JP5910335B2 - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
シアン、マゼンダ、イエローといった有彩色インクを吐出する各ノズル列と、ブラックといった無彩色インクを吐出するノズル列とを有する印刷ヘッドを搭載したプリンターが知られている。このようなプリンターにおいては、各ノズル列による印刷媒体のある領域に対する走査(インクの吐出を伴う移動。パスとも言う。)により、当該領域にカラー画像を再現する。関連技術として、1走査目でカラー用記録ヘッドからシアンの記録が行なわれ、同時にブラック用記録ヘッドからブラックを記録するためのデータの総ドット数の50%分の記録が行なわれ、2走査目では1スキャン目でシアンとブラックの記録が行なわれた領域に、マゼンダとブラックの残り50%の記録が行なわれ、さらに3走査目で当該領域にイエローの記録が行なわれるインクジェット記録方法が知られている(特許文献1参照。)。
特開平7‐237346号公報
上述したようなプリンターにおいて、印刷ヘッドの1回の走査中に複数色のインクが共に印刷媒体に吐出される場合、印刷媒体に着弾した各インクによる発色は、互いの影響を受ける。具体的には、有彩色インクは、共に吐出されたブラックインクの量によって発色の度合いが異なる。また、共に吐出されるブラックインクによる影響の度合いは、有彩色インク毎に差がある。従って、このような影響を特に受け易い有彩色のインクとともに吐出されるブラックインクのインク量を適切に制御する必要があった。また、各有彩色の印刷媒体上での発色度合いにばらつきが生じないように、各有彩色のインクとともに吐出されるブラックインクのインク量を全体的に制御する必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、印刷媒体に吐出されるインクの発色の向上および色むらの抑制を実現することにより、従来よりも高品質な印刷結果を得ることが可能な印刷装置および印刷方法を提供する。
本発明の態様の一つは、無彩色インクを吐出するための複数のノズルからなる無彩色ノズル列と有彩色インクを吐出するための複数のノズルからなる有彩色ノズル列であって複数の有彩色インク毎に設けられた複数の有彩色ノズル列とを備え第1方向に沿って移動可能な印刷ヘッドと、印刷媒体を当該第1方向に略直交する第2方向へ搬送する搬送機構と、を備える印刷装置であって、上記印刷ヘッドは、上記移動に伴い上記印刷媒体の共通範囲に対して無彩色ノズル列から無彩色インクを吐出するとともに複数の有彩色ノズル列のいずれか一つから有彩色インクを吐出し、上記共通範囲に対して上記複数の有彩色インクのうち最も輝度が高い有彩色インクを吐出する第1有彩色ノズル列からの有彩色インクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量は、上記共通範囲に対して上記最も輝度が高い有彩色インクとは別の有彩色インクを吐出する第2有彩色ノズル列からの有彩色インクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない。
輝度の高い有彩色インクは、共に吐出される無彩色インクの影響により印刷媒体上での発色が低くなり易いという特徴がある。本発明によれば、印刷ヘッドが吐出可能な有彩色インクのうち最も輝度が高い有彩色インクとともに吐出される無彩色インクのインク量(≠0)は、別の有彩色インクとともに吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない。よって、当該最も輝度が高い有彩色インクが、共に吐出される無彩色インクの影響を受けてその発色度合いが大きく抑制されてしまうことを、回避することができる。
すなわち本発明によれば、輝度の高い有彩色インクほど、共に吐出される無彩色インクのインク量を少なくすることで、結果、各有彩色インクの発色がバランスよく確保され、色むらの少ない高品質な印刷結果を得ることができる。
本発明の態様の一つは、上記第1有彩色ノズル列は、イエローインクを吐出する構成としてある。つまり、上記最も輝度が高い有彩色インクはイエローインクである。イエローインクは、無彩色インクと共に印刷媒体に吐出された場合、観察される発色の低下度合いが他の有彩色インクと比較して大きい。言い換えると、無彩色インクと共に印刷媒体に着弾したイエローインクは、そのイエロー色が無彩色インクによって消されやすい。そのため、当該構成によれば、イエローインクの発色度合いの低下を適切に回避することができる。
本発明の態様の一つは、上記複数の有彩色インクには、イエローインクに加え、シアンインクおよびマゼンダインクが含まれる。そして、上記共通範囲に対してシアンインクを吐出する第2有彩色ノズル列からのシアンインクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量は、上記共通範囲に対して第1有彩色ノズル列からのイエローインクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量以上であり、かつ、上記共通範囲に対してマゼンダインクを吐出する第2有彩色ノズル列からのマゼンダインクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない。つまり、シアン、マゼンダ、イエローの各インクの輝度を比較すると、イエローインクの輝度>シアンインクの輝度>マゼンダインクの輝度、である。そのため、イエロー、シアン、マゼンダの各インクとそれぞれ共に吐出される無彩色インクのインク量は、イエローインクと共に吐出される無彩色インクのインク量≦シアンインクと共に吐出される無彩色インクのインク量<マゼンダインクと共に吐出される無彩色インクのインク量、となるようにする。
本発明の態様の一つは、上記第1有彩色ノズル列と第2有彩色ノズル列は、上記無彩色ノズル列と平行に配置され、かつ、列の接線方向においてずれて配置され、上記第1有彩色ノズル列と対を成し上記無彩色ノズル列の一部を構成する第1無彩色ノズル群から吐出される無彩色インクのインク量は、上記第2有彩色ノズル列と対を成し上記無彩色ノズル列の一部を構成する第2無彩色ノズル群から吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない、構成としてある。当該構成によれば、第1有彩色ノズル列および第1無彩色ノズル群による走査と、第2有彩色ノズル列および第2無彩色ノズル群による走査とで共通範囲へインクの記録を行なう場合に、輝度の高い有彩色インクほど、共に吐出される無彩色インクのインク量を少なくすることで、各有彩色インクの発色がバランスよく確保され、色むらの少ない高品質な印刷結果を得ることができる。
本発明の態様の一つは、上記印刷ヘッドは、上記第1方向に沿った往路移動および復路移動のそれぞれにおいてインクを吐出可能であり、上記共通範囲に対して往路移動に伴って無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量の総量と復路移動に伴って無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量の総量とを略均一とする。上記往路移動と復路移動とでは、印刷媒体に対して有彩色インクと無彩色インクが着弾する順序が反転するため、このような着弾順の反転に起因して印刷媒体上で色むらが発生し得る。しかし、当該構成によれば、共通範囲に対する往路移動で無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクの総インク量と復路移動で無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクの総インク量との間に偏りがほぼ無いため、当該共通範囲における色むらが緩和される。
本発明の態様の一つは、上記印刷ヘッドは、上記移動に伴い上記共通範囲に対して無彩色ノズル列から無彩色インクを吐出するとともに複数の有彩色ノズル列のいずれか一つから有彩色インクを吐出するパス処理を、当該共通範囲に対して上記有彩色インクの数の整数倍の回数実行し、当該共通範囲に対して最初のパス処理において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量と最後のパス処理において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量との各々を、当該共通範囲に対して最初と最後以外のパス処理の少なくとも1回において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量よりも少なくする。各パス処理で記録した各画像には、印刷媒体の搬送量の微妙な誤差や印刷ヘッドによる記録位置の微妙な誤差等に起因して、若干の位置ずれが生じることがある。このような位置ずれは、最初のパス処理と最後のパス処理で記録した画像間において最も顕著に表れ易い。しかし、当該構成によれば、最初のパス処理において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量と最後のパス処理において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量とをより少なくするため、上記位置ずれによる画質への影響(印刷結果のぼやけ)を緩和することができる。
本発明にかかる技術的思想は印刷装置という形態のみで実現されるものではなく、他の物(装置)によって具現化されてもよい。また、上述したいずれかの態様の印刷装置の特徴に対応した工程を備える方法(印刷方法)の発明や、当該方法を所定のハードウェア(コンピューター)に実行させるプログラムの発明や、当該プログラムを記録したコンピューター読取可能な記録媒体の発明も、把握することができる。また、印刷装置は、単体の装置によって実現されてもよいし、複数の装置の組合せによって実現されてもよい。
ハードウェア構成およびソフトウェア構成を示す図である。 印刷ヘッドにおけるノズル配列を例示する図である。 印刷制御処理を例示するフローチャートである。 各パスおよび各ノズルに対するハーフトーンデータの割り当ての一例を説明するための図である。 ノズルグループ用マスクの一例を示す図である。 双方向印刷によるドットの着弾順の反転を説明するための図である。 各パスおよび各ノズルに対するハーフトーンデータの割り当ての他の例を説明するための図である。 各パスおよび各ノズルに対するハーフトーンデータの割り当ての他の例を説明するための図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
1.装置の概略
図1は、本実施形態にかかるハードウェア構成およびソフトウェア構成を概略的に示している。図1では、パーソナルコンピューター(PC)としてのコンピューター10と、プリンター50とを示している。コンピューター10及びプリンター50の組合せ、または、プリンター50は、印刷装置あるいは印刷制御装置に該当する。また、コンピューター10及びプリンター50は、一つの印刷システム1を構成するとも言える。コンピューター10においては、CPU11が、ハードディスクドライブ(HDD)20等に記憶されたプログラムデータ21をRAM12に展開してOSの下でプログラムデータ21に従った演算を行なうことにより、プリンター50を制御するためのプリンタードライバー13が実行される。プリンタードライバー13は、画像データ取得部13a、色変換処理部13b、ハーフトーン(HT)処理部13c、ラスタライズ処理部13d等の各機能をCPU11に実行させるためのプログラムである。これら各機能については後述する。
コンピューター10には、表示部としてのディスプレー30が接続されており、ディスプレー30には各処理に必要なユーザーインターフェイス(UI)画面が表示される。また、コンピューター10は、例えば、キーボードやマウスやタッチパッドやタッチパネル等により実現される操作部40を適宜備え、各処理に必要な指示がユーザーにより操作部40を介して入力される。また、コンピューター10には、プリンター50が接続される。後述するように、コンピューター10においては、プリンタードライバー13の機能により、印刷対象画像を表現した画像データに基づいて印刷コマンドが生成され、印刷コマンドがプリンター50に対して送信される。
プリンター50においては、CPU51が、ROM53等のメモリーに記憶されたプログラムデータ54をRAM52に展開してOSの下でプログラムデータ54に従った演算を行なうことにより、自機を制御するためのファームウェアFWが実行される。ファームウェアFWは、コンピューター10から送信された印刷コマンドを解釈して駆動データを抽出し、ASIC56に送ることにより、駆動データに基づいた印刷を実行させることができる。またファームウェアFWは、印刷対象画像を表現した画像データを、図示しない外部接続用のコネクタに装着されたメモリーカードや、外部装置(例えばコンピューター10)等から取得し、取得した画像データに基づいて駆動データを生成することもできる。このようにファームウェアFWの機能により駆動データを生成した場合も、駆動データはASIC56に送られる。
ASIC56は駆動データを取得し、駆動データに基づいて、搬送機構57や、キャリッジモーター58や、印刷ヘッド62を駆動するための駆動信号を生成する。プリンター50はキャリッジ60を備えており、キャリッジ60は複数種類のインク毎のインクカートリッジ61を搭載している。図1の例では、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各種インクに対応したインクカートリッジ61が搭載されている。
なお、プリンター50が使用するインクの具体的な種類や数は上述したものに限られず、例えば、ライトシアン、ライトマゼンダ、オレンジ、グリーン、グレー、ライトグレー、ホワイト、メタリックインク…等、種々のインクを使用可能である。また、インクカートリッジ61は、キャリッジ60に搭載されずにプリンター50内の所定位置に設置されるとしてもよい。キャリッジ60は、各インクカートリッジ61から供給されるインクを多数のノズルから噴射(吐出)する印刷ヘッド62を備える。
図2は、印刷ヘッド62の下面(印刷媒体と相対する面)におけるノズルの配列を一例によりしている。印刷ヘッド62の下面には、無彩色インクとしてのKインクを吐出するための複数のノズルNz(Kノズル)からなる無彩色ノズル列62aと、有彩色インクとしてのCMYインクを吐出するための複数のノズルNzからなる有彩色ノズル列62bとが形成されている。無彩色ノズル列62aと有彩色ノズル列62bは互いに平行であり、かつ、第1方向に対して略直交する第2方向(図2参照)に沿って整列した複数のノズルNzによってそれぞれ構成されている。第1方向は印刷ヘッド62の主走査方向であり、第2方向はプリンター50における印刷媒体の搬送方向である。また、第2方向は、副走査方向とも呼ぶ。
無彩色ノズル列62a、有彩色ノズル列62bそれぞれにおけるノズルNzの密度(ノズル数/インチ)は、プリンター50による副走査方向の印刷解像度(dpi)に等しい。なお、無彩色ノズル列62aや有彩色ノズル列62bは、副走査方向に沿って並んだ1列のノズル列のみで構成されるだけでなく、例えば、平行であって且つ副走査方向において所定ピッチずれた複数列のノズル列で構成されていてもよい。有彩色ノズル列62bは、さらに、Cインクを吐出するための複数のノズルNz(Cノズル)からなるノズル列(Cノズル列)、Mインクを吐出するための複数のノズルNz(Mノズル)からなるノズル列(Mノズル列)、Yインクを吐出するための複数のノズルNz(Yノズル)からなるノズル列(Yノズル列)を含む。言い換えると、Cノズル列、Mノズル列、Yノズル列は、それらの接線方向において互いにずれて形成されており、全体で有彩色ノズル列62bを構成している。Cノズル列、Mノズル列、Yノズル列は、それぞれ同数のノズルNzを有する。
さらにCノズル列、Mノズル列、Yノズル列のそれぞれは、無彩色ノズル列62aの一部であって対を成す部分とともに、ノズルグループG1,G2,G3を構成している。ここで、“対を成す”とは、副走査方向における同一範囲に収まっていることを意味する。具体的には、Cノズル列と、無彩色ノズル列62aの一部であってCノズル列と対を成す部分とが、ノズルグループG1を構成する。同様に、Mノズル列と無彩色ノズル列62aの一部であってMノズル列と対を成す部分とがノズルグループG2を構成し、Yノズル列と無彩色ノズル列62aの一部であってYノズル列と対を成す部分とがノズルグループG3を構成している。なお、本実施形態においては、Yインクは有彩色インク(CMYインク)の中で最も輝度が高いインクに該当するため、Yノズル列は第1有彩色ノズル列に該当し、他のCノズル列、Mノズル列はそれぞれ第2有彩色ノズル列に該当する。また、無彩色ノズル列62aのうちノズルグループG3に含まれる部分は、第1無彩色ノズル群に該当し、無彩色ノズル列62aのうちノズルグループG3以外の部分の全部あるいは一部は、第2無彩色ノズル群に該当する。
このような印刷ヘッド62においては、印刷媒体上で副走査方向に一定幅を有する領域(バンド)を、ノズルグループG1,G2,G3それぞれによって印刷することが可能である。つまり、1つのバンドに対し、ノズルグループG1,G2,G3それぞれによる印刷が行なわれることで、CMYKによるカラー画像が当該1つのバンドにおいて完成する。1つのバンドの上記幅は、ノズルグループ1つ分の長さ(副走査方向における長さ)に相等する。また、1つのバンドは、請求項に言う共通範囲に該当する。
印刷ヘッド62内においては、各ノズルに対し、ノズルからインク滴(ドット)を噴射させるための圧電素子が設けられている。圧電素子は、上記駆動信号が印加されると変形し、対応するノズルからドットを噴射させる。
搬送機構57(図1)は、図示しない紙送りモーターや紙送りローラーを備え、ASIC56に駆動制御されることにより、副走査方向に沿って印刷媒体を搬送する。搬送機構57は、ノズルグループG1,G2,G3のそれぞれに同じバンドに対する印刷を行なわせるために、バンドの幅分の搬送を行なうことができる。
ASIC56にキャリッジモーター58の駆動が制御されることにより、キャリッジ60(および印刷ヘッド62)が主走査方向に沿って移動し、かつASIC56は当該移動に伴って印刷ヘッド62に所定タイミングで各ノズルからインクを吐出させる。これにより、印刷媒体にドットが付着し、印刷コマンドが示す印刷対象画像が印刷媒体上に再現される。プリンター50は、さらに操作パネル59を備える。操作パネル59は、表示部(例えば液晶パネル)や、表示部内に形成されるタッチパネルや、各種ボタンやキーを含み、ユーザーからの入力を受け付けたり、必要なUI画面を表示部に表示したりする。
本実施形態では上述した構成を前提とし、以下に、印刷対象画像をプリンター50で印刷する処理について説明する。当該印刷では、印刷対象画像を構成するためのバンド毎に、有彩色インク数の整数倍(1倍含む。)の回数のパスによって記録を行なう。1回のパス(パス処理)は、印刷ヘッド62が主走査方向の1回の往路移動あるいは1回の復路移動のいずれか一方に伴ってドットを吐出する処理を意味する。
2.印刷制御処理
図3は、印刷制御処理をフローチャートにより示している。ここでは、プリンタードライバー13(印刷制御プログラム)によりCPU11が当該フローチャートを実行するものとして説明をする。当該フローチャートを立ち上げる前提として、プリンタードライバー13は、操作部40を介してユーザーによる任意の印刷対象画像の選択を受け付けているものとする。
ステップS100では、画像データ取得部13aが、印刷対象画像を表現した画像データを、HDD20や図示しない外部接続用のコネクタに装着されたメモリーカード等、所定の格納領域から取得する。ここでは、画像データは、画像を構成する各画素がレッド(R),グリーン(G),ブルー(B)毎の階調値(例えば、0〜255の256階調)を有するRGBデータであるとする。なお、当該画像データがPDL等他の形式で記述されたファイルである場合には、画像データ取得部13aは、当該ファイルを解析してRGBデータに展開する。さらに画像データ取得部13aは、RGBデータに対して、プリンター50における印刷解像度に合わせるための解像度変換処理を適宜実行する。
ステップS110では、色変換処理部13bが、画像データ取得部13aにより取得されたRGBデータを、HDD20等に予め格納された色変換ルックアップテーブル(LUT)を用いて色変換する。色変換LUTは、入力表色系(RGB表色系)と出力表色系(プリンター50が使用するインク種類に対応したインク量空間)との対応関係を複数の入力格子点について規定している。本実施形態の場合、色変換LUTにおいては、各入力格子点に対応付けられた出力値として、C,M,Y,Kの各インクについてのインク量(階調値)が規定されている。色変換の際には、必要に応じて補間演算等が実行される。この結果、RGBデータが、画素毎にC,M,Y,K毎の階調値(例えば、0〜255の256階調)を有するインク量データに変換される。
ステップS120では、HT処理部13cが、インク量データに対してハーフトーン処理を実行することにより、インク種類毎かつ画素毎にドットの記録(ON)又は非記録(OFF)を規定したハーフトーンデータを生成する。ハーフトーン処理は、ディザ法や誤差拡散法等、公知の手法によって実行される。
ステップS130では、ラスタライズ処理部13dが、ハーフトーンデータのインク種類毎かつ画素毎の情報を印刷ヘッド62の各パスおよび各ノズルに割り当てることにより、ハーフトーンデータをプリンター50に転送すべき順に並べ替えた駆動データを含む印刷コマンドを生成する(ラスタライズ処理)。つまり当該ラスタライズ処理によれば、ハーフトーンデータにおいて規定された各ドットは、その画素位置やインク種類に応じて、何番目のパスで、どのノズルによって形成されるかが確定される。なお当該ステップS130では、インク種類毎のハーフトーンデータのうちKインクのハーフトーンデータに対しては、予めHDD20等に記憶されたノズルグループ用マスクM1,M2,M3…(以下、マスクM1,M2,M3…と表記。)を適用することにより、各ドットの記録のタイミングを複数のパスに割り当てる(分散させる)。
図4は、印刷ヘッド62の各パスおよび各ノズルに対するハーフトーンデータの上記割り当ての一例を説明するための図である。図4では、左側において、印刷ヘッド62が1回のパス毎に印刷媒体と相対的に位置が変化する様子を示しており、ここではパス1〜6までの計6回のパスを例示している。また、図4において、有彩色ノズル列62bの「C」と付された部分(Cノズル列)と、当該「C」部分と対を成して「K」と付された無彩色ノズル列62aの一部とは、ノズルグループG1に該当する。同様に、有彩色ノズル列62bの「M」の部分(Mノズル列)と当該「M」部分と対を成して「K」と付された無彩色ノズル列62aの一部とはノズルグループG2に該当し、有彩色ノズル列62bの「Y」の部分(Yノズル列)と当該「Y」部分と対を成して「K」と付された無彩色ノズル列62aの一部とはノズルグループG3に該当する。
また図4では、右側において、上記各パスによって記録される印刷媒体上の各バンド(バンド1〜6)の位置を例示している。なお図4(および後述の図7,8)では、説明の都合上、印刷ヘッド62の位置を第2方向の逆方向へ変化させることで、印刷ヘッド62と印刷媒体との相対的な位置変化を示しているが、実際には、印刷ヘッド62は第1方向に沿った移動しかせず、上述したように印刷媒体が搬送によって第2方向へ移動する。さらに図4では、中央付近において、各バンドを印刷するためのKインクのハーフトーンデータにマスクM1,M2,M3を適用して3回のパスに割り当てる様子を示している。
図5は、本実施形態において用いるマスクM1,M2,M3の一例を示している。各マスクは縦横所定画素数を持った同一サイズであり、それぞれ各画素について「0」又は「1」を保持している。各マスクがそれぞれ保持する「1」の画素位置は互いに異なっており、かつ、各マスク全てを合成(重畳)したときに全画素が「1」となるように構成されている。各マスクにおける「1」は、その位置のドットを、そのマスクが対応するノズルグループに割り当てることを意味する。マスクM1は、ノズルグループG1のために、マスクM2は、ノズルグループG2のために、マスクM3は、ノズルグループG3のために、それぞれ予め用意されたものである。本実施形態では、マスクM1,M2,M3は互いに「1」の割合が異なっており、当該割合は、マスクM2が最も多く全画素の約50%であり、次にマスクM1が多く全画素の約30%であり、マスクM3が最も少なく全画素の約20%である。
このような図4,5によれば、バンド1を印刷するためのKインクのハーフトーンデータは、マスクM1が適用された結果がバンド1を印刷する3回のパスのうち1回目(パス1)に割り当てられ、マスクM2が適用された結果がバンド1を印刷する2回目のパス(パス2)に割り当てられ、マスクM3が適用された結果がバンド1を印刷する3回目のパス(パス3)に割り当てられる。その結果、バンド1を印刷するためのKインクのハーフトーンデータは、(ハーフトーンデータの全画素がドットON(つまりベタ画像)である場合を想定。以下同様。)ドットの約30%がパス1のノズルグループG1のKノズルに、ドットの約50%がパス2のノズルグループG2のKノズルに、ドットの約20%がパス3のノズルグループG3のKノズルに、それぞれ割り当てられる。
他のバンドについても同様の考えであり、例えば、バンド2を印刷するためのKインクのハーフトーンデータは、マスクM1が適用された結果(ドットの約30%)がバンド2を印刷する3回のパスのうち1回目(パス2)におけるノズルグループG1に割り当てられ、マスクM2が適用された結果(ドットの約50%)がバンド2を印刷する2回目のパス(パス3)におけるノズルグループG2に割り当てられ、マスクM3が適用された結果(ドットの約20%)がバンド2を印刷する3回目のパス(パス4)におけるノズルグループG3に割り当てられる。
なお図4(および後述の図7)の例では、Kインク以外のインク種類(CMY)毎のハーフトーンデータは、1つのバンドを印刷する複数回のパスのうち、対応するインク種類のノズル列を有するノズルグループで印刷される1回のパスに100%割り当てられる。例えば、バンド1を印刷するためのCインクのハーフトーンデータは、ドットの100%がパス1のノズルグループG1のCノズルに、バンド1を印刷するためのMインクのハーフトーンデータは、ドットの100%がパス2のノズルグループG2のMノズルに、バンド1を印刷するためのYインクのハーフトーンデータは、ドットの100%がパス3のノズルグループG3のYノズルに、それぞれ割り当てられる。また図4の例では、全てのパスは往路移動とされている。単方向印刷(印刷ヘッド62の往路移動あるいは復路移動のいずれか一方のパスのみで行なう印刷)と、双方向印刷(印刷ヘッド62の往路移動および復路移動のパスで行なう印刷)との選択は、予めユーザーによる操作等に応じて設定されているものとする。
上記ラスタライズ処理により生成された印刷コマンドはプリンター50へ出力される(ステップS140)。結果、プリンター50は送信された印刷コマンドに基づいた印刷対象画像の印刷を印刷媒体に対して実行する。この場合、プリンター50は、印刷ヘッド62の各パスおよび各ノズルにインク種類毎のドットを上述したように割り当ててドットを吐出することにより、複数のバンドからなる画像を完成させる。
このように本実施形態によれば、印刷ヘッド62の複数パスによって印刷媒体におけるバンドを印刷する場合に、印刷ヘッド62が吐出可能な有彩色インクのうち最も輝度が高いYインクとともに吐出されるKインクのインク量を、他の有彩色インク(CインクあるいはMインク)とともに吐出されるKインクのインク量よりも少なくした。従って、最も輝度が高いYインクが、共に吐出されるKインクの影響を大きく受けて印刷媒体上での発色が必要以上に抑制されてしまうことを、回避することができる。
より具体的には、本実施形態では、1つのバンドをノズルグループG1,G2,G3のそれぞれで印刷する場合に、ノズルグループG3により吐出するKインク(同じパスでYインクと共に吐出するKインク)の量を最少とし、ノズルグループG1により吐出するKインク(同じパスでCインクと共に吐出するKインク)の量を次に少なくし、ノズルグループG2により吐出するKインク(同じパスでMインクと共に吐出するKインク)の量を最多とした。つまり、輝度の高い有彩色インクほど共に吐出されるKインクのインク量を少なくしたため、各有彩色インクの発色がバランスよく確保され、有彩色間での濃淡差(色むら)の少ない高品質な印刷結果を得ることができる。
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形例も可能である。以下では、上述の実施形態と異なる点について主に説明する。また、上述の実施形態や変形例を適宜組み合わせた内容も、本発明の開示範囲である。
変形例1:
上記実施形態では、単方向印刷の場合を想定して説明を行なったが、本発明は双方向印刷においても適用可能である。ここで、双方向印刷では、往路移動と復路移動とで印刷媒体に対するドットの着弾順が反転することから、当該反転に起因する色むらの問題が生じ得る。
図6A,Bは、ドットの反転を簡易的に説明するための図であり、印刷媒体の搬送方向の視点により印刷ヘッド62と印刷媒体Sとの位置関係を示している。図6Aでは、印刷ヘッド62の往路移動時に印刷媒体Sに対して無彩色ノズル列62aおよび有彩色ノズル列62bからドットが吐出される様子を示している。図6Aの例によれば、無彩色ノズル列62aは有彩色ノズル列62bよりも移動方向前方に位置しているため、Kインクのドットが先に印刷媒体Sに着弾し、その上に有彩色インク(例えばCインク)のドットが着弾する。一方、図6Bでは、印刷ヘッド62の復路移動時に印刷媒体Sに対して無彩色ノズル列62aおよび有彩色ノズル列62bからドットが吐出される様子を示している。図6Bの例によれば、無彩色ノズル列62aは有彩色ノズル列62bよりも移動方向後方に位置しているため、有彩色インク(例えばCインク)のドットが先に印刷媒体Sに着弾し、その上にKインクのドットが着弾する。
このように有彩色インクがKインクよりも後に着弾した箇所と、有彩色インクがKインクよりも先に着弾した箇所とでは、ユーザーが認識する色味は同一ではない。基本的には、先に着弾したインクの色の影響が強くなる。そのため、ドットの着弾順が反転している箇所が印刷媒体上で並存していると、その並存の態様に応じて色むらが発生してしまう。そこで当該変形例では、このような反転に起因する色むらを抑制する工夫をしている。
図7は、印刷ヘッド62の各パスおよび各ノズルに対するハーフトーンデータの上記割り当ての一例を説明するための図であって、図4とは異なる例を示している。図7は、図4と比較した場合に双方向印刷である点で異なる。例えば、偶数目のパス(パス2,4,6…)が復路移動により実現される。従って、1つのバンドを印刷するためのノズルグループG1,G2,G3による計3回のパスのうち1回目および3回目のパスが往路移動(あるいは復路移動)となり、2回目のパスが復路移動(あるいは往路移動)となる。また、図7では、マスクM1はノズルグループG1のために、マスクM2はノズルグループG2のために、マスクM3はノズルグループG3のためにそれぞれ予め用意されたものであり、往路移動のパスに適用されるマスクにおける「1」と復路移動のパスに適用されるマスクにおける「1」との割合が略等しくなるように設定されている。具体的には、図7の例では、マスクM1とマスクM3における「1」の割合の合計が全画素の約50%(25%+25%)であり、マスクM2における「1」の割合が全画素の約50%となっている。
このような図7によれば、例えば、バンド1を印刷するためのKインクのハーフトーンデータは、マスクM1が適用された結果(ドットの約25%)がパス1(往路移動)のノズルグループG1のKノズルに、マスクM2が適用された結果(ドットの約50%)がパス2(復路移動)のノズルグループG2のKノズルに、マスクM3が適用された結果(ドットの約25%)がパス3(往路移動)のノズルグループG3のKノズルに、それぞれ割り当てられる。また、他のバンドについても同様の考えであり、例えば、バンド2を印刷するためのKインクのハーフトーンデータは、マスクM1が適用された結果(ドットの約25%)がパス2(復路移動)のノズルグループG1のKノズルに、マスクM2が適用された結果(ドットの約50%)がパス3(往路移動)のノズルグループG2のKノズルに、マスクM3が適用された結果(ドットの約25%)がパス4(復路移動)のノズルグループG3のKノズルに割り当てられる。
当該変形例1によれば、往路移動により吐出されるKインクの総量と復路移動で吐出されるKインクの総量とがバンド単位で略均一となる。そのため、有彩色インクがKインクよりも後に着弾した箇所と有彩色インクがKインクよりも先に着弾した箇所との面積比がバンド内で略等しくなり、上述したような反転に起因する色むらが印刷結果全体で均されて目立たなくなる。
また当該変形例1においても、有彩色インクのうち最も輝度が高いYインクとともに吐出されるKインクのインク量を最も少なくした(Cインクとともに吐出されるKインクのインク量と同じとした)。従って、最も輝度が高いYインクが、共に吐出されるKインクの影響を大きく受けて印刷媒体上での発色が必要以上に抑制されてしまうことを回避することができる。
ここで、印刷媒体の搬送と印刷ヘッド62の主走査方向に沿った移動とを組み合わせて複数パスで画像を印刷するプリンター50においては、パスとパスの間における毎回の搬送において搬送量を完全に一致させることは容易ではなく、印刷媒体の搬送には微妙な誤差が伴うことがある。また、印刷媒体は、液体(インク)が付着することで局所的に伸縮等が発生し、媒体が微妙に波打った形状へ変化することもある。そのため、1つのバンドに対して1つのノズルグループで印刷した後、印刷媒体の搬送を経て他のノズルグループで更に印刷を行なう場合に、このような搬送量の誤差や印刷媒体の形状変化に起因し、先に印刷された画像に対して搬送方向に沿ってずれた位置に次の画像が印刷されてしまうことがある。さらに、1つのバンドに対して複数パスで画像を印刷する場合(特に双方向印刷の場合)に、キャリッジ60の機械的誤差等に起因して各パスによる各画像の主走査方向における位置が完全に一致しないこともある。
このような搬送方向における位置ずれや主走査方向における位置ずれは、印刷完了時の画質低下(印刷結果のぼやけ)に繋がり得る。また、これら位置ずれは、パス数を重ねるほどに蓄積されるため、最初のパスと最後のパスで記録した画像間において最も顕著に表れ易い。しかし、当該変形例1によれば、図7に示したマスクM1,M2,M3を用いることにより、1つのバンドに対して最初のパスにおいて吐出するKインクのインク量(KインクのハーフトーンデータにマスクM1を適用したことによるインク量(=25%))と最後のパス処理において吐出するKインクのインク量(KインクのハーフトーンデータにマスクM3を適用したことによるインク量(=25%))との各々を、当該1つのバンドに対して最初と最後以外のパスにおいて吐出するKインクのインク量(KインクのハーフトーンデータにマスクM2を適用したことによるインク量(=50%))よりも少なくする。そのため、1つのバンドに対し最初のパスと最後のパスで記録した画像間において上記位置ずれが発生していたとしても、上記位置ずれの結果が目立たず、上記位置ずれによる画質への影響(印刷結果のぼやけ)を緩和することができる。すなわち、当該変形例1によれば、よりシャープな印刷結果を得ることができ、特にKインクを多用する文字の印刷時において良好な画質(シャープな文字)を得ることができる。
変形例2:
図8は、印刷ヘッド62の各パスおよび各ノズルに対するハーフトーンデータの上記割り当ての一例を説明するための図であって、図4,7とは異なる例を示している。図8は、図7と比較した場合、双方向印刷である点で共通するが、1つのバンドを各ノズルグループG1,G2,G3による2回のパス(計6回のパス)で印刷する点で異なる。例えば、バンド1であれば、パス1(往路移動)およびパス2(復路移動)でノズルグループG1により印刷し、パス3(往路移動)およびパス4(復路移動)でノズルグループG2により印刷し、パス5(往路移動)およびパス6(復路移動)でノズルグループG3により印刷する。また、図8では、マスクM1は、往路移動時のノズルグループG1のために、マスクM2は、復路移動時のノズルグループG1のために予め用意されたものである。同様に、マスクM3は往路移動時のノズルグループG2のために、マスクM4は復路移動時のノズルグループG2のために、マスクM5は往路移動時のノズルグループG3のために、マスクM6は復路移動時のノズルグループG3のために、それぞれ予め用意されたものである。
図8の例では、各マスクM1〜M6は、往路移動のパスに適用されるマスクにおける「1」と復路移動のパスに適用されるマスクにおける「1」との割合が略等しくなるように設定されている。具体的には、マスクM1,M3,M5における「1」の割合の合計が全画素の約50%(17%+17%+17%)であり、マスクM2,M4,M6における「1」の割合の合計が全画素の約50%(10%+30%+10%)となっている。このような図8によれば、例えば、バンド1を印刷するためのKインクのハーフトーンデータは、マスクM1が適用された結果(ドットの約17%)がパス1(往路移動)のノズルグループG1のKノズルに、マスクM2が適用された結果(ドットの約10%)がパス2(復路移動)のノズルグループG1のKノズルに、マスクM3が適用された結果(ドットの約17%)がパス3(往路移動)のノズルグループG2のKノズルに、マスクM4が適用された結果(ドットの約30%)がパス4(復路移動)のノズルグループG2のKノズルに、マスクM5が適用された結果(ドットの約17%)がパス5(往路移動)のノズルグループG3のKノズルに、マスクM6が適用された結果(ドットの約10%)がパス6(復路移動)のノズルグループG3のKノズルに、それぞれ割り当てられる。
当該変形例2によっても、往路移動により吐出されるKインクの総量と復路移動で吐出されるKインクの総量とがバンド単位で略均一となる。そのため、上述したような反転に起因する色むらが印刷結果全体で均され目立たなくなる。また当該変形例2においても、有彩色インクのうち最も輝度が高いYインクとともに吐出されるKインクのインク量を最も少なくした(Cインクとともに吐出されるKインクのインク量と同じとした)。従って、最も輝度が高いYインクが、共に吐出されるKインクの影響を大きく受けて印刷媒体上での発色が必要以上に抑制されてしまうことを回避することができる。さらに当該変形例2によれば、1バンドあたり6パスという多数のパスで印刷することにより、印刷媒体に吐出される各ドットの乾燥時間を比較的長く確保することができ、発色がより良好であり、且つ、にじみの少ない印刷結果を得ることができる。なお図8の例では、CMY毎のハーフトーンデータは、1つのバンドについて、対応するインク種類のノズルを有するノズルグループで印刷される複数回(2回)のパスの内いずれか1回のパスに100%割り当てられるとしてもよいし、当該複数回のパスに分けて割り当てられるとしてもよい。
その他:
図5に例示したように、これまで説明した各マスクM1,M2,M3…における「1」は、マスク内に分散性をもって配置されているものとする。各マスクM1,M2,M3…における「1」の配置に分散性を持たせることにより、例えば、有彩色インクと無彩色インクとの着弾順が互いに反転した各箇所が印刷媒体上でランダムに存在するようになり、当該反転に起因する色むらがより緩和される。
ただし、各マスクM1,M2,M3…における「1」の配置態様は適宜変更可能であり、一定の規則性を持たせて配置してもよい。また、これまで説明した各マスクM1,M2,M3…における「1」の割合を示す具体的数値はあくまで一例であり、上述の実施形態や変形例の思想に合致した数値であれば、あらゆる数値を採用することができる。たとえば、上記変形例1において、1つのバンドに対する最初のパスへのKインクの割り当てに用いられるマスクが規定する「1」の割合と、当該1つのバンドに対する最後のパスへのKインクの割り当てに用いられるマスクが規定する「1」の割合とは、一致していなくてもよい。
上記では印刷制御処理をコンピューター10が実行する場合を例に説明を行なったが、印刷制御処理(各変形例を含む。)はプリンター50内で行なわれるとしてもよい。つまり、プリンター50のCPU51がファームウェアFW(印刷制御プログラム)を実行することにより、画像データ取得部13a、色変換処理部13b、HT処理部13c、ラスタライズ処理部13dといった上述の各機能がプリンター50内で実現され、図3のフローチャートが実現されるとしてもよい。この場合、プリンター50内のROM53にマスクM1,M2,M3等、処理に必要な情報が予め格納されている。また、CPU51は、印刷対象画像についての印刷方法の選択(単方向印刷、双方向印刷の選択など)や印刷実行指示のための操作など、印刷に必要な各種情報や指示を、操作パネル59を介してユーザーから受け付ける。この結果、上述したようにファームウェアFWの機能により駆動データが生成される。或いは、図3のフローチャートを、プリンタードライバー13とファームウェアFWとで分担して実現するとしてもよい。
1…印刷システム、10…コンピューター、11…CPU、12…RAM、13…プリンタードライバー、13a…画像データ取得部、13b…色変換処理部、13c…HT処理部、13d…ラスタライズ処理部、20…HDD、30…ディスプレー、40…操作部、50…プリンター、51…CPU、52…RAM、53…ROM、59…操作パネル、61…インクカートリッジ、62…印刷ヘッド、62a…無彩色ノズル列、62b…有彩色ノズル列、G1,G2,G3…ノズルグループ、M1,M2,M3,M4,M5,M6…マスク

Claims (7)

  1. 無彩色インクを吐出するための複数のノズルからなる無彩色ノズル列と有彩色インクを吐出するための複数のノズルからなる有彩色ノズル列であって複数の有彩色インク毎に設けられた複数の有彩色ノズル列とを備え第1方向に沿って移動可能な印刷ヘッドと、印刷媒体を当該第1方向に略直交する第2方向へ搬送する搬送機構と、を備える印刷装置であって、
    上記印刷ヘッドは、上記移動に伴い上記印刷媒体の共通範囲に対して無彩色ノズル列から無彩色インクを吐出するとともに複数の有彩色ノズル列のいずれか一つから有彩色インクを吐出し、
    上記共通範囲に対して上記複数の有彩色インクのうち最も輝度が高い有彩色インクを吐出する第1有彩色ノズル列からの有彩色インクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量は、上記共通範囲に対して上記最も輝度が高い有彩色インクとは別の有彩色インクを吐出する第2有彩色ノズル列からの有彩色インクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない、ことを特徴とする印刷装置。
  2. 上記第1有彩色ノズル列は、イエローインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
  3. 上記複数の有彩色インクには、シアンインクおよびマゼンダインクが含まれ、
    上記共通範囲に対してシアンインクを吐出する第2有彩色ノズル列からのシアンインクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量は、上記共通範囲に対して第1有彩色ノズル列からのイエローインクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量以上であり、かつ、上記共通範囲に対してマゼンダインクを吐出する第2有彩色ノズル列からのマゼンダインクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない、ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
  4. 上記第1有彩色ノズル列と第2有彩色ノズル列は、上記無彩色ノズル列と平行に配置され、かつ、列の接線方向においてずれて配置され、
    上記第1有彩色ノズル列と対を成し上記無彩色ノズル列の一部を構成する第1無彩色ノズル群から吐出される無彩色インクのインク量は、上記第2有彩色ノズル列と対を成し上記無彩色ノズル列の一部を構成する第2無彩色ノズル群から吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない、ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
  5. 上記印刷ヘッドは、上記第1方向に沿った往路移動および復路移動のそれぞれにおいてインクを吐出可能であり、上記共通範囲に対して往路移動に伴って無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量の総量と復路移動に伴って無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量の総量とを略均一とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷装置。
  6. 上記印刷ヘッドは、上記移動に伴い上記共通範囲に対して無彩色ノズル列から無彩色インクを吐出するとともに複数の有彩色ノズル列のいずれか一つから有彩色インクを吐出するパス処理を、当該共通範囲に対して上記有彩色インクの数の整数倍の回数実行し、当該共通範囲に対して最初のパス処理において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量と最後のパス処理において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量との各々を、当該共通範囲に対して最初と最後以外のパス処理の少なくとも1回において無彩色ノズル列から吐出する無彩色インクのインク量よりも少なくする、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の印刷装置。
  7. 無彩色インクを吐出するための複数のノズルからなる無彩色ノズル列と有彩色インクを吐出するための複数のノズルからなる有彩色ノズル列であって複数の有彩色インク毎に設けられた複数の有彩色ノズル列とを備え第1方向に沿って移動可能な印刷ヘッドと、印刷媒体を当該第1方向に略直交する第2方向へ搬送する搬送機構と、を備える印刷装置による印刷方法であって、
    上記印刷ヘッドは、上記移動に伴い上記印刷媒体の共通範囲に対して無彩色ノズル列から無彩色インクを吐出するとともに複数の有彩色ノズル列のいずれか一つから有彩色インクを吐出し、
    上記共通範囲に対して上記複数の有彩色インクのうち最も輝度が高い有彩色インクを吐出する第1有彩色ノズル列からの有彩色インクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量は、上記共通範囲に対して上記最も輝度が高い有彩色インクとは別の有彩色インクを吐出する第2有彩色ノズル列からの有彩色インクの吐出とともに無彩色ノズル列から吐出される無彩色インクのインク量よりも少ない、ことを特徴とする印刷方法。
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