JP5865114B2 - 可撓性ゴム継手 - Google Patents
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Description
例えば、従来より、可撓性ゴム継手として、地下水の漏水を防止するためのゴム製の継手本体と、この継手本体を管体内側から覆う膨らみ防止カバーとを有するものが提案されている(特許文献1〜3参照。)。継手本体は、地震時の管体同士の変位を吸収するために、波形等に余長をもたせて形成されている。一方で、外水圧が継手本体に負荷されると、継手本体の余長分はトンネル内側に膨らもうとする。このような外水圧による継手本体の変形を、トンネル内空寸法を確保するため等の理由で、膨らみ防止カバーにより抑制するようにしている。
一方、特許文献2,3の膨らみ防止カバーは、継手本体の全体を覆い共通のアンカーボルトでコンクリート製の管体に固定されている。また、特許文献2の膨らみ防止カバーは、地震時に破断することにより継手本体の伸長を許容すると記載されている。
この発明は、このような従来技術に鑑みてなされたもので、その目的は、水圧負荷による継手本体の膨出を十分に抑制できて、地震時の管体の変位にも対応できる可撓性ゴム継手を提供することである。
請求項4記載の発明は、前記膨らみ防止カバーの両端部分に、前記押え板に干渉する突起が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可撓性ゴム継手である。
体的な強度を高めるとともに、継手本体を全体的に覆っている。これにより、外水圧によ
る継手本体の膨らみを十分に抑制することができる。しかも、膨らみ防止カバーは、継目
が延びる方向に沿って間欠的に切り込みが形成されているので、膨らみ防止カバーの破断
に対する強度を所望の強度に調節できる。よって、継手本体の膨らみを十分に制御できる
。また、膨らみ防止カバーの破断に対する強度を調節でき、しかも見た目に強度のある膨らみ防止カバーとなる。
、製造コストを低減できる。
請求項3記載の発明によれば、膨らみ防止カバーの耐久性を高めることができる。
バーの強度、耐久性を高めることができる。
請求項5記載の発明によれば、上水道用の地下構造物に好適な可撓性ゴム継手にできる
。
図1(a)は、この発明の一実施形態に係る可撓性ゴム継手1の一部断面図である。
可撓性ゴム継手1は、2つの相対する構造物、例えば、地下に埋設される管体2,3(一部のみ図示)の目地部4の内側に配置される。図1(a)において、上方が管体2,3で囲まれた内側空間を示している。一対の管体2,3は、その内部が互いに連通するよう隣接して地下に埋設されて、トンネル等の地下構造物の少なくとも一部を構成している。管体2,3の継目である目地部4は、例えば、管体2,3の端面に沿って配置された環状の弾性継手により構成されている。目地部4の内側を覆うように、可撓性ゴム継手1が取り付けられている。
継手本体5は、管体2,3の軸方向Xに対して、両端部7,8および中間部9を有している。膨らみ防止カバー6も、軸方向Xに対して、両端部10,11および中間部12を有している。
継手本体5は、紙面に垂直方向に広がりを有し、中間部9は、波形断面をなし、軸方向Xに伸縮可能である。継手本体5の端部7,8は、平板状をなし、アンカーボルト15,16を挿通するための挿通孔を有しており、固定部として機能する。
膨らみ防止カバー6のゴムには、継手本体5のゴムと同じものを利用できる。また、基布27の表側を覆うゴム層25のゴム厚t1と、膨らみ防止カバー6の基布27の裏側を覆うゴム層26のゴム厚t2とは、同じ値(t1=t2)に設定されてもよいが、ゴム厚t1がゴム厚t2よりも厚く設定されるのが好ましい(t1>t2)。
膨らみ防止カバー6の端部10,11は、平板部29と、先端に設けられた突起30とを含んでおり、固定部として機能する。平板部29は、アンカーボルト15,16を挿通するための挿通孔を有している。突起30は、平板部29の端縁に設けられ、平板部29の端縁から管体2,3の内側に向けて突出している。突起30は、紙面垂直方向に延びる凸条を構成しており、押え板13,14に干渉している。これにより、中間部12が延びるときに、端部10,11が押え板13,14と強固に係合した状態が維持される。その結果、アンカーボルト15,16で固定される部位における膨らみ防止カバー6の強度、耐久性を高めることができる。
図1(b)は、図1(a)において丸で囲った膨らみ防止カバー6の中間部12の要部を斜め上方から見たときの部分断面斜視図である。図1(b)を参照して、中間部12には、地下構造物の継目の延びる方向(図1(a)においては紙面に垂直方向であり、以下、長手方向Yともいう。)に沿って間欠的に切り込み32が入れられている。この間欠的な切り込み32は、中間部12において長手方向Yの全長に渡って破線状に延びており、軸方向Xについては中央部に形成されている。
図2は、図1(b)のII−II断面の模式的な断面図である。
基布27は、長手方向Yに平行に延びるコード33と、長手方向Yに直交する軸方向Xに平行に延びるコード34とを含んでおり、これら互いに直交する2方向に延びるコード33,34が平織されてなる。
膨らみ防止カバー6の中間部12において、切り込み32が入れられていない部分は、軸方向Xに相対的に強い耐伸縮強度を有し、切り込み32が入れられた部分は、軸方向Xに相対的に弱い耐伸縮強度を有する。その結果、膨らみ防止カバー6は、外水圧による継手本体5の膨らみを抑制しつつ、地震時等に管体2,3の相対移動が生じるとき、それによって破断し、継手本体5に機能を発揮させる。
このように実施形態によれば、膨らみ防止カバー6は、基布27を芯材に用い、その両面にゴム層25,26を設けたことで、全体的な強度を高めることができている。これにより、外水圧による継手本体5の膨らみを十分に抑制することができる。しかも、膨らみ防止カバー6は、長手方向Yに間欠的に切り込み32が形成されることにより、軸方向Xについての強度が調節されている。膨らみ防止カバー6の強度の調節を切り込み32により行えるので、膨らみ防止カバー6の材料選択の自由度が高まり、ひいては製造コストの低減に寄与する。特に、継手本体5と膨らみ防止カバー6とに同じ基布23,27を用いれば、製造コストを低減できる。
実施例1は、図1(a)に示す可撓性ゴム継手1において、膨らみ防止カバー6の基布27の切り込み率が60%を設定した。
ここで、切り込み率は、基布27の単位長さ当たりの切り込み32の長さの比率である。例えば、切り込み率が60%の場合、単位長さを10mmとすると、6mmの長さの切り込み32を入れ、残りの4mmの部分は未カットのままとする。
また、比較例1,2,3の可撓性ゴム継手を製造し、同様の試験を行った。
比較例1は、実施例1の可撓性ゴム継手1から膨らみ防止カバー6を除いた構成とした。
比較例3は、図3に示すように、ゴム製の膨らみ防止カバー6に代えて一対の金属製カバー50を設けた。これ以外の点については、比較例3は、実施例1の可撓性ゴム継手1と同じである。一対のカバー50は、金属製のL字形の板材(SUS304、5mm厚)であり、継手本体5の中間部9の略半分を覆っており、カバー50の端部が押え板13,14に溶接により固定されている。
[試験]
実施例1,2の可撓性ゴム継手1を、管体に相当する試験治具に固定し、管体と可撓性ゴム継手1との間に水圧(0.1MPa)を負荷した。水圧無負荷時の可撓性ゴム継手1の膨らみ防止カバー6の中間部12の表側の表面の高さ位置を測定し、水圧負荷時の可撓性ゴム継手1の膨らみ防止カバー6の中間部12の表側の表面の高さ位置を測定し、その変化量の最大値(「膨らみ量」という。単位mm。)を求めた。
また、実施例1,2および比較例1〜3の各可撓性ゴム継手の施工費を求めた。実施例1,2および比較例1〜3のうちで最も安価な施工費を「0」とし、最も高価な施工費を「100」としたときの、各例の施工費の比率(「差額施工費」という。)を求めた。
[比較結果]
実施例1:膨らみ量=44。差額施工費=35。
実施例2:膨らみ量=29。差額施工費=35。
比較例1:膨らみ量=120。差額施工費=0。
比較例2:膨らみ量=109。差額施工費=30。
比較例3:膨らみ量=6。差額施工費=100。
また、切り込み率を40%に低くした実施例2では、実施例1と比較して、差額施工費の上昇なく、膨らみ防止の効果が高くなっている。実施例2の可撓性ゴム継手1は、アンカーボルト15,16の固定強度が高い地下構造物に適用するのが好ましい。
なお、この発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
2,3 管体(地下構造物)
4 目地部(継目)
5 継手本体
6 膨らみ防止カバー
7,8,10,11 端部
13,14 押え板
15,16 アンカーボルト
21,22 ゴム層
23 基布
25,26 ゴム層
27 基布
30 突起
32 切り込み
Y 長手方向(継目の延びる方向)
Claims (5)
- 2つの相対する地下構造物の継目の内部に配置する可撓性ゴム継手であって、
波形形状でゴム層間に基布を埋設した構成をした継手本体と、
前記地下構造物に外側からかかる水圧により前記継手本体が内方へ膨らもうとするのを抑制するために設けられた膨らみ防止カバーとを含み、
前記膨らみ防止カバーは、平板状でゴム層内に基布を埋設した構成を備え、かつ、前記地下構造物の継目の延びる方向に沿って間欠的に切り込みが入れられており、
前記切り込みは、前記膨らみ防止カバーの基布にだけ入れられており、
前記継手本体および前記膨らみ防止カバーのそれぞれの両端部分は、同じ押え板を介してアンカーボルトで前記地下構造物に固定されることを特徴とする可撓性ゴム継手。 - 前記膨らみ防止カバーの基布は、前記継手本体の基布と同じものが使用されていることを特徴とする請求項1記載の可撓性ゴム継手。
- 前記膨らみ防止カバーの基布の表側を覆うゴム厚t1は、基布の裏側を覆うゴム厚t2よりも厚く設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の可撓性ゴム継手。
- 前記膨らみ防止カバーの両端部分に、前記押え板に干渉する突起が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の可撓性ゴム継手。
- 前記膨らみ防止カバーのゴムにEPDMを使用したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可撓性ゴム継手。
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