JP5917006B2 - 止水工法及び止水構造 - Google Patents

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Description

本発明は、地中に敷設された管路を構成する管の継ぎ目に生じた隙間や、管のひび割れ等によって生じた隙間からの漏水を止水する止水工法と止水構造とに関するものである。
地中には種々の管路が敷設されている。これらの管路には、内部に圧力が作用することのない下水道管路に代表される管路や、内部に高い圧力を持った水が流通する上水道管路や農業用水管路、工業用水管路等がある。これらの管路の場合、地盤沈下や地震等に起因して、埋設された管の継ぎ目に於ける抜けだしによる隙間が生じたり、管がひび割れや破断して隙間が生じることがある。管路に隙間が生じたとき、この隙間を介して管路内へ地下水や土砂が浸透したり、管路内を流れる圧力を持った流体が管路外に漏れるという問題が生じる。
このため、内部に圧力が作用することのない管路の場合には、管路の内周面を観察して隙間の有無を検出し、圧力を持った水が流通する管路の場合には、管路内を流れる流体による音の異変を検知して漏水の有無を検出することが行われる。そして、管路に生じた隙間や、漏水の有無及び漏水箇所を検出したとき、これらの隙間や漏水箇所に生じている隙間を塞いで止水することが行われる。
管路に生じた隙間を塞いで止水する場合、隙間を塞ぐスリーブを管路の内部側に配置して固定するのが一般的である。特に、地中に敷設された管路では、地盤沈下や地震等により管路に様々な方向の力が作用する虞があるため、スリーブは伸縮可能な材質のものが用いられる。そして、管路内に圧力が作用することのない場合、スリーブには地下水圧が管路内の方向に作用し、管路内に圧力が作用する場合、スリーブには流体の持つ圧力が管路外の方向に作用する。従って、隙間を塞ぐスリーブには作用する圧力の大きさと方向に応じて、管路内側、管路外側に力を受けて変形することとなる。
例えば特許文献1に記載された発明は、ヒューム管の継ぎ目に生じた隙間を塞ぐための外水圧対応型止水装置に関するものである。この技術では、管どうしの継ぎ目にゴムよりなる両端側に夫々凹部を設けた環状体を配置し、この環状体の凸部にΩ状に形成した外水圧抵抗板を取り付けて該外水圧抵抗板の両側の固定部を夫々凹部に嵌め込み、更に、夫々の固定部の内周面側に拡径可能に構成された固定板を取り付けて拡径することで、環状体を管の内周面に圧接させて止水するものである。
上記技術に於いて、外水圧抵抗板は、Ω状の底辺に対応する固定部と立上部分に対応する曲がり部に連続した切込が形成されており、予め設定された長さを持って構成されている。従って、環状体に対し施工する場合には、現場で必要数屈曲させて連続させることで容易に装着することが可能である。
また、固定板はバンド状に形成されており、一方の端部側に複数の調整孔が形成され、他方の端部側に長孔が形成され、両端部が重ねあわせることでリング状に構成されている。そして、2本の固定板を環状体の内周面側に配置した外水圧抵抗板の両固定部に対向させてジャッキ等を用いて拡径することで、環状体を管に圧接させることが可能である。その後、リングが拡径した状態で前記長孔と調整孔にボルトを挿通して締結することで、環状体の管の内周面に対する圧接状態を保持して止水することが可能である。
特許文献1に記載された技術では、2本のリング状の固定板によって管側に圧接させた環状体によりヒューム管の継ぎ目に生じた隙間を塞いで止水することができ、外水圧が作用した場合でも環状体が変形することがなく、管路内の流れを阻害することがない。
また、特許文献2に記載された発明は、特に下水道管路のような既設管路に生じた隙間の止水を行うための補修用被覆体に関するものである。この技術では、板部材が円筒状に湾曲し端部どうしが対向するように構成された筒状体と、筒状体に外嵌されて該筒状体と管路内周面との間に配置される環状弾性体と、を有しており、筒状体と環状弾性体を既設管路に於ける目的の位置に設置した後、筒状体を拡径することで、環状弾性体を管路内周面に押圧して止水することが可能である。特許文献2に記載された技術では、環状弾性体を1つの筒状体によって管路内周面に圧接させることで高い止水性を確保することができる。
上記の如く、弾性体からなる環状体を管路の内周面に圧接させて固定する場合、特許文献1に記載されているように、2本の固定板(2リング)を利用する構成と、特許文献2に記載されているように、1本の筒状体(1リング)を利用する構成と、があり、夫々適用する管路の機能に対応させて採用されている。
特開2004−278709号公報 特開2005−214246号公報
しかし、特許文献1、2に記載された技術でも全く問題がないわけではない。これらの技術により管路に生じた隙間を止水する場合、この隙間の内周面側に環状体や環状弾性体を配置するのに先立ってモルタルを充填するが、充填されたモルタルは乾燥するのに伴って収縮し、隙間を構成する管の端面から離脱したり破断してしまうという問題がある。この場合、隙間には地下水や土砂、モルタル片が充満することとなる。
上記の如くして管路に生じた隙間に地下水や土砂、モルタル片が充満することによる問題点について図10により説明する。図に示す管路50は、農業用水管路のように内部に圧力をもった用水(圧力水)が流れるものとする。管路50に生じた隙間53の内周面側には環状体51が配置されており、この環状体51は両端側が夫々拡径した固定板52によって管路50の内周面に圧接している。
内部に圧力水が流通する管路50であっても常時圧力水が流通するものではなく、用水を供給する必要のない季節や管路の保守作業を行う際には内部に圧力が作用することがない。このように管路50に圧力水が流通していない状態では、図10(a)に示すように、隙間53には地下水や土砂等が充満し、環状体51は作用する地下水圧に応じて管路50の内部側に変形する。
環状体51の変形量は地下水圧の大きさに応じて異なり、また地盤沈下や地震時に作用する管どうしの相対的な変位によっても変化する。例えば地下水圧が上昇した場合、同図(b)に示すように、環状体51の管路の内部側への変形が大きくなり、これに伴って管路50の内周面と環状体51の外周面との間に間隙が生じ、この間隙に土砂等が入り込むことになる。前記間隙に入り込んだ土砂等は離脱することなく、この状態を保持することとなり、環状体51は両端部分が矢印方向に移動して見掛け上、寸法が小さくなる。このとき、同時に固定板52が矢印方向に移動することはまれで、固定板52と環状体51との重なり部分の寸法が小さくなる。
上記状態から管路50の内部に圧力水を流通させると、同図(c)に示すように、環状体51は隙間53側に変形する。このとき、隙間53に入り込んでいる土砂やモルタル片は排除されるものの、上記間隙に入り込んだ土砂等が排除されることはなく、環状体51は入り込んだ土砂等の影響を受けて大きい曲率を持って変形することとなる。このため、環状体51はますます固定板52との重なり寸法が小さくなり、結局、固定板52による固定状態から解除されることとなる。この場合、隙間53からの漏水が発生することになる。
特に、特許文献1に記載された技術では、2本の固定板が環状体の凸部を挟んで取り付けられるため、互いに接近する方向への移動は規制されるものの、互いに離隔する方向への移動は規制されることなく自由に変位することができる。このため、固定板が初期の取付位置から変位してずれたり、環状体から離脱する虞がある。
また、特許文献2に記載された技術では、内部に圧力が作用することのない管路に利用した場合に有利である。しかし、圧力水が流通する管路の場合、隙間を挟む両側の管に対し夫々1本の固定板によって環状体を固定することが求められており、このような管路に対して施工できないという問題がある。
本発明の目的は、管路に生じた隙間に土砂が入り込む虞がない止水工法と止水構造を提供し、且つスリーブを管路の内周面に圧接させるリングの位置がずれたり、スリーブから離脱することのない止水構造を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る止水工法は、地中に敷設された管路に生じた隙間による漏水を止水するための工法であって、管路に生じた隙間に該隙間を構成する管に圧力を作用させるようにして弾性と透水性を有する充填材を充填し、前記充填材の内周面側に伸縮性を有し且つ前記充填材の管路の長さ方向の寸法よりも大きい長さを有するスリーブを配置し、前記スリーブの内周面側に周の長さを調整し得るように構成したリングを配置すると共に該リングの周の長さを拡大させて前記スリーブを管路の内周面に圧接させ、前記リングを周の長さを拡大させた状態で保持させることで、止水することを特徴とするものである。
また本発明に係る止水構造は、地中に敷設された管路に生じた隙間による漏水を止水するための構造であって、管路に生じた隙間に充填された弾性と透水性を有する充填材と、前記充填材の内周面側に配置された伸縮性を有し且つ前記充填材の管路の長さ方向の寸法よりも大きい長さを有するスリーブと、前記スリーブの内周面側に配置された周の長さを調整し得るように構成されたリングと、を有し、前記リングの周の長さを拡大して前記スリーブを管路の内周面に圧接させた状態を保持させることで止水するものである。
上記止水構造に於いて、前記隙間に充填された充填材の内周面側が、補強材によって補強されていることが好ましい。
また、上記何れかの止水構造に於いて、前記リングは、前記スリーブの長さ方向の両端側であって管路の内周面と対向する部位に配置されていることが好ましい。
本発明では、地中に敷設された管路に生じた隙間に該隙間を構成する管に圧力を作用させるようにして充填材を充填し、この充填材の内周面側にスリーブを配置し、更に、スリーブの内周面側にリングを配置して該リングの周の長さを調整することで、スリーブを管路の内周面に圧接させて止水することができる。特に、管路に生じた隙間に充填材を充填することによって、この隙間が地盤に直接臨むような場合でも、この隙間に土砂やモルタル片(土砂等)が入り込むのを防ぐことができる。従って、管路の内周面とスリーブとの間に土砂等が侵入することがなく、土砂等によるスリーブの変形を防ぐことができる。このため、スリーブは地下水圧や内部を流れる圧力を持った流体(圧力流体)の圧力に応じて変形するものの、土砂等に起因した変形がなく、スリーブのリングからの抜けを防ぐことができる。
管路に生じた隙間に弾性を有する充填材を充填することによって、地盤沈下や地震時に隙間を挟む管が接近して管どうしが接触した場合、管の間に位置することとなる。このため、充填材がクッションとなり、管どうしの接触部位に於ける応力の集中を防いで管の破損を防ぐことができる。また、管路に作用する内圧によりスリーブが隙間側へと変形するのを抑えることができる。
特に、充填材が弾性に加えて透水性を有するので、管路に生じた隙間に地下水や土砂等が臨んだとき、地下水をスリーブに透過させることが可能となり、該充填材に特別な力が作用することがない。このため、充填材の弾性を損なうことがなく、長期間にわたって隙間を構成する管に圧力を作用させる機能を保持することができる。このように透水性を有する充填材の場合、高い地下水圧が作用する管路(地中深く敷設されている管路)に適用して有利である。
また、隙間を構成する管に圧力を作用させるようにして充填された充填材の内周面側が補強材によって補強されていることで、充填材に高い地下水圧が作用した場合、この地下水圧による充填材の管路内側への落下を防ぐことができる。また、スリーブに管路内の圧力流体の圧力が作用した場合、スリーブの隙間側への変形を防いで充填材の隙間からの落下を防ぐことができる。
また、リングがスリーブの長さ方向の両端側で且つ管路の内周面と対向する部位に配置されることによって、隙間の両側の管路は弾性を有する充填材と伸縮性を有するスリーブとを介して接続されることとなる。このため、地盤沈下や地震により隙間を挟んだ管に相対的なずれが生じた場合でも、このずれを吸収して管路としての機能を確保することができる。
本実施例に係る止水構造を説明する正面図である。 本実施例に係る止水構造を説明する図であり、図1のII−II矢視図である。 止水構造の他の例を説明する図である。 止水構造の更に他の例を説明する図である。 充填材の例を説明する断面図である。 スリーブの例を説明する断面図である。 リングの周の長さを調整する方法を説明する図である。 一対のリングを接続部材によって接続した比較例を説明する図である。 一対のリングを接続部材によって接続した他の比較例を説明する図である。 課題を説明する図である。
以下、本発明に係る止水構造について説明し、合わせて止水工法について説明する。
本発明に係る止水構造は、管路の継ぎ目を構成する管の間に抜けを含むずれが生じたり、管の一部にひび割れや破断により隙間が生じたとき、この隙間からの漏水を止水するものである。特に、管路が全体として未だ充分な耐久性を有するような場合に生じた隙間を部分的に止水する際に採用して有利である。
本発明が対象とする管路は、下水道用の管路や電線や通信線用の管路等の内部に圧力が作用することのない管路、或いは内部に農業用水や工業用水を含む圧力を持った水(圧力流体)が流通する管路等の管路を含むものである。従って、本発明では、管路を構成する管の構造は特に限定するものではなく、管どうしの継ぎ目部分の構造も特に限定するものではない。また、管路の内径も特に限定するものではないが、作業員が内部に入り込んで作業を行えるような管路であると好ましい。
本発明に於いて、「隙間」とは管どうしの継ぎ目部分に生じたものに限定するものではなく、管路を構成する何れかの管に生じたひび割れ(クラック)や破断も含むものである。要するに本発明に於ける「隙間」は、地下水の管路内への漏水や、圧力を持った水の管路外への漏水が生じるような継ぎ目、ひび割れ、破断等の全てを含むものである。
管路に生じた隙間には、該隙間を構成する管に圧力を作用させるようにして弾性を有する充填材が充填される。この充填材は、管路に生じた隙間に対し、該隙間を構成する管の端面に圧力を作用させるようにして充填され、該隙間に土砂が入り込むことを防ぐ機能を有する。
弾性を有する充填材を隙間を構成する管に圧力を作用させるようにして充填するには、例えば、弾性体を圧縮させた状態で隙間に押し込むことで実現することが可能である。このように、弾性体を圧縮させて隙間に充填した場合、充填された弾性体は初期の形状に復元しようとし、この復元力に応じて管に圧力を作用させることが可能となる。
また、隙間に発泡剤を注入して発泡させることで実現することが可能である。このように、発泡剤を隙間に注入して発泡させた場合、注入された発泡剤が発泡する過程で、隙間を充填すると共に該隙間を構成する管に圧力を作用させることが可能である。特に、発泡剤が粘着性を有する場合、隙間を挟む管の端面に付着して該隙間からの離脱を困難にすることが可能となり好ましい。このような発泡剤として、例えば発砲ウレタンがある。
上記の如く、弾性を有する充填材として、形状や性状は特に限定するものではなく、隙間に押し込んで充填し得るような紐状、或いは帯状のものであって良く、発泡剤であっても良い。しかし、充填材を隙間を構成する管に圧力を作用させるようにして充填した場合でも、長期間の使用により隙間が広がって作用する圧力が小さくなったり、地震の影響を受けたりして、隙間から離脱してしまう虞がある。
このため、充填材としては、隙間に充填される充填部に加えて、管路の内周面に接触するフランジ状の接触部を有する形状であると好ましい。このような形状の充填材を用いた場合、接触部が管路の内周面とスリーブとの間に位置することとなり、充填部が隙間から離脱することがなく、安定した充填状態を保持することが可能となる。
上記接触部としては、充填部と共に一体成形されたT字状の充填材を形成したものであって良い。しかし、帯状の充填材を用い、該充填材の略中央部分を折りこんで隙間に充填し、該隙間に充填し得ない帯の幅方向の両端部分を管路の内周面に沿って配置しておくことで、接触部として機能を発揮させることが可能である。この場合、帯状の充填材の幅寸法を隙間の寸法に対応させることなく設定することが可能であり、施工時の応用範囲を拡大することが可能となる。
また、充填材は長尺状に形成されていても良く、適用すべき管路の内径に対応させた径を持ったリング状に形成されていても良い。長尺状に形成された充填材では、充填すべき隙間の周方向の長さに応じて切断することが可能であり、隙間が管路の内周面の一部に生じているような場合に用いて有利である。また、リング状に形成された充填材では、隙間が管路の全周にわたって連続して生じているような場合に用いて有利である。
充填材は弾性に加えて透水性を有することが好ましい。弾性と透水性を有する充填材を管路に生じた隙間に充填することによって、地下水は充填材を透過してスリーブに作用することになる。従って、充填材は地下水圧の影響を受けることがなく、長期間にわたって弾性を保持することが可能となる。弾性と透水性を有する充填材の場合、管路が地中に深く敷設されており、高い地下水圧が作用する場合に適用して有利である。
弾性と透水性を有する充填材として、例えば不織布や、連続孔を有する合成樹脂の発泡体があり、何れも好ましく利用することが可能である。これらの充填材を隙間に充填した場合、この隙間に地下水と共に土砂が浸透しようとしても、土砂によって不織布や発泡体に目詰まりが生じ、その結果、隙間に対する土砂の侵入を防ぐフィルタとしての機能を発揮することが可能である。
充填材として不織布を採用した場合、この不織布を構成する繊維としては、植物繊維や動物繊維等の天然繊維、ポリエステル(PE)やポリアミド(PA)等の合成繊維を用いることが可能である。例えば、PEによる不織布の場合、目が極めて小さいためフィルタとしての機能を発揮し、土砂が隙間に入り込むことを防ぐことが可能となる。また、PAの場合も同様に目が極めて小さいためフィルタとしての機能を発揮し、土砂が隙間に入り込むことを防ぐことが可能となる。更に、PAは水膨潤性を有することから、地下水により膨潤し、隙間を挟む管に対しより大きな圧力をさせることが可能となる。特に、隙間が想定以上に広がった場合でも、この隙間の広がりに対して追従して圧力を作用させることが可能である。
管路に生じた隙間に対し、充填材を単独で充填することに限定するものではなく、隙間の幅寸法が大きいような場合、充填材に加えて芯となる芯材を充填することが好ましい。即ち、隙間の幅寸法が大きくなると、弾性を有する充填材を圧縮させた状態で充填したとき、長期間にわたって充填した状態を保持することが困難であり、また、管の端面に充分な圧力を作用させることが困難となる虞が生じる。
特に、充填材が帯状に形成されている場合、この充填材を圧縮させた状態で隙間に充填する際に折り畳む場合、折り畳む回数には限界が生じ、折り畳み数を増やしたとき、織り込んだ部分が隙間の外側に飛び出してしまう虞がある。
このため、隙間の寸法と充填材の寸法に対応させた芯材を帯状の充填材に埋め込むようにして隙間に充填することで、充填した状態の保持と、充填材による管に対する圧力の作用を実現することが可能となる。特に、管路に生じた隙間の幅寸法が管路の円周方向に一様でない場合、例えば、管路を構成する管の軸心が隙間を起点として折れているような場合、幅の広い隙間に対応させて芯材を利用することで、隙間の幅が異なるにも関わらず、充填状態の保持と、管に対する圧力の作用を安定して実現することが可能となる。
管路に生じた隙間に充填された充填材は、内周面側を補強材によって補強されることが好ましい。このように補強材によって補強することで、この充填材に高い地下水圧が作用した場合でも、充填材の隙間からの落下を防ぐことが可能であり、また、スリーブに管路内を流通する圧力流体の圧力が作用した場合でも、スリーブの隙間側への変形を防いで充填材の隙間からの落下を防ぐことが可能となる。
充填材を補強する補強材は、隙間に充填された充填材が隙間から落下するのを防ぐ機能を有する。即ち、充填材に高い地下水圧が作用した場合、充填材は管路の内側へ移動するようになるが、補強材がこの移動を阻止して充填材の落下を防ぐことが可能である。また、管路内に農業用水等の圧力流体が流通する場合、スリーブがこの圧力を受けて隙間側に変形し、この変形に伴って充填材を隙間から押し出すことになるが、補強材がスリーブの変形を阻止して充填材の隙間からの落下を防ぐことが可能である。
充填材に対する補強構造や補強材は特に限定するものではなく、例えば、金属製の網や板、合成樹脂製の網や板、或いはガラス繊維からなるシート状に形成されたもの、板状に形成されたものを選択的に採用することが可能である。特に、補強材は、隙間を挟む管に相対的なずれが生じたとき、このずれを許容し、破損することなく追従し得る程度の可撓性を有することが好ましい。
また、選択された補強材を充填材に対し接着等により一体化させて補強するか、或いは充填材に添えて補強するかも特に限定するものではなく、充填材が弾性を有することから、補強材を充填材に添えることによって、充分な補強構造を実現することが可能である。
管路に生じた隙間に充填された充填材の内周面側に配置されるスリーブは、伸縮性を有し、且つ充填材の幅寸法よりも充分に大きい寸法(幅寸法)を有する。このようなスリーブとして材料を特に限定するものではなく、伸縮性を有するゴム、合成樹脂等を選択的に採用することが可能である。また、スリーブは隙間に対向して配置されて直接漏水を防ぐものであるため、非透水性を有することは当然である。
スリーブの伸縮性を数値的に限定するものではない。しかし、地盤沈下や地震時に生じる虞のある管のずれや、ひび割れが成長して隙間の両側で相対的な移動が生じたとしても、この移動に追従することが可能な程度であることが好ましい。このようなスリーブを構成する材料として、例えば、スチレンブタジェンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジェンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、等の合成ゴムや天然ゴム(NR)があり、何れも好ましく用いることが可能である。
スリーブの内周面側に配置されるリングは周の長さを調整し得るように構成されている。即ち、リングは円筒の一部が切り離されており、切り離された両端部が互いに突合せ状態で対向するか、或いは両端部が互いに重ねあわされて構成されている。従って、切り離された両端部の間隔を広げることで、リングの周の長さ(周長)を拡大(径の拡大、拡径)することが可能である。
上記リングでは、スリーブの内周面側に配置した後、該リングの周の長さを拡大することによって、リング全体でスリーブを押圧して管路の内周面に圧接させることが可能である。そして、この状態を保持させることで、止水性を確保することが可能である。
従って、リングとしてはこのような機能を有する構成であれば利用することが可能であり、周の長さを調整するための構成、即ち、周長を拡大する方法や、周長を拡大した状態を保持するための方法は限定するものではない。
リングの周長を拡大する方法としては、リングの切り離された両端部の間に楔を打ち込む方法、リングの切り離された両端部の近傍に設けた係止部に係合させたジャッキによる方法、リングの切り離された一方の端部の近傍に弦方向のボルトを設けると共に他方の端部に前記ボルトを挿通する長穴を設けておきボルトに螺合させたナットによる方法、等の方法があり、何れも採用することが可能である。
また、リングの周長が拡大した状態を保持する方法としては、切り離された両端部が互いに突合せ状態で対向して形成されている場合には、この間に楔片を挿入する方法があり、また、両端部が互いに重ねあわされて構成されている場合には、重ねられた部位をボルトにより締結する方法、があり、何れも採用することが可能である。
スリーブの内周面側に配置されるリングの数は特に限定するものではなく、1又は複数であって良い。例えば、1つのリングを配置する場合、このリングの幅寸法(管路の長さ方向の寸法)は、スリーブの幅寸法と略等しいか、或いは小さいことが好ましい。リングがこのような幅寸法を有することによって、スリーブの内周面側に配置された後、周の長さを拡大する際にも、確実にスリーブを管路の内周面に圧接させることが可能である。
また、スリーブの内周面側であって幅方向の両端側に夫々リングを配置してスリーブを管路の内周面に圧接させることでも良い。このように、スリーブの幅方向の両端側にリングを配置することによって、リングによるスリーブの管路の内周面に対する圧接位置は隙間を挟むこととなり、隙間を挟んで管の相対的な移動の自由度を確保することが可能である。
リングをスリーブの幅方向の両端側に配置する際に、リングと管路の内周面との間にスリーブと充填材の接触部が存在するか否かについては限定するものではない。即ち、充填材の接触部の端部とスリーブとを重ね、接触部の端部に対向する部位にリングを配置して周長を拡大することで、これらの接触部の端部側とスリーブとを同時に管路の内周面に圧接させても良い。
更に、隙間に充填された充填材を補強する補強材とスリーブとを重ねた部位にリングを配置するか否かも特に限定するものではない。
上記の如く構成した場合、充填材は接触部を介してリングからの力が作用することで管路の内周面とスリーブとに挟まれて拘束され、移動の自由度は低下することとなる。また、隙間を挟む管の間に相対的な移動が生じても、充填材は隙間から離脱することがない。また、充填材に地下水が浸透した場合でも、接触部に隣接したスリーブが管路の内周面に圧接しているため、充分な止水性を確保することが可能であり、漏水することはない。
また、接触部の一部とスリーブとを重ね合わせ、スリーブのみが存在する部位にリングを配置することで、スリーブのみを管路の内周面に圧接させても良い。この場合、充填材はリングによる力を直接受けることがないため、移動の自由度を有する。このため、地盤沈下や地震時に隙間を挟む管の相対的な移動に伴って、移動することもある。しかし、スリーブはリングの力を受けて管路の内周面に対して圧接しているため、充填材が移動したとしても、漏水することがない。
本発明に係る止水構造の比較例では、スリーブの幅方向の両端側に夫々リングを配置し、これらのリングを接続部材によって管路の長手方向に接続して一体化することで、夫々のリングのスリーブからの離脱や姿勢の変化を防ぎ、これにより安定した止水性能を確保している。
上記比較例に於いて、接続部材は一対のリングを接続して一体化させる機能を発揮し得る構成であれば良く、その構成を限定するものではない。このような機能を発揮し得る構成として、例えば、リングの側面にピンを設けると共に、該ピンに帯状の部材を嵌合させて一体化させる構成や、リングのスリーブ側の面に突起を設けると共に、該突起に帯状の部材を係合させて一体化する構成、等の構成があり、これらを選択的に採用することが可能である。
次に、止水構造の第1実施例について図1〜図7により説明する。図に於いて、地中に敷設された管路Aに隙間Bが生じている。本実施例に於いて、管路Aは下水道用の管路として構成されており、多数のヒューム管からなる管1を直列に連続させて構成されている。下水道用の管路Aでは、隣接する管1は一方の管1の端部に形成された差し込み部に他方の管1の端部を嵌合させることで連結されている。
本発明に於いて、隙間Bは漏水を伴うか或いは漏水の虞のある隙間である。このため、隙間Bは管路Aを構成する管1の継ぎ目として、或いは地盤沈下や地震時に作用する力によって、管1に生じたひび割れや破断部分として存在するものであり、管1の全周にわたって生じた場合と、管1の周の一部に生じた場合とがある。
本実施例に係る止水構造は、管路Aを構成する管1に生じた隙間Bに充填された弾性と透水性を有する充填材5と、この充填材5の内周面側に配置され、伸縮性を有し且つ充填材5の幅方向の寸法よりも大きい幅寸法を有するスリーブ6と、スリーブ6の内周面側に配置され、周長を調整し得るように構成されたリング7と、を有しており、リング7の周長を拡大してスリーブ6を管1の内周面に圧接させた状態を保持させることで止水するものである。
隙間Bに充填材5を充填する幾つかの例について、図2〜図4を用いて説明する。
図2に示すように、隙間Bには弾性と透水性を有する充填材5が管1に対し圧力を作用させるようにして充填されている。即ち、充填材5は自由な状態から充分に圧縮されて容積が小さくなった状態で隙間Bに充填されている。このため、充填材5は一部が隙間Bから地盤側にはみ出している。しかし、充填材5が地盤側にはみ出すか否かは限定するものではなく、充填材5が充分に隙間Bに入り込んでいる状態であれば良い。例えば、充填材5が地盤側にはみ出している場合、このはみ出した部分が隙間Bに対する栓となり、充填材5の離脱を防ぐことも可能となる。
本実施例に於いて、充填材5としては不織布を用いている。そして、不織布からなる充填材5を隙間Bに充填する場合、充填に先立って、隙間Bに存在している土砂やモルタル片(土砂等)などを排除しておくことが好ましい。
上記の如くして隙間Bに充填材5を充填したことによって、充填材5は初期の自由な状態に復元しようとして管1に圧力を作用させ、このとき作用する圧力によって自己の位置を保持することが可能である。
また、管路Aの周囲に存在する地下水は隙間Bに浸透することが可能であり、地下水の持つ地下水圧は充填材5を管1及びスリーブ6に押圧するような作用を生じることなく、スリーブ6に直接作用する。そして、地下水の隙間Bへの浸透に伴って土砂等が入り込もうとしたとき、この土砂は充填材5によって阻止される。従って、充填材5の地盤に対向する部位には土砂等が存在しても、隙間Bの奥まで入り込むことがない。
図3は隙間Bに充填された充填材5の内周面側に補強材8を配置した例を示すものである。このように、充填材5を補強することによって、該充填材5に地下水圧が作用した場合でも、この地下水圧に起因する充填材の管路内側への落下を防ぐことが可能となる。また、管路Aが農業用水や工業用水のような圧力水が流通するものである場合、スリーブ6に作用する圧力による該スリーブ6の変形を防いで、充填材5の隙間Bからの落下を防ぐことが可能である。
本実施例に於いて、補強材8として、厚さが約3mmの可撓性を有するプラスチック板を用いている。
図4は隙間Bの幅寸法が大きいため、充填材5と芯材12を組み合わせることによって隙間Bに充填したとき、管に対して充分な圧力を作用させると共に、充填状態を長期間にわたって安定させるようにしたものである。
充填材5は芯材12の少なくとも管1の端面との間に充填されることが必要である。しかし、芯材12と管1との間にのみ充填材5を充填するのは作業性の面から好ましくない。このため、芯材12の3面を包むように充填材5を配置することで、芯材12と管1との間に充填材5を充填している。このように、芯材12と管1との間に充填材5を充填する場合でも、充填された充填材5によって管1に圧力を作用させることは前述の例と同じである。
芯材12は、隙間Bの幅寸法と充填材5の寸法(充填材5の厚さ)とに応じて、管路Aの長手方向に沿った寸法(幅寸法)、厚さ寸法(管1の肉厚方向の寸法)が設定されている。即ち、芯材12の幅寸法は、隙間Bの幅寸法と、充填材5が充分な圧力を発揮し得るような圧縮時の寸法と、に対応させて設定される。
特に、隙間Bの幅寸法が円周方向に一様でないような場合、芯材12を必要とせずに充填材5を充填し得る部位と、芯材12を必要とする部位とが存在することがある。このため、芯材12の幅寸法は一義的に設定されるものではなく、厚さの異なる複数種のものを適宜選択的に用いることが好ましい。
このような芯材12は材質を限定するものではなく、木材や金属、合成樹脂の板材、或いは角材、丸棒であることが好ましい。特に、対象となる管1の径が決まっているような場合、円弧状の木材、合成樹脂であると有利である。また、芯材12として充分な可撓性を有する金属材であると、径の異なる管1に適用することが可能となり有利である。
図4には、隙間Bに充填された充填材5、芯材12の内周面側に補強材8が配置されているが、この補強材8は必ずしも必要なものではない。
充填材5の形状は図2に示すものに限定されず、図5に示すように、幾つかの形状に形成することが可能である。例えば図5(a)に示すように、充填材5は弾性を有する紐状に形成されたものであって良い。このように形成された充填材5では、管1に生じている隙間Bの周方向の長さの如何に関わらず、該隙間Bに充填することが可能である。
図5(b)に示す充填材5は、突起状に形成された充填部5aと、管1の内周面に接触する接触部となるフランジ部5bとを有して構成されている。この充填材5は長尺帯状に形成されたものであって良く、予め対応する管路Aを構成する管1の内径に対応する径を持ったリング状に形成されていても良い。
図5(c)に示す充填材5は、フランジ部5bが内周面側に配置された補強材8によって補強されたものである。
充填材5の内周面側に配置されたスリーブ6は、伸縮性を有しており、充分な伸縮性を備えている。このスリーブ6は充填材5の幅方向の寸法よりも充分に大きい幅寸法を有しており、充填材5を構成するフランジ部5bの内周面側に配置したとき、該充填材5のフランジ部5bを覆って露出させることがないように構成されている。本実施例において、スリーブ6はEPDMによって成形されている。
スリーブ6は、図6に示すように、外周面であって幅方向の両端側に複数の突起6aが形成され、幅方向の中央部に充填材5の内周面側に配置した補強材8を収容する凹部6bが形成されている。また、スリーブ6の内周面であって突起6aに対応する位置には、リング7を収容する凹部6cが形成されている。尚、前記凹部6bは必ずしも必要なものではなく、図2に示すように、充填材5の内周面側に補強材8を配置することなく、直接スリーブ6を配置するような場合には不要である。
スリーブ6の外径は予め適用すべき管1の内径に対応した寸法を有しており、突起6aが管1の内周面に直接接触し、リング7の周長の拡大に伴って圧接することで、止水性能を確保し得るように構成されている。従って、リング7を突起6aと対応する凹部6cに収容することで、充分に突起6aを管1の内周面に圧接させることが可能である。
また、充填材5はスリーブ6の凹部6bに収容されるため、リング7の周長を拡大した場合でも、充填材5のフランジ部5bに直接リング7の力が作用することがない。従って、充填材5はスリーブ6を介して管1の内周面側に押圧されるものの、高い力によって圧接することがなく、僅かに移動の自由度を有することとなる。
尚、スリーブ6に凹部6bを形成することは必ずしも必要ではなく、突起6a以外の部位は平坦な面であって良い。しかし、充填材5の接触部や、該補強材5の内周面側に配置された補強材8の厚さが大きくなると、スリーブ6を2本のリング7によって押圧したとき、該スリーブ6の充填材5、補強材8に対応する部分が管1の内周面側に膨らみ、流体抵抗を増す虞が生じる。
本実施例に於いて、リング7は適用する管1の内径に対応する径を持った円筒の一部が切り欠かれた切欠部分が形成されており、施工前の自由状態では適用される管1の内径よりも小さい外径となるように、両端部分が互いに接近した状態を保持している。従って、リング7を管1の止水すべき位置まで容易に移動させることが可能である。そして、リング7の周長を拡大した後、切欠部分に楔片9を嵌め込むことで、周長が拡大した状態を保持し得るように構成されている。
図1、7に示すように、リング7の周方向の両端部分には内周面側に夫々楔片9を拘束するための拘束片7aが溶接されており、これらの拘束片7aの近傍にジャッキ10を係止する係止片7bが溶接されている。
楔片9は、厚さ寸法及び幅寸法はリング7と同じか僅かに小さい寸法を持って形成されており、長さ寸法(管1の周方向の寸法)はスリーブ6を充分な力で管1の内周面に圧接させるのに必要なリング7の拡大した周長を保持し得る寸法に設定されている。従って、楔片9の長さは必ずしもリング7を略真円にしたときの切欠部分の寸法と一致するものではない。また、楔片9の長さ方向の両端面は平行であって良いが、必ずしも並行である必要はなく、一方の端面又は両方の端面が勾配を持った楔状であっても良い。
リング7の周長を拡大する場合、ジャッキ10の両端に設けた係止ブロック10aをリング7の係止片7bに係止し、この状態でジャッキ10に圧油を供給してロッド10bを伸長させることで行われる。ロッド10bの伸長に伴ってリング7の周長が拡大し、スリーブ6を管1の内周面に圧接させる。そして、リング7の周長が充分に拡大して両端部の離隔寸法が楔片9の長さ寸法よりも大きくなったとき、この切欠部分に楔片9を挿入することで、リング7の周長の拡大状態を保持させることが可能である。
上記の如く構成された止水構造では、隙間Bに充填材5を充填することによって、この隙間Bに対して地下水が浸透するのに伴って土砂が侵透しても、この土砂が隙間の奥まで入り込むことを防ぐことが可能である。このため、管1の内周面とスリーブ6の外周面との間に土砂が入り込むことなく、常に両者が直接接触した状態を保持することが可能となり、スリーブ6に無理な変形が生じることなく、初期の形状を保持することが可能となる。
次に、上記の如き止水構造を施工する工法について簡単に説明する。止水工法を開始するのに先立って、管路A(管1)に生じ、現に漏水しているか、漏水の虞がある隙間Bを検出しておく。
次に、検出された隙間Bに前処理を施す。この前処理は、隙間Bに対する止水施工を円滑に行うことを可能とし、且つ可及的に長期間にわたって安定した止水性能を発揮させるためのものである。このため、隙間Bに存在する土砂等や木の根を排除すると共に、隙間Bを構成する管の端面に極端な凹凸が生じているような場合には、充填材5を充填したときに略一様に圧力を作用させることが可能なように平坦な端面とする。
上記前処理が終了した後、隙間Bに充填材5を充填する。特に、充填材5が長尺帯状に構成されている場合、充填材5を略中央で二つ折りすると共に二つ折り部分を圧縮し、この圧縮部分を隙間Bに押し込んで充填することで、管1に圧力を作用させる。このとき、全ての充填材5が隙間Bに充填されている場合にはこの状態で、また充填材5の幅方向の両端部分が隙間Bに充填されずに該隙間Bから露出している場合にはこれら幅方向の両端側を管1の内周面に接触させた状態で、更に、充填材5の内周面側に補強材8を配置した状態で、管1の内部にスリーブ6を挿入し、このスリーブ6の凹部6bに充填材5を収容するようにして配置する。前述したように、凹部6bがなくとも良いことは当然である。
スリーブ6の充填材5の内周面側に対する配置状態を保持しておき、リング7を管1の内部に搬入する。2本のリング7をスリーブ6の凹部6cに収容し、ジャッキ10を利用して夫々のリング7の周長を拡大させ、リング7の周方向の両端部分の間隙に楔片9を挿入した後、ジャッキ10を取り外す。ジャッキ10を取り外すことにより、リング7の周長は多少減少して楔片9を挟み込んで周長の拡大状態を保持する。
上記工法を実施することにより、リング7は拡大した周長を保持することが可能となり、スリーブ6の突起6aが管1の内周面に圧接して止水性能を確保することが可能となる。
比較例
次に比較例に係る止水構造について図8、9により説明する。図に示す止水構造は、スリーブ6の幅方向の両端側に於ける内周面に夫々リングを配置し、これらのリングを接続部材によって接続することで、該リングの移動やスリーブ6からの離脱を防ぐようにしたものである。
図に示すように、管路A(管1)に生じた隙間Bには充填材は充填されていない。しかし、この隙間Bに前述の実施例と同様の充填材5を充填しても良いことは当然である。
図8に示すように、隙間Bの内周面側に伸縮性を有するスリーブ6が配置されており、該スリーブ6の幅方向の両端側に於ける内周面に夫々リング15が配置されている。また、リング15とスリーブ6との間には複数の接続部材16が配置されており、この接続部材16によって一対のリング15が互いに接続されている。即ち、一対のリング15は接続部材16によって管路Aの長さ方向に接続されている。
リング15の外周面(スリーブ6と対向する面)には全周にわたって突起15aが形成されており、接続部材16の長さ方向(管路Aの長さ方向)の両端側には突起15aを受け入れる凹部16aが夫々形成されている。そして、管1の内周面にスリーブ6を配置した後、この内周面に一対のリング15を配置する際に、予め夫々のリング15の突起15aを凹部16aに受け入れた状態の接続部材16を同時に配置することで、スリーブ6、接続部材16、リング15の順で管1の内周面側に配置することが可能である。
上記の如くして接続部材16によって接続した一対のリング15をスリーブ6の内周面側に配置した後、前述の実施例と同様にしてリング15の周長を拡大し、且つ拡大した状態を保持させることで、一対のリング15の接続状態を保持することが可能である。特に、リング15が全周にわたる突起15aを有することで、周長の拡大に伴ってスリーブ6に対し突起15aにより集中した力を作用させて、高い止水性能を確保することが可能となる。
上記の如く、一対のリング15を接続部材16によって接続した状態を保持させることで、地盤沈下や地震時に隙間Bを挟む管1が相対的に移動し、この移動にスリーブが追従した場合でも、一対のリングは互いの間隔を保持することが可能となる。このため、一対のリング15が互いに拘束しあって自由な移動をすることがなく、従って、リング15がスリーブ6から離脱することがない。
本比較例に於いて、リング15に設けた突起15aは必ずしも全周にわたって形成されている必要はなく、予め設定された複数の位置に球状の突起として設けられていても良い。このように、リング15に球状の突起を形成し、接続部材16がこの突起を受け入れるような凹部を形成することで、隙間Bを挟む管1の相対的な移動の自由度を向上させることが可能である。
また、接続部材16は金属製であっても、合成樹脂製であっても良く、材質を限定するものではない。
図9に示すように、スリーブ6の幅方向の両端側の内周面には夫々リング18を配置されており、これらのリング18の対向する複数の位置にピン19が立設されている。そして、このピン19に接続部材20を取り付けることで一対のリング18が互いに接続されている。
上記の如くして一対のリング18を接続部材20によって接続することで、地盤沈下や地震時に隙間Bを挟む管1が相対的に移動し、この移動にスリーブが追従した場合でも、一対のリング18は互いの間隔を保持することが可能となる。このため、一対のリング18が互いに拘束しあって自由な移動をすることがなく、これらのリング18がスリーブ6から離脱することがない。
特に、リング18に設けたピン18に接続部材20を挿通することで接続しているので、該接続部材20はピン19を中心とする回動が可能となり、隙間Bを挟む管1の相対的な移動の自由度を向上させることが可能である。
本比較例に於いて、一対のリング15、18を接続する接続部材16、20の数は限定するものではなく、管1の内径寸法に応じて適宜設定することが好ましい。
本発明に係る止水構造は、内部に大気圧が作用する管路や、内部に圧力を持った流体が流通する管路等、地中に敷設された全ての管路に於ける漏水箇所に利用して有利である。
A 管路
B 隙間
1 管
5 充填材
5a 充填部
5b フランジ部
6 スリーブ
6a 突起
6b、6c 凹部
7 リング
7a 拘束片
7b 係止片
8 補強材
9 楔片
10 ジャッキ
10a 係止ブロック
10b ロッド
12 芯材
15、18 リング
15a 突起
16、20 接続部材
16a 凹部
19 ピン

Claims (4)

  1. 地中に敷設された管路に生じた隙間による漏水を止水するための工法であって、
    管路に生じた隙間に該隙間を構成する管に圧力を作用させるようにして弾性と透水性を有する充填材を充填し、
    前記充填材の内周面側に伸縮性を有し且つ前記充填材の管路の長さ方向の寸法よりも大きい長さを有するスリーブを配置し、
    前記スリーブの内周面側に周の長さを調整し得るように構成したリングを配置すると共に該リングの周の長さを拡大させて前記スリーブを管路の内周面に圧接させ、
    前記リングを周の長さを拡大させた状態で保持させることで、止水することを特徴とする止水工法。
  2. 地中に敷設された管路に生じた隙間による漏水を止水するための構造であって、
    管路に生じた隙間に充填された弾性と透水性を有する充填材と、
    前記充填材の内周面側に配置された伸縮性を有し且つ前記充填材の管路の長さ方向の寸法よりも大きい長さを有するスリーブと、
    前記スリーブの内周面側に配置された周の長さを調整し得るように構成されたリングと、を有し、
    前記リングの周の長さを拡大して前記スリーブを管路の内周面に圧接させた状態を保持させることで止水することを特徴とする止水構造。
  3. 前記隙間に充填された充填材の内周面側が、補強材によって補強されていることを特徴とする請求項2に記載した止水構造。
  4. 前記リングは、前記スリーブの長さ方向の両端側であって管路の内周面と対向する部位に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載した止水構造。
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