JP2011013051A - 生体試料標本の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便な操作で、多数の抗原を標的とする免疫反応を行うことができ、しかも、同時実験で結果を比較することができる生体試料標本の作製方法を提供すること。
【解決手段】パラフィンブロック2に通孔4形成する工程、該パラフィンブロック2の通孔4内に筒状のセパレータ3を配置する工程、セパレータ3内に組織を充填すると共に、該組織の周囲に一次抗体と反応し得る層を形成する工程、該パラフィンブロック2にて組織が包埋された固形試料10を切断刃によって薄切し、該組織8の周囲にセパレータ3およびパラフィンが配置された薄切片12を得る工程、薄切片12を水で処理することにより該組織周囲のパラフィンを破断して該組織から該パラフィンを分離する工程、複数の該組織をスライドガラス24上に乗せる工程、および該組織を染色する工程、を包含する生体試料標本の作製方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は組織、細胞などの生体試料標本の作製方法に関する。
生体試料(例えば組織切片、タッチスメア、細胞等)に存在する特定の標的物質(例えば抗原)の存在を判別する手法として、該標的物質をシグナルとして可視化し検出する免疫染色法が従来から用いられている。例えば、蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法および放射性同位元素標識抗体法がある。
蛍光抗体法は、標的抗原に対する抗体、通常はモノクローナル抗体を蛍光色素で標識し、組織切片上の抗原の分布を判別する手法で、直説法と間接法の2つの二重染色法に分類することができる。前者では、予め蛍光色素標識された抗体を抗原−抗体反応に用いて標的抗原を直接可視化し、後者では、最初に標的抗原に特異的な一次抗体を抗原との反応に供し、次いで該一次抗体に特異的な標識二次抗体を反応させ、いわば間接的に標的抗原を可視化する。
酵素抗体法は、同様に抗原−抗体反応という特異反応を利用する手法である。抗体を酵素で標識し、抗原−抗体反応後に該酵素によって発色基質の沈着を生じさせて抗体の局在を示す点に特徴がある。標識酵素としては、西洋わさびペルオキシダーゼ(Horseradish peroxidase;HRP)、アルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase;ALP)、グルコースオキシダーゼ(Glucoseoxidase;GO)等が代表的である。
酵素抗体法には、酵素標識抗体法である直説法、間接法およびアビジン・ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体(Avidin−biotinylated peroxidase complex;ABC)法と、非標識抗体法としてのペルオキシダーゼ・抗ペルオキシダーゼ(Peroxidase−antiperoxidase;PAP)法とがあり、卵白の塩基性蛋白質であるアビジンに代わり、中性に荷電した、即ち中性化処理が不要なストレプトアビジン(Streptavidin)を用いるストレプトアビジン・ビオチン化抗体(Labeled streptavidin−biotinylated antibody;SABまたはLSAB)法が主流となっている。
対象生体試料を上記免疫染色法に供する場合、通常、凍結切片やパラフィン切片として固相のマトリクス上に固定したものを調製して反応に付する。
このように免疫的染色法を用いることにより、組織または細胞に存在する種々ペプチド性抗原(組織抗原、腫瘍抗原、免疫担当細胞亜型抗原、酵素、ホルモン等)、非ペプチド性の抗原、その他組織に沈着する免疫複合体等の検出が可能であり、各種疾患の診断マーカーの分布を判別することによる病理診断(例えば腫瘍マーカーの判別による腫瘍診断)も行われている。
しかしながら、従来の免疫染色法では、作成した組織標本または細胞標本一つにつき、一種類の免疫反応しか行えないため、コントロールを含めた免疫反応を行う場合にはそれに応じた数の標本を調製する必要があり、資源と手間が要求される。それゆえ、適切なコントロールを用いて実験することが資源と手間の関係上困難であり、実際の病理学的試験においても、適切なコントロールを欠く試験が行われているのが現状である。
特表2000−505431号公報には、固形のパラフィンブロックに複数の穴を形成し(段落0050)、その穴内にドナー腫瘍ブロックから採取した組織生検を配列し、そのブロックから組織標本用切片を得ることが記載されている(段落0051−0053)。
特開2004−258017号公報には、臓器の目的とする部分から複数の組織を切り抜き、これをパラフィンに包埋してアレイブロックを作製する方法が提案されている。
しかし、これらに記載の方法では、組織間のばらつきもあり、必ずしも、適切なコントロールが提供できるわけではない。
特表2000−505431号公報 特開2004−258017号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、簡便な操作で、適切なコントロールを伴う免疫反応を行うことができ、しかも、染色実験に供する試料が同じものであるので、同時実験で結果を比較することができる生体試料標本の作製方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、複数のタンパク質の検出において、全ての試料に対して、適切なコントロールを提供する生体試料標本の作製方法を提供することを目的とする。
本発明の生体試料標本の作製方法は、パラフィンブロックに通孔を形成する工程、該パラフィンブロックの通孔内に筒状のセパレータを配置する工程、該セパレータ内に組織を充填すると共に、該組織の周囲に一次抗体と反応し得る層を形成する工程、該パラフィンブロックにて組織が包埋された固形試料を切断刃によって薄切し、該組織の周囲にセパレータおよびパラフィンが配置された薄切片を得る工程、該薄切片を水で処理することにより該組織周囲のパラフィンを破断して該組織から該パラフィンを分離する工程、複数の該組織をスライドガラス上に乗せる工程、および該組織を染色する工程、を包含し、そのことにより上記目的が達成される。
一つの実施形態では、前記一次抗体と反応し得る層が、羊膜である。別の実施形態では、前記一次抗体と反応し得る層が、患者(1人または複数)由来の疾患関連抗原を発現する組織である。複数の患者由来の組織を用いる場合、前記一次抗体と反応し得る層が、多様な抗体に対する陽性コントロールとして機能する。他に一次抗体と反応し得る層として、細胞株を生やしたシート状のゼラチンなどの膜や、薄切された、パラフィンブロックの組織片などが陽性コントロールとして機能する。
一つの実施形態では、前記セパレータが、吸水により体積膨張し得る材料よりなる。別の実施形態では、前記セパレータが、熱により体積膨張し得る材料よりなる。好ましくは、前記セパレータの、吸水、および/または、熱による体積膨張率は、パラフィンブロックの体積膨張率よりも大きい。
一つの実施形態では、前記セパレータが寒天、または、ゼリーである。
本発明の疾患の病理診断方法は、上記方法を用いることを含む。
また、本発明の他の生体試料標本の作製方法は、ブロック状の包埋剤に孔部を形成する工程、該包埋剤の孔部内に筒状のセパレータを配置する工程、該セパレータ内に生体試料を充填すると共に、該生体試料の周囲に一次抗体と反応し得る層を形成する工程、該包埋剤にて生体試料が包埋された固形試料を切断刃によって薄切し、該生体試料の周囲にセパレータおよび包埋剤が配置された薄切片を得る工程、該薄切片を水で処理することにより該生体試料の周囲のパラフィンを破断して該生体試料から包埋剤を分離する工程、複数の該生体試料をスライドガラス上に乗せる工程、および該生体試料を染色する工程、を包含する。
本発明によれば、パラフィンブロックにて組織が包埋された固形試料を切断刃によって薄切し、組織の周囲にパラフィンが配置された薄切片を得、複数の該薄切片をスライドガラス上に乗せることにより、一度の操作で標的分析物質−特異的結合物質の結合反応を多数同時に行え、多数の標的物質(抗原)の同時染色が可能になる。また、標的分析物質に対する特異的結合物質の所要量も従来法に比べて微量で済む。しかも、染色実験に供する試料が同じものであるので、同時実験で結果を比較することができる。
さらに、ブロックに形成した通孔と組織との間に一次抗体と反応し得る層を形成することにより、薄切片における組織の周囲には該一次抗体と反応し得る層が形成される。そのため一次抗体を加えて反応させることによって、一次抗体と標本との反応のポジティブコントロールが提供されることから、追加のコントロール試料を提供することなしに、各標本での免疫染色が確実に行われたことを確認することが可能となり、それゆえ、時間と労力とを節約した効率よい病理学的試験が可能となる。
さらに、組織の周囲にセパレータおよびパラフィンが配置された薄切片を得、この薄切片を水で処理することにより組織周囲のパラフィンを破断して組織から該パラフィンを分離する。従って、パラフィンを除去する手段によって組織から分離する必要がない。そのため、処理工程が簡略化できる。
図1は、本発明に係わる生体試料標本の作製方法に使用するパラフィンブロックの通孔内にセパレータを配置した状態の斜視図である。 図2は、本発明に係わる生体試料標本の作製方法に使用するパラフィンブロックの通孔に組織を充填した状態の斜視図である。 図3は、セパレータの作成方法を示す断面図である。 図4は、セパレータの作用説明図である。 図5は、スライドガラス上に抗体投入用器具を配置する状態の分解斜視図である。 図6は、ガラス基板上に弾性層を設けた状態の断面図である。 図7は、スライドガラス上に抗体投入用器具を配置する状態の断面である。 図8は、本発明の生体試料標本の作製方法の他の実施形態の作用説明図である。
本発明にかかる方法には、当該技術分野における当業者によって従来から通常用いられる各種染色法の原理を適用することができ、通常はこれらの各種染色法を用いることで検出可能なシグナルを生成させ、標的とする分析物質を判別することができる。
例として、蛍光抗体法、酵素抗体法、重金属標識抗体法、放射性同位元素標識抗体法等の原理の適用が可能である他、核酸分子を特異的結合物質として用い、核酸分子どうしのハイブリダイゼーションを利用して標的核酸分子(DNA、RNA、mRNA)を判別することも可能である(例えばFISH法:Fluorescenceinsituhybridization法)。また、前記各種抗体法は、目的に応じて直説法、即ち、予め蛍光色素標識された抗体を抗原−抗体反応に用いて標的抗原を直接可視化し、検出する手法でも、間接法、即ち、最初に標的抗原に特異的な一次抗体を抗原との反応に供し、次いで該一次抗体に特異的な標識二次抗体を反応させて、間接的に標的抗原を可視化し、検出する手法でもよい。特異的結合物質を標識するための標識物質・標識の仕方は適宜選択される。
本発明において用いる「被検生体試料」とは、主に生物の組織検体、生物の液状検体または細胞の検体を含んだ試料を意味する。生物種は特に限定されず哺乳動物、両生類、爬虫類等いずれの種であってもよいが、標的分析物質に対応する抗体蛋白質や核酸分子が最もよく知られている種である哺乳動物が好適であり、より好適なのはヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ハムスター、イヌ、ウマ、サル等で、更に好適なのはヒト、マウス、ラットで、最も好適なのはヒトである。用いられる組織、生物の液状検体、細胞は、通常、組織であれば切片またはタッチスメアとして調製し使用することができ、液状検体であればスメア標本として調製し使用することができ、また、細胞であればやはりスメア標本にして使用することができる。
前記標本は自体公知の方法により容易に調整することができる。用いられる組織、液状検体、細胞は特に限定されずいずれの種類であっても使用可能で、(1)組織の例としては脳組織、肺、胃、肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、腸管組織(小腸、大腸、直腸、結腸など)、皮膚組織、神経組織、血管組織、骨格筋(筋肉)・軟骨組織等があげられ、(2)液状検体の例としては胸水、腹水、尿、等があげられ、(3)細胞としては、接着性で塊を形成している細胞、浮遊性の細胞、等限定されず、例えば、前記組織を構成する細胞(脳細胞、肝細胞、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞、筋肉細胞、軟骨細胞等)、血球系細胞(赤血球、血小板細胞、各種白血球・リンパ球(たとえば単球、好中球、好塩基球、好酸球、貪食細胞、肥満細胞、T細胞、B細胞))、体腔液(胸腔液、腹腔液、心膜腔液)中の細胞(マクロファージ、リンパ球(例えばT細胞、B細胞等)、好中球、好酸球、中皮細胞、等)があげられる。
標的分析物質としては、生物の組織、細胞等に存在する物質のうち、抗原性を示す物質であれば特に限定されず、いかなる物質であっても本発明により染色可能である。抗原性を示す物質の例としては、蛋白質、核酸分子、その他各種非ペプチド性物質があげられる。(1)蛋白質としては、各種膜蛋白質、各種可溶性蛋白質があり、組織や細胞等に特異的に発現する蛋白質(例えばマーカー蛋白質)、酵素、受容体や、中間フィラメント、間質成分、その他の組織・細胞特異抗原、その他各種の疾患のマーカーとなる蛋白質(例えば癌細胞・腫瘍に特異的な腫瘍マーカー、等)ならどれでも分析可能である。例えば、ACTH(adrenocorticotropic hormone:副腎皮質刺激ホルモン)、Actin、α−heavy chain、Androgen受容体、bcl−2、Calcitonin、各種CD(Cluster of differentiation)抗原、CEA(Carcino embryonic antigen:癌胎児性抗原)、c−erbB−2、ChromograninA、コラーゲン、Cytokeratin、Desmin、Epithelial membrane抗原、Epithelial glycoprotein、エストロゲン受容体、FSH(Focal segment hyalinosis:巣状分節状硝子化)、γ−heavy chain、Gastrin、GCDFP−15(Grosscystic disease fluid protein−15)、Grosscystic disease fluidp rotein15、成長ホルモン、GAFP(Glial fibrillary acidic protein)、Hepatitis C、Human chronic gonadotropin、インスリン、κ−light chain、Ki−67抗原、λ−light chain、Lewis抗原、Luteinizing hormone、メラノーマ抗原、μ−heavy chain、Neutrophil elastase、神経特異的エノラーゼ、p53、胎盤アルカリホスファターゼ、プロゲステロン受容体、プロラクチン(Prolactin)、Prostatic acid phosphatase、Prostatic specific antigen、Retinoblastoma gene product(網膜芽細胞腫遺伝子産物)、S100protein、ソマトスタチン(Somatostatin)、Synaptophysin、Thyroglobulin、TSH(Thyroid stimulating hormone;甲状腺刺激ホルモン)、Villin、Vimentin、VIP(Vasoactive intestinal polypeptide:血管作動性小腸ペプチド)、ステロイド受容体、インテグリン、カルレティキュリン、各種サイトカイン受容体、をその一例としてあげることができる。(2)核酸分子にはDNA、RNAおよびmRNAが含まれる。(3)非ペプチド性物質としては、例えば脂質(中性脂質、チン脂質、等)、糖鎖、金属(Fe2+、Fe3+、Mg2+、Zn2+、Na、K、Ca2+等内因性のものや、Cd、Hg等外因性のもの)等があげられる。
本願明細書において用いる「結合反応」とは、前記標的分析物質とそれに対する特異的結合物質との結合反応(例えば抗原−抗体反応、核酸分子どうしのハイブリダイゼーション反応、等)を意味する。
また、本願明細書において用いる「1次抗体」とは、前記標的分析物質に特異的な抗体を意味し、「2次抗体」とは、該1次抗体に特異的に結合する抗体を意味する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2に示すように、パラフィンブロック2に通孔4を形成し、該パラフィンブロック2の通孔4内にセパレータ3を配置する。
パラフィンブロック2は、通常は直方体状である。パラフィンブロック2に、通孔4を1個形成するのがよく、その断面形状は限定されるものではないが、円形、矩形などであり得る。好ましくは円筒状の通孔4である。該通孔4は、機械加工によって、例えば、パンチなどによってパラフィンブロック2に形成することができる。
セパレータ3は、通孔4の内面に沿うように通孔4内に配置される。この実施形態では円筒状のセパレータ3が通孔4内に挿入される。
セパレータ3は、パラフィンブロック2を構成するパラフィンと比較して、相変化による体積膨張率の大きい材料から形成される。例えば、水を吸収した際の体積膨張率の大きい寒天ゼリーなどによってセパレータ3を形成することができる。あるいは、パラフィンと比較して熱膨張率の大きい材料によってセパレータを形成してもよい。典型的には、セパレータ3は、図3に示すように、基板29上に寒天ゼリーなどのセパレータ構成材料を流して層34を形成した後、この層34を筒状に巻いて形成される。この層34は必要に応じて乾燥される。
他方、生体試料(以下、組織ともいう)に円筒状の針部材を刺し込み、針部材内に組織を取り込んだのち、該針部材から組織を押し出す。
次に、この組織の周囲に、一次抗体と反応し得る層(コントロールともいう)9を形成する。例えば、組織を一次抗体と反応し得る試薬の溶液中に浸漬することにより、組織の周囲に一次抗体と反応し得る層9を形成することができる。
この一次抗体と反応し得る試薬としては、羊膜、および、患者(1人または複数)由来の疾患関連抗原を発現する組織があげられる。
他に一次抗体と反応し得る層として、細胞株を生やしたシート状のゼラチンなどの膜や、薄切された、パラフィンブロックの組織片などが陽性コントロールとして機能する。
次に、周囲に一次抗体と反応し得る層9が形成された組織8を、上記パラフィンブロック2の通孔4内に充填して固形試料10が作製される。
具体的には、腫瘍などの生体試料標本から針部材などを用いて小型の細長い組織試料を採取する。組織試料は、生体試料標本の関心対象の領域から採取することができる。試料は円筒形の試料がよく、円筒形の試料は長さ約1〜4mmで、直径約0.1〜4mmとすることができる。採取した試料は、例えば、核酸の分析を妨害しないように(エタノール固定などの方法で)保存することができる。この試料の周囲に一次抗体と反応し得る層9を付着させる。
このようにして、パラフィンブロック2およびセパレータ3にて組織8が包埋された固形試料10が得られる。
次に、この固形試料10を切断刃によって薄切する。
この切断工程は、従来より使用されているミクロトームを使用することができる。固形試料10をミクロトームにかけて薄切を行い、通常、2〜4μmの厚さの薄切片12が得られる。図3に示すように、薄切片12は、パラフィン片のほぼ中央に薄い組織8が配置され、その組織8の周囲に一次抗体と反応し得る層9が配置され、その外側にセパレータ3が配置された状態である。
次に、薄切片12を水で処理することにより、図4に示すように、組織8の周囲のパラフィン片13を破断して該組織8から該パラフィン片13を分離する。
この工程においては、薄切片12を水槽に入れた湯(30℃〜50℃)の中に入れたり、湯に浸漬すればよい。セパレータ3が水を吸収して体積膨張し、周囲のパラフィン片13を押し広げて破断させる。その結果、パラフィン片13が除去された組織8が得られる。
次に、この組織8を第5図に示すようにスライドガラス24上に乗せる。典型的には、組織8を水槽の水面上からピンセットなどを用いてスライドガラス24上に乗せるようにする。
図6に示すように、スライドガラス24の表面には、予めシリコンゴムなどの弾性層26を形成しておくのが好ましい。あるいは、基板27の下にシリコンゴムなどの弾性層があっても良い。
次に、この複数の組織8が配置されたスライドガラス24上に抗体投入用器具28を配置する。この器具28は、図5および図7に示すように、矩形状の基板27に、各組織8に対応する位置に通孔30を設けて構成されている。基板27の両側部には留め具31が回動可能に取り付けられており、スライドガラス24上に器具28を配置した後、留め具31を回動してスライドガラス24に固定することで、器具28の各通孔30によってスライドガラス24上に凹部32が形成される。この凹部32内に各種の抗体溶液が投入され組織8の反応に供される。
スライドガラス24上もしくは、器具28の下には上記したように弾性層26が形成されているので、各凹部32内の抗体溶液が漏れ出したり、隣接する凹部32内の抗体溶液が混合することがない。
なお必要に応じて脱パラフィン工程を行ってもよい。
すなわち、キシレン,アルコール,水の入った槽に、組織8が付着したスライドガラス24を順次浸漬し、脱パラフィンが行われる。その後、所定の染色液で染色を行い、封入剤を滴下した後、カバーガラスをかぶせる封入工程を経て、組織観察用の薄切片試料が作製される。
次に、定法に従って、組織8を染色する(染色工程)。
ここで、最初に標的抗原に特異的な一次抗体を抗原との反応に供し、次いで該一次抗体に特異的な標識二次抗体を反応させ、いわば間接的に標的抗原を可視化するのが良い。
このようにして、染色後に顕微鏡などを用いて、標的分析物質を決定することにより、それに対する特異的結合物質も決定される。
なお、図8は、他の実施形態を示したものである。
上記実施形態では、針部材を組織に刺し込み、針部材内に組織を取り込んだのち、該針部材から組織を押し出すようにしたが、図8に示すように薄切りした組織をロール状に巻いて、このロール状の組織をパラフィンブロックの通孔に充填してもよい。
すなわち、パラフィンブロックに通孔を形成し、その通孔内に組織を充填してパラフィンブロックにて組織が包埋された固形試料40を作成する。次に、この固形試料40を切断刃44によって薄切し該組織の周囲にパラフィンが配置された薄切片41を得る。この薄切片41をロール状に巻き、この長尺なロール42を適宜寸法に切断して所定寸法の組織の筒状体45が得られる。
この組織の筒状体45を、上記したようにパラフィンブロック2の通孔4内に挿入、配置する。この実施形態では、パラフィンブロック2に複数の通孔4が形成されている。その後、上記のようにスライスして組織観察用薄切片が作成される。
なお、本明細書において包埋剤とは、組織片などを薄切しやすい状態にする試薬をいい、非親水性または非水溶性のパラフィン、セロイジン、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂や、親水性または水溶性のカーボワックス、ゼラチン等が用いられる。中でも上記パラフィン包埋法が最も一般的且つ常用されている。
スライドガラス24上には、組織8との付着性を高めるために、シランコート又はリジンコートが施されていても良い。
また、本発明で使用する固相マトリクスは、標的分析物質とそれの特異的結合物質との結合反応が起きるマトリクスであり、且つ、生成したシグナルを検出する際の基板となるものであり、前記結合反応及びシグナル検出を阻害しない限りにおいてマトリクス素材は特に限定されないが、好適には顕微鏡のスライドグラスである。
本発明は、次のような特異的結合物質に対して、組織、細胞などの生体試料を染色するための生体試料標本を提供できる。
例えば、(1)標的分析物質が蛋白質(各種細胞蛋白質、酵素、受容体、疾患マーカー等)である場合、該蛋白質に結合性を有する各種Counterpart・リガンド(例えば該蛋白質を抗原とする抗体、小分子)が用いられるが、好適には抗体であり、最も好適なのはその特異性と抗体価が確認されたモノクローナル抗体である。
(2)標的分析物質が核酸である場合、それに対する特異的結合物質として相補的核酸分子(例えばDNA、RNA、mRNA)、抗体等が用いられるが、好適には相補的核酸分子であり、かかる核酸分子どうしのハイブリダイゼーションを利用して標的核酸分子(DNA、RNA、mRNA)を判別することが可能である(例えばFISH法)。
(3)標的分析物質が非ペプチド性物質(例えば脂質、糖鎖、金属等)である場合、該物質に対する特異的結合物質としては該物質に対する特異的抗体を用いるのが好適である。また、糖鎖の検出においては、例えばレクチンを特異的結合物質として使用すれば検出が容易である。
2 バラフィンブロック
3 セパレータ
4 通孔
8 組織
9 一次抗体と反応し得る層
10 固形試料
12 薄切片
24 スライドガラス

Claims (12)

  1. パラフィンブロックに通孔を形成する工程、該パラフィンブロックの通孔内に筒状のセパレータを配置する工程、該セパレータ内に組織を充填すると共に、該組織の周囲に一次抗体と反応し得る層を形成する工程、該パラフィンブロックにて組織が包埋された固形試料を切断刃によって薄切し、該組織の周囲にセパレータおよびパラフィンが配置された薄切片を得る工程、該薄切片を水で処理することにより該組織周囲のパラフィンを破断して該組織から該パラフィンを分離する工程、複数の該組織をスライドガラス上に乗せる工程、および該組織を染色する工程、を包含する組織観察用薄切片の作製方法。
  2. さらに、前記組織を染色する工程を包含する、請求項1に記載の組織観察用薄切片の作製方法。
  3. 前記一次抗体と反応し得る層が、羊膜である請求項1記載の組織観察用薄切片の作製方法。
  4. 前記セパレータが、吸水により体積膨張し得る材料よりなる請求項1記載の組織観察用薄切片の作製方法。
  5. 前記セパレータが、熱により体積膨張し得る材料よりなる請求項1記載の組織観察用薄切片の作製方法。
  6. 吸水および/または熱による前記セパレータの体積膨張率が、パラフィンブロックの体積膨張率よりも高い、請求項1記載の組織観察用薄切片の作製方法。
  7. 前記セパレータが、寒天、または、ゼリー、あるいは、これらの混合物である請求項3記載の組織観察用薄切片の作製方法。
  8. 請求項1に記載の方法を用いることを含む、疾患の病理診断方法。
  9. ブロック状の包埋剤に孔部を形成する工程、該包埋剤の孔部内に筒状のセパレータを配置する工程、該セパレータ内に生体試料を充填すると共に、該生体試料の周囲に一次抗体と反応し得る層を形成する工程、該包埋剤にて生体試料が包埋された固形試料を切断刃によって薄切し、該生体試料の周囲にセパレータおよび包埋剤が配置された薄切片を得る工程、該薄切片を水で処理することにより該生体試料の周囲の包埋剤を破断して該生体試料から包埋剤を分離する工程、複数の該生体試料をスライドガラス上に乗せる工程、および該生体試料を染色する工程、を包含する生体試料標本の作製方法。
  10. 生体試料標本の作製方法に使用され、生体試料から包埋剤を分離するために使用するセパレータであって、
    相変化によって体積が膨張する材料からなり、吸水および/または熱による包埋剤の体積膨張率より大きい体積膨張率を有するセパレータ。
  11. 請求項1に記載の方法によって作製された、組織観察用薄切片。
  12. 請求項9に記載の方法によって作製された、生体試料標本。
JP2009156343A 2009-06-30 2009-06-30 生体試料標本の作製方法 Withdrawn JP2011013051A (ja)

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