JP5809720B2 - 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材 - Google Patents
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Siはアルミニウム合金の強度向上に有効な元素である。特にMnとともに添加する場合にはSi−Mn系析出物により、一層の強度向上効果が得られる。Si量が0.3%未満の場合には、固溶Si量が少ないため強度向上効果が不十分となる。一方、Si量が1.5%を超えると融点を低下させるため、ろう付け時に芯材が溶融してしまう。そこでSi量は0.3〜1.5%と定めた。Si量の好ましい下限は0.35%であり、より好ましくは0.4%であり、さらに好ましくは0.55%である。Si量の好ましい上限は1.45%であり、より好ましくは1.4%であり、さらに好ましくは1.0%である。
MnはSiと同様にアルミニウム合金の強度向上に有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Mn量は0.3%以上と定めた。一方、Mn量が過剰になると、粗大な昌出物が析出して加工性が低下するため、熱交換器のチューブなどに加工する場合は好ましくない。そこでMn量は2.0%以下と定めた。Mn量の好ましい下限は0.35%であり、より好ましくは0.40%であり、0.70%である。Mn量の好ましい上限は1.9%であり、より好ましくは1.8%であり、さらに好ましくは1.6%である。
Cuはアルミニウム合金の孔食電位を高めて孔食を発生し難くする元素である。さらに、Cuはアルミニウム合金の強度を向上させる効果があるため、クラッド材の高強度化に必要な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Cu量は0.3%以上と定めた。一方、Cu量が過剰になると融点を低下させるため、ろう付け時に溶融が生じてしまうため好ましくない。そこでCu量は1.5%以下と定めた。Cu量の好ましい下限は0.35%であり、より好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.50%である。Cu量の好ましい上限は1.45%であり、より好ましくは1.4%であり、さらに好ましくは1.0%である。
TiはCuと同様にアルミニウム合金の孔食電位を高めて孔食を発生し難くする元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Ti量は0.01%以上と定めた。一方、Ti量が過剰になると加工性が低下するという悪影響があるため、Ti量は0.5%以下とする。Ti量の好ましい下限は0.02%であり、より好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.10%である。Ti量の好ましい上限は0.45%であり、より好ましくは0.4%であり、さらに好ましくは0.35%である。
Bは、上述したCuのカソード反応促進作用を解消する作用を有するため、本発明の芯材の耐食性向上に必要不可欠な元素である。このようなBの作用は、Bが腐食溶解してホウ酸塩を形成し、カソード反応に対するインヒビター効果を発現することによるものと考えられる。このような作用を有効に発揮させるため、B量は0.001%以上と定めた。一方、Bはアルミニウム合金製造時の鋳造性を低下させるため、0.1%以下と定めた。B量の好ましい下限は0.002%であり、より好ましくは0.003%であり、さらに好ましくは0.01%である。B量の好ましい上限は0.095%であり、より好ましくは0.09%であり、さらに好ましくは0.07%である。
MgおよびCaはいずれも溶解することによってpH上昇作用を示し、Alの溶解が起こっている局部アノードにおける加水分解反応によるpH低下を抑制して腐食反応を抑制し、耐食性向上に有効な元素である。また特にMgは、Siと共存させて場合にMg2Siなどの化合物を析出させて強度向上に寄与する。このような作用を有効に発揮させるため、Mg量およびCa量はいずれも0.01%以上であることが好ましい。一方、Mg量およびCa量が過剰になると、フッ化物系フラックスを用いるろう付けにおいてろう付け性を低下させる。そこでMg量およびCa量はいずれも1.0%以下であることが好ましい。Mg量およびCa量のより好ましい下限はいずれも0.02%であり、さらに好ましくは0.03%であり、特に0.1%が好ましい。Mg量およびCa量のより好ましい上限はいずれも0.95%であり、さらに好ましくは0.9%であり、特に0.7%が好ましい。
Ni、Cr、Nb、V、およびZrは、アルミニウム合金表面に形成される不働態皮膜を強化して孔食を発生し難くし、耐食性を向上させる作用を有する。このような作用は各元素が安定な酸化物として表面濃縮することで発現される。このような作用を有効に発揮させるため、いずれも添加量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、これらの元素が過剰になると加工性が低下するため、いずれの元素も0.5%以下とすることが好ましい。Ni、Cr、Nb、V、およびZrの添加量のより好ましい下限はいずれも0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Ni、Cr、Nb、V、およびZrの添加量のより好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.4%であり、特に0.3%が好ましい。
本発明におけるAl−Si系合金とは、Siを5〜15%程度含有するアルミニウム合金を意味し、Siの他に更にFe、Cu、Znなどをそれぞれ1%程度以下含有するアルミニウム合金であってもよい。Siは、アルミニウム合金の融点を下げる効果を有することから、ろう材の必須成分であり、Al−Si系合金中のSi添加量は5%以上とすることが好ましい。Siは融点を下げる作用に加えて流動性を向上させる効果を有するため、Si量を5%以上とすることにより、熱交換器に必要なろう付け性を一層確保することができる。一方、Si量が過剰になると加工性が劣化し、熱交換器のチューブ形状等に加工する上で好ましくないため、ろう材のAl−Si系合金中のSi量は15%以下とすることが好ましい。ろう材中のSi量は、より好ましくは8〜12%である。このようなAl−Si系合金としては、例えばJIS4045合金、4343合金、4004合金などが挙げられる。
本発明におけるAl−Zn系合金とは、Znを1〜10%程度含有するアルミニウム合金を意味し、Znの他に更にFeを0〜1%程度、Mgを0〜0.1%程度含有するアルミニウム合金であってもよい。このようなAl−Zn系合金としては、例えばJIS7072合金などが挙げられる。
表1〜3に示す化学組成を有する芯材用のアルミニウム合金を連続鋳造により、溶解、造塊し、700℃の鋳造温度で鋳造して鋳塊を得、530℃(6時間以下)で均質化処理を行った後、熱間圧延して芯材用部材を製造した。
ラジエータ内面環境での腐食特性を評価するため、上記で得られた試験片を、冷却水を模擬した溶液に浸漬し、その腐食状況を調べた。なお、用いた溶液はOY水(Cl-:195質量ppm、SO4 2-:60質量ppm、Cu2+:1質量ppm、Fe3+:30質量ppm、pH:3.0)である。試験片を浸漬した溶液には、室温から88℃までを1時間で加熱し、88℃で7時間保持した後、室温まで1時間で冷却し、その後室温にて15時間保持するという1日で1サイクルの温度サイクルを、1ヶ月間与えた。本実施例における腐食試験では、表4〜6に示す各アルミニウム合金クラッド材を5枚づつ供試し、腐食試験後の試験面(芯材面側)の局部腐食深さを測定した。局部腐食深さの測定は、各アルミニウム合金クラッド材(5枚)について、焦点深度法により局部腐食深さを測定し、最も深い局部腐食深さを各試験No.の最大腐食深さとした。なお、試験後の局部腐食深さ測定の前には、試験片を硝酸中に浸漬することにより腐食生成物を除去した。結果を表4〜6に示す。
Claims (5)
- Si:0.3〜1.5%(質量%の意味。以下、同じ。)、
Mn:0.3〜2.0%、
Cu:0.3〜1.5%、
Ti:0.01〜0.5%、
B :0.003〜0.07%、
Mg:0.1〜1.0%
を含有すると共に、
更にNi:0.05〜0.5%、Cr:0.02〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、V:0.01〜0.5%、およびZr:0.01〜0.5%よりなる群から選択される少なくとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物であることを特徴とする熱交換器に用いられる耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材用芯材。 - 請求項1に記載の芯材の片面あるいは両面にろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、
前記ろう材はAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - 請求項1に記載の芯材の片面にろう材をクラッドし、かつもう一方の面に犠材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、
前記ろう材はAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金であり、
前記犠材はAl−Zn系合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。 - 自動車の熱交換器に使用される請求項2または3に記載のアルミニウム合金クラッド材。
- 請求項2または3に記載のアルミニウム合金クラッド材を用いた自動車のろう付け型ラジエータチューブ。
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