JP5915077B2 - 移乗支援装置及び移乗支援装置制御方法 - Google Patents

移乗支援装置及び移乗支援装置制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、被介護者の移乗を補助する移乗支援装置、及びその制御方法に関する。
障害、疾病又は老化等により自立歩行が困難な被介護者にとって、ベッドから車椅子又は車椅子からトイレ等への移乗といった乗り移りの動作を一人で自立して行うことは容易でない。そのため、通常は介護者の手助けが必要となるが、移乗の手助けは介護者にとって肉体的な負担が大きく、また、被介護者にとっても精神的な負担が大きい。そのため、近年、自立歩行が困難な人の移乗動作を支援する装置が多く開発されている。
特許文献1には、胴サポート部を用いて被介護者の胴部分を支持し、脇サポート部を用いて被介護者の脇部分を支持し、上肢台を用いて被介護者の上肢を支持する移乗装置が開示されている。移乗装置は、さらに被介護者の腕により抱え込まれる抱持部を有し、これにより移動時の被介護者の頭部の安定性を向上させている。移乗装置は、胴サポート部を用いて胴部を支持し、支持した状態でアーム部を稼働させ、被介護者を持ち上げる動作を行う。さらに、アーム部が接続さされている台車部を用いることにより、移乗装置の移動を可能としている。
特開2011−050539号公報
特許文献1の移乗装置は、被介護者の体幹の前面と側面とを支持し、被介護者を前傾させて持ち上げるように構成されている。このような移乗装置においては、被介護者を持ち上げる際に、被介護者が移乗装置から滑り落ちないように、被介護者を移乗装置に対して固定する必要がある。ここで、被介護者が移乗装置に固定された状態を、介護者の誤作動等により容易に解除されない安全性の高いシステムの開発が要望されている。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、より安全に被介護者の移乗動作を支援する移乗支援装置および移乗支援装置制御方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる移乗支援装置は、被介護者を保持する保持具と、前記保持具と接続され、前記保持具を持ち上げ又は持ち下げ動作を行うアーム部と、前記保持具が被介護者を保持していることを検知する第1の検知部と、前記アーム部による前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作を検知する第2の検知部と、前記第1及び第2の検知部の検知結果に基づいて、前記保持具による前記被介護者の保持状態の解除を制限する制御部と、を備える。
本発明の第2の態様にかかる移乗支援装置は、上記の移乗支援装置において、前記保持具は、前記被介護者の前面を支持する前面保持部と、前記被介護者の側面を保持する側面保持部とを有し、前記制御部は、前記第1及び第2の検知部の検知結果に基づいて、前記側面保持部による前記被介護者の保持状態の解除を制限してもよい。
本発明の第3の態様にかかる移乗支援装置は、上記の移乗支援装置において、前記第2の検知部は、前記アーム部の傾斜角を検知し、前記傾斜角に基づいて、前記アーム部による前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作を検知してもよい。
本発明の第4の態様にかかる移乗支援装置は、上記の移乗支援装置において、前記第1の検知部は、前記保持具と前記被介護者との接触状態を検知してもよい。
本発明の第5の態様にかかる移乗支援装置は、上記の移乗支援装置において、前記第1の検知部は、前記保持具に加えられる圧力を検知してもよい。
本発明の第6の態様にかかる移乗支援装置は、上記の移乗支援装置において、前記保持具及び前記アーム部をモータ駆動により動作させるモータ駆動部をさらに備え、前記第1の検知部は、前記モータ駆動部に流れる電流の測定結果に基づいて、前記保持具が被介護者を保持していることを検知してもよい。
本発明の第7の態様にかかる移乗支援装置は、上記の移乗支援装置において、前記アーム部は、フリーホイールを有し、前記第2の検知部は、前記アーム部の前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作におけるフリーホイールが動作しているか否かを検知してもよい。
本発明の第8の態様にかかる移乗支援装置は、上記の移乗支援装置において、前記モータ駆動部は、電力が遮断された場合においてバックドライブしないとしてもよい。
本発明の第9の態様にかかる移乗支援装置制御方法は、被介護者が保持具に保持されている状態において、前記保持具の保持状態を解除する解除スイッチが押下された場合に、前記保持具が被介護者を保持しているか否かを検知する第1の工程と、前記アーム部が前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作を行っているか否かを検知する第2の工程と、前記第1及び第2の工程の検知結果に基づいて、前記保持具による前記被介護者の保護状態の解除を制限する第2の工程と、を備える。
本発明を用いることにより、より安全に被介護者の移乗動作を支援する移乗支援装置および移乗支援装置制御方法を提供することができる。
実施の形態1にかかる移乗支援装置の構成図である。 実施の形態1にかかる側面保持部の動作を示す図である。 実施の形態1にかかる制御装置とスイッチ及びセンサとの構成図である。 実施の形態1にかかるMPUにおける判定フローを示す図である。 実施の形態1にかかる移乗支援装置の構成図である。 実施の形態2にかかる移乗支援装置の構成図である。 実施の形態2にかかる制御装置とスイッチ及びセンサとの構成図である。 実施の形態2にかかるMPUにおける判定フローを示す図である。 実施の形態3にかかる移乗支援装置の構成図である。 実施の形態3にかかるアーム駆動部の構成図である。 実施の形態3にかかる制御装置とスイッチ及びセンサとの構成図である。 実施の形態3にかかるMPUにおける判定フローを示す図である。 実施の形態3にかかるアーム駆動部の構成図である。 実施の形態4にかかる制御装置とスイッチ及びセンサとの構成図である。 実施の形態4にかかるMPUにおける判定フローを示す図である。
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる移乗支援装置の構成例について説明する。移乗支援装置は、支持部1と、アーム部10と、前面保持部11と、側面保持部12と、板ばね13と、人検知スイッチ14と、を備えている。前面保持部11と側面保持部12とは、あわせて保持具と称されてもよい。
支持部1は、駆動車輪を有する台車等に接続され、移乗支援装置を移動可能にしてもよい。アーム部10は、一端が支持部1に接続されている。アーム部10は、支持部1との接続点を中心に回転動作をする。アーム部10の他端には、板ばね13が接続されている。板ばね13は、アーム部10と前面保持部11との間に接続されている。つまり、アーム部10と、前面保持部11とは、板ばね13を介して接続されている。さらに、アーム部10の板ばね13が接続されている端部と同一の端部に、人検知スイッチ14が接続されている。
移乗支援装置は、前面保持部11において被介護者の体幹の前面部分を支持し、側面保持部12において被介護者の体幹の側面部分を固定することにより、被介護者を移乗支援装置に固定する。また、前面保持部11において被介護者を支持することにより、前面保持部11に圧力がかかる。前面保持部11に圧力がかかることにより、アーム部10と前面保持部11との間に接続されている板ばね13が縮む。板ばね13が縮むことにより、アーム部10と前面保持部11とが接近し、人検知スイッチ14のスイッチが押下される。このようにして、前面保持部11に被介護者が体重をかけることにより外力が加えられ、人検知スイッチ14が押下される。人検知スイッチ14が押下されることにより、移乗支援装置において保持されている被介護者の存在を検知することができる。
続いて、図2を用いて、側面保持部12の動作について説明する。図2は、図1を上方から見た図である。側面保持部12は、左右にそれぞれ設置されている。左右に設置されているそれぞれの側面保持部12を、側面保持部12a及び側面保持部12bとする。側面保持部12aは、可動部21aと接続されている。可動部21aは、固定部22aと接続されている。同様に、側面保持部12bは、可動部21bと接続されている。可動部21bは、固定部22bと接続されている。固定部22a及び固定部22bは、例えば、アーム部10に固定して接続されている。
可動部21aと可動部21bとは、側面保持部12a及び側面保持部12bの中心を結ぶ軸上に沿って動作することにより、前面保持部11に支持されている被介護者の胴体部分を固定もしくは解除することができる。つまり、可動部21a及び可動部21bを可動して、側面保持部12a及び側面保持部12bを被介護者の中心方向に動作させることにより、被介護者を固定することができる。また、可動部21a及び可動部21bを可動して、側面保持部12a及び側面保持部12bを被介護者の中心方向から離れるように動作させることにより、被介護者の固定状態を解除することができる。
図2においては、点線で示された位置に側面保持部12a及び側面保持部12bがある場合に、被介護者を固定している状態を示しており、実線で示された位置に側面保持部12a及び側面保持部12bがある場合に、被介護者の固定を解除している状態を示している。
続いて、図3を用いて本発明の実施の形態1にかかる制御装置50とスイッチ及びセンサ等との構成例について説明する。制御装置50は、MPU(Micro Processing Unit)51と、モータ駆動回路52と、保持具モータ53と、を備えている。また、制御装置50は、人検知スイッチ14と、アーム軸角度センサ15と、解除スイッチ16と、固定スイッチ17と接続されている。例えば、制御装置50は、支持部1又はアーム部10に接続され、電気的に各種スイッチ、センサ及び保持具等と接続されてもよい。
人検知スイッチ14は、上述したように、前面保持部11に支持されている被介護者の存在を検知する。アーム軸角度センサ15は、アーム部10の傾斜角度を検知する。アーム部10は、支持部1との接続点を中心に回転動作をする。アーム軸角度センサ15は、アーム部10が回転動作をしている際に、例えば、地表と平行な軸を基準として、アーム部10の傾斜角度を検知する。アーム軸角度センサ15は、アーム部10の角度に関する情報をMPU51へ出力してもよく、アーム部10が所定の角度以上に傾いたことを検知して、検知した情報をMPU51へ出力してもよい。
解除スイッチ16は、側面保持部12を解除状態の位置に移動させるためのスイッチである。解除スイッチ16を押下することにより、側面保持部12が解除状態の位置へ移動する。具体的には、解除スイッチ16からMPU51に対して解除スイッチ16が押下されたことを示す情報を出力し、MPU51は、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させるか否かを判定する。ここで、側面保持部12は、側面保持部12a又は側面保持部12bの一方のみを移動することによって、固定されている被介護者を解除状態にしてもよく、側面保持部12a及び側面保持部12bの両方を移動することによって、固定されている被介護者を解除状態にしてもよい。
固定スイッチ17は、側面保持部12を固定状態の位置に移動させるためのスイッチである。固定スイッチ17を押下することにより、側面保持部12が固定状態の位置へ移動する。ここで、側面保持部12は、側面保持部12a又は側面保持部12bの一方のみを移動することによって、解除状態の被介護者を固定状態にしてもよく、側面保持部12a及び側面保持部12bの両方を移動することによって、解除状態の被介護者を固定状態にしてもよい。
MPU51は、人検知スイッチ14と、アーム軸角度センサ15と、解除スイッチ16と、固定スイッチ17とから、スイッチのON/OFF情報及びセンサ検知情報とを受け取る。MPU51は、受け取った情報に基づいて、例えば、固定状態の側面保持部12を解除状態に移動させるかを判定する。ここで、図4を用いてMPU51における判定フローについて説明する。
はじめに、MPU51は、解除スイッチ16がON状態であるか否かを判定する(S11)。MPU51は、解除スイッチ16がON状態であると判定した場合、次に、人検知スイッチ14がOFF状態であるか否かを判定する(S12)。MPU51は、人検知スイッチ14がOFF状態であると判定した場合、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させる(S13)。つまり、MPU51は、解除スイッチ16が押下された場合に、人検知スイッチ14がOFF状態であるため、被介護者が前面保持部11において支持されていない状態であると推定する。そのため、MPU51は、解除スイッチ16がON状態になったことに伴い、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させることができる。
ステップS12において、MPU51は、人検知スイッチ14がON状態であると判定した場合、アーム部10のアーム軸角度が規定値未満であるか否かを判定する(S14)。アーム軸角度は、アーム部10の傾斜角度である。規定値とは、被介護者が持ち上げられている状態であることを判断するために予め設定される角度の値である。MPU51は、アーム部10のアーム軸角度が規定値未満であると判定した場合、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させる(S13)。つまり、MPU51は、人検知スイッチ14が押下され、被介護者が前面保持部11において支持されている状態であることを検知した場合に、アーム部10の傾斜角度が規定値未満である場合には、被介護者は持ち上げられていない状態であると推定し、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させることができる。このような場合に、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させたとしても、被介護者は持ち上げられていない状態であるため、被介護者が保持具から滑り落ちることはない。
ステップS14において、MPU51は、アーム部10のアーム軸角度が規定値以上と判定した場合、側面保持部12を固定状態のまま維持し、解除状態の位置への移動を制限する(S15)。つまり、解除スイッチ16が押下された場合においても、人検知スイッチ14がON状態であり、アーム軸角度が規定値よりも大きい場合は、被介護者が前面保持部11及び側面保持部12を用いて保持され、持ち上げられている状態であると推定する。この場合に、側面保持部12の解除状態の位置への移動を制限することにより、被介護者が保持具から滑り落ちてしまうことを防止することができる。
ステップS11において、解除スイッチ16がOFF状態である場合には、側面保持部12を固定状態に維持する(S15)。
図3に戻り、MPU51は、判定結果をモータ駆動回路52へ出力する。保持具モータ53は、側面保持部12を固定状態から解除状態もしくは解除状態から固定状態の位置へ移動させる。保持具モータ53は、モータ駆動回路52と接続されている。モータ駆動回路52は、保持具モータ53を駆動させるために用いられる回路であり、MPU51からの判定結果に応じて、保持具モータ53の駆動を制御する。
ここで、可動部21aと可動部21bとは、電源が遮断された場合においても、バックドライブしないような機構を用いることが良い。このようにすると、側面保持部12において被介護者を固定している状態において電源が遮断された場合においても、可動部21aと可動部21bとはバックドライブせず、側面保持部12は固定状態を維持することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる移乗支援装置を用いることにより、被介護者を持ち上げている状態において、誤って解除スイッチ16が押下されてしまった場合でも、被介護者が滑り落ちるのを防止することができる。また、意図せず、側面保持部12の固定状態が解除されてしまう場合として、次のようなことが考えられる。
まず、操作者が作業手順を誤り、解除スイッチ16を押してしまう場合がある。また、移乗支援装置の周囲にある物体、例えば、操作者の肘や壁等、に解除スイッチ16が当たってしまう場合がある。また、解除スイッチ16が、短絡モード、つまり、常にスイッチが押下された状態になったまま、故障した場合がある。また、電源が遮断された場合に、保持具モータがバックドライブして、固定状態が解除されてしまう場合がある。本発明の実施の形態1にかかる移乗支援装置を用いることにより、このような場合においても、被介護者が保持具から滑り落ちるのを防止することができる。
また、移乗支援装置は、図1において説明した構成以外にも、図5のように構成されてもよい。例えば、支持部1に固定されるアーム部10_1と、アーム部10_1とアーム部10との間に人検知スイッチ14が配置されてもよい。また、アーム部10とアーム部10_1とは、板ばね13を用いて接続される。このような構成を用いることにより、被介護者が前面保持部11に体重をかけていない状態のときには、アーム部10とアーム部10_1とは、板ばね13によって離される。被介護者が前面保持部11に体重をかけた場合、人検知スイッチ14は、アーム部10とアーム部10_1とにはさまれ、押下される。このようにして、前面保持部11によって被介護者が支持されている状態を検知してもよい。
(実施の形態2)
続いて、図6を用いて本発明の実施の形態2にかかる移乗支援装置の構成例について説明する。移乗支援装置は、支持部1と、アーム部10と、前面保持部11と、側面保持部12と、力センサ18とを備えている。支持部1と、アーム部10と、前面保持部11と、側面保持部12とは、図1と同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
力センサ18は、アーム部10と前面保持部11との間に配置されている。力センサ18は、前面保持部11を介して被介護者が前面保持部11に体重をかけている状態であることを検知する。
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態2にかかる制御装置50とセンサ及びスイッチ等との構成例について説明する。制御装置50は、図2と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。また、本図と図2とは、図2においては人検知スイッチ14が用いられているのに対して、本図においては力センサ18が用いられていることが異なる。本図におけるその他のスイッチ及びセンサ等は、図2と同様である。
力センサ18は、検知結果を電気信号へ変換し、MPU51へ出力する。力センサ18からMPU51へ出力される検知信号は、被介護者が前面保持部11へ体重をかけることにより得られる圧力値を示す情報であってもよく、検知した圧力値が規定値を超えたことを示す情報であってもよい。
続いて、図8を用いて本発明の実施の形態2にかかるMPU51における判定フローについて説明する。
はじめに、MPU51は、解除スイッチ16がON状態であるか否かを判定する(S21)。MPU51は、解除スイッチ16がON状態であると判定した場合、次に、力センサ18への負荷が規定値未満であるか否かを判定する(S22)。この場合の規定値は、被介護者が前面保持部11へ体重をかけている状態であることを判断するために予め設定される圧力値である。MPU51は、力センサ18への負荷が規定値未満であると判定した場合、側面保持部12を解除状態へ移動させる(S23)。つまり、MPU51は、解除スイッチ16が押下された場合に、力センサ18への負荷が規定値未満である場合には、被介護者が前面保持部11において支持されていない状態であると推定して、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させることができる。
ステップS22において、MPU51は、力センサ18への負荷が規定値よりも大きいと判定した場合、アーム部10のアーム軸角度が規定値未満であるか否かを判定する(S24)。MPU51は、アーム部10のアーム軸角度が規定値未満であると判定した場合、側面保持部12を解除状態へ移動させる(S23)。つまり、MPU51は、解除スイッチ16が押下され、被介護者が前面保持部11において支持されている状態であると推定した場合に、アーム部10の傾斜角度が規定値未満である場合には、被介護者は持ち上げられていないと推定する。このような場合に、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させても、被介護者が保持具から滑り落ちることはない。
ステップS24において、MPU51は、アーム部10のアーム軸角度が規定値以上と判定した場合、側面保持部12を固定状態のまま維持し、解除状態の位置への移動を制限する(S25)。つまり、解除スイッチ16が押下された場合においても、固定部22への負荷が規定値以上であって、アーム軸角度が規定値よりも大きい場合は、被介護者が前面保持部11及び側面保持部12を用いて保持され、持ち上げられている状態であると推定する。このような場合、側面保持部12の解除状態の位置への移動を制限することにより、被介護者が保持具から滑り落ちるのを防止することができる。
ステップS21において、解除スイッチ16がOFF状態である場合には、側面保持部12を固定状態に維持する(S25)。
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる移乗支援装置を用いることにより、被介護者を持ち上げている状態において、誤って解除スイッチ16が押下されてしまった場合でも、被介護者が滑り落ちるのを防止することができる。
また、本発明の実施の形態2においては、力センサ18を用いたが、力センサ18の代わりに、アーム部10の撓みをひずみゲージなどで計測した結果を用いてもよい。
(実施の形態3)
続いて、図9を用いて本発明の実施の形態3にかかる移乗支援装置の構成例について説明する。本図における移乗支援装置は、アーム部10と前面保持部11とがセンサやスイッチ等を介さず直接接続されている点において、図1及び図6と異なる。ここで、図10を用いてアーム部10を駆動させるアーム駆動部30の詳細な構成例について説明する。
アーム駆動部30は、アーム軸モータ31と、減速器32と、フリーホイール33と、アーム34と、アーム軸角度センサ35とを備えている。アーム軸モータ31は、アーム34を動作させるために用いられるモータである。前面保持部11及び側面保持部12に保持されている被介護者を持ち上げる場合と被介護者を持ち下げる場合とに応じて、アーム軸モータ31が回転する方向を決定してもよい。
減速器32は、アーム34を動作させる速度を制御するために用いられる。被介護者等が、アーム34の持ち上げ及び持ち下げ動作の速度を変更することができる場合に、減速器32を制御することにより、アーム34を動作させる速度を変更することができる。
フリーホイール33は、例えば、被介護者が着座等していて、アーム部10が動作しない状態においてもアーム軸モータ31の持ち下げ動作が継続している場合に作動する。
アーム軸角度センサ35は、図3におけるアーム軸角度センサ15と同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
続いて、図11を用いて本発明の実施の形態3にかかる保持具の制御装置50とセンサ及びスイッチ等との構成例について説明する。制御装置50は、MPU(Micro Processing Unit)51と、モータ駆動回路52と、保持具モータ53と、アーム昇降モータ54と、を備えている。また、制御装置50は、アーム軸角度センサ15と、解除スイッチ16と、固定スイッチ17と、アーム上げスイッチ19と、アーム下げスイッチ20と、接続されている。モータ駆動回路52と、保持具モータ53とは、図3において説明した機能と同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。また、アーム軸角度センサ15と、解除スイッチ16と、固定スイッチ17についても、図3において説明した機能と同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
アーム上げスイッチ19は、被介護者又は介護者等に押下されることにより、アーム部10を持ち上げる動作を行い、前面保持部11及び側面保持部12において保持されている被介護者を持ち上げる。アーム上げスイッチ19は、押下されたことを示す情報をMPU51へ出力する。アーム上げスイッチ19は、被介護者において操作することができる位置に設置されていればよく、例えば、支持部1や、アーム部10等に設置されていてもよい。
アーム下げスイッチ20は、被介護者又は介護者等に押下されることにより、アーム部10を持ち下げる動作を行い、前面保持部11及び側面保持部12において保持されている被介護者を持ち下げる。アーム下げスイッチ20は、押下されたことを示す情報をMPU51へ出力する。アーム下げスイッチ20は、被介護者において操作することができる位置に設置されていればよく、例えば、支持部1や、アーム部10等に設置されていてもよい。
MPU51は、アーム軸角度センサ15と、解除スイッチ16と、固定スイッチ17と、アーム上げスイッチ19と、アーム下げスイッチ20とから出力される各種情報を受け取り、さらに、フリーホイールフラグを用いてフリーホイール33の作動状態を保持する。MPU51においては、フリーホイール33が作動している場合にフリーホイールフラグをUPとし、フリーホイール33が作動していない場合に、フリーホイールフラグをDOWNとする。
例えば、アーム下げスイッチ20が押下され、さらに規定時間以上アーム部10が下降しない、という二つの条件を満たす場合に、フリーホイールフラグはDOWNからUPへ遷移する。アーム部10が下降していない状態は、例えば、アーム軸角度センサから出力される検知結果に基づいて、判定されてもよい。また、アーム上げスイッチ19が押下された、という条件を満たす場合に、フリーホイールフラグはUPからDOWNへ遷移する。
また、MPU51は、側面保持部12を解除状態にするか否かを示す側面保持フラグも保持する。側面保持部12を解除状態にすることを許可する場合には、側面保持フラグをUPとし、側面保持部12を解除状態にすることを許可しない場合には、側面保持フラグをDOWNとする。
例えば、アーム軸角度が規定値未満であり、フリーホイールフラグがUPである、とする二つの条件を満たす場合、側面保持フラグは、DOWNからUPへ遷移する。また、アーム軸角度が規定値以上である、という条件を満たす場合に、側面保持フラグはUPからDOWNへ遷移する。
ここで、図12を用いてMPU51における判定フローについて説明する。はじめに、MPU51は、解除スイッチ16がON状態であるか否かを判定する(S31)。MPU51は、解除スイッチ16がON状態であると判定した場合、側面保持フラグがUPであるか否かを判定する(S32)。MPU51は、側面保持フラグがUPであると判定した場合、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させる(S33)。つまり、MPU51は、解除スイッチ16が押下され、側面保持フラグがUPの場合、アーム軸角度が規定値未満の状態でフリーホイールが作動状態となっているため、被介護者は着座等している状態であると推定する。そのため、側面保持部12を解除状態の位置に移動させても被介護者が滑り落ちることはない。
ステップS32において、MPU51は、側面保持フラグがDOWNであると判定した場合、側面保持部12を固定状態に維持し、解除状態の位置へ移動させない(S34)。つまり、MPU51は、解除スイッチ16が押下され、側面保持フラグがDOWNの場合、アーム軸角度が規定値以上であるため、被介護者が持ち上げられている状態であると推定する。そのため、このような場合、解除スイッチ16が押下された場合においても、側面保持部12を固定状態の位置に維持する。
ステップS31において、解除スイッチ16がOFF状態である場合には、側面保持部12を固定状態に維持する(S34)。
図11に戻り、MPU51は、図12の判定フローに基づいて、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させる場合には、モータ駆動回路52を介して、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させることを示す情報を保持具モータ53へ出力する。保持具モータ53は、モータを動作させ、側面保持部12を解除状態の位置へ移動させる。また、MPU51は、側面保持部12の固定状態を維持する場合には、モータ駆動回路52を介して、側面保持部12の固定状態を維持することを示す情報を保持具モータ53へ出力する。
また、MPU51は、アーム上げスイッチ19から、アーム上げスイッチが押下されたことを通知された場合、モータ駆動回路52を介して、アーム昇降モータ54を持ち上げ動作を行うように動作させる。MPU51は、アーム下げスイッチ20からアーム下げスイッチが押下されたことを通知された場合、モータ駆動回路52を介して、アーム昇降モータ54を持ち下げ動作を行うように動作させる。
以上説明したように、本発明の実施の形態3にかかる移乗支援装置を用いることにより、フリーホイールの作動状態を判定することにより、被介護者を持ち上げている状態か否かを推定することができる。そのため、被介護者を持ち上げている状態において、誤って解除スイッチ16が押下されてしまった場合でも、被介護者が滑り落ちるのを防止することができる。
また、図10のアーム駆動部30において、アーム軸モータ角度センサ36をアーム軸モータ31の出力軸に接続するように構成してもよい。アーム軸モータ角度センサ36を加えた構成例を、図13に示す。このような構成において、アーム軸角度センサ35とアーム軸モータ角度センサ36との値の差異から、フリーホイール33の作動状態を検知してもよい。
(実施の形態4)
続いて、図14を用いて、本発明の実施の形態4にかかる保持具の制御装置50とセンサ及びスイッチ等との構成例について説明する。本図にかかる制御装置50は、図11における制御装置50に、電流センサ55を追加した構成である。その他の構成要素は、図11と同様であるため、詳細な説明を省略する。
電流センサ55は、アーム昇降モータ54を動作させるモータ駆動回路52に流れる電流を測定又は検知する。被介護者が前面保持部11及び側面保持部12に保持されている状態において、アーム昇降モータ54を動作させて持ち上げ又は持ち下げ動作を行うと、アーム昇降モータ54へ流れる電流は、被介護者なしで持ち上げ又は持ち下げ動作を行う場合よりも大きい。そのため、モータ駆動回路52に流れる電流を測定又は検知することにより、被介護者が保持されている状態で、アーム部10が持ち上げ又は持ち下げ動作を行っているか否かを判定することができる。
MPU51は、アーム軸角度センサ15と、解除スイッチ16と、固定スイッチ17と、アーム上げスイッチ19と、アーム下げスイッチ20とから出力される各種情報を受け取り、さらに、人検知フラグを用いて、被介護者が保持されている状態でアーム部10が動作しているか否かを管理する。MPU51においては、被介護者が保持されている状態でアーム部10が動作している場合には、人検知フラグをUPとし、被介護者が保持されていない状態でアーム部10が動作している場合は、人検知フラグをDOWNとする。
例えば、電流センサ55において、モータ駆動回路52に規定値以上の電流が規定時間以上流れていることが検知された場合、人検知フラグはDOWNからUPへ遷移する。さらに、アーム軸角度が規定値未満である場合、人検知フラグはUPからDOWNへ遷移する。
また、MPU51は、側面保持部12を解除状態にするか否かを示す側面保持フラグも保持する。側面保持部12を解除状態にすることを許可する場合には、側面保持フラグをUPとし、側面保持部12を解除状態にすることを許可しない場合には、側面保持フラグをDOWNとする。
例えば、アーム軸角度が規定値未満であり、人検知フラグがDOWNである、とする二つの条件を満たす場合、側面保持フラグは、DOWNからUPへ遷移する。また、アーム軸角度が規定値以上であり、人検知フラグがUPである、とする二つの条件を満たす場合に、側面保持フラグはUPからDOWNへ遷移する。
ここで、図15を用いてMPU51における判定フローについて説明する。はじめに、MPU51は、解除スイッチ16がON状態であるか否かを判定する(S41)。MPU51は、解除スイッチ16がON状態であると判定した場合、側面保持フラグがUPであるか否かを判定する(S42)。MPU51は、側面保持フラグがUPであると判定した場合、側面保持部12を解除状態にする(S43)。つまり、MPU51は、解除スイッチ16が押下され、側面保持フラグがUPの場合、アーム軸角度が規定値未満の状態で人検知フラグがDOWNとなっているため、被介護者は着座等している状態かもしくは被介護者が保持されていない状態であると推定する。そのため、側面保持部12を解除状態にすることができる。
ステップS42において、MPU51は、側面保持フラグがDOWNであると判定した場合、側面保持部12を固定状態に維持し、解除状態へ移動させない(S44)。つまり、MPU51は、解除スイッチ16が押下され、側面保持フラグがDOWNの場合、アーム軸角度が規定値以上であり、人検知フラグがUPとなっているため、被介護者が持ち上げられている状態であると推定する。そのため、このような場合、解除スイッチ16が押下された場合においても、側面保持部12の固定状態を維持する。
ステップS41において、解除スイッチ16がOFF状態である場合には、側面保持部12を固定状態に維持する(S44)。
以上説明したように、本発明の実施の形態4にかかる移乗支援装置を用いて、モータ駆動回路52に流れる電流を検知することにより、被介護者が保持されている状態においてアーム部10が持ち上げられているか否かを推定することができる。そのため、被介護者が持ち上げられている状態において、誤って解除スイッチ16が押下されてしまった場合でも、被介護者が滑り落ちるのを防止することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
1 支持部
10 アーム部
11 前面保持部
12 側面保持部
13 板ばね
14 人検知スイッチ
15 アーム軸角度センサ
16 解除スイッチ
17 固定スイッチ
18 力センサ
19 アーム上げスイッチ
20 アーム下げスイッチ
21 可動部
22 固定部
30 アーム駆動部
31 アーム軸モータ
32 減速器
33 フリーホイール
34 アーム
35 アーム軸角度センサ
36 アーム軸モータ角度センサ
50 制御装置
51 MPU
52 モータ駆動回路
53 保持具モータ
54 アーム昇降モータ
55 電流センサ

Claims (9)

  1. 被介護者の中心方向に動作することによって前記被介護者の側面を保持する側面保持部を有する保持具と、
    前記保持具と接続され、前記保持具を持ち上げ又は持ち下げ動作を行うアーム部と、
    前記保持具が被介護者を保持していることを検知する第1の検知部と、
    前記アーム部による前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作を検知する第2の検知部と、
    前記第1及び第2の検知部の検知結果から前記被介護者が前記保持具に保持されている状態であって、前記被介護者が持ち上げられている状態であることを検出すると、前記被介護者の保持状態を解除する解除スイッチが押下された場合、または、前記保持具を駆動するモータ駆動部への電力が遮断された場合であっても、前記側面保持部を前記被介護者の中心方向から離す動作を制限することによって、前記保持具による前記被介護者の保持状態の解除を制限する制御部と、を備える移乗支援装置。
  2. 前記保持具は、
    前記被介護者の前面を支持する前面保持部と、前記被介護者の側面を保持する側面保持部とを有し、
    前記制御部は、
    前記第1及び第2の検知部の検知結果に基づいて、前記側面保持部による前記被介護者の保持状態の解除を制限する、請求項1に記載の移乗支援装置。
  3. 前記第2の検知部は、前記アーム部の傾斜角を検知し、前記傾斜角に基づいて、前記アーム部による前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作を検知する、請求項1又は2に記載の移乗支援装置。
  4. 前記第1の検知部は、
    前記保持具と前記被介護者との接触状態を検知する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の移乗支援装置。
  5. 前記第1の検知部は、
    前記保持具に加えられる圧力を検知する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の移乗支援装置。
  6. 前記保持具及び前記アーム部をモータ駆動により動作させるモータ駆動部をさらに備え、
    前記第1の検知部は、
    前記モータ駆動部に流れる電流の測定結果に基づいて、前記保持具が被介護者を保持していることを検知する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の移乗支援装置。
  7. 前記アーム部は、フリーホイールを有し、
    前記第2の検知部は、
    前記アーム部の前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作におけるフリーホイールが動作しているか否かを検知する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の移乗支援装置。
  8. 前記モータ駆動部は、
    電力が遮断された場合においてバックドライブしないことを特徴とする請求項6に記載の移乗支援装置。
  9. 被介護者が前記被介護者の中心方向に動作することによって前記被介護者の側面を保持する側面保持部を有する保持具に保持されている状態において、前記保持具の保持状態を解除する解除スイッチが押下された場合、または、前記保持具を駆動するモータ駆動部への電力が遮断された場合であっても、
    前記保持具が被介護者を保持しているか否かを検知する第1の工程と、
    アーム部が前記保持具の持ち上げ又は持ち下げ動作を行っているか否かを検知する第2の工程と、
    前記第1及び第2の工程の検知結果から前記被介護者が前記保持具に保持されている状態であって、前記被介護者が持ち上げられている状態であることを検出すると、前記側面保持部を前記被介護者の中心方向から離す動作を制限することによって、前記保持具による前記被介護者の保護状態の解除を制限する第3の工程と、を備える移乗支援装置制御方法。
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