JP5918034B2 - 防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造 - Google Patents

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Description

本発明は、防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造、詳しくは、建築物の屋根などに、構造物を設置するために用いられる防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造に関する。
太陽電池モジュールなどの構造体は、通常、建築物の屋根に、ねじにより固定されている。
そのため、屋根に形成されたねじ穴から、雨水などが屋根の内部に浸入して、屋根を腐食する場合がある。
そこで、構造体を固定することができ、かつ、屋根の内部への水の浸入を抑制することができる防水ねじが、種々検討されている。
このような防水ねじとしては、頭部に、防水用のゴム弾性体が設けられているスクリューネジが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−74068号公報
しかしながら、特許文献1に記載のスクリューネジを用いて、構造物を屋根に固定しても、防水用のゴム弾性体が、屋根に形成されたねじ穴の上面をシールするのみであって、屋根におけるスクリューネジの挿通部分はシールされず、屋根の内部への水の浸入を十分に抑制することができないという不具合がある。
そこで、本発明の目的は、構造体を屋根に固定することができながら、軸部の挿通部分にわたってシールすることができ、屋根の内部への水の浸入を十分に抑制することができる防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の防水ねじは、頭部および軸部を備えるねじ部材と、前記軸部の周囲を被覆するシール材とを備え、前記シール材において、前記軸部の径方向外側の表面のタック性が、前記径方向内側の表面のタック性よりも低く、かつ、前記径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であることを特徴としている。
また、本発明の防水ねじでは、前記シール材が、前記軸部に接触する内側弾性層と、前記内側弾性層の前記径方向外側に積層される外側弾性層とを備え、前記内側弾性層の、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、前記外側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’が、前記内側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’よりも高いことが好適である。
また、本発明の防水ねじでは、前記外側弾性層の、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、1000000Pa以下であることが好適である。
本発明の防水ねじでは、前記内側弾性層の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力が、5N/25mm以上であることが好適である。
また、本発明の防水ねじでは、前記外側弾性層の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力が、1N/25mm以下であることが好適である。
また、本発明の防水ねじでは、前記内側弾性層が、ブチルゴムを含有することが好適である。
また、本発明の防水ねじでは、前記外側弾性層が、合成ゴムおよび/または樹脂を含有することが好適である。
また、本発明の防水ねじでは、前記合成ゴムが、エチレン・プロピレン・ジエンゴムであることが好適である。
また、本発明の防水ねじでは、前記内側弾性層が、さらに、液状ゴムおよび充填剤を含有し、前記充填剤の配合割合が、前記ブチルゴム100質量部に対して、300質量部未満であることが好適である。
また、本発明の防水ねじは、構造体を屋根上に設置するために用いられることが好適である。
また、本発明のシール材は、ねじ部材の軸部に被覆され、前記軸部の挿通部分をシールするために用いられるシール材であって、前記軸部に被覆された状態において、前記軸部の径方向外側の表面のタック性が、前記径方向内側の表面のタック性よりも低く、かつ、前記径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であることを特徴としている。
また、本発明の構造体設置方法は、屋根上に構造体を設置する構造体設置方法であって、屋根上に、構造体を配置する構造体配置工程と、上記の防水ねじにより、前記構造体を前記屋根に固定する構造体固定工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明の構造体設置構造は、屋根上に構造体を設置した構造体設置構造であって、屋根上に、構造体が配置され、前記構造体が、上記の防水ねじにより、前記屋根に固定されていることを特徴としている。
本発明の防水ねじは、頭部および軸部を備えるねじ部材と、軸部の周囲を被覆するシール材とを備え、そのシール材において、軸部の径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下である。そのため、本発明の防水ねじを用いて、構造物を屋根に固定すれば、シール材が、屋根における軸部の挿通部分をシールすることができるので、屋根の内部への水の浸入を十分に抑制することができる。
また、本発明の防水ねじでは、シール材において、軸部の径方向外側の表面のタック性が、径方向内側の表面のタック性よりも低いので、耐ブロッキング性に優れており、輸送時などにおいて、防水ねじ同士がブロッキング(シール材同士が互いに接着)することを抑制できる。さらに、本発明の防水ねじは、取扱性にも優れ、構造体を屋根に設置する設置作業時において、シール材が作業者の手などに粘着することを抑制できる。
そのため、本発明の防水ねじでは、離型紙が不要であり、構造体を屋根に設置する設置作業時において、離型紙を剥離する工程を省略できるので、構造体の設置作業の円滑化を図ることができ、すなわち、作業性の向上を図ることができる。
したがって、本発明の防水ねじ、シール材、構造体設置方法および構造体設置構造は、防水ねじが耐ブロッキング性および取扱性に優れるので、作業性よく構造体を屋根に固定することができながら、屋根の内部への水の浸入を十分に抑制することができる。
本発明の防水ねじの一実施形態の側断面図を示す。 本発明の防水ねじに用いられるシール材の一実施形態の側断面図を示す。 図2に示すシール材の製造方法の一実施形態を示す製造工程図であって、(a)は、内側弾性層を調製する工程、(b)は、外側弾性層を調製する工程、(c)は、内側弾性層および外側弾性層を互いに貼り合わせる工程、(d)は、シール材を作製する工程をそれぞれ示す。 建築物の屋根に構造体を設置する、本発明の構造物設置方法の一実施形態を示す説明図であって、(a)は、屋根に、構造体を配置する構造体配置工程を示し、(b)〜(e)は、図1に示す防水ねじにより、構造体を屋根に固定する構造体固定工程を示す。 本発明の防水ねじに用いられるシール材の他の実施形態(支持層を備える態様)の側面図を示す。 ねじ密着性試験の評価基準を説明するための説明図であって、(a)は、ねじ密着性が○の場合を示し、(b)は、ねじ密着性が×の場合を示す。 ルーフィング材密着性試験の評価基準を説明するための説明図であって、(a)は、ルーフィング材密着性が○の場合を示し、(b)は、ルーフィング材密着性が×の場合を示す。 各実施例および比較例における、ねじ止水試験の試験方法を説明するための説明図を示す。
図1は、本発明の防水ねじの一実施形態の側断面図である。
防水ねじ1は、ねじ穴の内部への水の浸入を防止する防水機能を備えるねじであって、ねじ部材2と、シール材5とを備えている。
ねじ部材2は、頭部3および、ねじ山(ねじ溝)が形成される軸部4を備える公知のねじ部材であって、特に限定されず、例えば、木ねじ、金属ねじなどが挙げられ、好ましくは、金属ねじが挙げられる。
シール材5は、ねじ部材2の軸部4の周囲を被覆し、軸部4の挿通部分をシールするために用いられる。
シール材5において、軸部4の径方向外側の表面のタック性は、作業性や保管安定性を向上させる観点から、径方向内側の表面のタック性よりも低くなるように、好ましくは、タックフリーとなるように、調整されている。
シール材5において、タック性の指標は粘着性であって、例えば、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力の高さが高いほど、タック性が高いと判断される。
具体的には、シール材5において、軸部4の径方向内側の表面の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力は、例えば、5N/25mm以上、好ましくは、8.0N/25mm以上、より好ましくは、10.0N/25mm以上、通常、50.0N/25mm未満である。
一方、シール材5において、軸部4の径方向外側の表面の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力は、上記径方向内側の表面の剥離接着力より低く、例えば、1N/25mm以下、好ましくは、0.8N/25mm以下、より好ましくは、0.5N/25mm以下、通常、0.01N/25mm以上である。
剥離接着力は、実施例で詳述する剥離接着性試験によって算出される(以下同様)。
また、このようなシール材5では、軸部4の径方向内側(シール材5の径方向内側の表面を含む部分)において、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下、好ましくは、40000Pa以下であって、例えば、10000Pa以上、好ましくは、15000Pa以上である。
また、軸部4の径方向外側(シール材5の径方向外側の表面を含む部分)において、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’は、上記の径方向内側の表面の貯蔵剪断弾性率G’より高く、例えば、1000000Pa以下、好ましくは、800000Pa以下であって、例えば、50000Paを超過し、好ましくは、100000Pa以上である。
貯蔵剪断弾性率G’は、実施例で詳述する粘弾性試験によって算出される(以下同様)。
また、このようなシール材5では、軸部4の径方向内側において、周波数1Hzで測定される25℃の損失剪断弾性率G”が、例えば、20000Pa以下、好ましくは、18000Pa以下であって、例えば、5000Pa以上、好ましくは、10000Pa以上である。
また、軸部4の径方向外側において、周波数1Hzで測定される25℃の損失剪断弾性率G”は、例えば、200000Pa以下、好ましくは、180000Pa以下であって、例えば、50000Pa以上、好ましくは、80000Pa以上である。
損失剪断弾性率G”は、上記した貯蔵剪断弾性率G’とともに、算出される(以下同様)。
また、シール材5の表面のタック性(すなわち、粘着性)を調整する方法としては、特に制限されず、例えば、タック性の異なる複数(例えば、2つ)の層を貼り合わせることにより多層(例えば、2層)としてシール材5を形成してもよく、また、例えば、シール材5の径方向外側の表面に、タック性を低下させるための粉末をまぶし、シール材5を粉末で覆ってもよい。さらには、例えば、シール材5において、軸部4の径方向最外表面を加熱し、乾燥および硬化させることにより、タック性を低下させることもできる。
好ましくは、タック性の異なる複数(例えば、2つ)の層を貼り合わせることによりシール材5を形成する。
具体的には、図1において、シール材5は、軸部4と接触する内側弾性層6と、その内側弾性層6の径方向外側に積層され、貯蔵剪断弾性率G’が内側弾性層6の貯蔵剪断弾性率G’よりも高い外側弾性層7とを備えている。
このような内側弾性層6の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力は、後述する外側弾性層7の剥離接着力よりも高く、例えば、5N/25mm以上、好ましくは、8.0N/25mm以上、より好ましくは、10.0N/25mm以上、通常、50.0N/25mm未満である。
内側弾性層6の剥離接着力が上記範囲であれば、防水ねじ1を固定する際に、軸部4にシール材5が十分に密着し、挿通部分をシールすることができる。
また、このような内側弾性層6の、貯蔵剪断弾性率G’は、後述する外側弾性層7の貯蔵剪断弾性率G’よりも低く、具体的には、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下、好ましくは、40000Pa以下であって、例えば、10000Pa以上、好ましくは、15000Pa以上である。
内側弾性層6の貯蔵剪断弾性率G’が上記範囲であれば、防水ねじ1を固定する際に、軸部4にシール材5が十分に追従し、挿通部分をシールすることができる。
また、内側弾性層6の、周波数1Hzで測定される25℃の損失剪断弾性率G”は、例えば、20000Pa以下、好ましくは、18000Pa以下であって、例えば、5000Pa以上、好ましくは、10000Pa以上である。
このような内側弾性層6は、防水ねじ1の軸部4への密着性および追従性の向上や、挿通部分をシールした後の止水性の向上を図る観点から、好ましくは、ブチルゴムを含有する。
ブチルゴムは、イソブテン(イソブチレン)および少量のイソプレンの共重合体(イソブチレン・イソプレンゴム)である。
このようなブチルゴムのムーニー粘度は、例えば、30(ML1+4、100℃)以上、好ましくは、40(ML1+4、100℃)以上であり、例えば、70(ML1+4、100℃)以下、好ましくは、60(ML1+4、100℃)以下である。
また、このようなブチルゴムとしては、例えば、再生ブチルゴムなどの公知のブチルゴムが挙げられる。
ブチルゴムの配合割合は、内側弾性層6全量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
また、内側弾性層6は、貯蔵剪断弾性率G’を低減させる観点から、好ましくは、さらに、液状ゴムを含有する。
液状ゴムは、ブチルゴムと相溶可能な常温液状のゴムであって、例えば、液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、ポリブテン(具体的には、液状ポリブテン)などが挙げられる。
このような液状ゴムは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
また、このような液状ゴムのなかでは、好ましくは、ポリブテンが挙げられる。
ポリブテンは、その40℃における動粘度が、例えば、10mm/s以上、好ましくは、1000mm/s以上であり、例えば、200000mm/s以下、好ましくは、100000mm/s以下である。また、その100℃における動粘度が、例えば、2.0mm/s以上、好ましくは、50mm/s以上であり、例えば、4000mm/s以下、好ましくは、2000mm/s以下である。
液状ゴムの配合割合は、内側弾性層6全量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下であり、また、ブチルゴム100質量部に対して、例えば、70質量部以上、好ましくは、80質量部以上であり、例えば、140質量部以下、好ましくは、120質量部以下である。
このようなポリブテンを配合することにより、ブチルゴムを軟化することができる。
また、内側弾性層6は、防水ねじ1の軸部4への密着性の向上の観点から、好ましくは、さらに、充填剤、粘着付与剤を含有する。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、白艶華など)、タルク、マイカ、クレー、雲母粉、シリカ、アルミナ、アルミニウムシリケート、酸化チタン、ガラス粉(パウダ)などが挙げられる。
このような充填剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
このような充填剤のなかでは、好ましくは、炭酸カルシウムが挙げられる。
充填剤の配合割合は、内側弾性層6全量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下であり、また、ブチルゴム100質量部に対して、例えば、300質量部未満、好ましくは、250質量部以下、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上である。
充填剤の配合割合が上記範囲であれば、防水ねじ1の軸部4への密着性の向上を図ることができる。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂(例えば、テルペン−芳香族系液状樹脂など)、クマロンインデン系樹脂、石油系樹脂(例えば、C5系石油樹脂など)などが挙げられる。
このような粘着付与剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
このような粘着付与剤のなかでは、好ましくは、C5系石油樹脂(C5系粘着付与剤)などの石油系樹脂が挙げられる。
粘着付与剤の配合割合は、内側弾性層6全量に対して、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上であり、例えば、25質量%以下、好ましくは、20質量%以下であり、また、ブチルゴム100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、40質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。
また、内側弾性層6には、上記成分に加えて、架橋剤、さらに、必要に応じて、例えば、発泡剤、垂れ防止剤(チクソ性付与剤)、低極性ゴム、顔料、揺変剤、滑剤、スコーチ防止剤、安定剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜の割合で添加することもできる。
架橋剤としては、例えば、硫黄、過酸化物系架橋剤、金属キレート系架橋剤、キノイド系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、金属塩系架橋剤、メラミン系架橋剤、アミノ系架橋剤、カップリング剤系架橋剤(シランカップリング剤など)などが挙げられる。
このような架橋剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
このような架橋剤のなかでは、好ましくは、キノイド系架橋剤が挙げられる。
架橋剤の配合割合は、内側弾性層6全量に対して、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、例えば、2.0質量%以下、好ましくは、1.0質量%以下であり、また、ブチルゴム100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
内側弾性層6の厚み(径方向厚み)は、例えば、0.5mm以上であり、例えば、5mm以下、好ましくは、3mm以下、より好ましくは、1.5mm以下である。
外側弾性層7の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力は、上記した内側弾性層6の剥離接着力よりも低く、例えば、1N/25mm以下、好ましくは、0.8N/25mm以下、より好ましくは、0.5N/25mm以下、通常、0.01N/25mm以上である。
外側弾性層7の剥離接着力が上記範囲であれば、防水ねじ1同士のブロッキングを十分に抑制することができる。
また、このような外側弾性層7の、貯蔵剪断弾性率G’は、上記した内側弾性層6の貯蔵剪断弾性率G’よりも高く、具体的には、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、例えば、1000000Pa以下、好ましくは、800000Pa以下であって、例えば、50000Paを超過し、好ましくは、100000Pa以上である。
外側弾性層7の貯蔵剪断弾性率G’が上記範囲であれば、防水ねじ1を固定する際に、頭部3の下面にシール材5が十分に固着し、構造体8上をシールすることができる。
また、外側弾性層7の、周波数1Hzで測定される25℃の損失剪断弾性率G”は、例えば、200000Pa以下、好ましくは、180000Pa以下であって、例えば、50000Pa以上、好ましくは、80000Pa以上である。
このような外側弾性層7としては、特に制限されないが、頭部3の下面のシール性の観点から、好ましくは、合成ゴムおよび/または樹脂を含有する。
合成ゴムとしては、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、例えば、1−ブテンなどのα−オレフィン・ジシクロペンタジエン、例えば、エチリデンノルボルネンなどの非共役二重結合を有する環状または非環状のポリエンを成分とするゴム系共重合体、例えば、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレンターポリマー、シリコーンゴム、ポリウレタン系ゴム、ポリアミド系ゴムなどが挙げられる。
これら合成ゴムは、単独使用または2種類以上併用することができる。
合成ゴムとして、好ましくは、エチレン・プロピレン・ジエンゴムが挙げられる。
エチレン・プロピレン・ジエンゴムを用いれば、耐候性の向上を図ることができる。
また、エチレン・プロピレン・ジエンゴムのムーニー粘度は、例えば、10(ML1+4、100℃)以上、好ましくは、20(ML1+4、100℃)以上であり、例えば、60(ML1+4、100℃)以下、好ましくは、50(ML1+4、100℃)以下である。
樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル樹脂、EVA−塩化ビニル樹脂共重合体などが挙げられる。
これら樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、外側弾性層7は、頭部3の下面の止水性の向上の観点から、好ましくは、さらに、ブチルゴムを含有する。
ブチルゴムとしては、例えば、上記したブチルゴムが挙げられ、好ましくは、内側弾性層6に含有されるブチルゴムと同種のブチルゴムが挙げられる。
ブチルゴムの配合割合は、外側弾性層7全量に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上であり、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下であり、また、合成ゴムおよび/または樹脂の総量100質量部に対して、例えば、60質量部以上、好ましくは、80質量部以上であり、例えば、140質量部以下、好ましくは、120質量部以下である。
また、外側弾性層7は、頭部3の下面のシール性の観点から、好ましくは、さらに、軟化剤および充填剤を含有する。
軟化剤としては、例えば、乾性油類や動植物油類(例えば、アマニ油など)、パラフィン、アスファルト、石油系オイル類(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイルなど)、低分子量ポリマー類、有機酸エステル類(例えば、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP))、リン酸エステル、高級脂肪酸エステル、アルキルスルホン酸エステルなど)、増粘付与剤などが挙げられ、好ましくは、パラフィン、アスファルト、石油系オイル類が挙げられる。
これら軟化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
軟化剤の配合割合は、外側弾性層7全量に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上であり、例えば、15質量%以下、好ましくは、10質量%以下であり、また、合成ゴムおよび/または樹脂の総量100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは、80質量部以下である。
軟化剤の配合割合が上記範囲であれば、頭部3の下面のシール性の向上を図ることができる。
充填剤としては、例えば、上記した充填剤が挙げられ、好ましくは、炭酸カルシウムが挙げられる。
充填剤の配合割合は、外側弾性層7全量に対して、例えば、20質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下であり、また、合成ゴムおよび/または樹脂の総量100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下である。
充填剤の配合割合が上記範囲であれば、頭部3の下面のシール性の向上を図ることができる。
また、外側弾性層7には、上記成分に加えて、さらに、必要に応じて、例えば、架橋剤、発泡剤、垂れ防止剤(チクソ性付与剤)、低極性ゴム、顔料、揺変剤、滑剤、スコーチ防止剤、安定剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜の割合で添加することもできる。
このような外側弾性層7の厚みは、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.3mm以上であり、例えば、1.0mm以下、好ましくは、0.8mm以下である。
また、シール材5の厚み(内側弾性層6の厚みと、外側弾性層7の厚みとの総和)は、例えば、0.5mm以上であり、例えば、5mm以下、好ましくは、3mm以下、より好ましくは、1.5mm以下である。
図2は、本発明の防水ねじに用いられるシール材の一実施形態の側断面図であり、図3は、図2に示すシール材の製造方法の一実施形態を示す製造工程図である。
次に、本発明の防水ねじ1の作製方法について、図2および図3を参照して、説明する。
防水ねじ1を作製するには、まず、図2に示すように、シール材5を作製する。
シール材5を作製するには、まず、図3(a)に示すように、内側弾性層6を調製する。
内側弾性層6を調製するには、例えば、上記した各成分を、上記した配合割合において配合し、特に限定されないが、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機などによって混練して、粘着性組成物を得る。
なお、粘着性組成物に架橋剤を添加する場合には、上記混練または下記圧延において、粘着性組成物を架橋する温度で実施する。
その後、得られた粘着性組成物を、例えば、カレンダー成形、押出成形またはプレス成形などによって圧延することにより、第1離型紙21の表面などに積層する。これによって、内側弾性層6は、シート状に調製される。
このような内側弾性層6の厚みは、上記したように、例えば、0.5mm以上であり、例えば、5mm以下、好ましくは、3mm以下、より好ましくは、1.5mm以下である。
また、この方法では、上記の内側弾性層6の調製とともに、図3(b)に示すように、外側弾性層7を調製する。
外側弾性層7を調製するには、例えば、上記した各成分を、上記した配合割合において配合し、特に限定されないが、例えば、ミキシングロール、加圧式ニーダー、押出機などによって混練して、低粘着性組成物を得る。
その後、得られた低粘着性組成物を、例えば、カレンダー成形、押出成形またはプレス成形などによって圧延することにより、第2離型紙22の表面などに積層する。これによって、外側弾性層7は、シート状に調製される。
このような外側弾性層7の厚みは、上記したように、例えば、0.1mm以上、好ましくは、0.3mm以上であり、例えば、1.0mm以下、好ましくは、0.8mm以下である。
その後、この方法では、図3(c)に示すように、上記のように調製された内側弾性層6および外側弾性層7を互いに貼り合わせ、図3(d)に示すように、シール材5を作製する。なお、このとき、シール材5は、表面および裏面の両面が、離型紙(第1離型紙21および第2離型紙22)によって被覆されている。
得られるシール材5の厚み(内側弾性層6の厚みと、外側弾性層7の厚みとの総和)は、上記したように、例えば、0.5mm以上であり、例えば、5mm以下、好ましくは、3mm以下、より好ましくは、1.5mm以下である。
そして、この方法では、上記したねじ部材2の軸部4に、上記したシール材5を巻き付けることによって、防水ねじ1を作製する。
すなわち、この方法では、まず、第1離型紙21を剥離し、内側弾性層6を露出させる。次いで、第2離型紙22が最外層(最表面)に位置するように、軸部4と内側弾性層6とを接触させ、ねじ部材2の軸部4に対して、シール材5を巻き付ける。より具体的には、軸部4のねじ山(ねじ溝)を被覆するように、軸部4の外周面に沿って、シール材5を巻回する。これによって、シール材5が軸部4の周囲を被覆する。
その後、第2離型紙22を剥離することにより、外側弾性層7を最外層(最表面)として露出させる。
なお、シール材5の巻き付け方法は上記に限定されず、例えば、シール材5から第1離型紙21および第2離型紙22を同時に剥離して、内側弾性層6および外側弾性層7を露出させた後、軸部4と内側弾性層6とを接触させ、ねじ部材2の軸部4に対して、シール材5を巻き付けることもできる。
このとき、シール材5は、軸部4の軸方向において、軸部4を、その全長に対して、例えば、20%以上、好ましくは、30%以上、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下の割合で被覆し、具体的には、軸部4の挿通部分の長さにより、適宜選択されるが、例えば、20〜100mm被覆する。
そして、シール材5は、軸部4を、その挿通部分の長さより長く被覆し、例えば、軸部4の軸方向において、軸部4に、挿通部分の長さよりも、例えば、5〜30mm長く被覆する。
そして、このようにして得られる防水ねじ1は、頭部3および軸部4を備えるねじ部材2と、軸部4の周囲を被覆するシール材5とを備え、そのシール材5において、軸部4の径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下である。そのため、上記した防水ねじ1を用いて、構造物(後述)を屋根に固定すれば、シール材5が、屋根における軸部4の挿通部分をシールすることができるので、屋根の内部への水の浸入を十分に抑制することができる。
一方、このような防水ねじ1において、シール材5の最外表面における表面のタック性が高いと、例えば、輸送時などにおいて、シール材5が接触して、防水ねじ1同士がブロッキング(シール材5同士が互いに接着)するという不具合がある。
また、シール材5の表面のタック性が高いと、構造体(後述)を屋根に設置する設置作業時において、シール材5が作業者の手などに粘着するなど、取扱性に劣る場合がある。
一方、このような不具合を解消するため、例えば、シール材5の表面に離型紙などを設けることも検討される。シール材5を設ければ、ブロッキングや、シール材5が作業者の手などに粘着することを防止することができる。しかしながら、このような場合には、構造体(後述)を屋根に設置する設置作業時において、離型紙を剥離する必要があるため、作業工数が増加して、作業性に劣る場合がある。
これらに対して、上記した防水ねじ1では、シール材5において、軸部4の径方向外側の表面のタック性が、径方向内側の表面のタック性よりも低い(好ましくは、タックフリーである)ので、耐ブロッキング性に優れており、輸送時などにおいて、防水ねじ1同士がブロッキング(シール材同士が互いに接着)することを抑制できる。さらに、上記した防水ねじ1は、取扱性にも優れ、構造体(後述)を屋根に設置する設置作業時において、シール材5が作業者の手などに粘着することを抑制できる。
そのため、上記した防水ねじ1では、離型紙が不要であり、構造体(後述)を屋根に設置する設置作業時において、離型紙を剥離する工程を省略できるので、構造体(後述)の設置作業の円滑化を図ることができ、すなわち、作業性の向上を図ることができる。
そして、このような防水ねじ1は、例えば、建築物の屋根9に、構造体8を設置するために用いることができる。
図4は、建築物の屋根に構造体を設置する、本発明の構造物設置方法の一実施形態を示す説明図であって、(a)は、屋根に、構造体を配置する構造体配置工程を示し、(b)〜(e)は、図1に示す防水ねじにより、構造体を屋根に固定する構造体固定工程を示す。
構造体8を屋根9に設置するためには、まず、構造体8を屋根9に配置する(構造体配置工程)。
構造体8としては、特に制限されないが、例えば、太陽電池モジュール、エア・コンディショナーの室外機などを屋根に固定するための取付金具(屋根架台など)などが挙げられる。
屋根9は、例えば、図4(a)に示すように、垂木13上に、下地板としての野地板12が積層され、野地板12上に、防水シートとしてのルーフィング材11が積層されている。そして、ルーフィング材11上には、スレート板10が、階段状に配置されており、ルーフィング材11とスレート板10との間には、空間(隙間)が形成されている。
そして、まず、構造体8を、スレート板10上に配置する。
次いで、図1に示す防水ねじにより、構造体8を屋根9に固定する(構造体固定工程)。
構造体8を屋根9に固定するには、まず、図4(b)に示すように、構造体8および屋根9のスレート板10に、ねじ部材2の軸部4を挿通するための貫通穴17をそれぞれ設ける。
貫通穴17の形成には、公知の穿孔方法が用いられる。
また、必要に応じて、ルーフィング材11に、下穴を設けることもできる。
貫通穴17の直径は、軸部4の直径よりも大きく形成され、好ましくは、軸部4の直径と、シール材5の厚みの総和よりも小さく形成され、より好ましくは、軸部4の直径と、内側弾性層6の厚みの総和よりも小さく形成される。
そして、図4(c)に示すように、貫通穴17に、シール材5により周囲を被覆された軸部4を挿通する。
貫通穴17の直径が、軸部4の直径と、内側弾性層6の厚みの総和よりも小さく形成されている場合、挿通時において、軸部4の周囲に被覆されている内側弾性層6の一部と、外側弾性層7とが、構造体8の上面と接触する。そのため、構造体8の上面と接触する内側弾性層6および外側弾性層7は、貫通穴17の内部に挿入されず、貫通穴17の上面に粘着する。
また、これとともに、外側弾性層7が、内側弾性層6の表面(内側弾性層6と外側弾性層7との界面)に沿って摺動され、頭部3側へと集約される。
一方、構造体8の上面と接触しないシール材5(内側)は、軸部4の周囲を被覆したまま、貫通穴17内を通過し、ルーフィング材11とスレート板10との間の空間に到達する。
次いで、図4(d)に示すように、防水ねじ1を、ねじ込む。これにより、ルーフィング材11にねじ穴が形成され、軸部4がルーフィング材11および野地板12に螺合される。これにより、構造体8が、防水ねじ1によって、屋根9に固定される。
その後、図示しないが、取付金具に、太陽電池モジュールや、エア・コンディショナーの室外機などを取り付ける。
ルーフィング材11および野地板12への螺合時において、図4(e)に示すように、軸部4に形成されているねじ山(ねじ溝)部分に粘着するシール材5(内側弾性層6)は、軸部4を被覆したまま、軸部4とともにねじ穴の内部に挿入される。
そのため、ねじ山(ねじ溝)部分に粘着しているシール材5(内側弾性層6)が、軸部4と、ルーフィング材11および野地板12との間に介在して、軸部4の螺合部分をシールする。
一方、ねじ穴形成時において、ねじ山(ねじ溝)部分以外に粘着していたシール材5(内側弾性層6)は、ルーフィング材11の抵抗により、ねじ穴の内部に挿入されず、ねじ穴の上面に粘着する。そのため、ねじ穴の上面が、シールされる。
また、貫通穴17の上面に粘着したシール材5(内側弾性層6および外側弾性層7)は、ねじ部材2の頭部3と、構造体8とに挟み込まれることにより、貫通穴17の上面をシールする。
これによって、構造体8に設けられた貫通穴17の上面、軸部4の挿通部分および螺合部分、ルーフィング材11に形成されたねじ穴の上面(スレート板10とルーフィング材11との間の隙間)が、シールされる。
このように、防水ねじ1は、頭部3および軸部4を備えるねじ部材2と、軸部4の周囲を被覆するシール材5とを備え、そのシール材5の、25℃、周波数1Hzにおける、軸部の径方向内側(内側弾性層6)の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下である。
このようなシール材5は、軸部4との密着性が良好であるので、例え、防水ねじ1を挿通または螺合させても、軸部4から剥離することなく、挿通部分および螺合部分をシールすることができる。そのために、上記のように、防水ねじ1を用いて、構造体8を屋根9に固定すれば、シール材5が、屋根9における軸部4の挿通部分および螺合部分をシールすることができ、さらには、ルーフィング材11に形成されるねじ穴もシールすることができる。その結果、屋根9の内部への水の浸入を十分に抑制することができる。
とりわけ、上記した防水ねじ1は、耐ブロッキング性および取扱性に優れるので、作業性よく構造体8を屋根9に固定することができながら、屋根9の内部への水の浸入を十分に抑制することができる。
図5は、本発明の防水ねじに用いられるシール材の他の実施形態(支持層を備える態様)の側面図を示す。
なお、上記した説明では、シール材5の内側弾性層6を1層として形成したが、例えば、多層として形成することができ、例えば、図5に示すように、内側弾性層6は、内側弾性層6に靱性を付与するための支持層23を備えることができる。
支持層23は、2つの内側弾性層6に挟み込まれるように、積層される。
支持層23としては、例えば、ガラスクロス、樹脂含浸ガラスクロス、不織布、金属箔、カーボンファイバー、ポリエステルフィルムなどが挙げられる。
ガラスクロスは、ガラス繊維を布にしたものであって、公知のガラスクロスが挙げられる。
樹脂含浸ガラスクロスは、上記したガラスクロスに、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などの合成樹脂が含浸処理されているものであって、公知のものが挙げられる。なお、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル樹脂、EVA−塩化ビニル樹脂共重合体などが挙げられる。また、上記した熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂は、それぞれ、単独使用または併用することができる。
不織布は、例えば、木材繊維(木材パルプなど)、セルロース系繊維(例えば、レーヨンなどの再生セルロース系繊維、例えば、アセテートなどの半合成セルロース系繊維、例えば、麻、綿などの天然セルロース系繊維、例えば、それらの混紡糸など)、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系繊維(麻、あるいは麻および他のセルロース系繊維)などの繊維から形成される不織布が挙げられる。
金属箔としては、例えば、アルミニウム箔やスチール箔などの公知の金属箔が挙げられる。
カーボンファイバーは、炭素を主成分とする繊維を布にしたものであって、公知のものが挙げられる。
ポリエステルフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
このような支持層23のなかでは、好ましくは、不織布が挙げられる。
また、このような支持層23の厚みは、例えば、0.1mm以上であり、例えば、0.3mm以下、好ましくは、0.2mm以下である。
支持層23の厚みが、0.3mmを超過すると、シール材の巻回性が低下し、0.1mm未満では、シール材の生産性が低下する場合がある。
このような支持層23を備える内側弾性層6を調製するには、第1離型紙21の表面などに、内側弾性層6を積層した後、その内側弾性層6における第1離型紙21の積層側と反対側の表面に、上記支持層23を貼り合わせ、その支持層23に、再度、内側弾性層6を積層する。
そして、このように積層された内側弾性層6に、上記と同様にして外側弾性層7を積層することにより、シール材5を得ることができる。
なお、このようなシール材5を軸部4に巻き付けた場合、支持層23に対して外側弾性層7と反対側の内側弾性層6が軸部4のねじ山(ねじ溝)と接触し、支持層23に対して外側弾性層7側の内側弾性層6は、外側弾性層7により被覆される。
以下に、調製例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
調製例1〜6(混和物の調製)
表1に示す処方において、各成分を配合し、ミキシングロールで混練(120℃、20分)することにより、各種混和物(粘着性組成物または低粘着性組成物)を得た。
(評価)
各調製例において得られた混和物について、粘弾性試験および剥離接着性試験を次のように実施した。その結果を、表1に示す。
(1)粘弾性試験
各調製例において得られた混和物を、プレス成形(120℃、10分)により、厚み3mmのシート状に圧延し、直径7.9mmの大きさの円筒形状に加工して試験片を得た。
次いで、得られた試験片を、粘弾性測定装置(商品名ARES、レオメトリック社製)にて、25℃における貯蔵剪断弾性率G’、損失剪断弾性率G”をそれぞれ算出した。
測定条件を、測定温度域0〜120℃、昇温速度5℃/分、振動数1Hz、歪み0.1%に設定した。
(2)剥離接着性試験
各調製例において得られた混和物を、プレス成形(120℃、10分)により、厚み0.5mmのシート状に圧延し、得られたシートを、剥離処理されていない厚み25μmのPETフィルムに貼り付けて、裏打ちし、幅25mmにカットし、サンプルを得た。
次いで、被着体としてトルエンで洗浄したステンレス板(SUS板、BA430板)を用い、23℃にて2kgローラーで1往復して、サンプルを圧着させ、30分放置した後、引張試験機(型番:オートグラフAG−X200H、島津製作所社製)にて、23℃雰囲気下、速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、引き剥がし粘着力を測定した。
Figure 0005918034
なお、表1の略号などを以下に示す。
再生ブチルゴム:ムーニー粘度44(±6)(ML1+4、100℃)
EPDM:エチレン・プロピレン・ジエンゴム、エスプレン600F(住友化学社製)
ポリブテン:液状ゴム、ポリブテンHV−300、動粘度600mm/s(at100℃)(日本石油化学社製)
プロセスオイル:軟化剤、ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産社製)
炭酸カルシウム:充填剤、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製)
C5系粘着付与剤:粘着付与剤。エスコレッツ1202(エクソンモービル社製)
キノイド系架橋剤:架橋剤、バルノックDNB(大内新興化学工業社製)
実施例1〜4および比較例1〜5
各調製例にて得られた混和物を、プレス成形(120℃、10分)により、シート状に圧延して、離型紙(第1離型紙21および第2離型紙22)の表面に積層し、内側弾性層6および外側弾性層7を調製した。なお、内側弾性層6の厚みは、1.0mmとし、また、外側弾性層7の厚みは、0.5mmとした。
そして、それら内側弾性層6と外側弾性層7とを、表2に示す組み合わせで貼り合わせることにより、厚み1.5mmのシール材5を調製した。
そして、離型紙からシール材5を剥離するとともに、内側弾性層6がねじ部材2の軸部4と接触し、外側弾性層7が最外層(最表面)に位置するように、ねじ部材2の軸部4にシール材5を1周巻き付けた。なお、シール材5の軸方向長さは、20mmとして、シール材5は、ねじ部材2の先端部から10〜30mmの位置に巻きつけた。
(評価)
各実施例および各比較例において得られた防水ねじ1について、ねじ密着性試験、ルーフィング材密着性試験、ねじ止水試験を、次のように実施した。その結果を表2に示す。
(1)ねじ密着性試験
各実施例および各比較例において得られた防水ねじ1を、それぞれ、ルーフィング材11(厚み2mm)と野地板12(厚み20mm)との合板に貫通させて、貫通したねじ部材2の軸部4と、シール材5との密着性を確認した。
図6(a)に示すように、シール材5が、合板を貫通したねじ部材2の軸部4を被覆している場合、ねじ密着性を○、図6(b)に示すように、シール材5が、貫通したねじ部材2の軸部4を被覆していない場合、ねじ密着性を×とした。
(2)ルーフィング材密着性試験
各実施例および各比較例において得られた防水ねじ1を、それぞれ、ルーフィング材11(厚み2mm)と野地板(厚み20mm)との合板に貫通させた後、防水ねじ1を巻き戻して、ルーフィング材11と、シール材5との密着性を確認した。
図7(a)に示すように、防水ねじ1を巻き戻しても、シール材5が伸長して、ルーフィング材11から離間しない場合、ルーフィング材密着性を○、図7(b)に示すように、防水ねじ1を巻き戻すと、シール材5がルーフィング材11から離間する場合、ルーフィング材密着性を×とした。
(3)耐保管時ブロッキング性試験
2つの防水ねじ1を、それらのシール材5(外側弾性層7)同士が密着するように固定し、40℃において24時間静置した後、2つの防水ねじ1を引き離した。このとき、2つの防水ねじ1を容易に引き離せる場合を○、シール材5同士が粘着して引き離せない場合、または、引き離し時にシール材5が軸部4から浮き上がる場合を×とした。
(4)ねじ止水試験
図8に示すように、各実施例および各比較例において得られた防水ねじ1を、直径7mmの貫通穴17を設けたスレート板10(2枚)(厚み6mm)に挿通した後、ルーフィング材11(厚み2mm)と野地板12(厚み20mm)との合板に貫通させた。このとき、スレート板10と、ルーフィング材11との間には、木片スペーサ−16を介して6mmの間隔を設けた。次いで、合板上に、ねじ部材2の頭部3およびスレート板10を囲うように、透明アクリル管14(高さ200mm、直径76.5mm)を配置し、合板と透明アクリル管14とを、シリコーンコーキング15で接着した。次いで、透明アクリル管14内に、水深150mmとなるように、水性インクを溶解した水を充填し、24時間放置した。
24時間後、ルーフィング材11と野地板12との間の水漏れの有無を確認することにより、ねじ止水性を評価した。
Figure 0005918034
1 防水ねじ
2 ねじ部材
3 ねじ部材の頭部
4 ねじ部材の軸部
5 シール材

Claims (13)

  1. 頭部および軸部を備えるねじ部材と、
    前記軸部の周囲を被覆するシール材とを備え、
    前記シール材において、
    前記軸部の径方向外側の表面のタック性が、前記径方向内側の表面のタック性よりも低く、かつ、
    前記径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記シール材が、
    前記軸部に接触する内側弾性層と、
    前記内側弾性層の前記径方向外側に積層される外側弾性層と
    を備え、
    前記内側弾性層の、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記外側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’が、前記内側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’よりも高く、
    前記内側弾性層の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力が、5N/25mm以上であることを特徴とする、防水ねじ。
  2. 前記外側弾性層が、合成ゴムおよび/または樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の防水ねじ。
  3. 前記合成ゴムが、エチレン・プロピレン・ジエンゴムであることを特徴とする、請求項2に記載の防水ねじ。
  4. 頭部および軸部を備えるねじ部材と、
    前記軸部の周囲を被覆するシール材とを備え、
    前記シール材において、
    前記軸部の径方向外側の表面のタック性が、前記径方向内側の表面のタック性よりも低く、かつ、
    前記径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記シール材が、
    前記軸部に接触する内側弾性層と、
    前記内側弾性層の前記径方向外側に積層される外側弾性層と
    を備え、
    前記内側弾性層の、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記外側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’が、前記内側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’よりも高く、
    前記外側弾性層が、合成ゴムおよび/または樹脂を含有し、
    前記合成ゴムが、エチレン・プロピレン・ジエンゴムであることを特徴とする、防水ねじ。
  5. 前記外側弾性層の、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、1000000Pa以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の防水ねじ。
  6. 前記外側弾性層の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力が、1N/25mm以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の防水ねじ。
  7. 前記内側弾性層が、ブチルゴムを含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の防水ねじ。
  8. 前記内側弾性層が、さらに、液状ゴムおよび充填剤を含有し、
    前記充填剤の配合割合が、前記ブチルゴム100質量部に対して、300質量部未満であることを特徴とする、請求項に記載の防水ねじ。
  9. 構造体を屋根上に設置するために用いられることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の防水ねじ。
  10. ねじ部材の軸部に被覆され、前記軸部の挿通部分をシールするために用いられるシール材であって、
    前記軸部に被覆された状態において、
    前記軸部の径方向外側の表面のタック性が、前記径方向内側の表面のタック性よりも低く、かつ、
    前記径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記軸部に接触する内側弾性層と、
    前記内側弾性層の前記径方向外側に積層される外側弾性層と
    を備え、
    前記内側弾性層の、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記外側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’が、前記内側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’よりも高く、
    前記内側弾性層の、ステンレス板に対する23℃における180°剥離接着力が、5N/25mm以上であることを特徴とする、シール材。
  11. ねじ部材の軸部に被覆され、前記軸部の挿通部分をシールするために用いられるシール材であって、
    前記軸部に被覆された状態において、
    前記軸部の径方向外側の表面のタック性が、前記径方向内側の表面のタック性よりも低く、かつ、
    前記径方向内側における、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記軸部に接触する内側弾性層と、
    前記内側弾性層の前記径方向外側に積層される外側弾性層と
    を備え、
    前記内側弾性層の、周波数1Hzで測定される25℃の貯蔵剪断弾性率G’が、50000Pa以下であり、
    前記外側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’が、前記内側弾性層の貯蔵剪断弾性率G’よりも高く、
    前記外側弾性層が、合成ゴムおよび/または樹脂を含有し、
    前記合成ゴムが、エチレン・プロピレン・ジエンゴムであることを特徴とする、シール材。
  12. 屋根上に構造体を設置する構造体設置方法であって、
    屋根上に、構造体を配置する構造体配置工程と、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の防水ねじにより、前記構造体を前記屋根に固定する構造体固定工程とを備えることを特徴とする、構造体設置方法。
  13. 屋根上に構造体を設置した構造体設置構造であって、
    屋根上に、構造体が配置され、
    前記構造体が、請求項1〜のいずれか一項に記載の防水ねじにより、前記屋根に固定されていることを特徴とする、構造体設置構造。
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