JP5914928B2 - 防水絶縁ラバーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電気ケーブルの端部同士を接続した接続部を防水絶縁する防水絶縁ラバー、該防水絶縁ラバーの製造方法および該防水絶縁ラバーを使用した防水絶縁処理方法に関する。
電気ケーブルの端部同士を接続した接続部は、この接続部から内部に雨水などが入ることによる内部の導線の腐食を防止したり、当該導体の絶縁性を確保するために、絶縁テープなどを接続部の外周に何重にも重ね巻きし、接続部の防水絶縁が確実になるように保護している。なお、このような電気ケーブルの端部同士の接続は、通常、電気ケーブルの各端部に一対のコネクタをそれぞれ接続してから、次に、これら一対のコネクタ同士を接続して行われ、このコネクタ同士を接続した接続部の上に絶縁テープを何重にも重ね巻きして保護している。
また、このような接続部は、接続部内に空隙があると電気ケーブルの通電時における電気特性の劣化や浸水のおそれが生じるので、接続部内に空隙が生じないように慎重に行う必要がある。
なお、電気ケーブルの接続部の保護は、例えば図14(a)、(b)に示すように、鉄塔上や電柱上などの高所に設けた箱体に同軸ケーブルで接続し、さらに絶縁テープを何重にも重ね巻きしたり、あるいは、これら鉄塔や電柱の中間部において端部同士を接続したコネクタ部に絶縁テープを何重にも重ね巻きして行うような高所作業となることが多い。
特開2000−92684号公報 特開2008−17569号公報
上述したように、電気ケーブルの接続部に絶縁テープなどを何重にも重ね巻きして保護する従来の方法は、時間がかかり、非効率的であるとともに、鉄塔や電柱上などのような高所での作業となり作業性が悪く、不安定な場所では更に時間がかかるため、簡単で効率的で短時間で行う方法が要望されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、電気ケーブルの接続部の防水絶縁処理を短時間で効率的に行い得る防水絶縁ラバーの製造方法を提供することにある。
上記課題を達成するため、請求項1記載の防水絶縁ラバーの製造方法は、電気ケーブルの端部同士を接続した接続部を防水絶縁する防水絶縁ラバーの製造方法であって、平板上に剥離紙を敷き、この剥離紙の上に矩形状に枠体を取り付け、この枠体で囲まれた剥離紙上に融解した自己融着材の溶液を流し込んで、矩形シートを形成し、前記矩形シートが硬化した後、枠板を取り除き、この枠板を取り除いた矩形シート上に別の剥離紙を敷き、この剥離紙と前記平板上に敷いた剥離紙との間に矩形シートを挟み、この矩形シートを挟んで上下に設けられた2枚の剥離紙の周縁部を圧着しつつ、剥離紙内部を真空状態にすることを要旨とする。
請求項1記載の防水絶縁ラバーの製造方法では、枠体で囲まれた剥離紙上に自己融着材の溶液を流し込んで矩形シートを形成し、矩形シートの硬化後、枠板を取り除いた矩形シート上に別の剥離紙を敷き、2枚の剥離紙で矩形シートを挟み、2枚の剥離紙の周縁部を圧着しつつ、剥離紙内部を真空状態にするため、比較的簡単に矩形シート状の防水絶縁ラバーを製造できるとともに、防水絶縁ラバーは剥離紙で包まれて真空状態にあるため、自己融着材の融着性が損なわれることがない。
請求項2記載の防水絶縁ラバーは、前記自己融着材が、ブチルゴムまたはエチレンープロピレンージエンゴムであることを要旨とする。
請求項2記載の防水絶縁ラバーは、自己融着材として、ブチルゴムまたはエチレンープロピレンージエンゴムを使用しているため、接続部に巻き付けた防水絶縁ラバーの端部同士を重ねて押圧するだけで、防水絶縁ラバーの端部同士は互いに融着し、効率的である。
更に、本発明によれば、防水絶縁ラバーの製造方法では、枠体で囲まれた剥離紙上に自己融着材の溶液を流し込んで矩形シートを形成し、矩形シートの硬化後、枠板を取り除いた矩形シート上に別の剥離紙を敷き、2枚の剥離紙で矩形シートを挟み、2枚の剥離紙の周縁部を圧着しつつ、剥離紙内部を真空状態にするので、比較的簡単に矩形シート状の防水絶縁ラバーを製造できるとともに、防水絶縁ラバーは剥離紙で包まれて真空状態にあるため、自己融着材の融着性が損なわれることがない。
電気ケーブルの接続部を本発明の一実施形態に係わる防水絶縁ラバーで防水絶縁した状態を示す平面図である。 図1における線A−Aに沿った断面図である。 電気ケーブルの端部のコネクタを接続した状態及びコネクタの凹凸部に巻くための細長いテープ状の防水絶縁ラバーを示す平面図である。 電気ケーブルの接続部に防水絶縁ラバーを巻き付け処理した状態を示す平面図である。 電気ケーブルの接続部に防水絶縁ラバーを巻き付け処理した後にコネクタ全体を覆うように防水絶縁ラバーを巻き付け処理する状態を示す平面図である。 コネクタ全体を覆うように防水絶縁ラバーを巻き付け処理する状態を示す平面図である。 図1に示す防水絶縁ラバーを製造する最初の工程を示す図である。 図7に示した製造工程の次の工程で容器から自己融着ゴムの溶液を流し込む処理を示す斜視図である。 図8に示したように自己融着ゴムの溶液を流し込んで形成された防水絶縁ラバーの途中の製造工程を示す参考図である。 図9のように形成された防水絶縁ラバーにおいて枠体を除去した状態を示す図である。 図10のように形成された防水絶縁ラバーの上に剥離紙を被せた状態を示す図である。 図11のように剥離紙を被せて形成された防水絶縁ラバーの周縁部をフードシーラで圧着しつつ、剥離紙の内部を真空状態にする処理を示す図である。 (a)大判の防水絶縁ラバーの梱包状態を示す平面図である。
(b)小判の防水絶縁ラバーの梱包状態を示す平面図である。
防水絶縁処理された電気ケーブルの接続部が実際に設けられている状態を示す図である。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
図1は、2本の電気ケーブルの端部同士を接続した接続部を本発明の一実施形態に係わる防水絶縁ラバーで防水絶縁した状態で示す平面図である。図2は、図1における線A−Aに沿った断面図である。
図1に示す2本の電気ケーブル1a、1b(以下、区別する必要があるとこには、適宜、電気ケーブル1a側の部材にはaを、電気ケーブル1b側の部材にはbを付与する)の接続部3は、例えば図3に示すような2本の同軸ケーブルのそれぞれの端部に1対のコネクタ5a、5bをそれぞれ接続してから、このコネクタ5a、5b同士を更に接続して構成されるとともに、更にこのコネクタ5a、5b同士を接続した接続部の上に図5に示すような1枚の矩形シートの防水絶縁ラバー7を巻き付けて防水絶縁処理して紡錘形に成型したものである。
電気ケーブル1a、1bの接続部3は、図2に断面図で示すように、中心部に電気ケーブル1a、1bの内部導体9a、9b、外部導体13a、13bをそれぞれ有し、この内部導体9a、9bと外部導体13a、13bとの間には絶縁体(ポリエチレン、テフロン(登録商標)等の誘電体)からなるスリーブ11a、11bを介在させて構成される。
そして、このように構成される電気ケーブル1a、1bの端部に図3に示すような金属製のコネクタ5a、5bを接続し、この一対のコネクタ5a、5b同士を更に接続して、1つの接続部3として1本にまとめられるものである。
そして、このように電気ケーブル1a、1bの端部に接続されたコネクタ5a、5b同士を接続した接続部の上に図2に示すような矩形シートの防水絶縁ラバー7を図2の断面図で示すように巻き付けるとともに、この巻き付けた防水絶縁ラバー7の端部を重ね合わせてから、この端部を手等で押圧し、防水絶縁ラバー7の端部同士を圧着させ、ほぼ断面円形となるように成形しているものである。
以下、図3乃至5を参照して、処理手順について説明する。まず、図3は、電気ケーブルの端部のコネクタを接続した状態及びコネクタの凹凸部に巻くために予め大きさを調整した細長いテープ状の防水絶縁ラバー7a、7b、7cを示す。この細長いテープ状の防水絶縁ラバー7a、7b、7cは、最初からこの大きさで形成するようにしてもよく、あるいは図13(b)で示す細長いテープ状の防水絶縁ラバー7を裁断するようにしても良い。
図4は、電気ケーブルの接続部に図3で示す防水絶縁ラバー7a、7b、7cをそれぞれ巻き付け、成形処理した状態を示す。これにより空隙部分の形成をさらに防止することが可能となる。
図5は、上述したように電気ケーブル1a、1bの端部のコネクタ5a、5b同士を接続し、防水絶縁ラバー7a、7b、7cを巻き付けた上に、さらに接続部の上に大判の防水絶縁ラバー7dを巻き付けたるときの開始状態を示す図である。
この防水絶縁ラバー7の巻き付けにおいては、例えば防水絶縁ラバー7の一辺を電気ケーブル1a、1bの接続部3の長手方向に沿って設定し、この防水絶縁ラバー7の一辺を接続部3の長手方向に対して手などで固定した状態で、防水絶縁ラバー7の他辺の側を接続部に巻き付け、この巻き付けた防水絶縁ラバー7の他辺の側の端部を防水絶縁ラバー7の一辺上に重ね合わせてから、防水絶縁ラバー7の他辺の側の端部を防水絶縁ラバー7の一辺に押圧して圧着している。
なお、図5においては、電気ケーブル1a、1bの端部のコネクタ5a、5b同士を接続して1つの接続部として1本にまとめられるものにおいて、この接続されたコネクタ5a、5bに凹凸部や隙間が存在するので、この凹凸部に図3に示す、幅の狭い、例えば幅が20mm程度の狭いテープ状の別の防水絶縁ラバーを巻き付けて、接続部3の周囲をなめらかにする。このように幅の狭い防水絶縁ラバーを接続部のコネクタ5a、5b上に巻き付けた防水絶縁ラバー7a、7b、7cが図4、図5及び図6に示されているものである。
すなわち、図4は、このような幅の狭い防水絶縁ラバーである充填用防水絶縁ラバーを接続部3に充填するように巻き付けた状態を示す。図5は、充填用防水絶縁ラバー7a、7b、7cは3箇所巻き付けられ、中央の充填用防水絶縁ラバー7aは幅が少し広く、その両側の充填用防水絶縁ラバー7b、7cは幅が狭いものとなっている。このように、接続部3のコネクタ5a、5bに存在する凹凸部や隙間に対して充填用防水絶縁ラバー7a、7b、7cを埋め込むように巻き付けて、これらの凹凸部や隙間を埋めることにより、これらの凹凸部や隙間における放電などを防止し、電気特性の劣化を防止することができる。
なお、前記防水絶縁ラバー7は、その矩形の大きさがコネクタ5a、5bの大きさによる接続部3の大きさによって種々存在するが、例えば縦×横×厚さが140×90×4mm、140×120×4mmなどであり、接続部3の全体を覆うように接続部3に完全に巻く付けられ、巻き始めと巻き終わりの端部同士が例えば15mm程度重なって、この重なった部分を押着できればよいものである。
また、防水絶縁ラバー7は、自己融着材であるブチルゴムで構成されるが、最適には、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)で構成されるものである。このエチレンープロピレンージエンゴムからなる防水絶縁ラバー7は、耐候性、耐熱性、防水性、絶縁性などに優れていて、当該防水絶縁ラバー7同士を重ね合わせて押圧すると、この重ね合わせた部分が完全に融着するようになっている。

次に、図7乃至図13を参照して、前記防水絶縁ラバー7の製造方法について説明する。
まず、図7に示すように、平板21を設け、この平板21上に剥離紙23を敷く。それから、この剥離紙23の上に防水絶縁ラバー7の外形に対応する矩形状の枠体25を取り付ける。
次に、図8に示すように、前記矩形状の枠体25の中に防水絶縁ラバー7を構成する例えばエチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)からなる自己融着材の溶液29を容器27から流し込んで、矩形の枠体25の全体に薄く均等に伸ばし、その厚さが防水絶縁ラバー7の所望の厚さである例えば4mmになるような矩形シートを形成する(図9は、このように溶液27を流し込んで均等に伸ばされた状態を示している)。
それから、枠体25内に流し込んだ自己融着材が流動性が無くなる程度に硬化した後、枠体25を取り除くと、図10に示すように、枠体25を取り除いた剥離紙23上に矩形シート状の防水絶縁ラバー7が生成される。次に、この生成された剥離紙23上の矩形シート状の防水絶縁ラバー7の上に更に別の剥離紙37を図11に示すように被せ、この別の剥離紙37と下側の剥離紙23との間に矩形シート状の防水絶縁ラバー7を挟む。
次に、図12に示すように、フードシーラ31を用いて、矩形シート状の防水絶縁ラバー7を挟んで上下に設けられた2枚の剥離紙23、37の全周縁部を圧着しつつ、剥離紙23と37の内部を真空状態にし、いわゆる真空パックにする。
すなわち、剥離紙23、37により、防水絶縁ラバー7の作業時の取扱が容易になり、真空パックにより、防水絶縁ラバー7の自己融着機能を恒久的に保持することができるようになる。なお、剥離紙23、37は、真空パック材との接着を防ぐ意味もある。
図13は、このように剥離紙23、37で真空状態に維持され、その周縁部が圧着されて形成され完成した防水絶縁ラバー7を示す平面図である。なお、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)で構成される矩形シート状の防水絶縁ラバー7は、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)による圧着性及び融着性などの性能を維持するために上述したように2枚の剥離紙23、37、及びこれら剥離紙23、37の間に真空状態に維持されて取り扱われ、電気ケーブル1a、1bの接続部3の防水絶縁保護に使用される。
次に、上述したように製造される矩形シート状の防水絶縁ラバー7を用いて、図1乃至図6で示したように、電気ケーブル1a、1bの接続部3を防水絶縁処理する手順について説明する。なお、この防水絶縁処理は、例えば図14に示すように、鉄塔や電柱上などの高所で行うことが多いものである。
まず、図4に示すように、電気ケーブル1a、1bのそれぞれの端部に接続されているコネクタ5a、5bを互いに接続し、図5に示すように一体化する。次に、このようにコネクタ5a、5bを接続して構成される接続部3の凹凸を無くすために、図6に示すように、真空パックから取り出し、剥離紙を剥がした幅の狭い防水絶縁ラバーである充填用防水絶縁ラバー13a、13b、13cを接続部3の凹凸上に充填するように巻き付け、接続部3の凹凸をなくして表面をなめらかにする。
接続部3の凹凸が無くなると、次に、図13に示すように真空パックから、剥離紙23、37の間に真空状態で維持された防水絶縁ラバー7を取り出し、剥離紙23、37を剥がし、この取り出した矩形シート状の防水絶縁ラバー7の一辺を電気ケーブル1a、1bの接続部3の長手方向に沿って設定し、この防水絶縁ラバー7の一辺を接続部3の長手方向に対して手などで固定した状態で、図3に示すように、防水絶縁ラバー7の他辺の側を接続部に巻き付け、この巻き付けた防水絶縁ラバー7の他辺の側の端部を防水絶縁ラバー7の一辺上に重ね合わせてから、防水絶縁ラバー7の他辺の側の端部を防水絶縁ラバー7の一辺に押圧して圧着する。以上のようにして、電気ケーブル1a、1bの接続部3は、図1に示すように、防水絶縁ラバー7により防水絶縁処理される。
このように電気ケーブル1a、1bの接続部3を防水絶縁ラバー7により防水絶縁処理することにより、接続部3から内部に雨水などが入ることが防止され、電気ケーブル1a、1bの導体9a、9bの腐食を防止することができるとともに、導体9a、9bの絶縁性を確保することができる。
更に、上述した本実施形態では、防水絶縁ラバー7を電気ケーブル1a、1bの接続部の周囲に一回巻く付けるだけであって、従来のように絶縁テープなどを接続部3の外周に何重にも重ね巻きする必要がないため、極めて短時間で接続部3の防水絶縁処理を効率的に行うことができる。特に、鉄塔や電柱上などの高所などの不安定な場所での防水絶縁処理も短時間で効率的に行うことができることは極めて有効である。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、前記実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
1a、1b 電気ケーブル
3 接続部
5a、5b コネクタ
7 防水絶縁ラバー
9a、9b 導体
11a、11b スリーブ
13 充填用防水絶縁ラバー
21 平板
23、37 剥離紙
25 枠体
27 容器
29 溶液
31 フードシーラ

Claims (2)

  1. 電気ケーブルの端部同士を接続した接続部を防水絶縁する防水絶縁ラバーの製造方法であって、
    平板上に剥離紙を敷き、
    この剥離紙の上に矩形状に枠体を取り付け、
    この枠体で囲まれた剥離紙上に融解した自己融着材の溶液を流し込んで、矩形シートを形成し、
    前記矩形シートが硬化した後、枠板を取り除き、
    この枠板を取り除いた矩形シート上に別の剥離紙を敷き、この剥離紙と前記平板上に敷いた剥離紙との間に矩形シートを挟み、
    この矩形シートを挟んで上下に設けられた2枚の剥離紙の周縁部を圧着しつつ、剥離紙内部を真空状態にする
    ことを特徴とする防水絶縁ラバーの製造方法。
  2. 前記自己融着材は、ブチルゴムまたはエチレンープロピレンージエンゴムであることを特徴とする請求項記載の防水絶縁ラバーの製造方法。
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