として上皮細胞の細胞質が染色される。なお細胞核が染色されることもあるが、染まりムラが生じることが多く明瞭な核染色が得られることは難しい。メチレンブルーには、生物組織を染色することができる限りメチレンブルーの誘導体も含まれる。メチレンブルーの溶媒は、水性溶媒又はアルコール例えばエタノールである。メチレンブルーのpHは例えば3.0〜7.0である。
メチレンブルーの濃度は、生物組織を染色することができる限り特に限定されるものではないが、例えば0.5g/L〜10g/Lであることが好ましい。割面ではない例えば生体組織の胃粘膜表面や大腸粘膜表面のメチレンブルーによる染色は内視鏡領域で行われており、ここでのメチレンブルーの濃度は0.1g/L〜0.5g/Lである。そのため内視鏡領域で使用されるメチレンブルー染色に比較すると、本実施形態での0.5g/L〜10g/Lのメチレンブルー染色は染色濃度が濃いことになる。これは、後述するように生物組織をメチレンブルーにて染色した後に還元剤で過剰な染色を脱色するところ、濃度の濃いメチレンブルーにて細胞質等を染色してから還元剤で過剰な染色を脱色したほうが、良好なコントラストが得られるからである。
還元剤は、生物組織をメチレンブルーにて染色した後に使用される。メチレンブルーは上述したように主として上皮細胞の細胞質を染色するが、染色性は生物組織の部位等により微妙に異なる。そこで染色の程度を標準化するためにこの還元剤が使用される。即ち、上皮細胞の細胞質をメチレンブルーにて染色した後に還元剤で組織の間質の過剰な染色を脱色することにより、上皮細胞の染色状態を維持しつつ間質のバックグラウンド染色を減少させることができるので、良好なコントラストが得られる。
還元剤は、間質のバックグラウンド染色を減少させることができる限り特に限定されるものではないが、例えばシュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、アスコルビン酸及びこれらの塩類から選択することができる。還元剤の濃度は間質の染色を減少する観点から適宜選択することができ、例えば1×10−4N〜1×10−2Nとすることができる。
次に、ヘマトキシリンは、生物組織の2回目の染色に使用される。このヘマトキシリンにて生物組織の全ての細胞の細胞核が染色される。ヘマトキシリンには、生物組織を染色することができる限りヘマトキシリンの誘導体も含まれる。ヘマトキシリンの溶媒は水性溶媒であり、pHは例えば2.5〜4.0である。
ヘマトキシリンは、生物組織を染色することができる限り特に限定されるものではなく、例えばマイヤーヘマトキシリン、ギルヘマトキシリン等が使用され、好ましくはカラッチヘマトキシリンが使用される。カラッチヘマトキシリンにはグリセリンが含有されており、細胞核の染色性が向上すると共に染色時間を短縮できるからである。カラッチヘマトキシリン以外のヘマトキシリンでも、10〜20%(v/v)のグリセリンを含有させることにより細胞核の染色性向上及び染色時間の短縮が可能となり、好適に使用することができる。
最後に、メチレンブルーにて染色された生物組織における色素の退色を防止するために酸化剤が使用される。メチレンブルーは光が照射されることや、組織に含まれる還元剤の作用により速やかに退色するため、酸化剤を使用することによりメチレンブルーの退色を防止して明瞭な染色を維持する。なお、ヘマトキシリンの紫色発色のままでも生物組織の観察は十分に可能であるが、酸化剤によりメチレンブルーの退色が防止されると共にヘマトキシリンがヘマテインに変化することにより青色発色がなされる。
酸化剤は、メチレンブルーの退色が防止される限り特に限定されるものではないが、例えば硝酸、塩酸、硫酸、及びこれらの塩類から選択することができる。酸化剤の濃度はメチレンブルーの退色防止の観点から適宜選択することができ、例えば1×10−4N〜1×10−2Nとすることができる。
(染色方法)
本実施形態にかかる染色方法は、生物組織の割面を染色する。生物組織の割面と一緒にその表面を染色することも可能である。本実施形態にかかる染色方法は、生物組織をメチレンブルーにて染色する第1の染色工程と、メチレンブルーにて染色された生物組織における過剰な染色を還元剤にて脱色する脱色工程と、生物組織を更にヘマトキシリンにて染色する第2の染色工程と、メチレンブルーにて染色された生物組織における色素の退色を酸化剤にて防止する退色防止工程と、を有する。
まず、第1の染色工程において、上述した染色キットにおけるメチレンブルーを固定又は未固定の生物組織に十分量滴下して主として上皮細胞の細胞質を染色する。このメチレンブルーを滴下しての染色では、例えば0.1秒〜5秒を要する。なお、生物組織の病巣部が大きい場合等ではメチレンブルーによる染色を十分に行うため、メチレンブルーの滴下は所定間隔を開けて複数回行われてもよい。続いて生物組織を水洗する。
次に、脱色工程において、上述した染色キットにおける還元剤を使用して組織の過剰な染色を脱色する。これにより良好な染色のコントラストが得られる。この還元剤を使用しての脱色では、例えば0.1秒〜5秒を要する。続いて生物組織を水洗する。
次に、第2の染色工程において、上述した染色キットにおけるヘマトキシリンを生物組織に十分量滴下して全ての細胞の細胞核を染色する。このヘマトキシリンを滴下しての染色では、例えば1秒〜30秒を要する。続いて生物組織を水洗する。
最後に、退色防止工程において、上述した染色キットにおける酸化剤を使用してメチレンブルーの退色が防止される。なおメチレンブルーの退色が防止されると同時にヘマトキシリンの発色も可能となる。
これにより生物組織の割面の染色が可能となり、細胞所見、核所見を含む正常組織構築、腫瘍組織構築の観察が可能となる。また本実施形態における染色方法にて生物組織の割面の染色に要する時間は例えば10秒〜40秒であり迅速な病理診断が可能となる。
その後は、観察を容易にするために、染色した生物組織を透明なゲル状物質にて包摂し、マクロ観察、実体顕微鏡観察、又は生物顕微鏡観察等に供する。更にカバーガラスをゲル状物質の上から被せて観察してもよい。ここで上記の退色防止工程において、酸化剤に透明なゲル状物質を混合して用いることも可能であり、かかる場合にあってはメチレンブルーの退色防止と同時に染色した生物組織の包摂が可能となるので病理診断がより迅速且つ容易となる。また透明なゲル状物質にて包摂せずに、染色した生物組織を水中に浸漬させてピン等で固定することによっても観察を容易にすることができる。
なお、上述の実施形態では、第1の染色工程にてメチレンブルーを使用し、第2の染色工程にてヘマトキシリンを使用したが、本実施形態にかかる染色方法はこのような使用順序に限定されない。例えば、メチレンブルー・ヘマトキシリンによる染色の程度が悪くなる虞があるものの、第1の染色工程として生物組織をヘマトキシリンにて染色し、次に第2の染色工程として生物組織をメチレンブルーにて染色し、次に脱色工程にてメチレンブルーにて染色された生物組織における細胞の間質の染色を還元剤にて脱色し、最後に退色防止工程にてメチレンブルーにて染色された生物組織における色素の退色を酸化剤にて防止することも可能である。
(メチレンブルーのみによる染色)
メチレンブルーのみによる生物組織の割面の染色を説明する。この染色方法は、生物組織をメチレンブルーにて染色する染色工程と、メチレンブルーにて染色された生物組織における組織の過剰な染色を還元剤にて脱色する脱色工程と、メチレンブルーにて染色された生物組織における色素の退色を酸化剤にて防止する退色防止工程と、を有する。このメチレンブルーのみによる生物組織の染色では、上皮細胞核の染色は染色ムラがあるものの、上皮細胞質は迅速且つ安定して染色され、マクロ観察及びマクロ像撮影の場合に好適である。メチレンブルーのみによる生物組織の染色では、上述したメチレンブルー及びヘマトキシリンを使用する染色と比較して、メチレンブルーの濃度は低くしてもよく、例えば0.5g/L〜5g/Lである。
(実施例1)
生物組織として外科材料甲状腺腫瘍組織を使用した。外科材料甲状腺腫瘍組織をホルマリンにて固定し、垂直断にて5mm間隔で平行に切断刃による割を入れて割面を形成した。次に、腫瘍を含む外科材料甲状腺腫瘍組織切片を1mm厚にスライスした。次にメチレンブルー(和光純薬工業株式会社製の販売元コード275-07895のメチレンブルー原液を30倍希釈したもの)を割面全体に行き渡るに十分量(1ml程度)滴下し、2秒間染色した。次に、水槽中で組織を上下させた。次に、0.001規定シュウ酸水槽中で、観察しながら割面が適当な色合いになるまで、組織切片を上下させた。次に、水槽中で組織を上下させた。次に、2xカラッチヘマトキシリン液(和光純薬工業株式会社 販売元コード039-17705)を割面全体に行き渡るに十分量(1ml程度)滴下し、10秒間染色した。なお、2xカラッチヘマトキシリン液の組成は、ヘマトキシリン2.0g、カリウムミョウバン50g、ヨウ素酸ナトリウム0.4g、グリセリン200mL、蒸留水800mLからなるものであった。次に、水槽中で組織を上下させた。次に、この組織切片につき0.001規定硝酸水を割面全体に行き渡るに十分量(1ml程度)滴下した。観察する染色した割面を上にして組織をスライドガラスに載せ、更に同割面に十分量のOCTコンパウンド(Tissue-Tek(登録商標):SAKURA(登録商標))を被覆させた。その上にカバーガラス(0.17mm)を被せ、透過光式生物顕微鏡で観察した。結果を図1に示す。図1に示されるように、甲状腺乳頭癌細胞核、核溝、核内封入体が視認できた。
(実施例2)
生物組織としてホルマリン固定外科材料胃腫瘍組織を使用した以外は、実施例1と同様にして染色を行い透過光式生物顕微鏡にて観察した。結果を図2に示す。図2に示されるように、低分化腺癌細胞、印環細胞が視認できた。
(実施例3)
生物組織としてホルマリン固定外科材料皮膚腫瘍組織を使用した以外は、実施例1と同様にして染色を行い透過光式生物顕微鏡にて観察した。結果を図3に示す。図3に示されるように、表皮細胞核、真皮内毛細血管、真皮内炎症細胞、青色母斑細胞が視認できた。
(実施例4)
生物組織としてホルマリン固定外科材料唾液腺腫瘍組織を使用した以外は、実施例1と同様にして染色を行い透過光式生物顕微鏡にて観察した。結果を図4に示す。図4に示されるように、唾液腺腺様嚢胞癌組織の篩状構造、癌細胞核が視認できた。
(実施例5)
生物組織として鶏砂嚢組織を使用し、未固定の組織を使用した以外は、実施例1と同様にして染色を行い透過光式生物顕微鏡にて観察した。結果を図5に示す。図5に示されるように、腺上皮構造、腺上皮細胞核、粘膜下組織線維芽細胞が視認できた。
(実施例6)
生物組織として鶏骨組織を使用した。未固定の組織を使用し、スライス厚を10mmにし、実体顕微鏡の試料台の上で観察した以外は、実施例1と同様にして染色を行い実体顕微鏡にて観察した。結果を図6に示す。図6に示されるように、骨細胞、骨髄細胞が視認できた。
(実施例7)
生物組織として豚舌組織を使用し、未固定の組織を使用した以外は、実施例1と同様にして染色を行い透過光式生物顕微鏡にて観察した。結果を図7に示す。図7に示されるように、重層扁平上皮細胞核、細胞壁が視認できた。
(参考例)
生物組織として外科材料大腸腫瘍組織を使用した。大腸腫瘍組織をホルマリンにて固定し、腫瘍成分を垂直断にて5mm間隔で平行に切断刃による割を入れて割面を形成した。次にメチレンブルー(和光純薬工業株式会社製の販売元コード275-07895のメチレンブルー原液を30倍希釈したもの)を割面全体に行き渡るに十分量(2ml程度)滴下し、3秒間染色した。次に、水槽中で組織を上下させた。次に、0.001規定シュウ酸水槽中で、観察しながら割面が適当な色合いになるまで、組織切片を上下させた。次に、水槽中で組織を上下させた。次に、この組織切片につき0.001規定硝酸水を割面全体に行き渡るに十分量(2ml程度)滴下した。観察する染色した割面を上にして組織を実体顕微鏡の試料台に載せ、更に同割面に十分量のOCTコンパウンド(Tissue-Tek(登録商標):SAKURA(登録商標))を被覆させた後、実体顕微鏡で観察した。結果を図8に示す。図8に示されるように、腫瘍細胞核、線維芽細胞核、毛細血管が視認できた。
薄切切片の作製を要しない生物組織、及び薄切切片の作製不能な生物組織の染色、病理診断に有益である。

Claims (4)

  1. 生物組織の表面及び割面を染色する染色キットであって、
    前記生物組織の上皮細胞の細胞質を染色すメチレンブルーと、
    前記生物組織の細胞の細胞核を染色すヘマトキシリンと、
    前記メチレンブルーにて染色された生物組織の間質の過剰な染色を脱色させる還元剤と、
    細胞質を染色しているメチレンブルーが還元されることを防止する酸化剤と、を備える染色キット。
  2. 前記メチレンブルーの濃度が、0.5g/L〜10g/Lである請求項1記載の染色キット。
  3. 前記ヘマトキシリンは、カラッチヘマトキシリンである請求項1又は2記載の染色キット。
  4. 生物組織の表面及び割面を染色する染色方法であって、
    前記生物組織の上皮細胞の細胞質をメチレンブルーにて染色する第1の染色工程と、
    前記メチレンブルーにて染色された生物組織の間質の過剰な染色を還元剤にて脱色する脱色工程と、
    前記生物組織の細胞の細胞核を更にヘマトキシリンにて染色する第2の染色工程と、
    前記メチレンブルーにて染色された生物組織の上皮細胞の細胞質における色素の退色を酸化剤にて防止する退色防止工程と、を有する染色方法。
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