JP7222143B1 - 管路の耐震構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】管路における耐震性を向上させることが可能な耐震構造を提供する。【解決手段】マンホールに接続された管路1の耐震構造10であって、管路1の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の誘導溝20と、可撓性を有し、前記誘導溝20を前記管路1の内側から覆う止水体31と、前記止水体31を前記管路1の内側から拡張させて、前記管路1の内周面に押し付ける拡張部32と、を具備した。【選択図】図2

Description

本発明は、マンホールに接続された管路の耐震構造の技術に関する。
従来、マンホールに接続された管路の耐震構造の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の技術では、マンホールの側壁に接合された下水道本管の基部(接合部分)に耐震継手を取り付けることで、マンホールと下水道本管との接合部分における耐震性を向上させることができる。
しかしながら、地震等が発生した場合、マンホールと下水道本管との接合部分だけでなく、下水道本管のような管路の中途部においても破損(クラック等)が生じ、管路からの漏水や、管路内への土砂の浸入等が発生する可能性がある。従って、管路における耐震性を向上させることが可能な技術が望まれている。
特開2011-241617号公報
本開示の一態様は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、管路における耐震性を向上させることが可能な耐震構造を提供するものである。
本開示の一態様の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
本開示の一態様においては、マンホールに接続された管路の耐震構造であって、管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、を具備し、前記破損誘導部は、前記管路の内周面において周方向に並ぶように形成された複数の凹部を含むものである。
また本開示の一態様においては、マンホールに接続された管路の耐震構造であって、管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、を具備し、前記破損誘導部は、前記管路断面の中心を挟んで形成される一対の凹部を含むものである。
また本開示の一態様においては、マンホールに接続された管路の耐震構造であって、管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、を具備し、前記破損誘導部は、前記管路断面の中心を挟んで形成される上下に一対の凹部を含むものである。
また本開示の一態様においては、一対の前記凹部は、前記管路断面の中心を挟んで非対称となるように形成されているものである。
また本開示の一態様においては、一対の前記凹部のうち、下側の前記凹部の周方向長さは、上側の前記凹部の周方向長さよりも長くなるように形成されているものである。
また本開示の一態様においては、前記耐震構造は、前記管路の内周面に設けられるライニング材をさらに具備し、前記破損誘導部は、前記ライニング材を貫通するように形成されているものである。
また本開示の一態様においては、マンホールに接続された管路の耐震構造であって、管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、を具備し、前記破損誘導部は、前記管路の内周面において、当該内周面の半周以上に亘って周方向に延びるように形成された凹部を含み、前記管路の内周面に設けられるライニング材をさらに具備し、前記破損誘導部は、前記ライニング材を貫通するように形成されているものである。
本開示の一態様によれば、管路における耐震性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る耐震構造が適用された管路及びマンホールを示した側面断面図。 図1におけるA部分の拡大図。 止水部を示す分解図。 第一パターンに係る誘導溝を示した正面断面図。 (a)第二パターンに係る誘導溝を示した正面断面図。(b)第三パターンに係る誘導溝を示した正面断面図。 (a)第四パターンに係る誘導溝を示した正面断面図。(b)第五パターンに係る誘導溝を示した正面断面図。 (a)第六パターンに係る誘導溝を示した正面断面図。(b)ライニング材が設けられた管路における誘導溝の例を示した正面断面図。
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
以下では、本発明の一実施形態に係る管路1の耐震構造10について説明する。
図1に示す耐震構造10は、マンホール2に接続された管路1の中途部において、当該管路1の破損を誘導すると共に、当該破損部分からの漏水等を防止するものである。本実施形態では、管路1として鉄筋コンクリート製の配管を想定している。耐震構造10は、主として誘導溝20及び止水部30を具備する。
図2に示す誘導溝20は、地震等により管路1に荷重が加わった際に、破損を誘導するためのものである。誘導溝20は、管路1の内周面に凹状に形成される。誘導溝20は、管路1の内周面の周方向に沿って形成される。誘導溝20は、管路1の中途部(より詳細には、マンホール2の近傍)に形成される。誘導溝20は、適宜の工具を用いて管路1の内周面を加工することで形成することができる。管路1に誘導溝20を形成することで、管路1の強度を局所的に低下させることができる。なお、誘導溝20の具体的な形状の例については後述する。
図1から図3までに示す止水部30は、誘導溝20においてクラック等の破損が生じた管路1を止水するものである。具体的には、止水部30は、管路1からの漏水や、外部から管路1内への水や土砂の浸入を防止することができる。止水部30は、主として止水体31及び拡張部32を具備する。
止水体31は、管路1の内周面に接するように配置される部材である。止水体31は、弾性体(ゴム等)により形成される。止水体31は、円環状に形成される。止水体31の外径は、管路1の内径と略同一となるように形成される。止水体31は、管路1に形成された誘導溝20を、管路1の内側から覆うように配置される。
拡張部32は、止水体31を管路1の内周面に押し付けるための部材である。拡張部32は、円環状に形成される。拡張部32は、周方向に複数(図例では4つ)に分割された分割体32aを組み合わせて形成される。隣接する分割体32a同士を相対的に周方向に移動させることで、拡張部32の径を変更(例えば、拡張)することができる。また隣接する分割体32a同士を固定することで、拡張部32を任意の径で保持することができる。
拡張部32は、1つの止水体31に対して、2つ設けられる。拡張部32は、管路1の延びる方向(長手方向)において、誘導溝20を挟む位置(誘導溝20の両側)に配置される。拡張部32は、止水体31の内周面に接するように配置される。拡張部32は、止水体31を管路1の内周面に押し付けるように、径が拡張された状態で保持される。
このように構成された耐震構造10によって、地震等によって管路1が破損した場合に、管路1の漏水等を防止することができる。
具体的には、地震等によって管路1に荷重が加わると、他の部分に比べて強度の低い誘導溝20が形成された部分において、クラック等の破損が発生する。すなわち、意図的に誘導溝20において破損を発生させることができる。誘導溝20は止水体31によって覆われているため、誘導溝20においてクラック等が発生しても、止水体31によって漏水等を防止することができる。
以下では、地中に設置されている管路1(既設管)に、上述の耐震構造10の形成方法(施工方法)について説明する。
まず、管路1の内周面に誘導溝20を形成する工程(誘導溝形成工程)が行われる。この際、例えばカッターやドリルなど、誘導溝20の形状に応じた工具を用いて、管路1の内周面が加工される。誘導溝20は、管路1のうち、マンホール2の近傍に形成されることが望ましい。
なお、誘導溝20には、当該誘導溝20の内部空間を充填するように充填材(例えば、ゴムや合成樹脂等)を充填してもよい。
次に、管路1に止水部30を設ける工程(止水部設置工程)が行われる。この際、まず止水体31が、管路1の内周面に形成された誘導溝20を内側から覆うように設けられる。次に、止水体31の内側に、2つの拡張部32が設けられる。拡張部32は、適宜の工具を用いて拡張され、止水体31を内側から拡張させて管路1の内周面に押し付ける。この状態で、拡張部32は固定される。
このようにして、管路1の内側に耐震構造10が形成される。なお、本実施形態では、既設管に対して耐震構造10を形成する例を説明しているが、本発明はこれに限らず、新たに設置される管路1(新設管)に対して施工することも可能である。
以下では、管路1に形成される誘導溝20の形状について説明する。
本実施形態に係る誘導溝20は、周方向に沿う凹状に形成される。また本実施形態に係る誘導溝20は、意図しない状況(例えば、微小な荷重が加わった場合等)にまで破損が生じないように、周方向における少なくとも一部が不連続となるような凹状に形成される。このように一部不連続となるように誘導溝20を形成することで、管路1の強度をある程度確保することができる。以下では、上述のような誘導溝20の形状の複数のパターンについて説明する。
図4に示す第一パターンに係る誘導溝20は、管路1の内周面の周方向に沿って、等間隔に形成された複数の凹部21を含む。凹部21は、管路1の内周面に適宜の深さだけ形成される丸穴(円形断面を有する穴)である。凹部21は、例えばドリルによる穴あけ加工やコア抜き加工により形成することができる。このように、比較的容易に凹部21を形成することができる。
なお、図例では、凹部21は管路1の周方向に沿って12箇所形成されているが、凹部21の個数はこれに限るものではなく、管路1に必要な強度に応じて任意に変更することが可能である。
また、図例では、管路1の内周面に等間隔に凹部21を形成した例を示しているが、凹部21同士の間隔を必ずしも等間隔にする必要はない。例えば凹部21を不等間隔に形成することで、特定の方向の荷重に対して破損しやすい(換言すると、他の方向の荷重に対して強靭な)管路1を形成することも可能である。
また、凹部21の形状(内径、深さ等)は任意に変更することが可能である。また複数の凹部21の形状は必ずしも同一ではなく、それぞれ異なる形状に形成することも可能である。
図5(a)に示す第二パターンに係る誘導溝20は、管路1の内周面の周方向に沿って、等間隔に形成された複数の凹部22を含む。凹部22は、管路1の長手方向に垂直な断面視(正面断面視)において円弧状に形成される。凹部22は、管路1の内周面に適宜の深さだけ形成される。凹部22は、例えば所望の凹部22の形状に対応した外径を有する略円形のカッターCで、管路1の内周面を切削することにより形成することができる。このように、所望の凹部22の形状に対応した外径を有するカッターCを用いることで、比較的容易に凹部22を形成することができる。
なお、図例では、凹部22は管路1の周方向に沿って6箇所形成されているが、凹部22の個数はこれに限るものではなく、管路1に必要な強度に応じて任意に変更することが可能である。
また、図例では、管路1の内周面に等間隔に凹部22を形成した例を示しているが、凹部22同士の間隔を必ずしも等間隔にする必要はない。また、凹部22の形状(内径、深さ等)は任意に変更することが可能である。また複数の凹部22の形状は必ずしも同一ではなく、それぞれ異なる形状に形成することも可能である。
図5(b)に示す第三パターンに係る誘導溝20は、管路1の内周面の周方向に沿って延びるように形成された1つの凹部23を含む。凹部23は、管路1の内周面の半周以上に亘って延びるように形成される。具体的には、凹部23は、管路1の内周面の上端部を除く範囲に形成される。凹部23の両端部は、互いに連続しないように、所定の間隔を空けて形成される。凹部23は、管路1の内周面に適宜の深さだけ形成される。凹部23は、例えば所望の凹部23に応じた外径を有する略円形のカッターCで、管路1の内周面を周方向に沿って切削することにより形成することができる。
なお、図例では、凹部23は管路1の内周面の上端部を除く範囲に形成されているが、凹部23が形成される範囲はこれに限るものではなく、任意に変更することが可能である。例えば、管路1の内周面の下端部、左端部、又は右端部など、任意の部分を除く範囲に凹部23を形成することも可能である。
また、図例では、凹部23は管路1の内周面の上端部を除く概ね全周に亘る範囲に形成されているが、凹部23が形成される範囲(周方向の長さ)はこれに限るものではなく、任意に変更することが可能である。例えば、凹部23を、管路1の内周面の半周以下の長さに形成することも可能である。
図6(a)に示す第四パターンに係る誘導溝20は、正面断面視において、管路1の中心を挟んで一対形成される凹部24を含む。凹部24は、管路1の内周面の上下に形成される。凹部24は、管路1の内周面の周方向に延びるように形成される。凹部24は、管路1の内周面に適宜の深さだけ形成される。図例では、一対の凹部24は、管路1の断面の中心を挟んで上下対称な形状となるように形成される。一対の凹部24は、互いに連続しないように、互いの端部同士が所定の間隔を空けて形成される。このように凹部24を形成することによって、管路1の内周面の左右両端部を除く範囲に誘導溝20が形成される。凹部24は、例えば所望の凹部24に応じた外径を有する略円形のカッターCで、管路1の内周面を周方向に沿って切削することにより形成することができる。
図6(b)に示す第五パターンに係る誘導溝20は、正面断面視において、管路1の中心を挟んで左右一対形成される凹部25を含む。このように凹部25を形成することによって、管路1の内周面の上下両端部を除く範囲に誘導溝20が形成される。なお、第五パターンに係る凹部25は、第四パターンに係る凹部24(図6(a)参照)を管路1の中心を基準として90度回転させた形状となっているため、詳細な説明は省略する。
図6に示した例のように、管路1の中心を挟んで一対の凹部24・25を形成することで、当該凹部24・25が形成されていない方向への荷重に対して管路1の破損を抑制することができる。例えば図6(a)に示す第四パターンでは、上下方向への荷重によって比較的容易に管路1の破損を誘導することができる一方で、左右方向への荷重に対しては管路1の破損を抑制することができる。
このように、凹部24・25を形成する向きを任意に設定することで、管路1の接地環境(荷重のかかり易い方向)や目的に応じた耐震構造10とすることができる。例えば、地震が発生して地盤が液状化した場合には、マンホール2に大きな浮力が発生するため、管路1には上下方向への負荷が加わると想定される。そこで図6(a)に示す第四パターンのように上下に誘導溝20を形成することで、地震が発生した際の管路1の破損を効果的に誘導することができる。一方、地震以外の要因で管路1に左右方向の負荷が加わった場合には、管路1の破損を抑制することができる。
なお、図6に示した例では、誘導溝20は左右両端部、又は、上下両端部を除く範囲に形成されているが、誘導溝20が形成される範囲はこれに限るものではなく、例えば斜め方向の両端部(例えば、右上端部及び左下端部など)を除く範囲に形成するなど、任意に変更することが可能である。
図7(a)に示す第六パターンに係る誘導溝20は、正面断面視において、管路1の中心を挟んで上下一対形成される凹部26を含む。第六パターンに係る誘導溝20(凹部26)が、第四パターンに係る誘導溝20(図6(a)参照)と異なる点は、一対の凹部26が非対称となるように形成される点である。
具体的には、上下一対の凹部26のうち、下側の凹部26の周方向長さは、上側の凹部26の周方向長さよりも長くなるように形成されている。このように構成することで、管路1の長手方向において、誘導溝20の両側に上向きの荷重が加わった場合に、管路1の破損を誘導し易くすることができる。具体的には、管路1の長手方向における誘導溝20の両側に上向きの荷重が加わると、管路1の下側に引張荷重が加わることになる。管路1の下側には比較的大きな凹部26が形成されているため、効果的に管路1の破損を誘導することができる。一方、管路1の長手方向における誘導溝20の両側に下向きの荷重が加わると、管路1の上側に引張荷重が加わることになるが、管路1の上側には比較的小さな凹部26が形成されているため、上向きの荷重が加わった場合よりも、管路1の破損が生じにくい。このように、荷重の方向に応じて誘導溝20を非対称に形成することで、任意の方向の荷重に対して、管路1の破損を効果的に誘導することができる。
また、上述の例では管路1の内周面を直接加工して誘導溝20を形成する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば図7(b)に示すように、管路1の内周面にライニング材3が設けられている場合、ライニング材3の上から、当該ライニング材3を貫通するようにして誘導溝20を形成することも可能である。図7(b)には、ライニング材3の上から、第一パターン(図4参照)と同様の誘導溝20(凹部21)を形成した例を示している。
なお、ライニング材3とは、既設管の強度補強や漏水対策等を目的として管路1の内周面に設けられる部材である。ライニング材3としては、例えば円筒状の部材を管路1の内周面に設けるものや、帯状の部材を管路1の内周面にらせん状に設けるものが含まれる。
またこのようにライニング材3が設けられた管路1に誘導溝20を設ける場合、当該誘導溝20に合成樹脂等の充填剤を充填することで、管路1の内周面とライニング材3との間の隙間を当該充填材で埋めて止水することもできる。
以上の如く、本実施形態に係る耐震構造10は、
マンホール2に接続された管路1の耐震構造10であって、
管路1の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の誘導溝20(破損誘導部)と、
可撓性を有し、前記誘導溝20を前記管路1の内側から覆う止水体31(被覆部材)と、
前記止水体31を前記管路1の内側から拡張させて、前記管路1の内周面に押し付ける拡張部32(拡張部材)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、管路1の強度を確保すると共に、耐震性を向上させることができる。
すなわち、地震等により管路1に大きな負荷が加わった場合には、止水体31で覆われた誘導溝20において破損が発生するように誘導することで、漏水や、管路1内への地下水や土砂の流入を防止することができる。また、誘導溝20を周方向に一部不連続となるように形成することで、全周にわたって形成する場合と比べて管路1の強度を確保することができる。これによって、不必要な場合(比較的微小な地震や衝撃等が発生した場合)にまで誘導溝20の破損が発生するのを防止することができる。
また、前記誘導溝20は、
前記管路1の内周面において周方向に並ぶように形成された複数の凹部21・22を含むものである(図4、図5(a)参照)。
このように構成することにより、誘導溝20(凹部21・22)を比較的容易に形成することができる。
例えば、カッター、ドリル、コア抜き等を用いて管路1の内周面の複数個所を切削することで、誘導溝20(凹部21・22)を形成することができる。この際、カッター等を周方向に移動させながら切削する必要がないため、誘導溝20を比較的容易に形成することができる。
また、前記誘導溝20は、
前記管路1の断面の中心を挟んで形成される一対の凹部24・25を含むものである(図6参照)。
このように構成することにより、一対の凹部24・25が形成された方向への荷重によって比較的容易に破損を誘導することができる一方で、一対の凹部24・25が形成されていない方向への荷重に対しては、管路1の破損を抑制することができる。これによって、一対の凹部24・25の向きを任意に設定することで、設置環境(地震等による負荷のかかり易い方向)に応じた耐震構造とすることができる。
また、前記誘導溝20は、
前記管路1の断面の中心を挟んで形成される上下に一対の凹部24を含むものである(図6(a)参照)。
このように構成することにより、上下方向への荷重によって比較的容易に破損を誘導することができる。
また、一対の前記凹部26は、
前記管路1の断面の中心を挟んで非対称となるように形成されているものである(図7(a)参照)。
このように構成することにより、負荷の方向に応じて破損を誘導し易くすることができる。例えば、管路1に加わる負荷の方向に応じて、破損が生じやすいように凹部26の非対称形状を設定することで、効率的に破損を誘導し易くすることができる。
また、一対の前記凹部26のうち、
下側の前記凹部26の周方向長さは、
上側の前記凹部26の周方向長さよりも長くなるように形成されているものである(図7(a)参照)。
このように構成することにより、誘導溝20の両側に上向きの負荷が加わる場合に、破損を誘導し易くすることができる。
また、前記誘導溝20は、
前記管路1の内周面において、当該内周面の半周以上に亘って周方向に延びるように形成された凹部23を含むものである(図5(b)参照)。
このように構成することにより、比較的広範囲に凹部23を形成することで、負荷の方向に関わらず、破損を誘導し易くすることができる。
また、耐震構造10は、
前記管路1の内周面に設けられるライニング材3をさらに具備し、
前記誘導溝20は、
前記ライニング材3を貫通するように形成されているものである。
このように構成することにより、ライニング材3が設けられた管路1においても、管路1の強度を確保すると共に、耐震性を向上させることができる。
なお、本実施形態に係る誘導溝20は、本発明に係る破損誘導部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る止水体31は、本発明に係る被覆部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る拡張部32は、本発明に係る拡張部材の実施の一形態である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、誘導溝20の形状や個数は図4から図7に示したものに限らず、任意に変更することが可能である。例えば図5等では、カッターCの形状(外径)に応じた円弧状(R形状)の誘導溝20を形成した例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば滑らかな円弧状ではなく、角部を有する正面断面視略矩形状の誘導溝20を形成することも可能である。
また、誘導溝20を形成する方法としては、カッター、ドリル、コア抜き等を用いるものに限らず、任意の方法で誘導溝20を形成することが可能である。
また誘導溝20の周方向断面形状(図2参照)は特に限定するものではない。図2に示した例では略矩形状の誘導溝20を図示しているが、例えば三角形状(V字状)や半円状に誘導溝20を形成することも可能である。さらに、複数の凹部の周方向断面形状を互いに異ならせて、破損の発生し易さを異ならせることも可能である。
また管路1は鉄筋コンクリート製に限らず、例えば合成樹脂製、金属製等であってもよい。
1 管路
2 マンホール
3 ライニング材
10 耐震構造
20 誘導溝
30 止水部
31 止水体
32 拡張部

Claims (7)

  1. マンホールに接続された管路の耐震構造であって、
    管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、
    可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、
    前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、
    を具備し、
    前記破損誘導部は、
    前記管路の内周面において周方向に並ぶように形成された複数の凹部を含む、
    管路の耐震構造。
  2. マンホールに接続された管路の耐震構造であって、
    管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、
    可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、
    前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、
    を具備し、
    前記破損誘導部は、
    前記管路断面の中心を挟んで形成される一対の凹部を含む、
    管路の耐震構造。
  3. マンホールに接続された管路の耐震構造であって、
    管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、
    可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、
    前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、
    を具備し、
    前記破損誘導部は、
    前記管路断面の中心を挟んで形成される上下に一対の凹部を含む、
    管路の耐震構造。
  4. 一対の前記凹部は、
    前記管路断面の中心を挟んで非対称となるように形成されている、
    請求項3に記載の管路の耐震構造。
  5. 一対の前記凹部のうち、
    下側の前記凹部の周方向長さは、
    上側の前記凹部の周方向長さよりも長くなるように形成されている、
    請求項4に記載の管路の耐震構造。
  6. 前記管路の内周面に設けられるライニング材をさらに具備し、
    前記破損誘導部は、
    前記ライニング材を貫通するように形成されている、
    請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の管路の耐震構造。
  7. マンホールに接続された管路の耐震構造であって、
    管路の内周面において周方向に沿って形成されると共に、周方向における少なくとも一部が不連続となるように形成された凹状の破損誘導部と、
    可撓性を有し、前記破損誘導部を前記管路の内側から覆う被覆部材と、
    前記被覆部材を前記管路の内側から拡張させて、前記管路の内周面に押し付ける拡張部材と、
    を具備し、
    前記破損誘導部は、
    前記管路の内周面において、当該内周面の半周以上に亘って周方向に延びるように形成された凹部を含み、
    前記管路の内周面に設けられるライニング材をさらに具備し、
    前記破損誘導部は、
    前記ライニング材を貫通するように形成されている、
    管路の耐震構造。
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