本発明者は、情報処理装置、例えばコンピュータに二次電池を搭載した状態で、二次電池の検査を行う場合について検討した。この場合、二次電池の充電及び放電の制御は、被試験装置である情報処理装置の充放電コントローラにより行われる。以下において、充放電コントローラをコントローラという。コントローラは、例えば情報処理装置のバッテリパックに設けられ、情報処理装置の二次電池の充電及び放電を制御する。この時、二次電池の放電の加速は、情報処理装置に接続された放電加速装置により行われる。しかし、放電加速装置は、コントローラと二次電池との間に接続されて放電を加速するのみであって、情報処理装置の二次電池の充電及び放電を制御することができない。
従って、放電加速装置には、二次電池の充電及び放電を検出して、放電時には放電加速用の負荷を二次電池へ接続し、充電時には放電加速用負荷を二次電池から切り離すことが求められる。
以上とは別に、充電時において、充電の開始を検出してから実際に放電加速用負荷が二次電池から切り離されるまでのタイムラグが生じる。このタイムラグの期間内において、コントローラから放電加速用負荷を介して、過大電流、換言すれば、突入電流が流れる。コントローラは、過大電流を検出すると、二次電池において例えば短絡のような異常が発生したと判断して、二次電池の充電を中止する。一旦二次電池の充電が中止されると、オペレータが、情報処理装置の電源を遮断した後に、再度情報処理装置の電源を投入して、検査を再開する。従って、その間、コントローラは、二次電池の充電及び放電を再開することができず、二次電池の充電及び放電のサイクルを繰り返すことができなくなる。
一方、タイムラグにおいて過大電流が流れないようにするためには、充電開始時の突入電流を抑制するための高抵抗の突入電流抑制抵抗を接続することが考えられる。突入電流抑制抵抗は、予め定められた時間の経過後に、二次電池から切り離される。しかし、この場合、予め定められた時間が経過した時点で、放電加速用負荷が二次電池から切り離されている保証がない。従って、例えば、予め定められた時間が経過した時点でも、放電加速用負荷が二次電池に接続されている場合は、コントローラから放電加速用負荷を介して、過大電流が流れる。
従って、放電加速装置には、充電の開始を検出してから実際に放電加速用負荷が二次電池から切り離されるまでのタイムラグにおける、過大電流の発生を確実に防止することが求められる。
開示の放電加速装置は、二次電池の放電の加速において、充電の開始を検出してから実際に放電加速用負荷が二次電池から切り離されるまでのタイムラグにおける、過大電流の発生を確実に防止する。
図1は、放電加速装置の一例を示す図であり、放電加速装置が接続される情報処理装置も合わせて示す。図2は、情報処理装置の説明図である。
情報処理装置1は、例えば、二次電池14を搭載したコンピュータである。情報処理装置1の二次電池14の試験において、情報処理装置1には、図1に示すように、放電加速装置2が接続される。情報処理装置1は、図1及び図2に示すように、直流電源11と、負荷12と、コントローラ13と、二次電池14とを含む。
直流電源11は、情報処理装置1の電源であり、例えば、商用電源に接続されて、商用電源から生成した安定化した直流電力を、情報処理装置1を構成する種々の回路や装置に対して供給する。直流電源11の電源端子はコントローラ13の電源端子に接続され、直流電源11の接地端子はコントローラ13の接地端子に接続される。
ここで、コントローラ13において、放電加速装置2の接続端子31に接続される端子が電源端子であり、放電加速装置2の接続端子32に接続される端子が接地端子である。従って、直流電源11において、コントローラ13を介して接続端子31に接続される端子が電源端子であり、コントローラ13を介して接続端子32に接続される端子が接地端子である。
負荷12は、情報処理装置1において、二次電池14から供給される電力を消費する負荷である。情報処理装置1における負荷12は、例えば情報処理装置1を構成するメモリである。負荷12は、直流電源11の電源端子と接地端子との間に接続される。負荷12は、情報処理装置1を構成する種々の回路や装置であり、例えば、CPU、メモリ、入力装置、出力装置等であってもよい。
コントローラ13は、情報処理装置1において、二次電池14の充電及び放電を制御する。従って、コントローラ13は、直流電源11からの電力を二次電池14に供給して、二次電池14を充電する。また、コントローラ13は、二次電池14からの電力を負荷12に供給することにより、二次電池14を放電させる。
二次電池14は、コントローラ13により、換言すれば、コントローラ13を介して、直流電源11から充電される。また、二次電池14は、コントローラ13により、換言すれば、コントローラ13を介して、負荷12に電力を供給することにより放電する。二次電池14は、情報処理装置1のバックアップ電源であり、例えば、情報処理装置1のメモリにデータバックアップのために電力を供給する。
情報処理装置1において、図2に示すように、二次電池14の電源端子は、例えばコネクタ15を介して、コントローラ13の電源端子に接続され、二次電池14の接地端子は、例えばコネクタ15を介して、コントローラ13の接地端子に接続される。二次電池14において、放電加速装置2の接続端子33に接続される端子が電源端子であり、放電加速装置2の接続端子34に接続される端子が接地端子である。なお、コネクタ15は、実際には、情報処理装置1の筐体に収まるように短くされる。コネクタ15を省略して、二次電池14の電源端子をコントローラ13の電源端子に接続し、二次電池14の接地端子をコントローラ13の接地端子に接続するようにしてもよい。
一方、二次電池14の試験においては、図1に示すように、コントローラ13の電源端子は放電加速装置2の接続端子31に接続され、コントローラ13の接地端子は放電加速装置2の接続端子32に接続される。また、二次電池14の電源端子は放電加速装置2の接続端子33に接続され、二次電池14の接地端子は放電加速装置2の接続端子34に接続される。
二次電池14の試験は、二次電池14を情報処理装置1から取り外すことなく、情報処理装置1に二次電池14が搭載された状態で行われる。そこで、オペレータは、二次電池14とコントローラ13との間のコネクタ15を、一旦取り外す。その上で、図1に示すように、コントローラ13の接続端子を放電加速装置2の端子31及び32に接続し、二次電池14の接続端子を放電加速装置2の端子33及び34に接続する。これにより、情報処理装置1に二次電池14が搭載された状態で、放電加速装置2を用いた放電加速処理を開始することができる。
なお、二次電池14の試験の終了後において、オペレータは、再度、二次電池14の電源端子をコネクタ15を介してコントローラ13の電源端子に接続し、二次電池14の接地端子をコネクタ15を介してコントローラ13の接地端子に接続する。
例えば、二次電池14は、予め定められた充電レベルまで、換言すれば、充電完了状態まで、充電されている。また、二次電池14は、情報処理装置1に接続された時点から放電を開始するが、負荷12である情報処理装置1のメモリがデータのバックアップのために消費する電力は少ない。このため、情報処理装置1の直流電源11が投入されている場合における二次電池14からの放電は自然放電に近いので、二次電池14が情報処理装置1に接続された時点からの放電による二次電池14の出力電圧の低下は無視してよい。
放電加速装置2は、電流方向センサ21と、制限抵抗22と、バイパススイッチ23と、電流方向センサ24と、放電加速スイッチ25と、放電加速用負荷26と、放電加速制御部27と、接続端子31〜34とを含む。放電加速装置2は、情報処理装置1の二次電池14の検査において情報処理装置1に接続され、それ以外の場合には、情報処理装置1から取り外される。
電流方向センサ21、制限抵抗22、電流方向センサ24は、接続端子31と接続端子33との間に、換言すれば、コントローラ13と二次電池14との間に、この順に接続される。電流方向センサ21は、コントローラ13と制限抵抗22との間に接続される。従って、電流方向センサ21は、制限抵抗22よりもコントローラ13側に接続される。これにより、電流方向センサ21は、充電方向電流及び放電方向電流を電流方向センサ24より速く検出することができる。電流方向センサ24は、制限抵抗22と二次電池14との間に接続される。従って、電流方向センサ24は、制限抵抗22よりも二次電池14側に接続される。これにより、電流方向センサ24は、電流方向センサ21よりも確実に放電方向電流を検出することができる。電流方向センサ21及び電流方向センサ24は、例えば、電流の方向を検出する素子の一例であり、入力された電流に対応するいずれか一方の方向を示す信号を出力する。
制限抵抗22は、コントローラ13と二次電池14との間に接続される。制限抵抗22と並列に、バイパススイッチ23が接続される。これにより、バイパススイッチ23は、制限抵抗22をバイパスすることができる。制限抵抗22は、例えば、数十Ωの抵抗値の固定抵抗である。制限抵抗22の抵抗値はこの値に限られない。
直列に接続された放電加速スイッチ25及び放電加速用負荷26は、接続端子33と接続端子34との間に接続される。放電加速スイッチ25及び放電加速用負荷26は、制限抵抗22と電流方向センサ24との間に接続される。従って、放電加速スイッチ25及び放電加速用負荷26は、制限抵抗22よりも二次電池14側に接続される。これにより、放電加速のための経路を形成することができる。放電加速用負荷26は、例えば、数Ωの抵抗値の固定抵抗である。放電加速用負荷26の抵抗値はこの値に限られない。
なお、図1の例において、放電加速スイッチ25は、二次電池14と放電加速用負荷26との間に接続される。放電加速用負荷26が、二次電池14と放電加速スイッチ25との間に接続されるようにしてもよい。
充電経路は、例えば、直流電源11、コントローラ13、電流方向センサ21、制限抵抗22及びバイパススイッチ23の並列回路、電流方向センサ24、二次電池14、コントローラ13、直流電源11の順となる。一方、放電経路は、例えば、二次電池14、電流方向センサ24、放電加速スイッチ25、放電加速用負荷26、二次電池14の順となる。
なお、二次電池14、電流方向センサ24、制限抵抗22、電流方向センサ21、コントローラ13、負荷12、コントローラ13、二次電池14の順の放電経路も存在する。しかし、この放電経路は、コントローラ13により遮断されるので、事実上、放電電流は流れないと考えてよい。
電流方向センサ21及び電流方向センサ24は、電流方向検出部の一例であり、二次電池14の電流の方向、換言すれば、充電方向電流及び放電方向電流を検出する。図1における電流方向検出部は、第1の電流方向センサ21と、第2の電流方向センサ24とを含む。
充電方向電流は、二次電池14を充電する方向に流れる電流である。充電方向電流は、電流方向センサ21又は電流方向センサ24を二次電池14を充電する方向に流れる電流であれば良く、実際に二次電池14を充電するか否かとは無関係である。放電方向電流は、二次電池14から放電する方向に流れる電流である。放電方向電流は、電流方向センサ21又は電流方向センサ24を二次電池14から放電する方向に流れる電流であれば良く、実際に二次電池14から放電されたか否かとは無関係である。
前述したように、二次電池14の充電及び放電はコントローラ13により制御されるので、放電加速装置2は、二次電池14の充電及び放電を制御することはできない。そこで、放電加速装置2は、電流方向センサ21及び電流方向センサ24により、充電方向電流及び放電方向電流を検出する。
電流方向センサ21は、充電方向電流又は放電方向電流の検出を示す極性信号Aを放電加速制御部27に送る。電流方向センサ24は、充電方向電流又は放電方向電流の検出を示す極性信号Bを放電加速制御部27に送る。極性信号Aは、充電方向電流が検出されたことを示す場合、放電方向電流が検出されたことを示す場合、充電方向電流及び放電方向電流の双方が検出されないことを示す場合がある。極性信号Aが、充電方向電流及び放電方向電流の双方が検出されたことを示す場合はない。以上については、極性信号Bも同様である。
放電加速制御部27は、電流方向センサ21からの極性信号Aと電流方向センサ24からの極性信号Bとに基づいて、充電方向電流又は放電方向電流のいずれが流れているかを判断する。そして、放電加速制御部27は、放電加速スイッチ25の制御信号及びバイパススイッチ23の制御信号を生成する。放電加速スイッチ25の制御信号は、放電加速スイッチ25に供給される。バイパススイッチ23の制御信号は、バイパススイッチ23に供給される。
放電加速制御部27において、電流方向センサ21の極性信号Aは、放電加速スイッチ25の切断の判断と、バイパススイッチ23の切断及びその後の放電加速スイッチ25の接続の判断に用いられる。制限抵抗22よりもコントローラ13側に接続された電流方向センサ21を用いることにより、充電方向電流及び放電方向電流を電流方向センサ24より速く検出することができる。また、放電加速制御部27において、電流方向センサ24の極性信号Bは、バイパススイッチ23の接続の判断に用いられる。制限抵抗22よりも二次電池14側に接続された電流方向センサ24を用いることにより、二次電池14の放電が確実に終了したことを検出することができる。なお、放電加速スイッチ25及びバイパススイッチ23の切断をオフといい、接続をオンということがある。
制限抵抗22は、コントローラ13から二次電池14へ過大電流が流れることを防止する。具体的には、制限抵抗22は、放電から充電に切り替わった時に、放電加速用負荷26を介して過大な充電方向電流、換言すれば、過大電流が、放電加速用負荷26及び二次電池14に流れることを防止する。過大電流は、予め定められた値よりも大きい電流であり、コントローラ13が二次電池14の充電を中止する電流である。なお、実際には、過大電流は、放電加速用負荷26に流れ、二次電池14には流れないと考えられる。従って、制限抵抗22は、実際には、コントローラ13から二次電池14の方向へ過大電流が流れることを防止する。コントローラ13は、過大電流を検出すると、二次電池14に異常があると判断して、二次電池14の充電を中止する。そこで、過大電流が流れることを防止することにより、二次電池14の充電が中止されることを防止することができる。
バイパススイッチ23は、放電加速制御部27からの制御信号に従って、制限抵抗22をバイパスする。バイパススイッチ23は、充電方向電流が検出された場合に、換言すれば、二次電池14の充電時に、放電加速制御部27により、オンとされる。これにより、制限抵抗22を介しての充電により充電方向電流が小さくなり、充電時間が長くなることを防止することができる。また、バイパススイッチ23は、放電方向電流が検出された場合に、換言すれば、二次電池14の放電時に、放電加速制御部27により、オフとされる。これにより、制限抵抗22を有効とし、前述したように、過大電流が流れることを防止することができる。
放電加速スイッチ25は、放電加速制御部27からの制御信号に従って、放電加速用負荷26を二次電池14に接続する。放電加速スイッチ25は、放電方向電流が検出された場合に、換言すれば、二次電池14の放電時に、オンとされる。これにより、放電加速用負荷26が二次電池14に接続される。放電加速用負荷26は、二次電池14の放電を加速する。また、放電加速スイッチ25は、充電方向電流が検出された場合に、換言すれば、二次電池14の充電時に、オフとされる。これにより、放電加速用負荷26が二次電池14から切り離され、二次電池14の充電が可能となる。
以上のように、放電加速制御部27は、二次電池14の放電時に、換言すれば、電流方向検出部が充電方向電流を検出しない場合に、バイパススイッチ23をオフにして、制限抵抗22を有効にする。これにより、放電から充電に切り替わった時に、放電加速用負荷26を介して過大電流が流れないようにすることができる。この後、換言すれば、二次電池14の放電時において、放電の開始の後かつバイパススイッチ23のオフの後、放電加速制御部27は、放電加速用負荷26を、放電加速スイッチ25により二次電池14に接続する。これにより、二次電池14の放電を加速することができる。
一方、放電加速制御部27は、二次電池14の充電の開始後に、換言すれば、電流方向検出部が充電方向電流を検出した場合に、放電加速用負荷26を、放電加速スイッチ25により二次電池14から切り離す。この後、換言すれば、放電の終了の後、放電加速制御部27は、制限抵抗22を、バイパススイッチ23によりバイパスして、制限抵抗22を無効にする。これにより、バイパススイッチ23を介しての二次電池14の充電を行うことができる。
図3〜図6は、放電加速装置の説明図である。なお、図6において、電流方向センサ21を電流方向センサAと表し、電流方向センサ24を電流方向センサBと表す。また、
図3〜図5において、一点鎖線は電流の流れを示す。
二次電池14の試験の開始時において、例えば、二次電池14は充電完了状態であるものとする。また、放電加速装置2の初期状態として、放電加速スイッチ25は接続された状態であり、バイパススイッチ23は切断された状態であるとする。なお、二次電池14の試験の開始時において、二次電池14は放電加速状態であってもよく、放電加速スイッチ25は切断された状態であってもよく、バイパススイッチ23は接続された状態であってもよい。
この状態で、情報処理装置1に放電加速装置2を接続すると、コントローラ13が、二次電池14の出力電圧が充電完了電圧であることを検出して、二次電池14の放電を開始する。これにより、電流方向センサ21及び電流方向センサ24には、コントローラ13から二次電池14の方向に向かって放電方向電流が流れる。従って、図6に示すように、電流方向センサ21の極性信号A及び電流方向センサ24の極性信号Bは、放電方向電流の検出を示す。
この状態で、放電加速用負荷26により、二次電池14の放電が加速される。この時、情報処理装置1の負荷12には、直流電源11から電力が供給されるため、二次電池14からは電力は供給されない。
なお、図6において、充電の完了及び放電の完了に要する時間は、例えば、数十分から数時間である。従って、図6において放電の完了に要する時間は、図15における放電の完了に要する時間である数日から数十日と比較して、短縮されている。また、実際には、充電の完了に要する時間と放電の完了に要する時間とは異なり、充電の完了に要する時間は、放電の完了に要する時間よりも短い。
次に、放電加速により放電が進行すると、図6に示すように、二次電池14の出力電圧が低下して、放電下限電圧に到達する。コントローラ13は、二次電池14の出力電圧が放電下限電圧であることを検出する。
次に、二次電池14の出力電圧が放電下限電圧であることを検出したコントローラ13は、二次電池14の充電を開始する。この時点で、図3に示すように、電流方向センサ21には、コントローラ13から二次電池14の方向に向かって、充電方向電流が流れている。一方、電流方向センサ24には、依然として、二次電池14から放電加速用負荷26に向かって、放電方向電流が流れている。
ここで、充電方向電流は、この時点では、制限抵抗22を流れ、更に、放電加速用負荷26を流れる。これにより、充電開始時の突入電流の発生を防止し、コントローラ13が過大電流を検出して充電を中止することを防止することができる。
次に、放電加速制御部27は、図6に示すように、電流方向センサ21からの極性信号Aにより充電が開始されたことを検出し、図3の切断指示により、放電加速スイッチ25を切断、換言すれば、オフとする。換言すれば、放電加速制御部27は、電流方向センサ21が充電方向電流を検出した場合に、放電加速スイッチ25により放電加速用負荷26を二次電池14から切り離す。
ここで、放電加速制御部27は、制御信号により、放電加速スイッチ25をオフとする。放電加速制御部27が制御信号を放電加速スイッチ25に印加してから、放電加速スイッチ25がオフとなるまでに、数ミリ秒から数十ミリ秒を要する。その間、図3の状態が続く。
次に、図4に示すように、放電加速用負荷26の切り離しにより、二次電池14からの放電が中止され、二次電池14への充電が開始される。この時点では、バイパススイッチ23がオフであるので、コントローラ13からの充電方向電流は、小さい値とされる。この結果、電流方向センサ24からの極性信号Bは、図6に示すように、充電方向電流の検出を示すように変化する。これにより、放電加速制御部27は、電流方向センサ24からの信号が放電方向から充電方向に変化したこと、換言すれば、放電加速用負荷26の切り離しを確認することができる。
次に、放電加速制御部27は、図6に示すように、電流方向センサ24の極性信号Bが充電方向電流の検出を示すように変化すると、図4の接続指示により、バイパススイッチ23を接続、換言すれば、オンとする。このように、放電加速制御部27は、放電加速スイッチ25により放電加速用負荷26を二次電池14から切り離した後に、バイパススイッチ23により制限抵抗22をバイパスする。換言すれば、放電加速制御部27は、第2の電流方向センサ24が充電方向電流を検出した場合に、バイパススイッチ23により制限抵抗22をバイパスする。
次に、図5に示すように、バイパススイッチ23のオンにより制限抵抗22が無効になり、バイパススイッチ23を流れる電流により、二次電池14が充電される。
次に、充電が進行すると、図6に示すように、二次電池14の出力電圧が上昇して、充電完了電圧に到達する。コントローラ13は、二次電池14の出力電圧が充電完了電圧であることを検出する。二次電池14の出力電圧が充電完了電圧に到達すると、電流方向センサ21を流れる充電方向電流は無くなる。
次に、二次電池14の出力電圧が充電完了電圧であることを検出したコントローラ13は、二次電池14の放電を開始する。この時点で、図6に示すように、電流方向センサ21の極性信号Aは、放電方向電流が流れていることを示す。一方、電流方向センサ24の極性信号Bは、図6に斜線を付して示すタイミングの範囲において、極性信号Aから遅れて、充電方向電流が流れていることを示す。電流方向センサ24の極性信号Bは、二次電池14の放電の開始の時点における処理には用いられない。
次に、放電加速制御部27は、図6に示すように、電流方向センサ21からの極性信号Aにより放電が開始されたことを検出し、バイパススイッチ23を切断、換言すれば、オフとして、制限抵抗22を有効とする。これにより、放電加速制御部27は、第1の電流方向センサ21が充電方向電流を検出しない場合に、バイパススイッチ23により制限抵抗22のバイパスを停止する。
次に、放電加速制御部27は、図6に示すように、バイパススイッチ23により制限抵抗22のバイパスを停止した後に、放電加速スイッチ25を接続、換言すれば、オンとする。この結果、放電加速スイッチ25により放電加速用負荷26が二次電池14に接続される。換言すれば、放電加速制御部27は、第1の電流方向センサ21が充電方向電流を検出しない場合に、放電加速スイッチ25により放電加速用負荷26を二次電池14に接続する。
以上のように、放電加速装置2により、放電を加速しつつ、二次電池14の充電及び放電を、オペレータの介在なしで繰り返すことができる。
図7は、放電加速処理フローである。なお、図7において、電流方向センサ21を電流方向センサAといい、電流方向センサ24を電流方向センサBという。
二次電池14の試験の開始時において、前述したように、例えば、二次電池14は充電完了状態であり、放電加速スイッチ25は接続された状態であり、バイパススイッチ23は切断された状態であるとする。
放電加速制御部27は、電流方向センサAからの極性信号Aが充電方向であるか充電方向以外であるかを判断する(ステップS11)。極性信号Aが充電方向以外である場合、二次電池14の放電加速状態であることを意味するので、放電加速制御部27は、ステップS11を繰り返す。二次電池14の試験の開始時においては、二次電池14の放電加速状態であり、極性信号Aが充電方向以外である。その後の二次電池14の放電により、極性信号Aは充電方向に変化する。
ここで、極性信号Aが充電方向電流が検出されたことを示す場合、極性信号Aは、充電方向である。極性信号Aが充電方向電流が検出されないことを示す場合、極性信号Aは、充電方向でない。極性信号Aが放電方向電流が検出されたことを示す場合、極性信号Aは、放電方向である。極性信号Aが放電方向電流が検出されないことを示す場合、極性信号Aは、放電方向でない。従って、極性信号Aが充電方向以外である場合は、放電方向電流が検出されたことを示す場合と、充電方向電流及び放電方向電流の双方が検出されないことを示す場合とを含む。また、極性信号Aが放電方向以外である場合は、充電方向電流が検出されたことを示す場合と、充電方向電流及び放電方向電流の双方が検出されないことを示す場合とを含む。極性信号Bについても同様である。
極性信号Aが充電方向である場合、二次電池14の充電が開始された状態であることを意味するので、放電加速制御部27は、放電加速スイッチ25の切断を指示する信号を生成して放電加速スイッチ25に供給することにより、放電加速スイッチ25を切断する(ステップS12)。これにより、放電加速用負荷26が二次電池14から切り離される。
この後、放電加速制御部27は、電流方向センサBからの極性信号Bが充電方向であるか充電方向以外であるかを判断する(ステップS13)。極性信号Bが充電方向以外である場合、放電加速用負荷26の二次電池14からの切り離しが未完の状態であることを意味するので、放電加速制御部27は、ステップS13を繰り返す。
極性信号Bが充電方向である場合、放電加速用負荷26の二次電池14からの切り離しが完了した状態であることを意味するので、放電加速制御部27は、バイパススイッチ23の接続を指示する信号を生成してバイパススイッチ23に供給することにより、バイパススイッチ23を接続する(ステップS14)。これにより、制限抵抗22がバイパススイッチ23によりバイパスされる。
この後、放電加速制御部27は、電流方向センサAからの極性信号Aが充電方向であるか充電方向以外であるかを判断する(ステップS15)。極性信号Aが充電方向である場合、二次電池14の充電が未完の状態であることを意味するので、放電加速制御部27は、ステップS15を繰り返す。
極性信号Aが充電方向以外である場合、二次電池14の充電が完了した状態であることを意味するので、放電加速制御部27は、バイパススイッチ23の切断を指示する信号を生成してバイパススイッチ23に供給することにより、バイパススイッチ23を切断する(ステップS16)。これにより、制限抵抗22のバイパススイッチ23によるバイパスが停止される。
この後、放電加速制御部27は、放電加速スイッチ25の接続を指示する信号を生成して放電加速スイッチ25に供給することにより、放電加速スイッチ25を接続する(ステップS17)。これにより、放電加速用負荷26が二次電池14に接続される。従って、放電加速制御部27は、バイパススイッチ23を切断した後に、放電加速用負荷26を二次電池14に接続することができる。放電加速用負荷26の二次電池14への接続により、二次電池14は、放電加速状態となる。この後、放電加速制御部27は、ステップS11を繰り返す。以上により、二次電池14の試験において、コントローラ13から二次電池14の方向へ過大電流が流れることを防止しつつ二次電池14の放電を加速することができ、また、オペレータの介入なしで、二次電池14の充電及び放電を繰り返すことができる。
図8は、放電加速の説明図である。
図8(A)に示すように、放電加速装置2によれば、情報処理装置1の二次電池14の試験において、オペレータの介在なしで、充電及び放電を繰り返すことができる。具体的には、二次電池14について、充電完了電圧Vaから放電下限電圧Vbまでを時間t1をかけて放電し、放電下限電圧Vbから充電完了電圧Vaまでを時間t2をかけて充電することを、オペレータの介在なしで、繰り返すことができる。時間t1と時間t2の和は、数十分〜数時間であり、図15における放電の完了に要する時間である数日から数十日と比較して、短縮されている。
また、放電加速装置2によれば、二次電池14の状態が放電から充電へ切り替わる際における、過大電流の発生を防止することができる。これにより、オペレータの介在なしで、放電から充電へ切り替ることができ、放電から充電への切り替え時の二次電池14の動作も容易に試験することができる。
なお、図8(B)は、図8(A)との比較のために、試験時間を短縮した充電及び放電サイクルを示す。図8(B)の例においては、二次電池14を、充電完了電圧Vaから時間t3をかけて自然放電させる。しかし、二次電池14の出力電圧であるバッテリ電圧は、十分に低下しない。そこで、オペレータが、二次電池14を他で放電下限電圧Vbまで放電済の二次電池14に交換して、放電下限電圧Vbから充電完了電圧Vaまでを時間t4をかけて充電する。このため、オペレータの介在が求められ、1個の二次電池14についての充電及び放電サイクルではなく、二次電池14の交換時に情報処理装置1の電源を切断する必要があり、放電から充電への切り替え時の二次電池14の動作の試験ができない。
図9は、放電加速装置の他の一例を示す図である。図9の放電加速装置2は、基本的には、図1の放電加速装置2と同様の構成を有するので、図1の放電加速装置2との相違について説明する。
図9の放電加速装置2においては、放電加速制御部27に代えて、放電加速制御用MPU271が用いられる。放電加速制御用MPU271は、放電加速制御部27と同様の処理を実行する。また、放電下限電圧設定回路272が設けられる。
図9の放電加速装置2においては、電流方向センサ21に代えて電流センス回路21’が用いられ、電流方向センサ24に代えて電流センス回路24’が用いられる。電流センス回路21’及び電流センス回路24’は、電流の方向を検出する素子の一例であり、例えば2個の電流センスアンプを双方向に接続し、入力された電流に対応するいずれか一方の方向を示す信号を出力する。電流センス回路21’は極性信号Aに代えて極性信号Cを放電加速制御用MPU271に送り、電流センス回路24’は極性信号Bに代えて極性信号Dを放電加速制御用MPU271に送る。
また、放電加速スイッチ25に代えて、放電加速制御用FET25’が用いられる。放電加速制御用FET25’は、放電加速制御用MPU271からのFET制御信号Fにより制御される。放電加速用負荷26に代えて、可変抵抗26’が用いられる。これにより、放電加速用負荷の抵抗値を、実際の二次電池14の加速による放電の結果に基づいて、修正することができる。この結果、急速な放電により二次電池14の出力電圧が急激に低下したことをコントローラ13が検出して、二次電池14を切り離すことを防止することができる。制限抵抗22に代えて、固定抵抗22’が用いられる。バイパススイッチ23に代えて、バイパス用リレー23’が用いられる。バイパス用リレー23’は、放電加速制御用MPU271からの駆動信号Rにより制御される。
放電下限電圧設定回路272は、二次電池14の出力電圧であるバッテリ電圧の放電時における下限電圧を設定し、バッテリ電圧が下限電圧以下とならないよう監視する回路であり、電圧検出回路と電圧比較回路を含む。放電下限電圧設定回路272は、電圧検出回路により、固定抵抗22’と電流センス回路24’との間の電圧、換言すれば、バッテリ電圧を検出する。そして、放電下限電圧設定回路272は、電圧比較回路により、検出したバッテリ電圧と、二次電池14の放電下限電圧とを比較する。放電下限電圧は、二次電池14に応じて、予め定められる。放電下限電圧設定回路272は、バッテリ電圧と二次電池14の放電下限電圧との比較の結果を、電圧比較結果Vとして、放電加速制御用MPU271に送る。
放電加速制御用MPU271は、放電下限電圧設定回路272からの電圧比較結果Vに基づいて、バッテリ電圧が放電下限電圧以下である場合に、FET制御信号Fにより放電加速制御用FET25’をオフとする。これにより、コントローラ13による制御とは別に、バッテリ電圧が放電下限電圧以下となる状態が続くことにより二次電池14が損傷することを防止することができる。
図9の放電加速装置2においては、テスト実行スイッチ28と、テスト実行リレー29とが設けられる。
テスト実行スイッチ28は、オペレータが二次電池14の試験の開始及び終了を設定するスイッチであり、例えば放電加速装置2の操作パネルに設けられる。テスト実行スイッチ28は、二次電池14及びコントローラ13の接地電位に接続された放電加速装置2の接地電位と、放電加速制御用MPU271との間に接続される。例えば、放電加速制御用MPU271は、テスト実行スイッチ28のオンにより接地電位と放電加速制御用MPU271との間に流れる電流を検出することにより、テスト実行スイッチ28のオンを検出する。テスト実行スイッチ28のオンにより二次電池14の試験が開始され、テスト実行スイッチ28のオフにより二次電池14の試験が終了する。
テスト実行リレー29は、放電加速制御用MPU271からの駆動信号Tにより制御されるリレースイッチである。テスト実行リレー29は、放電加速制御用FET25’と放電加速用負荷である可変抵抗26’との直列回路に直列に接続される。なお、図9の放電加速装置2においては、放電加速制御用FET25’と可変抵抗26’の位置が、図1の放電加速装置2における放電加速スイッチ25と放電加速用負荷26の位置と逆になっている。
例えば、放電加速制御用MPU271は、テスト実行スイッチ28がオンである場合に、駆動信号Tによりテスト実行リレー29をオンとする。これにより、放電加速用負荷である可変抵抗26’を二次電池14に接続することが可能となり、二次電池14の試験が開始される。換言すれば、放電加速制御用MPU271は、テスト実行スイッチ28の状態に基づいてテスト実行リレー29を制御することにより、放電加速用負荷である可変抵抗26’及び放電加速制御用FET25’を二次電池14に接続することを可能とする。従って、テスト実行スイッチ28は、二次電池14からの放電の加速を指示するスイッチである。また、放電加速制御用MPU271は、テスト実行スイッチ28がオフである場合に、駆動信号Tによりテスト実行リレー29をオフとする。これにより、二次電池14の試験が終了される。
図10〜図13は、放電加速装置の説明図である。なお、図10〜図13において、一点鎖線は電流の流れを示す。
二次電池14の試験の開始時において、例えば、二次電池14は充電完了状態であり、放電加速制御用FET25’は接続された状態であり、バイパス用リレー23’は切断された状態であるとする。なお、二次電池14の試験の開始時において、例えば、二次電池14は放電加速状態であり、放電加速制御用FET25’は切断された状態であり、バイパス用リレー23’は接続された状態であってもよい。
この状態で、オペレータが、情報処理装置1に放電加速装置2を接続し、テスト実行スイッチ28をオンとすると、放電加速制御用MPU271は、テスト実行リレー29をオンとする。これにより、放電加速用負荷である可変抵抗26’により、二次電池14の放電の加速が可能な状態となる。
次に、図10に示すように、コントローラ13が、二次電池14の出力電圧が充電完了電圧であることを検出して、二次電池14の放電を開始する。これにより、電流センス回路21’及び電流センス回路24’には、コントローラ13から二次電池14の方向に向かって放電方向電流が流れる。従って、電流センス回路21’の極性信号A及び電流センス回路24’の極性信号Bは、放電方向電流の検出を示す。
この状態で、放電加速用負荷である可変抵抗26’により、二次電池14の放電が加速される。この時、情報処理装置1の負荷12には、直流電源11から電力が供給されるため、二次電池14からは電力は供給されない。
二次電池14の放電の過程で、何らかの原因で、二次電池14の出力電圧であるバッテリ電圧が放電下限電圧以下となった場合には、放電加速制御用MPU271は、その時点で、放電加速制御用FET25’を切断することにより、二次電池14の放電を停止する。
次に、放電加速により放電が進行すると、二次電池14の出力電圧が低下して、放電下限電圧に到達する。コントローラ13は、二次電池14の出力電圧が放電下限電圧であることを検出する。
次に、二次電池14の出力電圧が放電下限電圧であることを検出したコントローラ13は、二次電池14の充電を開始する。この時点で、図11に示すように、電流センス回路21’には、コントローラ13から二次電池14の方向に向かって、充電方向電流が流れている。一方、電流センス回路24’には、依然として、二次電池14から放電加速用負荷である可変抵抗26’に向かって、放電方向電流が流れている。
ここで、充電方向電流は、この時点では、制限抵抗である固定抵抗22’を流れ、更に、放電加速用負荷である可変抵抗26’を流れる。これにより、充電開始時の突入電流の発生を防止し、コントローラ13が過大電流を検出して充電を中止することを防止することができる。
次に、放電加速制御用MPU271は、電流センス回路21’からの極性信号Aにより充電が開始されたことを検出し、放電加速制御用FET25’をオフとする。換言すれば、放電加速制御用MPU271は、電流センス回路21’が充電方向電流を検出した場合に、放電加速制御用FET25’により放電加速用負荷である可変抵抗26’を二次電池14から切り離す。
ここで、放電加速制御用MPU271は、FET制御信号Fにより、放電加速制御用FET25’をオフとする。放電加速制御用MPU271がFET制御信号Fを放電加速制御用FET25’に印加してから、放電加速制御用FET25’がオフとなるまでに、数ミリ秒から数十ミリ秒を要する。その間、図11の状態が続く。
次に、図12に示すように、放電加速用負荷である可変抵抗26’の切り離しにより、二次電池14からの放電が中止され、二次電池14への充電が開始される。この時点では、バイパス用リレー23’がオフであるので、コントローラ13からの充電方向電流は、小さい値とされる。この結果、電流センス回路24’からの極性信号Dは、充電方向電流の検出を示すように変化する。これにより、放電加速制御用MPU271は、電流センス回路24’からの信号が放電方向から充電方向に変化したこと、換言すれば、放電加速用負荷である可変抵抗26’の切り離しを確認することができる。
次に、図13に示すように、放電加速制御用MPU271は、電流センス回路24’の極性信号Dが充電方向電流の検出を示すように変化すると、バイパス用リレー23’をオンとする。このように、放電加速制御用MPU271は、放電加速制御用FET25’により放電加速用負荷である可変抵抗26’を二次電池14から切り離した後に、バイパス用リレー23’により制限抵抗である固定抵抗22’をバイパスする。換言すれば、放電加速制御用MPU271は、第2の電流センス回路24’が充電方向電流を検出した場合に、バイパス用リレー23’により制限抵抗である固定抵抗22’をバイパスする。
次に、バイパス用リレー23’のオンにより制限抵抗である固定抵抗22’が無効になり、バイパス用リレー23’を流れる電流により、二次電池14が充電される。
次に、充電が進行すると、二次電池14の出力電圧が上昇して、充電完了電圧に到達する。コントローラ13は、二次電池14の出力電圧が充電完了電圧であることを検出する。二次電池14の出力電圧が充電完了電圧に到達すると、電流センス回路21’を流れる充電方向電流は無くなる。
次に、二次電池14の出力電圧が充電完了電圧であることを検出したコントローラ13は、二次電池14の放電を開始する。この時点で、電流センス回路21’の極性信号Cは、放電方向電流が流れていることを示す。一方、電流センス回路24’の極性信号Dは、極性信号Cから遅れて、充電方向電流が流れていることを示す。
次に、放電加速制御用MPU271は、電流センス回路21’からの極性信号Cにより放電が開始されたことを検出し、バイパス用リレー23’をオフとして、制限抵抗である固定抵抗22’を有効とする。これにより、放電加速制御用MPU271は、電流センス回路21’が充電方向電流を検出しない場合に、バイパス用リレー23’により制限抵抗である固定抵抗22’のバイパスを停止する。
次に、放電加速制御用MPU271は、バイパス用リレー23’により制限抵抗である固定抵抗22’のバイパスを停止した後に、放電加速制御用FET25’をオンとする。この結果、放電加速制御用FET25’により放電加速用負荷である可変抵抗26’が二次電池14に接続される。換言すれば、放電加速制御用MPU271は、電流センス回路21’が充電方向電流を検出しない場合に、放電加速制御用FET25’により放電加速用負荷である可変抵抗26’を二次電池14に接続する。
以上のように、放電加速装置2により、放電を加速しつつ、二次電池14の充電及び放電を、オペレータの介在なしで繰り返すことができる。
図14は、放電加速処理フローである。
二次電池14の試験の開始時において、前述したように、例えば、二次電池14は充電完了状態であり、放電加速制御用FET25’は接続された状態であり、バイパス用リレー23’は切断された状態であるとする。
放電加速制御用MPU271は、コントローラ13側の電流センス回路21’からの極性信号Cが充電方向であるか充電方向以外であるかを判断する(ステップS21)。極性信号Cが充電方向以外である場合、換言すれば、二次電池14の状態が充電でない場合、二次電池14の放電加速状態であることを意味するので、放電加速制御用MPU271は、ステップS21を繰り返す。二次電池14の試験の開始時においては、二次電池14の放電加速状態であり、極性信号Cが充電方向以外である。その後の二次電池14の放電により、極性信号Cは充電方向に変化する。
極性信号Cが充電方向である場合、換言すれば、二次電池14の状態が充電に変化した場合、二次電池14の充電が開始された状態であることを意味するので、放電加速制御用MPU271は、放電加速制御用FET25’のオフを指示するFET制御信号Fを生成して放電加速制御用FET25’に供給することにより、放電加速制御用FET25’をオフとする(ステップS22)。これにより、放電加速用負荷である可変抵抗26’が二次電池14から切り離される。
この後、放電加速制御用MPU271は、二次電池14側の電流センス回路24’からの極性信号Dが充電方向であるか充電方向以外であるかを判断する(ステップS23)。極性信号Dが充電方向以外である場合、換言すれば、二次電池14の状態が充電でない場合、放電加速用負荷である可変抵抗26’の二次電池14からの切り離しが未完の状態であることを意味するので、放電加速制御用MPU271は、ステップS23を繰り返す。
極性信号Dが充電方向である場合、換言すれば、二次電池14の状態が充電に変化した場合、放電加速用負荷である可変抵抗26’の二次電池14からの切り離しが完了した状態であることを意味するので、放電加速制御用MPU271は、バイパス用リレー23’のオンを指示する駆動信号Rを生成してバイパス用リレー23’に供給することにより、バイパス用リレー23’をオンとする(ステップS24)。これにより、制限抵抗である固定抵抗22’がバイパス用リレー23’によりバイパスされる。
この後、放電加速制御用MPU271は、極性信号C及び極性信号Dが充電方向電流及び放電方向電流が検出されたことを示しているか否かを判断する(ステップS25)。充電方向電流及び放電方向電流が検出されたことを示している場合、換言すれば、何らかの電流がある場合、二次電池14の充電が未完の状態であることを意味するので、放電加速制御用MPU271は、ステップS25を繰り返す。
充電方向電流及び放電方向電流が検出されないことを示している場合、換言すれば、何らかの電流がない場合、二次電池14の充電が完了した状態であることを意味するので、放電加速制御用MPU271は、バイパス用リレー23’の切断を指示する駆動信号Rを生成してバイパス用リレー23’に供給することにより、バイパス用リレー23’をオフとする(ステップS26)。これにより、制限抵抗である固定抵抗22’のバイパス用リレー23’によるバイパスが停止される。
この後、放電加速制御用MPU271は、バイパス用リレー23’が動作に要する時間が経過するまで待つ(ステップS27)。バイパス用リレー23’が動作に要する時間は、予め知ることができる。
この後、放電加速制御用MPU271は、放電加速制御用FET25’のオンを指示するFET制御信号Fを生成して放電加速制御用FET25’に供給することにより、放電加速制御用FET25’をオンとする(ステップS28)。これにより、放電加速用負荷である可変抵抗26’が二次電池14に接続される。従って、放電加速制御用MPU271は、バイパス用リレー23’を切断した後に、放電加速用負荷である可変抵抗26’を二次電池14に接続することができる。放電加速用負荷である可変抵抗26’の二次電池14への接続により、二次電池14は、放電加速状態となる。この後、放電加速制御用MPU271は、ステップS21を繰り返す。以上により、二次電池14の試験において、コントローラ13から二次電池14の方向へ過大電流が流れることを防止しつつ二次電池14の放電を加速することができ、また、オペレータの介入なしで、二次電池14の充電及び放電を繰り返すことができる。