以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る洗濯乾燥機の外観を略示する斜視図、図2は本発明に係る洗濯乾燥機の内部構成を略示する縦断面図である。
図2に示すように、本発明に係る洗濯乾燥機は、外箱1の内部に水槽2及び回転ドラム3を備えている。水槽2は、一側の端部全面に開口20を有する大径の有底円筒体であり、外箱1の底面に立設された複数本の支持脚21(1本のみを図示)により、開口20側を上向きとし、水平面に対して軸心を傾けた傾斜姿勢を保って弾性支持されている。
外箱1の前面(図2の左側面)には、水槽2の開口20を臨む位置に、蓋体10による開閉を自在に行えるように、洗濯物の投入口11が開設してあり、投入口11と水槽2の開口20との間は、ベローズ12により液密に封止されている。図1に示すように、外箱1の前面には、蓋体10の近傍にドア開ボタン13が設けてある。蓋体10は、ドア開ボタン13の操作により開放される。
回転ドラム3は、水槽2よりもやや小径の有底円筒体であり、回転ドラム3の一側には洗濯物の投入のための開口30が開設されている。回転ドラム3の駆動源となるドラムモータ4は、水槽2の底面の外側に固設してある。ドラムモータ4は、水槽2の底板の中央を液密に貫通し、水槽2の内側に突出する出力軸40を有している。回転ドラム3は、開口30を水槽2の開口20の内側に臨ませ、出力軸40の突出端部に底部を連結して、水槽2内に同軸上に支持されており、ドラムモータ4の駆動により、水槽2の内部で回転するように構成されている。
回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が全面に亘って形成してあり、小孔32は回転ドラム3の周壁を貫通している。また、周壁の内面には、軸長方向に延びる複数のバッフル33が、周方向に等配をなして突設されている。なお、図2には、図面の煩雑化を避けるべく、小孔32の一部と1つのバッフル33のみを図示してある。
以上の如く構成された洗濯乾燥機の洗濯運転では、蓋体10を開放し、投入口11の内側に位置する開口20,30を経て回転ドラム3内に洗濯物を投入し、蓋体10を閉じた後、後述するように水槽2の内部に洗濯水を供給する。その後、ドラムモータ4の駆動により、回転ドラム3が正逆方向に反復回転することによって洗濯運転が実施される。
前述したように回転ドラム3は、多数の小孔32と複数のバッフル33とを有しており、回転ドラム3内の洗濯物は、小孔32を介して回転ドラム3内に浸入した洗濯水に浸され、バッフル33の作用によって持ち上げ及び落下を繰り返す。洗濯物は、落下時に回転ドラム3の内面に叩きつけられて洗濯される。
図1に示すように、外箱1の前面上部には、電源スイッチ、運転開始を指示するスタートスイッチ、及び、運転内容を選択するためのスイッチ等のスイッチと、運転内容、警告又は注意等を示すメッセージを表示する表示部とを有する操作パネル15が設けてある。操作パネル15は、外箱1の下部内側に設けた運転制御部8(図2参照)に接続してある。前述した洗濯運転、及び、後述する乾燥運転、更には、これらの間に実施される脱水運転は、操作パネル15の操作に応じた運転制御部8の動作により、一連の処理、又は、個々に独立した処理として実行される。
図1に示すように外箱1の後部上面には、給水源、例えば水道との接続が可能な接続口50が設けてある。この接続口50は、図2に示すように、外箱1の内側に設けた給水弁51に接続してある。給水弁51は、複数の給水出口を有する多連形の電磁弁であり、第1給水出口は、主給水管52を介して水槽2の上部周面に接続されている。給水弁51が第1給水出口に切換えられた場合、給水源から供給される水は、主給水管52を経て水槽2の内部に送り込まれる。主給水管52の中途には、公知のように洗剤ケースを配置し、給水源から供給される水と共に適量の洗剤が水槽2の内部に導入されるように構成することができる。
給水弁51の第2給水出口は、冷却水管53を介して、水槽2の前下部に連結してある。水槽2には、下部周面に前後方向に延びる凹溝22が形成されており、凹溝22の上部を覆うように冷却板23が架設してある。冷却板23は、後部を下として傾斜しており、上表面に並設された複数の凹部を備えている。
給水弁51が第2給水出口に切換えられた場合、給水源から供給される水は、冷却水管53を通って冷却板23の前上部に送り込まれ、複数の凹部内に順次滞留しながら冷却板23の上表面に沿って後方に流れて、後述のように循環する乾燥風を冷却する冷却水として使用される。
凹溝22の後端部に排水ピット24が連設されており、排水ピット24には排水管25の一端が接続されている。排水管25の他端は、外箱1内側の前下部に固定された筒形のフィルタケース26に接続されており、フィルタケース26は外箱1の底面に沿って敷設された排水ホース28に排水弁27を介して接続されている。
洗濯運転が終了して排水弁27が開放された場合、水槽2に貯留してある洗濯水は、排水ピット24、排水管25及びフィルタケース26を経て、排水ホース28に排出される。フィルタケース26の内部には、繊維屑等の異物を捕捉するリントフィルタが収容されており、洗濯水がフィルタケース26を通過した場合、繊維屑等の異物はリントフィルタによって洗濯水から除去される。このため、洗濯水中に含まれる繊維屑等の異物が排水ホース28を経て下水管に排出される虞がない。
また、フィルタケース26は、循環ポンプ120の吸込側に接続してあり、循環ポンプ120の吐出側は、戻し管121を介して水槽2の間側が上部に連通されている。
排水弁27が閉鎖されている場合、水槽2内に供給された洗濯水は、排水ピット24及び排水管25を経てフィルタケース26内部に入り、フィルタケース26を満たす。循環ポンプ120は、フィルタケース26内の洗濯水を吸込み、吸込んだ洗濯水を昇圧し、戻し管121を介して水槽2の上部から回転ドラム3内に洗濯水を供給する。これにより、回転ドラム3内にある洗濯物を良好に濡らすことができ、洗い又は濯ぎの効果を高めることができる。
また、排水ピット24は、排水管25の他に箱体状のエアトラップ24aに接続されている。エアトラップ24aは空気室であり、エアトラップ24aの上部には、水槽2内の水位を検出する水位センサ24bが取り付けてある。
排水弁27が閉鎖された状態で洗濯水が水槽2内に供給されて排水ピット24が充満した後であっても、エアトラップ24aの内部には空気が取り残される。エアトラップ24a内の空気圧は、水槽2内の水位の上昇と共に大きくなる。水位センサ24bは、エアトラップ24a内の空気圧を検出する圧力センサである。水位センサ24bは、検出した空気圧を運転制御部8に与える。
なお、水位センサ24bは、特許請求の範囲における圧力検出部に該当し、排水ピット24及び排水管25により排水路が構成されている。
本発明に係る洗濯乾燥機には、水槽2及び回転ドラム3を通過する乾燥風が循環する循環風路が更に設けられている。循環風路は、水槽2と一体的に形成された導出ダクト60及び導入ダクト61を有している。図3は導出ダクト60及び導入ダクト61の形成態様を示す説明図である。図3は、水槽2の底面を前方から見た状態を略示しており、図3の上下は、図2の上下に対応している。なお、水槽2の外面には、強度確保のための多数のリブが設けてあるが、図3においては、これらのリブの図示を省略してある。
図3に示すように、導出ダクト60は、水槽2の底面最下部を含めて周方向に適宜の長さを有して延び、一側端部で斜め上方に立ち上がるように設けられている。図3には、水槽2の下部周面に前述の如く形成された凹溝22、及び、凹溝22の上部に架設した冷却板23も図示してある。導出ダクト60の下部は、冷却板23の後位置で水槽2内に開口する導出口62に連通している。導出ダクト60の上端部は、水槽2の上部周面に上向きに突設された導出管63に連通している。
導入ダクト61は、水槽2の底面の中心部に設けた円形部と、該円形部の一端に連続し、斜め上方に立ち上がる直線部とを備える。直線部の上端は、水槽2の上部周面に上向きに突設された導入管64に連通している。また円形部の中心位置には、ドラムモータ4の出力軸40が突出しており、この突出部と同軸をなし、水槽2の内部に向けて開口する円形断面の導入口65が開設されている。
図4はドラムモータ4の支持部近傍の拡大断面図である。図中に一部を示すように、ドラムモータ4の出力軸40は、軸受41により回転自在に支持され、水槽2の内側に向けて突出しており、この突出端部は、連結ブラケット42を介して回転ドラム3の底面の中心位置に固定されている。連結ブラケット42と回転ドラム3との間には、薄肉の封止板66が挾持固定されている。封止板66の外周には、導入ダクト61の末端の導入口65の内側に対向する鍔部が周設され、該鍔部には、導入口65に内嵌されて固定されたオイルシール67が摺接している。
回転ドラム3の底面には、連結ブラケット42の固定部よりも外側の周上に並ぶ複数の導入孔34が開設してあり、これらの導入孔34は、封止板66に対応する位置に設けられた連通孔68を介して導入口65に連通している。
図2に示すように、水槽2の上部には、乾燥風を送り出す送風機70が配してある。送風機70は、吸込側のフィルタ71、及び、吐出側のヒータ72と共にユニット化され、外箱1の内部に固定支持されている。送風機70の吸込側は、連結ダクト69を介して導出管63の端部に、送風機70の吐出側は、ヒータ72は送気管79を介して導入管64の端部に連結している。フィルタ71は、連結ダクト69の内部を通流する乾燥風の塵埃を捕捉し、ヒータ72は送気管79内に送り出される乾燥風を加熱する。連結ダクト69には乾燥風を排気する排気ダクト73が連通している。
図5は排気ダクト73付近の構成を示す縦断面図、図6は排気ダクト73付近の構成を示す斜視図、図7は排気ダクト73の排気口を示す縦断面図である。なお図5〜図7において、前後左右の方向を矢印と共に示す。図5において、排気及び吸気の流れを矢印にて示す。
排気ダクト73は、連結ダクト69の上側周面におけるフィルタ71と送風機70との間に設けられ、連結ダクト69に連通している。排気ダクト73は、連結ダクト69の上側周面から上方に突出した突出部73bと、突出部73bに連なるL状部73cとを有する(図5及び図6参照)。L状部73cは、その一端部を左側に向け、他端部を後側に向けて配設されている。L状部73cの一端部は突出部73bの先端部分に連結してあり、他端部は横方向(左右方向)に拡幅している。
L状部73cの他端部に排気口73aが形成してある。L状部73cの内側には、L状部73cの角部分から排気口73aに亘って延出した三つの風向調整リブ78,78,78が左右に並設してある。各風向調整リブ78,78,78は、L状部73cに沿ってL状に湾曲している。
3つの風向調整リブ78,78,78及びL状部73cの左右側面によって4つの風路が形成されており、該4つの風路によって、排気は横方向(左右方向)に分散する。
図7に示すように、排気口73aに排気カバー76が封止部材77を介して設けてある。排気カバー76は、排気口73aに対応した寸法で設計してある。封止部材77は排気口73aの周縁部に設けてあり、排気カバー76及び排気口73aの隙間を密封している。排気カバー76は、排気口73aに対応した開口76bを有しており、開口76bには、後方に向けて上昇傾斜した左右に長い複数のルーバ76a,76a,・・・,76aが上下に並設してある。ルーバ76a,76a,・・・,76aによって排気は上方に放出される。
連結ダクト69の下側面において、排気ダクト73との連通箇所及び送風機70の間に吸気口69aが開設してあり、排気ダクト73との連通箇所に、乾燥風を排気ダクト73へ誘導する誘導板74が左右方向に長い枢軸74aによって枢支してある。誘導板74はその一縁部を前記枢軸に連結して吸気口69a側に延出し、乾燥風の排気ダクト73への誘導に加えて吸気口69aの開閉を行う。排気ダクト73との連通箇所に対向する連結ダクト69の下側面に、誘導板74を枢動する吸気モータ74b(図8参照)が設けてある。吸気モータ74bはステッピングモータであり、吸気モータ74bの出力軸は枢軸74aに連結しており、吸気モータ74bの回転によって誘導板74は枢動する。誘導板74の枢動によって、吸気口69aは開閉される。
図5に示すように、突出部73bの先端部分の内側において、突出部73bの側面に、排気ダクト73を開閉する排気板75が前後方向に長い枢軸(不図示)によって枢支してある。排気板75は排気モータ75aによって枢動される。排気モータ75aはステッピングモータであり、排気モータ75aの出力軸は排気板75を枢支する枢軸が連結しており、排気モータ75aの回転によって排気板75は枢動する。排気板75の枢動によって、排気ダクト73は開閉される。
以上の如く構成された循環風路において、吸気口69a及びは排気ダクト73が閉鎖された状態で送風機70が作動した場合、送風機70の吸込側に連結された導出ダクト60から乾燥風が吸い込まれて加圧され、加圧された乾燥風が送風機70の吐出側に連結された導入ダクト61に送り出される。導入ダクト61内に送り出された乾燥風は、水槽2の外周から中央に向けて流れて導入口65に達し、連通孔68及び導入孔34を通って回転ドラム3内に導入される。回転ドラム3内に導入された乾燥風は、周壁に形成された多数の小孔32を通って水槽2内に流出し、前述の如く形成された導出口62を経て導出ダクト60内に導出され、送風機70に再度吸込まれる。
本発明に係る洗濯乾燥機の乾燥運転は、送風機70、ヒータ72及びドラムモータ4を駆動すると共に、給水弁51を第2給水出口に切換えることにより実行される。
乾燥運転が行われた場合、循環風路の内部には、送風機70の駆動により、前述したように乾燥風が循環する。この乾燥風は、ヒータ72によって加熱された後に回転ドラム3内に導入される。回転ドラム3は、ドラムモータ4の駆動により低速で反復回転しており、回転ドラム3内の洗濯物の持ち上げ及び落下を繰り返し行う。回転ドラム3内に導入される乾燥風は、回転ドラム3内の洗濯物に当たり、該洗濯物の水分を奪って水槽2内に流出し、水槽2の底面下部に開口する導出口62に向けて流れる。
このように循環する乾燥風は、給水弁51が第2給水出口に切換えられたことによって冷却板23上を流れる冷却水と接触して冷却され、乾燥風に含有する水分は凝縮して乾燥風から除去される。水分を除去された乾燥風は、乾き空気となって導出口62に達し、導出ダクト60内に送り出される。
導出ダクト60内に送り出された乾燥風は、導出ダクト60内を上昇し、導出管63を経て送風機70に吸い込まれて加圧され、ヒータ72により再加熱されて高温かつ低湿の温風となって回転ドラム3の内部に導入される。回転ドラム3内の洗濯物は、以上のように循環風路を循環する乾燥風と接触を繰り返すことで乾燥せしめられる。
なお、水分の凝縮によって乾燥風から除去された水分は、冷却板23上を冷却水と共に流れ、冷却板23の後端部に達して凹溝22内に流れ落ち、排水ピット24、排水管25及びフィルタケース26を通って排水ホース28内に排出される。
以上のように、本発明に係る洗濯乾燥機は、循環風路に循環する乾燥風をヒータ72によって加熱しながら洗濯物を乾燥させる加熱乾燥を行う。
本発明に係る洗濯乾燥機は、更に、ヒータ72の加熱によって消費される電力を低減することを目的として、加熱乾燥を一定時間行った後、ヒータ72を停止した状態で吸気口69aから吸込まれて循環風路を通流した乾燥風を排気口73aから排出しながら洗濯物を乾燥させる排気乾燥を行う。
加熱乾燥から排気乾燥に乾燥運転が切替わった場合、ヒータ72の駆動が停止され、吸気口69a及び排気ダクト73夫々は開放される。送風機70及びドラムモータ4は継続して駆動している。このとき、誘導板74は枢動して斜め上向きの姿勢を保ち、フィルタ71を通過した乾燥風を排気ダクト73に誘導する。なお、誘導板74の先端部(上端部)と連結ダクト69の上側面との間には隙間が形成されている。
排気乾燥が行われた場合、送風機70が送り出した乾燥風は、導入管64を介して、洗濯物の持ち上げ及び落下が繰り返し行われている回転ドラム3内に導入される。回転ドラム3内に導入された乾燥風は、回転ドラム3内の洗濯物に当たり、該洗濯物の水分を奪い、回転ドラム3の周壁に形成された多数の小孔32から水槽2内に流出し、水槽2の底面下部に開口する導出口62に達する。導出口62に達した乾燥風は導出ダクト60内に送り出される。
導出口62に達した乾燥風は、導出ダクト60内に送り出され、フィルタ71を通過し、乾燥風に含まれる塵埃が乾燥風から除去される。フィルタ71を通過した乾燥風は、誘導板74によって排気ダクト73に誘導されて排気口73aから排気される。乾燥風の排気によって連結ダクト69内は負圧となり、開放された吸気口69aから連結ダクト69外の空気が吸込まれる。吸気口69aから吸込まれた空気は送風機70によって回転ドラム3内に導入される。一般に連結ダクト69外の空気は洗濯物から水分を奪った空気よりも乾燥しているため、回転ドラム3内の洗濯物は、前述したように、連結ダクト69外から吸込んだ乾燥風と接触を繰り返すことで乾燥せしめられる。
また、本発明に係る洗濯乾燥機は、加熱乾燥又は排気乾燥を行っている間、フィルタ71の目詰まりを検知するために、水位センサ24bが検出するエアトラップ24a内の空気圧を監視している。フィルタ71が目詰まりした場合、循環風路を通流する乾燥風はフィルタ71によって大きな抵抗を受けるため、乾燥風を送り出す送風機70の下流側からフィルタ71の上流側までの循環風路の内圧が上昇する。
エアトラップ24aは送風機70の下流側からフィルタ71の上流側までの循環風路に設けられた水槽2に排水ピット24を介して連通しているため、エアトラップ24a内の空気圧は送風機70の下流側からフィルタ71の上流側までの循環風路の内圧に対応する。
加熱乾燥又は排気乾燥が行われている間、運転制御部8は、水位センサ24bが基準圧力以上の空気圧を連続して複数回、例えば15回検出した場合に、操作パネル15が有する表示部にフィルタ71の目詰まりを示すメッセージを表示して使用者にフィルタ71の目詰まりを報知する。ここで、基準圧力は、フィルタ71が目詰まりした場合におけるエアトラップ24a内の空気圧であり、予め運転制御部8に記憶されている。
以上のように、送風機70の下流側からフィルタ71の上流側までの循環風路の内圧に基づくため、ヒータ72が駆動して加熱乾燥が行われている期間だけでなく、ヒータ72が停止して排気乾燥が行われている期間においても、フィルタ71の目詰まりを誤りなく報知することができる。また、フィルタの目詰まりの報知により使用者にフィルタ71の交換を促すことができる。更に、既存の水位センサ24bを、送風機70の下流側からフィルタ71の上流側までの循環風路の内圧の検出に使用するため、製品コストが低い。
なお、吸気口69aは送風機70の上流側に、排気ダクト73はフィルタ71の下流側に配設されているため、排気乾燥が行われている間にフィルタ71が目詰まりした場合に、送風機70の下流側からフィルタ71の上流側までの循環風路の内圧が吸気口69a及び排気ダクト73の開放によって低下することはない。
また、加熱乾燥又は排気乾燥が行われている間、排水弁27は開放されている。しかしながら、フィルタケース26と排水ホース28とを連通する排水弁27の開口の内径及び面積夫々は、31.5mm及び778.91mm2 であり、排気口73aに連通する連結ダクト69において水槽2内から循環する乾燥風が入り込む入口の内径及び面積夫々は、64mm及び3215.36mm2 である。このため、排水弁27の開口の面積は、連結ダクト69において乾燥風が入り込む入口の面積の略4分の1であり、十分に小さい。従って、乾燥風は、排水弁27を通流する場合に非常に大きな抵抗を受ける。このため、排水弁27の開放によって、送風機70の下流側からフィルタ71の上流側までの循環風路の内圧は低下しにくい。
図8は本発明に係る洗濯乾燥機の制御系の構成を示すブロック図である。本発明に係る洗濯乾燥機の運転制御部8は、CPU(Central Processing Unit)8a、ROM(Read Only Memory)8b、RAM(Random Access Memory )8c、入出力インターフェイス8d、書換可能な不揮発性メモリ8e及びタイマ8fを共有バスで接続してなるコンピュータである。CPU8aは、ROM8bに記憶した制御プログラムをRAM8cに読出して実行する。不揮発性メモリ8eは、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory) 又はEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などからなる。
入出力インターフェイス8dには、前述した操作パネル15が接続してある。CPU8aは、入出力インターフェイス8dを介して操作パネル15に指示して操作パネル15が有する表示部に運転内容、警告又は注意等を示すメッセージ、例えばフィルタ71の目詰まりを示すメッセージを表示させる。
また入出力インターフェイス8dには、前述した水位センサ24bが接続してある。水位センサ24bが検出した空気圧は、入出力インターフェイス8dを介してCPU8aに与えられ、CPU8aは、水位センサ24bが検出した空気圧に基づいて水槽2内の貯留水の水位、又は、循環風路の内圧を認識する。
更に入出力インターフェイス8dは、ドラムモータ4、給水弁51、排水弁27、送風機70、ヒータ72、吸気モータ74b及び排気モータ75a、より詳しくは、これらの駆動回路に接続してある。CPU8aは、操作パネル15の操作内容に従ってROM8bに格納された制御プログラムを実行し、ドラムモータ4、給水弁51、排水弁27、送風機70、ヒータ72及び、吸気モータ74b及び排気モータ75aに動作指令を与え、前述した洗濯運転及び乾燥運転、更には脱水運転を実行する。
図9及び図10はCPU8aによる乾燥運転制御を示すフローチャートである。なお、初期状態において、吸気口69aは誘導板74によって、排気ダクト73は排気板75によって閉鎖されている。
CPU8aは、乾燥工程を開始すべきか否かを判定する(ステップS1)。CPU8aは、例えば、本発明に係る洗濯乾燥機が洗濯、濯ぎ及び乾燥を実行するように設定されている場合、洗濯及び濯ぎを終了したか否かに基づいて乾燥工程を開始すべきか否かを判定する。
CPU8aは、乾燥工程を開始すべきでないと判定した場合(ステップS1:NO)、処理をステップS1に戻す。CPU8aは、乾燥工程を開始すべきであると判定した場合(ステップS1:YES)、送風機70に動作指令を発することにより送風機70をオンにし(ステップS2)、ヒータ72に動作指令を発することによりヒータ72をオンにする(ステップS3)。更に、CPU8aはドラムモータ4に動作指令を発することにより回転ドラム3を低速で反復回転させる(ステップS4)。
次に、CPU8aは、排水弁27に動作指令を発することにより排水弁27を開放し(ステップS5)、給水弁51に動作指令を発することにより第2給水出口を開放する(ステップS6)。これにより、加熱乾燥が開始される。
CPU8aは、ステップS6を実行した後、タイマ8fによる計時を開始し(ステップS7)、水位センサ24bが検出した空気圧が基準圧力以上であるか否かを判定する(ステップS8)。CPU8aは、空気圧が基準圧力以上であると判定した場合(ステップS8:YES)、不揮発性メモリ8eに記憶してあるカウンタ値kを1だけインクリメントする(ステップS9)。カウンタ値kは水位センサ24bが検出した空気圧が基準圧力以上となった回数である。なお、乾燥運転制御の初期状態として、カウンタ値kはゼロに設定されている。
次に、CPU8aは、カウンタ値kがフィルタ71の目詰まりを報知するカウンタ値N以上であるか否かを判定する(ステップS10)。カウンタ値Nは、不揮発性メモリ8eに予め記憶してある自然数である。
CPU8aは、カウンタ値kがN以上であると判定した場合(ステップS10:YES)、操作パネル15に指示してフィルタ71の目詰まりを示すメッセージを操作パネル15の表示部に表示させることによって、フィルタ71の目詰まりエラーを報知する(ステップS11)。
CPU8aは、水位センサ24bが検出した空気圧が基準圧力未満であると判定した場合(ステップS8:NO)、カウンタ値kをゼロにリセットする(ステップS12)。CPU8aは、カウンタ値kがN未満であると判定した場合(ステップS10:NO)、又は、ステップS11若しくはS12を実行した後、タイマ8fによって計時している計時時間が加熱乾燥時間以上であるか否かを判定する(ステップS13)。加熱乾燥時間は加熱乾燥を行う時間であり、不揮発性メモリ8eに予め記憶されている。
CPU8aは、計時時間が加熱乾燥時間未満であると判定した場合(ステップS13:NO)、処理をステップS8に戻し、計時時間が加熱乾燥時間以上となるまで、加熱乾燥を継続して実行する。
CPU8aは、計時時間が加熱乾燥時間以上であると判定した場合(ステップS13:YES)、ヒータ72に動作指令を発することによりヒータ72をオフにし(ステップS14)、タイマ8fによる計時を停止する(ステップS15)。このとき、タイマ8fが計時している計時時間はゼロにリセットされる。
次に、CPU8aは、排気モータ75aに動作指令を発して排気板75を枢動させることにより排気ダクト73を開放し(ステップS16)、吸気モータ74bに動作指令を発して誘導板74を枢動させることにより吸気口69aを開放する(ステップS17)。このとき図5に示すように、誘導板74は枢動して斜め上向きの姿勢を保ち、乾燥風を排気ダクト73に誘導する。
次に、CPU8aは、給水弁51に動作指令を発することにより、第2給水出口を閉鎖する(ステップS18)。これにより、乾燥運転が加熱乾燥から排気乾燥に切替わる。洗濯物から水分を奪った空気(乾燥風)は、誘導板74に当接して上側に向きを変え、排気ダクト73を通流し、排気口73aから排気される。排気によって連結ダクト69内の圧力は低下し、吸気口69aから連結ダクト69外の空気が吸込まれる。一般に連結ダクト69外の空気は洗濯物から水分を奪った空気よりも乾燥している。
CPU8aは、ステップS18を実行した後、タイマ8fによる計時を開始し(ステップS19)、水位センサ24bが検出した空気圧が基準圧力以上であるか否かを判定する(ステップS20)。CPU8aは、空気圧が基準圧力以上であると判定した場合(ステップS20:YES)、不揮発性メモリ8eに記憶してあるカウンタ値kを1だけインクリメントする(ステップS21)。次に、CPU8aは、カウンタ値kがフィルタ71の目詰まりを報知するカウンタ値N以上であるか否かを判定する(ステップS22)。
CPU8aは、カウンタ値kがN以上であると判定した場合(ステップS22:YES)、操作パネル15に指示してフィルタ71の目詰まりを示すメッセージを操作パネル15の表示部に表示させることによって、フィルタ71の目詰まりエラーを報知する(ステップS23)。
CPU8aは、水位センサ24bが検出した空気圧が基準圧力未満であると判定した場合(ステップS20:NO)、カウンタ値kをゼロにリセットする(ステップS24)。CPU8aは、カウンタ値kがN未満であると判定した場合(ステップS22:NO)、又は、ステップS23若しくはS24を実行した後、タイマ8fによって計時している計時時間が排気乾燥時間以上であるか否かを判定する(ステップS25)。排気乾燥時間は、排気乾燥を行う時間であり、不揮発性メモリ8eに予め記憶されている。
CPU8aは、計時時間が排気乾燥時間未満であると判定した場合(ステップS25:NO)、処理をステップS20に戻し、計時時間が排気乾燥時間以上となるまで、排気乾燥を継続して実行する。
CPU8aは、計時時間が排気乾燥時間以上であると判定した場合(ステップS25:YES)、送風機70に動作指令を発することにより送風機70をオフにする(ステップS26)。次に、CPU8aは、ドラムモータ4に動作指令を発することにより回転ドラム3の反復回転を停止させ(ステップS27)、タイマ8fによる計時を停止する(ステップS28)。このとき、タイマ8fが計時している計時時間はゼロにリセットされる。
次に、CPU8aは、吸気モータ74bに動作指令を発することにより吸気口69aを閉鎖し(ステップS29)、排気モータ75aに動作指令を発することにより排気ダクト73を閉鎖し(ステップS30)、動作を終了する。
以上のように、CPU8aは、水位センサ24bが基準圧力以上の空気圧を連続してカウンタ値N回以上検出した場合に目詰まりエラーを報知する。従って、フィルタ71の目詰まりをより誤りなく使用者に報知することができる。
CPU8a及び操作パネル15は、特許請求の範囲における報知手段に該当する。
なお、排気ダクト73にPCI(Plasma Cluster Ion)ユニットを設けて、PCIと共に乾燥風を排気してもよい。PCIユニットは例えばL状部73cの上側面に搭載される。PCIの外部への放出により、本発明に係る洗濯乾燥機を設置した室内の環境を改善することができる。また、PCIユニットを導入ダクト61の側面に搭載し、PCIを乾燥風と共に回転ドラム3内に導入してもよい。これにより、回転ドラム3内の洗濯物を抗菌することができる。
なお、本実施の形態にあっては、CPU8aがフィルタ71の目詰まりエラーを報知する方法は、操作パネル15の表示部に目詰まりエラーを表示させる方法に限定されない。例えば、本発明に係る洗濯乾燥機は目詰まりエラーを示す警告音を出力する音出力部を備え、CPU8aは、目詰まりエラーを音出力部の警告音により報知してもよい。
また、本実施の形態にあっては、水位センサ24bが検出した空気圧が基準圧力以上となった場合に、CPU8aは、フィルタ71の目詰まりを報知するだけでなく、乾燥運転を停止してもよい。
また、本発明を洗濯乾燥機だけでなく乾燥機にも適用することができる。この乾燥機では、水位センサ24bの代わりに循環風路の内圧を検出する圧力センサを設けることによって本発明を実施することができる。該圧力センサ及び回転ドラム3夫々は、内圧検出部、及び、乾燥対象物である洗濯物を収容する収容槽として機能する。