JP5906614B2 - 時計 - Google Patents
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Description
本発明の時計は、リング状をなす時計用ケースと、
前記時計用ケースの裏側に装着される裏蓋と、
前記時計用ケースの内周部の周方向に沿ったリング状をなし、前記裏蓋を前記時計用ケースに対して固定する固定機能を有する固定部材とを備え、
前記時計用ケースは、前記固定部材よりも硬質のものであり、
前記固定部材は、前記時計用ケースと前記裏蓋との間に配置され、前記時計用ケースと前記裏蓋との間で圧縮されて変形することにより、前記固定機能を発揮し、
前記裏蓋には、前記固定部材が圧縮されて変形した際に該固定部材の一部が入り込む凹部が形成されていることを特徴とする。
前記固定部材は、前記時計用ケースの内周部と前記突部との間で圧縮されて変形することが好ましい。
これにより、時計用ケースの内周部と突部との間で固定部材をその厚さ方向に確実に圧縮、変形させることができ、よって、当該固定部材の固定機能をより確実に発揮することができる。
前記固定部材および前記突部のうちの少なくとも一方は、前記裏蓋が前記時計用ケースに装着される際に前記突部を前記固定部材の内周部へ導くガイド部を有することが好ましい。
これにより、時計の組み立て製造時において裏蓋をケースに装着する際に、突部がケースの内周部との間で固定部材を圧縮することができるような位置に裏蓋を確実に導くことができるとともに、その装着作業を容易に行なうことができる。
これにより、突部が時計用ケースの内周部との間で固定部材の全体をその厚さ方向に確実に圧縮、変形させることができ、よって、当該固定部材の固定機能をより確実に発揮することができる。
これにより、例えば固定部材設置部の内径を固定部材の外径とほぼ同等に設定した場合、固定部材は、固定部材設置部に嵌合することとなり、よって、固定部材設置部に確実に固定され、固定部材設置部からの離脱が確実に防止される。
これにより、固定部材が圧縮されて変形した際に、当該固定部材が過剰に変形するのを防止することができる。また、固定部材による時計用ケースと固定部材との固定力の増加を抑制したい、すなわち、固定力を緩和したい場合にも有効な構成である。
前記固定部材は、樹脂材料で構成されていることが好ましい。
これにより、時計用ケースが例えばセラミックスで構成されたものである場合、当該時計用ケースは、美的外観、強度等に優れたものとなる。また、固定部材に樹脂材料を用いることにより、当該固定部材は、ケースと裏蓋との間で圧縮された場合変形するが、このとき元の形状に戻ろうとする反力が確実に生じて、固定機能を発揮することができる。
例えば、時計がGPS衛星からのGPS測位電波を受信するアンテナを有する電子時計の場合、裏蓋に渦電流が生じることとなる。渦電流は、それが生じる部材の体積の大きさに応じて変化する、すなわち、大となったり小となったりする特性がある。このため、渦電流が生じる部材の大きさは、できる限り小さいのが好ましい。そこで、裏蓋を互いに別体で構成された複数の部材同士を接合してなるものすることにより、裏蓋の複数箇所で、すなわち、各部材でそれぞれ渦電流が生じたとしても、各渦電流の大きさを比較的小さく抑えることができる。
本発明によれば、製造が容易な時計となる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の時計を腕時計に適用した場合の第1実施形態を示す斜視図、図2〜図4は、それぞれ、図1に示す腕時計において裏蓋が固定部材を介して時計用ケースに固定されるまでの過程を順に示す断面図、図5は、図2中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大図、図6は、図3中の一点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大図、図7は、図4中の一点鎖線で囲まれた領域[C]の拡大図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図7中(図8〜図10についても同様)の上側を「上」、「上方」または「表」、下側を「下」、「下方」または「裏」と言う。
ケース2の外周部23には、巻真パイプ(図示せず)が嵌入され、この巻真パイプにりゅうず12が回転可能に設けられている。りゅうず12を回転操作することにより、そのトルクがムーブメント9に伝わる。これにより、指針10が回転駆動し、よって、表示する時刻を調整することができる。
図2〜図4に示すように、ケース2の内周部25には、その内径が拡径した第1の拡径部26および第2の拡径部(拡径部)27が形成されている。
第2の拡径部27は、内周部25の下側の部分に形成されている。この第2の拡径部27は、後述する固定部材4が設置される固定部材設置部となる。
ケース2、裏蓋3、ベゼル7、指針10の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼や、チタンまたはチタン合金等のような各種金属材料(合金を含む)を用いることができる。また、ケース2の構成材料としては、前記各種金属材料の他に、セラミックスも用いることができる。セラミックスで構成されたケース2は、美的外観、強度等に優れたものとなる。
ベゼル7の内周部72には、その内径が縮径した縮径部73が形成されている。この縮径部73上にカバーガラス5を載置することができる。なお、ベゼル7の内周部72とカバーガラス5の外周部51との間には、パッキン90が圧縮状態で配置されている。これにより、ベゼル7とカバーガラス5との間での液密性、気密性が維持される。
カバーガラス5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、無機ガラス等が挙げられる。この無機ガラスとしては、例えば、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、ハードレックス(強化無機ガラス)、クリアレックス(無反射処理)、スピネルガラス、サファイアガラス等が挙げられる。無機ガラスは、材料強度(強度)が高いため、例えば加圧や衝撃による変形、割れを少なくすることができ、傷が付きにくく、鏡面性も良くすることができる。これにより、カバーガラス5自体の強度を高く、視認性を良くすることができる。
さらに、太陽電池70上には、文字板6が重ねて配置されている。文字板6は、円板状をなす部材で構成され、全体として光透過性を有している。これにより、表側から光が照射された際に、当該光は、文字板6を透過することができる。この透過した光は、太陽電池70で受光される。なお、文字板6の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたプラスチック材料、その他、ソーダガラスや石英ガラスを用いることができる。
文字板6の表側の面には、時針101、分針102、秒針103が指し示して時刻を表示する機能を有する第1の表示部(目盛り)64が複数配置されている。これらの第1の表示部64は、文字板6の周方向に沿って間欠的に配置されており、時刻の「1」〜「12」に相当する。そして、時針101、分針102および秒針103がそれぞれ第1の表示部64を指す位置によって、時刻を確認することができる。
ケース2の裏側には、裏蓋3が装着される。また、ケース2と裏蓋3との間には、固定部材4が介挿されている。次に、裏蓋3、固定部材4について説明する。
固定部材4は、裏蓋3をケース2に対して固定する固定機能を有するものである。固定部材4は、ケース2の内周部25の周方向に沿った円環状(リング状)をなす部材で構成されている。そして、固定部材4は、ケース2の第2の拡径部27で構成された固定部材設置部に、予め設置されている、すなわち、裏蓋3がケース2に装着される以前に設置されている。なお、固定部材4の外径は、第2の拡径部27の内径とほぼ同等に設定されている。これにより、固定部材4は、第2の拡径部27に嵌合することとなり、よって、第2の拡径部27に確実に固定される。
このような樹脂材料を用いることにより、固定部材4は、後述するようにケース2と裏蓋3との間で圧縮された場合変形するが、このとき元の形状に戻ろうとする反力が確実に生じて、前記固定機能を発揮することができる。
図2〜図4に示すように、裏蓋3は、円板状をなす本体部31と、本体部31の表側の面311に突出形成されたリブ(突部)32と有している。
本体部31は、裏蓋3がケース2に装着された際に、表側の面311がケース2の裏側の面28に当接する。これにより、裏蓋3の時計1における厚さ方向の位置が規制される。
図5〜図7に示すように、リブ32は、その外径が徐々に増加している。すなわち、リブ32には、第1のテーパー部321と、第1の外径一定部322と、第2のテーパー部323と、第2の外径一定部324とが上方からこの順に形成されている。
第1の外径一定部322は、第1のテーパー部321の直下に形成され、その外径が一定の部分である。この第1の外径一定部322の外径は、第1のテーパー部321の最大外径と同じである。
第2の外径一定部324は、第2のテーパー部323の直下に形成され、その外径が一定の部分である。この第2の外径一定部324の外径は、第2のテーパー部323の最大外径と同じである。また、第2の外径一定部324の外径は、裏蓋3がケース2に装着される以前、すなわち、外力が付与されない自然状態での固定部材4の内径よりも若干(例えば0.3〜1%)大きく設定されている。
このようにリブ32が固定部材4の内周部41へ導かれるよう構成されていることにより、時計1の組み立て製造時において、裏蓋3をケース2に装着する作業を容易に行なうことができる。
圧縮された固定部材4は、厚さ方向(図7中の左右方向)に変形する。このとき、固定部材4には、元の形状に戻ろうとする反力が生じる。この反力により、固定部材4と裏蓋3との嵌合力(固定力)が増加して、裏蓋3がケース2に対して確実に固定される。このように、固定部材4は、圧縮、変形することにより、固定機能を発揮することができる。
また、前述したように、時計1は、太陽電池70からの電力によりムーブメント9が駆動するものである。このため、時計1は、従来の時計のような電池交換のために裏蓋3の着脱を繰り返すものとは異なり、一旦装着された裏蓋3を取り外して再度装着する作業を省略することができる。このような時計1には、固定部材4を介して裏蓋3をケース2に固定する構成を好適に用いることができる。
これに対し、時計1では、裏蓋3は、樹脂材料で構成された固定部材4を介してケース2に固定されるよう構成されている。このような構成は、セラミックスでケース2を構成した場合でも、当該ケース2に前記クラック等が生じるのが確実に防止され、好ましい。
また、従来の時計のようなボルトを介してケースと裏蓋とを固定するものは、ボルトのヘッド(ネジ頭)が露出してしまい、審美性に欠ける、すなわち、見栄えがよくない。これに対し、時計1は、ボルトによる固定とはなっていないため、審美性に優れている。
図8および図9は、それぞれ、本発明の時計を腕時計に適用した場合の第2実施形態において裏蓋が固定部材を介して時計用ケースに固定されるまでの過程を順に示す断面図である。
以下、これらの図を参照して本発明の時計の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図8、図9に示すように、本実施形態の時計1の裏蓋3Aでは、本体部31の表側の面311に凹部35が形成されている。凹部35は、リブ32の外周側にその周方向に沿ってリング状に形成されている。そして、固定部材4がリブ32とケース2の第2の拡径部27との間で圧縮されて変形した際に、固定部材4の一部、すなわち、固定部材4の変形した分が、凹部35に入り込む。このように凹部35は、変形した固定部材4の一部が入り込む「逃げ空間」として機能する。
なお、固定部材4が圧縮されて変形した際に固定部材4の一部が入り込む「凹部」は、本実施形態では裏蓋3Aに形成さているが、これに限定されず、例えば、ケース2に形成されていてもよいし、ケース2および裏蓋3Aの双方に形成されていてもよい。
図10は、本発明の時計を腕時計に適用した場合の第3実施形態を示す断面図である。
以下、この図を参照して本発明の時計の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、裏蓋の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
例えば、時計1が電波受信機能を有する電子時計の場合、裏蓋3Bに渦電流が生じることになる。渦電流は、それが生じる部材の体積の大きさに応じて変化する、すなわち、大となったり小となったりする特性がある。このため、渦電流が生じる部材の大きさは、できる限り小さいのが好ましい。
このように前記電子時計のような、渦電流をできる限り抑制したい時計では、複数の部材同士を接合してなる裏蓋3Bの構成は、有効となる。
また、本発明の時計は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、固定部材および裏蓋の突部は、前記各実施形態では裏蓋が時計用ケースに装着される際に突部を固定部材の内周部へ導くガイド部を有するものであったが、これに限定されず、固定部材および裏蓋の突部のうちの一方がガイド部を有するものであってもよい。
Claims (8)
- リング状をなす時計用ケースと、
前記時計用ケースの裏側に装着される裏蓋と、
前記時計用ケースの内周部の周方向に沿ったリング状をなし、前記裏蓋を前記時計用ケースに対して固定する固定機能を有する固定部材とを備え、
前記時計用ケースは、前記固定部材よりも硬質のものであり、
前記固定部材は、前記時計用ケースと前記裏蓋との間に配置され、前記時計用ケースと前記裏蓋との間で圧縮されて変形することにより、前記固定機能を発揮し、
前記裏蓋には、前記固定部材が圧縮されて変形した際に該固定部材の一部が入り込む凹部が形成されていることを特徴とする時計。 - 前記裏蓋は、表側の面に突出形成された突部を有し、
前記固定部材は、前記時計用ケースの内周部と前記突部との間で圧縮されて変形する請求項1に記載の時計。 - 前記固定部材は、予め前記時計用ケースの内周部に固定されており、
前記固定部材および前記突部のうちの少なくとも一方は、前記裏蓋が前記時計用ケースに装着される際に前記突部を前記固定部材の内周部へ導くガイド部を有する請求項2に記載の時計。 - 前記突部は、前記裏蓋の縁部に沿ったリング状をなす部分である請求項2または3に記載の時計。
- 前記時計用ケースは、前記時計用ケースの内周部に内径が拡径した拡径部で構成され、前記固定部材が設置される固定部材設置部を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の時計。
- 前記凹部が表側の面側に開口している請求項1ないし5のいずれかに記載の時計。
- 前記時計用ケースは、セラミックスまたは金属材料で構成され、
前記固定部材は、樹脂材料で構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の時計。 - 前記裏蓋は、互いに別体で構成された複数の部材で構成され、該部材同士を接合してなるものである請求項1ないし7のいずれかに記載の時計。
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