JP5915853B2 - 耐熱性黒色粉体及びその製造方法、該耐熱性黒色粉体を用いた塗料及び樹脂組成物 - Google Patents

耐熱性黒色粉体及びその製造方法、該耐熱性黒色粉体を用いた塗料及び樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性に優れ高温下でも黒色度の変化が少ない黒色粉体に関する。
現在、黒色顔料は種々の着色材料として用いられている。黒色顔料としては、カーボンブラック、マグネタイト(Fe)などが知られている。これらの顔料は耐熱性に優れるとは言い難いものである。
また、耐熱性を有する黒色顔料としては、Cr系の複合酸化物なども知られているが、Crを含有する点において環境負荷が高いことなどが問題視されている。
そこで、無害な元素から構成され、しかも、高い耐熱性を有する黒色顔料が要求されている。
現在、耐熱性を有する黒色顔料について種々の改良がなされている(特許文献1〜3)。
特開平10−279314号公報 特公昭47−30085号公報 特開平5−221653号公報
耐熱性に優れ高温下でも黒色度の変化が少ない黒色顔料は未だ得られていない。
即ち、特許文献1〜3には、FeとMnとを含有する複合酸化物を黒色顔料として用いることが記載されているが、高温下で耐熱性に優れるとは言い難いものである。
本発明の目的は、耐熱性に優れ高温下でも色相(黒色度)の変化が少ない黒色粉体を提供することである。
前記目的は、次のとおりの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、FeとMnとMg及び/又はCaとを含有する複合酸化物からなる耐熱性黒色粉体であって、800℃での耐熱試験の色相の変化が0.5以下であり、磁化値が2.0Am/kg以下であり、当該耐熱性黒色粉体のX線回折スペクトルにおいて、ヘマタイト相の(104)面の強度比100に対し、ビクスバイト相の(222)面の強度比が45〜250であることを特徴とする耐熱性黒色粉体である(本発明1)。
また、本発明は、本発明1記載の耐熱性黒色粉体であって、Mgの含有量が0.01〜5.0重量%、又はCaの含有量が0.01〜5.0重量%である耐熱性黒色粉体である(本発明2)。
また、本発明は、本発明1又は2記載の耐熱性黒色粉体であって、Fe/Mn(モル比)が1.0〜10.0である耐熱性黒色粉体である(本発明3)。
また、本発明は、本発明1〜3のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体であって、黒色度(L値)が25.0以下である耐熱性黒色粉体である(本発明4)。
また、本発明は、鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を、Fe/Mn比(モル比)が1.0〜10.0、マグネシウム化合物がMgCOとしての混合割合(MgCO量/(鉄化合物+マンガン化合物+マグネシウム化合物))が0.01〜10.0wt%、又はカルシウム化合物がCaCOとしての混合割合(CaCO量/(鉄化合物+マンガン化合物+カルシウム化合物))が0.01〜10.0wt%となるように混合し、得られた混合物を830〜1000℃の温度範囲で焼成する請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体の製造方法(本発明5)。
また、本発明は、本発明1乃至4のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体を塗料構成基材中に配合した塗料である(本発明6)。
また、本発明は、本発明1乃至4のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体を用いて着色した樹脂組成物である(本発明7)。
本発明に係る耐熱性黒色粉体は、耐熱性に優れ、高温下でも黒色度の変化が少ないので、塗料又は樹脂組成物の着色材として好適である。
本発明の実施例1で得られた耐熱性黒色粉体のX線回折パターン(回折角が20〜40°)である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る耐熱性黒色粉体について述べる。
本発明に係る耐熱性黒色粉体は、FeとMnとMg及び/又はCaとを含有する複合酸化物からなる。
本発明に係る耐熱性黒色粉体のMg及び/又はCaの含有量は0.01〜5.0重量%であることが好ましい。Mg及び/又はCaの含有量が0.01重量%未満の場合、黒色粉体の耐熱性が低下し高温下で黒色度が変化する。Mg、又はCaの含有量が5.0重量%を超える場合、黒色度が低くなり(L値が高くなり)黒色顔料とは言い難い。より好ましいMg、又はCaの含有量は0.01〜4.0重量%であり、更により好ましくは0.05〜3.0重量%である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体のFe/Mn(モル比)は1.0〜10.0であることが好ましい。Fe/Mn(モル比)が1.0未満の場合、b値が高くなり、黒色粉体とは言い難く、黒色粉体の耐熱性が低下し高温下で黒色度が変化する場合がある。Fe/Mn(モル比)が10.0を超える場合、ヘマタイト相が多くなりa値が高くなり黒色顔料とは言い難い。より好ましいFe/Mn(モル比)は1.2〜9.0であり、更により好ましくは1.5〜8.5である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体は、800℃での耐熱試験の色相の変化が0.5以下である。前記色相の変化が0.5を超える場合、耐熱性が低いものであり好ましくない。より好ましくは色相の変化が0.4以下であり、更により好ましくは0.01〜0.35である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体の磁化値が2.0Am/kg以下である。磁化値が2.0Am/kgを超える場合には、スピネル相が多量に存在するため耐熱性が低くなり好ましくない。より好ましい磁化値は1.8Am/kg以下であり、更により好ましくは0.01〜1.5Am/kgである。
本発明に係る耐熱性黒色粉体のX線回折スペクトルにおいて、ヘマタイト相の(104)面の強度比100に対し、ビクスバイト相の(222)面の強度比が45〜250である。前記強度比が45未満の場合、ヘマタイト相の比率が高く、a値(赤み)が強くなる。前記強度比が250を超える場合、黒色度が低下する(L値が高くなる)場合がある。より好ましい強度比は45〜245であり、更により好ましくは50〜240である。なお、本発明においては、ヘマタイト相とビクスバイト相とが前記範囲を満たすものであれば、少量のスピネル相を含有しても良い。
本発明に係る耐熱性黒色粉体の黒色度(L値)が25.0以下である耐熱性黒色粉体である。黒色度(L値)が25.0を超える場合には、黒色顔料として好ましくない。より好ましい黒色度(L値)は24.5以下であり、更により好ましくは20〜24である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体のa値は、−2〜+5が好ましい。a値が前記範囲外の場合には、黒色顔料とは言い難い。より好ましくは−1〜+2である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体のb値は、−5〜+5が好ましい。b値が前記範囲外の場合には、黒色顔料とは言い難い。より好ましくは−4〜+2である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体の彩度c値は、2.5以下が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体はMg及び/又はCaを含有することでa値、b値、c値が比較的低く、無彩色に近い黒色顔料である。
本発明に係る耐熱性黒色粉体の平均粒子径は、0.02〜5.0μmが好ましい。黒色粉体の平均粒子径が5.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。平均粒子径が0.02μm未満の場合には、ビヒクル中への分散が困難となる場合がある。より好ましくは0.025〜4.0μm、更により好ましくは0.04〜2.0μmである。
本発明に係る耐熱性黒色粉体のBET比表面積は、1〜50m/gが好ましい。BET比表面積が1m/g未満の場合には、粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、着色力が低下する。一方、BET比表面積が50m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、粒子表面への表面処理剤による均一な被覆処理が困難となる。より好ましくは1.5〜25m/g、更により好ましくは1.8〜15m/gである。
本発明に係る耐熱性黒色粉体の粒子の形状は、特定の形状に限定されず、球状、粒状、八面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒子及び板状粒子等を使用することができる。得られる黒色顔料の分散性を考慮すれば、球状粒子及び粒状粒子が好ましい。
本発明に係る耐熱性黒色粉体は、更に、Alを0.01〜5.0重量%の範囲で含有してもよい。
本発明に係る耐熱性黒色粉体において、粉体の表面を、Si,Al,Zr,Ti,Zn,Pから選ばれる1種以上の化合物又は有機系表面処理剤等の各種表面処理剤で被覆して使用することができる。
次に、本発明に係る耐熱性黒色粉体の製造方法について述べる。
また、本発明に係る耐熱性黒色粉体は、鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を、Fe/Mn比(モル比)が1.0〜10.0、マグネシウム化合物がMgCOとしての混合割合(MgCO量/(鉄化合物+マンガン化合物+マグネシウム化合物))が0.01〜10.0wt%、又はカルシウム化合物がCaCOとしての混合割合(CaCO量/(鉄化合物+マンガン化合物+カルシウム化合物))が0.01〜10.0wt%となるように混合し、得られた混合物を830〜1000℃の温度範囲で焼成して得ることができる。
鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物としては、各元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩化物等の中から適宜選択すればよい。等を用いることができる。
出発原料の混合は、均一に混合することができれば、特に限定されるものではなく、湿式混合でも乾式混合でもよい。また湿式合成であってもよい。
加熱焼成温度は830〜1000℃が好ましく、より好ましくは850〜950℃である。加熱雰囲気は特に限定されないが、大気中で実施出来る。
加熱後の粉末は、必要により、常法に従って、水洗、粉砕を行えばよい。
本発明において、複合酸化物のヘマタイト相の(104)面の強度比とビクスバイト相の(222)面の強度比との比率を制御するためには、元素の組成比を制御するとともに組成に応じて加熱焼成温度を制御する必要がある。加熱焼成温度が低くなるとヘマタイト相が増加し相対的にビクスバイト相が減少する傾向にある。一方、加熱焼成温度が高くなるとマグネタイト相が増加し相対的にビクスバイト相が減少する傾向にある。アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物を添加して焼成することで、スピネル相の生成を抑制して高温で焼成することが可能となる。
本発明においては、耐熱性黒色粉体の粒子表面をSi、Al、Zr、Ti、Zn、Pから選ばれる1種又は2種以上の化合物によって被覆しておいてもよい。表面処理方法は、湿式あるいは乾式方法等の常法に従って行えばよい。例えば、湿式方法は湿式分散した耐熱性黒色粉体のスラリーに、Si、Al、Zrから選ばれる1種又は2種以上の可溶性化合物を、酸又はアルカリでpH調整しながら添加・混合して被覆する方法、乾式方法はヘンシェルミキサーなどの装置中で耐熱性黒色粉体にSi、Al、Zr、Tiから選ばれる1種又は2種以上のカップリング剤などにより被覆処理する方法である。
次に、本発明に係る耐熱性黒色粉体を配合した塗料について述べる。
本発明に係る塗料中における耐熱性黒色粉体の配合割合は、塗料構成基材100重量部に対して0.5〜100重量部の範囲で使用することができ、塗料のハンドリング性を考慮すれば、好ましくは1.0〜100重量部である。
塗料構成基材としては、樹脂、溶剤、必要により油脂、消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
樹脂、溶剤又は水系塗料用溶剤としては、溶剤系塗料用や油性印刷インクに通常使用されているものを用いればよい。
次に、本発明に係る耐熱性黒色粉体を含有する樹脂組成物について述べる。
本発明に係る樹脂組成物中における耐熱性黒色粉体の配合割合は、樹脂100重量部に対して0.01〜200重量部の範囲で使用することができ、樹脂組成物のハンドリング性を考慮すれば、好ましくは0.05〜150重量部、更に好ましくは0.1〜100重量部である。
本発明に係る樹脂組成物における構成基材としては、耐熱性黒色粉体と周知の熱可塑性樹脂とともに、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合される。
樹脂としては、通常使用されているものを用いればよい。
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂原料と耐熱性黒色粉体をあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、耐熱性黒色粉体の凝集体を破壊し、樹脂組成物中に耐熱性黒色粉体を均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して使用する。
また本発明に係る樹脂組成物は、マスターバッチペレットを経由して得ることもできる。
本発明におけるマスターバッチペレットは、樹脂組成物の構成基材としての結合材樹脂と前記耐熱性黒色粉体と種々の添加剤を、必要により、混合機で混合した後、周知の単軸混練押出機や二軸混練押出機等で混練、成形した後切断するか、又は、上記混合物をバンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混練して得られた混練物を粉砕又は成形、切断することにより製造される。
結合材樹脂と耐熱性黒色粉体の混練機への供給は、それぞれを所定比率で定量供給してもよいし、両者の混合物を供給してもよい。
本発明におけるマスターバッチペレットは、平均長径1〜6mm、好ましくは2〜5mmの範囲である。平均短径は2〜5mm、好ましくは2.5〜4mmである。平均長径が1mm未満の場合には、ペレット製造時の作業性が悪く好ましくない。6mmを超える場合には、希釈用結合材樹脂の大きさとの違いが大きく、十分に分散させるのが困難となる。また、その形状は種々のものができ、不定形及び球形等の粒状、円柱形、フレーク状等にできる。
本発明におけるマスターバッチペレットに使用する結合材樹脂としては、前記樹脂組成物用樹脂と同一の樹脂が使用できる。
なお、マスターバッチペレット中の結合材樹脂の組成は、希釈用結合材樹脂と同一の樹脂を用いても、また、異なる樹脂を用いてもよいが、異なる樹脂を使用する場合には、樹脂同士の相溶性により決まる諸特性を考慮して決めればよい。
マスターバッチペレット中に配合される耐熱性黒色粉体の量は、結合材樹脂100重量部に対して1〜200重量部が好ましい。
本発明の代表的な実施例は、次の通りである。
耐熱性黒色粉体の結晶構造は、「X線回折装置RINT2500型」(理学電機工業株式会社製)により測定し、付属のプログラムにより平滑化、バックグラウンド除去、Kα除去などの補正を行い、ピークサーチをしてd値とピーク強度を求めた。ヘマタイト相の(104)面の強度比100に対し、ビクスバイト相の(222)面の強度比、また、スピネル相の(311)面の強度比を求めた。
耐熱性黒色粉体の金属元素(Fe、Mn、Mg、Ca、Al)の含有量、Fe原料中のAlの含有量は、ICP発光分光分析装置iCAP−6500DUO(サーモエレクトロン株式会社製)を使用し求めた。また、モル比に換算し、Fe/Mn比(モル比)を求めた。
耐熱性黒色粉体の色相(L値、a値、b値)は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製した。塗膜片について、「色彩色差計CR−300」(コニカミノルタセンシング株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数(L値、a値、b値)で示した。また、c値(彩度)を下式に基づいて算出した。c値が0に近い程、無彩色に近いことを示す。
値={(a値)+(b値)1/2
耐熱性黒色粉体の耐熱性は、試料10gを磁製ルツボに入れ、電気炉を用いて800℃で2時間加熱処理を行い、放冷後、試料粉体の色相を測定し、加熱処理前と後の色相の変化を測定することによって求め、加熱処理前の測定色を基準に下式で示されるΔEで示した。ΔEが小さい程、色相の変化が少なく、耐熱性に優れていることを示す。
ΔE={(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
但し、ΔL:比較する試料間のL値の差
Δa:比較する試料間のa値の差
Δb:比較する試料間のb値の差
磁化値は、「試料振動型磁力計BHV−35」(理研電子株式会社製)により、外部磁場796kA/m(10kOe)を印加し、測定した値で示した。
比表面積は、BET法により測定した値で示した。
実施例1
マグネタイト(戸田工業(株)製) 452g(75.3wt%)と四酸化三マンガン 147g(24.5wt%)に炭酸カルシウム 1.4g(0.24wt%、純度99wt%)を混合し、電気炉にて、990℃で2時間焼成した。焼成品を粉砕し、黒色粉体を得た。
得られた粉体はヘマタイト相100に対し、ビクスバイト相147の強度比であった。また、ICP測定より、含有Ca量 0.09wt%、Fe/Mn(モル比)=3.0であった。
得られた粉体の磁化値は0.7Am/kg、比表面積は1.7m/gであった。また、クリアラッカーで塗料化した塗布片の色相は、L値が24.6、a値が0.6、b値が−0.3、換算したc値が0.6の黒色粉体であった。
得られた粉体を電気炉にて800℃で2時間加熱した粉体の色相は、L値が24.6、a値が0.8、b値が−0.2であり、耐熱性ΔEが0.2であり、耐熱性に優れた黒色粉体であった。
実施例6
マグネタイト(戸田工業(株)製) 437g(72.9wt%)と四酸化三マンガン 142g(23.7wt%)に炭酸マグネシウム 20g(3.4wt%、純度99.9wt%)を混合し、電気炉にて、940℃で6時間焼成した。焼成品を粉砕し、黒色粉体を得た。
得られた粉体はヘマタイト相100に対し、ビクスバイト相71、スピネル相6の強度比であった。また、ICP測定より、含有Mg量 0.77wt%、Fe/Mn(モル比)=3.0であった。
得られた粉体の磁化値は1.9Am/kg、比表面積は2.0m/gであった。また、クリアラッカーで塗料化した塗布片の色相は、L値が24.4、a値が0.7、b値が−0.2、換算したc値が0.7、耐熱性ΔEが0.3の黒色粉体であった。
実施例2〜5、7、8
マグネタイト、四酸化三マンガン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの混合割合及び焼成温度を変化させた以外は、実施例1、6と同様にして黒色粉体を得た。
実施例9
平均粒子径が0.28μmであって、含有Al量0.23wt%、含有Mg量0.15wt%のマグネタイト 442g(73.8wt%)と四酸化三マンガン 143g(23.8wt%)に炭酸カルシウム14g(2.3wt%、純度99wt%)を混合し、電気炉にて、980℃で8時間焼成した。焼成品を粉砕し、黒色粉体を得た。
得られた粉体はヘマタイト相100に対し、ビクスバイト相163の強度比であった。また、ICP測定より、Fe/Mn(モル比)=3.0、含有Ca量 0.96wt%、含有Mg量0.10wt%、含有Al量 0.15wt%であった。
得られた黒色粉体の磁化値は1.6Am/kg、比表面積は1.9m/gであった。また、クリアラッカーで塗料化した塗布片の色相は、L値が24.2、a値が0.7、b値が−0.4、換算したc値が0.8、耐熱性ΔEが0.3の黒色粉体であった。
比較例1
鉄原料、サイズ、四酸化三マンガンとの混合割合及び焼成温度を変化させた以外は、実施例1と同様にして粉体を得た。
得られた粉体はヘマタイト相100に対し、ビクスバイト相15の強度比であった。また、クリアラッカーで塗料化した塗布片の色相は、L値が25.5、a値が5.0、b値が3.2、c値が5.9、耐熱性ΔEが1.5であり、黒色とは言い難く、耐熱性も低い粉体であった。
比較例2〜6
鉄原料の種類、サイズ、四酸化三マンガンとの混合割合及び焼成温度を変化させた以外は、比較例1と同様にして粉体を得た。
比較例7、8
マグネタイト、四酸化三マンガン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの混合割合及び焼成温度を変化させた以外は、実施例1、6と同様にして黒色粉体を得た。
耐熱性黒色粉体の製造条件を表1に、得られた耐熱性黒色粉体の諸特性を表2に示した。
本発明に係る耐熱性黒色粉体は、耐熱性に優れ高温下でも色相(黒色度の)の変化が少ないので、塗料又は樹脂組成物の着色材として好適である。使用用途としては、自動車又は2輪車のマフラー、エンジンカバー、プラントの屋内外の加熱設備、焼却炉、煙突、厨房機器、ロケット発射台など耐熱性及び外観性が要求される各種塗料に主に有用である。

Claims (7)

  1. FeとMnとMg又はCaとを含有する複合酸化物からなる耐熱性黒色粉体であって、800℃での耐熱試験の色相の変化が0.5以下であり、磁化値が2.0Am/kg以下であり、当該耐熱性黒色粉体のX線回折スペクトルにおいて、ヘマタイト相の(104)面の強度比100に対し、ビクスバイト相の(222)面の強度比が45〜250であることを特徴とする耐熱性黒色粉体。
  2. 請求項1記載の耐熱性黒色粉体であって、Mgの含有量が0.01〜5.0重量%、又はCaの含有量が0.01〜5.0重量%である耐熱性黒色粉体。
  3. 請求項1又は2記載の耐熱性黒色粉体であって、Fe/Mn(モル比)が1.0〜10.0である耐熱性黒色粉体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体であって、黒色度(L値)が25.0以下である耐熱性黒色粉体。
  5. 鉄化合物、マンガン化合物、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物を、Fe/Mn比(モル比)が1.0〜10.0、マグネシウム化合物がMgCOとしての混合割合(MgCO量/(鉄化合物+マンガン化合物+マグネシウム化合物))が0.01〜10.0wt%、又はカルシウム化合物がCaCOとしての混合割合(CaCO量/(鉄化合物+マンガン化合物+カルシウム化合物))が0.01〜10.0wt%となるように混合し、得られた混合物を830〜1000℃の温度範囲で焼成する請求項1〜4のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体の製造方法。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体を塗料構成基材中に配合した塗料。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の耐熱性黒色粉体を用いて着色した樹脂組成物。
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