本発明の実施の形態について図面を参照して以下に説明する。
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。この実施の形態のパチンコ遊技機1は、図1に示すように、主として縦長の方形枠状に形成された外枠に前面枠が開閉可能に取り付けられて構成されている。前面枠の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、遊技領域7が遊技盤6の盤面側に形成された透光性の合成樹脂材からなる盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有する非透光性の合成樹脂材からなり、盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成され、遊技盤6の背面側には、遊技盤6を背面から装飾する装飾ユニット(図示略)が遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、図示しない演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
この実施の形態のパチンコ遊技機1では、遊技領域7は、演出表示装置9を中心として主に左側及び下側に形成されており、打球発射装置から打ち出された遊技球は演出表示装置9の左側を流下して下方に向かうようになっている。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施の形態では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施の形態では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチやフォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる(後述の図9参照)。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bには、第1始動口スイッチ14aや第2始動口スイッチ14bと異なる図示しない確認スイッチが設けられ、この確認スイッチの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施の形態では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、演出表示装置9の左側には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉20bを備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイドによって大入賞口扉20bが開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口20aが開放状態になる。
大入賞口20a内には、大入賞口20a内に入賞した遊技球を検出可能なスイッチが設けられている。この実施の形態では、大入賞口20aへの遊技球の入賞がスイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口20aを遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口20aが開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態(有利状態)となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口20aが閉鎖状態となれば、大入賞口20aに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態(不利状態)となる。
第1特別図柄表示器8aの下側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施の形態では、左右のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に左側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の左側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開放状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a,29bが設けられ(後述の図4参照)、入賞口29a,29bに入賞した遊技球は図示しない入賞口スイッチによって検出される。各入賞口29a,29bは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口20も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。なお、この実施の形態では、第2始動入賞口13bが「特別領域」に当たる。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
図1では、図示を省略しているが、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。なお、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニットが、パチンコ遊技機1に隣接して設置されていてもよい。
遊技者の操作により、打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
この実施の形態では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(15ラウンド大当り状態)では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉20bが、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口20aを開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口20aを開放状態とした大入賞口扉20bは、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口20aを閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。
また、「大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば30回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。また、大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御されてもよい。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動板15dの進出動作を行う解放制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その解放回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施の形態における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、確変状態は、高確高ベース状態とも称される遊技状態である。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、遊技領域7における可変入賞球装置15近傍の構成について、図2〜図5に基づいて説明する。図2は、可変入賞球装置近傍の構成を示す分解斜視図である。図3は、前面部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図4は、第1始動入賞口や第2始動入賞口を示す断面図である。図5は、可変入賞球装置近傍の遊技球の移動を示す図である。尚、以下の説明においては、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態を基準として上下左右方向を説明する。
図2及び図4に示すように、パチンコ遊技機1の右遊技領域7bでは、遊技盤6の盤面の一部を構成するベース部材210の前面に前面部材200(誘導手段)が配設され、この前面部材200の裏側に第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13b、普通入賞装置の入賞口29a,29bが形成されている。つまり、この実施の形態では、可変入賞球装置15の第2始動入賞口13bは、半透明な前面部材200によって覆われており、遊技者が直接に第2始動入賞口13bを視認できないように構成されている(図1参照)。これにより、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したか否かを遊技者が視認しづらくすることができ、可変入賞球装置15以外の部分である例えば演出表示装置9などに遊技者を注目させることができる。
図2や図4に示すように、ベース部材210のベース板部210aは、半透明の部材によって前面に装飾が施されており、図示しない発光ダイオードなどにより後方から照射されることでベース部材210や前面部材200の装飾効果が高められるようになっている。ベース部材210には、第1始動入賞口13aや普通入賞装置の入賞口29a,29bとして複数の開口が形成され、第1始動入賞口13aの上方には、第1始動入賞口13aに入賞しない遊技球を左右に導くガイド部211が形成されるとともに、第1始動入賞口13aに進入する遊技球を検出する第1始動口スイッチ14aが配設されている。また、ベース部材210には、開口210bが盤面に形成され、この開口210bから前方に臨むように可変入賞球装置15が後側から取り付けられている。なお、前面部材200やベース部材210は、半透明の部材で形成されるものに限定されず、透明または不透明の部材で形成したり、一部だけ(例えば可変入賞球装置15の周辺だけ)を透明または半透明の部材で形成して他を不透明の部材で形成してもよい。
前面部材200の装飾板部200aは、図2や図3(a)に示すように、前面に装飾が施されており、後方には前面部材200を補強するリブ200bが放射状に形成されている。前面部材200は、図示しない発光ダイオードなどにより遊技盤6の裏面側から照射されることで前面の装飾やリブ200bが発光して装飾効果が高められるようになっている。前面部材200の裏面側には、図3(b)に示すように、遊技球を第1始動入賞口13aに導く樋部201と、遊技球を普通入賞球装置の入賞口29a,29bに導く樋部202,203と、遊技球を第2始動入賞口13bに導く第1斜面部205及び第2斜面部206とが形成されている。
樋部201〜203のそれぞれは、第1始動入賞口13aと普通入賞球装置の入賞口29a,29bに対応する位置に設けられて、遊技領域7を流下する遊技球を受け止めて入賞口に案内する(図4参照)。樋部201〜203の前方側には、前方に向けて上側に傾斜する傾斜部201a〜203aが設けられており、樋部201〜203に受け止められた遊技球が遊技盤面6の裏側に向けて移動しやすくなっている。
図4に示すように、第1傾斜面部205は、第2始動入賞口13bの上方左側に設けられ、第2傾斜面部206は、第2始動入賞口13bの上方右側に設けられている。この実施の形態では、第2始動入賞口13bの真上には、第1始動入賞口13aが設けられており、遊技球は、左側または右側から第2始動入賞口13bに向かって流下することによって、第2始動入賞口13bに入賞可能に構成されている。そして、第1傾斜面部205と第2傾斜面部206のそれぞれは、第2始動入賞口13bに向かって下方向に傾斜しており、遊技領域7を流下する遊技球を左右方向から第2始動入賞口13bに誘導する。
第1傾斜面部205は、第2始動入賞口13bの左上側に配設され、第2始動入賞口13b側(内側)に向かって下方向に緩やかに(例えば傾斜角度が数度など)傾斜する誘導部205aと、誘導部205aの上流側に形成される再誘導部205bとを有する。誘導部205aは、第2始動入賞口13b側(内側)の端部が、第2傾斜面部206の第2始動入賞口13b側(内側)の端部よりも下位に形成されている(低くなっている)。再誘導部205bは、誘導部205aの上流側に連続して形成されており、内側に向かって下方向に、且つ誘導部205aよりも大きい傾斜角度(例えば50度や60度など)に形成されている。また、再誘導部205bは、内側(右側)から外側(左側)までの高さが遊技球の球半径Rよりも大きく形成されている。
第2傾斜面部206は、第2始動入賞口13bの右上側に配設され、第2始動入賞口13b側(内側)に向かって下方向に、且つ第1傾斜面部205の誘導部205aよりも大きい傾斜角度(例えば10度や20度など)に形成されている。第2傾斜面部206は、第2始動入賞口13b側(内側)の端部が、第1傾斜面部205の第2始動入賞口13b側(内側)の端部よりも上位に形成されている(高くなっている)。また、第2傾斜面部206の上端(外側の端部)は、第1傾斜面部205の再誘導部205bの上端(外側の端部)と高さが略等しく形成されている。
この実施の形態のパチンコ遊技機1では、第2始動入賞口13bの真上に第1始動入賞口13aが配設されている。このため、図5(a)に示すように、第2始動入賞口13bには、真上から直接に遊技球が流下して向かうことができず(A参照)、第1傾斜面部205に誘導されて左側から第2始動入賞口13bに向かうか(B参照)、第2傾斜面部206に誘導されて右側から第2始動入賞口13bに向かうことで(C参照)、可変入賞球装置15が解放状態のときには、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能となる。この実施の形態では、第1傾斜面部205の再誘導部205bの上流側(外側)の端部と、第2傾斜面部206の上流側(外側)の端部とは、高さが略等しく形成されているので、遊技領域7を流下する遊技球を左右方向の両側から等しく第2始動入賞口13bに誘導することができる。
ここで、遊技球を左側から導く第1傾斜面部205の右側(内側)の端部は、遊技球を右側から導く第2傾斜面部206の左側(内側)の端部よりも下位に位置しているので、もし第1傾斜面部205を勢いよく遊技球が進行しても、第2傾斜面部206の端部に衝突して第2始動入賞口13bに向けて流下し、第2傾斜面部206の反対側(右側)の端部から遊技球が飛び出してしまうのを抑制することができる。
また、もし第2傾斜面部206を勢いよく遊技球が進行して、第2始動入賞口13bに流下することなく第1傾斜面部205に移動し、第1傾斜面部205の誘導部205aを上流側に進行した場合にも(図5(b)中C’参照)、第1傾斜面部205の誘導部205aの上流側には傾斜角度の大きな再誘導部205bが形成されているので、遊技球は、再誘導部205bに衝突して、再び第1傾斜面部205の誘導部205aに誘導されて第2始動入賞口13bに向かう(図5(c)中C’参照)。
以上説明したように、本発明の実施の形態のパチンコ遊技機1では、左側から第2始動
導入賞口13bに遊技球を誘導する第1傾斜面部205の右側(内側)の端部は、右側から遊技球を誘導する第2傾斜面部206の左側(内側)の端部よりも下位に位置しているので、第1傾斜面部205を流下する遊技球が第2始動入賞口13bに流下することなく第2傾斜面部206の反対側から飛び出してしまうのを抑制することができる。また、第1傾斜面部205と第2傾斜面部206とは、第2始動入賞口13b側(内側)の端部の高さが異なっているので、第1傾斜面部205によって誘導される遊技球と、第2傾斜面部206によって遊技球が衝突するのを抑制することができる。さらに、第1傾斜面部205の上流側には、第2傾斜面部206から第1傾斜面部205に移動して第1傾斜面部205を上流側に進行する遊技球を第2始動入賞口13bに向けて再誘導する再誘導部206が形成されているので、第2傾斜面部206を流下する遊技球が第2始動入賞口13bに流下することなく第1傾斜面部205の反対側から飛び出してしまうのを抑制することができる。そして、このように傾斜面によって遊技球を誘導することにより、第2始動入賞口13b近傍で球詰まりが生じるのも抑制することができる。
しかも、この実施の形態では、第1傾斜面部205の誘導部205aの傾斜角度が、第2傾斜面部206の傾斜角度がよりも小さく(緩やかに)形成されているので、第1傾斜面部205により誘導されて第2始動入賞口13bに向かう遊技球の勢いと、第2傾斜面部206により誘導されて第2始動入賞口13bに向かう遊技球の勢いとを異ならせることができ、第2始動入賞口13bの近傍で球詰まりが生じるのを抑制することができる。
また、第1傾斜面部205の再誘導部205bの上端の高さと、第2傾斜面部206の上端の高さとが等しく形成されているので、遊技領域7を流下する遊技球を左右方向の両側から等しく第2始動入賞口13bに誘導することができる。
また、第1傾斜面部205と第2傾斜面部206と第2始動入賞口13bとを前方から覆う装飾板部200aが配設されているので、第2始動入賞口13bに向かう遊技球を視認しづらくすることができる。これにより、例えば、第2始動入賞口13bへの入賞に伴って付与される遊技価値が、第1始動入賞口13aへの入賞に伴って付与される遊技価値によりも大きい場合などに、可変入賞球装置15(第2始動入賞口13b)が開放状態となっているときにだけ、打球発射装置による遊技球の発射がなされるのを抑制することができる。また、例えば、第1始動入賞口13aへの入賞に伴う第1特別図柄表示器8aにおける第1特図の可変表示と、第2始動入賞口13bへの入賞に伴う第2特別図柄表示器8bにおける第2特図の可変表示とが、同時に行われる場合などに、可変入賞球装置15が開放状態となっているときにだけ、第2始動入賞口13bに向けての遊技球の発射がなされるのを抑制することができる。つまり、第1傾斜面部205と第2傾斜面部206と第2始動入賞口13bとを前方から覆う装飾板部200aが配設されていることにより、可変入賞球装置15以外の部分である例えば演出表示装置9などに遊技者を注目させて遊技の興趣を向上させることができる。
なお、第2始動入賞口13bへの入賞に伴って付与される遊技価値が、第1始動入賞口13aへの入賞に伴って付与される遊技価値によりも大きい場合としては、例えば、第2始動入賞口13bへの入賞によって第2特別図柄表示装置8bにおいて変動(可変表示)が行われる場合には、ラウンドが15回行われる15ラウンドの大当り遊技状態になりやすく、第1始動入賞口8aへの入賞によって第1特別図柄表示装置8aにおいて変動(可変表示)が行われる場合には、ラウンド数が少ない(例えば7ラウンドなど)大当り遊技状態になりやすいものが挙げられる。また、第2特別図柄表示装置8bにおいて変動が行われる場合には、第1特別図柄表示装置8aにおいて変動が行われる場合よりも、確変状態(高確率状態)への変更を伴う大当り遊技状態になりやすいもの、また、高開放制御が実行可能となる高開放制御期間が長い大当り遊技状態になりやすいものであってもよい。さらに、第2特別図柄表示装置8bにおいて変動が行われる場合には、第1特別図柄表示装置8aにおいて変動が行われる場合よりも、遊技状態の変更を伴わない小当り遊技状態になりにくいものなどであってもよい。
上述した実施の形態では、第1傾斜面部205の上流側に、再誘導部205bとして誘導部205aよりも傾斜角度が急な傾斜面部が形成されるものとしたが、再誘導部205bとして、階段状の傾斜面部が形成されてもよいし、曲面状の傾斜面部が形成されてもよい。また、再誘導部205bとして、第1傾斜面部205を上流側に向けて移動する遊技球が当接するように、誘導部205aの上流側にピン状の突起が形成されてもよいし、垂直な壁面が形成されるなどとしてもよい。
また、この実施の形態では、第1傾斜面部205や第2傾斜面部206は、前面部材200の裏面に一体として形成されるものとしたが、ベース部材210の前面に一体として形成されるものとしてもよい。また、第1傾斜面部205や第2傾斜面部206は、それぞれに独立した部材として形成されて前面部材200やベース部材210に取り付けられてもよい。また、第1傾斜面部205や第2傾斜面部206は、装飾板部200aに覆われるものに限定されず、装飾板部200aを有しないものとしてもよい。
また、この実施の形態では、可変入賞球装置15の上方左側に第1傾斜面部205が形成されるとともに、上方右側に第2傾斜面部206が形成されるものとしたが、上方右側に第1傾斜面部205が形成されるとともに、上方左側に第2傾斜面部206が形成されてもよい。
また、この実施の形態では、第1傾斜面部205や第2傾斜面部206は、特定領域として可変入賞球装置15に向けて遊技球を誘導するように構成されるものとしたが、こうした例に限定されず、特定領域として例えば特別可変入賞球装置20や普通入賞球装置などに遊技球を誘導するものとしてもよい。
次に、第2始動入賞口13bを構成する可変入賞球装置15について、図6〜図12に基づいて説明する。図6は、特別可変入賞球装置の開放状態を示す斜視図である。図7は、可変入賞球装置の内部構造を示す分解斜視図である。図8は、(a)は可動板を示す斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は(b)のA−A断面図である。図9は、(a)は開放状態の可変入賞球装置の断面図、(b)は閉鎖状態の可変入賞球装置の断面図である。図10は、図9(b)のC−C断面図である。図11は、図9(b)のD−D断面図である。図12は、特別可変入賞球装置の遊技球の移動を説明するための図である。
図6及び図7に示すように、可変入賞球装置15は、前面に遊技球が進入可能な第2始動入賞口13bが形成された本体部300と、本体部300の外側を覆うように配設される透光性を有する合成樹脂材からなるカバー部材301と、本体部300内に設けられるソレノイド16と、ソレノイド16の動力を伝達する伝達部材302と、伝達部材302を介してソレノイド16に連結される可動板15dと、本体部300に取り付けられて本体部300への遊技球の進入を規制する揺動部材350と、第2始動入賞口13bから進入した遊技球を検出する第2始動口スイッチ14bと、から主に構成されている。
本体部300は、透光性を有する合成樹脂材により形成された左右一対の通路部材300a,300bが組み合わされて構成されている。通路部材300a,300bのそれぞれは、前後方向に向けて立設される側壁300cと該側壁300cの対向面に(つまり、内側に)立設される複数の板部300dとからなり、各通路部材300a,300bを互いに付き合わせることにより前面及び下面が開口する筒状の本体部300が構成される。なお、図7に示す例では、板部300dは、通路部材300aにのみ形成されているが、後述の図13などに示すように通路部材300a、300bのそれぞれに形成されていてもよい。
本体部300の内部には、図9〜図11に示すように、前面の開口を進入口とする始動入賞通路305が形成されている。始動入賞通路305は、前面開口の進入口が第2始動入賞口13bを構成し、第2始動入賞口13bから後方に延設される第1通路305aと、該第1通路305aの後端に連続して下方に屈曲した屈曲部305cと、該屈曲部305cの下端に連続して下方に向けて延設される第2通路305bとからなる。
また、第1通路305aの下部には、可動板15dが前後方向に移動可能に収容される収容部306が、第1通路305aから屈曲部305cにかけて設けられている。収容部306は、第1通路305aよりも左右幅寸法が幅広とされている(図6、図11参照)。また、第1通路305aの上壁前部には、遊技球の通過は不可とするが上部を僅かに突出可能な大きさを有する凹部310が形成されており、遊技球の浮き上がりを僅かに許容できるようになっている(図12(a)参照)。さらに、凹部310の左右両側壁には、左右方向に貫通する貫通孔314が形成されている。
第2通路305bにおける屈曲部305cの直下には、第2始動口スイッチ14bが配設されており、この第2始動口スイッチ14bによって第2通路305bを通過する遊技球が検出される。
また、始動入賞通路305の後方上部には、プランジャ308を前方に向けた状態でソレノイド16が配設されている。プランジャ308の先端には連結部材309が取り付けられている。連結部材309は、下面に係合溝309aが形成された下向きコ字形をなしており、その係合溝309aに伝達部材302の連結軸321が挿通されている。
通路部材300aの側壁300c外面における開口310の後部に対応する位置には、伝達部材302を回動可能に支持する左右方向を向く回動軸311が立設されている。回動軸311の上方位置には、回動軸311を中心とする円弧状に形成された連結溝312が形成されている。
また、収容部306に対応する箇所には、可動板15dを前後方向に移動案内するための案内溝313Lが前後方向に向けて延設されている。案内溝313Lは、側壁300cの前端近傍位置から後方に向けて僅かに下側に傾斜して形成されている。
伝達部材302は棒状のアーム部材からなり、長手方向の略中心位置に回動軸311が挿通される軸孔320が形成されており、該回動軸311を中心として回動可能に通路部材300aに軸支される。上端には左右方向を向く連結軸321が内向きに突設され、下端には長手方向に長い長孔322が形成されている。
連結軸321は、軸孔320を回動軸311に挿通して通路部材300aに軸支された状態において、連結軸321が連結溝312を挿通して側壁300cの内側に突出し、連結部材309の係合溝309aに係合される。よって、ソレノイド16の励磁及び解除に応じてプランジャ308が前後移動することにより、係合溝309aに係合された連結軸321が連結溝312内を前後移動するため、伝達部材302が回動軸311を中心として回動する。
また、プランジャ308及び連結部材309の前方には、揺動部材350が取り付けられている。揺動部材350は、第1通路305aの上壁前部の凹部310に設けられており、左右方向に延在する支軸351と、上端近傍が支軸351に連結する板状部352とからなる。揺動部材350は、支軸351が、本体部300の凹部310の左右両側壁に形成された貫通孔314を挿通することによって軸支され、支軸351を中心として板状部材352が後方に揺動可能なように設けられている。
揺動部材350は、可動板15dの進退状態にかかわらず、始動入賞通路305に進入しようとする遊技球と当接するように設けられている。具体的には、揺動部材350が遊技球からの球圧を受けていない初期状態で板状部材352の板面が略鉛直な方向に沿った姿勢のときに、板状部材352の下端と可動板15dとの遊技盤面に沿った距離が遊技球の直径2Rよりも短くなるように構成されている。
揺動部材350は、連結部材309が後退位置にあるときには、支軸351を中心として後方に揺動可能な揺動可能状態(第2状態)となり、連結部材309が進出位置にあるときには、連結部材309が揺動部材350に当接して揺動できず、始動入賞通路305の上部を遮って遊技球の始動入賞通路305への進入を規制する規制状態(第1状態)に変化する。
揺動部材350の板状部352は、揺動部材350が揺動するときにベース部材380と干渉しないように上端前方部352aが丸角に形成されている。また、板状部352の前面下端には、前方に突出する突出部352bが形成されている。突出部352bは、上方が前方に向けて下側に傾斜した傾斜面となっており、前端が鋭角な凸形状となっている。こうした形状によって、遊技球が突出部352bに接触したときに揺動部材350をスムースに後方に揺動させることができる。また、遊技球が揺動部材350の下方をくぐり抜けるときにも遊技球と揺動部材350との接触する部位が小さいので遊技球が移動する抵抗を小さくすることができ、始動入賞通路305における遊技球の移動をスムースにすることができる。
揺動部材350の支軸351は、板状部352が前後方向の中央よりも後方側を回転中心として揺動するように板状部352の上端後方に連結されている。これにより、板状部352は後方に揺動しやすくなっている。また、支軸351の各基部には、貫通孔314の径よりも大きい径のワッシャ部351aが形成され、揺動部材350の左右方向のガタツキが防止されている。
揺動部材350の裏面には、板状部351の板面に平行(または略平行)な被当接面353が形成されている。図9(a)に示すように、ソレノイド16のプランジャ308および連結部材309が前方に進出したときには、連結部材309の前面が揺動部材350の被当接面353に当接し、揺動部材350は、後方から連結部材309に当接されることによって後方に揺動できない状態とされる。一方、図9(b)に示すように、プランジャ308および連結部材309が後退したときには、揺動部材350と連結部材309との当接が解除され、揺動部材350は支軸351を中心として後方に揺動できる状態となる。
カバー部材301は、左側の通路部材300aの外側に所定の隙間を隔てて取り付けられる左カバー301aと、右側の通路部材300bの外側に所定の隙間を隔てて取り付けられる右カバー301bと、通路部材300aの右カバー301bとの間に取り付けられるスペーサ301cと、から構成される。
左カバー301a及び右カバー301bの前端辺には取付片331が外向きに屈曲形成されており、該取付片331を介して遊技盤6の背面に可変入賞球装置15を、第2始動入賞口13bがベース部材210(遊技盤6)に形成された開口210bを介して前面側に臨むように取り付けできるようになっている(図2参照)。
また、左カバー301aと通路部材300aの側壁300cとの間に形成された空間部には、伝達部材302が回動可能に収容できるようになっている。回動軸311は、伝達部材302が挿通された状態において先端が軸孔320から突出する長さを有しており、左カバー301aが取り付けられたときに、該左カバー301aにおける回動軸311に対応する位置に形成された軸受330に回動可能に嵌合して、伝達部材302が軸支されるようになっている(図11参照)。
可動板15dは、図9に示すように、遊技領域7(この実施の形態では下側の領域)にて遊技球が進入可能な進入通路である始動入賞通路305の下部に前後移動可能に設けられる板状部材にて構成されており、始動入賞通路305から遊技領域7側に進出する進出位置(図9(b)参照)と、該進出位置から始動入賞通路305内に退避する後退位置(図9(a)参照)と、の間で前後方向に往復移動可能に設けられる。
そして、可変入賞球装置15は、可動板15dが進出位置に位置することで遊技球が入賞しやすい開放状態(有利状態)となり、可動板15dが後退位置に位置することで入賞しないまたは入賞しにくい閉鎖状態(不利状態)に変化するようになっている。
図8に示すように、可動板15dは、上面に遊技球を受ける球受面340aが形成された球受部340と、球受部340の左右側から後側に向けて延設される二股状の被案内部341と、から構成されている。
球受部340の上面には、前後左右方向に平坦な球受面340aが形成され、上方から落下してくる遊技球を下方から受けることができるように形成されている。球受部340の先端面は、右側に向けて後側に傾斜するとともに、板厚下方向に向けて後側に傾斜する傾斜面340bにて構成されている。
これにより、可動板15dが進出位置まで進出したときに、遊技領域7の前面に配設された前面部材200との間に遊技球があっても、前面部材200に対して傾斜面340bが傾斜していることにより遊技球が左右または下方に逃がされるため、前面部材200と傾斜面340bとの間に遊技球が挟まれてしまい、ソレノイド16等に負荷がかかってしまうことが防止される。
また、球受部340の右側前端には、上に凸となる球止め突起340bが形成されている。これにより、可動板15dの右側から遊技球が零れ落ちてしまうのを抑制することができる。なお、球止め突起340bが球受部340の右側前端に形成されているのは、この実施形態では遊技球が演出表示装置9の左側を流下し、第2始動入賞口13bの左側に位置する第1傾斜面部205側から第2始動入賞口13bに遊技球が案内されやすくなっていることに基づく。なお、上述したように、第2始動入賞口13bの右側に位置する第2傾斜面部206を遊技球が勢いよく移動したときには、第1傾斜面部205側に移動して第1傾斜面部205を流下して第2始動入賞口13bに向けて遊技球が案内されるので、可動板15dの左側から遊技球が零れる虞も少ない。
被案内部341は、球受部340の左右後端部から後方に向けて延設される左右一対の棒状部341a,341bからなるとともに、これら棒状部341a,341bの間には、遊技球の直径2Rよりも長寸の左右幅寸法L1を有し、後側に開放する切欠部342が形成されている(2R<L1)。
棒状部341a,341bの外面には、案内溝313Lに挿入可能な前後一対の案内軸343a〜343dがそれぞれ前後位置から左右外向きに突設されている。各案内軸343a〜343dは円柱状をなしており、各基部には、案内溝313L,313Rの上下幅よりも幅広とするためのワッシャ部344が形成され、左右方向のガタツキが防止されている。
また、左側の棒状部341aの前後の案内軸343a,343b間は、板状の連結部360aにて連結され、右側の棒状部341bの前後の案内軸343c,343d間は、板状の連結部360bにて連結されている。これにより、案内軸343a,343b、343c,343dの強度が増加するため、遊技球を受けた際の衝撃による破損等が防止される。
左側の案内軸343a,343bを連結する連結部360aには、案内軸343a、343bの先端が突出するように、切欠凹部360cが形成されており、前側の案内軸343aは、案内溝313Lを突出して伝達部材302の長孔322内に摺動可能に挿入される。つまり可動板15dは、伝達部材302を介してソレノイド16に連結される。よって、可動板15dは、ソレノイド16の励磁及び解除に応じてプランジャ308が前後移動して伝達部材302が回動軸311を中心として回動することで、進出位置と後退位置との間で前後移動する。尚、上述したように、伝達部材302は、プランジャ308に接続される連結軸321が上端に形成されるとともに可動板15dに接続される長孔322が下端に形成され、略中央で可動軸311に軸支されて回動するので、可動板15dは、プランジャ308が前方に進出したときに後退し、プランジャ308が後退したときに進出することになる。
案内軸343a〜343d及び連結部360a,360bは、左右の案内溝313L,313Rにそれぞれ挿入され、可動板15dの前後移動がガイドされる。具体的には、図9(a)に示すように、可動板15dが進出位置にあるときには、球受面340aのほぼ全域が第2始動入賞口13bから前方の右領域7b側に突出する。このときには、球受面340aが第2始動入賞口13b側に僅かに傾倒(先端に向けて上側に傾斜)しているので、右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが可能となるともに受けた遊技球を始動入賞通路305に向けて誘導可能な第1姿勢となる。また、このときには、揺動部材350が後方に揺動可能な状態(第2状態)となっており、始動入賞通路305に誘導される遊技球の球圧によって揺動部材350は後方に揺動し、始動入賞通路305の内部に進入する。
一方、可動板15dが後退位置にあるときには、球受面340aの全域が第2始動入賞口13bの内部、つまり始動入賞通路305内に退避して、該右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが困難となる。また、可動板15dが後退位置にあるときには、揺動部材350に連結部材309が後方から当接して揺動部材350が後方に揺動できない規制状態(第1状態)となり、これにより揺動部材350が始動入賞通路305の上部を遮って遊技球の始動入賞通路305内への進入が規制される。
すなわち、可動板15dが後退位置にあるときは、第2始動入賞口13bの上下幅寸法L3(可動板15dの前端上面と、始動入賞通路305の前面開口(進入口)の上側の縁部との距離)が遊技球の直径2Rよりも短くなり、可動板15dが進出位置にあるときは、第2始動入賞口13bの上下幅寸法L2(可動板15dの球受面340aと、始動入賞通路305の前面開口(進入口)の上側の縁部との遊技盤面に沿った距離)が遊技球の直径2Rよりも長くなる(L2<2R<L3)。よって、可動板15dが後退位置にあるときには、第2始動入賞口13bが完全に閉鎖されていなくても、第2始動入賞口13bからの遊技球の進入が規制される。しかも、可動板15dが後退位置にあるときには、プランジャ308および連結部材309が進出位置に位置して、揺動部材350が始動入賞通路305の上部を遮るので、揺動部材350によっても遊技球の始動入賞通路305内への進入が規制されて、遊技球の意図しない入賞や不正な入賞の発生が防止される。
なお、可動板15dが後退位置にあるときには、可動板15dの前端上面と始動入賞通路305の進入口の上側の縁部との距離が遊技球の直径2Rよりも長いものの、揺動できない規制状態の揺動部材350の下端と可動板15dとの距離が遊技球の直径2Rよりも短くなるように構成されていてもよい。この場合においても、可動板15dが後退位置にあるときに揺動部材350によって遊技球の始動入賞通路305への進入が規制されるので、遊技球の意図しない入賞などを防止することができる。
また、右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが可能な進出位置では、第2始動入賞口13bから球受面340aの先端までの突出長さが遊技球の半径Rよりも長ければよい。また、右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが困難な進出位置では、第2始動入賞口13bから球受面340aの先端までの突出長さが遊技球の半径Rよりも短ければよい。
続いて、可変入賞球装置15の閉成動作に伴う遊技球の進入状況について説明する。可動板15dが進出位置にある場合、球受面340aが若干始動入賞通路305側に傾倒していることで、球受面340a上に落下した遊技球には始動入賞通路305側に向けて誘導される作用が働く(図12(a)参照)。そして、このときには、揺動部材350が後方に揺動可能な状態(第2状態)となっており、始動入賞通路305に誘導された遊技球は、揺動部材350を押して後方に揺動させ、始動入賞通路305の内部に進入する(図12(b)参照)。
ここで、この実施の形態では、プランジャ308および連結部材309が進出位置まで移動して可動板15dが完全に始動入賞通路305内に収納されるまでは、連結部材309が揺動部材350に当接しないように構成されており、可動板15dが進出位置から後退位置側に向けて退避移動している最中には、揺動部材350は揺動可能な状態(第2状態)となる。このため、可動板15dの退避動作に伴って可動板15dと揺動部材350との間に遊技球が挟まったとしても、揺動部材350が揺動して遊技球が移動することができるので、始動入賞通路305において球詰りが発生するのを抑制することができる。
そして、可動板15dが後退位置まで移動すると、第2始動入賞口13bの上下幅寸法L3が遊技球の直径2Rよりも短くなるので、始動入賞通路305に進入した遊技球が第2始動入賞口13bから零れ落ちなくなる。また、揺動部材350に連結部材309が当接して揺動部材309が揺動できない規制状態(第1状態)となり、遊技球の意図しない入賞や不正な入賞の発生が防止される(図12(c)参照)。
ここで、可動板15dが後退位置にて停止した状態において、可動板15dの切欠部342が屈曲部305c、つまり第2通路305bの直上に位置するようになっており、可動板15dとともに移動した遊技球は、切欠部342を通じて第1通路305aから第2通路305bに流入して第2始動口スイッチ14bによって検出される。こうした切欠部342が形成されていることで、可動板15dが屈曲部305cに対応する位置に配置されても、遊技球を切欠部342を介して第2通路313bに流入させることができるので、進入した遊技球を遠回りさせずに第2始動口スイッチ14bにて検出させることが可能となる。
よって、可変入賞球装置15を大型化(特に前後方向について大型化)することなく、第2始動入賞口13bに進入した遊技球を直ちに第2始動口スイッチ14bにて検出させることが可能となるため、可動板15dを動作させているときにも賞球検出待ちをする期間を極力短縮化でき、これにより大当り状態をより高速で消化することが可能となるため、パチンコ遊技機1の稼働率を向上させることができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態としてのパチンコ遊技機1にあっては、可動板15dが進出位置にあるときは、可動板15dによって遊技球が始動入賞通路305に導かれるとともに、始動入賞通路305に進入しようとうする遊技球の球圧によって揺動部材350が支軸351回りに後方に揺動して、遊技球が始動入賞通路305に進入することができる。
一方、可動板15dが後退位置にあるときには、球受面340aの全域が第2始動入賞口13bの内部、つまり始動入賞通路305内に退避して、第2大入賞口90bの上下幅寸法L3が遊技球の直径2Rよりも短くなって遊技球が第2大入賞口90bに進入することができなくなるとともに、揺動部材350に連結部材309が当接して揺動部材350が揺動不能となるので遊技球の始動入賞通路305内への進入が防止され、意図しない入賞や不正な入賞の発生が防止される。
さらに、可動板15dが進出位置から後退位置に移動するタイミングで遊技球が可動板15dに受け止められた場合には、屈曲部340によって遊技球が始動入賞通路305内に導かれるので遊技球が零れ落ちてしまうのを抑制することができる。しかも、可動板15dが完全に後方位置まで退避移動するまでは、連結部材309が揺動部材350に当接せずに揺動部材350が揺動可能な状態(第2状態)とされるので、可動板15dと揺動部材350とによって遊技球を噛み込んで始動入賞通路305で球詰りが生じてしまうのを抑制することができる。
また、始動入賞通路305は、後退位置側に形成された屈曲部305cから下方に向けて延設される第2通路305bと、第2通路305bを流下する遊技球を検出する第2始動口スイッチ14bと、を有し、可動板15dは、案内軸343b,343dよりも進出位置側に突設され、進出位置と後退位置との間で第1案内部313aにのみ案内される補助被案内部としての案内軸343a,343cを有し、後退位置において屈曲部305cに対応する部位に、遊技球が通過可能な切欠部342が形成されているので、可動板15dが屈曲部305cに対応する位置に配置されても、遊技球を切欠部342を介して第2通路305bに流入させることができるので、進入した遊技球を遠回りさせずに第2始動口スイッチ14bにて検出させることが可能となる。
尚、この実施の形態では、可動板15dの後部には切欠部342が形成されていたが、遊技球を通過可能となれば、例えば開口部(孔部)等であってもよい。
また、この実施の形態では、球受面340aは、移動方向に対し直交する幅方向(左右方向)に向けて平坦状に形成されていたが、移動方向に対し直交する幅方向(左右方向)の略中央から両端側に向けて上向きに傾斜する幅方向傾斜部(図示略)を設けてもよい。このようにすることで、進出位置にて受けた遊技球が幅方向の端部からこぼれ落ちにくくすることができる。
また、駆動手段は、可変入賞球装置15の本体部300内に配設されるソレノイド16と、一端がソレノイド16に連結されるとともに他端が可動板15dに連結され、本体部300外部に回動軸311を中心として回動可能に設けられた伝達部材302と、を含み、可動板15dは、移動方向に並設される案内軸343a〜343d及び連結部360a,360bにより安定して支持される。また、案内軸343a〜343dのいずれか(この実施の形態では案内軸343a)が伝達部材302との連結部を兼ねることで、部品点数が少なくなり製造コストを低減できるばかりか、伝達部材302を極力短寸化して装置を小型化することができる。
また、伝達部材302は、本体部300を外側から覆うカバー部材301の左カバー301aにより覆われていることで、伝達部材302を外側から不正に操作して可動板15dを動作させるといった不正行為を抑制することができる。
さらに、伝達部材302は、本体部300と左カバー301aとの間に形成された空間部内に配設され、少なくとも回動軸311の左端が軸受330に回動可能に軸支されていることで、左カバー301aを取り外して伝達部材302を外側から不正に操作して可動板15dを動作させようとしても、左カバー301aを取り外すことで伝達部材302の回動支持状態が解除されて回動動作が不安定になるので、不正行為を防止できる。
また、この実施の形態では、可動板15dは、被案内部としての案内軸343b,343dと補助案内部としての案内軸343a,343cとにより左右側が支持されていたが、被案内部や補助案内部が左右それぞれに複数設けられていてもよい。
また、この実施の形態では、伝達部材302を介して可動板15dとソレノイド16が接続され、ソレノイド16のプランジャ308が前方に進出するときには可動板15dが後退し、プランジャ308が後退するときには可動板15dが前方に進出するように構成されるのとしたが、例えば可動板15dの後端を左右方向を向く連結軸を介してソレノイド等の駆動手段に連結し、被案内部としての案内軸のみを案内溝313L,313Rに案内させるようにしてもよい。この場合には、プランジャ308の前方への進出移動に伴って可動板15dが前方に進出し、プランジャ308の後方への退避移動に伴って可動板15dが後方に進出する。また、この場合には、プランジャ308が前方に進出するときには揺動部材350が揺動不能な状態(または揺動し難い状態)とされ、プランジャ308が後退するときには揺動部材350が揺動可能な状態となるように構成すればよい。
尚、この実施の形態では、本発明の案内部は、左右それぞれ1本の案内溝313L,313Rにて構成され、被案内部としての案内軸343b,343dと、補助被案内部としての案内軸343a,343cと、案内軸343a,343cや案内軸343b,343dを連結する連結部360a,360bが案内溝313L,313Rに案内されていたが、連結部360a,360bを設けないものとして、案内軸343b,343dと案内軸343a,343cとはそれぞれ別個の案内溝にて構成されていてもよい。
また、この実施の形態では、可動板15d側に被案内部としての案内軸343b,343dが形成され、本体300側に案内部としての案内溝313L,313Rが形成されていたが、可動板15d側に案内部としての案内溝313L,313Rが形成され、本体300側に被案内部としての案内軸343b,343dが形成されていてもよい。
また、可動板15dの駆動手段も、ソレノイドと回動可能に設けられた伝達部材に限定されるものではなく、例えば駆動源としてモータを適用するとともに、該モータの駆動力をギヤ部材等により伝達すること(例えば、ラックとピニオン)により進退移動及び姿勢変更可能としてもよい。
また、この実施の形態では、可動板15dを進退させるソレノイド16が駆動されることにより揺動部材350が揺動可能な状態(第2状態)と揺動不能な状態(第1状態)とに変更されるものとしたが、ソレノイド21とは別に、揺動部材350を揺動可能な状態と揺動不能な状態(または揺動し難い状態)とに変更する駆動源を備えてもよい。この場合、ソレノイド16によって可動板15dが進出位置から後退位置に移動したタイミングよりも後のタイミングにおいて、揺動部材350を揺動可能な状態(第2状態)から揺動不能な状態または揺動し難い状態(第1状態)に変更するように、主基板31が別の駆動源を制御してもよい。こうすれば、揺動部材350が揺動可能な状態(第1状態)から揺動不能な状態(第2状態)に変化するタイミングが可動板15dが後退位置に移動するタイミングよりも遅いので、始動入賞通路305において遊技球の噛み込みが発生するのをより確実に抑制することができる。
また、揺動部材350を揺動可能な状態と揺動不能な状態(または揺動し難い状態)とに変更する駆動源として、可動板15dを駆動するソレノイド21とは別のソレノイドを備えてもよい。この場合には、別のソレノイドのプランジャを付勢するバネ(コイルスプリング)は、可動板15dを後退させるソレノイド21のバネ(図示せず)よりも付勢力が小さく設計されてもよい(例えば、コイルスプリングの巻き数を少なくするなど)。こうすれば、可動板15dが後退して揺動部材350が揺動不動な状態に変更されるときに、可動板15dを後退させる力よりも揺動部材350を揺動不能な状態にする力の方が小さくなる。そのため、可動板15dの後退に伴って遊技球が始動入賞通路305に引き込まれたときに、遊技球の球圧よりも揺動部材350を揺動不能な状態にする力の方が小さいので、揺動部材350が揺動して、始動入賞通路305において球詰りが発生するのを抑制することができる。
次に、第1変形例としての可変入賞球装置1015について図13〜図15に基づいて説明する。図13は、(a)は第1変形例の第2特別可変入賞球装置の開放状態を示す斜視図であり、(b)はベース部材を介して第1変形例の第2特別可変入賞球装置を示す斜視図である。図14は、(a)は第1変形例の可動板を示す斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)のD−D断面図、(d)は(b)のE−E断面図である。図15は、第1変形例における第2特別可変入賞球装置の遊技球の移動を説明するための図である。
尚、第1変形例および後述する第2変形例、第3変形例としての特別可変入賞球装置1015、2015、3015については、可変入賞球装置15と相違する部位に関する図示と説明をし、同一の構成部位に関しては同様の符号を付すこと等により説明を省略することとする。
第1変形例の可動板15dは、図21(b)に示すように、球受部340は、傾斜面340b,340cと左右側辺との間の角部が湾曲状に形成されているとともに、球受面340aにおける前後方向の略中央位置よりも前側の領域が、後側よりも先端側に向けて上方に屈曲する屈曲部340dとされている。このように球受部340の先端側に後側よりも傾斜角度が大きい屈曲部340dが形成されていることで、球受面340aの先端側で受けた遊技球が第2大入賞口20c側に向けて誘導されやすくなるため、退避移動時に遊技球を引き込みやすくなる。
また、第1変形例の特別可変入賞球装置1015は、揺動部材350に代えて揺動部材1350が取り付けられている点で、上述した可変入賞球装置15と相違する。第1変形例の揺動部材1350は、前後方向に伸縮可能なコイル状のスプリング354と、スプリング354の後端に取り付けられて連結部材309と当接する後方支持部材355とからなる。揺動部材1350は、スプリング354の内側に、ベース部材380の裏面に形成された図示しない支軸が挿通して、ベース部材380と連結部材309とに挟まれて支持される。スプリング354は、揺動部材350と同様に、可動板15dの進退状態にかかわらず第2始動入賞口13bに進入しようとする遊技球と接触するように、前端部が第2始動入賞口13bの上側縁部よりも下方に突出して設けられている(図13(b)参照)。つまり、揺動部材1350は、スプリング354の前端部の下端と、可動板15dの球受面340aとの遊技盤面に沿った距離が遊技球の直径2Rよりも小さくなるように形成されている。
第1変形例の特別可変入賞球装置1015では、可動板15dが進出位置に位置するときには、図14(a)および(b)に示すように、プランジャ308先端の連結部材309が後方に位置して、スプリング354が第2始動入賞口13bに進入しようとする遊技球の球圧によって伸縮可能な状態(第2状態)となる。上述したように、可動板15dや案内溝313L,313Rは、後方に向かって下側に若干傾いて形成されており、第2始動入賞口13bに進入しようとする遊技球の球圧によってスプリング354が後方に縮むと、スプリング354の下端と可動板15dとの距離(始動入賞通路305の上下幅寸法)が遊技球の直径2Rよりも大きくなる(図14(b)参照)。これにより、遊技球が揺動部材1350の下方を通って始動入賞通路305を通過することができ、通過した遊技球が第2始動口スイッチ14bにて検出されることになる。
一方、可動板15dが後退位置にあるときには、図14(c)に示すように、プランジャ308先端の連結部材309が前方に位置して、ベース部材380と連結部材309とによりスプリング354が縮められ、スプリング354がそれ以上縮められにくい状態(第1状態)となる。これにより、揺動部材1350が始動入賞通路305の上部を遮って遊技球の始動入賞通路305内への進入が規制される。
続いて、特別可変入賞球装置1015の閉成動作に伴う遊技球の進入状況について説明する。可動板15dが進出位置から後退位置側に向けて退避移動を開始すると、球受部340の先端側に後側よりも傾斜角度が大きい屈曲部340dが形成されているので、可動板15dの退避移動により、球受面340a上に載った遊技球が屈曲部340dに誘導されて始動入賞通路305側に引き込まれる。このとき、連結部材309の前方への移動に伴って、スプリング354は徐々に縮められるので、可動板15dが進出位置から後退位置側に向けて退避移動している最中には、揺動部材1350は、未だ始動入賞通路305に進入する遊技球の球圧によって多少縮むことができる状態とされる。このため、可動板15dが進出位置から後退位置に向けて移動している最中に可動板15dと揺動部材1350との間に遊技球が挟まったとしても、スプリング354が縮むことによって遊技球が始動入賞通路305を通過することができるので、始動入賞通路305において遊技球の噛み込みが発生するのを抑制することができる。
次に、第2変形例としての特別可変入賞球装置2015について図15および図16に基づいて説明する。図15は、(a)は第2変形例の第2特別可変入賞球装置の開放状態を示す斜視図であり、(b)はベース部材を介して第1変形例の第2特別可変入賞球装置を示す斜視図である。図16は、第2変形例における第2特別可変入賞球装置の遊技球の移動を説明するための図である。
第2変形例の特別可変入賞球装置2015は、揺動部材350,1350に代えて揺動部材2350が取り付けられている点で、上述した可変入賞球装置15、1015と相違する。第2変形例の揺動部材2350は、前後方向に伸縮可能なコイル状のスプリング356と、スプリング356の前端に取り付けられて始動入賞通路305の上部を遮る規制板357とからなる。規制板357は、中央に円形の貫通孔が形成された円形板状の部材からなり、揺動部材2350は、規制板357及びスプリング356の内側に、ベース部材380の裏面に形成された図示しない支軸が挿通して、ベース部材380と連結部材309とに挟まれて支持される。規制板357は、第2始動入賞口13bに進入しようとする遊技球と接触するように、前端部が第2始動入賞口13bの上側縁部よりも下方に突出して設けられている(図15(b)参照)。つまり、揺動部材1350は、規制板357の前端部の下端と、可動板15dの球受面340aとの距離(第2始動入賞口13bの上下幅寸法)が遊技球の直径2Rよりも小さくなるように設けられている。また、第2変形例におけるスプリング356は、後端が連結部材309に固着されている。なお、スプリング356としては、規制板357の径と同じ又は小さい径ものが用いられればよく、図15及び図16に示す例では、規制板357よりも小さい径のスプリング356が用いられている。
第2変形例の特別可変入賞球装置2015では、可動板15dが進出位置に位置するときには、図16(a)および(b)に示すように、プランジャ308先端の連結部材309が後方に位置して、第2始動入賞口13bに進入しようとする遊技球の球圧によってスプリング356が伸縮可能な状態となり、規制板357が前後に進退可能な状態(第2状態)となる。そして、第1変形例と同様に、第2始動入賞口13bに進入しようとする遊技球の球圧によってスプリング356が縮んで規制板357が後方に移動すると、規制板357の下端と可動板15dとの距離(始動入賞通路305の上下幅寸法)が遊技球の直径2Rよりも大きくなる(図16(b)参照)。これにより、遊技球が揺動部材2350の下方を通って始動入賞通路305を通過することができ、通過した遊技球が第2始動口スイッチ14bにて検出されることになる。
一方、可動板15dが後退位置にあるときには、図16(c)に示すように、プランジャ308先端の連結部材309が前方に位置して、ベース部材380と連結部材309とによりスプリング356が縮められ、スプリング356がそれ以上縮められにくい状態となり、規制板357が後方に移動できない状態(第1状態)となる。これにより、揺動部材2350が始動入賞通路305の上部を遮って遊技球の始動入賞通路305内への進入が規制される。
続いて、特別可変入賞球装置1015の閉成動作に伴う遊技球の進入状況について説明する。可動板15dが進出位置から後退位置側に向けて退避移動を開始すると、球受面340a上に載った遊技球が屈曲部340dに誘導されて始動入賞通路305側に引き込まれる。このとき、連結部材309の前方への移動に伴って、スプリング356は徐々に縮められ、可動板15dが進出位置から後退位置側に向けて退避移動している最中には、揺動部材2350は、未だ始動入賞通路305に進入する遊技球の球圧によって多少縮むことができる状態とされる。このため、可動板15dが進出位置から後退位置に向けて移動している最中に可動板15dと揺動部材2350との間に遊技球が挟まったとしても、規制板357が後方に移動するによって遊技球が始動入賞通路305を通過することができるので、始動入賞通路305において遊技球の噛み込みが発生するのを抑制することができる。
なお、第1変形例では、スプリング354の後端に、連結部材309と当接する後方支持部材355が設けられるものとしたが、後方支持部材355と連結部材309が一体に形成されたりスプリング354が連結部材309に固着されるものとしてもよいし、後方支持部材355を備えることなくスプリング354の後端に連結部材309が当接するように構成されてもよい。また、第2変形例では、スプリング356の後端が連結部材309に固着されるものとしたが、スプリング356の後端に連結部材309が当接するように構成されてもよいし、第1変形例と同様にスプリング356の後端に連結部材309と当接する後方支持部材が設けられてもよい。
また、第1変形例と第2変形例では、スプリング354,356が前後方向に伸縮可能に配設されるものとしたが、こうした例に限定されるものではなく、例えば後方に向かって若干上側に傾いて伸縮可能に配設されてもよい。こうすれば、遊技球の球圧によってスプリング354,354が上側に傾いて縮むので、遊技球が揺動部材の下を通過しやすなり、遊技球の移動をスムースにすることができる。
次に、第3変形例としての第2特別可変入賞球装置について、図17及び図18に基づいて説明する。図17は、(a)は変形例としての可動板を示す斜視図、(b)は平面図、(c)は(b)のE−E断面図、(d)は(b)のF−F断面図である。図18は、図17の可動板が進出位置から後退位置に退避する際の遊技球の進入状況を示す断面図である。
第3変形例の第2特別可変入賞球装置の可動板15d’は、上面に遊技球を受ける球受面340aが形成された球受部340と、球受部340の左右側から後側に向けて延設される二股状の被案内部341と、から構成されている。可動板15dと相違する点は、球受部340の形状と、前後の案内軸343a,343b、343c,343d間が板状の連結部材360a,360bにて連結されていない点である。
図18(a)〜(c)に示すように、案内溝313L’,313R’は、可動板15dの移動方向(前後方向)に向けて延設される第1案内部313aと、第1案内部313aよりも後側に該第1案内部313aに対し傾斜して設けられる第2案内部313bと、第2案内部313bよりも後側に第1案内部313aに対し略平行に形成された第3案内部313cと、から構成されている。
具体的には、第1案内部313aは、本体部300の側壁300cの前端近傍位置から後方に向けて僅かに下側に傾斜するように延設される直線状の案内溝である。第2案内部313bは、第1案内部313aの後端から連設され、第1案内部313aよりも傾斜角度が大きい案内溝であり、屈曲部305cに対応する位置に形成されている。第3案内部313cは、第2案内部313bの後端から連設され、第1案内部313aに対し略平行に延設される直線状の案内溝であり、第1案内部313aよりも短寸とされている。
この案内溝313L’,313R’に可動板15d’の案内軸343a,343b、343c,343dがそれぞれ挿入され、被案内部341の前後左右の4点が案内溝313L,313Rにより支持されることで、前後移動時に姿勢が維持されるようになっている。
具体的には、図18(a)に示すように、可動板15d’が進出位置にあるときには、全ての案内軸343a〜343dが第1案内部313aに案内される。この状態において可動板15d’は、球受面340aのほぼ全域が第2始動入賞口13bから前方の右領域7b側に突出して、該右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが可能となるとともに、球受面340aが第2始動入賞口13b側に僅かに傾倒(先端に向けて上側に傾斜)して受けた遊技球を第2始動入賞口13b側に誘導可能な第1姿勢となる。
また、可動板15d’が退避位置にあるときには、前側の案内軸343a、343cが第1案内部313aに案内され、後側の案内軸343b、343dが第1案内部313aよりも下方位置にある第3案内部313cに案内される。この状態において可動板15d’は、球受面340aの全域が第2始動入賞口13bの内部、つまり始動入賞通路305内に退避して、該右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが困難となるとともに、球受面340aが第1姿勢よりも始動入賞通路305側に傾倒して、第2始動入賞口13bから進入した遊技球を始動入賞通路305内に進入不可とする第2姿勢となる。
すなわち、可動板15d’が進出位置にあるときは、第2始動入賞口13bの上下幅寸法L3が遊技球の直径2Rよりも長いが、可動板15d’が退避位置にあるときは、可動板15dが傾倒して第2姿勢になることで、球受面340aの先端が上向きになって第2始動入賞口13bの上下幅寸法L4が遊技球の直径2Rよりも短くなる。よって、退避位置において第2始動入賞口13bが完全に閉鎖されていなくても、第2始動入賞口13bからの遊技球の進入が規制されるので、遊技球を不正に入賞させることを防止できる。
また、退避位置においては、後側の案内軸343b、343dが第1案内部313aよりも下方位置にある第3案内部313cに案内されていることで、案内軸343b、343dが第3案内部313cの上縁辺に当接し、前側の案内軸343a、343cを中心とする可動板15d’の回転が規制されるため、球受部340の先端を強制的に押し下げて第2始動入賞口13bの間口を広げることが困難となるため、遊技球を不正に入賞させることを防止できる。
また、進出位置から退避位置側に向けて退避移動する途中において、前側の案内軸343a、343cが第1案内部313aに案内され、後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bに差し掛かると、可動板15dは、球受面340aの約2/3以上の領域が始動入賞通路305内に退避して、該右領域7bを流下してくる遊技球を受けることが困難な状態となる(図18(b)参照)。
そして、さらに退避移動を続けて後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bにより下方に移動案内されていくことで、球受面340aが前側の案内軸343a、343cを中心として回転することにより、第1姿勢から第2姿勢に漸次変更されていく。
このように可動板15dは、進出位置から退避位置まで移動する途中で第1姿勢から第2姿勢に姿勢が変更されるようになっている。特に第3変形例では、退避位置の直前において後側の案内軸343b、343dが第2案内部313bにより徐々に下方に移動案内されていくため、球受面340aがほぼ退避してから姿勢変更する。すなわち、ある程度遊技球を始動入賞通路305内に引き込んだ状態で姿勢変更されるようになっている。
また、このように案内軸343a〜343dのうち前側の案内軸343a、343cは、進出位置と退避位置との間で第1案内部313aにしか移動案内されない案内軸であり、後側の案内軸343b、343dは第1案内部313a、第2案内部313b、第3案内部313cに移動案内される案内軸である。つまり、可動板15d’は、前側の案内軸343a、343cを中心として後側の案内軸343b、343dが上下に移動することにより上下方向に回転して姿勢変更する。
また、案内軸343a〜343dのうち前側の案内軸343aのみ、伝達部材302を介してソレノイド16に連結される駆動伝達軸とされている。また、この実施の形態の場合、図18に示すように、前側の案内軸343a、343cは、進出位置及び退避位置のいずれも回動軸311からの距離P1はほぼ同じであるが、後側の案内軸343b、343dは、退避位置において、回動軸311からの距離P2が進出位置よりも長くなるとともに、距離P1よりも距離P2の方が長い。
よって、可動板15d’は、移動方向に並設される被案内部としての後側の案内軸343b、343dと補助被案内部としての前側の案内軸343a、343cとにより安定して支持されるとともに、退避位置側の案内軸343b、343dが第2案内部313bに差し掛かると、進出位置側の案内軸343a、343cを中心として回動することで第2姿勢に変更される。この第3変形例における可動板15d’によっても、上述した可動板15dと同様に遊技球の始動入賞通路305への進入率を調整することができる。
尚、第2姿勢のまま進出位置に進出させる場合、第1姿勢のまま進出位置に進出させる場合に比べて進出位置側への移動量を増加させないと、落下してくる遊技球を受ける間口が小さくなるため、可動板15d’のように、第1姿勢で進出させて退避動作の途中で姿勢を第2姿勢に変更する方が好ましい。
また、可動板15d’が退避動作を開始して直ぐに姿勢変更する場合、未だ始動入賞通路305内に引き込まれていない遊技球が姿勢変更により上方に浮き上がってしまう虞がある。よって、始動入賞通路305内に引き込まれ始めた遊技球を奥側に押し込むタイミングで姿勢変更されることが好ましい。
具体的には、例えば第2始動入賞口13bからの球受面340aの突出長さが、進出位置における突出長さに対して約1/2以下になったときに姿勢変更されるようにすることが好ましい。あるいは、第2始動入賞口13bからの球受面340aの突出長さが、遊技球の半径R以下になったときに姿勢変更されるようにすることが好ましい。
また、案内溝313L,313Rは、第2案内部313bよりも退避位置側に第1案内部313aに対し略平行に形成された第3案内部313cを有し、可動板15dは、退避位置で案内軸343b,343dが第3案内部313cに案内されることにより、第2姿勢に維持されることで、退避位置にて傾倒する可動板15dの遊技領域7側の端部を押し下げても、第3案内部313cにより案内軸343b,343dの回動が規制されるため、可動板15dを始動入賞通路305内から強制的に進出させるといった不正行為を抑制できる。
また、始動入賞通路305は、退避位置側に形成された屈曲部305cから下方に向けて延設される第2通路305bと、第2通路305bを流下する遊技球を検出する第2始動口スイッチ14bと、を有し、可動板15dは、案内軸343b,343dよりも進出位置側に突設され、進出位置と退避位置との間で第1案内部313aにのみ案内される補助被案内部としての案内軸343a,343cを有し、退避位置において屈曲部305cに対応する部位に、遊技球が通過可能な切欠部342が形成されているとともに、該切欠部342に対応する位置に案内軸343b,343dが突設されていることで、可動板15dは、移動方向に並設される案内軸343b,343dと案内軸343a,343cとにより安定して支持されるとともに、退避位置側の案内軸343b,343dが第2案内部313bに差し掛かると、進出位置側の案内軸343a,343cを中心として回動することで第2姿勢に変更される。
このように可動板15dの姿勢を安定化させるとともに、補助被案内部としての案内軸343a,343cを中心として姿勢を傾倒させやすくするために案内軸343b,343dと案内軸343a,343cとを極力離間させようとすると、可動板15dが移動方向に長寸となり、退避位置において屈曲部305cを閉鎖してしまうことになるが、可動板15dが屈曲部305cに対応する位置に配置されても、遊技球を切欠部342を介して第2通路305bに流入させることができるので、進入した遊技球を遠回りさせずに第2始動口スイッチ14bにて検出させることが可能となる。
また、第3変形例では、退避位置において第2姿勢に維持されるようになっていたが、退避動作の途中で姿勢が変更されるようになっていれば、必ずしも退避位置において第2姿勢に維持されなくてもよい。
また、この実施の形態では、進出動作及び退避動作双方において、動作途中で姿勢が変更するように構成されていたが、少なくとも退避動作においてのみ姿勢が変更するようになっていれば、進出動作途中で姿勢が変更されないように構成してもよい。
尚、第3変形例における可動板15d’や案内溝313L,313Rは、第1変形例、第2変形例の可変入賞球装置1015、2015にも適用可能である。つまり、この実施の形態で説明した可変入賞球装置15や第1変形例〜第3変形例で説明した内容は、それぞれに組み合わせて適用することができる。
また、この実施の形態では、本発明を可変入賞球装置15に適用した例を説明したが、特別可変入賞球装置20、可変入賞球装置15や他の入賞口にも本発明を適用可能である。また、この実施の形態では、遊技領域7が演出表示装置9の左側と下側に形成されるものに本発明を適用して説明したが、例えば、遊技領域7が演出表示装置9の左右両側を含めた周囲に形成されるものに本発明を適用してもよい。
以上、本発明の実施の形態を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施の形態では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。