JP5906840B2 - 積層シート - Google Patents
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Description
(1) 熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層を有し、
25℃における前記熱可塑性樹脂基材(A)層と樹脂(B)層との剥離強度が、0.005N/10mm以上2N/10mm以下であり、
100℃における前記熱可塑性樹脂基材(A)層と樹脂(B)層との剥離強度が、0.005N/10mm以上2N/10mm以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材(A)層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、かつa1層とa2層とを有し、
環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a1層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a2層)を有する、積層シート。
(2) 下記(I)式を満たす、前記(1)に記載の積層シート。
0.5≦{(M1−M0)−M2}/(M1−M0)×100≦10・・・(I)
ただし、M0:熱可塑性樹脂基材(A)層の質量
M1:積層シートの質量
M2:積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離し、140℃で30分保管した後の樹脂(B)層を含むシートの質量
(3) 樹脂(B)層が硬化性樹脂を主成分とする、前記(1)または(2)に記載の積層シート。
(4) 熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度が80℃以上であり、
熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度−20℃における破断伸度が200%以下であり、
熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度+20℃における破断伸度が500%以上である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の積層シート。
(5) 積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離した樹脂(B)層を含むシートの、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度+20℃における、100%伸長時応力(F100値)が、3MPa以下である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の積層シート。
(6) X線光電子分光法によって測定される、前記熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片面の酸素原子と炭素原子のモル比(酸素原子/炭素原子)が、0.03以上0.15以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の積層シート。
(7) 前記a1層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、
前記a2層は、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を主成分とする、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の積層シート。
(8) a2層、a1層、a2層が、この順に直接積層された、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の積層シート。
(9) 前記a1層は、a1層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことを特徴とする、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の積層シート。
(10) 熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有する、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の積層シート。
(11) 成型用途に用いられる前記(1)〜(10)のいずれかに記載の積層シート。
本発明の積層シートは、成型性、自己保持性の観点から熱可塑性樹脂基材(A)層を有することが必要である。熱可塑性樹脂基材(A)層が含有する熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体といったフッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)系樹脂、AS(アクリロニトリル・スチレン共重合体)系樹脂などが挙げられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂基材(A)層が環状オレフィン系樹脂を含有する場合、熱可塑性樹脂基材(A)層において環状オレフィン系樹脂が主成分であることが好ましい。ここで主成分とは、熱可塑性樹脂基材(A)層の全成分の合計を100質量%とした際に、環状オレフィン系樹脂を50質量%以上100質量%以下含有することを意味する。そして熱可塑性樹脂基材(A)層において環状オレフィン系樹脂が主成分の場合には、熱可塑性樹脂基材(A)層は、環状オレフィン系樹脂のみから構成されても、その他のオレフィン系樹脂を含有しても、またオレフィン系樹脂以外の樹脂を含有してもよい。
環状オレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂と比較すると、靱性が低いが、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させることで、靱性を改良することができる。一方で、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を含有させると表面外観が低下傾向となる。このため、靱性と表面外観を両立するために、熱可塑性樹脂基材(A)層は、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a1層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a2層)を有することが好ましく、前記a1層は、(a1層)全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことが好ましい。ここで、a1層がポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂を含む場合には、a1層は、(a1層)全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂の合計を1〜40質量%含むことが好ましい。
本発明において、熱可塑性樹脂基材(A)層が、ポリエステル系樹脂を含有する場合、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル層(a3層)の少なくとも片面に、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル層(a4層)を有することが好ましい。
(樹脂(B)層)
本発明の積層シートは、成型加飾後の成型体の外観、耐久性の観点から、熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に樹脂(B)層を有することが必要である。樹脂(B)層が含有する樹脂としては、特に限定されないが、耐候性、耐傷性、耐衝撃性、耐水性といった耐久性の付与するために、硬化性樹脂を主成分とすることが好ましい。ここで、硬化性樹脂とは、熱や電子線を加えることで、三次元架橋して硬化する樹脂のことを指す。樹脂(B)層において、硬化性樹脂を主成分とするとは、樹脂(B)層の全成分100質量%において、50質量%以上100質量%以下の硬化性樹脂を含有していることを指す。
(装飾(C)層)
本発明の積層シートは、意匠性の観点から装飾(C)層を有する構成にすることが好ましい。特に、熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することが好ましい。
また、バインダー樹脂としては、共重合体であってもよく、または異種の樹脂の混合体であっても良い。本発明では、取り扱いが容易で、かつ安価であるため、熱硬化性樹脂を好ましく用いられ、特に、成型性の点から、ウレタン樹脂並びにアクリル樹脂とを含む混合体をバインダー樹脂として使用することが好ましい。
装飾(C)層は、成型後の耐久性、表面光沢性の観点から、成型後には硬化していることが好ましいが、一方で、成型前に硬化していると成型追従性が低下してしまうため、好ましくない。このため、成型前は、成型性を保持でき、取り扱い性が低下しない程度に半硬化状態であることが好ましい。
(接着(D)層)
本発明の積層シートは、被着体との密着性の観点から、接着(D)層を有することが好ましい。接着(D)層としては、被着体に対して接着性を有する層を意味する。そして接着(D)層は、被着体の素材に合わせて適宜調整することが好ましいが、例えば、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール−レゾルシノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤およびポリアロマチック系接着剤等の熱硬化性樹脂接着剤や、不飽和ポリエステルやアクリレート等のラジカル重合性組成物からなるラジカル反応型の接着剤、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル、ナイロン及びシアノアクリレート樹脂、ポリオレフィン形樹脂等の熱可塑性樹脂系接着剤やクロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤及び天然ゴム系接着剤等のゴム系接着剤等が挙げられる。
(積層シート)
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層が積層されてなる構成である。熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層を積層していれば特に構成は限定されないため、本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂基材(A)層と樹脂(B)層とが直接積層されている態様や、他の層(コーティング層など)を介して積層されている態様のいずれであってもよい。例えば、熱可塑性樹脂基材(A)層、樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層をこの順に有する構成(該構成は、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層/装飾(C)層/接着(D)層と表現する。以下も同様。)、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層/装飾(C)層、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層/接着(D)層、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層といった構成が考えられる。また、特に上記構成の、熱可塑性樹脂基材(A)層と、樹脂(B)層間にコーティング層を介する構成も好ましく用いられる。本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有することが特に好ましい。さらに、それぞれの構成に対して、熱可塑性樹脂基材(A)層と、樹脂(B)層との剥離強度を調整するために、コーティング層を設けてもよい。
本発明の積層シートにおいて、100℃における前記熱可塑性樹脂基材(A)層と樹脂(B)層との剥離強度を、0.005N/10mm以上2N/10mm以下とする方法は特に限定されないが、例えば、下記(I)式を満たすことで、100℃における該剥離強度を0.005N/10mm以上2N/10mm以下とすることができるので好ましい。
0.5≦{(M1−M0)−M2}/(M1−M0)×100≦10・・・(I)
ただし、M0:熱可塑性樹脂基材(A)層の質量
M1:積層シートの質量
M2:積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離し、140℃で30分保管した後の樹脂(B)層を含むシートの質量
ここで、積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離することで得られる、樹脂(B)層を含むシートとは、樹脂(B)層単体の場合も含み、樹脂(B)層/装飾(C)層、樹脂(B)層/装飾(C)層/接着(D)層、樹脂(B)層/接着(D)層などの積層構成も挙げられる。
0.5≦{(M1−M0)−M2}/(M1−M0)×100≦8・・・(I)’
1≦{(M1−M0)−M2}/(M1−M0)×100≦5・・・(I)”
本発明の積層シートは、成型性、自己保持性の観点から、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度が80℃以上であり、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度−20℃における破断伸度が200%以下であり、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度+20℃における破断伸度が500%以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度を80℃以上とし、かつ熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度−20℃における破断伸度を200%以下とすることで、自己保持性が十分に確保でき、取り扱い性が向上する。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂基材(A)層が、積層フィルムの場合や単層フィルムであっても複数の樹脂が混合されている場合などのように、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度を測定した際に複数のガラス転移温度が観測される場合は、高温側のガラス転移温度を熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度として採用する。
(1)積層シート全厚み、および各層の厚み
積層シートの全体厚みを測定する際は、ダイヤルゲージを用いて、シートから切り出した試料の任意の場所5ヶ所の厚みを測定し、平均値を求めた。
(2)熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度
示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用い、JIS K7121−1987、JIS K7122−1987に準拠して測定および解析を行った。
本発明の積層シート中の樹脂(B)層を含むシート側に、日東電工(株)製OPP粘着テープ(ダンプロンエースNo.375)を貼り合わせ、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該サンプルを熱可塑性樹脂基材(A)層と樹脂(B)層間で、強制的に剥離し、引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離100mm、引張速度を20mm/分として、180°剥離試験を行った。剥離長さ130mm(チャック間距離230mm)になるまで測定を行い、剥離長さ25mm〜125mmの荷重の平均値を剥離強度とした。なお、測定は5回行い、その平均値を採用した。
本発明の積層シートを100mm×100mmの大きさに切り出し、サンプルとし、得られたサンプルについて、下記の通り質量を測定した。なお評価は3回行い、その平均値を採用した。
M0:熱可塑性樹脂基材(A)層の質量
M1:積層シートの質量
M2:積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離し、140℃で30分保管した後の樹脂(B)層を含むシートの質量
(5)破断伸度
本発明の積層シートの任意の一方向および、それに直交する方向に、長さ100mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離20mmとし、引張速度を200mm/分として任意の一方向とそれに直交する方向にそれぞれ引張試験を行った。
本発明の積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離した樹脂(B)層を含むシートの、任意の一方向および、その方向に直交する方向に長さ100mm×幅10mmの矩形に切り出しサンプルとした。引張試験機(オリエンテック製テンシロンUCT−100)を用いて、初期引張チャック間距離20mmとし、引張速度を200mm/分として任意の一方向とそれに直交する方向にそれぞれ引張試験を行った。測定は予め所定の温度(本発明の場合は、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度+20℃)に設定した恒温層中にサンプルをセットし、60秒間の予熱の後で引張試験を行った。サンプルが100%伸長したとき(チャック間距離が40mmとなったとき)のシートにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(シート厚み×10mm)で除した値を100%伸長時応力(F100値)とした。なお、測定は各サンプル、各方向に5回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
超高真空中においた熱可塑性樹脂基材(A)層の表面に、下記条件にて、軟X線を照射し、表面から放出される光電子をアナライザーで検出した。なお、評価は、積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離し、熱可塑性樹脂基材(A)層の樹脂(B)層を積層されていた面について、実施した。
・装置:Quantera SXM(PHI社製)
・励起X線:monochromatic Al Ka 1,2線(1486.6eV)
・X線径:200mm
・光電子脱出角度(試料表面に対する検出器の傾き):45°
また、得られたデータについては、下記のようにして処理して解析を行った。
・スペクトル(ナロースキャン)のスムージング:9−point smoothing
・横軸補正:C1sメインピークを284.6eVに合わせた。
23℃、65%RHの条件下で、該条件で24時間調湿した熱可塑性樹脂基材(A)層について、接触角計(協和界面化学製CA−D型)を使用して、水、エチレングリコ−ル、ホルムアミド、及びヨウ化メチレンの4種類の測定液を用い、協和界面化学(株)製接触角計CA−D型を用いて、各液体の熱可塑性樹脂基材(A)層表面に対する静的接触角を求めた。それぞれの液体について得られた接触角と測定液の表面張力の各成分を下式にそれぞれ代入し、4つの式からなる連立方程式をγL 、γ+ 、γ- について解いた。
ただし、γ=γL +2(γ+ γ- )1/2γj =γj L+2(γj + γj - )1/2ここで、γ、γL、γ+ 、γ- は、それぞれ、基材表面の表面自由エネルギー、長距離間力項、ルイス酸パラメーター、ルイス塩基パラメーターを、また、γj、γj L 、γj + 、γj -は、それぞれ、用いた測定液の表面自由エネルギー、長距離間力項、ルイス酸パラメーター、ルイス塩基パラメーターをあらわすものとする。
ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計を用いて、熱可塑性樹脂基材(A)表面の長手方向屈折率(Nx)、幅方向屈折率(Ny)および厚み方向屈折率(Nz)を測定し、下記式から面配向係数(fn)を算出した。
面配向係数 fn=(Nx+Ny)/2−Nz
(10)巻取性
500mm幅、200m長(6インチ、550mm長コア巻)の本発明の積層シート準備し、下記条件で、3インチ、550mm長コアに巻返しを行い、下記の基準で評価を行った。
巻出:上巻出し、張力200N/m、巻取:上巻取り、張力100N/m
速度:5m/min
A:熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間で、全く剥離が発生しなかった。
B:熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間で、剥離がみられたが、剥離箇所にエア噛み込みは発生しなかった。
C:熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間で、剥離がみられ、剥離箇所にエア噛み込みが若干発生した(エア噛み込み率(積層シートの全面積を100%とした際の、エアが噛み込んだ面積の割合)が5%未満)。
D:熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間で、剥離がみられ、剥離箇所にエア噛み込みが発生した(エア噛み込み率(積層シートの全面積を100%とした際の、エアが噛み込んだ面積の割合)が5%以上)、もしくは完全に剥離した。
(11)加熱時自然剥離テスト
本発明の積層シートを真空成型装置(布施真空製、NGF−0406−T)内の上部にあるシートクランプ枠にセットした。続いて、上下ボックス内の真空度を99.0kPaに減圧し、赤外線ヒータを用いて加熱していった際の挙動について、下記の基準で評価を行った。
A:シート温度140℃でも、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間に剥離が発生しなかった。
B:シート温度120℃以上140℃未満で、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間に剥離が発生した。
C:シート温度100℃以上120℃未満で、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間に剥離が発生した。
D:シート温度100℃未満で、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間に剥離が発生した。
真空成型装置(布施真空製、NGF−0406−T)内の上下昇降テーブル上に、ポリプロピレン製形状体(長さ100mm×幅100mm、高さは20mm、25mm、30mmの3種類)を置き、本発明の積層シート(長さ300mm×幅200mm)を上記装置内の形状体の上部にあるシートクランプ枠にセットした。続いて、上下ボックス内の真空度を99.0kPaに減圧し、赤外線ヒータを用いて積層シート表面温度を、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度+20℃になるまで加熱し、形状体を上昇させて、形状体と積層シートを密着させ、3秒間保持した。その後、上ボックスのみを大気圧に開放することで、積層シートを賦型させて、加飾成型体を得た。
A:高さ30mmで成型できた。
B:高さ25mmで成型できたが、30mmでは形状を再現できなかった。
C:高さ20mmで成型できたが、25mmでは形状を再現できなかった。
D:高さ20mmで形状を再現できなかった。
(13)成型後易剥離性
(12)のようにして得られた加飾成型体について、熱可塑性樹脂基材(A)層/樹脂(B)層間で剥離を行い、下記の基準で評価を行った。なお、樹脂(B)層が硬化性樹脂の場合は、樹脂(B)層を硬化させた後に剥離を行った。本実施例においては、高圧水銀ランプにて、積算光量1000mJ/cm2となるように、熱可塑性樹脂基材(A)層側から紫外線照射処理を行い、樹脂(B)層を硬化させた。
A:問題なく剥離できた。
B:やや抵抗はあったが、剥離できた。
C:成型機内から取り出す際に、剥がれてしまった。
D:剥がれなかった。
B以上を合格とした。
ポリプラスチックス社製 TOPAS 8007F−04 を用いた。
ポリプラスチックス社製 TOPAS 6013F−04 を用いた。
ポリプラスチックス社製 TOPAS 6015S−04 を用いた。
日本ゼオン社製“ZEONOR 1060R”を用いた。
日本ゼオン社製“ZEONOR 1430R”を用いた。
プライムポリマー社製 エボリュー SP2540 を用いた。
ジカルボン酸成分としてテレフタル成分が100モル%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が99モル%、ジエチレングリコール成分が1モル%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)を用いた。
東レ製 トレコン“1200S”を用いた
(酸化防止剤)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の“イルガノックス1010”を用いた。
(15)本発明の樹脂(B)層の製造に用いた樹脂。
(16)本発明の装飾(C)層の製造に用いた樹脂
主剤と硬化剤を以下の配合比で混合したものを装飾層用塗料組成物とした。
・主剤:R2325(日本ビー・ケミカル製、固形成分:36%) 100質量部
・硬化剤:D−178N(三井化学製、固形成分:100%) 2質量部
(17)本発明の接着(D)層の製造に用いた樹脂
以下のポリオレフィン系ホットメルト接着剤と溶剤を以下の配合比で混合したものを接着層用塗料組成物とした。
・ポリオレフィン系ホットメルト接着剤:M−28(東洋紡績製、無水マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン) 20質量部
・溶剤:トルエン 80質量部
(18)本発明の離型層の製造に用いた樹脂
(離型樹脂A)
各成分を以下の配合比で混合した。
・主剤: ニカラックMX−706(三和ケミカル製) 20質量部
・硬化触媒: プラスコートDEPクリア(和信化学工業製)4質量部
・メチルエチルケトン 70質量部
・メチルセロソルブ 50質量部。
各成分を以下の配合比で混合した。
・主剤: RP−50(三羽研究所製) 20質量部
・添加剤: RP−20(日本触媒製) 0.3質量部
・硬化触媒: プラスコートDEPクリア 4質量部
・トルエン 50質量部。
熱可塑性樹脂基材(A)層に紫外線照射を行う場合と同じ条件(搬送速度、フィルムとランプの距離)で照度計を搬送し、積算光量を測定した。なお、ランプの種類に応じて下記照度計を使用した。
メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ:岩崎電気社製“PD−365”(測定波長範囲300〜390nm)
低圧水銀ランプ:岩崎電気社製“PD−254”(測定波長範囲230〜280nm)
エキシマランプ:岩崎電気社製“EVUV−200”(測定波長範囲140〜227nm、校正波長172nm)
(実施例1)
熱可塑性樹脂基材(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度220℃、それ以降の温度を240℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてa2層/a1層/a2層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、75℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層の塗工後の乾燥を、80℃条件下で8分間行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層の塗工後の乾燥を、80℃条件下で10分間行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層の塗工後の乾燥を、80℃条件下で20分間行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層の塗工後の乾燥を、80℃条件下で30分間行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層の片面の紫外線照射処理を、エキシマランプにて積算光量18mJ/cm2となるように照射時間7秒で行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層の片面の紫外線照射処理を、低圧水銀ランプにて積算光量250mJ/cm2となるように照射時間30秒で行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層の片面の紫外線照射処理を、エキシマランプにて積算光量100mJ/cm2となるように照射時間40秒で行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層の片面の紫外線照射処理を、エキシマランプにて積算光量120mJ/cm2となるように照射時間48秒で行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層の片面の紫外線照射処理を、低圧水銀ランプにて積算光量250mJ/cm2となるように照射時間30秒で行った以外は、実施例1と同様にして、積層シートを得た。得られた積層シートを本実施例においては、メタルハライドランプにて、積算光量200mJ/cm2となるように、熱可塑性樹脂基材(A)層側から照射時間25秒で紫外線照射処理を行った後に、(1)〜(13)に記載の方法にて評価を行った。
熱可塑性樹脂基材(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度220℃、それ以降の温度を230℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてa2層/a1層/a2層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、65℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度240℃、それ以降の温度を255℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてa2層/a1層/a2層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、90℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度260℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてa2層/a1層/a2層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、120℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層について、3層構成とした。各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を290℃で溶融し、濾過精度20μmのリーフディスクフィルターを通過させた後、ダイの上部に設置したフィードブロック内にてa2層/a1層/a2層(積層厚み比は表参照)となるように積層した後、Tダイより、140℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層の厚みを50μmにした以外は、実施例13と同様にして、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層について、3層構成とした。使用する樹脂をそれぞれ真空乾燥機にて150℃で、5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、各層の組成を表のようにし、それぞれ単軸押出機(L/D=28)に供給し、a3層は供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、a4層は供給部温度230℃、それ以降を250℃で溶融し、a3層とa4層合流後の短管温度を275℃、口金温度275℃で、Tダイより、50℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
得られた熱可塑性樹脂基材(A)層の片面に、樹脂(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い、70℃条件下で20分間乾燥を行った。続いて、装飾(C)層を、さらに接着(D)層を樹脂(B)層と同様の条件にて塗工を行い、積層シートを得た。
実施例16と同様にして、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
得られた熱可塑性樹脂基材(A)層の片面に、コロナ放電処理を施した後(E値:15)、コロナ放電処理面の上に、(15)に記載の離型樹脂Aをグラビアコーターで塗布し、120℃条件下で15分間乾燥を行った。続いて、離型層の上に樹脂(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い、70℃条件下で20分間乾燥を行った。さらに、装飾(C)層を、さらに接着(D)層を樹脂(B)層と同様の条件にて塗工を行い、積層シートを得た。
離型層として、離型樹脂Bを用いた以外は、実施例17と同様にして、積層シートを得た。
樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層の塗工後の乾燥を、70℃条件下で10分間行った以外は、実施例17と同様にして、積層シートを得た。
実施例11と同様にして、熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層の片面の紫外線照射処理を、エキシマランプにて積算光量150mJ/cm2となるように照射時間60秒で行った後、実施例4と同様にして、樹脂(B)層、装飾(C)層を、さらに接着(D)層の塗工、乾燥を行い、積層シートを得た。
得られた積層シートについて、(1)〜(13)に記載の方法にて評価を行った。
熱可塑性樹脂基材(A)層の片面の紫外線照射処理を、メタルハライドランプにて積算光量900mJ/cm2となるように照射時間20秒で行った以外は、比較例1と同様にして、積層シートを得た。
得られた積層シートについて、(1)〜(13)に記載の方法にて評価を行った。
実施例11と同様にして、熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
エキシマランプにて積算光量18mJ/cm2となるように照射時間7秒で行った後、紫外線照射処理面の上に、樹脂(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い、80℃条件下で3分間乾燥を行った。続いて、装飾(C)層を、さらに接着(D)層を樹脂(B)層と同様の条件にて塗工を行い、積層シートを得た。
熱可塑性樹脂基材(A)層について、単膜構成とした。使用する樹脂を真空乾燥機にて150℃で、5時間乾燥し、水分を十分に除去した後、組成を表のようにし、単軸押出機(L/D=28)に供給し、供給部温度265℃、それ以降の温度を280℃で溶融し、短管温度を275℃、口金温度275℃で、Tダイより、50℃に温度制御した金属ロール上にシート状に吐出した。その際、ゴムロールにてニップをし(ニップ圧:0.2MPa)、厚み100μmの熱可塑性樹脂基材(A)層を得た。
得られた熱可塑性樹脂基材(A)層の片面に、樹脂(B)層をスロットダイコーターで塗工を行い、70℃条件下で15分間乾燥を行った。続いて、装飾(C)層を、さらに接着(D)層を樹脂(B)層と同様の条件にて塗工を行い、積層シートを得た。
Claims (11)
- 熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層を有し、
25℃における前記熱可塑性樹脂基材(A)層と樹脂(B)層との剥離強度が、0.005N/10mm以上2N/10mm以下であり、
100℃における前記熱可塑性樹脂基材(A)層と樹脂(B)層との剥離強度が、0.005N/10mm以上2N/10mm以下であり、
前記熱可塑性樹脂基材(A)層が、環状オレフィン系樹脂を主成分とし、かつa1層とa2層とを有し、
環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a1層)の少なくとも片面に、環状オレフィン系樹脂を主成分とする環状オレフィン層(a2層)を有する、積層シート。 - 下記(I)式を満たす、請求項1に記載の積層シート。
0.5≦{(M1−M0)−M2}/(M1−M0)×100≦10・・・(I)
ただし、M0:熱可塑性樹脂基材(A)層の質量
M1:積層シートの質量
M2:積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離し、140℃で30分保管した後の樹脂(B)層を含むシートの質量 - 樹脂(B)層が硬化性樹脂を主成分とする、請求項1または2に記載の積層シート。
- 熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度が80℃以上であり、
熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度−20℃における破断伸度が200%以下であり、
熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度+20℃における破断伸度が500%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。 - 積層シートから熱可塑性樹脂基材(A)層を剥離した樹脂(B)層を含むシートの、熱可塑性樹脂基材(A)層のガラス転移温度+20℃における、100%伸長時応力(F100値)が、3MPa以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
- X線光電子分光法によって測定される、前記熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片面の酸素原子と炭素原子のモル比(酸素原子/炭素原子)が、0.03以上0.15以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
- 前記a1層は、環状オレフィン共重合樹脂(以下、COCという)を主成分とし、
前記a2層は、環状オレフィン樹脂(以下、COPという)を主成分とする、請求項1〜6のいずれかに記載の積層シート。 - a2層、a1層、a2層が、この順に直接積層された、請求項1〜7のいずれかに記載の積層シート。
- 前記a1層は、a1層全体100質量%に対して、ポリエチレン系樹脂及び/又はポリプロピレン系樹脂を1〜40質量%含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の積層シート。
- 熱可塑性樹脂基材(A)層の少なくとも片側に、樹脂(B)層、装飾(C)層、接着(D)層を、この順に有する、請求項1〜9のいずれかに記載の積層シート。
- 成型用途に用いられる請求項1〜10のいずれかに記載の積層シート。
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