JP5901229B2 - アルミニウム合金、アルミニウム合金とステンレス鋼との接合体及び熱交換器 - Google Patents
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図2に25℃における測定結果を、図3に90℃における測定結果を例示する。測定はアルミニウム合金としてJIS3003、ステンレス鋼としてSUS316を用い、アルカリ腐食液として、NaCl:0.226g/L、Na2SO4:0.089g/Lを含有し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを11に調整した水溶液を用いて、それぞれ分極曲線を測定した。
一方、図3に示すように90℃においては、JIS3003アルミニウム合金の自然電位−970mV(vs.Ag/AgCl(飽和KCl))におけるSUS316のカソード電流密度は100μA/cm2と、非常に大きなカソード電流密度となった。
この考察を基に、図4(a)に示すようにアルミニウム合金板11、11との間にステンレス鋼板12を挟み、高温でかつアルカリ性腐食環境においてアルミニウム合金板11の腐食試験を実施した結果、図4(b)に示すような腐食部13を観察することができた。
この観察結果から、アルミニウム合金の自然電位におけるステンレス鋼のカソード電流密度を小さくして、上記水の還元反応をステンレス鋼とアルミニウム合金とに分散することで、高温のアルカリ性腐食環境下におけるステンレス鋼周囲の極端な腐食を抑制できる、との知見を得た。
A.アルミニウム合金
Fe:Feはアルミニウム合金中において固溶又はAl−Fe系の化合物を形成する。アルカリ腐食環境においては、この化合物の表面上でカソード反応(2H2O+2e→H2+2OH−)の進行が促進され、合金のカソード電流を増大させる。0.85%未満ではカソード電流が十分でなく、1.5%を超えると製造時の圧延加工で材料が割れてしまう。従ってFeの添加量は0.85〜1.5%が好ましく、更に好ましくは、1.0〜1.3%である。
1種のみを添加する場合には、その成分について規定された前記範囲内で添加する。
2種以上を添加する場合には、複数の成分について規定された前記範囲内であってもよく、結果としてAl合金の自然電位におけるステンレス鋼のカソード電流密度が20μA/cm2以下となれば、その配合量でよい。
本発明において配管を構成するステンレス鋼は、熱交換器本体を構成するアルミニウム合金の自然電位におけるステンレス鋼のカソード電流密度が20μA/cm2以下であるステンレス鋼であれば特に限定されるものではなく、熱交換器の形状等の条件によって種々のステンレス鋼を選択可能である。例えば、SUS304、SUS316等のステンレス鋼を好適に用いることができる。
本実施形態(発明例)は、アルミニウム合金とステンレス鋼の接合体として、図4に示すように、アルミニウム合金製熱交換器本体(冷却器及び蓋)を構成するものと同じアルミニウム合金板11と、ステンレス鋼製配管を構成するステンレス鋼と同じステンレス鋼板12とを接合し、pH9〜11で温度80〜100℃のロングライフクーラントを封入した実験用容器内で実施した。
なお、図1に示す熱交換器を、本発明例のアルミニウム合金で熱交換器本体1を、ステンレス鋼で配管3を製造し、pH9〜11で温度80〜100℃のロングライフクーラントを封入した熱交換器を組み立て、実験した結果、同じ効果を得ることができた。
連続鋳造により、表1に示す組成を有するアルミニウム合金の鋳塊を製作し、該鋳塊を面削後、540℃×3時間の均質化処理し、次いで熱間圧延して厚さ5mmの熱延板を得た。これを冷間圧延、中間焼鈍および最終冷間圧延により厚さ0.25mmの板を作成し試料とした。
表2に示す組成のアルミニウム合金を本発明例と同様の方法で圧延し、厚さ0.25mmの板を作成し試料とした。
上記のようにして作製したアルミニウム合金およびステンレス鋼について、カソード分極曲線をそれぞれ測定した。測定は本発明例のアルミニウム合金板、及びステンレス鋼板を15×40mm2に切り出し、測定面10×10mm2を残して裏面と端部をマスキングして測定に供した。
腐食性溶液として、0.226gのNaClと0.089gのNa2SO4を蒸留水1Lに溶解して、Cl−=195ppm、SO4 2−=60ppmとした水溶液にNaOH水溶液を加えてpHを8、9、11及び12に調整し、アルカリ腐食液とした。
測定温度は70、80、90及び100℃とした。
得られたカソード分極曲線より、Al合金の自然電位におけるステンレス鋼のカソード電流密度を求めた。一例として本発明例8における測定結果を図3に示す。図3ではアルミニウム合金の自然電位においてSUS316のカソード電流密度が約13μA/cm2となった。
上記各本発明例のアルミニウム合金板を幅30mm、長さ50mmに切り出した2枚と、同様にステンレス鋼を幅30mm、長さ52mmに切り出した1枚を用意し、図4に示すようにアルミニウム合金板11とステンレス鋼板12とを長さ方向に重ね、腐食試験を行った。
仕上げた圧延板の割れの有無を目視で観察し、割れの発生が見られたものを、圧延加工性不良と判断した。
アルミニウム合金製熱交換器本体1は冷却器3と蓋4とをろう付けで接合する。そのため、各アルミニウム合金板に窒素雰囲気下でろう付け相当の加熱処理(600℃で3分間)を施し、材料の溶融状態を目視で観察し、溶融が発生が見られたものを、ろう付け性不良と判断した。
なお、自己腐食性が不良な比較例についてもろう付け性を判断した。
各実施例、比較例、参考例につき実施したアルカリ腐食性試験の結果を腐食深さとして表3、4に示す。
各実施例、比較例、参考例に示す合金の圧延加工性については、各実施例、参考例は満足するものであった。比較例についてはその判断結果を表4の備考2欄に示す。
各実施例、比較例、参考例に示すろう付け性については、各実施例、参考例は満足するものであった。比較例についてはその判断結果を表4の備考2欄に示す。
2・・・配管(ステンレス鋼製継手)
3・・・冷却器
4・・・蓋
11・・・アルミニウム合金板
12・・・ステンレス鋼板
13・・・腐食部
Claims (3)
- pH9〜11、温度80〜100℃の腐食雰囲気中でステンレス鋼との接合部を構成するアルミニウム合金であって、必須元素として(a)Fe:0.85〜1.5mass%、(b)Ni:0.85〜1.5mass%及び(c)Si:0.85〜2.0mass%から成る群から選択されるいずれか1種、(a)及び(b)、或いは、(a)及び(c)を含有し、選択元素として(a)〜(c)の1種又は2種の元素を前記各含有量の下限値未満において更に含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金。
- pH9〜11、温度80〜100℃の腐食雰囲気中で使用可能なアルミニウム合金とステンレス鋼との接合体であって、前記アルミニウム合金が、必須元素として(a)Fe:0.85〜1.5mass%、(b)Ni:0.85〜1.5mass%及び(c)Si:0.85〜2.0mass%から成る群から選択されるいずれか1種、(a)及び(b)、或いは、(a)及び(c)を含有し、選択元素として(a)〜(c)の1種又は2種の元素を前記各含有量の下限値未満において更に含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金であり、該アルミニウム合金の自然電位におけるステンレス鋼のカソード電流密度が20μA/cm2以下であるアルミニウム合金とステンレス鋼との接合体。
- アルミニウム合金製熱交換器本体と、該熱交換器本体に設けられたステンレス鋼製配管とからなり、前記熱交換器本体と配管との接合部がpH9〜11、温度80〜100℃の腐食雰囲気に曝されている熱交換器であって、前記アルミニウム合金が、必須元素として(a)Fe:0.85〜1.5mass%、(b)Ni:0.85〜1.5mass%及び(c)Si:0.85〜2.0mass%から成る群から選択されるいずれか1種、(a)及び(b)、或いは、(a)及び(c)を含有し、選択元素として(a)〜(c)の1種又は2種の元素を前記各含有量の下限値未満において更に含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金であり、該アルミニウム合金の自然電位における前記ステンレス鋼のカソード電流密度が20μA/cm2以下である熱交換器。
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