JP4188054B2 - 被検生物学的試料の新規染色方法およびそれに使用されるアッセイ用キット - Google Patents

被検生物学的試料の新規染色方法およびそれに使用されるアッセイ用キット Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は生物学的試料を染色するための新規な方法とそれを用いる新規なキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
生物学的試料(例えば組織切片、タッチスメア、細胞等)に存在する特定の標的物質(例えば抗原)の存在を判別する手法として、かかる標的物質をシグナルとして可視化し検出する免疫染色法が従来から用いられてきており、主に蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法および放射性同位元素標識抗体法が用いられてきた。
【0003】
例えば、蛍光抗体法は、標的抗原に対する抗体、通常はモノクローナル抗体を蛍光色素で標識し、組織切片上の抗原の分布を判別する手法で、直説法と間接法の2つの二重染色法に分類することができる。前者では、予め蛍光色素標識された抗体を抗原−抗体反応に用いて標的抗原を直接可視化し、後者では、最初に標的抗原に特異的な一次抗体を抗原との反応に供し、次いで該一次抗体に特異的な標識二次抗体を反応させ、いわば間接的に標的抗原を可視化する。酵素抗体法は、やはり同様に抗原−抗体反応という特異反応を利用する手法であるが、抗体を酵素で標識し、抗原−抗体反応後に該酵素によって発色基質の沈着を生じさせて抗体の局在を示す点に特徴がある。標識酵素としては、西洋わさびペルオキシダーゼ(Horseradish peroxidase;HRP)、アルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase;ALP)、グルコースオキシダーゼ(Glucose oxidase;GO)等が代表的である。酵素抗体法には、具体的に、酵素標識抗体法である直説法、間接法およびアビジン・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体(Avidin-biotinylated peroxidase complex;ABC)法と、非標識抗体法としてのペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ(Peroxidase-antiperoxidase;PAP)法とがあり、卵白の塩基性蛋白質であるアビジンに代わり、中性に荷電した、即ち中性化処理が不要なストレプトアビジン(Streptavidin)を用いるストレプトアビジン・ビオチン化抗体(Labeled streptavidin-biotinylated antibody;SABまたはLSAB)法が主流となっている。
【0004】
対象生物学的試料を上記免疫染色法に供する場合、通常、凍結切片やパラフィン切片として固相のマトリックス上に固定したものを調製して反応に付する。
【0005】
このように免疫的染色法を用いることにより、組織または細胞に存在する種々ペプチド性抗原(組織抗原、腫瘍抗原、免疫担当細胞亜型抗原、酵素、ホルモン等)、非ペプチド性の抗原、その他組織に沈着する免疫複合体等の検出が可能であり、各種疾患の診断マーカーの分布を判別することによる病理診断(例えば腫瘍マーカーの判別による腫瘍診断)も行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の免疫染色法では、作成した組織標本または細胞標本一つにつき、一種類の免疫反応しか行えないため、多数の抗原を標的とする免疫反応を行う場合にはそれに応じた多数の標本を調製する必要があり、資源と手間が要求された他、染色実験に供する試料が複数におよぶ場合は異なる試料どうしで結果を比較しなければならず、同時実験で結果を比較することもできない状況にあった。また、反応に必要な抗体量も多いことから、コストがかかるという問題もあった。さらに、免疫反応を行うための従来のキットは操作が必ずしも容易であるとはいえなかった。即ち、本発明の目的は、これらの問題を解決できる新規且つ優れた染色方法およびそれを用いるキットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記趣旨に鑑みて、鋭意研究と検討を重ねた。その結果、測定可能なシグナルを検出することにより被検生物学的試料中の標的分析物質の存在を判別する方法であって、(a)固相マトリックス上に被検生物学的試料を固定することにより成した第1の基板と、前記標的物質に対する特異的結合物質を含む区画を2個以上有する第2の基板とを、前記被検生物学的試料と前記特異的結合物質とが接触するように密着させる工程と;(b)標的分析物質とその特異的結合物質との間に結合反応が起こるとした場合に該結合反応が完了するのに充分な条件下でインキュベートする工程と;(c)該インキュベートの後に被検生物学的試料における測定可能なシグナルを確認する工程と、を含む、前記方法(以下、「方法(I)」と略記することがある。)、またはそれに使用するためのアッセイ用キットとを用いることにより、一度の操作で標的分析物質−特異的結合物質の結合反応を多数同時に行えて、多数の標的物質(抗原)の同時染色が可能になり、また、標的分析物質に対する特異的結合物質の所要量も従来法に比べて微量で済み、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、[1]被検生物学的試料中の標的分析物質の存在を判別するための前記方法(I);[2]第2の基板における区画が孔である前記[1]に記載の方法;[3]被検生物学的試料が哺乳動物の組織切片、タッチスメアまたは細胞である前記[1]に記載の方法;[4]被検生物学的試料が哺乳動物の血球細胞、スメアまたは培養細胞である前記[1]に記載の方法;[5]標的分析物質が蛋白質、核酸または非ペプチド性物質である前記[1]に記載の方法;[6]標的分析物質に対する特異的結合物質が抗体、蛋白質または核酸分子である前記[1]に記載の方法;[7]標的分析物質に対する特異的結合物質がモノクローナル抗体である前記[1]に記載の方法;[8]標的分析物質に対する特異的結合物質として、蛍光色素、酵素および放射性同位元素から選ばれるいずれか1で標識された特異的結合物質を用いることを特徴とする、前記[1]に記載の方法;[9]標的分析物質に対する特異的結合物質として、FITCまたはRITCで標識された物質を用いることを特徴とする、前記[1]に記載の方法;[10]標的分析物質に結合した特異的結合物質を、さらに(i)標識二次抗体で標識するか、或いは(ii)非標識二次抗体を結合させた後に該二次抗体を発色反応に付するか、した後に生成するシグナルを検出することを特徴とする、前記[1]に記載の方法;[11]アビジン−ビオチン反応またはストレプトアビジン−ビオチン反応に基づいて生成するシグナルを検出することを特徴とする、前記[1]に記載の方法;[12]前記第2の基板が、1区画内に少なくとも2種の特異的結合物質を含む区画を少なくとも1つ有する、前記[1]に記載の方法;[13]腫瘍マーカーを染色するための、前記[1]に記載の方法;[14]前記[13]に記載の方法を用いることを含む、癌疾患の病理診断方法;[15]前記[1]記載の方法に使用されるアッセイ用キットであって、a)固相マトリックス上に被検生物学的試料を固定することにより成した第1の基板と;(b)前記標的物質に対する特異的結合物質を含ませることができる区画を2個以上有する第2の基板であって、前記被検生物学的試料と前記特異的結合物質とが接触するように第1の基板を密着させ、更に、前記標的分析物質とその特異的結合物質との間に結合反応が起こるとした場合に該結合反応が完了するのに充分な条件下でインキュベートすることが可能である前記基板と、を含む、前記アッセイ用キット;[16]第2の基板における区画が孔である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[17]第2の基板における区画が直径1mm以上4mm以下の孔である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[18]第2の基板における区画が約2mmの孔である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[19]第2の基板一つが有する区画の数が2〜60個である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[20]被検生物学的試料が哺乳動物の組織切片、タッチスメア、血球細胞、スメアまたは培養細胞である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[21]標的分析物質が蛋白質、核酸または非ペプチド性物質である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[22]標的分析物質に対する特異的結合物質が抗体、蛋白質または核酸分子である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[23]標的分析物質に対する特異的結合物質がモノクローナル抗体である前記[15]に記載のアッセイ用キット;[24]標的分析物質に対する特異的結合物質が、予めFITCまたはRITCで標識された物質である、前記[15]に記載のアッセイ用キット;[25]測定可能なシグナルがアビジン−ビオチン反応またはストレプトアビジン−ビオチン反応に基づいて生成することを特徴とする、前記[15]に記載のアッセイ用キット;[26]第1の基板の固相マトリックスとして顕微鏡のスライドグラスを用いることを特徴とする、前記[15]に記載のアッセイ用キット;[27]第2の基板がエラストマー、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選ばれるいずれか1種を含む素材で形成されていることを特徴とする、前記[15]に記載のアッセイ用キット;[28]第1の基板との密着により第2の基板上の区画が密封可能であるように該区画がシール構造を有している、前記[15]に記載のアッセイ用キット;[29]前記[15]に記載のアッセイ用キットを用いることを特徴とする、腫瘍マーカー分子の染色方法;[30]癌疾患の病理診断のために用いる、前記[15]に記載のアッセイ用キット、に関する。
【0009】
以下に、本願明細書において記載する記号、用語等の意義、本発明の実施の形態等を示して、本発明を詳細に説明する。本発明にかかる方法またはアッセイキットには、当該技術分野における当業者によって従来から通常用いられる各種染色法の原理を適用することができ、通常はこれらの各種染色法を用いることで検出可能なシグナルを生成させ、標的とする分析物質を判別することができる。例として、蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法、放射性同位元素標識抗体法等の原理の適用が可能である他、核酸分子を特異的結合物質として用い、核酸分子どうしのハイブリダイゼーションを利用して標的核酸分子(DNA、RNA、mRNA)を判別することも可能である(例えばFISH法:Fluorescence in situ hybridization法)。また、前記各種抗体法は、目的に応じて直説法、即ち、予め蛍光色素標識された抗体を抗原−抗体反応に用いて標的抗原を直接可視化し、検出する手法でも、間接法、即ち、最初に標的抗原に特異的な一次抗体を抗原との反応に供し、次いで該一次抗体に特異的な標識二次抗体を反応させて、間接的に標的抗原を可視化し、検出する手法でもよい。特異的結合物質を標識するための標識物質・標識の仕方は適宜選択される。
【0010】
本発明において用いる「被検生物学的試料」とは、主に生物の組織検体、生物の液状検体または細胞の検体を含んだ試料を意味する。生物種は特に限定されず哺乳動物、両生類、爬虫類等いずれの種であってもよいが、標的分析物質に対応する抗体蛋白質や核酸分子が最もよく知られている種である哺乳動物が好適であり、より好適なのはヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ハムスター、イヌ、ウマ、サル等で、更に好適なのはヒト、マウス、ラットで、最も好適なのはヒトである。用いられる組織、生物の液状検体、細胞は、通常、組織であれば切片またはタッチスメアとして調製し使用することができ、液状検体であればスメア標本として調製し使用することができ、また、細胞であればやはりスメア標本にして使用することができる。前記標本は自体公知の方法により容易に調整することができる。用いられる組織、液状検体、細胞は特に限定されずいずれの種類であっても使用可能で、(1)組織の例としては脳組織、肺、胃、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、腸管組織(小腸、大腸、直腸、結腸など)、皮膚組織、神経組織、血管組織、骨格筋(筋肉)・軟骨組織等があげられ、(2)液状検体の例としては胸水、腹水、尿、等があげられ、(3)細胞としては、接着性で塊を形成している細胞、浮遊性の細胞、等限定されず、例えば、前記組織を構成する細胞(脳細胞、肝細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、筋肉細胞、軟骨細胞等)、血球系細胞(赤血球、血小板細胞、各種白血球・リンパ球(たとえば単球、好中球、好塩基球、好酸球、貪食細胞、肥満細胞、T細胞、B細胞))、体腔液(胸腔液、腹腔液、心膜腔液)中の細胞(マクロファージ、リンパ球(例えばT細胞、B細胞等)、好中球、好酸球、中皮細胞、等)があげられる。
【0011】
標的分析物質としては、生物の組織、細胞等に存在する物質のうち、抗原性を示す物質であれば特に限定されず、いかなる物質であっても本発明により染色可能である。抗原性を示す物質の例としては、蛋白質、核酸分子、その他各種非ペプチド性物質があげられる。(1)蛋白質としては、各種膜蛋白質、各種可溶性蛋白質があり、組織や細胞等に特異的に発現する蛋白質(例えばマーカー蛋白質)、酵素、受容体や、中間フィラメント、間質成分、その他の組織・細胞特異抗原、その他各種の疾患のマーカーとなる蛋白質(例えば癌細胞・腫瘍に特異的な腫瘍マーカー、等)ならどれでも分析可能である。例えば、ACTH(adrenocorticotropic hormone:副腎皮質刺激ホルモン)、Actin、α−heavy chain、Androgen受容体、bcl−2、Calcitonin、各種CD(Cluster of differentiation)抗原、CEA(Carcinoembryonic antigen:癌胎児性抗原)、c−erbB−2、Chromogranin A、コラーゲン、Cytokeratin、Desmin、Epithelial membrane抗原、Epithelial glycoprotein、エストロゲン受容体、FSH(Focal segment hyalinosis:巣状分節状硝子化)、γ−heavy chain、Gastrin、GCDFP−15(Gross cystic disease fluid protein−15)、Gross cystic disease fluid protein 15、成長ホルモン、GAFP(Glial fibrillary acidic protein)、Hepatitis C、Human chronic gonadotropin、インスリン、κ−light chain、Ki−67抗原、λ−light chain、Lewis抗原、Luteinizing hormone、メラノーマ抗原、μ−heavy chain、Neutrophil elastase、神経特異的エノラーゼ、p53、胎盤アルカリホスファターゼ、プロゲステロン受容体、プロラクチン(Prolactin)、Prostatic acid phosphatase、Prostatic specific antigen、Retinoblastoma gene product(網膜芽細胞腫遺伝子産物)、S100 protein、ソマトスタチン(Somatostatin)、Synaptophysin、Thyroglobulin、TSH(Thyroid stimulating hormone;甲状腺刺激ホルモン)、Villin、Vimentin、VIP(Vasoactive intestinal polypeptide:血管作動性小腸ペプチド)、ステロイド受容体、インテグリン、カルレティキュリン、各種サイトカイン受容体、をその一例としてあげることができる。(2)核酸分子にはDNA、RNAおよびmRNAが含まれる。(3)非ペプチド性物質としては、例えば脂質(中性脂質、チン脂質、等)、糖鎖、金属(Fe2+、Fe3+、Mg2+、Zn2+、Na+、K+、Ca2+等内因性のものや、Cd、Hg等外因性のもの)等があげられる。
【0012】
本願明細書において用いる「結合反応」とは、前記標的分析物質とそれに対する特異的結合物質との結合反応(例えば抗原−抗体反応、核酸分子どうしのハイブリダイゼーション反応、等)を意味する。また、本願明細書において用いる「1次抗体」とは、前記標的分析物質に特異的な抗体を意味し、「2次抗体」とは、該1次抗体に特異的に結合する抗体を意味する。
【0013】
本発明において用いる「第一の基板」とは、固相マトリックス上に被検生物学的試料を固定することにより成した基板をいう。前記固相マトリックスとは、被検生物学的試料を固定でき、標的分析物質と第二の基板における特異的結合物質とが結合反応するのに支障なく、且つ、該反応の結果生成するシグナルの検出に支障ないものである限りにおいて特に限定されないが、染色後に顕微鏡を用いてシグナルを検出する場合には、顕微鏡のスライドグラスが特に好適である。このようにして成した第1の基板は、組織切片に限られず、液状検体(胸水、腹水、尿等)のスメア標本であってもよい。
【0014】
ここにおいて、被検生物学的試料の固定を要するのは、採取された生物学的試料(組織等)を生の状態で放置すると、細胞が死滅して組織染色に基づく正確な判別が困難となるからであり、被検組織や細胞の蛋白質に速やかに脱水・変性を起こさせて該試料を固定する操作が必要だからである。前記固定液として通常用いられるのはホルマリンであるが、これに限定されないことはいうまでもない。固定法としては、当該分野における当業者が通常採用する操作を用いれば充分であり、代表例はパラフィン切片または凍結切片である。例えば、染色操作に供する生物組織のパラフィン切片は以下のように調製する。即ち、(1)被検標本を作るのに適した大きさと形の組織片を切り取り、包埋剤(例えばパラフィン)を組織に浸透させて固め、組織片に均一且つ適度の硬度を与える;(2)台木付けパラフィン包埋された組織片を一個ずつ切り離して台木に接着しミクロトームによる薄切に備える(かかる組織片はブロックと呼ばれる);(3)薄切包埋された組織片を、ミクロトームにかけて薄切を行い、通常、2〜4μmの厚さに薄切する;(4)張り付け薄切された切片を水槽の水面に移動させ、スライドガラスにのせ、温水に浸け切片のしわをとる。切片はすくい上げたスライドグラスはホットプレート等の伸展器上にのせ、乾燥させる;(5)以後、染色反応に供する。なお、前記包埋剤とは、組織片を薄切しやすい状態にするための試薬をいい、非親水性または非水溶性のパラフィン、セロイジン、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂や、親水性または水溶性のカーボワックス、ゼラチン等が用いられ、中でも前記パラフィン包埋法(embedding in paraffin)が最も一般的且つ常用されている手法である。
【0015】
本発明において用いる「第二の基板」とは、被検生物学的試料中の標的分析物質に対する特異的結合物質を含ませることが可能な構造を有する区画を、少なくとも2つ有する基板を意味する。前記区画は、特異的結合物質を含ませるための区画であるが、該特異的結合物質は1区画につき1種でもよいし、1区画につき2種以上であってもよい。また、試験の目的に応じて、特異的結合物質を含まない陰性コントロールとしての区画を含んでいてもよいし、陽性コントロールとしての区画を含んでいてもよい。前記区画は、孔(well)であってもよく、サイズの限定は特にないが、好適には直径1mm〜4mmの孔が用いられ、より好適には1.5mm〜3.5mm、更に好適には1.5mm〜3mm、最も好適には約1.5mm〜2.5mm(例えば約2mmの孔)である。区画の配置の仕方も、結合反応に支障がなく、また、シグナルの検出を阻害しない仕方である限りにおいて特に限定されず、適宜配置することができる。「第2の基板」一枚に含まれる区画の数は特に限定されず、基板の寸法、被検生物学的試料、標的分析物質とそれの特異的結合物質等により異なるが、実施の簡便性と正確性等を考慮すれば、通常は2個〜100個であり、好適には10個〜70個、より好適には10個〜60個、更に好適には10個〜50個である。
【0016】
標的分析物質を決定することにより、それに対する特異的結合物質も決定される。本発明において用いられる特異的結合物質としては、通常、各種蛋白質、抗体、核酸、等があげられる。例えば、(1)標的分析物質が蛋白質(各種細胞蛋白質、酵素、受容体、疾患マーカー等)である場合、該蛋白質に結合性を有する各種Counterpart・リガンド(例えば該蛋白質を抗原とする抗体、小分子)が用いられるが、好適には抗体であり、最も好適なのはその特異性と抗体価が確認されたモノクローナル抗体である。(2)標的分析物質が核酸である場合、それに対する特異的結合物質として相補的核酸分子(例えばDNA、RNA、mRNA)、抗体等が用いられるが、好適には相補的核酸分子であり、かかる核酸分子どうしのハイブリダイゼーションを利用して標的核酸分子(DNA、RNA、mRNA)を判別することが可能である(例えばFISH法)。(3)標的分析物質が非ペプチド性物質(例えば脂質、糖鎖、金属等)である場合、該物質に対する特異的結合物質としては該物質に対する特異的抗体を用いるのが好適である。また、糖鎖の検出においては、例えばレクチンを特異的結合物質として使用すれば検出が容易である。
【0017】
本発明において用いられる前記特異的結合物質は、第2の基板上の区画に含まれる形で本発明に用いられ、実施の簡便性、正確性、物質の取り扱い上の観点から、好適には各種緩衝液中に溶解された溶液として用いられるのがよい。特異的結合物質は、第2の基板上の区画1個につき1種含まれていてもよいし、又は異なる特異的結合物質が2種以上含まれていてもよい(多重染色)。前者の手法によれば、一種を判別、即ちその存在と局在・分布を検出することができ、一方、後者の手法(多重染色)によれば、一つの区画にて生じる結合反応によって対応する2種以上の標的分析物質を同時に判別することができる。なお、後者の手法を用いる場合、標的分析物質を別個に同時に判別するため、2種の結合物質どうしが異なる物質により標識されていることが好ましい。
【0018】
本発明において、前記第1の基板を第2の基板に載せて標的分析物質とそれに対する特異的結合物質との結合反応を起こさせる場合、当業者は、用いる被検生物学的試料の種類・荷電状態、標的分析物質の種類・量、該標的分析物質の局在部位、その特異的結合物質の種類・活性・大きさ、結合反応の種類、シグナルの検出方法等に応じて好適な反応条件を適宜選択することができる。例えば、前記結合反応が抗原−抗体反応である場合、反応温度は、通常、0〜40℃付近で、好適には37℃付近、室温20〜25℃、または4℃付近である。反応温度が高いほど反応時間は短くて済むが、組織・細胞の自己融解等も促進されて保持が困難となり、バックグラウンド染色も強くなることから、光学顕微鏡観察または電子顕微鏡観察を行う場合に備えて室温20〜25℃または4℃付近で行うのがより好適である。反応時間も、用いる被検生物学的試料の種類・荷電状態、標的分析物質の種類・量、該標的分析物質の局在部位、その特異的結合物質の種類・活性・大きさ、結合反応の種類、シグナルの検出方法等により異なり、特に限定されず適宜選択されるが、通常、数分〜数時間を要する。例えば、被検試料がパラフィン切片の場合、結合反応の完結には数分〜1時間程度で充分であり、好適には数分〜30分程度、より好適には数分〜20分程度、更に好適には15分前後である。ここにおいて、通常のインビトロ(in vitro)の抗原−抗体反応に比べて比較的長時間を必要とするのは、抗体が被検組織または被検細胞内へ浸透する時間が必要であり、抗体分子を抗原存在部位まで到達させる必要があるからである。また、被検試料が固定後凍結切片である場合、通常、1〜6時間で、必要に応じてovernight(6〜12時間)で行う。被検試料が未固定凍結切片(アセトン固定)である場合の反応時間は、パラフィン切片の場合と同条件に設定することができる。
【0019】
二次抗体を結合反応に供する場合の反応時間および温度の条件も、用いる被検生物学的試料の種類・荷電状態、標的分析物質の種類・量、該標的分析物質の局在部位、その特異的結合物質の種類・活性・大きさ、結合反応の種類、シグナルの検出方法等に応じて、対応する一次抗体と同様な条件に設定することができる。
【0020】
上述の通り、本発明にかかる方法またはアッセイ用キットには、当該技術分野における当業者によって通常用いられる各種染色法の原理、例えば蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法、放射性同位元素標識抗体法、FISH法等の原理を適用することが可能である。また、これらの手法は、目的に応じて直説法でもよいし間接法でもよい。前記特異的結合物質は、前記各種染色法に応じて、予め標識物質(例えば蛍光物質、酵素、重金属、放射性同位元素、量子ドット(Quantum Dot)物質)で標識をしておくか、或いはそれぞれの標的分析物質との結合反応後に前記標識物質で標識をする方法で、本発明に用いられる。
(1)特異的結合物質を予め蛍光物質で標識する手法を用いれば、対応する標的分析物質との結合反応だけで該分析物質を判別することが容易である。
【0021】
利用される蛍光物質は、標的分析物とそれに対する結合物質との結合反応を阻害せず、且つ、シグナル検出に支障がないものである限りにおいて特に限定されないが、好適にはFITC(Fluorescein isothiocyanate)、RITC(Rhodamine isothiocyanate)、TMRITC(Tetramethyl rhodamine isothiocyanate)、Cy3(Carboxymethyl indocyanin)、PE(Phycoerythrin)等の蛍光色素である。ここにおいて、FITCとPEは、反応後退色防止剤を使用しても退色が起きることから、遮光手段(例えばアルミホイルで遮光する等)を用いて低温で保存するのが好ましい。
【0022】
その他、標識用の蛍光物質として、量子ドット物質(Quantum Dot)物質(Warren C.W. Chan and Shunming Nie, Quantum Dot Bioconjugates for Ultrasensitive Nonisotopic Detection, Science 281,2016 (1998))を使用することもできる。該量子ドットとは、数nm〜数100nm程度の微小半導体領域をいい、電子1個の挙動を動作原理とするものであり、前記量子ドット物質として好適な例をあげると、例えばZnS、CdSe等、化合物半導体の微粒子を含む物質があげられる。これらはUVレーザによる励起で蛍光を発し、粒子サイズによってその波長が変化するが、一方で励起波長が一定であるため、一度のレーザ励起によって多色の蛍光染色が可能であり、有効である。
(2)標識に酵素を用いる手法、即ち酵素抗体法には、直説法、間接法、アビジン・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体(Avidin-biotinylated peroxidase complex;ABC)法と、非標識抗体法としてのペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ(Peroxidase-antiperoxidase;PAP)法とがあり、いずれも本発明に容易に適用することができる。該酵素の酵素反応によりシグナルを生成させ、該シグナルを検出することによって標的分析物質の存在の判別が可能である。標識酵素としては、標的分析物とそれに対する結合物質との結合反応を阻害せず、且つ、シグナル検出に支障がないものである限りにおいて特に限定されないが、通常、西洋わさびペルオキシダーゼ(Horseradish peroxidase;HRP)、アルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase;ALP)、グルコースオキシダーゼ(Glucose oxidase;GO)等が用いられる。FITC等で標識したアビジンを前記アビジン−ビオチン反応に用いることもできる。また、前記PAP法における卵白塩基性蛋白質であるアビジンに代わり、中性に荷電した、即ち中性化処理が不要なストレプトアビジン(Streptavidin)を用いるストレプトアビジン・ビオチン化抗体(Labeled streptavidin-biotinylated antibody;SABまたはLSAB)法も用いることができる。
【0023】
本発明における「測定可能なシグナルを検出する」ための手段としては、目視によって直接検出する手段や、外部手段(例えば各種顕微鏡(透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡、等)を用いる手段;蛍光・発色によって生成したシグナルを読み取る装置を用いる手段)の使用があげられる。
【0024】
本発明における「標的分析物質の存在を判別する」とは、被検生物学的試料における前記標的分析物質の存在の有無、並びに、その存在が如何なる分布・局在であるかを判別することを示す。
【0025】
本発明にかかる病理診断の方法とは、病理組織診断、病理遺伝子診断(特に病理DNA診断方法)、病理細胞死診断、等の診断方法を意味する。
【0026】
本発明にかかる方法またはアッセイキットの使用により、被検生物学的試料としての組織または細胞に存在する標的分析物質((1)種々ペプチド性抗原(組織抗原、腫瘍抗原、免疫担当細胞亜型抗原、酵素、ホルモン等)、(2)核酸分子、(3)非ペプチド性の抗原、(4)その他組織・細胞に沈着する免疫複合体等)の存在(存在の有無と局在・分布)の検出を容易に行うことができる。本発明によれば、各種疾患の診断マーカーの分布を判別することによる病理診断が容易に実施可能であり、優れた効果を発揮する。即ち、病理診断の診断基準(Criteria)は、通常、極めて多岐に渡っており、一つのCriteriaを判断してから更に次のCriteriaを判断するための染色実験を行うというステップを他段階に渡り行う必要があり、時間、コストおよび手間が要求されていたが、本発明により、多数のCriteriaを有する病理診断であっても、たった一度の染色試験又は極めて少数のステップでその診断が可能である。例えば、T細胞性悪性リンパ腫の病理診断Criteriaは通常10段階あるが、本発明の使用により10段階の試験を一回の染色試験で行うことができる。その他にも腫瘍マーカーを標的分析物質として本発明を実施すれば、各種癌疾患(例えば脳腫瘍、頭頸部癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝癌、膵癌、肺癌、乳癌、皮膚癌、卵巣癌、前立腺癌、腎癌、膀胱癌、リンホーマ、白血病、等)の病理診断により、リンパ腫タイピング、癌・肉腫鑑別、癌タイピング等を行うことができる。
【0027】
本願明細書において用いる語句の意義、並びに本発明の詳細な説明は以上の説明の如くであるが、本発明への理解を更に容易にすべく、本発明の特徴を以下に記載する。まず、本発明の第1の特徴は、測定可能なシグナルを検出することにより被検生物学的試料中の標的分析物質の存在を判別する方法におて、前記標的分析物質に対する特異的結合物質を予め保持せしめることが可能な区画を2個以上有する基板、即ち、「第2の基板」を用いる点にある。これにより、一回の染色操作で、多数の標的分析物質(蛋白質、核酸分子、非ペプチド性物質)の存在の判別が容易で、資源の効率的利用とコストの観点から極めて有用である。また、使用する特異的結合物質の量も、従来に比べて極めて微量で済む(従来の数10分の1)。
【0028】
また、本発明の第2の特徴は、前記「第2の基板」を用いる本発明にかかる方法に使用するためのアッセイキットにある。第2の基板における区画は孔であってもよく、該孔の直径は、使用する基板や被検試料の種類、サイズ等により異なり、特に限定されないが、好適には1mm〜4mm、より好適には1.5mm〜3.5mm、更に好適には1.5mm〜3mm、最も好適には約1.5mm〜2.5mm(例えば約2mmの孔)である。第2の基板の素材も、結合反応に支障ない限りにおいて特に限定されないが、好適には、エラストマー、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選ばれるいずれか1種を含む素材、或いはそれらの複合素材があげられる。区画の配置の仕方も、前記定義の如く、結合反応に支障がなく、また、シグナルの検出を阻害しない仕方である限りにおいて特に限定されず、適宜配置することができる。「第2の基板」一枚に含まれる区画の数は特に限定されず、基板の寸法、被検生物学的試料、標的分析物質とそれの特異的結合物質等により異なるが、実施の簡便性と正確性等を考慮すれば、通常は2個〜100個であり、好適には10個〜70個、より好適には10個〜60個、更に好適には10個〜50個である。
【0029】
なお、本発明にかかるアッセイキットにおいて、第1の基板の固相マトリックスは、標的分析物質とそれの特異的結合物質との結合反応が起きるマトリックスであり、且つ、生成したシグナルを検出する際の基板となるものであり、前記結合反応及びシグナル検出を阻害しない限りにおいてマトリックス素材は特に限定されないが、最も好適には顕微鏡のスライドグラスである。
【0030】
本発明の第3の特徴は、本発明にかかる前記方法およびアッセイキットにおいて、第1の基板を第2の基板に載せる操作によって、被検生物学的試料と標的分析物質に対する特異的結合物質とが直接的に充分な接触を起こすことができ、且つ、前記操作によって閉鎖された空間を作り出して特異的結合物質を区画内に密封した状態で結合反応を行うことができる点にある。従来必要とされた湿箱が不要で反応装置としては極めて簡便であることから、操作が容易である。なお、この場合、第2の基板における区画がシール構造を有していてもよい。更に、各孔の位置を絶対的・相対的に表示する目的で孔の周辺に数字、アルファベット等の文字を記すこともできる。
【0031】
本発明の実施態様として以下に例をあげる。
(1)蛍光抗体法の実施態様例:
被検生物学的試料として、組織もしくは細胞のパラフィン切片もしくは凍結切片を用いることができ(「第1の基板」)、直接法か間接法かにかかわらず、包埋剤(パラフィン、OCT compound等)を除去された切片を用いるのが通例である。かかる切片を、必要に応じて、通常は0.3%過酸化水素加メタノール20分または0.5%過ヨウ素酸溶液10分で内因性ペルオキシダーゼ阻止し、次いでPBS(Phosphate-bufferd saline)洗浄をしておく。一方で、前記試料の標的分析物質に対応してそれの特異的結合物質(例えば一次抗体)を選択し、該結合物質を染色に適した濃度に調整して、「第2の基板」上の区画に適当に容れる。なお、前記内因性ペルオキシダーゼ阻止は、糖鎖を抗原とする場合には不適当な処理である。
【0032】
(a)この後、直接法の場合には、前記結合物質を蛍光物質、量子ドット物質、放射性同位元素または重金属で予め標識しておく。また、前記特異的結合物質は、1区画につき1種でもよいし、異なる種類を2種以上含んでいてもよいし、必要に応じて陰性コントロール(かかる特異的標識結合が生じない)または陽性コントロール(特異的標識結合が生じる)であってもよい。次に、適当な温度条件下で前記第1の基板を前記第2の基板に載せ、更にそのままの状態で上下を反転させ、即ち、第2の基板が第1の基板の上になるようにして被検試料と第2の基板上の区画内の結合物質とを接触させ、適当な時間インキュベートする。該反応終了後の第1の基板をPBSまたは精製水で洗浄後、通常、該発色または染色させた切片をさらに染色する(対比染色)。これは、組織細胞は本来無色であるため、細かい構造を観察するには各種色素で特定成分(例えば核)を染め出すのが好適だからであり、HE染色がしばしば用いられる。次いで、封入剤を滴下してカバーグラスをのせ、生成したシグナルを検出する。検出の手段は当業者によってそれぞれ適宜選択される。
【0033】
(b)間接法の場合は、まず、前記特異的結合物質の反応後、第1の基板を第2の基板から外して、該第1の基板をPBS洗浄する。次いで、前記特異的結合物質に対する特異的抗体(二次抗体)を、抗原−抗体反応に適した濃度に調整して、第1の基板の被検切片に添加し、適当な時間インキュベートする。ここで、前記二次抗体を蛍光物質、量子ドット物質、放射性同位元素または重金属で予め標識しておく。該反応終了後の第1の基板をPBSまたは精製水で洗浄後、通常、該発色または染色させた切片をさらに染色する(対比染色)。これは、組織細胞は本来無色であるため、細かい構造を観察するには各種色素で特定成分(例えば核)を染め出すのが好適だからであり、HE染色がしばしば用いられる。次いで、封入剤を滴下してカバーグラスをのせ、生成したシグナルを検出する。検出の手段は当業者によってそれぞれ適宜選択される。
【0034】
なお、用いられる標識物質における好適な例は前記定義に同意義である。
【0035】
(2)酵素抗体法の実施態様例
基本的に上記蛍光抗体法の操作に準じて行うことができるが、標的分析物質に特異的な結合物質または該結合物質に対する特異的結合物質(二次抗体)とを蛋白質(例えば酵素)で標識する点において異なる。例えば直接法を用いた場合は、標的分析物質との結合反応後の第1の基板をPBS洗浄し、該特異的結合物質に標識された酵素の基質を添加して発色反応させた後、水洗して、その後蛍光抗体法と同様の操作に供する。また、間接法を用いた場合は、標的分析物質に結合した特異的結合物質に対する二次抗体の標識酵素の基質を添加して発色反応させ、反応後水洗し、その後蛍光抗体法と同様の操作に供する。
【0036】
なお、用いられる標識蛋白質(例えば標識酵素)における好適な例は前記定義に同意義である。
【0037】
(3)FISH法
FISH法は、クローン化された遺伝子やDNA断片を非アイソトープ化合物で標識後、スライドグラス上の染色体DNAとハイブリダイゼーションし、その分子雑種形成部位を蛍光シグナルとして直接染色体上に検出する方法である。例えばビオチンを標識とするFISH法は以下のように実施できる。即ち、まず、標的分析物質としての核酸分子にハイブリダイズする相補的なプローブDNAを選択し、該プローブDNAをビオチン−dUTP(またはdATP)を用いて標識する。該標識プローブを含む溶液を「第2の基板」上の区画に適当に注入し、前記(1)または(2)に準じた操作で被検試料と前記標識プローブとを接触させてインキュベートする。なお、該ハイブリダイゼーション反応に付する前に、予め、被検DNAと標識プローブDNAとを熱変性させて一本鎖DNAにする操作を行っておく。前記ハイブリダイゼーション反応で生成したビオチン標識DNAと染色体DNAとからなる2本鎖DNAを洗浄し、アビジン−FITC溶液で処理する。該処理後、所定の洗浄液で洗浄した後、染色体DNAを蛍光染色し、蛍光顕微鏡を用いて該蛍光シグナルを観察する。なお、ジゴキシゲニン−dUTP/抗ジゴキシゲニン系アセチルアミノフルオレン(AFF)/マウス抗−AFF/ヤギ抗マウス系によって、2種類以上の遺伝子を異なった蛍光発色により同時に染色体上にマッピングする方法も使用できる(2色標識FISH法)。
【0038】
(4)アッセイ用キット
(a)「第1の基板」としては、スライドグラスに固定された被検生物学的試料である組織切片、細胞切片、液状検体。
【0039】
(b)「第2の基板」としては、片面上にいずれも直径約2mm、深さ約1〜4mmの孔を50〜100個有する基板。該基板は、例えば、縦x横x厚さ=25mm x 75mm x 5mmで、16mm x 30mmの中に前記孔を有し、その周囲に数字とアルファベットを記して、孔の位置を明示してあるもの。エラストマー、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選ばれるいずれか1種を含む素材、或いはそれらの複合素材で形成された基盤である。
【0040】
(c)特異的結合物質として、標的とする分析物質の標識されていてもよいポリクローナル抗体、標識されていてもよいモノクローナル抗体および/またはビオチン−dUTP(またはdATP)で標識した相補的核酸プローブを適当に選択し、培地(例えばHank's Balanced Salt Solutionなどに0.05〜10%のFCSを加えたもの)で希釈したものを、第2の基板上の孔に容れる。この場合、全く結合反応を生じず結果として染色を生じない陰性コントロール(例えば前記培地を孔に容れる)と、結合反応を生じて結果として必ず染色を生じる陽性コントロールとを含める。いずれの場合も、孔に容れる容量は5μlの量である。
【0041】
(d)前記一次抗体に対する二次抗体として、蛍光物質、量子ドット物質、放射性同位元素、重金属または酵素(例えばペルオキシダーゼ)で予め標識したモノクローナル抗体を用意。用事調製として、点眼式で100〜150μlを使用する。一方、核酸プローブを使用した場合は、アビジン−FITC溶液で処理する。ペルオキシダーゼ標識の一次抗体を用いた場合、二次抗体に対する基質を更に加える。
【0042】
測定の方法は、標識物質に応じて異なる。例えば光学顕微鏡、電子顕微鏡による蛍光観察、液体シンチレーションカウンターによる放射活性測定、吸光度を測定する各種装置、等である。
【0043】
【実施例】
以下に示す本発明の参考例、実施例および試験例は例示的なものであり、本発明は以下の具体例に制限されるものではない。当業者は、以下に示す実施例に様々な変更を加えて本発明を最大限に実施することができ、かかる変更は本願特許請求の範囲に包含される。
実施例1
<ヒト胃がん組織由来のパラフィン切片の免疫染色>
本実施例では、シンプルステインMAX-PO(ニチレイ社製)を用いて染色を行った。シンプルステインMAX-POは、アミノ酸ポリマーに、ペルオキシダーゼとFab'にした第二抗体を結合させた標識ポリマーで、組織切片上の抗原に一次抗体を反応させ、次に前記標識ポリマーを反応させると、抗原・第一抗体・ポリマー・酵素の複合体を形成することができ、該複合体の酵素活性を利用し基質を発色させ、抗原部位を染色することができる。
(1)ヒト胃がん組織のパラフィン切片を常法により調製し、該パラフィン切片をミクロトームで4μmの厚さに剥切した。
(2)剥切後の組織切片をシランコートスライドグラス上にならべ、以下の要領で脱パラフィン処理を行った。
【0044】
(a)切片をキシレン溶媒に3分間浸した後に液をよく切る操作を計3回;
(b)次に100%エタノール溶媒に3分間浸してその後液をよく切る操作を計2回;
(c)次に95%エタノール溶媒に3分間浸してその後液をよく切る操作を計2回;
(d)最後にPBSに5分間浸して液をよく切り、脱パラフィン操作を終えた。
(3)内因性ペルオキシダーゼ除去: 脱パラフィン処理後の組織切片の周囲にある余分な水分を拭き取り、該切片を0.3%過酸化水素加メタノールに浸して、常温で10〜15分間置いた。その後、PBSに常温で5分間浸してからよく液を切る操作を3回行い、洗浄した。
(4)一次抗体の添加・反応:各種胃がんマーカーに対する抗体として以下のものを用意し、調製した。なお、抗体名以降の記載は、順に、a)抗体クローン名、b)希釈濃度(倍)、c)動物種、d)IgClass、e)製造メーカー、f)コード、にそれぞれ対応する。
【0045】
・抗EMA(Epithelial membrane antigen)抗体:a)E29、b)x100、c)マウス、d)IgG2a、e)ニチレイ、f)412921;
・抗SMA(smooth muscle actin)抗体:a)αam-1、b)x50、c)マウス、d)IgG2a、e)NOVO CASTRA、f)NCL-SMA
・抗Desmin抗体:a)ZC18、b)x200、c)マウス、d)IgG1κ、e)ニチレイ、f)412911
・抗Vimentin抗体:a)V9、b)x100、c)マウス、d)IgG1κ、e)ニチレイ、f)412991
・抗LCA(Leukocyte common antigen)抗体:a)2B11+PD7/26、b)x100、c)マウス、d)IgG1κ、e)DAKO、f)412911
・PBS:陰性コントロール(自家調製)
上記一次抗体を、いずれも5μlの容量で、図**に示す基板上の各孔に注入した。ここにおいて、該基板は、通常のスライドグラスの大きさのプラスティック板で、16x32mmの範囲に直径2mm、深さ3mmの穴50個(5x10)を1mm間隔で配列させた基板である。次に、前記プラスティック板を覆うように、且つ、組織がプラスティック板側にくるように、上記(3)にて調製した組織切片が固定されたスライドグラスをプラスティック板に載せた。なお、この時、両者が予め定めた位置に納まり、その後の操作においても決してずれないようにホルダーを用いて両者を固定した。それから、そのままの状態で上下を反転させ、即ち、プラスティック板が組織の固定されたスライドグラスの上になるようにして被検試料と第2の基板上の区画内の結合物質とを接触させ、室温にて30分間インキュベートした。該反応終了後、スライドグラスを外してPBS中室温にて5分間浸し、洗浄した。
【0046】
(5)二次抗体の添加・反応:上記(4)で得たスライドグラス上の組織切片周辺の余分な水分を拭き取り、切片に充分かかるように二次抗体(ヒストファインシンプルステインMAX-PO(MULTI):ニチレイ)を点眼式で100〜150μl添加し、室温にて30分間インキュベートした。そして、該反応後、スライドグラスをPBS中室温にて5分間浸し、洗浄した。
【0047】
(6)二次抗体の基質の添加・反応:上記(5)で得た抗原−抗体反応後のスライドグラス上の組織切片周辺の余分な水分を拭き取り、次に、基質液(シンプルシステインDAB溶液;ニチレイ)を点眼式で100〜150μl添加し、室温にて5〜10分間インキュベートした。そして、該反応後、スライドグラスを精製水でよくすすぎ洗浄した。
【0048】
(7)対比染色:慣用される方法に従い、マイアーヘマトキシリン液で組織を染色した。反応時間は1分であった。
【0049】
(8)上記(7)の染色後の組織を水洗し、エタノール系列溶媒で脱水後、更にキシレンによる透徹を行い、最後に非水溶性封入剤を滴下しカバーグラスを載せて封入し、顕微鏡観察を行った。
【0050】
(9)図に示すとおり、標的とする物質を染色することに成功し、病理診断をするのに充分な結果を得ることができた。
【0051】
【発明の効果】
本発明にかかる染色方法および該染色方法に使用されるアッセイ用キットにより、被検生物学的試料中における多種類の分析物質を、微量の抗体等を用いて、一度の染色操作で同時に染色し、検出することが可能になり、資源の効率的利用、コスト面、解析の効率性の点において極めて優れている。また、本発明にかかる染色方法およびアッセイ用キットは、第1と第2の基板を用いるだけで、標的分析物質とそれの特異的結合物質とが直接的に接し、同時に、湿箱等を用いることなく閉鎖された空間をつくりだすことができるゆえ、反応装置を極めて簡素化し且つ容易に操作可能な点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において用いたプラスティック基板を示す。該基板は、本発明において用いられる「第2の基板」の一例である。
【図2】本発明において用いられる「第2の基板」の例を示す図である。孔の周囲に数字およびアルファベットを表示し、孔の絶対的・相対的な位置が把握可能なようにした基板である。
【図3】実施例1において、ヒト胃癌症例組織を染色した結果を示す写真図である。縦方向は同一抗体で、抗体は左列から、抗EMA抗体、抗SMA抗体、抗Vimentin抗体、抗Desmin抗体、PBS(陰性コントロール)、抗LCA抗体にそれぞれ対応する。なお、左2系列がよく染色され、右3系列での染色が薄いのは、前者では染色される組織が多く、後者では組織成分が少ないことが原因である。
【図4】実施例1において、ヒト胃癌症例組織を染色した結果を示す写真図である。最下段は抗EMA抗体染色された胃癌細胞を示し、間質成分は染色されていない。中段は抗SMA抗体染色された胃筋層の平滑筋細胞を示し、他成分は染色されていない。最上段は抗Vimentin抗体染色された平滑筋細胞を示す(最右列)。
【図5】抗LCA抗体で染色した胃癌組織間浸潤白血球の顕微鏡観察写真(倍率100倍)を示す図である。
【図6】抗Vimentin抗体で染色した胃癌間質成分の顕微鏡観察写真(倍率100倍)を示す図である。
【図7】抗Desmin抗体で染色した平滑筋および間質成分の顕微鏡観察写真(倍率100倍)を示す図である。
【図8】抗SMA抗体で染色した筋組織の顕微鏡観察写真(倍率100倍)を示す図である。その間が癌組織である。
【図9】抗EMA抗体で染色した癌細胞の顕微鏡観察写真(倍率100倍)を示す図である。癌細胞による腺腔が形成され、該腺腔間は鮮少されていない。

Claims (29)

  1. 測定可能なシグナルを検出することにより被検生物学的試料中の標的分析物質の存在を判別する方法であって、
    (a)固相マトリックス上に被検生物学的試料を固定することにより成した第1の基板と、前記標的物質に対する特異的結合物質を含む区画を2個以上有する第2の基板とを、前記被検生物学的試料と前記特異的結合物質とが接触するように密着させる工程と;
    (b)標的分析物質とその特異的結合物質との間に結合反応が起こるとした場合に該結合反応が完了するのに充分な条件下でインキュベートする工程と;
    (c)該インキュベートの後に被検生物学的試料における測定可能なシグナルを確認する工程と、を含む、前記方法。
  2. 第2の基板における区画が孔である請求項1に記載の方法。
  3. 被検生物学的試料が哺乳動物の組織切片、タッチスメアまたは細胞である請求項1に記載の方法。
  4. 被検生物学的試料が哺乳動物の血球細胞、スメアまたは培養細胞である請求項1に記載の方法。
  5. 標的分析物質が蛋白質、核酸または非ペプチド性物質である請求項1に記載の方法。
  6. 標的分析物質に対する特異的結合物質が抗体、蛋白質または核酸分子である請求項1に記載の方法。
  7. 標的分析物質に対する特異的結合物質がモノクローナル抗体である請求項1に記載の方法。
  8. 標的分析物質に対する特異的結合物質として、蛍光色素、酵素および放射性同位元素から選ばれるいずれか1で標識された特異的結合物質を用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 標的分析物質に対する特異的結合物質として、FITCまたはRhodamine isothiocyanateで標識された物質を用いることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 標的分析物質に結合した特異的結合物質を、さらに(i)標識二次抗体で標識するか、或いは(ii)非標識二次抗体を結合させた後に該二次抗体を発色反応に付するか、した後に生成するシグナルを検出することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. アビジン−ビオチン反応またはストレプトアビジン−ビオチン反応に基づいて生成するシグナルを検出することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  12. 前記第2の基板が、1区画内に少なくとも2種の特異的結合物質を含む区画を少なくとも1つ有する、請求項1に記載の方法。
  13. 腫瘍マーカーを染色するための、請求項1に記載の方法。
  14. 請求項1記載の方法に使用されるアッセイ用キットであって、
    (a)固相マトリックス上に被検生物学的試料を固定することにより成した第1の基板と;
    (b)前記標的物質に対する特異的結合物質を含ませることができる区画を2個以上有する第2の基板であって、前記被検生物学的試料と前記特異的結合物質とが接触するように第1の基板を密着させ、更に、前記標的分析物質とその特異的結合物質との間に結合反応が起こるとした場合に該結合反応が完了するのに充分な条件下でインキュベートすることが可能である前記基板と、を含む、前記アッセイ用キット。
  15. 第2の基板における区画が孔である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  16. 第2の基板における区画が直径1mm以上4mm以下の孔である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  17. 第2の基板における区画が約2mmの孔である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  18. 第2の基板一つが有する区画の数が2〜60個である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  19. 被検生物学的試料が哺乳動物の組織切片、タッチスメア、血球細胞、スメアまたは培養細胞である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  20. 標的分析物質が蛋白質、核酸または非ペプチド性物質である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  21. 標的分析物質に対する特異的結合物質が抗体、蛋白質または核酸分子である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  22. 標的分析物質に対する特異的結合物質がモノクローナル抗体である請求項14に記載のアッセイ用キット。
  23. 標的分析物質に対する特異的結合物質が、予めFITCまたはRhodamine isothiocyanateで標識された物質である、請求項14に記載のアッセイ用キット。
  24. 測定可能なシグナルがアビジン−ビオチン反応またはストレプトアビジン−ビオチン反応に基づいて生成することを特徴とする、請求項14に記載のアッセイ用キット。
  25. 第1の基板の固相マトリックスとして顕微鏡のスライドグラスを用いることを特徴とする、請求項14に記載のアッセイ用キット。
  26. 第2の基板がエラストマー、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選ばれるいずれか1種を含む素材で形成されていることを特徴とする、請求項14に記載のアッセイ用キット。
  27. 第1の基板との密着により第2の基板上の区画が密封可能であるように該区画がシール構造を有している、請求項14に記載のアッセイ用キット。
  28. 請求項14に記載のアッセイ用キットを用いて、標的物質としての腫瘍マーカー分子を検出する方法
  29. 癌疾患の病理診断のために用いる、請求項14に記載のアッセイ用キット。
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