JP5809720B2 - 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材 - Google Patents

熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材 Download PDF

Info

Publication number
JP5809720B2
JP5809720B2 JP2014030986A JP2014030986A JP5809720B2 JP 5809720 B2 JP5809720 B2 JP 5809720B2 JP 2014030986 A JP2014030986 A JP 2014030986A JP 2014030986 A JP2014030986 A JP 2014030986A JP 5809720 B2 JP5809720 B2 JP 5809720B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum alloy
alloy
clad
brazing
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014030986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014101584A (ja
Inventor
真司 阪下
真司 阪下
敬祐 小澤
敬祐 小澤
吉田 誠司
誠司 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2014030986A priority Critical patent/JP5809720B2/ja
Publication of JP2014101584A publication Critical patent/JP2014101584A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5809720B2 publication Critical patent/JP5809720B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、自動車などの熱交換器に使用される耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材料に関するものである。
自動車に搭載されるラジエーター、コンデンサー、エバポレーター等の熱交換器は、通常、軽量で熱伝導性に優れるアルミニウム合金の板材を成形、組み立て、ろう付けして製造される。熱交換器用のアルミニウム合金の芯材としては、比較的強度の高いAl−Mn系合金が主流であり、さらに強度を高めるためにCu、Si、Mgなどの合金元素を添加した芯材が近年用いられている。
このような熱交換器用のアルミニウム合金材料を、例えばラジエーター等のチューブとして用いた場合、外面は大気に曝され、内面は冷却水等の冷媒に曝される。このような腐食環境に曝されると、局所的に腐食(孔食)が進行して、貫通孔形成に至る虞がある。チューブ外面の防食対策としては、チューブを形成するアルミニウム合金よりも電位の卑なAl−Zn合金等で形成したフィン材を接触させる、いわゆる犠牲防食法が一般的であり、効果的である。チューブ内面の防食対策としても、犠牲防食法が適用される場合が多く、具体的には、芯材のアルミニウム合金よりも電位の卑なAl−Zn系合金を犠牲陽極材(以下、「犠材」と呼ぶ場合がある。)として内面側に積層したクラッド材でチューブを形成することが一般的である。また、チューブ外面は上記したフィン材等とのろう付けのため、Al−Si系合金などの融点の低いろう材が積層されることが多い。
以上のように、熱交換器用のアルミニウム合金材料としては、芯材に犠材、ろう材をクラッドした3層以上のクラッド材が多く用いられている。
近年、熱交換器用アルミニウム合金には、長寿命化や薄肉化(軽量化)ニーズが高まっており、さらなる耐食性の向上が要求されている。熱交換器用アルミニウム合金の耐食性向上に関する技術として、例えば特許文献1、2が挙げられる。特許文献1では、芯材と皮材の組成を調整したアルミニウム合金製ブレージングシートが開示されている。特許文献2では、芯材の成分組成を調整するとともに、Al−Mn系金属間化合物の分布状態を調整したアルミニウム合金複合材が開示されている。
特開2009−228010号公報 特開2008−231555号公報
熱交換器の外面ではフィン材による犠牲防食効果のため耐食性は比較的確保しやすいのであるが、内面側は犠牲防食効果を有する犠材層をクラッドしないと孔食による貫通が早期に生じるなど、耐食性が不十分であることが多い。上記特許文献1、2は、皮材や金属間化合物によって耐食性はある程度確保することはできるが、皮材や金属間化合物が腐食や損傷を受ければ芯材が剥き出しになり、その後は芯材が腐食する可能性があった。そこで、更なる長寿命化を実現するためには、芯材自体の耐食性を向上させる必要があるとの考えに至った。
本発明の目的は、熱交換器の更なる長寿命化を実現するため、十分に耐食性を確保することのできるアルミニウム合金クラッド材用の芯材およびアルミニウム合金クラッド材を提供することにある。
上記課題を解決した本発明のアルミニウム合金クラッド材用芯材は、Si:0.3〜1.5%(質量%の意味。以下、同じ。)、Mn:0.3〜2.0%、Cu:0.3〜1.5%、Ti:0.01〜0.5%、B:0.001〜0.1%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物であることを特徴とするものであり、耐食性に優れている。
上記芯材は、更に(a)Mg:1.0%以下(0%を含まない)および/またはCa:1.0%以下(0%を含まない)や、(b)Ni:0.5%以下(0%を含まない)、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)、およびZr:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種を含有しても良い。
本発明は、上記記載の芯材の片面あるいは両面にろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、前記ろう材はAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材も包含する。また、上記記載の芯材の片面にろう材をクラッドし、かつもう一方の面に犠材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、前記ろう材はAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金であり、前記犠材はAl−Zn系合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材も本発明に包含される。
上記アルミニウム合金クラッド材を用いた自動車のろう付け型ラジエータチューブも本発明に含まれる。また上記アルミニウム合金クラッド材は、自動車の熱交換器に使用されることも好ましい態様である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材用芯材は、Cu、Tiを含有するとともに、Bも適量添加されているため、優れた耐食性を発揮できる結果、長寿命化を実現できる。さらに、本発明のアルミニウム合金クラッド材用芯材は、クラッド材に犠材層が省略されていても優れた耐食性を発揮することができ、自動車などの熱交換器チューブなどに用いた場合には、チューブの薄肉化による軽量化と、長寿命化を両立できる。
本発明者らは、十分な耐食性を確保できる(長寿命化)熱交換器用アルミニウム合金材料について検討した。熱交換器用アルミニウム合金材料は板厚が約0.3mm以下と薄いため、孔食による穴あきを抑制することが必要である。従来の犠材を用いた防食方法では、芯材を構成するアルミニウム合金よりも電位の卑なAl−Zn系合金からなる犠材の犠牲防食によって、孔食を抑制していた。すなわち、従来の防食方法は、電位の卑な犠材により全体の電位を卑化させて芯材の孔食電位(これを超えると孔食が発生するという臨界の電位)を超えないようにして孔食の発生を抑制していた。
これに対して、本発明者らは、犠材の腐食や損傷によって犠牲防食作用が十分に発揮できない場合であっても、また犠材層を省略した場合であっても芯材自体の孔食電位を高める(貴化させる)ことによって孔食を抑制することを着想した。芯材自体の孔食電位を高めるためには、CuとTiを適量に複合添加することが非常に効果的である。ここで、Cuは、アルミニウム合金の孔食電位を高める作用を有するが、同時に腐食のカソード反応を大きく促進するという弊害もあり、Cuを用いるのみではアルミニウム合金の耐食性は劣化してしまう可能性があった。このCuの弊害に関し、本発明者らはCuと同時にB(ボロン)を適量添加すれば、Cuによるカソード反応促進作用を解消することができる、すなわち耐食性を劣化させずに孔食電位を高めることができることを見出した。
本発明に係るアルミニウム合金クラッド材用芯材では、耐食性の他、熱交換器のチューブなどの部材として必要な強度やろう付け性などの特性を満足させるため、成分組成を最適化する必要がある。以下では、本発明のアルミニウム合金クラッド材用芯材に用いられる成分元素の添加理由および添加量について説明する。
Si:0.3〜1.5%
Siはアルミニウム合金の強度向上に有効な元素である。特にMnとともに添加する場合にはSi−Mn系析出物により、一層の強度向上効果が得られる。Si量が0.3%未満の場合には、固溶Si量が少ないため強度向上効果が不十分となる。一方、Si量が1.5%を超えると融点を低下させるため、ろう付け時に芯材が溶融してしまう。そこでSi量は0.3〜1.5%と定めた。Si量の好ましい下限は0.35%であり、より好ましくは0.4%であり、さらに好ましくは0.55%である。Si量の好ましい上限は1.45%であり、より好ましくは1.4%であり、さらに好ましくは1.0%である。
Mn:0.3〜2.0%
MnはSiと同様にアルミニウム合金の強度向上に有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Mn量は0.3%以上と定めた。一方、Mn量が過剰になると、粗大な昌出物が析出して加工性が低下するため、熱交換器のチューブなどに加工する場合は好ましくない。そこでMn量は2.0%以下と定めた。Mn量の好ましい下限は0.35%であり、より好ましくは0.40%であり、0.70%である。Mn量の好ましい上限は1.9%であり、より好ましくは1.8%であり、さらに好ましくは1.6%である。
Cu:0.3〜1.5%
Cuはアルミニウム合金の孔食電位を高めて孔食を発生し難くする元素である。さらに、Cuはアルミニウム合金の強度を向上させる効果があるため、クラッド材の高強度化に必要な元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Cu量は0.3%以上と定めた。一方、Cu量が過剰になると融点を低下させるため、ろう付け時に溶融が生じてしまうため好ましくない。そこでCu量は1.5%以下と定めた。Cu量の好ましい下限は0.35%であり、より好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.50%である。Cu量の好ましい上限は1.45%であり、より好ましくは1.4%であり、さらに好ましくは1.0%である。
Ti:0.01〜0.5%
TiはCuと同様にアルミニウム合金の孔食電位を高めて孔食を発生し難くする元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Ti量は0.01%以上と定めた。一方、Ti量が過剰になると加工性が低下するという悪影響があるため、Ti量は0.5%以下とする。Ti量の好ましい下限は0.02%であり、より好ましくは0.03%であり、さらに好ましくは0.10%である。Ti量の好ましい上限は0.45%であり、より好ましくは0.4%であり、さらに好ましくは0.35%である。
B:0.001〜0.1%
Bは、上述したCuのカソード反応促進作用を解消する作用を有するため、本発明の芯材の耐食性向上に必要不可欠な元素である。このようなBの作用は、Bが腐食溶解してホウ酸塩を形成し、カソード反応に対するインヒビター効果を発現することによるものと考えられる。このような作用を有効に発揮させるため、B量は0.001%以上と定めた。一方、Bはアルミニウム合金製造時の鋳造性を低下させるため、0.1%以下と定めた。B量の好ましい下限は0.002%であり、より好ましくは0.003%であり、さらに好ましくは0.01%である。B量の好ましい上限は0.095%であり、より好ましくは0.09%であり、さらに好ましくは0.07%である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材用芯材の基本成分は上記の通りであり、残部は実質的にアルミニウムである。但し、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる不可避不純物(Fe、Znなど)が含まれることは、当然に許容される。また、本発明のアルミニウム合金クラッド材用芯材は、必要に応じて以下の元素を含有していても良い。
Mg:1.0%以下(0%を含まない)および/またはCa:1.0%以下(0%を含まない)
MgおよびCaはいずれも溶解することによってpH上昇作用を示し、Alの溶解が起こっている局部アノードにおける加水分解反応によるpH低下を抑制して腐食反応を抑制し、耐食性向上に有効な元素である。また特にMgは、Siと共存させて場合にMg2Siなどの化合物を析出させて強度向上に寄与する。このような作用を有効に発揮させるため、Mg量およびCa量はいずれも0.01%以上であることが好ましい。一方、Mg量およびCa量が過剰になると、フッ化物系フラックスを用いるろう付けにおいてろう付け性を低下させる。そこでMg量およびCa量はいずれも1.0%以下であることが好ましい。Mg量およびCa量のより好ましい下限はいずれも0.02%であり、さらに好ましくは0.03%であり、特に0.1%が好ましい。Mg量およびCa量のより好ましい上限はいずれも0.95%であり、さらに好ましくは0.9%であり、特に0.7%が好ましい。
Ni:0.5%以下(0%を含まない)、Cr:0.5%以下(0%を含まない)、Nb:0.5%以下(0%を含まない)、V:0.5%以下(0%を含まない)、およびZr:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種
Ni、Cr、Nb、V、およびZrは、アルミニウム合金表面に形成される不働態皮膜を強化して孔食を発生し難くし、耐食性を向上させる作用を有する。このような作用は各元素が安定な酸化物として表面濃縮することで発現される。このような作用を有効に発揮させるため、いずれも添加量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、これらの元素が過剰になると加工性が低下するため、いずれの元素も0.5%以下とすることが好ましい。Ni、Cr、Nb、V、およびZrの添加量のより好ましい下限はいずれも0.02%であり、さらに好ましくは0.03%である。Ni、Cr、Nb、V、およびZrの添加量のより好ましい上限は0.45%であり、さらに好ましくは0.4%であり、特に0.3%が好ましい。
本発明は、(i)上記した芯材の片面あるいは両面にろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、前記ろう材がAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材、および(ii)上記した芯材の片面にろう材をクラッドし、かつもう一方の面に犠材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、前記ろう材はAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金であり、前記犠材はAl−Zn系合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材も包含する。
ろう材について
本発明におけるAl−Si系合金とは、Siを5〜15%程度含有するアルミニウム合金を意味し、Siの他に更にFe、Cu、Znなどをそれぞれ1%程度以下含有するアルミニウム合金であってもよい。Siは、アルミニウム合金の融点を下げる効果を有することから、ろう材の必須成分であり、Al−Si系合金中のSi添加量は5%以上とすることが好ましい。Siは融点を下げる作用に加えて流動性を向上させる効果を有するため、Si量を5%以上とすることにより、熱交換器に必要なろう付け性を一層確保することができる。一方、Si量が過剰になると加工性が劣化し、熱交換器のチューブ形状等に加工する上で好ましくないため、ろう材のAl−Si系合金中のSi量は15%以下とすることが好ましい。ろう材中のSi量は、より好ましくは8〜12%である。このようなAl−Si系合金としては、例えばJIS4045合金、4343合金、4004合金などが挙げられる。
本発明におけるZn合金はZnが60%以上であるZn合金であり、またSn合金はSnが60%以上であるSn合金を意味する。このようなZn合金およびSn合金としては、例えばJIS Z3281(アルミニウム用はんだ)に記載されているS−Zn95Al5やS−Sn85Zn15などが挙げられる。
犠材について
本発明におけるAl−Zn系合金とは、Znを1〜10%程度含有するアルミニウム合金を意味し、Znの他に更にFeを0〜1%程度、Mgを0〜0.1%程度含有するアルミニウム合金であってもよい。このようなAl−Zn系合金としては、例えばJIS7072合金などが挙げられる。
以上、本発明のクラッド材における芯材、ろう材、および犠材について説明したが、本発明のクラッド材は、さらに芯材とろう材の間に中間材を形成することも好ましい。ろう付けにおいて、フッ化物系フラックスを用いる場合、芯材中のMgおよびCaはフラックス中のフッ化物と反応してろう付け性を低下させる。そこで、このような不具合を解消するため、Mg量およびCa量の少ない中間材を、ろう材と芯材との間に形成することが有効である。特に、芯材中にMgとCaを、Mg:0.5〜1.0%および/またはCa:0.5〜1.0%の範囲で含有する場合に、中間材の効果が有効に発揮される。その際の、中間材中のMgおよびCaは、Mg:0.5%未満および/またはCa:0.5%未満の範囲で含有させることが好ましく、Mg量およびCa量の上限はいずれも0.4%以下とすることがより好ましく、さらに好ましくは0.3%以下である。中間材におけるMgおよびCa以外の組成は、芯材における組成と同様とすればよい。
本発明では、熱交換器のチューブなどの部材として必要な耐食性、強度、ろう付け性などの基本特性を満足させるために、クラッド率(各層の厚さの比率)あるいは厚さも調整することが好ましい。ろう付け性を向上させるためには、ろう材のクラッド率(クラッド材の全厚さに対する、ろう材の厚さの比)が5%以上及びろう材の厚さが20μm以上の少なくともいずれかの条件を満たすことが好ましい。一方、ろう材が厚すぎると強度の観点から好ましくないため、クラッド率で30%以下及びろう材の厚さが50μm以下の少なくともいずれかの要件を満足することが好ましい。また、上述したように、MgやCaといったろう付け性を低下させる元素の拡散障壁として中間材を用いる場合、中間材のクラッド率(クラッド材の全厚さに対する中間材の厚さの比)が10%以上、及び厚さ20μm以上の少なくともいずれかの条件を満足することが好ましい。一方、中間材が厚すぎると、強度不足の問題が生じるため、クラッド率が50%以下及び中間材の厚さが100μm以下の少なくともいずれかの条件を満足することが好ましい。
本発明のアルミニウム合金クラッド材を得る方法は特に限定されるものではないが、例えば以下の方法で製造することが可能である。まず、芯材およびろう材についてそれぞれ所定の成分組成となるように溶解および鋳造して鋳塊を製造し、必要に応じて面削および均質化処理を行って、芯材用鋳塊およびろう材用鋳塊を製造する。それぞれの鋳塊は、所望の厚さに熱間圧延して、または所望の厚さに機械的にスライスして、芯材用部材およびろう材用部材とする。犠材や中間材を設ける場合には、上記と同様にして犠材用部材や中間材用部材を製造する。
次に、芯材用部材の片面側あるいは両面側にろう材用部材(犠材を設ける場合は、ろう材とは異なる方の面に犠材用部材、また必要に応じて、芯材とろう材の間に中間材用部材)を重ね合わせ、この重ね合わせたものに熱処理(再加熱)を行い、熱間圧延により圧着する。その後、冷間圧延、中間焼鈍を行い、さらに冷間圧延を行う。なお、冷間圧延の後に仕上げ焼鈍をしても構わない。上記工程に悪影響を与えない範囲で、各工程の間や前後に、例えばゆがみ矯正処理等の工程を含めても構わない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
共試材の作製
表1〜3に示す化学組成を有する芯材用のアルミニウム合金を連続鋳造により、溶解、造塊し、700℃の鋳造温度で鋳造して鋳塊を得、530℃(6時間以下)で均質化処理を行った後、熱間圧延して芯材用部材を製造した。
Figure 0005809720
Figure 0005809720
Figure 0005809720
ろう材としては、JIS4045相当のAl−10%Si合金を溶解・鋳造し、得られた鋳塊に500℃で3時間の均質化処理を施した後、熱間圧延してろう材用部材を得た。
上記芯材用部材の片面側にろう材用部材を重ねて400〜550℃にて熱間圧延し、その後、冷間圧延、中間焼鈍、さらに冷間圧延をして、最終板厚が0.25mmのクラッド材を製造した。得られたクラッド材の構成は表4〜6に示す通りである。
熱交換器の作製においてろう付け法を適用する場合、ろう付け加熱時の熱拡散により添加元素の拡散が生じる。例えば、Si添加量が相対的に多いろう材から、Si添加量が相対的に少ない芯材あるいは中間材にSiが拡散するなど、深さ方向に添加元素の濃度勾配が生じることになる。そこで、このようなろう付け加熱時に添加元素が熱拡散する状態を模擬するため、上記で得られたクラッド材に、ろう付け相当条件として600℃で5分間の加熱処理を施し、腐食試験用の供試材とした。熱処理後のアルミニウム合金クラッド材から、60mm×50mmの腐食試験用試験片を切り出した。切り出した試験片は、アセトン中で洗浄した後、芯材側の50mm×40mmの範囲を試験面として、試験面以外、すなわち芯材側の面の端から5mmの領域、側面全域、およびろう材側の全面をシリコンシーラントで被覆した。
腐食試験
ラジエータ内面環境での腐食特性を評価するため、上記で得られた試験片を、冷却水を模擬した溶液に浸漬し、その腐食状況を調べた。なお、用いた溶液はOY水(Cl-:195質量ppm、SO4 2-:60質量ppm、Cu2+:1質量ppm、Fe3+:30質量ppm、pH:3.0)である。試験片を浸漬した溶液には、室温から88℃までを1時間で加熱し、88℃で7時間保持した後、室温まで1時間で冷却し、その後室温にて15時間保持するという1日で1サイクルの温度サイクルを、1ヶ月間与えた。本実施例における腐食試験では、表4〜6に示す各アルミニウム合金クラッド材を5枚づつ供試し、腐食試験後の試験面(芯材面側)の局部腐食深さを測定した。局部腐食深さの測定は、各アルミニウム合金クラッド材(5枚)について、焦点深度法により局部腐食深さを測定し、最も深い局部腐食深さを各試験No.の最大腐食深さとした。なお、試験後の局部腐食深さ測定の前には、試験片を硝酸中に浸漬することにより腐食生成物を除去した。結果を表4〜6に示す。
Figure 0005809720
Figure 0005809720
Figure 0005809720
表4のNo.1、2、3はそれぞれ、芯材中のCu量、Ti量、B量が少なかったため耐食性が不十分となり、局部腐食によりクラッド材の貫通に至った例である。
これに対し、No.4〜42はCu、Ti、B量が適切に調整されているため、耐局部腐食性が向上する結果となった。特に、No.14〜16は、Cu、Ti、Bに加えて更にMgおよび/またはCaを、No.17〜28はCu、Ti、Bに加えて更にNi、Cr、Nb、VおよびZrの少なくともいずれか一種を添加しているため、耐局部腐食性がより向上している。さらにNo.29〜42はCu、Ti、Bに加えてMgおよび/またはCaと、Ni、Cr、Nb、VおよびZrの少なくともいずれか一種を添加しているため、最大腐食深さが50μm未満と非常に小さく、耐局部腐食性が非常に優れる結果となった。

Claims (5)

  1. Si:0.3〜1.5%(質量%の意味。以下、同じ。)、
    Mn:0.3〜2.0%、
    Cu:0.3〜1.5%、
    Ti:0.01〜0.5%、
    B :0.003〜0.07%、
    Mg:0.1〜1.0
    含有すると共に、
    更にNi:0.05〜0.5%、Cr:0.02〜0.5%、Nb:0.01〜0.5%、V:0.01〜0.5%、およびZr:0.01〜0.5%よりなる群から選択される少なくとも1種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物であることを特徴とする熱交換器に用いられる耐食性に優れたアルミニウム合金クラッド材用芯材。
  2. 請求項1に記載の芯材の片面あるいは両面にろう材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、
    前記ろう材はAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  3. 請求項1に記載の芯材の片面にろう材をクラッドし、かつもう一方の面に犠材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、
    前記ろう材はAl−Si系合金、Zn合金、またはSn合金であり、
    前記犠材はAl−Zn系合金である熱交換器用アルミニウム合金クラッド材。
  4. 自動車の熱交換器に使用される請求項2または3に記載のアルミニウム合金クラッド材。
  5. 請求項2または3に記載のアルミニウム合金クラッド材を用いた自動車のろう付け型ラジエータチューブ。
JP2014030986A 2014-02-20 2014-02-20 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材 Expired - Fee Related JP5809720B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014030986A JP5809720B2 (ja) 2014-02-20 2014-02-20 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014030986A JP5809720B2 (ja) 2014-02-20 2014-02-20 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010025634A Division JP5576666B2 (ja) 2010-02-08 2010-02-08 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014101584A JP2014101584A (ja) 2014-06-05
JP5809720B2 true JP5809720B2 (ja) 2015-11-11

Family

ID=51024340

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014030986A Expired - Fee Related JP5809720B2 (ja) 2014-02-20 2014-02-20 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5809720B2 (ja)

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0250934A (ja) * 1988-08-12 1990-02-20 Furukawa Alum Co Ltd 熱交換器部材用アルミニウム製ブレージングシート
JPH04202735A (ja) * 1990-11-30 1992-07-23 Furukawa Alum Co Ltd 高強度アルミニウムブレージングシート
JPH04276039A (ja) * 1991-03-05 1992-10-01 Furukawa Alum Co Ltd 切断性に優れたチューブ用アルミニウム合金ブレージングシート
JPH0790442A (ja) * 1993-09-06 1995-04-04 Furukawa Electric Co Ltd:The 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートおよびアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JPH08246117A (ja) * 1995-03-06 1996-09-24 Furukawa Electric Co Ltd:The 高強度アルミニウムブレージングシートとその製造方法
JPH10280076A (ja) * 1997-02-10 1998-10-20 Furukawa Electric Co Ltd:The アルミニウム合金ブレージングシート
JPH11172357A (ja) * 1997-12-15 1999-06-29 Denso Corp 真空ろう付け用耐食アルミニウム合金クラッド材
JP3876180B2 (ja) * 2002-04-04 2007-01-31 住友軽金属工業株式会社 アルミニウム合金三層クラッド材
JP4030006B2 (ja) * 2002-07-05 2008-01-09 住友軽金属工業株式会社 アルミニウム合金クラッド材およびその製造方法
JP4993440B2 (ja) * 2006-06-07 2012-08-08 住友軽金属工業株式会社 ろう付け性に優れた熱交換器用高強度アルミニウム合金クラッド材
JP4963627B2 (ja) * 2007-05-15 2012-06-27 古河スカイ株式会社 熱交換器用アルミニウムろう付け構造体、およびそれに用いるクラッド材と、熱交換器用アルミニウムろう付け構造体の製造方法
JP5210001B2 (ja) * 2008-03-10 2013-06-12 古河スカイ株式会社 無フラックスろう付け用母材、ろう付け方法およびろう付け製品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014101584A (ja) 2014-06-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5576666B2 (ja) 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材
JP5336967B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材
JP5873343B2 (ja) 高耐食性アルミニウム合金ブレージングシート、ならびに、これを用いた自動車用熱交換器の流路形成部品
JP6452626B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法
JP5339560B1 (ja) アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法
JP5276476B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材
WO2017141921A1 (ja) アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法、ならびに、当該ブレージングシートを用いた自動車用熱交換器の製造方法
JP6418714B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法
WO2019150822A1 (ja) 強度、導電性、耐食性、およびろう付性に優れる熱交換器用アルミニウム合金フィン材および熱交換器
US11458577B2 (en) Aluminum alloy brazing sheet for heat exchanger
JP2011068933A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金クラッド材
US11370067B2 (en) Aluminum alloy brazing sheet for heat exchanger
JP5084490B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材
JP2017057497A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金フィン材を用いた熱交換器
JP5952995B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材
JP6738667B2 (ja) 大気環境における耐食性に優れるアルミニウム合金製熱交換器及びアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JP5809720B2 (ja) 熱交換器に用いられるアルミニウム合金クラッド材およびそれに用いるアルミニウム合金クラッド材用芯材
JP4263160B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材並びにそれを用いた熱交換器用チューブ及び熱交換器
JP5576662B2 (ja) アルミニウム合金ブレージングシート及びアルミニウム合金ブレージングシートの製造方法
JP5552181B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材
JP6738666B2 (ja) 大気環境における耐食性に優れるアルミニウム合金製熱交換器及びアルミニウム合金製熱交換器の製造方法
JP3977978B2 (ja) 耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金
WO2017047514A1 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金フィン材を用いた熱交換器及びその製造方法
JP2019174064A (ja) 排気再循環システム用アルミニウム合金製熱交換器
JP2012097320A (ja) アルミニウム製熱交換器およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140221

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20141209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150324

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150522

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150908

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5809720

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees