JP5916382B2 - ゴルフボール用樹脂組成物およびゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、アイオノマー樹脂を含有するゴルフボール用樹脂組成物の反発性の改良に関する。
ゴルフボールの構造としては、例えば、コアとカバーとを有するツーピースゴルフボール、コアと前記コアを被覆する一層の中間層と、前記中間層を被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボール、コアと前記コアを被覆する少なくとも二以上の中間層と、前記中間層を被覆するカバーとを有するマルチピースゴルフボールが挙げられる。ゴルフボールの各層を構成する材料として、アイオノマー樹脂が使用されている。アイオノマー樹脂は、剛性が高く、ゴルフボールの構成部材として使用すると、飛距離の大きいゴルフボールが得られる。そのため、アイオノマー樹脂は、ゴルフボールの中間層やカバーの材料として広く使用されている。しかし、アイオノマー樹脂の剛性や流動性には改善の余地があり、これらの特性を改善するための提案がなされている。
例えば、特許文献1には、アイオノマー樹脂成分として(a)酸含量12重量%以下のオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体の金属イオン中和物からなる3元アイオノマー樹脂と(b)酸含量15重量%以下のオレフィン−不飽和カルボン酸共重合体の金属イオン中和物からなる2元アイオノマー樹脂とを重量比40:60〜100:0の割合で含むアイオノマー樹脂成分と、(c)オレフィン及び不飽和カルボン酸をモノマーとする未中和のランダム共重合体とを重量比75:25〜100:0の割合で含有するベース樹脂に、(d)炭素原子数が29以下の有機酸を1〜3価金属イオンで中和した金属せっけんを重量比95:5〜80:20の割合で配合した混合物を主成分とし、かつメルトインデックス(MI)が1dg/秒以上であることを特徴とするゴルフボールカバー材が開示されている。
特許文献2には、コアとカバーとを有し、前記カバーは、実質的に少なくとも一種のアイオノマー樹脂100質量部と、25質量部超、約100質量部までのステアリン酸金属塩を含み、前記アイオノマー樹脂は、炭素数が2〜8のオレフィンと、炭素数が3〜8の不飽和モノカルボン酸との反応生成物からなることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
特許文献3には、コアとカバーとを有し、前記カバーは、実質的に少なくとも一種のアイオノマー樹脂100質量部と、25質量部超、約100質量部までの脂肪酸金属塩を含み、前記アイオノマー樹脂は、炭素数が2〜8のオレフィンと、炭素数が3〜8の不飽和モノカルボン酸との反応生成物からなることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
特許文献4には、不飽和カルボン酸含有量が10〜30重量%のエチレン・不飽和カルボン酸二元共重合体の中和度が25モル%以上の金属塩(A)15〜90重量部及び(メタ)アクリル酸エステル含有量が12〜45重量%、不飽和カルボン酸含有量が0.5〜5重量%のエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・不飽和カルボン酸三元共重合体(B)85〜10重量部を配合してなるゴルフボール表皮材用組成物が開示されている。
特許文献5には、ソリッドコアと、該ソリッドコアに被覆形成される中間層と、該中間層に被覆形成されるカバーとを具備してなるマルチピースゴルフボールにおいて、上記中間層及び/又はカバーが(a)オレフィン−不飽和カルボン酸ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステルランダム共重合体 100質量部、(b)分子量が280以上の脂肪酸又はその誘導体 5〜80質量部、(c)上記(a)、(b)成分中の酸基を中和することができる塩基性無機金属化合物 0.1〜10質量部を含有してなり、メルトインデックスが1.0dg/min以上である加熱混合物にて形成されると共に、上記中間層のショアD硬度が40〜63であり、上記カバーのショアD硬度が45〜68であると共に、上記ソリッドコアの中心、中間層及びカバーの各ショアD硬度がソリッドコア中心の硬度≦中間層の硬度≦カバーの硬度の関係を満たすことを特徴とするマルチピースゴルフボールが開示されている。
特許文献6には、(a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを質量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを質量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100質量部に対して、(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体5〜80質量部と、(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10質量部とを必須成分として配合してなる混合物であることを特徴とするゴルフボール用材料が開示されている。
特開2000−157646号公報 米国特許第5306760号公報 米国特許第5312857号公報 特開平6−292740号公報 特開2001−218873号公報 特開2002−219195号公報
剛性の高いアイオノマー樹脂を、中間層やカバーに用いたゴルフボールを高飛距離化するための方法として、反発性の高い高中和度のアイオノマー樹脂を使用する方法がある。しかし、高中和度のアイオノマー樹脂は、流動性が低く、例えば、薄いカバーや中間層を射出成形することは、極めて困難である。アイオノマー樹脂の流動性を向上させる技術として、例えば、脂肪酸またはその金属塩を添加することが行われている。しかしながら、添加量が一定量以下の場合、流動性向上効果は低く、一定量以上の場合、材料の機械的物性が低下し、ゴルフボールの耐久性が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、反発性に優れるゴルフボール用樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明は、さらに、反発性および耐久性に優れるゴルフボールを提供することを課題とする。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、(A)(a−1)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、(a−2)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂、(a−3)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体、および、(a−4)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂より成る群から選択される少なくとも一種の樹脂成分と、(B)塩基性脂肪酸金属塩とを含有することを特徴とする。
本発明で使用する(B)塩基性脂肪酸金属塩は、一般の脂肪酸金属塩に比べて塩基性が強く、(A)樹脂成分中の未中和のカルボキシル基を効率的に中和することができる。その結果、(A)樹脂成分の中和度が高まり、得られるゴルフボール用樹脂組成物の反発性が向上する。また(B)塩基性脂肪酸金属塩は、同時に流動性を向上する作用を有する。そのため、脂肪酸またはその金属塩の添加に伴う耐久性の低下が抑制される。(B)塩基性脂肪酸金属塩を使用する本発明のゴルフボールは、塩基性無機金属化合物と脂肪酸とをそれぞれ含有する場合に比べて、反発性および耐久性に優れる。
本発明によれば、反発性に優れたゴルフボール用樹脂組成物が得られる。本発明のゴルフボール用樹脂組成物を用いたゴルフボールは、反発性および耐久性に優れる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、(A)(a−1)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、(a−2)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂、(a−3)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体、および、(a−4)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂より成る群から選択される少なくとも一種の樹脂成分と、(B)塩基性脂肪酸金属塩とを含有することを特徴とする。
まず、本発明で使用する(A)(a−1)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、(a−2)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂、(a−3)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体、および、(a−4)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂より成る群から選択される少なくとも一種の樹脂成分
について説明する。
前記(a−1)成分は、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体であって、そのカルボキシル基が中和されていない非イオン性のものである。また、前記(a−2)成分としては、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂を挙げることができる。
前記(a−3)成分は、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体であって、そのカルボキシル基が中和されていない非イオン性のものである。前記(a−4)成分としては、オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸と、α,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂を挙げることができる。
なお、本発明において、「(a−1)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体」を単に「二元共重合体」と称し、「(a−2)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂」を「二元系アイオノマー樹脂」と称し、「(a−3)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体」を単に「三元共重合体」と称し、「(a−4)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂」を「三元系アイオノマー樹脂」と称する場合がある。
前記オレフィンとしては、炭素数が2〜8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。前記炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。
前記(a−1)二元共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸との二元共重合体が好ましく、前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂としては、エチレン−(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。前記(a−3)三元共重合体としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体が好ましい。前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
前記(a−1)二元共重合体または(a−3)三元共重合体中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、4質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
前記(a−1)二元共重合体または(a−3)三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、5g/10min以上が好ましく、より好ましくは10g/10min以上、さらに好ましくは15g/10min以上であり、1700g/10min以下が好ましく、より好ましくは1500g/10min以下、さらに好ましくは1300g/10min以下である。前記(a−1)二元共重合体または(a−3)三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が5g/10min以上であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好となり、構成部材の成形が容易になる。また、前記(a−1)二元共重合体または(a−3)三元共重合体のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が1700g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記(a−1)二元共重合体の具体例を商品名で例示すると、例えば、三井デュポンポリケミカル社から商品名「ニュクレル(NUCREL)(登録商標)(例えば、「ニュクレルN1050H」、「ニュクレルN2050H」、「ニュクレルN1110H」、「ニュクレルN0200H」)」で市販されているエチレン−メタクリル酸共重合体、ダウケミカル社から商品名「プライマコア(PRIMACOR)(登録商標)5980I」で市販されているエチレン−アクリル酸共重合体などを挙げることができる。
前記(a−3)三元共重合体の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル社から市販されている商品名「ニュクレル(NUCREL)(登録商標)(例えば、「ニュクレルAN4318」「ニュクレルAN4319」)」、デュポン社から市販されている商品名「ニュクレル(NUCREL)(登録商標)(例えば、「ニュクレルAE」)」、ダウケミカル社から市販されている商品名「プライマコア(PRIMACOR)(登録商標)(例えば、「PRIMACOR AT310」、「PRIMACOR AT320」)」などを挙げることができる。前記(a−1)二元共重合体または(a−3)三元共重合体は、単独または二種以上を組み合わせて使用しても良い。
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、15質量%以上が好ましく、16質量%以上がより好ましく、17質量%以上がさらに好ましく、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、15質量%以上であれば、得られる構成部材を所望の硬度にしやすくなるからである。また、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率が、30質量%以下であれば、得られる構成部材の硬度が高くなり過ぎず、耐久性と打球感が良好になるからである。
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、15モル%以上が好ましく、20モル%以上が好ましく、90モル%以下が好ましく、85モル%以下がより好ましい。中和度が15モル%以上であれば、得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になる。一方、中和度が90モル%以下であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好になる(成形性が良い)。なお、前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。
二元系アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×二元系アイオノマー樹脂中の中和されているカルボキシル基のモル数/二元系アイオノマー樹脂中のカルボキシル基の総モル数
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井・デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)、ハイミランAM7329(Zn)など」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されている「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li))」などが挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn))」などが挙げられる。
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂は、例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。前記商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率は、140MPa以上が好ましく、より好ましくは150MPa以上、さらに好ましくは160MPa以上であり、550MPa以下が好ましく、より好ましくは500MPa以下、さらに好ましくは450MPa以下である。前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率が低すぎると、ゴルフボールのスピン量が増加して飛距離が低下する傾向があり、曲げ剛性率が高すぎると、ゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、0.1g/10min以上が好ましく、より好ましくは0.5g/10min以上、さらに好ましくは1.0g/10min以上であり、30g/10min以下が好ましく、より好ましくは20g/10min以下、さらに好ましくは15g/10min以下である。前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min以上であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好となり、例えば、薄い層の成形が可能となる。また、前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が30g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記(a−2)二元系アイオノマー樹脂のスラブ硬度は、ショアD硬度で50以上が好ましく、より好ましくは55以上、さらに好ましくは60以上であり、75以下が好ましく、より好ましくは73以下、さらに好ましくは70以下である。前記スラブ硬度が、ショアD硬度で50以上であれば、得られる構成部材が高硬度となる。また、前記スラブ硬度が、ショアD硬度で75以下であれば、得られる構成部材が硬くなりすぎず、ゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂中の炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸成分の含有率は、2質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上であり、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、20モル%以上が好ましく、より好ましくは30モル%以上であり、90モル%以下が好ましく、より好ましくは85モル%以下である。中和度が20モル%以上であれば、ゴルフボール用樹脂組成物を用いて得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になり、90モル%以下であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好になる(成形性が良い)。なお、アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。
アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×アイオノマー樹脂中の中和されているカルボキシル基のモル数/アイオノマー樹脂中のカルボキシル基の総モル数
前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。
前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミランAM7327(Zn)、ハイミラン1855(Zn)、ハイミラン1856(Na)、ハイミランAM7331(Na)など)」が挙げられる。さらにデュポン社から市販されている三元系アイオノマー樹脂としては、「サーリン6320(Mg)、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン9320W(Zn)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)など)」が挙げられる。またエクソンモービル化学(株)から市販されている三元系アイオノマー樹脂としては、「アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。なお、商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Mgなどは、中和金属イオンの種類を示している。前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂は、単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率は、10MPa以上が好ましく、より好ましくは11MPa以上、さらに好ましくは12MPa以上であり、100MPa以下が好ましく、より好ましくは97MPa以下、さらに好ましくは95MPa以下である。前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂の曲げ剛性率が低すぎると、ゴルフボールのスピン量が増加して飛距離が低下する傾向があり、曲げ剛性率が高すぎると、ゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。
前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)は、0.1g/10min以上が好ましく、より好ましくは0.3g/10min以上、さらに好ましくは0.5g/10min以上であり、20g/10min以下が好ましく、より好ましくは15g/10min以下、さらに好ましくは10g/10min以下である。前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min以上であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好となり、薄い層の成形が容易になる。また、前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂のメルトフローレイト(190℃、2.16kg荷重)が20g/10min以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。
前記(a−4)三元系アイオノマー樹脂のスラブ硬度は、ショアD硬度で20以上が好ましく、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上であり、70以下が好ましく、より好ましくは65以下、さらに好ましくは60以下である。前記スラブ硬度が、ショアD硬度で20以上であれば、得られる構成部材が柔らなく成り過ぎず、ゴルフボールの反発性が良好になる。また、前記スラブ硬度が、ショアD硬度で70以下であれば、得られる構成部材が硬くなりすぎず、ゴルフボールの耐久性がより良好となる。
(A)前記樹脂成分としては、(a−1)二元共重合体、(a−2)二元系アイオノマー樹脂、(a−3)三元共重合体、または(a−4)三元系アイオノマー樹脂を単独で使用してもよく、あるいは、2種以上を混合して使用してもよい。本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、(A)樹脂成分として、(a−3)三元共重合体、または、(a−4)三元系アイオノマー樹脂を含有することが好ましい。得られる構成部材が硬くなり過ぎず、反発性が高くなるからである。
次に、(B)塩基性脂肪酸金属塩について説明する。塩基性脂肪酸金属塩は、脂肪酸と金属酸化物又は水酸化物とを反応させる公知の製造方法により得られるが、一般の脂肪酸金属塩が脂肪酸と反応当量の金属酸化物又は水酸化物とを反応させるのに対して、塩基性脂肪酸金属塩は脂肪酸と反応当量以上の過剰に金属酸化物又は水酸化物を加えて得られたもので、その生成物の金属含有量、融点等は一般の脂肪酸金属塩とは異なる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩としては、例えば、下記一般式(1)で示されるものが好ましい。
mMO・M(RCOO) ・・・(1)
(1)式中、mは、上記式(1)に示される塩基性脂肪酸金属塩中の金属酸化物または金属水酸化物のモル数を示すものである。mは、0.1〜2.0であることが好ましく、0.2〜1.5であることがより好ましい。mが0.1未満であれば、得られる樹脂組成物の反発性が低下する場合があり、mが2.0を超えると、塩基性脂肪酸金属塩の融点が高くなり過ぎて、樹脂成分への分散性が困難になる場合がある。MおよびMは、それぞれ周期表第2族または第12族に属する金属が好ましい。MおよびMは、同一または異なっていてもよい。第2族に属する金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムを挙げることができる。第12族に属する金属としては、亜鉛、カドミウム、水銀を挙げることができる。MおよびMの金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛が好ましく、マグネシウムがより好ましい。
式(1)において、RCOOは、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の残基を示す。(B)塩基性脂肪酸金属塩の飽和脂肪酸成分の具体例(IUPAC名)としては、ブタン酸(C4)、ペンタン酸(C5)、ヘキサン酸(C6)、ヘプタン酸(C7)、オクタン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ウンデカン酸(C11)、ドデカン酸(C12)、トリデカン酸(C13)、テトラデカン酸(C14)、ペンタデカン酸(C15)、ヘキサデカン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、オクタデカン酸(C18)、ノナデカン酸(C19)、イコサン酸(C20)、ヘンイコサン酸(C21)、ドコサン酸(C22)、トリコサン酸(C23)、テトラコサン酸(C24)、ペンタコサン酸(C25)、ヘキサコサン酸(C26)、ヘプタコサン酸(C27)、オクタコサン酸(C28)、ノナコサン酸(C29)、トリアコンタン酸(C30)などを挙げることができる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の不飽和脂肪酸成分の具体例(IUPAC名)としては、ブテン酸(C4)、ペンテン酸(C5)、ヘキセン酸(C6)、ヘプテン酸(C7)、オクテン酸(C8)、ノネン酸(C9)、デセン酸(C10)、ウンデセン酸(C11)、ドデセン酸(C12)、トリデセン酸(C13)、テトラデセン酸(C14)、ペンタデセン酸(C15)、ヘキサデセン酸(C16)、ヘプタデセン酸(C17)、オクタデセン酸(C18)、ノナデセン酸(C19)、イコセン酸(C20)、ヘンイコセン酸(C21)、ドコセン酸(C22)、トリコセン酸(C23)、テトラコセン酸(C24)、ペンタコセン酸(C25)、ヘキサコセン酸(C26)、ヘプタコセン酸(C27)、オクタコセン酸(C28)、ノナコセン酸(C29)、トリアコンテン酸(C30)などを挙げることができる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の脂肪酸成分の具体例(慣用名)としては、例えば、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、エナント酸(C7)、カプリル酸(C8)、ペラルゴン酸(C9)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、ミリストレイン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、パルミトレイン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、エライジン酸(C18)、バクセン酸(C18)、オレイン酸(C18)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、12−ヒドロキシステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ガドレイン酸(C20)、アラキドン酸(C20)、エイコセン酸(C20)、べヘニン酸(C22)、エルカ酸(C22)、リグノセリン酸(C24)、ネルボン酸(C24)、セロチン酸(C26)、モンタン酸(C28)、メリシン酸(C30)などを挙げることができる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩は、塩基性不飽和脂肪酸金属塩であることが好ましい。前記不飽和脂肪酸成分としては、オレイン酸(C18)、エルカ酸(C22)、リノール酸(C18)、リノレン酸(C18)、アラキドン酸(C20)、エイコサペンタエン酸(C20)、ドコサヘキサエン酸(C22)、ステアリドン酸(C18)、ネルボン酸(C24)、バクセン酸(C18)、ガドレイン酸(C20)、エライジン酸(C18)、エイコセン酸(C20)、エイコサジエン酸(C20)、ドコサジエン酸(C22)、ピノレン酸(C18)、エレオステアリン酸(C18)、ミード酸(C20)、アドレン酸(C22)、イワシ酸(C22)、ニシン酸(C24)、および、テトラコサペンタエン酸(C24)よりなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
(B)塩基性脂肪酸金属塩は、炭素数が8〜30の塩基性脂肪酸金属塩が好ましく、炭素数が12〜24の塩基性脂肪酸金属塩が好ましい。(B)塩基性脂肪酸金属塩の具体例としては、塩基性ラウリン酸マグネシウム、塩基性ラウリン酸カルシウム、塩基性ラウリン酸亜鉛、塩基性ミリスチン酸マグネシウム、塩基性ミリスチン酸カルシウム、塩基性ミリスチン酸亜鉛、塩基性パルミチン酸マグネシウム、塩基性パルチミン酸カルシウム、塩基性パルミチン酸亜鉛、塩基性オレイン酸マグネシウム、塩基性オレイン酸カルシウム、塩基性オレイン酸亜鉛、塩基性ステアリン酸マグネシウム、塩基性ステアリン酸カルシウム、塩基性ステアリン酸亜鉛、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、塩基性12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、塩基性ベヘニン酸マグネシウム、塩基性ベヘニン酸カルシウム、塩基性ベヘニン酸亜鉛などが挙げられる。(B)塩基性脂肪酸金属塩としては、塩基性脂肪酸マグネシウムが好ましく、塩基性ステアリン酸マグネシウム、塩基性ベヘニン酸マグネシウム、塩基性ラウリン酸マグネシウム、および、塩基性オレイン酸マグネシウムがより好ましい。前記塩基性脂肪酸は、単独若しくは2種以上の混合物として使用することもできる。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の融点は、特に制約されないが、例えば金属がマグネシウムの場合は、100℃以上のものが好ましく、300℃以下のものが好ましく、290℃以下のものがより好ましく、280℃以下のものがさらに好ましい。融点が、上記範囲であれば、樹脂成分への分散性が良好になるからである。
(B)塩基性脂肪酸金属塩の金属成分の含有量は、1モル%以上が好ましく1.1モル%以上がより好ましく、2モル%以下が好ましく、1.9モル%以下がより好ましい。金属成分の含有量が前記範囲内であれば、得られるゴルフボールの反発性が一層向上するからである。なお、(B)塩基性脂肪酸金属塩の金属成分の含有量は、金属塩1モルあたりに含まれる金属量gを、その金属の原子量で割った値をいい、モル%で表す。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物中における(B)塩基性脂肪酸金属塩の含有量は、前記(A)樹脂成分100質量部に対して、25質量部以上が好ましく、33質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、100質量部以下が好ましい。(B)前記塩基性脂肪酸金属塩の含有量を25質量部以上とすることにより、ゴルフボールの反発性が向上し、100質量部以下とすることにより、低分子量成分の増加にともなうゴルフボールの耐久性の低下を抑制できるからである。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、樹脂成分として、(A)樹脂成分のみを含有することが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂を含有しても良い。他の熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂を含有する場合、樹脂成分中の(A)樹脂成分の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記他の熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えばアルケマ(株)から商品名「ペバックス(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、BASFジャパン(株)から商品名「エラストラン(例えば、「エラストランXNY85A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(例えば、「ラバロンT3221C」)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマー等が挙げられる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、さらに、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料などの顔料成分、重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、ゴルフボールの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、得られるゴルフボール構成部材に隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるゴルフボールの耐久性が低下する場合があるからである。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、例えば、(A)成分と(B)成分とをドライブレンドすることにより得られる。また、ドライブレンドした混合物を、押出してペレット化してもよい。ドライブレンドには、例えば、ペレット状の原料を配合できる混合機を用いるのが好ましく、より好ましくはタンブラー型混合機を用いる。押出は、一軸押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機など公知の押出機を使用することができる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、ショアD硬度で20以上が好ましく、25以上がより好ましく、30以上がさらに好ましく、80以下が好ましく、77以下がより好ましく、75以下がさらに好ましい。ショアD硬度で20以上のゴルフボール用樹脂組成物を用いることにより、反発性(飛距離)に優れるゴルフボールが得られる。一方、ショアD硬度で80以下のゴルフボール用樹脂組成物を用いることにより、打球感に優れるゴルフボールが得られる。ここで、ゴルフボール用樹脂組成物の硬度とは、ゴルフボール用樹脂組成物をシート状に成形して測定したスラブ硬度であり、後述する測定方法により測定する。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物のメルトフローレイト(190℃×2.16kg)は、0.01g/10min以上が好ましく、0.05g/10min以上がより好ましく、0.1g/10min以上がさらに好ましく、100g/10min以下が好ましく、80g/10min以下がより好ましく、50g/10min以下がさらに好ましい。ゴルフボール用樹脂組成物のメルトフローレイトが、上記範囲内であれば、ゴルフボール構成部材への成形性が良好である。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物の曲げ剛性率は、10MPa以上が好ましく、15MPa以上がより好ましく、20MPa以上がさらに好ましく、450MPa以下が好ましく、400MPa以下がより好ましく、350MPa以下がさらに好ましい。曲げ剛性率が10MPa以上のゴルフボール用樹脂組成物を用いることにより、反発性(飛距離)に優れるゴルフボールが得られる。また、曲げ剛性率が450MPa以下であれば、得られるゴルフボールが適度に柔らかくなって、打球感が良好となる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物の反発弾性は、40%以上が好ましく、43%以上がより好ましく、46%以上がさらに好ましい。反発弾性が、40%以上のゴルフボール用樹脂組成物を用いることにより、反発性(飛距離)に優れるゴルフボールが得られる。前記曲げ剛性率と反発弾性は、ゴルフボール用樹脂組成物をシート状に成形して測定した曲げ剛性率および反発弾性であり、後述する測定方法により測定する。
本発明のゴルフボールは、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から成形された構成部材を有するゴルフボールであれば、特に限定されない。例えば、単層コアと、前記コアを被覆するように配設されたカバーとを有するツーピースゴルフボール;コアと前記コアを被覆するように配設された単層の中間層と、前記中間層を被覆するように配設されたカバーとを有するスリーピースゴルフボール;または、コアと前記コアを被覆するように配設された一以上の中間層と、前記中間層を被覆するように配設されたカバーを有するマルチピースゴルフボール(前記スリーピースゴルフボールを含む)を構成するいずれかの構成部材が前記ゴルフボール用樹脂組成物から成形されているゴルフボールを挙げることができる。これらの中でも、中間層が、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から成形されているゴルフボールが好ましい。
以下、本発明のゴルフボールを、コアと前記コアを被覆するように配設された一以上の中間層と、前記中間層を被覆するように配設されたカバーとを有するゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む)であって、前記中間層の少なくとも一つが、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から形成されている好ましい態様に基づいて、詳述するが、本発明は、斯かる態様に限定されない。
前記好ましい態様において、本発明のゴルフボールのコアの構造としては、単層コア、多層コアのいずれであってもよい。
前記コアの形状としては、球状が一般的であるが、球状コアの表面を分割するように突条が設けられていても良く、例えば、球状コアの表面を均等に分割するように突条が設けられていても良い。前記突条を設ける態様としては、例えば、球状コアの表面にコアと一体的に突条を設ける態様を挙げることができる。前記突条は、例えば、球状コアを地球とみなした場合に、赤道と球状センター表面を均等に分割する任意の子午線とに沿って設けられることが好ましい。例えば、球状コア表面を8分割する場合には、赤道と、任意の子午線(経度0度)、および、斯かる経度0度の子午線を基準として、東経90度、西経90度、東経(西経)180度の子午線に沿って設けるようにすれば良い。突条を設ける場合には、突条によって仕切られる凹部を、複数の中間層、あるいは、それぞれの凹部を被覆するような単層の中間層によって充填するようにすることが好ましい。
前記コアには、従来公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を採用することができ、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤および充填剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらの中でも、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
前記架橋開始剤は、基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.3質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上であって、5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下である。0.3質量部未満では、コアが柔らかくなりすぎて、反発性が低下する傾向があり、5質量部を超えると、適切な硬さにするために、共架橋剤の使用量を減少する必要があり、反発性が不足気味になる。
前記共架橋剤は、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有すると考えられている。前記共架橋剤としては、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸またはこれらの金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムなどを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。
前記共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、55質量部以下が好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは48質量部以下である。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために架橋開始剤の量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が55質量部を超えると、コアが硬くなりすぎて、打球感が低下するおそれがある。
コア用ゴム組成物に含有される充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの重量を調整するための重量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以下である。充填剤の配合量が0.5質量部未満では、重量調整が難しくなり、30質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤および充填剤に加えて、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、しゃく解剤などを適宜配合することができる。
前記有機硫黄化合物としては、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チオカルボン類、ジチオカルボン類、スルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類、チアゾール類などを挙げることができる。これらの中でも、有機硫黄化合物として、ジフェニルジスルフィド類を好適に使用することができる。前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィドなどのモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィドなどのテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドなどのペンタ置換体などが挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。前記有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記コアは、前述のコア用ゴム組成物を混合、混練し、金型内で成形することにより得ることができる。この際の条件は、特に限定されないが、通常は130℃〜200℃、圧力2.9MPa〜11.8MPaで10分間〜60分間で行われる。例えば、前記ゴム組成物を130℃〜200℃で10分間〜60分間加熱するか、あるいは、130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
前記コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは35.0mm以上、さらに好ましくは35.2mm以上であり、41.2mm以下が好ましく、より好ましくは41.0mm以下、さらに好ましくは40.8mm以下である。前記コアの直径が34.8mm以上であれば、中間層またはカバー層の厚みが厚くなり過ぎず、その結果、反発性がより良好となる。一方、コアの直径が41.2mm以下であれば、中間層またはカバー層が薄くなり過ぎず、中間層またはカバー層の機能がより発揮される。
前記コアは、直径34.8mm〜41.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)が、1.90mm以上が好ましく、より好ましくは2.00mm以上、さらに好ましくは2.10mm以上であり、4.00mm以下が好ましく、より好ましくは3.90mm以下、さらに好ましくは3.80mm以下である。前記圧縮変形量が、1.90mm以上であれば打球感がより良好となり、4.00mm以下であれば、反発性がより良好となる。
前記コアの中心硬度は、ショアD硬度で30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上であり、さらに好ましくは35以上である。コアの中心硬度がショアD硬度で30未満であると、軟らかくなりすぎて反発性が低下する場合がある。また、コアの中心硬度は、ショアD硬度で50以下であることが好ましく、より好ましくは48以下であり、さらに好ましくは45以下である。前記中心硬度がショアD硬度で50を超えると、硬くなり過ぎて、打球感が低下する傾向があるからである。本発明において、コアの中心硬度とは、コアを2等分に切断して、その切断面の中心点についてスプリング式硬度計ショアD型で測定した硬度を意味する。
前記コアの表面硬度は、ショアD硬度で45以上が好ましく、より好ましくは50以上、さらに好ましくは55以上であり、65以下が好ましく、より好ましくは62以下、さらに好ましくは60以下である。前記コアの表面硬度を、ショアD硬度で45以上とすることにより、コアが軟らかくなり過ぎることがなく、良好な反発性が得られる。また、前記コアの表面硬度をショアD硬度で65以下とすることにより、コアが硬くなり過ぎず、良好な打球感が得られる。
前記好ましい態様において、中間層を形成する法としては、例えば、コアを本発明のゴルフボール用樹脂組成物(以下、単に「中間層用組成物」という場合がある)で被覆して中間層を成形する。中間層を成形する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ゴルフボール用樹脂組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130℃〜170℃で1分間〜5分間加圧成形するか、またはゴルフボール用樹脂組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法などが用いられる。本発明のゴルフボールの中間層は、射出成形法により成形されることが好ましい。射出成形法を採用することにより、中間層をより容易に生産することができるからである。
中間層用組成物をコア上に射出成形して中間層を成形する場合、中間層成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形による中間層の成形は、ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、加熱溶融された中間層用組成物を注入して、冷却することにより中間層を成形することができる。
圧縮成形法により中間層を成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。中間層用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、中間層用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いて中間層を成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形して中間層に成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、中間層用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みを有する中間層を成形できる。
なお、成形温度とは、型締めから型開きの間に、下型の凹部の表面が到達する最高温度を意味する。また中間層用組成物の流動開始温度は、島津製作所の「フローテスター CFT−500」を用いて、ペレット状の中間層用組成物を、プランジャー面積:1cm、DIE LENGTH:1mm、DIE DIA:1mm、荷重:588.399N、開始温度:30℃、昇温速度:3℃/分の条件で測定することができる。
前記中間層の厚みは、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは0.6mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上である。中間層の厚みが0.5mm以上であれば、中間層の成形がより容易となり、また得られるゴルフボールの耐久性がより向上する。前記中間層の厚みは、15mm以下が好ましく、より好ましくは14mm以下、さらに好ましくは13mm以下である。中間層の厚みが15mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。
前記好ましい態様において、本発明のゴルフボールが、少なくとも二以上の中間層を有する場合、中間層のうちの少なくとも一つが、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から形成されていればよく、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のゴルフボール用樹脂組成物以外の中間層用組成物から形成される中間層を有していてもよい。この場合には、最外側の中間層が、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から形成された中間層とすることが好ましい。また、中間層のすべてが、本発明のゴルフボール用樹脂組成物から形成されていることも好ましい態様である。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物以外の中間層用組成物としては、例えば、前述のコア用ゴム組成物や、前記アイオノマー樹脂のほか、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFジャパン社から商品名「エラストラン(登録商標)(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。さらに、硫酸バリウム、タングステン等の重量調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
前記好ましい態様において、本発明のゴルフボールのカバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成される。前記樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、BASFジャパン社から商品名「エラストラン(登録商標)(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性スチレンエラストマーなどが挙げられる。また、(A)成分であるオレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、および/または、オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体を用いることもできる。これらの樹脂成分は単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。
前記好ましい態様において、ゴルフボールのカバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂を含有することが好ましい。カバー用組成物の樹脂成分中の熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたはアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記カバー用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
前記カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で70以下が好ましく、より好ましくは68以下、さらに好ましくは65以下である。カバー用組成物のスラブ硬度を70以下とすることによって、ショートアイアンなどのアプローチショット時のスピン速度が高くなる。その結果、アプローチショット時のコントロール性に優れるゴルフボールが得られる。また、アプローチショット時のスピン速度を十分確保するためには、前記カバー用組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で20以上が好ましく、より好ましくは25以上、さらに好ましくは30以上である。
本発明のゴルフボールのカバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、中間層を複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、中間層を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物を中間層上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
圧縮成形法によりカバーを成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、中間層を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
カバー用組成物を射出成形してカバーを成形する場合、押出して得られたペレット状のカバー用組成物を用いて射出成形しても良いし、あるいは、基材樹脂成分や顔料などのカバー用材料をドライブレンドして直接射出成形してもよい。カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、ホールドピンを突き出し、中間層を被覆した球体を投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、200℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーには、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
前記カバーの厚みは、2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.6mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。カバーの厚みが2.0mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性や打球感がより良好となる。前記カバーの厚みは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上である。カバーの厚みが0.1mm未満では、カバーの成形が困難になるおそれがあり、また、カバーの耐久性や耐摩耗性が低下する場合もある。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが5μm以上、より好ましくは7μm以上、25μm以下、より好ましくは18μm以下であることが望ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が25μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明のゴルフボールは、直径40mm〜45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向に縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.2mm以上であり、4.0mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.5mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、打球感が良い。一方、圧縮変形量を4.0mm以下にすることにより、反発性が高くなる。
以上、本発明のゴルフボール用樹脂組成物を中間層に用いる態様について説明したが、本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、カバー用組成物として用いることもできる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
(1)コア硬度(ショアD硬度)
ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて、コアの表面部において測定したショアD硬度をコア表面硬度とし、コアを半球状に切断し、切断面の中心において測定したショアD硬度をコア中心硬度とした。
(2)スラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物または中間層用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(3)圧縮変形量(mm)
コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にコアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
(4)反発弾性率(%)
ゴルフボール用樹脂組成物を用いて、熱プレス成形にて厚み約2mmのシートを作製し、当該シートから直径28mmの円形状に打抜いたものを6枚重ねることにより、厚さ約12mm、直径28mmの円柱状試験片を作製した。この試験片についてリュプケ式反発弾性試験(試験温湿度23℃、50RH%)を行った。なお、試験片の作製および試験方法は、JIS K6255に準じて行った。
(5)耐久性
ツルーテンパー社製のスイングロボットM/Cに、メタルヘッド製W#1ドライバー(SRIスポーツ社製、商品名「XXIO」,シャフト硬度:S、ロフト角:11°)を取り付け、ヘッドスピードを45m/秒に設定した。各ゴルフボールを、恒温器にて23℃で12時間保管した。各ゴルフボールを恒温器から取り出した後、すみやかに打撃して、ゴルフボールが壊れるまでの繰返し打撃回数を測定した。測定は、各ゴルフボールについて12個ずつ行った。各ゴルフボールの耐久性は、ゴルフボールNo.7の打撃回数を100として、各ゴルフボールについての打撃回数を指数化した値で示した。指数化された値が大きいほど、ゴルフボールが耐久性に優れていることを示す。
(6)反発係数
各ゴルフボールに198.4gの金属製円筒物を40m/秒の速度で衝突させ、衝突前後の円筒物およびゴルフボールの速度を測定し、それぞれの速度および重量から各ゴルフボールの反発係数を算出した。測定は各ゴルフボールについて12個ずつ行って、その平均値を各ゴルフボールの反発係数とした。なお、反発係数は、ゴルフボールNo.7の反発係数を100として、指数化した値で示した。
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表1に示す配合のコア用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、15分間加熱プレスすることにより球状のコアを得た。なお、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.4gとなるように適量加えた。
Figure 0005916382
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZNDA−90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺(登録商標)R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
ジフェニルジスルフィド:住友精化社製
(2)カバー用組成物および中間層用組成物の調製
表2〜表3に示した配合材料を用いて、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状の中間層用組成物およびカバー用組成物をそれぞれ調製した。中間層用組成物の押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35、シリンダー温度160〜230℃で行った。カバー用組成物の押出条件は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35であり、配合物は、押出機のダイの位置で160〜230℃に加熱された。
Figure 0005916382
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミランAM7329:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
酸化チタン:石原産業社製A220
(3)ゴルフボール本体の作製
前述のようにして得たコア上に前記で得た中間層用組成物を射出成形することにより、コアを被覆する中間層を形成した。続いて、前記中間層上にカバー用組成物を射出成形することによりカバーを形成して、ゴルフボールを作製した。中間層およびカバーを成形するための成形用上下金型は、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねている。
中間層成形用上下金型は、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねている。上記ホールドピンを突き出し、コアを投入後ホールドさせた。中間層用組成物は、射出装置のシリンダー部分で200℃〜260℃に加熱され、15MPaの圧力で型締めした金型に射出され、30秒間冷却して型開きして中間層が形成された球体を取り出した。
カバー成形時には、ホールドピンを突き出し、中間層が形成された球体を投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に260℃に加熱した樹脂を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きしてゴルフボールを取り出した。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.8mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。得られたゴルフボールの圧縮変形量および反発性について評価した結果を表3に示した。
Figure 0005916382
ハイミランAM7327:三井・デュポンポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル三元共重合体アイオノマー樹脂(メルトフローレイト(190℃×2.16kg):0.7g/10min、曲げ剛性率:35MPa)
ニュクレルAN4319:三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン・メタクリル酸・アクリル酸ブチル共重合体(メルトフローレイト(190℃×2.16kg):55g/10min、曲げ剛性率21:MPa
塩基性ステアリン酸マグネシウム:日東化成工業社製(金属含有量1.5モル%、(1)式において、M=M=Mg,R=炭素数17)
塩基性ベヘニン酸マグネシウム:日東化成工業社製(金属含有量1.6モル%、(1)式において、M=M=Mg,R=炭素数21)
塩基性ラウリン酸マグネシウム:日東化成工業社製(金属含有量1.5モル%、(1)式において、M=M=Mg,R=炭素数11)
塩基性オレイン酸マグネシウム:日東化成工業社製(金属含有量1.7モル%、(1)式において、M=M=Mg,R=炭素数17)
ベヘニン酸マグネシウム:日東化成工業社製
ベヘニン酸:日油社製
水酸化マグネシウム:和光純薬工業社製
酸化チタン:石原産業社製A220
表3の結果から、(A)(a−1)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、(a−2)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂、(a−3)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体、および、(a−4)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂より成る群から選択される少なくとも一種の樹脂成分と、(B)塩基性脂肪酸金属塩とを含有するゴルフボール用樹脂組成物は、反発性に優れることが分かる。また、本発明のゴルフボール用樹脂組成物を用いたゴルフボールは、反発性および耐久性に優れる。
本発明のゴルフボール用樹脂組成物は、ゴルフボールの中間層として有用である。

Claims (8)

  1. (A)(a−1)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体、(a−2)オレフィンと、炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂、(a−3)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体、および、(a−4)オレフィンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂より成る群から選択される少なくとも一種の樹脂成分と、
    下記一般式(1)で表される(B)塩基性脂肪酸金属塩とを含有し、
    (A)前記樹脂成分100質量部に対して、(B)前記塩基性脂肪酸金属塩を25質量部〜100質量部含有することを特徴とするゴルフボール用樹脂組成物。
    mM 1 O・M 2 (RCOO) 2 ・・・(1)
    [(1)式中、mは、0.1〜2.0である。M 1 およびM 2 は、同一または異なって、周期表第2族または第12族に属する金属である。RCOOは、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の残基を示す。]
  2. (B)前記塩基性脂肪酸金属塩は、炭素数が8〜30の塩基性脂肪酸金属塩である請求項1に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  3. (B)前記塩基性脂肪酸金属塩の脂肪酸成分は、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、および、エルカ酸よりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1または2に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  4. 前記ゴルフボール用樹脂組成物のスラブ硬度は、ショアD硬度で20〜80である請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  5. 前記ゴルフボール用樹脂組成物の反発弾性が、40%以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物。
  6. コアと、前記コアを被覆するように配設された一以上の中間層と、前記中間層を被覆するように配設されたカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記中間層の少なくとも一つが、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール用樹脂組成物から形成されていることを特徴とするゴルフボール。
  7. 前記中間層の厚みは、0.5mm〜15mmである請求項6に記載のゴルフボール。
  8. 前記コアが、ゴム組成物から形成されている請求項6または7に記載のゴルフボール。
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