JP5908178B2 - 粒間腐食に対して耐性を有するアルミニウム合金 - Google Patents

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Description

本発明は、アルミニウム合金と、アルミニウム合金ストリップまたはシートの使用と、アルミニウム合金ストリップまたはシートを製造するための方法とに関する。
船舶、自動車および航空機の建造において5xxx系アルミニウム/マグネシウム(AlMg)合金は、シートまたはプレートまたはストリップの形態で溶接または接合構造物の建造に使用される。こうした合金は特に高レベルの強度を特徴とし、AlMg合金の強度レベルは、マグネシウム含有量が増加するにつれて高まる。5xxx系アルミニウム合金の典型的な代表例には、たとえば、AA5049系、AA5454系またはAA5918系のアルミニウム合金がある。これらの合金は、AlMg2Mn(5049)アルミニウム合金、AlMg3Mn(5454)アルミニウム合金、またはAlMg3.5Mn(5918)アルミニウム合金である。絶えず一層の軽量化が要求されており、より強度レベルがより高く、したがって所望の強度レベルを得るためその分マグネシウム(Mg)含有量のより高いアルミニウム合金が求められている。2.4重量%超のMg含有量を有するAlMgMnアルミニウム合金の問題は、高温に曝される時間が長くなると粒間腐食の傾向が高まることである。2.4重量%超のマグネシウムを有するAlMgMnアルミニウム合金の場合、70〜200℃の温度でβ−AlMg相が粒界に沿って析出することが明らかになっている。粒界がβ粒子に連続的に占有され、かつ腐食媒体が存在すると、そうしたβ相の溶解により粒界に沿って選択的腐食攻撃が起こり得る。その結果、これにより、Mg含有量が高いアルミニウム合金は、熱負荷がかかる領域に使用できないか、あるいはMg含有量を減らして熱の発生に伴うβ−AlMg粒子の析出を最小限に抑え、β−AlMg粒子による粒界の連続的占有を排除するようにしなければならない。この問題に対する解決策は既に従来技術に提示されている。たとえば、特許文献1には、加熱に伴う感受性化後でも特定のアルミニウム合金組成によって粒間腐食の感受性を著しく低下させることが提案されている。このため、同文献では、以下のアルミニウム合金組成:
3.1% <Mg<4.5%、
0.4% <Mn<0.85%、
0.4% <Zn<0.8%、
0.06%<Cu<0.35%、
Cr<0.25%、
Fe<0.35%、
Si<0.2%、
Zr<0.25%、
Ti<0.3%、
何れの場合も≦0.05%、かつ合計で最大0.15%の不純物、残部アルミニウム、
を提案している。
独国特許出願公開第102 31 437(A1)号 国際公開第99/42627号
しかしながら、ASTM G67規格に準拠して測定および評価された粒間腐食の感受性に関する結果は、改善が可能であることが明らかになっている。さらに、アルミニウム合金では、アルミニウム合金の再利用にとって決定的に重要と考えられるジルコニウムの含有量を最大0.25重量%にすることが可能である。さらに特許文献2からは、ジルコニウムを含むアルミニウム合金は、ASTM G67試験において非常に良好な結果が得られたものの、必然的に存在するジルコニウム含有量により使用が問題になることも知られている。
これに基づき、本発明の目的は、粒間腐食の傾向が非常にごくわずかであり、すなわち、ASTM G67試験において質量減少値が<15mg/cmであり、高レベルの強度および優れた変形能を同時に与え、かつアルミニウム合金の再利用が簡素化されるような標準的な合金成分を含む、アルミニウム合金を提供することである。さらに、アルミニウムの使用とアルミニウム合金の製品を製造するための方法とを提案することを意図している。
本発明の第1の教示によれば、アルミニウム合金に関する上記に提示した問題は、アルミニウム合金が、以下の重量%の組成を有する合金成分を含むことで解決される。
2.91%≦Mg≦4.5%、
0.5% ≦Mn≦0.8%、
0.05%≦Cu≦0.30%、
0.05%≦Cr≦0.30%、
0.05%≦Zn≦0.9%、
Fe≦0.40%、
Si≦0.25%、
Ti≦0.20%、
残部Al、および個別に0.05%未満、合計で最大0.15%の不純物、ここで合金成分Zn、Cr、CuおよびMnに下記:
(2.3*%Zn+1.25*%Cr+0.65*%Cu+0.05*%Mn)+2.4≧%Mg
が適用される。
「%Zn」、「%Cr」、「%Cu」、「%Mn」および「%Mg」は、何れの場合も重量%単位の合金成分の含有量に相当する。本発明による組成は、少なくとも2.91重量%のマグネシウム含有量で合金成分Zn、Cr、CuおよびMnを用いると、τ相の形成を助けるこれらの合金元素の存在よりβ−AlMg粒子の析出が抑制されるという認識に基づく。これらのAlCuMgZn系のτ相はβ相の形成を相当程度抑制するので、Mg含有量が比較的高くても、β相またはβ−AlMg粒子の形成の傾向が粒界に存在するは、ごくわずかである。さらに、合金元素CrおよびMnの存在下では、AlCrMgMn系のε相も形成され、β相の形成をさらに抑制し得る。したがって、対応するアルミニウム合金は粒間腐食にそれ程感受性がない。さらに、個々の合金成分Zn、Cr、CuおよびMnの補正効率はレベルが異なることも明らかになっている。たとえば、合金成分の亜鉛は、2.91重量%のマグネシウム量の2.3倍を補正する働きをするので、得られたアルミニウム合金は粒間腐食の傾向が非常にごくわずかである。粒間腐食またはβ相析出の抑制効率は、合金成分クロム、銅およびマンガンにより低下する。したがって、何れにせよ比較的高いマグネシウム含有量を有し、これに関連して強度レベルがより高度であり、温度の作用後に粒間腐食の傾向が見られないアルミニウム合金を提供することが可能である。耐食性が同等でより高レベルの強度は、少なくとも3.0重量%のMg含有量により達成される。
たとえば、本発明によるアルミニウム合金の第1の実施形態により鋳造および圧延する際、本発明によりアルミニウム合金を経済的に製造することを可能にして、さらに変形能に関する何らかの悪影響、およびアルミニウム合金の物理的性質の何らかの変化またはごくわずかな変化を受けなくてもよくするため、合金成分Zn、Cr、CuおよびMnに下記:
(2.3*%Zn+1.25*%Cr+0.65*%Cu+0.05*%Mn)+1.4≦%Mg
を適用すると有利である。
本発明の一実施形態では、アルミニウム合金の考えられる最も経済的な製造を達成するため、合金成分Zn、Cr、CuおよびMnの添加の上限は、上記式により提示される。この上限を超えて添加しても、粒間腐食の耐性に対して新たなプラス効果を示さない。さらに、本発明によるアルミニウム合金のこの実施形態では、合金成分の高い含有量による望ましくない副作用を排除することもできる。
本発明によるアルミニウム合金の別の実施形態によれば、一般に耐食性を高めるようにアルミニウム合金を形成するため、合金成分Cuは好ましくは、重量%で下記の含有量:
0.05%≦Cu≦0.20%
を有する。
本発明によるアルミニウム合金の次の実施形態によれば、変形能は、重量%で下記の含有量を有する合金成分Crにより最大化することができる。
0.05%≦Cr≦0.20%
本発明によるアルミニウム合金の別の実施形態によれば、合金成分の添加に関して一層最適化され、かつ粒間腐食に対して耐性を有するアルミニウム合金は、重量%で下記の含有量:
2.91%≦Mg≦3.6%、
0.05%≦Zn≦0.75%、
を有する合金成分MgおよびZnにより製造される。
マグネシウム部分の上限を低くすると、最大亜鉛濃度をさらに低下させることができるため、粒間腐食の耐性が非常に高く、コストを最適化したアルミニウム合金を提供することができる。好ましくは、この実施形態のMg含有量は3.0重量%〜3.6重量%、特に3.4重量%〜3.6重量%である。
別の実施形態では、本発明によるアルミニウム合金は、合金成分Mgの含有量を少なくとも3.6重量%、および最大4.5重量%にすることにより、その強度についてさらに最適化することができる。マグネシウム含有量が増加すると、アルミニウム合金の強度がかなり増加する同時に優れた変形能が得られる。本発明によるアルミニウム合金の特定の組成により、このアルミニウム合金は、高いMg含有量にもかかわらず、質量減少がやはり<15mg/cmとごくわずかであり、したがってASTM G67に準拠した粒間腐食を受けない。Mg含有量は好ましくは、腐食挙動を改善するため最大4.0重量%に限定される。
上記に既に提示したように、本発明によるアルミニウム合金は、優れたレベルの強度および変形能に加えて、粒間腐食の非常に優れた耐性も有する点で区別される。これに関連して、上記の目的は、車両、航空機または船舶の建造においてフレーム部材および構造部材を製造するための、本発明によるアルミニウム合金のアルミニウム合金ストリップまたはシートの使用により、本発明の別の教示に従い達成される。
車両、自動車または航空機のフレーム部材および構造部材は、多く場合、熱源、たとえば、内燃エンジンの排気ガスまたは他の熱源に曝されるため、熱処理後に粒間腐食の傾向があるアルミニウム合金は、こうした例に使用することができないのが一般的である。しかしながら、フレーム部材および構造部材を製造するために本発明によるアルミニウム合金ストリップまたはシートを使用すると、非常に優れた粒間腐食の耐性により、これらの用途分野でマグネシウム含有量が少なくとも2.91重量%のより強いアルミニウム/マグネシウム合金を使用することができる。高強度のアルミニウムストリップまたはシートでは、強度レベルの増加により肉厚を薄くすることができる。この点で、高強度のアルミニウムストリップまたはシートは、車両、船舶あるいはさらには航空機の重量の一層の軽量化に寄与する。
好ましくは、本発明によるアルミニウム合金を含むアルミニウム合金ストリップまたはシートは、エンジン、排気ガス系または自動車の他の熱源の領域に配置されるフレーム部材および構造部材の製造に使用される。この典型的な例には、自動車の弾性リンクまたはトランスバースリンクがある。これらの部材の領域は、特にエンジンに近接して配置される場合、半永久的に高熱の導入を受ける。特に自動車建造だけでなく、列車、航空機および船舶の建造においても、本発明によるアルミニウム合金のストリップおよびシートの使用により、高熱の導入を特徴とする新しい用途分野が切り開かれる。
本発明によるアルミニウム合金を含むアルミニウム合金ストリップまたはシートの使用は、フレーム部材または構造部材に少なくとも1つの溶接継ぎ目がある際に特に有利である。溶接継ぎ目は一般に、金属への熱の導入が行われる領域である。こうした熱の導入は、アルミニウム合金が粒間腐食の傾向を有する場合、これを引き起こす恐れがある。しかしながら、本発明によるアルミニウム合金を用いれば、粒間腐食に関わるβ相の析出を可能な限り最大限に抑制することができるので、部材は容易に溶接することができるにもかかわらず、粒間腐食の傾向を有さない。
最後に、本発明によるアルミニウム合金のアルミニウム合金ストリップまたはシートの使用は、アルミニウム合金ストリップまたはシートの肉厚が0.5mm〜8mm、任意に1.5〜5mmである際に特に有利である。こうした肉厚は、フレーム部材または構造部材に要求される強度を与えることができるため非常に好適である。
本発明の別の教示によれば、本発明によるアルミニウム合金を含むアルミニウム合金ストリップまたはシートの経済的な製造方法を次に提示することにする。本方法は、
− 圧延インゴットを鋳造する工程、
− 圧延インゴットを500〜550℃で少なくとも2時間均質化する工程、
− 熱ストリップを形成するため280℃〜500℃の熱間圧延温度で圧延インゴットを熱間圧延する工程、
− 中間焼鈍を行いまたは行わずに熱ストリップを最終厚さに冷間圧延する工程、および
− 冷ストリップをバッチ炉にて300℃〜400℃で軟化焼鈍する工程、
を含む。
これまでの経験とは異なり、本発明によるアルミニウム合金を用いると、特定の熱処理工程、たとえば、製造プロセスの終了時の溶体化焼鈍工程が必要でなくなった一方、それどころか従来の設備、たとえば、バッチ炉を用いて非常に経済的にアルミニウム合金を製造することができる。圧延インゴットを鋳造する代わりに、ストリップの直接鋳造を準備し、次いでその後これを熱間圧延および/または冷間圧延することも考えられる。
ここで実施形態を参照して本発明をより詳細に説明するものとする。
Figure 0005908178
表1は最初に、標準的な合金ST5049、ST5454およびST5918と本発明によるアルミニウム合金V1、V2、V3およびV4との化学分析結果を示す。さらに表1は、合金成分により補正されるマグネシウムの量の値を示し、この量を「Mg補正」といい、以下の式:
(2.3*%Zn+1.25*%Cr+0.65*%Cu+0.05*%Mn)+2.4
により算出した。
「補正される」Mg含有量の値は、最小補正として示してあり、少なくとも合金成分Zn、Cr、CuおよびMnにより補正されなければならない。したがって表1に示した値は、それぞれのアルミニウム合金のMg含有量に相当する。
Mg補正値はマグネシウム含有量が少なくとも2.91重量%のアルミニウム合金のみ関連するため、標準的な合金ST5049の値は、記入していない。残りの標準的な合金ST5454およびST5918は、合金のマグネシウム含有量より小さいMg補正値を有する。周知のように、これらの合金は特定の条件下で粒間腐食の傾向を有する。その理由は、これらのアルミニウム合金のMg含有量が十分に補正されないという点で確認される。この挙動は、Mg補正値がそれぞれのアルミニウム合金の重量%単位のMg含有量を実質的に上回る、本発明によるアルミニウム合金V1、V2、V3およびV4と異なる。
Figure 0005908178
7つのアルミニウム合金すべてから、圧延インゴットを鋳造し、圧延インゴットを500〜550℃の温度で少なくとも2時間均質化した。このように製造された圧延インゴットを熱間圧延して280℃〜500℃の熱間圧延温度で熱ストリップを形成し、その後最終厚さに冷間圧延し、中間焼鈍作業を行い、続いて冷ストリップの軟化焼鈍をバッチ炉にて300〜400℃の温度で行った。ストリップ厚さは1.5mmであった。
製造されたストリップからシートを採取し、DIN EN 10002−1に準拠した、圧延方向に垂直の引張試験におけるその機械的特性値を確認した。測定値を表2に示す。測定値からは、本発明による実施形態V1が、たとえば、標準的な合金ST5049より実質的に高い引張強さおよび降伏強度を有することが示される。本発明による合金ストリップおよび標準的な合金の均一伸びの伸び値AおよびA50mmは大きく異ならないため、本発明によるアルミニウム合金は標準的な合金と同一の変形能を有することが想定され得る。
合金変種V2も、標準的な合金ST5454と比較して引張強さが高く、降伏強度も高い。均一伸びAおよび伸びA50mmに関し、本発明による変種のV2ではやはり標準的な合金ST5454とほぼ同一の値が得られる。従来のアルミニウム合金変種ST5918と比較して、変種のV3およびV4にも同じことがいえ、引張強さの値および降伏強度が向上している。したがって、本発明によるアルミニウム合金は、非常に優れた機械的特性値を有し、類似の標準的な合金と同一の方法で処理することができる。
次にASTM G67に準拠して、本発明による実施形態および従来の実施形態を腐食試験に供した。これにより、質量減少を測定することでアルミニウム合金の粒間腐食の感受性を評価することができる。この試験では、長さ50mmおよび幅60mmの試験用ストリップをシートまたはストリップから切り取り、事前の熱処理を行いまたは行わずに、濃硝酸中にて30℃で24時間保管した。硝酸は好ましくは粒界からβ相を遊離させることで、サンプル中の粒界に沿ってβ相の析出が存在する場合、その後の重量測定においてかなりの質量減少を引き起こす。
さらに熱負荷がかかる用途分野における粒間腐食の感受性を確認するため、ASTM G67に準拠した質量減少の測定の前に、サンプルをさらに高温での保管形態の前処理に付した。このため、サンプルを130℃で17時間、100時間および500時間保管し、その後質量減少試験に供した。一方、本発明によるアルミニウム合金と従来技術から公知のアルミニウム合金の比較可能性を実現するため、さらに100℃で100時間の保管も行った。
Figure 0005908178
表3に、それぞれの保管試験の条件と、ASTM G67に準拠した試験後に測定された質量減少をmg/cm単位で示す。ASTM G67によれば、粒間腐食に耐性を有するアルミニウム合金の質量減少は1〜15mg/cmとなり、一方、非耐性のアルミニウム合金の質量減少は25〜75mg/cmである。
2.05重量%という比較的に低いマグネシウム含有量を有する標準的な合金ST5049が、粒間腐食に最も耐性を有することが明らかに認められる。130℃で500時間の保管を行っても、このアルミニウム合金は、本試験においてその腐食挙動が変化しない。しかしながら、このアルミニウム合金は、最も低い機械的強度値も有する。
一方、標準的な合金ST5454および標準的な合金ST5918は異なる挙動を示す。130℃で予め感受性化したST5454は500時間で16.2mg/cmの質量減少を有する。ST5918の質量減少も、サンプルを130℃で100時間または500時間保管する場合、濃硝酸中で保管後、最大30.9mg/cmまで非常に大きな質量減少を示す。130℃で500時間保管後の本発明によるアルミニウム合金はこれと比較すると、同様に高いマグネシウム含有量にもかかわらず、粒間腐食に対してかなり安定している。
本発明によるアルミニウム合金V4の最大の質量減少は、130℃、500時間で8.9mg/cmであり、したがって標準的な合金ST5918より3倍超低かった。ASTM G67によれば、本発明によるアルミニウム合金V4は、その質量減少が15mg/cmより低いので、粒間腐食に対して安定と見なされる。標準的な合金ST5454またはST5918それぞれと比較してマグネシウム含有量が高く、強度値も高いにもかかわらず、本発明によるアルミニウム合金は、粒間腐食に対する際立つ耐性を特徴とする。
特に、高含有量のマグネシウムを有するアルミニウム合金の従来技術から知られている結果との比較から、選択したアルミニウム合金分野において、再利用または高い製造コストに関する問題を引き受けることもなく、粒間腐食に対するアルミニウム合金の耐性の大きな増加が達成され得ることが示される。
最後に、高いマグネシウム含有量を有し、かつ粒間腐食に耐性を有するアルミニウム合金および合金製品を提供するため、経済性の高いバッチ炉を使用して軟化焼鈍作業を行えることも示すことができた。これまでは、粒間腐食の耐性を実現するため、連続処理ラインにおける溶体化焼鈍作業が必要とされると考えられていた。

Claims (12)

  1. 以下の重量%の組成:
    2.91%≦Mg≦4.5%、
    0.5% ≦Mn≦0.8%、
    0.05%≦Cu≦0.30%、
    0.05%≦Cr≦0.30%、
    0.05%≦Zn≦0.9%、
    Fe≦0.40%、
    Si≦0.25%、
    Ti≦0.20%、
    残部Al、および個別に0.05%未満、合計で最大0.15%の不純物、
    を有する合金成分を含むアルミニウム合金であって、前記合金成分Zn、Cr、CuおよびMnに下記式:
    (2.3*%Zn+1.25*%Cr+0.65*%Cu+0.05*%Mn)+2.4≧%Mg
    が適用されるアルミニウム合金。
  2. 前記合金成分Zn、Cr、CuおよびMnに下記:
    (2.3*%Zn+1.25*%Cr+0.65*%Cu+0.05*%Mn)+1.4≦%Mg
    がさらに適用されることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金。
  3. 前記合金成分Cuは重量%で下記:
    0.05%≦Cu≦0.20%
    の含有量を有することを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金。
  4. 前記合金成分Crは重量%で下記:
    0.05%≦Cr≦0.20%
    の含有量を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のアルミニウム合金。
  5. 前記合金成分MgおよびZnは重量%で下記:
    2.91%≦Mg≦3.6%、
    0.05%≦Zn≦0.75%、
    の含有量を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のアルミニウム合金。
  6. 前記合金成分Mgの前記含有量は少なくとも3.6重量%、および最大4.5重量%であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載のアルミニウム合金。
  7. 車両、航空機または船舶の建造においてフレーム部材および構造部材を製造するための、請求項1〜6の何れか一項に記載のアルミニウム合金のアルミニウム合金ストリップまたはシートの使用。
  8. 前記アルミニウム合金ストリップまたはシートは、自動車のエンジン、排気ガス系または他の熱源の領域に配置されるフレーム部材または構造部材を製造するために使用されることを特徴とする請求項7に記載の使用。
  9. 前記フレーム部材または構造部材は少なくとも1つの溶接継ぎ目を有することを特徴とする請求項7または8に記載の使用。
  10. 前記アルミニウム合金ストリップまたはシートの肉厚は0.5mm〜8mmであることを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の使用。
  11. 前記アルミニウム合金ストリップまたはシートの肉厚は1.5〜5mmであることを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載の使用。
  12. 請求項1〜6の何れか一項に記載のアルミニウム合金からアルミニウム合金ストリップまたはシートを製造するための方法であって、
    − 圧延インゴットを鋳造する工程、
    − 前記圧延インゴットを500〜550℃で少なくとも2時間均質化する工程、
    − 熱ストリップを形成するため280℃〜500℃の熱間圧延温度で前記圧延インゴットを熱間圧延する工程、
    − 中間焼鈍を行いまたは行わずに前記熱ストリップを最終厚さに冷間圧延する工程、および
    冷延ストリップをバッチ炉にて300℃〜400℃で軟化焼鈍する工程、
    を含む方法。
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