JP5903831B2 - 基板表面保護膜用組成物及び基板の製造方法 - Google Patents

基板表面保護膜用組成物及び基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、基板表面保護膜用組成物及び基板の製造方法に関し、詳細には基板の表面に微細構造を形成後に、その基板の裏面を加工する際に、あるいはその基板を一時保管や移動する際に、該微細構造の保護に使用される保護膜用組成物、特に深堀された微細構造の保護に好適な基板表面保護膜用組成物及びそれを用いた基板の製造方法に関する。
電子部品搭載基板やマイクロマシン搭載基板等の製造において、微細構造を表面に形成した半導体、ガラス、有機材料等の基板表面を保護膜で覆う方法が用いられている。例えば、集積回路を形成した電子部品用基板を保管、運搬する際に基板表面を保護膜で覆う方法が用いられる。また、基板の一方の面に微細構造を形成した後、他方の面を加工する際に、該微細構造を保護するために保護膜で基板表面を覆う方法が用いられている。例えば、マイクロマシン又はMEMSともいわれる微小電気機械素子(以下、単にMEMSともいう。)の製造時には、半導体等の基板の一方の面に段差数十μm以上の凹凸を有する微細構造を形成した後、裏面をさらに加工する。MEMS製造方法はこのように、基板の表裏を加工し、しかも、所謂、深堀された凹部を有する微細構造を有するなど、基板上に形成される凹凸の段差は集積回路を半導体基板上に形成する場合に比べて格段に大きく、集積回路を半導体基板に形成する工程とは製造方法が大きく異なる。
基板の保護膜用塗布組成物としては、フェノール系樹脂を用いた幾つかの組成物が開示されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。しかしながら、これらの塗布組成物はフェノール系樹脂による柔軟性の不足が問題であり、とくに加熱時の耐クラック性に問題がある。また、深堀された微細凹凸に対する樹脂の埋め込み性能が不充分である。また、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体等の水溶性樹脂を用いた保護膜用組成物も開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この保護膜用組成物は集積回路の保護用途であり、MEMS等のより大きい凹凸段差を有する基板に対して充分な保護を可能とするものではない。また、保護膜の粘着性が製造工程に悪影響を及ぼすおそれがある。
特開平1−236632号公報 特開平7−38016号公報 特開2010−62495号公報 特開2011−29422号公報
本発明は、従って、耐クラック性に優れ、しかもMEMS等の深堀された微細凹凸に対する樹脂の埋め込み性能が良好であり、保護膜の粘着性を抑えた基板表面保護膜用組成物及びそれを用いた基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するべく検討した結果、軟化点の高いフェノール樹脂に対して低Tgの熱可塑性樹脂を特定の重量比で併せることで、粘着性を抑えて耐クラック性と埋め込み性に優れた保護膜を形成しうることを見出した。
本発明は、従って、環球法で測定した軟化点が140℃以上であるフェノール樹脂と、Tgが70℃以下である熱可塑性樹脂と、有機溶媒とを含有し、フェノール樹脂と熱可塑性樹脂との含有重量比が100:40〜100:300であって、25℃における粘度が4〜10000mPa・sである基板表面保護膜用組成物である。
本発明はまた、微細加工されて凹凸を有する基板表面に、環球法で測定した軟化点が140℃以上であるフェノール樹脂と、Tgが70℃以下である熱可塑性樹脂と、有機溶媒とを含有し、フェノール樹脂と熱可塑性樹脂との含有重量比が100:40〜100:300であって、25℃における粘度が4〜10000mPa・sである組成物を塗布して保護膜を形成する工程、こののち、前記保護膜で被覆された基板面の裏面を加工する工程、を含む基板の製造方法でもある。
上述の構成により、本発明の基板表面保護膜用組成物は、MEMS等の製造の際の深堀された微細凹凸に対する樹脂の埋め込み性能が良好であり、凹部の底部にも良好に充填され、保護膜と基板との隙間が生じることが防止されている。また、製造工程においてチャック付着が抑えられ、工程進捗に支障を来す不都合が防止されている。さらに、製造工程において加熱による保護膜のクラック発生が抑えられ、また、加工後の剥離も容易である。
従って、本発明の基板表面保護膜用組成物を使用した基板の製造方法は、MEMS等の製造に好適に適用することができる。
上記フェノール樹脂としては、環球法で測定した軟化点が140℃以上であるものを使用する。軟化点が140℃未満であると熱時粘着性がでてきて、ドライエッチ時の熱により静電チャックと取り外しができなくなくなり不都合である。好ましくは150℃以上である。
また上記フェノール樹脂の分子量として好ましくは、重量平均分子量で2000〜20000である。
上記フェノール樹脂としては、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するノボラック樹脂等を挙げることができる。
Figure 0005903831
上記一般式(1)において、R1〜R3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜2のアルコキシル基(メトキシ、エトシキ等)又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、好ましくは、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等)であり、さらに好ましくは水酸基、又はメチル基である。
R4〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は、ハロゲン原子(塩素原子等)、水酸基若しくは炭素数1〜5のアルキル基を置換基として有していてもよいフェニル基を表す。ただし、上記一般式(1)で表される繰り返し単位全体において、R4及びR5のうち少なくとも一部は、メチル基、フェニル基、又は、ヒドロキシフェニル基である。好ましくは、R4及び/又はR5がメチル基、フェニル基、又は、ヒドロキシフェニル基である繰り返し単位の割合が20〜100%である。
一般式(1)で表される繰り返し単位全体において、それぞれ複数あるR1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれにおいて、同一でも異なっていてもよい。
上記ノボラック樹脂は、フェノール類と、アルデヒド類又はケトン類とを酸性触媒(例えば、シュウ酸やp−トルエンスルホン酸)の存在下で反応させることにより得ることができる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、3−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、4−t−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロールなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明においては、フェノール類として、得られる絶縁膜の性能の点から、ピロガロール又はm−クレゾールと、他のフェノール類、例えばp−クレゾール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール及び3,5−キシレノールの中から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせて用いることが好ましい。この場合、m−クレゾールと前記他のフェノール類との使用割合は、重量比で25:75〜85:15が好ましく、30:70〜70:30がより好ましい。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピオンアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジフェニルケトンなどが挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。その中でも高Tgを達成することができるので、芳香族アルデヒドが好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、Tgが70℃以下であるものを使用する。Tgが70℃より高いと塗布膜の柔軟性が十分でなくなり不都合である。好ましくは40℃以下である。なお、下限は、好ましくはマイナス60℃であり、より好ましくはマイナス20℃である。
なお、上記熱可塑性樹脂のTgは、DSCの昇温速度3℃/分で測定した時の温度を定量化して測定することができる。
上記熱可塑性樹脂の分子量として好ましくは、重量平均分子量で1.0万〜10万であり、より好ましくは3.0万〜6.0万である。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル−スチレン樹脂、(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンイミド、ポリスルホン、ポリアミドイミド、超高分子ポリエチレン等を挙げることができる。これらのうち、アクリル樹脂(ポリアクリレート、ポリメタクリレート)が作業性、設計容易性の観点から好ましい。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノール樹脂と熱可塑性樹脂との含有重量比は、100:40〜100:300である。フェノール樹脂に対する熱可塑性樹脂の配合量がこの範囲より少ないと耐クラックに対しての抑止効果が不十分となり、この範囲より多いと表面タック性が大きくなり、いずれも不都合である。好ましくは、フェノール樹脂と熱可塑性樹脂との含有重量比は、100:50〜100:200である。
上記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどのケトン類;並びに2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどのエステル類を挙げることができる。これらの中では、グリコールエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類およびジエチレングリコール類が好ましい。3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチルアミルケトン、およびジエチレングリコールエチルメチルエーテルがより好ましい。これらの溶剤は単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても構わない。
本発明の基板表面保護膜用組成物には、さらに、必要により、レベリング剤を配合することができる。レベリング剤を配合することにより、保護膜表面の平滑性が速やかに達成されるので、製造工程において有利である場合がある。レベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、同303、同352(以上、商品名、新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F172、同F173、同R−08、同R−30(以上、商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(以上、商品名、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、商品名、旭硝子(株)製)などのフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサンポリマーKP341(以上、商品名、信越化学工業(株)製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、75、95(以上、商品名、共栄社油脂化学工業(株)製)などのアクリル系界面活性剤などが挙げられる。これらは2種以上用いることもできる。なかでもアクリル系界面活性剤が高厚膜時の消泡性という理由で好ましい。
上記レベリング剤の配合量は、上記フェノール樹脂と上記熱可塑性樹脂との合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部であり、より好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明の基板表面保護膜用組成物は、25℃における粘度が4〜10000mPa・sである。粘度が上記範囲より低いと被覆性が不十分であり、上記範囲より高いと高粘度すぎて塗布性が不十分になる可能性があり、いずれも不都合である。好ましくは100〜7000mPa・sであり、より好ましくは400〜3000mPa・sである。
本発明において粘度は、キャノン−フェンスケ粘度計をもちいて、25.0℃の恒温槽のなかで測定することができる。
本発明の基板表面保護膜用組成物は、各成分を所定量にて、公知の方法で混合して製造することができ、例えば、ディスパーサー、ミキサー、混練機、ホモジェナイザー、3本ロール等の周知の手段を用いて混合する工程を有する製造方法で得ることができる。また上記のように調製された組成物液は、通常、使用前にろ過される。ろ過の手段としては、例えば孔径0.05〜1.0μmのミリポアフィルターなどが挙げられる。
本発明の基板表面保護膜用組成物を使用した基板の製造方法はとしては、例えば、微細加工されて凹凸を有する基板表面に、本発明の基板表面保護膜用組成物を塗布して保護膜を形成する工程、こののち、前記保護膜で被覆された基板面の裏面を加工する工程、を含む基板の製造方法を挙げることができる。
凹凸を有する基板表面は、例えば、深さ/孔径比の値が1以上の凹部を有し、また凹凸の段差が、例えば、100μmの、深堀された微細構造であってよいが、これに限るものではない。このような微細加工された凹凸は、例えば、エッチング加工、リソグラフィ加工、レーザー加工、超音波加工等のミリメーターオーダーからマイクロメーターオーダーの微細な構造を形成する微細加工手法で形成することができる。上記基板としては、例えば、半導体基板、ガラス基板、有機材料基板等を挙げることができる。
保護膜を形成する工程においては、本発明の組成物を基板の表面に、例えば、スピンコート、ディプコート、スプレーコート、ロールコート等の手法で塗布する。スピンコートの場合は例えば500〜6000rpm程度で塗布する。塗布厚みは基板の平坦部上において数十μm程度(例えば、20〜30μm)とすればよい。
保護膜の成形条件としては、乾燥温度80〜140℃、より好ましくは90〜130℃、硬化時間1〜30分、より好ましくは2〜10分であり、必要によりアフターベークを、100〜150℃、0.5〜3時間行うことができる。
前記保護膜で被覆された基板面の裏面を加工する工程においては、例えば、ドライエッチング、ウェットエッチング、研磨、研削等の加工を行うことができる。ドライエッチングの場合は、例えば、フッ素系ガスを用いて、Deep RIE法やボッシュプロセスを行うことができる。
通常、このドライエッチングの過程で保護膜にクラックが入りやすく、本発明の基板表面保護膜用組成物を使用することにより、その可能性が有意に低下する。
本発明の製造方法において、裏面を加工する工程ののち、保護膜を、剥離液によって剥離する工程を含むことができる。上記剥離液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル等を挙げることができる。剥離する工程においては、さらに超音波処理、スプレー洗浄等の方法で剥離液を除去することができる。
本発明の製造方法において、製造工程は、さらに、ダイシング工程びスクライブ工程を含むことができる。ダイシング工程は半導体後工程のシリコンウエハの切断工程と同様に行うことができる。スクライブ工程はガラス等のスクライブ工程と同様に行うことができる。この場合において、通常は、保護膜を剥離してからダイシング工程を行うが、ダイシング時等の削りくずからも保護することができるので、ダイシング工程やスクライブ工程の最終工程で保護膜を剥離することが望ましい。
本発明の基板の製造方法は、MEMS、LED、パワーデバイス、半導体回路、液晶表示装置、タッチパネル等の各種の基板に適用可能であって、とくに両面加工された基板の製造に好適に適用可能である。
以下に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において略語の意味は次のとおり。
樹脂1:Mw=1万、環球法で測定した軟化点190℃(メタクレゾール60phr/パラクレゾール40phr/ベンズアルデヒド100phrを通常の手法により重縮合させて取り出したフェノール樹脂)。
樹脂2:Mw=8000、環球法で測定した軟化点150℃(メタクレゾール60phr/パラクレゾール40phr/ベンズアルデヒド50phr/ホルムアルデヒド50phrを通常の手法により重縮合させて取り出したフェノール樹脂)。
EPR6040A:フェノール樹脂、Mw=2800、環球法で測定した軟化点130℃、旭有機材工業社製。
樹脂A:メタクリル酸メチル50phr、メタクリル酸ブチル30phr、メタクリル酸20phrを共重合させたアクリル樹脂(Mw=4.3万、Tg=80℃)。
樹脂B:メタクリル酸メチル55phr、アクリル酸ブチル15phr、メタクリル酸20phrを共重合させたアクリル樹脂(Mw=4.6万、Tg=65℃)。
樹脂C:メタクリル酸メチル40phr、アクリル酸ブチル40phr、メタクリル酸20phrを共重合させたアクリル樹脂(Mw=3.0万、Tg=19℃)。
樹脂D:メタクリル酸メチル30phr、アクリル酸ブチル60phr、メタクリル酸20phrを共重合させたアクリル樹脂(Mw=4.0万、Tg=−4℃)。
ACA Z320:アクリル樹脂、Mw=2.3万、Tg=140℃、ダイセル・サイテック社製。
BYK−381:アクリル系レベリング剤、BYKジャパン社製。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ダイセル化学社製。
実施例1〜6、比較例1〜6
保護膜用組成物の作成
表1の配合(重量部)により各成分をあわとり錬太郎ARV−310(シンキー)により混合して、それぞれ保護膜用組成物を得た。
評価用基板の作成
つぎに、各組成物を、深さ/孔径比の値が3の凹部を有し、凹凸の段差が100μmの、ドライエッチ加工により深堀された微細構造を有する半導体基板にスピンコートし、平坦部上において5〜30μmの膜厚の保護膜を塗布した。つぎに、120℃、5分の条件で溶媒を乾燥させ、成膜性、表面タック性、クラック耐性、耐薬品性、剥離性を以下の方法で評価した。結果を表2に示した。
評価方法
<成膜性評価>
上記で得られた保護膜サンプルを、掘削装置SAICAS DN−5S型(ダイプラ・ウィンテス)を用いて、膜の状態を観察した。膜として割れ及び砕けを生じることなく削れる場合は記号(○)、割れ又は砕けを生じる場合は記号(×)で示した。
<表面タック性評価>
保護膜面を装置の静電チャック側に向けてセットし、保護膜の裏面側をRIE−200iPを用いてドライエッチング処理を行った後、装置から取り出し、保護膜の剥がれ・表面荒れを観察した。この時ドライエッチ加工の熱により、保護膜の剥がれ(装置への転着)が生じない場合は記号(○)、剥がれが生じた場合は記号(×)で示した。
<クラック耐性評価>
上記ドライエッチング処理を行った後、光学顕微鏡を用いてクラックを観察した。クラックが観察されなかった場合は記号(○)、クラックが観察された場合は記号(×)一部に問題があった場合は記号(△)で示した。
<薬品耐性評価>
上記ドライエッチ処理を行った後、保護膜サンプルを5%フッ化アンモニウム水溶液に23℃、10分間浸漬し、保護膜下への薬液の浸み込みを観察した。浸み込みが無い場合は記号(○)、浸み込みが観察された場合は記号(×)、一部に問題があった場合は記号(△)で示した。ただし、比較例1、2はクラックが入り、評価継続不能なので評価しなかった。
<剥離性評価>
上記ドライエッチ処理を行った後、保護膜サンプルをNMP/80℃/60分処理を行い、剥離残渣を観察した。剥離残渣を生じない場合は記号(○)、残渣を生じる場合は記号(×)で示した。ただし、比較例1、2はクラックが入り、評価継続不能なのでなので評価しなかった。
Figure 0005903831
Figure 0005903831
これらの結果から、実施例の組成物は、耐クラック性に優れ、しかも深堀された微細凹凸に対する樹脂の埋め込み性能が良好であり、保護膜の粘着性を抑えたものであることが実証された。

Claims (9)

  1. 環球法で測定した軟化点が140℃以上であるフェノール樹脂と、Tgが70℃以下である熱可塑性樹脂と、有機溶媒とを含有し、フェノール樹脂と熱可塑性樹脂との含有重量比が100:50〜100:300であって、25℃における粘度が4〜10000mPa・sである基板表面保護膜用組成物。
  2. フェノール樹脂は、フェノール類と芳香族アルデヒド類との反応物であるノボラック樹脂である請求項1記載の組成物。
  3. 熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂である請求項1又は2記載の組成物。
  4. さらに、レベリング剤を含有する請求項1〜3のいずれか記載の組成物。
  5. 25℃における粘度は、100〜7000mPa・sである請求項1〜4のいずれか記載の組成物。
  6. 微細加工されて凹凸を有する基板表面に、環球法で測定した軟化点が140℃以上であるフェノール樹脂と、Tgが70℃以下である熱可塑性樹脂と、有機溶媒とを含有し、フェノール樹脂と熱可塑性樹脂との含有重量比が100:40〜100:300であって、25℃における粘度が4〜10000mPa・sである組成物を塗布して保護膜を形成する工程、こののち、前記保護膜で被覆された基板面の裏面を加工する工程、を含む基板の製造方法。
  7. 凹凸を有する基板表面は、深さ/孔径比の値が1以上の凹部を有する請求項6記載の製造方法。
  8. 保護膜で被覆された基板面の裏面を加工する工程ののち、保護膜を、剥離液によって剥離する工程をさらに含む請求項6又は7記載の製造方法。
  9. さらに、ダイシング工程及びスクライブ工程を含む請求項6〜8のいずれか記載の製造方法。
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