JP5906770B2 - 走行車両 - Google Patents

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Description

この発明は、接地して機体を走行させる左右の前輪と左右の後輪を備える走行車両の技術分野に属する。
走行車両の一例である乗用型田植機において、走行推進体である左右の前輪及び左右の後輪と原動機であるエンジンを備える走行車体を設け、走行車体の後側に昇降リンク装置を介して作業部である苗植付部を昇降可能に設け、昇降リンク装置を昇降させる昇降用アクチュエータである昇降用油圧シリンダを設け、エンジンは前輪及び後輪を駆動すると共に油圧ポンプを駆動して昇降用油圧シリンダを駆動する構成としている。そして、方位センサに基づいて所望の方位で機体を進行させるべく、左右の前輪を自動的に操向させる自動操向制御が知られている(特許文献1参照)。
また、左右の緩衝装置を介して左右各々の前輪を上下動可能に支持した乗用型田植機がある。また、苗植付部に設けたフロートの前部の上下動に基づいて所望の対地高さに苗植付部を昇降制御する構成がある。
特開2000−300010号公報
自動操向制御においては、制御の応答性等の影響により、所望の経路で走行させることが難しいことも考えられる。
本発明は、簡単な構成で走行車両の直進性を向上させることを課題とする。また、簡単な構成で作業部の昇降制御の精度を向上させることを課題とする。また、簡単な構成で走行車両の姿勢を安定させることを課題とする。
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、走行車体(2)に左右の前輪(6)と左右の後輪(7)を設けた走行車両において該走行車体(2)に昇降装置(3)を介して作業部(4)を昇降可能に設け、該作業部(4)に設けたフロート(49)の前部の上下動に基づいて所望の対地高さに作業部(4)を昇降制御する構成とし、前記左右の前輪(6)の上下動を緩衝する緩衝装置(70)を各々設け、該左右の緩衝装置(70)の作動圧が共に低下したときは作業部(4)の昇降制御の制御感度を敏感側に補正し、左右の緩衝装置(70)の作動圧が共に上昇したときは作業部(4)の昇降制御における作業部(4)の下降速度を速く設定し、左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差が大きいときは作業部(4)の昇降制御の制御感度を鈍感側に補正する制御装置(33)を設けたことを特徴とする走行車両とした。
また、請求項2に係る発明は、前記制御装置(33)は、前記左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差が大きくなると、作動圧の高い側に左右の前輪(6)を操向させることを特徴とする請求項1に記載の走行車両とした。
また、請求項3に係る発明は、前記制御装置(33)は、前記左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差が大きくなると、前記走行車体(2)の走行速度を減速させることを特徴とする請求項1に記載の走行車両とした。
また、請求項4に係る発明は、前記左右の前輪(6)のトレッドと前記左右の後輪(7)のトレッドを同一にすると共に、前記左右の前輪(6)の周速度を左右の後輪(7)の周速度よりも速くすることにより、前記左右の前輪(6)をスリップさせて左右の後輪(7)が通過する溝を地面に形成する溝形成装置を構成したことを特徴とする請求項1に記載の走行車両とした。
請求項1に係る発明によると、左右の緩衝装置(70)の作動圧が低下したとき、即ち左右の前輪(6)が下動して走行車体(2)が前上がり姿勢になるときは、昇降制御の制御感度を敏感にすることにより、フロート(49)が前上がり姿勢になっても僅かな回動量が検出されると作業部(4)の昇降制御が行われるので、作業部(4)の作業高さが適切な位置に保たれる。これにより、フロート(49)が前上がり姿勢となって作業部(4)の制御感度が鈍感になることが防止され、フロート(49)による泥押しが発生することが防止される。
また、左右の前輪(6)が上動して走行車体(2)が前下がり姿勢になるときは、昇降制御による作業部(4)の下降速度を速くすることにより、作業部(4)が作業高さに到達する時間が長くなることを防止できるので、作業部(4)による対地作業の精度が向上する。
さらに、左右の緩衝装置(70)の圧力差が大きく、走行車体(2)が左右方向に傾斜していると判断されるときは、昇降制御の制御感度を鈍感側に補正することにより、作業部(4)が不適正に上昇することを抑え、作業部(4)の作業位置が地面から離間することを防止できるので、作業部(4)による対地作業の精度が向上する。
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差大きくなると、作動圧が高い側即ち上位となる側に左右の前輪(6)を操向させることで、機体の左右傾斜により進行方向が傾斜下位側にずれることを防止できるので、機体の直進性向上する
請求項3に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差が大きくなると、走行車体(2)の走行速度を減速させることにより、左右方向に傾斜した状態で走行車体(2)が高速走行することを防止できるので、走行姿勢が不安定になることが防止される。
請求項4に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、左右の前輪(6)をスリップさせて形成した溝を左右の後輪(7)が通過することにより、機体の直進性が向上する
田植機の側面図 田植機の平面図 前後進変速レバーのグリップ部を示す側面図 前後進変速レバーのグリップ部を示す背面図 前後進変速レバーの操作経路を判り易く示す平面図 ブロック図 回転数設定パターンを示す図表 異なる回転数設定パターンを示す図表 閉塞シャッタ及び肥料貯留タンクを示す図(a,b:斜視図、c:断面正面図) 肥料袋を装着する状態を示す斜視図
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
図1及び図2は、走行車両である施肥装置付きの乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して作業部となる苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
走行車体2は、駆動輪(走行推進体)である各左右一対の前輪6及び後輪7を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース8が配置され、そのミッションケース8の左右側方に前輪ファイナルケース9が設けられ、該前輪ファイナルケース9の変向可能な前輪支持部となる下部9aから外向きに突出する前輪車軸に前輪6が取り付けられている。また、ミッションケース8の背面部にメインフレーム10の前端部が固着されており、そのメインフレーム10の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース11がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース11から外向きに突出する後輪車軸に後輪7が取り付けられている。
原動機となるエンジン12はメインフレーム10の上に搭載されており、該エンジン12の回転動力が、ベルト伝動装置13を介して正逆転切替可能な変速装置(油圧式変速装置)となる油圧式の前後進無段変速装置(HST)14へ入力される。そして、該前後進無段変速装置(HST)14からの出力がミッションケース8内に伝達される。尚、油圧式の前後進無段変速装置(HST)14は、ミッションケース8の左側の側方に固着されている。また、前後進無段変速装置(HST)14の右方で且つミッションケース8の上方には、苗植付部4を昇降させるための油圧ポンプ15を固着している。従って、エンジン12からの動力がベルト伝動装置13及び前後進無段変速装置(HST)14の入力軸を介して油圧ポンプ15が駆動する構成であり、該油圧ポンプ15は、前後進無段変速装置(HST)14の変速比に拘らずエンジン12の回転数に比例した回転数で駆動し、エンジン12の停止に伴って駆動停止する。ミッションケース8に伝達された回転動力は、該ミッションケース8内において副変速装置を経由した後に走行用伝動経路と植付用伝動経路に分岐して伝動され、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。副変速装置は、ギヤの噛み合いを切り替えることにより、走行用伝動経路と植付用伝動経路に共に伝動する植付速と、植付用伝動経路へは伝動せずに走行用伝動経路にのみ高速で伝動する路上走行速と、走行用伝動経路へは伝動せずに植付用伝動経路にのみ伝動するPTO速の3パターンに有段切替する構成である。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース9に伝達されて前輪6を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース11に伝達されて後輪7を駆動する。尚、ミッションケース8内に設けた左右のサイドクラッチにより、左右各々の後輪7の駆動を入切する構成となっている。また、外部取出動力は、取出伝動軸を介して走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース16内に伝達され、それから植付伝動軸によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。植付クラッチケース16内には、苗植付部4及び施肥装置5への伝動を入切する植付クラッチを設けている。
左右のサイドクラッチは、ハンドル17の操作に連動するサイドクラッチ連動機構により操作される。すなわち、ハンドル17を左側に操舵すると左側のサイドクラッチの伝動が断たれて左側の後輪7が遊転し、ハンドル17を右側に操舵すると右側のサイドクラッチの伝動が断たれて右側の後輪7が遊転する。これにより、機体旋回時に旋回内側の後輪7の駆動が断たれるので、機体の進行方向の変更が円滑に行えると共に、旋回内側の後輪7により圃場を荒らすのを抑えることができる。
ミッションケース8内の伝動機構により左右の前輪6と左右の後輪7が駆動するが、前記伝動機構の伝動により、駆動される後輪7の周速度よりも駆動される前輪6の周速度が速くなる。前記伝動機構において、デフ装置を介して左右の前輪6へ伝動するのであるが、前記デフ装置の駆動入力体となるデフケースから左右各々の後輪7へ伝動される構成となっている。従って、通常作業時の直進状態であれば、左右のサイドクラッチは共に伝動状態となるので左右の後輪7は同じ周速度(回転速度)で駆動する。これとは異なり、左右の前輪6は互いの走行負荷に対応してデフ装置により差動する。直進状態では、左右一方の前輪6が浮き気味となって空転するようなことが希にあるが、左右の前輪6の回転差はあまり生じない。前記伝動機構は、左右の前輪6が同じ周速度(回転速度)で駆動すると仮定したとき、後輪7の周速度よりも前輪6の周速度が速くなる伝動比で伝動する。この伝動比は、前後進無段変速装置14や副変速装置の変速に拘らず一定である。従って、機体の重心が前輪6よりも後輪7に近い位置にあり、また前輪6の外径よりも後輪7の外径が大きく、更に前輪6のラグよりも後輪7のラグの方が走行推進力が大きくなる形状であるので、前輪6は地面上で多少空転(スリップ)しながら走行することになり、前輪6の空転で後輪7が通過する地面に予め溝を形成する溝形成装置が構成されている。これにより、左右の前輪6の空転で形成された溝に左右各々の後輪7が案内されるので、機体の直進性が向上し、また、オペレータはハンドル17の操作にあまり気を取られず、時によってはハンドル17から手を離して後述する苗載台45への苗補給作業や後述する肥料貯留タンク52への肥料補給作業等の他の作業をすることができる。尚、直進時にはデフ装置をデフロック状態にし、左右の前輪6を強制的に同じ速度で回転させるようにすれば、左右の前輪6により確実に左右に溝を形成することができ、機体の直進性が更に向上する。また、後輪7の周速度よりも前輪6の周速度が速いので、旋回内側の後輪7のサイドクラッチを断っての機体旋回時に、旋回内側の後輪7近傍を中心に円滑に機体を旋回させることができる。
左右各々の前輪ファイナルケース9は、上下に分割して構成されている。前輪6への伝動軸であり前輪6の操向中心となる上下方向のキングピン軸と共に、前輪ファイナルケース9の下部9aが、前輪ファイナルケース9の上部9bを基準に上下動し、前輪6が上下動する。前輪ファイナルケース9の下部9aは、前輪ファイナルケース9の上部9bの上面に設けた緩衝装置70により、下側に付勢され上下動が緩衝される。緩衝装置70は、空気圧で作動するエア式のアキュムレータを備えるエアサスペンションであり、前記アキュムレータ内の空気圧を検出する空気圧センサ71を備えている。
そして、空気圧センサ71からの入力に基づき、左右の前輪6における左右各々の空気圧センサ71が検出する空気圧に差が生じ、左右一方の空気圧センサ71が検出する空気圧が高くなると、制御部33から電動モータからなる電動パワステ装置72へ出力し、ハンドル17を強制的に作動させて左右の前輪6が前記空気圧が高い側に操向させる。これにより、左右一方側の前輪6が左右他方側に対して上位であることを、当該左右一方側の前輪6の緩衝装置70の作動圧が高いことに基づいて検出でき、格別の検出手段が不要で構成を簡単にできる。そして、緩衝装置70の作動圧が高い側すなわち上位となる前輪6側に左右の前輪6を操向させることで、機体の左右傾斜により進行方向が傾斜下位側にずれるのを抑え、機体の直進性を向上させることができる。尚、逆に、円滑な走行による直進性向上を図る理由で、緩衝装置70の作動圧が低い側すなわち下位となる前輪6側に左右の前輪6を操向させる構成とすることも考えられる。
また、左右の空気圧センサ71が検出する空気圧が共に低下したときは、後述するセンターフロート49の目標姿勢を前下がり側に補正するべく後述する上下動検出センサ51の制御目標値を補正し、苗植付部4の昇降制御の制御感度を敏感側に補正する。これにより、左右の前輪6が共に下動して機体ひいてはセンターフロート49及びサイドフロート50が前上がり姿勢になるときは、センターフロート49が前上がり姿勢となることにより苗植付部4の昇降制御の制御感度が鈍感になることを抑え、センターフロート49及びサイドフロート50による激しい泥押しが発生することを防止できる。
また、左右の空気圧センサ71が検出する空気圧が共に上昇したときは、苗植付部4の昇降制御における苗植付部4の下降速度を速くするべく、制御部33から後述する昇降用油圧バルブ25へ出力する。尚、昇降用油圧バルブ25は、電気信号により油路の切替だけでなく油圧の流量も制御可能な電磁式比例制御バルブである。これにより、左右の前輪6が共に上動して機体が前下がり姿勢になるときは、昇降制御における苗植付部4の下降速度を速くすることにより苗植付部4が地面を基準にして浮き気味になるのを防止でき、浮き苗の発生を防止できる。
更に、左右の空気圧センサ71が検出する空気圧の圧力差が大きいときは、後述するセンターフロート49の目標姿勢を前上がり側に補正するべく後述する上下動検出センサ51の制御目標値を補正し、苗植付部4の昇降制御の制御感度を鈍感側に補正する。これにより、左右の前輪6の上下位置の差が大きく機体の姿勢が大きく変化していると判断されるときは、苗植付部4の昇降制御の制御感度を鈍感側に補正することにより苗植付部4が不適正に上昇することを抑え、苗植付部4が地面を基準にして浮き気味になるのを防止でき、浮き苗の発生を防止できる。
しかも、左右の空気圧センサ71が検出する空気圧の圧力差が大きいときは、制御部から前後進無段変速装置14を変速操作する油圧サーボモータ73へ出力し、走行速度を減速させる。これにより、畦越え走行等で、左右の前輪6の上下位置の差が大きく機体の姿勢が大きく変化していると判断されるときは、走行速度を減速させて機体の姿勢が不安定になることを防止でき、ひいては機体の転倒を防止できる。
また、左右の空気圧センサ71が検出する空気圧の圧力差が大きく、左右一方の空気圧センサ71が検出する空気圧が低くなると、苗植付部4の左右ローリング制御における左右傾斜センサ74の検出値を前記左右一方側が低位となる側に補正する。これにより、前輪6の上下動により圃場の耕盤の凹凸を早めに察知し、その察知に基づいて以後の苗植付部4の左右傾斜姿勢の挙動を予測して左右ローリング制御をするので、応答性良く高精度で左右ローリング制御が行える。
尚、前述では緩衝装置70としてエアサスペンションについて説明したが、油圧式やばね式のサスペンションにより緩衝装置70を構成し、空気圧センサ71に代えて油圧の圧力やばねの荷重の検出により前輪6の上下動を判断する構成としてもよい。
尚、前輪ファイナルケース9内へ伝動する前輪アクスルケース内の前輪アクスル軸を、ユニバーサルジョイントにより屈曲可能な構成とすれば、前輪ファイナルケース9全体を上下動させることができるので、前輪ファイナルケース9の上部9bを基準に下部9aを摺動させて上下動させる必要がなくなり、前輪ファイナルケース9からの油漏れを防止できる。
エンジン12の上部はミッドカバー18で覆われており、その上に座席19が設置されている。座席19の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー20があり、その上方に前輪6を操向操作するハンドル17が設けられている。ハンドル17の右側の側方には、前記前後進無段変速装置(HST)14を操作する変速操作具となる前後進変速レバー21が設けられている。また、前後進変速レバー21の操作グリップ部22には、該操作グリップ部22を把持する手の指で苗植付部4の昇降操作及び作動の入切操作がおこなえる植付昇降操作レバー23を設けている。尚、該植付昇降操作レバー23の操作により、植付クラッチ用モータ24を作動させて植付クラッチを操作すると共に、電磁式の昇降用油圧バルブ25を作動させて昇降用油圧シリンダである昇降用アクチュエータ26を操作する構成となっている。フロントカバー20の後部にはミッションケース8内の副変速装置を操作する副変速レバー27を設けている。ミッドカバー18及びフロントカバー20の下端左右両側は水平状のフロアステップ27になっている。また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台28を設けている。
予備苗載台28は、上下に3段設けられている。右側の上下3段の予備苗載台28は機体に固定されているが、左側の上下3段の予備苗載台28は移動リンク29を介して装着されている。該移動リンク29の回動により3段の予備苗載台28が前後一列状に連なる展開状態に移動する構成となっており、前記展開状態で3段の予備苗載台28により前後に延びる苗搬送用レールが構成され、圃場の畦から苗植付部4への苗補給を容易に行える構成となっている。移動リンク29は電動式の移動リンク用モータ30により駆動し、該移動リンク用モータ30の駆動により、3つの予備苗載台28が上下に重複する重複状態と前記展開状態に切り替える構成となっている。移動リンク用モータ30は、フロントカバー20の上部に設けた予備苗載台操作スイッチ31の操作により駆動する。
機体の前端部には、前側へ回動させて機体の前方へ突出可能なフロントアーム32を設けている。該フロントアーム32を降車する作業者が上方から押し付けて操作することにより、圃場の畦越え等で機体の前部が浮き上がるのを防止する。このフロントアーム32が前方に突出した状態であることを検出するフロントアームセンサ32aを設け、制御部33は、フロントアームセンサ32aの検出によりフロントアーム32が前方に突出した状態であると判断される場合は、予備苗載台操作スイッチ31を操作しても移動リンク用モータ30を駆動させない構成としている。これにより、機体の前方で降車して操作する作業者に、重複状態と展開状態の間で移動する予備苗載台28が干渉することがなく、また予備苗載台28の移動で機体の重心が変化することがないので、降車作業を安全に行える。尚、フロントアーム32が前方に突出した状態のとき、予備苗載台28が重複状態から展開状態へ移動するのを規制し、予備苗載台28が展開状態から重複状態へ移動するのは許容する構成とすれば、降車作業で邪魔になる展開状態の予備苗載台28を移動させることが可能となる。尚、フロントアーム32を前方に突出させると、自動的に予備苗載台28を重複状態へ切り替える構成としてもよい。
座席19の前方の右側には、ブレーキペダル34を設けている。このブレーキペダル34の操作により、中立復帰機構を介して前後進変速レバー21を自動的に前後進中立位置に復帰させると共に、ミッションケース8内のブレーキ装置を操作して左右の後輪7を制動する構成となっている。ブレーキべダル34の更に右側には、後述するアクセルペダル35を設けている。
昇降リンク装置3は、1本の上リンク36と左右一対の下リンク37を備えている。これらリンクである上リンク36と下リンク37は、その基部側がメインフレーム10の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム39に回動自在に取り付けられ、先端側に縦リンク38が連結されている。そして、縦リンク73の下端部に苗植付部4を回転自在に支承するローリング連結軸を設け、ローリング連結軸を中心として苗植付部4が左右にローリング自在に連結されている。苗植付部4は、制御部33により、左右傾斜センサ74による左右傾斜姿勢の検出に基づいて左右水平姿勢にするべくローリングモータ75を駆動することで左右ローリング制御される。メインフレーム10に固着した支持部材と左右の下リンク37に一体形成したスイングアーム40の先端部との間に昇降用油圧シリンダである昇降用アクチュエータ26が設けられており、該昇降用アクチュエータ26を油圧で伸縮させることにより、上リンク36及び下リンク37が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。尚、昇降用アクチュエータ26とスイングアーム40の間にスイングスプリングを介しており、このスイングスプリングにより通常植付時等の苗植付部4の昇降による振動を減衰し、苗植付部4の昇降におけるハンチングを防止している。また、上リンク36の上下回動角度を検出して昇降リンク装置3の上下回動位置ひいては苗植付部4の昇降位置を検出する昇降リンクセンサ41を設けており、該昇降リンクセンサ41により苗植付部4が最上昇位置まで上昇したことを検出すると、制御部33からの出力で後述する昇降用油圧バルブ25を切り替えることにより昇降用アクチュエータ26の伸縮作動を停止して苗植付部4の上昇作動を停止する構成となっている。
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース42、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口43に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口43に供給すると苗送りベルト44により苗を下方に移送する苗載台45、苗取出口43に供給された苗を苗植付具46で圃場に植付ける苗植付装置47等を備えている。
苗載台45は、苗載面の裏面側下部に左右方向に設けた苗受枠48と苗載面の裏面側上部に設けた支持ローラ49により左右移動自在に支持されている。また、この苗載台45は、上下に延びる複数の仕切り壁部45aを備えており、該仕切り壁部45aにより区分けされて各条の苗載部45bが構成され、6条分の苗を搭載できる構成となっている。尚、前記苗受枠48に6条分の前記苗取出口43を設けている。また、苗載台45は、伝動ケース42の側面から突出するリードカム軸の駆動によりリードカムを介して左右往復移動する構成となっている。また、リードカム軸の駆動により、該リードカム軸の端部に設けた苗送りカムを介して苗送りベルト44が駆動し、苗載台45の左右移動端で苗を一株分の幅だけ苗を苗受枠48側に送る構成となっている。
伝動ケース42内には、リードカム軸の回転速度を複数段に切り替える横移動切替装置を設けている。この横移動切替装置は、伝動比の異なる複数対の伝動ギヤを備え、スライドキーにより伝動する伝動ギヤを選択し、苗載台45の左右移動速度を変更する構成である。
各条の苗載部45bには、該苗載部45b上の苗が所定量まで減少したことを検出する苗減少センサ76を設けている。一方、苗載台45が左右移動の所定位置に到達したことを検出して苗載台45の左右移動を検出する左右移動センサ77を設けている。そして、制御部33により、何れかの苗載部45b上の苗が所定量まで減少したことを苗減少センサ76が検出すると、苗補給を促す警報を発し、苗減少センサ76により何れかの苗載部45b上の苗が前記所定量に達したことを検出してからの左右移動センサ77の検出(検出回数)により当該苗載部45bにおける苗の使用量を判断し、第一の使用量に到達すると前後進無段変速装置14の油圧サーボモータ73へ出力して走行速度を減速し、更に当該苗載部45b上の苗が皆無になると想定される第二の使用量に到達すると前記油圧サーボモータ73へ出力して機体の走行を停止する。これにより、苗を植え付けずに機体が作業走行することを防止できるので、圃場の未植付域の発生を防止できる。
苗植付部4の下部には、中央2条分の苗植付位置を整地するセンターフロート49と、その左右それぞれ外側2条分の苗植付位置を整地するサイドフロート50を設けている。これらフロートであるセンターフロート49及びサイドフロート50を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、前記フロートが泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置47により苗を植付ける。各々のフロートは圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように左右方向の回動支点軸回りに回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート49の前部の上下動が上下動検出機構により検出され、その検出結果に応じ前記昇降用アクチュエータ26を制御する昇降用油圧バルブ25を切り替えて苗植付部4を昇降させる昇降制御により、苗の植付深さを常に一定に維持する。尚、上下動検出機構は、センターフロート49の前部に連結される検出リンクと、該検出リンクの上下位置を検出するポテンショメータである上下動検出センサ51を備えて構成される。該上下動検出センサ51は、伝動ケース42に支持され、苗植付部4に対するセンターフロート49の前部の上下動を検出する構成である。
施肥装置5は、肥料貯留タンク(粉粒体貯留タンク)52に貯留されている肥料(粉粒体)を各条の肥料繰出部(粉粒体繰出部)53によって一定量づつ繰り出し、その肥料を肥料移送ホース(粉粒体移送ホース)54で各々のフロートに取り付けた施肥ガイド55まで導き、施肥ガイド55の前側に設けた作溝体56によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。電動モータ57で駆動するブロア58で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ59を経由して肥料移送ホース54内に吹き込み、肥料移送ホース54内の肥料を苗植付部4側の肥料吐出口(施肥ガイド55)へ強制的に移送するようになっている。施肥溝内に供給された肥料は、施肥ガイド55及び作溝体56の後方でフロートに取り付けた覆土板60により覆土される。施肥伝動機構により施肥装置5へ伝動される動力は、左右方向に延びる施肥駆動軸に伝動され、該施肥駆動軸から各条の繰出用ギヤを介して各条の肥料繰出部53へ伝動される。
施肥伝動機構には、肥料繰出部53の繰出ローラへの伝動比を変更して機体の走行に対応する肥料の繰出量を変更する繰出量変更モータ78を備える繰出量変更機構を備えている。また、施肥伝動機構には、肥料繰出部53の繰出ローラの回転速度を検出する繰出回転センサ79を設けている。また、肥料貯留タンク52には、該肥料貯留タンク52内の肥料が所定量まで減少したことを検出する肥料減少センサ80を設けている。そして、制御部33により、肥料貯留タンク52内の肥料が所定量まで減少したことを肥料減少センサ80が検出すると、肥料補給を促す警報を発し、肥料減少センサ80により肥料貯留タンク52内の肥料が前記所定量に達したことを検出してからの繰出回転センサ79の検出により繰出ローラの累積回転数を判断し、第一の累積回転数に到達すると前後進無段変速装置14の油圧サーボモータ73へ出力して走行速度を減速し、更に肥料貯留タンク52内の肥料が皆無になると想定される第二の累積回転数に到達すると前記油圧サーボモータ73へ出力して機体の走行を停止する。これにより、肥料を繰り出さずに機体が作業走行することを防止できるので、圃場の無肥料区の発生を防止できる。
作業終了後、肥料貯留タンク52内の肥料を回収するときには、各条の肥料繰出部53に設けた肥料排出シャッタを開くことにより、肥料を左右方向に長い肥料回収管へ供給し、ブロア58からの圧力風を肥料回収管の左右一端(左端)から供給し、圧力風による搬送で肥料を肥料回収管の左右他端(右端)から回収する構成となっている。この肥料回収管は、左右他端側を下位にするべく左右傾斜可能に設けられ、左右傾斜させることにより肥料回収作業の時間短縮が図れると共に、管内での肥料詰まりを防止して肥料回収作業の円滑化が図れる。尚、肥料回収管を左右傾斜可能にするべく、各条の肥料繰出部53と肥料回収管の間の排出肥料の流路は、蛇腹ブーツ等の伸縮可能な筒状部材で構成されている。
尚、肥料回収管に代えて、肥料貯留タンク52を着脱式にし、肥料貯留タンク52ごと肥料を回収する構成とすることもできる。このとき、肥料貯留タンク52における肥料繰出部53への各条の連通口を各々の閉塞シャッタ81により塞ぐ必要があるが、各々の閉塞シャッタ81を帯体82で連結し、帯体82の左右端部に設けた取手83を中継ローラ84を介して肥料貯留タンク52の側面部に上方へ向けて設ける。そして、一方の取手83を引くことにより全ての前記連通口が開き、他方の取手83を引くことにより全ての前記連通口が閉じる構成とすることができる。これにより、他方の取手83を引いて全ての連通口を閉じて肥料貯留タンク52を取り外すことができ、肥料回収作業の容易化が図れる。尚、取り外し及び運搬がし易いように、肥料貯留タンク52を2条ごとに分割して構成してもよい。
また、前記閉塞シャッタ81を、撮影カメラの絞りの構造の如く、各々が回動支点軸回りに回動自在な複数のプレートを円周上に配置すると共に、各々のプレートに設けた長孔に各々のピンを通し、前記複数のピンを連結して一体で回動させるリングを設け、リングを該リングを中心に一方へ回動するとピンの移動により各々のプレートが外側に回動して連通口が広がり、リングを他方へ回動するとピンの移動により各々のプレートが内側に回動して連通口が狭まる構成とし、円滑に開閉させることができる。尚、リングの回動中心と複数のプレートが配置される円の中心とは同一の位置である。これにより、肥料粉等の詰まりにより閉塞シャッタ81が作動不良になることを防止できる。また、各プレートが重合するので、肥料粉等の付着を防止でき、閉塞シャッタ81の作動を良好に行える。
また、肥料繰出部53の繰出ロールを、一部を切り欠いた円板を上下に2枚重ねて構成し、下側の円板を回転させて肥料を繰り出す構成としてもよい。これにより、肥料粉等の詰まりを防止できる。
尚、肥料貯留タンク52に代えて、肥料を充填した左右に長い肥料袋85を、各条の肥料繰出部53の上方で該各条の肥料繰出部53に亘るように載置することができる。肥料袋85を支持する肥料袋支持フレーム86は、各条の肥料繰出部53上で肥料袋85を破る各々の突起87と、左右方向の適宜位置に設けた肥料袋支持部材88を備え、突起87で破った開口から肥料が肥料繰出部53へ落下供給される構成となっている。尚、肥料袋支持フレーム86を前方に回動させることにより、空になった肥料袋85を取り外すことができる。これにより、肥料補給時に雨天でも極力肥料を雨で濡らさないことができ、肥料補給を容易に行える。
フロントカバー20の上部には自動旋回スイッチ61を設けており、該自動旋回スイッチ61の操作により機体旋回時の苗植付部4の駆動の入切や苗植付部4の昇降を自動で行う自動旋回制御を実行する。該自動旋回制御について具体的に説明すると、ミッションケース8内には、左右の後輪7の累積回転数を検出する走行距離センサとなる後輪回転数センサ62を左右各々設けている。制御部33は、旋回時にハンドル17を所定角度以上操舵したことを操舵角センサ63が検出すると、植付クラッチ用モータ24及び昇降用油圧バルブ25への出力により苗植付部4の駆動を断ち苗植付部4を最上昇位置まで上昇させると共に、左右の後輪回転数センサ62により左右各々の後輪7の累積回転数すなわち走行距離の検出を開始する。そして、左右の後輪回転数センサ62の検出値の何れかが予め設定する下降用設定走行距離に到達すると、昇降用油圧バルブ25への出力により苗植付部4を下降させると共に、左右の後輪回転数センサ62の検出値をクリアし、検出値が下降用設定走行距離に到達した旋回内側となる左右一方の後輪回転数センサ62の検出を新たに開始する。その後、該後輪回転数センサ62の検出値が予め設定する植付用設定走行距離に到達すると、植付クラッチ用モータ24への出力により苗植付部4を駆動して植付を開始する。これにより、旋回開始時に自動的に苗植付部4の駆動を断って植付を停止すると共に苗植付部4を対地浮上し、旋回終了直前で自動的に苗植付部4を下降し、旋回終了後に、自動的に苗植付部4の駆動を開始して植付を開始し、前行程の植え終わり位置に揃う位置で植え始めることができる。
尚、自動旋回制御において、旋回開始前に植付昇降操作レバー23の操作により苗植付部4の駆動を断って植付を停止した場合は、この植付の停止と同時に左右の後輪回転数センサ62により左右各々の後輪7の走行距離の検出を開始し、ハンドル17を所定角度以上操舵する旋回開始時に左右の後輪回転数センサ62の検出値の平均値を植付用補正値として制御部33に記憶する。そして、前行程の植え終わり位置に旋回終了後の植え始め位置が揃うように、旋回終了後の植付開始を、植付用設定走行距離に前記植付用補正値を加えて補正した値に基づいて実行する。尚、旋回開始時の左右の後輪回転数センサ62による検出開始や、旋回終了直前の苗植付部4の下降及び旋回内側の後輪回転数センサ62による検出開始等は、前述と同様に実行される。また、旋回開始前又は旋回開始時の植付停止後に植付昇降操作レバー23により苗植付部4の駆動を入切操作するか又は対地浮上する苗植付部4を下降操作するか、あるいは旋回終了直前に苗植付部4が下降した後に植付昇降操作レバー25により苗植付部4を上昇操作するときは、その時点以降の自動旋回制御の実行は中止される。
前後進変速レバー21の操作経路は、前後方向に操作する前進操作域及び後進操作域と、左右方向に操作する前後進中立操作域を備えて構成され、前後進中立操作域の一端(左端)の前側に前進操作域の端部を接続し、前後進中立操作域の他端(右端)の後側に後進操作域の端部を接続したクランク状の操作経路になっている。前進操作域及び後進操作域では、前後進中立操作域から離れるほど、高速となる。前後進中立操作域では、前後進変速レバー21が変速レバー用スプリングにより前進操作域側(左側)に寄せられ、前後進変速レバー21を後進操作域側(右側)に操作するには変速レバー用スプリングに抗して操作する構成となっている。従って、前後進変速レバー21は、前進操作域、前後進中立操作域及び後進操作域に操作できる構成とし、前後進中立操作域に前進操作域と後進操作域を連接して前進操作域から後進操作域へ操作するには必ず前後進中立操作域を介して操作する構成となっている。また、前後進変速レバー21の前後方向の操作は、有段カムにより前進側で8段、後進側で5段の有段感覚で操作する構成となっており、前後進変速レバー21の自動戻りを防止すると共に前後進変速レバー21の変速操作フィーリングを向上させている。
前後進変速レバー21の前後方向の操作位置を検出する前後進変速レバーセンサ21aを設けており、該前後進変速レバーセンサ21aにより前後進無段変速装置14の変速操作位置を検出する。また、前後進変速レバーセンサ21aの検出信号が制御部33に入力されると、制御部33からエンジン13の電子燃料噴射弁69に出力し、前後進変速レバー21の操作位置すなわち前後進無段変速装置14の変速操作位置に対応してエンジン12の駆動回転数を設定する構成となっている。
また、前後進中立操作域にて前後進変速レバー21を後進操作域側(右側)に操作したことを検出するバックリフト用センサ64を設けており、該バックリフト用センサ64の検出信号が制御部33に入力されると、制御部33からエンジン13の電子燃料噴射弁69に出力し、前後進変速レバー21を後進操作域側(右側)に操作しているときは、前記前後進変速レバーセンサ21aの検出に優先して、エンジン12の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させる構成としている。また、バックリフト用センサ64の検出に基づき前後進変速レバー21を後進操作域側(右側)に操作しているときは、制御部33の出力により昇降用油圧バルブ25を切り替えて苗植付部4を上昇させる。その後、昇降リンクセンサ41により苗植付部4が最上昇位置まで上昇したことを検出すると、制御部33からの出力で昇降用油圧バルブ25を切り替えることにより昇降用アクチュエータ26の伸縮作動を停止して苗植付部4の上昇作動を停止する。尚、バックリフト用センサ64は、前後進変速レバー21が後進操作域へ操作されればオフになる接触式センサであり、前後進変速レバー21が前後進中立操作域の後進操作域側に操作されたときのみオンになる。
フロントカバー20の上部には、前後進変速レバー21の操作位置に対応してエンジン12の駆動回転数を設定する複数の回転数設定パターンのうちの何れかを選択する選択操作具となるモード切替スイッチ65を設けている。該モード切替スイッチ65で選択される回転数設定パターンは3種類あり、モード切替スイッチ65にて、標準モードと、エンジン13の駆動力を向上させる高回転モードと、エンジン13の燃費低減を図るグリーンモードに切替できる。また、副変速レバー27の操作位置を検出する副変速レバーセンサ27aを設けており、該副変速レバーセンサ27aの検出信号が制御部33に入力され、制御部33は副変速装置が植付速のときのみモード切替スイッチ65からの入力を有効とし、モード切替スイッチ65で選択される回転数設定パターンに基づいてエンジン12の駆動回転数が制御される。尚、副変速装置が路上走行速のときは、別途設定する路上走行用の回転数設定パターンに基づいてエンジン12の駆動回転数が制御される。また、副変速装置がPTO速のときは、エンジン12の駆動回転数はアイドリング回転数となり、アクセルペダル35の操作によりエンジン13の駆動回転数をアイドリング回転数から上昇させ得る構成となっている。
回転数設定パターンについて説明すると、植付速において、標準モードでは、前後進変速レバー21が前後進中立操作域で前進操作域側(左側)(以下、中立位置という。)に操作されているとき、エンジン12の駆動回転数が最も低く設定される。この中立位置から前進操作域で前側(前進高速側)へ操作されるほど、エンジン12の駆動回転数が高く設定される。また、中立位置から前後進中立操作域で後進操作域側(右側)(以下、バックリフト位置という。)に操作されるとエンジン12の駆動回転数が上昇して上昇用の設定回転数に設定されるのであるが、後進操作域の最低速位置(後進1段目)ではエンジン12が上昇用の設定回転数よりも低い駆動回転数に設定され、以下後進4段目まで後側(後進高速側)へ操作されるほど、エンジン12の駆動回転数が高く設定され、後進最高速となる後進5段目へ操作すると、エンジン12が後進4段目よりも低い駆動回転数に設定される。尚、後進4段目と後進5段目のエンジン12の駆動回転数は、前進6段目のエンジン12の駆動回転数と前進7段目のエンジン12の駆動回転数の間の値(前進最高速時よりも低い値)に設定されている。
高回転モードでは、中立位置から前進操作域において、前側(前進高速側)へ操作されるほどエンジン12の駆動回転数が高く設定されるが、各々の操作位置で標準モードでの駆動回転数よりも高い駆動回転数が設定される。そして、バックリフト位置及び後進操作域でのエンジン12の駆動回転数は、上述した標準モードと同じ駆動回転数に設定される。尚、後進4段目と後進5段目のエンジン12の駆動回転数は、前進4段目のエンジン12の駆動回転数と前進5段目のエンジン12の駆動回転数の間の値に設定されることになる。
グリーンモードでは、同様に中立位置から前進操作域において、前側(前進高速側)へ操作されるほどエンジン12の駆動回転数が高く設定されるが、各々の操作位置で標準モードでの駆動回転数よりも低い駆動回転数が設定される。そして、バックリフト位置及び後進操作域でのエンジン12の駆動回転数は、上述した標準モードと同じ駆動回転数に設定される。尚、後進4段目と後進5段目のエンジン12の駆動回転数は、前進最高速である前進8段目のエンジン12の駆動回転数よりも高い値に設定されることになる。
路上走行速における回転数設定パターンとなる路上走行速モードでは、前進操作域において、前側(前進高速側)へ操作されるほどエンジン12の駆動回転数が高く設定されるが、各々の操作位置でグリーンモードでの駆動回転数よりも低い駆動回転数が設定される。中立位置の駆動回転数はグリーンモードと同じ駆動回転数となり、バックリフト位置の駆動回転数は標準モード、高回転モード及びグリーンモードと同じ駆動回転数となる。また、後進操作域において、上述と同様に、後進操作域の最低速位置(後進1段目)ではエンジン12が上昇用の設定回転数よりも低い駆動回転数に設定され、以下後進4段目まで後側(後進高速側)へ操作されるほど、エンジン12の駆動回転数が高く設定され、後進最高速となる後進5段目へ操作すると、エンジン12が後進4段目よりも低い駆動回転数に設定されるが、各々の操作位置で標準モード、高回転モード及びグリーンモードでの駆動回転数よりも低い駆動回転数が設定される。従って、副変速が高速となる路上走行速での急発進を防止すると共に、無闇なエンジン12の駆動回転数の増大を抑えて省エネルギー化が図れる。
PTO速における回転数設定パターンとなるPTO速モードでは、エンジン12の駆動回転数は、前後進変速レバー21の操作位置に拘らず常時グリーンモード及び路上走行速モードの中立位置での駆動回転数と同一の回転数(1850rpm)に設定される。尚、後述するアクセルペダル35の操作位置に拘らず常時グリーンモード及び路上走行速モードの中立位置での駆動回転数と同一の回転数(1850rpm)に設定される構成としてもよい。従って、PTO速モードでは、路上走行速モード以下でエンジン13の駆動回転数が低くなり、更なる省エネルギー化が図れると共に、苗植付部4のみを駆動する苗植付部4の調整時に、苗植付部4が無闇に高速で駆動しないので、調整作業を容易に且つ安全に行える。
アクセルペダル35は、回転数設定パターンに基づく変速操作具すなわち前後進変速レバー21の操作位置に対応する駆動回転数よりも高い側にのみ原動機すなわちエンジン12の駆動回転数を設定可能な駆動回転数設定操作具となる。アクセルペダル35の操作位置を検出するアクセルペダルセンサ35aを設けており、該アクセルペダルセンサ35aの検出信号が制御部33へ入力される。アクセルペダル35の操作量(踏み込み量)に応じてアクセルペダル基準のエンジン12の駆動回転数(以下、アクセルペダル基準回転数という。)が決定されるが、アクセルペダル35の操作量(踏み込み量)が最大のときのアクセルペダル基準回転数(以下、最大アクセルペダル基準回転数)は、前後進変速レバー21を前進操作域及び前後進中立操作域に操作したときと後進操作域に操作したときで異なり、また前進操作域及び前後進中立操作域に操作したときでも各モードによって異なり、後進操作域に操作したときでも植付速か路上走行速かで異なる。この最大アクセルペダル基準回転数は、高回転モードの前進操作域及び前後進中立操作域のときが最も高く、次いで、標準モードの前進操作域及び前後進中立操作域のとき、植付速の後進操作域のとき、グリーンモードの前進操作域及び前後進中立操作域のとき、路上走行速の後進操作域のときの順に低くなり、路上走行速の前進操作域及び前後進中立操作域のときが最も低くなる。このように、各種条件により最大アクセルペダル基準回転数は異なるが、前記各種条件の下で、アクセルペダル基準回転数は、上述した最大アクセルペダル基準回転数を基準にアクセルペダル35の操作量(踏み込み量)に略比例した回転数に決定される。従って、アクセルペダル35の操作位置に対応するエンジン12の駆動回転数(アクセルペダル基準回転数)の決定パターンは、複数の回転数設定パターン(各モード)の切替に伴って異なるパターンに切り替えられる。そして、制御部33は、前後進変速レバー21に基づくエンジン12の駆動回転数よりもアクセルペダル基準回転数が高いときにのみ、アクセルペダル基準回転数をエンジン12の駆動回転数として設定し、エンジン12の電子燃料噴射弁69に出力するのである。
また、油圧式の前後進無段変速装置(HST)14の油圧回路内の油温を検出する油温センサ66と、エンジン13の実際の駆動回転数を検出するエンジン回転数センサ67を設けており、該油温センサ66及びエンジン回転数センサ67の検出信号が制御部33へ入力される。そして、油温センサ66により検出する油温が設定値(例えば40度)よりも低いときは、エンジン回転数センサ67により検出する実際の駆動回転数が設定される駆動回転数となるよう、制御部33により実際の駆動回転数の検出値をフィードバックしながら電子燃料噴射弁69を制御する暖気制御を実行する。これにより、エンジン始動直後等、低温のためエンジン12の実際の駆動回転数が低くて駆動力が十分に得られないときには、電子燃料噴射弁69の開度を大きくして実際の駆動回転数を所望の回転数まで上昇させることができ、エンジン12の暖気効果も得られる。
尚、エンジン12の冷却水温やエンジン12の潤滑油の油温やエンジン12本体の温度等のエンジン12の暖気情報に基づき、前記暖気制御の制御感度を変更する構成とすることもできる。具体的には、前後進無段変速装置14の油温が設定値よりも低いにも拘らず、エンジン12の暖気情報では暖気されていると判断されるときは、制御目標となるエンジン12の実際の駆動回転数を若干低回転側に補正したり、フィードバック制御の応答周期を長くしたりすることができる。また、エンジン12の暖気情報では暖気されていると判断されるときは、暖気制御を実行しない構成とすることもできる。これにより、無闇に暖気制御を行うことでかえってエンジン12の駆動回転数が安定しないようなことを防止できる。
そして、制御部33は、前後進変速レバー21が前後進中立域にあることを前後進変速レバーセンサ21aが検出し、且つ植付昇降操作レバー23により苗植付部4を上昇操作したことを植付昇降操作レバーセンサ23aからの検出信号により認識すると、昇降用油圧バルブ25を切り替えて苗植付部4を上昇させるが、この上昇作動中(昇降リンクセンサ41により苗植付部4が最上昇位置に到達するのを検出するまで)はエンジン12の駆動回転数を前記上昇用の設定回転数まで上昇させる。従って、前記上昇作動中に前後進変速レバー21が前後進中立域以外に操作されて走行する状態となると、前記上昇用の設定回転数への上昇を解除し、前後進変速レバー21等に基づく駆動回転数に設定する。
また、フロントカバー20の上部に苗植付部4の昇降制御の制御感度を設定する感度設定操作具68を設けており、該感度設定操作具68が苗植付部4の昇降を牽制する昇降牽制位置に操作されているときは、前後進変速レバー21がバックリフト位置に操作されていたり植付昇降操作レバー23による苗植付部4の上昇操作がなされたりしても、エンジン12の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させない構成としている。これにより、無闇にエンジン12の駆動回転数を上昇させずに省エネルギー化が図れると共に、副変速レバー27をPTO位置に操作して苗植付部4のみを駆動する苗植付部4の調整時に、苗植付部4が無闇に高速で駆動しないので、調整作業を容易に且つ安全に行える。
以上により、この乗用型の田植機1は、走行推進体である前輪6及び後輪7と原動機であるエンジン12を備える走行車体2を設け、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4である作業部を昇降可能に設け、昇降リンク装置3を昇降させる昇降用アクチュエータ26を設け、原動機は走行推進体と昇降用アクチュエータ26を駆動する構成とし、該昇降用アクチュエータ26を駆動させて作業部を昇降操作する昇降操作具である植付昇降操作レバー23を設け、昇降用アクチュエータ26が作業部を上昇作動させるとき、走行推進体が停止する状態であれば原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させる構成としている。
よって、作業部を上昇作動させるとき、走行推進体が停止する状態であれば原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させるので、作業部を速やかに上昇させることができ、作業性が向上する。一方、作業部を上昇作動させるときでも、走行推進体が駆動する状態であれば原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させないので、走行推進体の駆動速度ひいては走行速度が無闇に高くなることがなく走行速度を優先して適正にでき、良好な走行性能が得られる。また、原動機の駆動回転数を無闇に上昇させないので、省エネルギー化が図れる。
また、原動機からの動力を非伝動状態へ切替可能な変速装置である前後進無段変速装置14を介して走行推進体へ伝達する構成とし、変速装置を操作する変速操作具である前後進変速レバー21を設け、該変速操作具により変速装置を非伝動状態(前後進中立操作域)へ切り替えたときのみ、作業部の上昇作動に伴って原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させる構成としている。
従って、変速操作具により変速装置を非伝動状態へ切り替えたときのみ、作業部の上昇作動に伴って原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させるので、確実に走行停止時にのみ原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させることになり、確実に良好な走行性能を維持できる。
また、走行推進体を正逆転させて変速装置を前後進変速可能な構成とし、変速操作具の操作位置に対応して所定の回転数設定パターンに基づいて原動機の駆動回転数を設定し、変速操作具は前進操作域、前後進中立操作域及び後進操作域に操作できる構成とし、前後進中立操作域に前進操作域と後進操作域を連接して前進操作域から後進操作域へ操作するには必ず前後進中立操作域を介して操作する構成とし、前進中立操作域において後進操作域側(バックリフト位置)に変速操作具が操作されたとき、昇降用アクチュエータ26を駆動させて作業部を上昇させると共に、原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させる構成としている。
従って、前進中立操作域において後進操作域側となる後進側操作範囲に変速操作具が操作されたとき、昇降用アクチュエータ26を駆動させて作業部を上昇させると共に、原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させるので、走行推進体が停止する状態で且つ作業部を上昇作動させるときに的確に原動機の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させることができ、更なる走行性能の向上化及び省エネルギー化が図れる。
また、回転数設定パターンを、後進操作域における1つのパターンに対して前進操作域又は前後進中立操作域では複数のパターン(標準モード、高回転モード、グリーンモード)に切替できる構成としている。
従って、前進に寄与する前進操作域又は前進で発進する直前の状態に寄与する前後進中立操作域の中立位置において所望の回転数設定パターンに設定でき、特に前進走行において走行性能を良好に維持でき、作業性も向上する。
また、前進中立操作域において前進操作域側となる前進側操作範囲(中立位置)に変速操作具を操作したときの原動機の駆動回転数を前進側中立回転数とし、前進操作域の低速操作側となる前進低速側操作範囲(前進1段目から前進5段目の何れか)に変速操作具を操作したときの原動機の駆動回転数を前進低速側回転数とすると、前進操作域及び前後進中立操作域における複数の回転数設定パターン(標準モード、高回転モード、グリーンモード)によって前進側中立回転数及び前進低速側回転数を共に異ならせ、且つ前記複数の回転数設定パターンの何れのパターンにおいても前進側中立回転数よりも前進低速側回転数の方を大きく設定し、且つ前記複数の回転数設定パターンにおいて前進側中立回転数が大きく設定される任意の回転数設定パターン(例えば、高回転モード、標準モード)において他の回転数設定パターン(例えば、グリーンモード)と比較して前進低速側回転数も大きく設定し、且つ前記複数の回転数設定パターンにおける各々の前進側中立回転数の差よりも前記複数の回転数設定パターンにおける各々の上昇用の設定回転数の差(前述の実施形態では零)が小さくなる構成としている。
従って、複数の回転数設定パターンによって前進低速側回転数が異なるのに対応して、前進で発進する直前の状態に寄与する前進側中立回転数を異ならせるため、原動機の駆動回転数を円滑に変化させながら前進でスムーズに発進することができ、違和感なく快適な発進が行えると共に、発進時の走行負荷による原動機の実際の駆動回転数の極端な低下あるいは原動機の駆動停止を防止できる。また、複数の回転数設定パターンにおける各々の前進側中立回転数の差よりも前記複数の回転数設定パターンにおける各々の上昇用の設定回転数の差が小さくなるので、回転数設定パターンの選択の影響をあまり受けずに作業部を所望の上昇速度で上昇させることができると共に、後進で発進するときに上昇用の設定回転数からの原動機の駆動回転数の変化を所望の円滑な変化に設定するのが容易になり、違和感なく快適な発進が行える。
また、回転数設定パターンに基づく変速操作具の操作位置に対応する駆動回転数よりも高い側にのみ原動機の駆動回転数を設定可能な駆動回転数設定操作具であるアクセルペダル35を設け、該駆動回転数設定操作具の操作位置に対応する前記駆動回転数(アクセルペダル基準回転数)の決定パターンは、複数の回転数設定パターン(標準モード、高回転モード、グリーンモード、路上走行速モード)の切替に伴って異なるパターンに切り替えられる構成としている。
従って、駆動回転数設定操作具の操作により変速操作具の操作位置に対応する駆動回転数よりも高い駆動回転数で原動機を駆動することができ、原動機の駆動力や機体の走行速度が不足する場合にこれらを任意に増大させることができる。そして、駆動回転数設定操作具の操作による原動機の駆動回転数が複数の回転数設定パターンの切替に伴って異なるので、原動機を変速操作具の操作位置に対応する駆動回転数から極端に増大させるのを抑えて駆動回転数設定操作具の操作による駆動回転数へ円滑に且つ的確に変化させることができ、駆動回転数設定操作具の操作により違和感なく快適に原動機の駆動回転数を増大させることができる。
また、変速装置を油圧式変速装置とし、該変速装置内の油温が設定値よりも低いとき、暖気のために原動機の駆動回転数を上昇させる構成としている。
従って、原動機の始動直後等に暖気が不十分で油圧式変速装置内の油温が低くなると共に、油圧式変速装置内の油温が低いときは当該油圧式変速装置の伝動負荷が大きくなるが、これに対応して的確に原動機の駆動回転数を上昇させることができ、原動機の駆動力を所望に向上させることができると共に原動機の駆動回転数の安定化が図れ、走行性能が向上する。
尚、前後進変速レバー21の後進操作域における回転数設定パターンを、機体旋回時と機体非旋回時で異なる構成とすることができる。具体的には、後進操作域の全域においてハンドル17を所定角度以上操作しているときには、通常の非旋回時のエンジン12の回転数よりも低い駆動回転数に設定することができる。尚、機体旋回時であることを判断する方法としては、上述したハンドル17の操舵角の他に、苗植付部4の上昇状態等がある。一般的に、前進状態で水田上で浮力が得られるようにラグが形成された車輪(後輪7)により、後進で特に旋回状態では圃場を荒らし易くなるが、後進での機体旋回時はエンジン12の駆動回転数が低く設定されるので、走行速度が低下すると共に車輪(後輪7)の駆動トルクが抑えられて圃場を荒らすのを抑制することができる。
逆に、後進操作域における機体旋回時に、通常の非旋回時のエンジン12の回転数よりも高い駆動回転数に設定することができる。一般的に、前進状態で走行推進力が得られるようにラグが形成された車輪(後輪7)により、後進で特に旋回状態では走行推進力を得られ難くなるが、後進での機体旋回時はエンジン12の駆動回転数が高く設定されるので、車輪(後輪7)の駆動トルクを向上させて走行推進力を得ることができる。
後進操作域でのエンジン12の駆動回転数を、機体旋回時に低くするモードと高くするモードの双方を備えても良い。このとき、手動により双方のモードを切り替える構成としたり、昇降リンクセンサ41の検出等から得られる耕盤深さに対応して、所定よりも耕盤深さが深いときはエンジン12の駆動回転数が低く設定され、所定よりも耕盤深さが浅いときはエンジン12の駆動回転数が高く設定される構成としたり、エンジン回転数センサ67や前後進無段変速装置14の油温から走行負荷を判断し、走行負荷が所定よりも大きいときはエンジン12の駆動回転数が高く設定され、走行負荷が所定よりも小さいときはエンジン12の駆動回転数が低く設定される構成としてもよい。
つまり、上述の構成は、回転数設定パターンを、後進操作域において機体旋回時と機体非旋回時で異ならせる構成としている。
従って、回転数設定パターンを後進操作域において機体旋回時と機体非旋回時で異ならせる構成としたので、機体旋回時に後進で走行推進体が地面を荒らしたり後進で走行駆動力が不足したりするのを抑制でき、機体旋回時の後進走行性能を良好にできる。
尚、上述の回転数設定パターンを機体旋回時と機体非旋回時で異ならせる制御は、圃場での作業中のみ行うことを前提に、自動旋回スイッチ61の操作による自動旋回制御中のみ実行される構成としてもよい。
また、機体旋回における旋回過程に対応して回転数設定パターンを切り替える構成とすることができる。具体的には、自動旋回スイッチ61の操作による自動旋回制御中において、旋回の前部過程となる自動的に苗植付部4を下降させるまで(下降用設定走行距離に到達するまで)は通常の回転数設定パターンでエンジン12の駆動回転数を設定し、旋回の後部過程となる自動的に苗植付部4を下降させた後(下降用設定走行距離に到達してから植付用設定走行距離するまで)はエンジン12の駆動回転数を通常の回転数設定パターンよりも低く設定することができる。これにより、旋回終了時に機体を操向させながらの次行程の植付のための条合わせを、低速で走行させながら容易に行うことができる。また、旋回の前部過程となる自動的に苗植付部4を下降させるまで(下降用設定走行距離に到達するまで)はエンジン12の駆動回転数を通常の回転数設定パターンよりも高く設定し、旋回の後部過程となる自動的に苗植付部4を下降させた後(下降用設定走行距離に到達してから植付用設定走行距離するまで)はエンジン12の駆動回転数を通常の回転数設定パターンに設定することができる。これにより、旋回開始時の苗植付部4の上昇速度を速くできると共に、ハンドル17の操舵角が大きくて走行負荷が高まり易い旋回の前部過程においてエンジン12の駆動力を増大させることができる。尚、旋回の前部過程と後部過程を上述では下降用設定走行距離に基づき判定したが、旋回過程を判定する他の方法としては、旋回過程判定専用の設定走行距離や、ハンドル17の操作や、旋回時に走行速度を低速にする前提の下での走行変速(前後進変速レバー21の操作位置)や、自動的に苗植付部4を下降させるのに伴うフロート(センターフロート49)の接地(上下動検出センサ51)や、自動的に苗植付部4を下降させるのに伴う昇降用アクチュエータ26内の油圧の圧力変化等を使用して判定することが考えられる。
つまり、上述の構成は、回転数設定パターンを複数のパターンに切替できる構成とし、機体旋回における旋回過程に対応して回転数設定パターンを切り替える構成としている。
従って、機体旋回における旋回過程に対応して回転数設定パターンを切り替えるので、例えば、前行程の作業域に隣接した区域で次行程の作業を行うべく旋回終了時の機体の位置合わせをしたり、旋回開始時に作業部を素早く上昇させたり、旋回開始時又は旋回行程における旋回中間時に走行駆動力を向上させたりでき、旋回走行性能を良好にできる。
尚、回転数設定パターンは様々な形態とすることができるが、一例として異なる回転数設定パターンについて前述の形態と異なる点について説明すると、植付速でのグリーンモードを省略し、路上走行速での回転数設定パターンを植付速での標準モードと同一とし、更に最大アクセルペダル基準回転数を含むアクセルペダル基準回転数を、標準モード、高回転モード、路上走行速の全ての場合で同一とする形態としている。
前述では、前後進変速レバー21が前後進中立操作域以外に操作されると、エンジン12の駆動回転数を上昇用の設定回転数まで上昇させるのを解除する構成について説明したが、前後進変速レバー21をバックリフト位置に操作しての苗植付部4の上昇作動中や、植付昇降操作レバー23の操作に伴う上昇作動中は、苗植付部4が最上昇位置に到達したことを昇降リンクセンサ41が検出するまで、エンジン12の駆動回転数を上昇用の設定回転数で維持する構成とすることもできる。これによれば、走行速度の適正化に優先して苗植付部4の上昇作動を速やかに行え、作業性が向上する。
また、前述では同じモードの前進操作域及び前後進中立操作域あるいは同じモードの後進操作域では同じ最大アクセルペダル基準回転数に設定したが、同じモードの前進操作域及び前後進中立操作域あるいは同じモードの後進操作域でも前後進変速レバー21の操作位置に応じて最大アクセルペダル基準回転数を異ならせてもよい。また、同じ最大アクセルペダル基準回転数の下で、アクセルペダル35の操作位置に対応するアクセルペダル基準回転数を異ならせてもよい。
尚、エンジン12の駆動回転数を変更する方法として、前述の電子燃料噴射制御弁によるものの他、エンジンスロットルをケーブルを介して操作するスロットルモータによる構成とすることもできる。スロットルモータによりエンジンスロットルを制御する場合は、スロットルモータによりケーブルを介してアクセルペダル35も駆動する構成とすれば、アクセルペダルセンサ35aが不要となり、構造が簡単で安価にできる。
以上により、この走行車両は、接地して機体を走行させる左右の前輪6と左右の後輪7を設け、左右の前輪6のトレッドと左右の後輪7のトレッドを同一にすると共に、後輪7の周速度よりも速い周速度で前輪6を駆動し、前輪6をスリップさせて後輪7が通過する地面に予め溝を形成する溝形成装置を構成している。
よって、スリップする前輪6で形成された溝に、後方の後輪7が案内されながら走行することになり、機体の直進性を向上させることができる。
また、左右の緩衝装置70を介して左右各々の前輪6を上下動可能に支持し、左右の緩衝装置70のうちの左右一方側の作動圧が左右他方側に対して高いことに基づき、左右の前輪6を前記左右一方側へ操向させる制御装置33を設けている。
よって、左右一方側の前輪6が左右他方側に対して上位であることを、当該左右一方側の前輪6の緩衝装置70の作動圧が高いことに基づいて検出でき、格別の検出手段が不要で構成を簡単にできる。そして、緩衝装置70の作動圧が高い側すなわち上位となる前輪6側に左右の前輪6を操向させることで、機体の左右傾斜により進行方向が傾斜下位側にずれるのを抑え、機体の直進性を向上させることができる。
また、昇降装置3を介して作業部4を昇降可能に装着し、作業部4に設けたフロート49の前部の上下動に基づいて所望の対地高さに作業部4を昇降制御する構成とし、左右の緩衝装置70を介して左右各々の前輪6を上下動可能に支持し、左右の緩衝装置70の作動圧が共に低下したときは作業部4の昇降制御の制御感度を敏感側に補正し、左右の緩衝装置70の作動圧が共に上昇したときは作業部4の昇降制御における作業部4の下降速度を速く設定し、左右の緩衝装置70の作動圧の圧力差が大きいときは作業部4の昇降制御の制御感度を鈍感側に補正する制御装置33を設けている。
よって、左右の前輪6が共に下動して機体ひいてはフロート49が前上がり姿勢になるときは、フロート49が前上がり姿勢となることにより作業部4の昇降制御の制御感度が鈍感になることを抑え、フロート49による激しい泥押しが発生するのを防止できる。また、左右の前輪6が共に上動して機体が前下がり姿勢になるときは、昇降制御における作業部4の下降速度を速くすることにより作業部4が地面を基準にして浮き気味になるのを防止でき、例えば作業部4が苗植付部であるときの浮き苗の発生等、作業部4の作業における不具合を防止できる。更に、左右の前輪6の上下位置の差が大きく機体の姿勢が大きく変化していると判断されるときは、作業部4の昇降制御の制御感度を鈍感側に補正することにより作業部4が不適正に上昇することを抑え、作業部4が地面を基準にして浮き気味になるのを防止でき、例えば作業部4が苗植付部であるときの浮き苗の発生等、作業部4の作業における不具合を防止できる。
また、左右の緩衝装置70を介して左右各々の前輪6を上下動可能に支持し、左右の緩衝装置70の作動圧の圧力差が大きいときは走行速度を減速させる制御装置33を設けている。
よって、左右の前輪6の上下位置の差が大きく機体の姿勢が大きく変化していると判断されるときは、走行速度を減速させて機体の姿勢が不安定になることを防止でき、ひいては機体の転倒を防止できる。
尚、前述の溝形成装置は前輪6を空転させることにより溝を形成する構成について説明したが、前輪6とは別に設けた溝形成具により溝形成装置を構成することもできる。前記溝形成具は、前輪6の前方で土中に突入するべく、左右の前輪6に対応して左右各々設けられる。機体旋回時には、溝形成具を上昇させて対地浮上させる。
尚、この発明の実施の形態は田植機1について記述したが、本発明は田植機に限定されるものではない。
1 乗用型の田植機
2 走行車体
3 昇降リンク装置
4 苗植付部
6 前輪
7 後輪
33 制御部
49 センターフロート
70 緩衝装置

Claims (4)

  1. 走行車体(2)に左右の前輪(6)と左右の後輪(7)を設けた走行車両において
    該走行車体(2)に昇降装置(3)を介して作業部(4)を昇降可能に設け、該作業部(4)に設けたフロート(49)の前部の上下動に基づいて所望の対地高さに作業部(4)を昇降制御する構成とし、前記左右の前輪(6)の上下動を緩衝する緩衝装置(70)を各々設け、
    該左右の緩衝装置(70)の作動圧が共に低下したときは作業部(4)の昇降制御の制御感度を敏感側に補正し、左右の緩衝装置(70)の作動圧が共に上昇したときは作業部(4)の昇降制御における作業部(4)の下降速度を速く設定し、左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差が大きいときは作業部(4)の昇降制御の制御感度を鈍感側に補正する制御装置(33)を設けたことを特徴とする走行車両。
  2. 前記制御装置(33)は、前記左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差が大きくなると、作動圧の高い側に左右の前輪(6)を操向させることを特徴とする請求項1に記載の走行車両。
  3. 前記制御装置(33)は、前記左右の緩衝装置(70)の作動圧の圧力差が大きくなると、前記走行車体(2)の走行速度を減速させることを特徴とする請求項1に記載の走行車両。
  4. 前記左右の前輪(6)のトレッドと前記左右の後輪(7)のトレッドを同一にすると共に、前記左右の前輪(6)の周速度を左右の後輪(7)の周速度よりも速くすることにより、前記左右の前輪(6)をスリップさせて左右の後輪(7)が通過する溝を地面に形成する溝形成装置を構成したことを特徴とする請求項1に記載の走行車両。
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