JP5914288B2 - 積層フィルム、光学積層フィルム、および表示装置 - Google Patents
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Description
[2]前記シランカップリング剤は4官能のアルコキシシランおよび3官能のアルコキシシランを含み、前記4官能のアルコキシシランと前記3官能のアルコキシシランのモル比が25:75〜85:15であることを特徴とする[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記3官能のアルコキシシランがエポキシ基を有するアルコキシシランであることを特徴とする[1]または[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記3官能のアルコキシシランが3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする[3]に記載の積層フィルム。
[5]前記支持体と前記バックコートフィルムの間に中間バックコートフィルムをさらに有する[1]〜[4]のいずれかに記載の積層フィルム。
[6]ヘイズ値が3〜30%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の積層フィルム。
[7]前記バックコートフィルムの表面の10点平均粗さをRzとした場合、Rz<1μmであることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の積層フィルム。
[8]シランカップリング剤、体積平均粒子径がrのマット剤および界面活性剤を含む塗布液を支持体上に塗布し、膜厚がtのバックコートフィルムを形成する工程を含む積層フィルムの製造方法であって、前記シランカップリング剤は4官能のアルコキシシランと3官能または2官能のアルコキシシランを含み、前記4官能のアルコキシシランと3官能または2官能のアルコキシシランのモル比は25:75〜85:15であり前記rと前記tの関係は、t<rであり、前記塗布液中の無機微粒子の含有量が20%以下である積層フィルムの製造方法。
[9]前記塗布液は、前記3官能または2官能のアルコキシシランの縮合体を含むことを特徴とする[8]に記載の積層フィルムの製造方法。
[10]前記バックコートフィルムを形成する工程は、前記3官能または2官能のアルコキシシランの加水分解物の少なくとも一部を縮合させた後に、前記4官能のアルコキシシランの加水分解物を縮合させるステップを含むことを特徴とする[8]または[9]に記載の積層フィルムの製造方法。
[11]前記塗布液中の前記縮合体の含有量は、前記マット剤を除く固形質量に対して70%〜99%であることを特徴とする[9]または[10]に記載の積層フィルムの製造方法。
[12][8]〜[11]のいずれかに記載の製造方法により製造された積層フィルム。
[13][1]〜[7]および[12]のいずれかに記載の積層フィルムの支持体であってバックコートフィルムが積層された面とは反対側の面に、易接着層およびプリズム層を順に積層した構造を有することを特徴とする光学積層フィルム。
[14][13]に記載の光学積層フィルムを搭載する表示装置。
本発明は、積層フィルムに関するものである。図1(a)には、本発明に係る積層フィルムの一例が示されている。図1(a)に示されているように、本発明に係る積層フィルム10は、バックコートフィルム11、支持体12を積層したものである。バックコートフィルム11は硬度と耐傷性を有するハードコート層であることが好ましい。これにより、積層フィルム10が損傷を受けるのを防止することができる。
本発明に係るバックコートフィルムは、ケイ素含有樹脂、マット剤および界面活性剤を含む。ケイ素含有樹脂は、シランカップリング剤を縮合した縮合体を含み、シランカップリング剤は4官能のアルコキシシランと3官能または2官能のアルコキシシランとを含み、前記4官能のアルコキシシランと3官能または2官能のアルコキシシランのモル比は25:75〜85:15である。また、バックコートフィルム中の無機微粒子の含有量は20%以下である。
シランカップリング剤に使用する素材としては、水溶性又は水分散性の素材を使用することが好ましい。水溶性又は水分散性の素材を使用することは、VOC(volatile organic compounds)による環境汚染を低減する観点からも特に好ましい。
3官能または2官能のアルコキシシランは下記一般式(1)で表される3官能または2官能のアルコキシシランである。
Rn+1Si(OR1)3-n …(1)
(ここで、Rはアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基、R1はメチル、エチル基等炭素数4以下のアルキル基、n=0または1である。)
中でも、n=0のトリアルコキシシランがより好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−2−[2−(メトキシエトキシ)エトキシ]エチルウレタン、3−トリメトキシシリルプロピル−2−[2−(メトキシプロポキシ)プロポキシ]プロピルウレタン等がある。
一般式(1)のRは、炭素数が1〜15の範囲であるような分子鎖長をもつ有機基であれば良い。炭素数を15以下とすることにより、バックコートフィルムの柔軟性が過度に大きくならず、十分な硬度を得ることができる。また、Rは、炭素数が3〜15であることがより好ましく、5〜13であることがさらに好ましい。Rの炭素数を上記範囲内とすることにより、脆性がより改善されたバックコートフィルムを得ることができる、また、後述するように中間バックコートフィルムを設ける場合には、中間バックコートフィルムとバックコートフィルムの密着性を高めることができる。
4官能のアルコキシシランをバックコートフィルム用塗布液の成分として用いることにより、4官能のアルコキシシランと一般式(1)の3官能または2官能のアルコキシシランとの加水分解で生じるシラノールの脱水縮合による架橋密度を高くする。架橋密度を高くすることにより、バックコートフィルムに十分な硬度を付与することができる。
マット剤としては、有機樹脂微粒子あるいは、無機微粒子が挙げられる。本発明においては、一次粒子径あるいは、その凝集体の体積平均粒子径が500nm以上のものをマット剤と定義する。マット剤は透光性粒子であることが好ましい。
図1に示されているように、バックコートフィルム11は、マット剤15を保持する。バックコートフィルム11の厚さはマット剤15の体積平均粒子径rとの関係によって決められることが好ましく、厚さの範囲は0.4〜3.0μmであることが好ましい。
また、Rzのばらつきを示すσ(Rz)は、0.1未満であれば良く、0.08未満であることが好ましく、0.05以下であることがさらに好ましい。さらに、σ(Rz)/Rzは0.12未満であれば良く、0.08以下であることが好ましく、0.05以下であることがさらに好ましい。σ(Rz)やσ(Rz)/Rzを上記範囲内とすることにより、近接する他のシートや導光板を傷付けたり、バックコートフィルム自体に傷が付くことを防ぐことができる。
無機微粒子としては、例えば、導電性の金属微粒子や金属酸化物微粒子等があげられる。金属の具体例としては、アンチモン、セレン、チタン、タングステン、スズ、亜鉛、インジウム、ジルコニア等があり、金属酸化物の具体例としては、酸化アンチモン、酸化セレン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO(アンチモンをドープした酸化スズ))、リンドープ酸化スズ、酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、スズドープ酸化インジウム、シリカ等が挙げられる。中でもシランカップリング剤との架橋の観点からコロイダルシリカを用いることが好ましい。
本発明のバックコートフィルムは界面活性剤を含む。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤が好ましく用いられる。
バックコートフィルム用塗布液は硬化剤を含んでもよく、硬化剤は水溶性であることが好ましい。硬化剤は、シラノールの脱水縮合を促してシロキサン結合の形成を促進させるものである。水溶性の硬化剤としては、水溶性の無機酸、有機酸、有機酸塩、無機酸塩、金属アルコキシド、金属錯体を用いることができる。
バックコートフィルムの25℃、40%RHにおける表面抵抗率は108Ω/□〜1012Ω/□であることが好ましい。25℃、40%RHにおける表面抵抗率を上記範囲内とすることにより、光学積層フィルムに帯電防止機能を付与することができ、積層フィルムの表面に異物が付着することを防ぐことができる。
異物が積層フィルムの表面に付着すると、プリズム層を形成するための硬化の際に、照射光であるUV光の透過を異物が妨げることになってしまう。UV光の透過の妨げにより、プリズム層が部分的に硬化せず、欠陥となることがある。このような場合には、積層フィルムの得率を悪化させてしまう。また、積層フィルムの均一なプリズム層となるように硬化させるための時間が長くなり、製造効率が悪化する。このため、バックコートフィルムの25℃、40%RHにおける表面抵抗率は108Ω/□〜1012Ω/□以下とし、積層フィルムに帯電防止機能が付与することが好ましい。
積層フィルムの表面特性、特に摩擦係数を制御するために、バックコートフィルム用塗布液には、ワックスを含ませても良い。
図1(b)に示すように、バックコートフィルム11には、支持体12に固定する目的で、バックコートフィルム11と支持体12の間にさらに中間バックコートフィルム11aを介在させても良い。
図1(a)に示されるように、支持体12は、バックコートフィルム11の上に積層される。また、図1(b)に示されるように、支持体12とバックコートフィルム11の間に中間バックコートフィルム11aを設けても良い。図1(a)および(b)に示されているように、支持体12とバックコートフィルム11または中間バックコートフィルム11aの界面は平坦である。
この中でも、PET、PEN、トリアセチルセルロース、セルロース誘導体がより好ましく、PET、PENが特に好ましい。
図2(a)および(b)に示されるように、易接着層13は、支持体12とプリズム層17の間に設けられる。易接着層13は、支持体12のプリズム層17に対する接着性を向上させ、プリズム層17との密着力を高めるために支持体12の一方面であって、バックコートフィルム11とは反対側の面に設けられる。易接着層は1層であっても良いし、2層以上の積層構造をとっても良い。
レンズ層は、表示面上の輝度を向上するために、微小なプリズムを多数配置し、導光板及び拡散板から出てくる光を集光する働きをする。レンズ層としては、マイクロレンズ層、プリズム層、レンチキュラーレンズ層などがある。中でも、特に、プリズム層が好適に用いられる。レンズ層は、表示面上の輝度を向上するために、微小なプリズムを多数配置し、導光板及び拡散板から出てくる光を集光する。
注型重合法では、通常は、紫外線(UV)で硬化するUV硬化性の化合物からなる膜を所定の形状にし、その形状を維持した状態で化合物をUVで硬化させることにより、所定の断面形状のプリズムを複数列形成してプリズム層とする。注型重合法でプリズム層を形成する場合には、一般にラジカル重合性の二重結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーを主成分とするものを素材として用い、さらに、重合開始剤を含有させる。ラジカル重合性の二重結合を有するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、アクリルモノマー、アクリルオリゴマーがある。量産性の観点からは、型押し法よりも注型重合法が好ましく、注型重合法の中でもUV硬化性化合物を用いた注型重合法が好ましい。
本発明は、バックコートフィルム11と、支持体12とを含む積層フィルム10に関するものである。図1(a)または(b)に示されるように、バックコートフィルム11または中間バックコートフィルム11aに接するように支持体12は積層されることが好ましい。
さらに、本発明は、積層フィルム10にさらに易接着層13、プリズム層17および/またはレンズ層を順に積層した光学積層フィルム20に関するものである。
表示装置は、光学積層フィルム20と、光学積層フィルム20のプリズム層17側に配置された液晶パネルユニットと、光学積層フィルム20の透明層11側に配置された導光板等を含む。導光板に代えて直下型バックライト等を使用することもできる。また、表示装置は、この他にもプリズムシートやマイクロレンズシート、反射シートといったシートを含んでも良い。各種シートの組み合わせ等は、表示装置の求められる仕様に応じて、様々な構成が可能である。
本発明は、シランカップリング剤、体積平均粒子径がrのマット剤および界面活性剤を含む塗布液を支持体上に塗布し、膜厚がtのバックコートフィルムを形成する工程を含む積層フィルムの製造方法に関する。シランカップリング剤は4官能のアルコキシシランと3官能または2官能のアルコキシシランを含み、4官能のアルコキシシランと3官能または2官能のアルコキシシランのモル比は25:75〜85:15である。また、rとtの関係は、t<rである。さらに、塗布液中の無機微粒子の含有量が20%以下である。
[支持体]
Ti化合物を触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート(以下「PET」という)樹脂を含水率50ppm以下に乾燥させ、ヒータ温度が280〜300℃設定温度の押し出し機内で溶解させた。溶解させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得た。得られた非結晶ベースをベース走行方向に3.1倍に延伸後、幅方向に3.8倍延伸し、厚さ250μmのPET支持体を得た。
PET支持体に対し、730J/m2 の条件でコロナ放電処理を行った後、下記の塗布液Aをバーコート法によりコロナ処理面側に塗布した。そして、これを145℃で1分乾燥して、PET支持体の片面に第1接着層を設け、さらに、第1接着層の面に288J/m2 の条件でコロナ放電処理を行った。第1接着層の上に、下記の塗布液Bをバーコート法により塗布し、これを145℃で1分乾燥し、第1接着層の上に第2接着層が形成された易接着層フィルムをつくった。
塗布液Aの組成は以下の通りである。
アクリル酸エステル共重合体 63.4質量部
(東亜合成化学(株)製 ジュリマーET−410 固形分30%)
ポリオレフィン 95.1質量部
(ユニチカ(株)製 アローベースSE−1013N 固形分20質量%)
架橋剤(カルボジイミド系化合物) 31.5質量部
(日清紡(株)製 カルボジライトV−02−L2 固形分40%)
界面活性剤A 16.7質量部
(三洋化成工業(株)製 ナロアクティーCL−95の1%水溶液)
界面活性剤B 6.9質量部
(日本油脂(株)製 ラピゾールB−90の1%水溶液)
ポリスチレンラテックス水分散液 1.2質量部
(日本ゼオン Nippol UFN1008)
防腐剤 0.8質量部
(大東化学(株)製、AF−337、固形分 3.5%メタノール溶媒)
蒸留水 α 質量部
(α;塗布液Aの全体が1000質量部になるように量を調節した)
塗布液Bの組成は次の通りである。
ポリエステルの水分散液 77.6質量部
(互応化学(株)製、プラスコートZ592 固形分25%)
ポリウレタン樹脂 51.1質量部
(第一工業製薬(株)製 スーパーフレックス150HS 固形分38%)
架橋剤(オキサゾリン化合物) 15.3質量部
(日本触媒(株)製 エポクロスK−2020E 固形分40%)
界面活性剤A 29.7質量部
(三洋化成工業(株)製 ナロアクティーCL−95の1%水溶液)
界面活性剤B 12.3質量部
(日本油脂(株)製 ラピゾールB−90の1%水溶液)
滑り剤 1.8質量部
(中京油脂(株)製 カルバナワックス分散物セロゾール524 固形分30%)
防腐剤 0.7質量部
(大東化学(株)製、AF−337、固形分 3.5%メタノール溶媒)
蒸留水 α 質量部
(α;塗布液Bの全体が1000質量部になるように量を調節した)
支持体の一方の面に易接着層を形成した後、その他方の面に310J/m2 の条件でコロナ放電処理を行った後、下記組成からなる中間バックコートフィルム用塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量を8.4cm3/m2とし、145℃で1分乾燥した。これにより、易接着層が形成された面とは反対側に、平均膜厚約0.1μmの中間バックコートフィルムを形成した。
[中間バックコートフィルム用塗布液]
自己架橋型ポリウレタン樹脂バインダ 31.5質量部
(三井化学(株)製、タケラックWS−5100、固形分30%)
二酸化スズ−アンチモン複合針状金属酸化物水分散物 43.7質量部
(石原産業(株)製、FS−10D、固形分20%)
界面活性剤C 2.1質量部
(三洋化成工業(株)製、サンデッドBLの10%水溶液、アニオン性)
界面活性剤B 21.0質量部
(三洋化成工業(株)製、ナロアクティー CL−95の1%水溶液、ノニオン性)
蒸留水 α 質量部
(α;塗布液Bの全体が1000質量部になるように量を調節した)
引き続き下記組成からなるバックコートフィルム用塗布液を、バーコート法により中間バックコートフィルム上に200J/m2 の条件でコロナ放電処理を行った後塗布した。塗布
量を13.8cm3/m2とし、145℃で1分乾燥した。これにより、平均膜厚約0.85μmのバックコートフィルムを形成した。
酢酸水溶液 402.0質量部
(ダイセル化学工業(株)製、工業用酢酸の1%水溶液)
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 110.0質量部
(信越化学工業(株)製、KBE−403)
テトラエトキシシラン 127.6質量部
(信越化学工業(株)製、KBE−04)
硬化剤 1.3質量部
(川崎ファインケミカル(株)製、アルミキレートA(W))
界面活性剤C 14.7質量部
(三洋化成工業(株)製、サンデッドBLの10%水溶液、アニオン性)
界面活性剤B 40.9質量部
(三洋化成工業(株)、ナロアクティー CL−95の1%水溶液、ノニオン性)
アクリル樹脂微粒子
(綜研化学社製、MX−150 平均粒子径1.5μm) 9.2質量部
アクリル樹脂微粒子
(綜研化学社製、MX−80H3WT 平均粒子径0.8μm) 9.2質量部
ポリスチレン樹脂微粒子の水分散体 6.9質量部
(日本ゼオン社製 Nippol UFN1008 固形分20% 平均粒子径1.9μm)
蒸留水 α 質量部
(α;塗布液Bの全体が1000質量部になるように量を調節した)
25℃の恒温槽内で酢酸水溶液を激しく攪拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを、この酢酸水溶液中に3分間かけて滴下した。1時間攪拌したのち30℃の恒温槽にて引き続き、テトラエトキシシシランを、酢酸水溶液中に強く攪拌しながら5分かけて添加し、その後2時間攪拌を続けた。さらに1時間かけて10℃へ冷却を行った。このようにして得られた水溶液を水溶液Xとする。
また、硬化剤、界面活性剤、蒸留水、及び樹脂微粒子を添加し、5分間超音波分散を行った。このように得られた粒子分散液を水溶液Yとする。水溶液Xに水溶液Y、界面活性剤、蒸留水を順次添加したのち10℃へ冷却した。
バックコートフィルム用塗布液および中間バックコートフィルム塗布液の組成を一部変え、実施例1と同様の方法により中間バックコートフィルム上に塗布し光学積層フィルムにしたものを実施例2〜14とした。実施例1〜14のバックコートフィルム用塗布液の組成は下記の表1のとおりとした。
バックコートフィルム用塗布液および中間バックコートフィルム塗布液の組成を一部変え、実施例1と同様の方法により中間バックコートフィルム上に塗布し光学積層フィルムにしたものを比較例1〜7および11〜12とした。バックコートフィルム用塗布液の組成は下記の表2のとおりとした。
(比較例8〜10)
支持体をPETベース(東洋紡社製コスモシャイン、A4100)に変更し、実施例1と同様の処方でPETベースの未塗布面に易接着層を形成したのち、表2に示す処方にて逆面にバックコートフィルム用塗布液を塗布、70℃1分の条件化乾燥後、バックコートフィルム面側から紫外線を1000mJ/cm2の条件で照射して硬化を行った。紫外線を照射する光源としては、ウシオ電機(株)製メタルハライドランプUVL−1500M2を用いた。
上記実施例1〜14及び比較例1〜14で得られた光学積層フィルムについて、以下の評価を行った。
積層フィルム10の形態において、ヘイズメーター(NDH−5000、日本電色工業(株))を用い、JIS−K−7105に準じて、ヘイズを測定した。
光学顕微鏡により1cm2の範囲において、各粒子の直径 Di及びその個数niを測定し、体積平均粒子径r=Σ(Di×Di3×ni)/Σ(Di3×ni)
とすることで計算した。
体積平均粒子径を測定するのと同様の方法で測定を行い、各粒子の比重をAiとし、添加量 S(mg)= 10×4π/3× Σ{Ai×ni×(Di/2)3}として計算した。
膜厚のばらつきなく測定できる程度の点数でSEMによる膜の断面写真を撮影し、各部で厚みを測定し、その値を平均することで求めた。
10点平均粗さ(Rz)は、触針式表面粗さ計「ハンディサーフ E−35B」{(東京精密社製}を用いて、JIS B−0601(1994)にしたがい設定し、該表面粗さ計より導出される値を採用した。
(1)透過像鮮明度の評価法
写像性測定器ICM−1DP(スガ試験器社 製)を使用し、JIS(K−7105)に準拠して実施した。(プリズム層をつけない状態で、)バックコートフィルム塗布面側から光を入射させる形で測定した。
(2)鉛筆硬度
JIS(K−5600−5−4)に準拠してバックコートフィルム塗布面側に対して実施した。
プリズム層を形成する下記の塗布液(以下、プリズム層用塗布液と称する)を、プリズムパターンを形成するための金型に充填した。プリズム層形成用塗布液は紫外線で硬化する化合物を含む。フィルムの易接着層が金型上の塗布液が接触するように、フィルムを金型にローラで押し付け、塗布液と易接着層との接触開始から3秒後に、フィルムベース側から紫外線を1000mJ/cm2の条件で照射して硬化を行った。紫外線を照射する光源としては、ウシオ電機(株)製メタルハライドランプUVL−1500M2を用いた。金型からフィルムを引き剥がし、頂角90°、ピッチ60μm、高さが30μmのプリズム層を備えるフィルム、すなわちプリズムシートを得た。
プリズム層用塗布液の組成は次の通りである。
ビスフェノールA型ジアクリレート樹脂 57.0質量部
(新中村化学(株)製、NKエステル A−BPE−10)
ビスフェノールA型ジアクリレート樹脂 5.0質量部
(新中村化学(株)製、NKエステル A−BPE−4)
エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート 35.0質量部
(新中村化学(株)製、NKエステル A−LEN−10)
開始剤 3質量部
(IRGACURE184)
BENQ社製モニター(RL2240H)のバックライトを点灯できる形で取り出し、付属の拡散シート2枚の上に、各サンプルを、プリズム層が外側になるように配置した。そして、プリズム層のプリズムが線上に入っている方向に対して垂直な方向で、かつ真上方向からおよそ30°目線を傾けた際に見える、明部と暗部の境目の領域における色むらの程度を目視で評価した。
A:色むらは全く見えない。
B:色むらはほぼ見えない。
C:色むらは若干見える。
D:色むらが見える。
E:色むらが著しく見える。
上記虹ムラ評価と同じ配置にて、製品の付属構成をタイプとしバックライトの面に対し垂直の方向から50cm離れた位置から、分光放射輝度計(トプコン社製、SR−3)にて、画角0.2°の条件にて輝度の測定を行い、上記モニターの製品構成の輝度を100%とした際の各プリズムシートの相対輝度を測定した。
往復摩耗試験機(新東科学(株)製、トライボギアTYPE30)において、上記拡散シートの拡散面と各バックコートフィルム面を接触させ25mm×25mmあたり50gの荷重を加えた状態で100cm/分で1分間擦った。試験後の拡散シートの拡散面と各バックコートフィルム面の観察を行い傷のレベルを以下の評価で実施した。
A:拡散面あるいは各バックコートフィルム面の傷なし・粉付着なし
B:拡散面あるいは各バックコートフィルム面の傷が目視で確認できないレベル(50μm以下の長さの傷)・粉付着なし
C:拡散面あるいは各バックコートフィルム面の傷が目視で確認できないレベル(100μm以下の長さの傷)・粉付着なし
D:拡散面あるいは各バックコートフィルム面の傷が目視で確認できるレベル・粉付着なし
E:拡散面あるいは各バックコートフィルム面の傷が目視で確認できるレベル・粉付着あり
特に、実施例1〜4は、虹ムラ防止性能および輝度特定が良好でかつ耐傷性が非常に良好である。
比較例3は、界面活性剤を含有していないため、虹ムラが発生している。
比較例4〜7は、無機微粒子の含有率がマット剤を除く固形質量に対して20%以上となっている。このため、虹ムラが発生しており、比較例6では、輝度も低下している。
比較例8は、マット剤を含有していないため、虹ムラを全く解消できていない。
比較例9〜11は、一般的な溶剤系を用いたバックコートフィルム層であり、Rzが1よりも大きくなっている。比較例8では虹ムラが発生しており、耐傷性も悪い。比較例9および10では虹ムラは改善されているが耐傷性が悪い。
比較例12および13は、マット剤の体積平均粒子径rがバックコートフィルムの平均膜厚tよりも小さいため、虹ムラを全く解消できていない。
比較例14は、マット剤の添加量が多く、輝度が著しく低下している。
さらに、実施例1〜14では、表面の凹凸が一定範囲内に抑えられ、かつ凹凸の傾斜が滑らかであるため、虹ムラの発生抑制に必要な凹凸を有しつつも、近接する他のシートと接触することによりバックコートフィルム自体に傷が付くことを防ぐことができる。
11 バックコートフィルム
11a 中間バックコートフィルム
12 支持体
13 易接着層
15 マット剤
17 プリズム層
20 光学積層フィルム
Claims (13)
- 支持体と、前記支持体上にバックコートフィルムを有する積層フィルムであって、
前記バックコートフィルムは、ケイ素含有樹脂、マット剤および界面活性剤を含み、
前記ケイ素含有樹脂は、シランカップリング剤を縮合した縮合体を含み、
前記シランカップリング剤は4官能のアルコキシシランと、下記一般式(1)で表される3官能または2官能のアルコキシシランとを含み、
前記4官能のアルコキシシランと、下記一般式(1)で表される3官能または2官能のアルコキシシランのモル比は25:75〜85:15であり、
前記マット剤の体積平均粒子径をrとし、前記バックコートフィルムの平均膜厚をtとした場合、t<rであり、
前記バックコートフィルム中の無機微粒子の含有量が0%である積層フィルム;
R n+1 Si(OR 1 ) 3-n (1)
一般式(1)において、Rはアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基を表し、R 1 は炭素数4以下のアルキル基を表し、n=0または1である。 - 前記シランカップリング剤は前記4官能のアルコキシシランおよび前記3官能のアルコキシシランを含み、前記4官能のアルコキシシランと前記3官能のアルコキシシランのモル比が25:75〜85:15であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記3官能のアルコキシシランがエポキシ基を有するアルコキシシランであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 前記3官能のアルコキシシランが3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする請求項3に記載の積層フィルム。
- 前記支持体と前記バックコートフィルムの間に中間バックコートフィルムをさらに有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- ヘイズ値が3〜30%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記バックコートフィルムの表面の10点平均粗さをRzとした場合、Rz<1μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- シランカップリング剤、体積平均粒子径がrのマット剤および界面活性剤を含む塗布液を支持体上に塗布し、膜厚がtのバックコートフィルムを形成する工程を含む積層フィルムの製造方法であって、
前記シランカップリング剤は4官能のアルコキシシランと、下記一般式(1)で表される3官能または2官能のアルコキシシランを含み、前記4官能のアルコキシシランと、下記一般式(1)で表される3官能または2官能のアルコキシシランのモル比は25:75〜85:15であり
前記rと前記tの関係は、t<rであり、
前記塗布液中の無機微粒子の含有量が0%である積層フィルムの製造方法;
R n+1 Si(OR 1 ) 3-n (1)
一般式(1)において、Rはアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基を表し、R 1 は炭素数4以下のアルキル基を表し、n=0または1である。 - 前記塗布液は、前記3官能または2官能のアルコキシシランの縮合体を含むことを特徴とする請求項8に記載の積層フィルムの製造方法。
- 前記バックコートフィルムを形成する工程は、前記3官能または2官能のアルコキシシランの加水分解物の少なくとも一部を縮合させた後に、前記4官能のアルコキシシランの加水分解物を縮合させるステップを含むことを特徴とする請求項8または9に記載の積層フィルムの製造方法。
- 前記塗布液中の前記縮合体の含有量は、前記マット剤を除く固形質量に対して70%〜99%であることを特徴とする請求項9または10に記載の積層フィルムの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層フィルムの支持体であってバックコートフィルムが積層された面とは反対側の面に、易接着層およびプリズム層を順に積層した構造を有することを特徴とする光学積層フィルム。
- 請求項12に記載の光学積層フィルムを搭載する表示装置。
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