以下に、本発明の実施の形態による滅菌装置の一例について図面を参照して説明する。
<図1の説明>
図1は、本発明の第1の実施形態による滅菌装置の一例についてその外観を正面からみた図である。
図1は、本発明の第1の実施形態による滅菌装置の一例についてその外観を正面からみた図である。
図示の滅菌装置100の正面には、表示部102、印刷部103、滅菌室の扉104、および低濃度カートリッジ取付用扉101が配置されている。
表示部102は、例えば、液晶ディスプレイなどのタッチパネルの表示画面である。印刷部103は、滅菌処理の履歴および滅菌結果を印刷用紙に印刷するプリンタであり、ユーザは、プリンタを用いて適宜、滅菌処理の履歴および滅菌結果を印刷用紙に印刷する。
滅菌室の扉104は、例えば、医療用器具などの滅菌対象物(被滅菌物)を滅菌するために、当該被滅菌物を滅菌室に入れる際に開閉される扉である。滅菌室の扉104を開くと、滅菌室があって、ユーザは当該滅菌室に被滅菌物を入れて、滅菌室の扉104を閉じて、滅菌室に滅菌対象物を入れることができる。
滅菌室は、所定の容量を有する筐体である。滅菌室内の気圧(圧力)は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室内の温度は、滅菌処理中において所定の範囲の温度に維持される。
低濃度カートリッジ取付用扉105は、低濃度滅菌剤(例えば、濃度20%の過酸化水素を含む薬液)が充填された容器であるカートリッジを取り付ける際に開閉される扉である。低濃度カートリッジ取付用扉105を開くと、カートリッジの取り付け場所があって、ユーザは当該取り付け場所にカートリッジを取り付けることができる。
<図2Aおよび図2Bの説明>
図2Aおよび図2Bは、図1に示す滅菌装置のハードウエア構成についてその一例を説明するための図である。
滅菌装置100は、演算処理部(MPUなど)201、表示部102、印刷部103、液センサー204、カートリッジ205、液送ロータリーポンプ207、濃縮炉208、および気送加圧ポンプ209を備えている。
さらに、滅菌装置100は、吸気用HEPAフィルタ210、弁(V1)211、弁(V3)212、弁(V4)213、計量管214、弁(V2)215、気化炉216、弁(V5)217、弁(V9)227、弁(V7)226、滅菌室(真空チャンバーともいう)219、気送真空ポンプ220、排気用HEPAフィルタ221、滅菌剤分解装置222、液送ロータリーポンプ223、および排気蒸発炉224を有している。
また、滅菌装置100は、導管切替部240、低濃度カートリッジ取付用扉105、ロック動作制御部229、抽出針動作制御部230、液センサー231、低濃度カートリッジ232、RF−IDリーダ/ライタ233、液送ロータリーポンプ234、濃縮炉(大型)235、弁(V10)236、濃縮済み滅菌剤プール部237、排気用HEPAフィルタ238、滅菌剤分解装置239、および抽出針動作制御部241を備えている。
図示の滅菌装置100は、低濃度滅菌剤が入っているカートリッジ232から、滅菌剤を取り出して滅菌対象物を滅菌するための装置である。
演算処理部(MPUなど)201は、演算処理を行って、滅菌装置100を構成するハードウエアを後述のようにして制御する。つまり、演算処理部(MPUなど)201は制御部である。なお、表示部102、印刷部103、および低濃度カートリッジ取付用扉105ついては、図1で説明したので、ここでは説明を省略する。
ロック動作制御部229は、低濃度カートリッジ取付用扉105の施錠および開錠を行う。低濃度カートリッジ取付用扉105を施錠することによって、低濃度カートリッジ取付用扉105は開かないようにされる。また、低濃度カートリッジ取付用扉105を開錠することによって、低濃度カートリッジ取付用扉105を開くことができる。
低濃度カートリッジ232は、低濃度滅菌剤(過酸化水素又は過酸化水素溶液の液体)が充填されて、密閉された容器である。また、低濃度カートリッジ232の下側にはRF−IDの記憶媒体が備えてられて、当該記憶媒体には、低濃度カートリッジを識別する情報であるシリアル番号、低濃度カートリッジの製造年月日、低濃度カートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)、そして、低濃度カートリッジに充填されている滅菌剤の残量が記憶されている。
このRF−IDは、低濃度カートリッジ232の滅菌剤の廃棄に係るデータ(シリアル番号、製造年月、初回使用日時、および滅菌剤の残量の全て、又はいずれかのデータ)を記憶した記憶媒体である。
抽出針動作制御部230は、低濃度カートリッジ内の低濃度滅菌剤を吸引するための抽出針230−A(注射針)を低濃度カートリッジの上部から刺すため、抽出針230−Aを移動させる(つまり、駆動する)。つまり、抽出針動作制御部230は、注射針の動作部である。
つまり、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針230−A(注射針)をカートリッジの上部から刺す際には、抽出針230−A(注射針)をカートリッジに向けて、カートリッジの上部から降ろすように動作させる。これによって、抽出針230−A(注射針)をカートリッジの上部から刺すことができる。
また、抽出針230−A(注射針)をカートリッジから抜く際には、カートリッジの上部の方向に抽出針230−A(注射針)を上げるように動作させる。これによって、抽出針230−A(注射針)をカートリッジから抜くことができる。
抽出針230−Aは、カートリッジ内の滅菌剤を吸引して取り出すためのストロー(細い筒)である。つまり、抽出針230−Aは、カートリッジから滅菌剤を抽出するための抽出管である。
この抽出針230−Aは、例えば、過酸化水素を含む薬液である滅菌剤による腐食等を防ぐため、ステンレスなどの金属で成形されている。
液センサー204は、カートリッジ232内の液体滅菌剤が抽出針230−A(注射針)から液送ロータリーポンプ207および液送ロータリーポンプ223に導通(連結)している管(導管)を通っているか否かを検出する。
具体的には、液センサー204は、導管に赤外線を照射して得られるスペクトルに応じて滅菌剤が導管を通っているか否かを検出する。
また、液センサー204は、濃縮済み滅菌剤プール部237内の液体滅菌剤が濃縮済み滅菌剤プール部237から導通(連結)している管(導管)を通っているか否かを検出することができる。
液センサー231は、低濃度カートリッジ232内の液体低濃度滅菌剤が抽出針230−A(注射針)から液送ロータリーポンプ234に導通(連結)している管(導管)を通っているか否かを検出する。具体的には、液センサー231は、導管に赤外線を照射して得られるスペクトルに応じて低濃度滅菌剤が導管を通っているか否かを検出する。
RF−IDリーダ/ライタ233は、低濃度カートリッジ232の下側に備え付けられているRF−IDから、シリアル番号、製造年月、初回使用日時、および低濃度滅菌剤の残量を読み取る。また、RF−IDリーダ/ライタ233は、低濃度カートリッジ232の下側に備え付けられているRF−IDに、初回使用日時、および低濃度滅菌剤の残量を書き込む。
RF−IDリーダ/ライタ233は、低濃度カートリッジ取付用扉105の裏にある低濃度カートリッジの取り付け場所の下部に設置されており、低濃度カートリッジ232の下側に備え付けられているRF−IDの読み取り、そして、初回使用日時および低濃度滅菌剤の残量などのデータをRF−IDに書き込む。
液送ロータリーポンプ207は、濃縮炉208と導管によって導通して(繋がって)おり、さらに、液センサー204と導管によって導通している。液送ロータリーポンプ207は、濃縮済み滅菌剤プール部237内の液体滅菌剤および低濃度カートリッジ232内の液体滅菌剤をポンプにより吸引して、導管を通して当該滅菌剤を濃縮炉208に導入する。
また、液送ロータリーポンプ207は、液センサー204と連携して、低濃度カートリッジ232および濃縮済み滅菌剤プール部237から、滅菌剤の所定量を吸引することができる。
導管切替部(例えば、切替弁)240は、低濃度カートリッジ232および濃縮済み滅菌剤プール部237のうちいずれか一方から滅菌剤を吸引する際に用いられる切替装置である。
液送ロータリーポンプ234は、濃縮炉(大型)235と導管によって導通して(繋がって)おり、さらに、液センサー231と導管によって導通している。液送ロータリーポンプ234は、低濃度カートリッジ232内の液体低濃度滅菌剤を吸引して、導管を通して当該低濃度滅菌剤を濃縮炉(大型)235に導入する。
また、液送ロータリーポンプ234は、液センサー231と連携して、低濃度カートリッジ232から低濃度滅菌剤の所定量を吸引することができる。
濃縮炉208は、液送ロータリーポンプ207、気送加圧ポンプ209、計量管214、および排気蒸発炉224の各々に導管によって導通している。濃縮炉208は、後述するように、液送ロータリーポンプ207から導管を通じて送り込まれた滅菌剤を、ヒータを用いて加熱して、滅菌剤に含まれる水分などを蒸発(気化)させ滅菌剤を濃縮する。
気化した水は、気送加圧ポンプ209から導管を通して送り込まれる空気によって、排気蒸発炉224に導通している導管に押し出されて、濃縮炉208内から排気される。なお、計量管214と濃縮炉208との間の導管には弁(1)211が設けられている。
濃縮炉(大型)235は、液送ロータリーポンプ234、気送加圧ポンプ209、濃縮済み滅菌剤プール部237、および排気用HEPAフィルタ238の各々に導管によって導通している。
濃縮炉(大型)235は、液送ロータリーポンプ234から導管を通じて送り込まれた低濃度滅菌剤を、ヒータを用いて加熱し、低濃度滅菌剤に含まれる水分などを蒸発(気化)させ低濃度滅菌剤を濃縮する。
気化した水は、気送加圧ポンプ209から導管を通して送り込まれる空気によって、排気用HEPAフィルタ238に導通している導管に押し出されて、濃縮炉(大型)235内から排気される。
なお、濃縮済み滅菌剤プール部237と濃縮炉(大型)235との間の導管には弁(V10)236が設けられている。
濃縮済み滅菌剤プール部237は、濃縮炉(大型)235と導管によって導通しており、さらに、液センサー204と導管によって導通している。そして、濃縮済み滅菌剤プール部237は、濃縮炉(大型)235によって任意の濃度に濃縮した滅菌剤をプールする。
気送加圧ポンプ209は、濃縮炉208、濃縮炉(大型)235、および吸気用HEPAフィルタ210の各々に導管によって導通している。気送加圧ポンプ209は、滅菌装置100の外気(空気)を、吸気用HEPAフィルタ210を介して導管によって濃縮炉208および濃縮炉(大型)235に送る。
吸気用HEPAフィルタ210は、気送加圧ポンプ209、滅菌室219、気化炉216の各々に導管によって導通している。吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)中のちり、ほこり、および雑菌などをHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタでフィルタリングして空気を清浄する。
当該清浄された空気は、気送加圧ポンプ209によって導管を通して濃縮炉208および濃縮炉(大型)235に送られる。また、清浄された空気は導管を介して気化炉216に送り込まれるとともに、導管を介して滅菌室219に送り込まれる。
つまり、吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)と導通している。このため、気送加圧ポンプ209と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管、および気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管は、それぞれ吸気用HEPAフィルタ210を介して外気(空気)と導通している。
吸気用HEPAフィルタ210と気化炉216との間の導管には、弁(V9)227が設けられている。そして、吸気用HEPAフィルタ210と滅菌室219との間の導管には、弁(V7)226が設けられている。
弁(V1)211は、濃縮炉208と計量管214との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって濃縮炉208と計量管214とを導管によって導通する。一方、弁(V1)211は、閉弁によって濃縮炉208と計量管214との導通を遮断とする。
弁(V10)236は、濃縮炉(大型)235と濃縮済み滅菌剤プール部237との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって濃縮炉(大型)235と濃縮済み滅菌剤プール部237とを導管によって導通する。
一方、弁(V10)236は、閉弁によって濃縮炉(大型)235と濃縮済み滅菌剤プール部237との導通を遮断とする。
弁(V3)212は、計量管214と滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって計量管214と滅菌室219とを導管によって導通する。
一方、弁(V3)212は、閉弁によって計量管214と滅菌室219との導通を遮断する。この(V3)212弁は、計量管214の近傍に設けられており、少なくとも後述する弁(V4)213よりも計量管214側の位置に設けられている。
弁(V4)213は、計量管214と滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって計量管214と滅菌室219とを導管によって導通する。
一方、弁(V4)213は、閉弁によって計量管214と滅菌室219との導通を遮断する。この弁(V4)213は、は、滅菌室219の近傍に設けられており、少なくとも弁(V3)212よりも滅菌室219側の位置に設けられている。
本実施の形態では、弁(V4)212および弁(V3)213の開閉によって、計量管214と滅菌室219とを導管によって導通するか又は遮断するかを行っているが、弁(V4)213および弁(V3)212のいずれか一方の開閉によって、計量管214と滅菌室219とを導管によって導通するか又は遮断するかを行うようにしてもよい。
つまり、弁(V4)213、弁(V3)212のいずれか一方のみを設けて、当該配置された一方の弁の開閉によって、計量管214と滅菌室219とを導管によって導通するか又は遮断するかを行うようにすることもできる。
計量管214は、導管によってそれぞれ濃縮炉208、気化炉216、および滅菌室219に導通している。計量管214には、弁(V1)211の開弁によって、濃縮炉208から滅菌剤が流入する。
そして、弁(V3)212および弁(V4)213の開弁によって、カートリッジ205から吸入した不要な空気および/又は吸気用HEPAフィルタ210から濃縮炉208に流入して濃縮炉208から計量管214に流入した不要な空気が計量管214によって取り除かれる。計量管214の詳細については、後述する。
弁(V2)215は、計量管214と気化炉216との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって計量管214と気化炉216とを導管によって導通する。一方、弁(V2)215は、閉弁によって計量管214と気化炉216との導通を遮断する。
気化炉216は、導管によってそれぞれ計量管214、吸気用HEPAフィルタ210、および滅菌室219に導通している。
ここで、気化炉216は、例えば、気化室とも呼ばれる。気化炉216は、気送真空ポンプ220によって減圧されて、滅菌剤を気化させる。
弁(V5)217は、気化炉216と滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって気化炉216と滅菌室219とを導管によって導通する。
一方、弁(V5)217は、閉弁によって気化炉216と滅菌室219との導通を遮断する。
弁(V9)227は、気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210とを導管によって導通する。
一方、弁(V9)227は、閉弁によって気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210との導通を遮断する。つまり、弁(V9)227は、気化炉216と外気(大気)との導通を開閉するための弁である。
弁(V7)226は、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、開弁によって滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210とを導管によって導通する。
一方、弁(V7)226は、閉弁によって滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との導通を遮断する。つまり、弁(V7)226は、滅菌室219と外気(大気)との導通を開閉するための弁である。
図1においても説明したが、滅菌室(真空チャンバーともいう)219は、例えば、医療用器具などの滅菌対象物を滅菌する所定の容量を有する筐体である。滅菌室219内の圧力は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室219内の温度は、滅菌処理中において所定の範囲の温度に維持されている。
さらに、滅菌室219内には、圧力センサーが備えられており、当該圧力センサーにより滅菌室219内の圧力(気圧)を測定することができる。滅菌装置100(つまり、演算処理部201)は、圧力センサーによって測定された滅菌室219内の気圧を参照して、滅菌室219内などの圧力(気圧)が所定の気圧になっているか否かを判定する。
気送真空ポンプ220は、滅菌室219、気化炉216、計量管214、計量管214と気化炉216との間の導管、気化炉216と滅菌室219との間の導管、および計量管214と滅菌室219との間の導管の空間の気体を吸引して、各空間を減圧して真空状態(大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態)とする。
気送真空ポンプ220は、導管によって滅菌室219および排気用HEPAフィルタ221に導通されている。
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220に導管によって導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、滅菌剤分解装置222に導管によって導通されている。
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220との導管および滅菌剤分解装置228との導管から送られてきた気体のちり、ほこり、および雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタでフィルタリングして、吸引された気体を清浄する。
清浄された気体は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通って、滅菌剤分解装置222に送られる。そして、滅菌剤分解装置222によって当該気体に含まれる滅菌剤の分子が分解されて、分解後の分子は滅菌装置100の外に放出される。
濃縮炉208と排気蒸発炉224との導管によって、濃縮炉208から排気蒸発炉224に排気される気体は、濃縮炉208において滅菌剤が加熱されて気化された水であり、微量の滅菌剤を含む。このため、この気体は、排気蒸発炉224によって加熱されて、排気蒸発炉224と滅菌剤分解装置222との導管を通って、滅菌剤分解装置222に送られる。
そして、滅菌剤分解装置222によって当該気体に含まれる滅菌剤の分子が分解されて、分解後の分子は排気用HEPAフィルタ221と滅菌剤分解装置228との導管を通って、排気用HEPAフィルタ221に送られる。
排気用HEPAフィルタ221は、気体(分子)に含まれるちり、ほこり、および雑菌などをHEPAフィルタでフィルタリングして、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との導管を介して、滅菌剤分解装置222に導入する。
滅菌剤分解装置222および滅菌剤分解装置228は、滅菌装置100に取り付けられたカートリッジに入っている滅菌剤を廃棄する廃棄部の一例である。
排気用HEPAフィルタ238は、濃縮炉(大型)235に導管によって導通されている。また、排気用HEPAフィルタ238は、滅菌剤分解装置239に導管によって導通されている。
排気用HEPAフィルタ238は、気送加圧ポンプ209によって濃縮炉(大型)235などから吸引された気体および気送加圧ポンプ209との導管から送られてきた気体からちり、ほこり、および雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして、吸引された気体を清浄する。
この清浄された気体は、滅菌剤分解装置239と排気用HEPAフィルタ238との導管を通って、滅菌剤分解装置239に送られる。そして、滅菌剤分解装置239によって当該気体に含まれる滅菌剤の分子が分解されて、分解後の分子は滅菌装置100の外に放出される。
排気用HEPAフィルタ221は、導管を通って送られてくる気体を清浄することによって、滅菌剤分解装置222にほこりおよびごみなどが溜まりにくくする。これによって、滅菌剤分解装置222の製品寿命を延ばすことができる。
排気用HEPAフィルタ238は、導管を通って送られてくる気体を清浄することによって、滅菌剤分解装置239にほこりおよびごみが溜まりにくくする。これによって、滅菌剤分解装置239の製品寿命を延ばすことができる。
滅菌剤分解装置222は、排気用HEPAフィルタ221に導管によって導通されている。滅菌剤分解装置222は、排気用HEPAフィルタ221から送られてくる気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成される分子を滅菌装置100の外に放出する。
滅菌剤分解装置239は、排気用HEPAフィルタ238に導管によって導通されている。滅菌剤分解装置239は、排気用HEPAフィルタ238から送られてくる気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成される分子を滅菌装置100の外に放出する。
滅菌剤分解装置222および滅菌剤分解装置239の各々は、滅菌剤を分解する装置であって、例えば、滅菌剤が過酸化水素又は過酸化水素溶液である場合、気化した過酸化水素を、二酸化マンガンを触媒として用いて、水と酸素に分解する。
液送ロータリーポンプ223は、排気蒸発炉224と導管により導通しており、さらに、液センサー204と導管により導通している。
液送ロータリーポンプ223は、低濃度カートリッジ232および濃縮済み滅菌剤プール部237の全ての液体滅菌剤を吸引して、液センサー204から導管を通して送られる全ての滅菌剤を導管を通して排気蒸発炉224に導入する。
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223と導管によって導通しており、さらに、排気用HEPAフィルタ221と導管によって導通している。
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223によって、導管を通して送られるカートリッジ205および濃縮済み滅菌剤プール部237の全ての液体滅菌剤を、排気蒸発炉224に備え付けられたヒータにより加熱して、その滅菌剤の全てを気化させる。そして、気化された滅菌剤は、導管を通して滅菌剤分解装置228に送られる。
抽出針動作制御部241は、濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留され濃縮された滅菌剤を液送ロータリーポンプ207および液送ロータリーポンプ223によって吸引するため、抽出針241−A(抽出管)を濃縮済み滅菌剤プール部237に導入すべく動作させる(つまり、駆動する)。
<図3Aおよび図3Bの説明>
図3Aおよび図3Bは、図2Aおよび図2Bに示す滅菌装置で行われる滅菌処理についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図3Aおよび図3Bに示す滅菌処理は演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201が読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して滅菌処理が行われる。
滅菌装置100において、電源がオンされると、RF−IDリーダ/ライタ233(読取部/書込部)は低濃度カートリッジ232の下側に設けられたRF−ID(記憶媒体)からデータを読み取る(ステップS301)。RF−IDリーダ/ライタ233は、滅菌装置100に低濃度カートリッジ232が取り付けられたことを検出する検出部として機能する。
ステップS301において、RF−ID(記憶媒体)から読み取られるデータとして、前述のように、低濃度カートリッジ232を識別する情報であるシリアル番号、低濃度カートリッジ232の製造年月日、低濃度カートリッジ232が滅菌装置100で初めて使用された日時(初回使用日時)、および低濃度カートリッジ232内に充填されている滅菌剤の残量が読み取られる。
言い換えると、低濃度カートリッジ232に設けられたRF−ID(記憶媒体)には、予めシリアル番号、製造年月日、初回使用日時(初回使用日時情報)、および滅菌剤の残量が記憶されている。
なお、滅菌装置100で初めて使用されるカートリッジのRF−IDには、初回使用日時(カートリッジが滅菌装置で初めて使用された日時)が記憶されていない。つまり、初めて使用されるカートリッジのRF−IDには、シリアル番号、製造年月日、および滅菌剤の残量が記憶されていることになる。そして、2回目以降に使用されるカートリッジのRF−IDには、シリアル番号、製造年月日、初回使用日時、および滅菌剤の残量が記憶されている。
従って、ステップS301の処理においては、初めて使用されるカートリッジのRF−IDについては、シリアル番号、製造年月日、および滅菌剤の残量が読み取られる。一方、2回目以降に使用されるカートリッジのRF−IDについては、シリアル番号、製造年月日、初回使用日時、および滅菌剤の残量が読み取られることになる。
続いて、演算処理部201は、RF−IDからデータの読み取りができたか否かを判定する(ステップS302)。ステップS302の処理では、初めて使用されるカートリッジのRF−IDから初回使用日時が読み取れなかったとしても、シリアル番号、製造年月日、滅菌剤の残量が読み取ることができれば、演算処理部201はRF−IDからデータが読み取れたと判定する。
次に、RF−IDからデータが読み取れたと判定すると(ステップS302において、YES)、演算処理部201は低濃度カートリッジの取り付け場所に低濃度カートリッジが設置されていると判定して、ロック動作制御部229によってカートリッジ取付用扉105を施錠(ロック)する(ステップS303)。すなわち、演算処理部201は低濃度カートリッジを取り出すことができないようにロック(施錠)する。
このようにして、読取手段であるRF−IDリーダ/ライタ206によってRF−IDからデータが読み取れると、演算処理部201は低濃度カートリッジ232を取り出すことができないようにロックする。
なお、例えば、低濃度カートリッジに挿入される注射針を抜かないようにすることによって、低濃度カートリッジを取り出すことができないようにすることもできる。つまり、ステップS303の処理において、注射針を低濃度カートリッジ232に挿入して、低濃度カートリッジ232内の滅菌剤を抽出することを可能とするとともに、低濃度カートリッジ232を取り出すことができないようにすることができる。
このようにして、演算処理部201は低濃度カートリッジ232の取り付け場所に低濃度カートリッジ232が取り付けられると、低濃度カートリッジ232を取り出すことができないようにカートリッジ取付用扉105をロック(施錠)する。
滅菌装置100内の低濃度カートリッジの取り付け場所に滅菌剤の余りが入っている低濃度カートリッジが取り付けられている場合、低濃度カートリッジを取り出すことができないようにロック(施錠)が行われるため、ユーザが滅菌剤を触れないようにすることができる。
以上のように、演算処理部201は低濃度カートリッジ232が滅菌装置100に取り付けられている場合には、低濃度カートリッジ232を取り出すことができないようにロックを行う。
なお、後述するように、ロックが解除された(カートリッジ取付用扉105が開錠された)場合には、演算処理部201はロックを行うことなく、ロックが解除された状態のままとする。
次に、演算処理部201は、セットされた低濃度カートリッジ232内の液体滅菌剤について濃縮処理を行ったか否かを判定する(ステップS304)。具体的には、演算処理部201は、低濃度カートリッジ232に付加されたRF−ID(記憶媒体)から読み取ったシリアル番号に関して、後述する濃縮処理が完了すると、濃縮処理済みのカートリッジとして当該シリアル番号を滅菌装置100に備えられたメモリ(図示せず)に登録する。
つまり、ステップS304の処理においては、演算処理部201は、ステップS301において読み取ったシリアル番号が濃縮処理済みのカートリッジとしてメモリに登録されたシリアル番号であるか否かを判定して、これによって、セットされている低濃度カートリッジ232内の液体の滅菌剤の濃縮処理を行ったか否かを判定する。
セットされた低濃度カートリッジ232内の液体滅菌剤について濃縮処理が行われていると(ステップS304において、YES)、演算処理部201は、濃縮済み滅菌剤プール部237に濃縮されて貯留された滅菌剤の量に応じて、濃縮済み滅菌剤プール部237(以下濃縮済み滅菌剤プール部を単にプールともいう)に滅菌処理1回分の滅菌剤の所定の量(例えば、8ミリリットル)があるか否かを判定する(ステップS305)。
具体的には、滅菌装置100のメモリには、滅菌済み滅菌剤プール部237に濃縮されてプールされている滅菌剤の量が記憶されており、演算処理部201はメモリを参照して、濃縮された滅菌剤(滅菌処理1回分の所定の量(例えば、8ミリリットル)の滅菌剤)が滅菌済み滅菌剤プール部237にプールされているか否かを判定する。
所定量の滅菌剤がプールされていると(ステップS305において、YES)、演算処理部201は、十分な滅菌処理を実行できると判定する。そして、演算処理部201は、後述する濃縮処理を行ったとき(濃縮日)から所定期間が経過しているか否かを判定する(ステップS306)。
濃縮日から所定期間が経過していないと(ステップS306において、NO)、演算処理部201は、後述する滅菌開始画面を表示部102に表示する(ステップS307)。
<図4の説明>
図4は、図2Aおよび図2Bに示す滅菌装置100において表示部102に表示される滅菌開始画面についてその一例を示す図である。
滅菌開始画面401には、滅菌開始ボタン402が表示されており、当該滅菌開始ボタン402はユーザによって押下可能(アクティブ)となっている。
図3Aおよび図3Bも参照して、演算処理部201はユーザによって滅菌開始ボタン402が押下されたか否かを判定する(ステップS308)。滅菌開始ボタン402が押し下げられないと(ステップS308において、NO)、演算処理部201は、ステップS307の処理に戻って滅菌開始画面401の表示を継続する。
一方、滅菌開始ボタン402が押し下げられると(ステップS308において、YES)、演算処理部201は、図4に示す滅菌モード選択画面403を表示部102に表示する(ステップS309)。
図4に示す滅菌モード選択画面403には、「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード(第2の濃度モード)」ボタン404と、「滅菌剤を標準濃度で滅菌するモード(第1の濃度モード)」ボタン405とが表示される。
演算処理部201は、「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード」ボタン404と「滅菌剤を標準濃度で滅菌するモード」ボタン405のいずれか一方の選択をユーザから受け付ける(ステップS310)。そして、演算処理部201は、ユーザによって選択されたボタンのモードに応じて、後述する滅菌処理を行う(ステップS311)。
なお、演算処理部201は、ステップS311の滅菌処理が終了すると、ステップS301の処理に戻る。
このようにして、ユーザの指示に応じて、滅菌処理するモードを1台の滅菌装置で切り替えて行うことが可能となる。
ステップS304において、セットされた低濃度カートリッジ232内の液体滅菌剤について濃縮処理が行われていないと(ステップS304において、NO)、演算処理部201は、濃縮開始画面(図示せず)を表示部102に表示する(ステップS312)。そして、演算処理部201は、濃縮開始画面に表示されている濃縮開始ボタンが押下げられたか否かを判定する(ステップS313)。
濃縮開始ボタンが押下げられると(ステップS313において、YES)、演算処理部201は、後述する濃縮処理を行う(ステップS314)。そして、演算処理部201はステップS305の処理に進む。
一方、濃縮開始ボタンが押下げられないと(ステップS313において、NO)、演算処理部201は、ステップS312の処理に戻って、濃縮開始画面の表示を継続し、濃縮開始ボタンの押下げを待つ。
ステップS305において、所定量の滅菌剤がプールされていないと(ステップS305において、NO)、演算処理部201は、十分な滅菌処理を実行できないと判定して、低濃度カートリッジ内に滅菌1回分を超える所定の量(例えば、8ミリリットル)の滅菌剤が存在するか否かを判定する(ステップS315)。
具体的には、演算処理部201は、RF−IDから取得した滅菌剤の残量が滅菌1回分の所定の量よりも多いか否かを判定する。
なお、ステップS306において、濃縮日から所定期間が経過していると(ステップS306において、YES)、演算処理部201は、ステップS315の処理に進む。
滅菌剤の残量が滅菌1回分の所定の量よりも多いと(ステップS315において、YES)、演算処理部201は、低濃度カートリッジ内に滅菌1回分を超える所定の量の滅菌剤がある(十分な滅菌処理を実行できる)と判定する。そして、演算処理部201は、RF−IDから取得したカートリッジの製造年月日に応じて、製造年月日から所定の期間(例えば、13か月)が経過しているか否かを判定する(ステップS316)。
製造年月日から所定の期間が経過していないと(ステップS316において、NO)、演算処理部201は、十分な滅菌処理を実行できると判定して、RF−IDから取得した初回使用日時から所定の期間(例えば、2週間)が経過しているか否かを判定する(ステップS317)。
なお、前述したように、初めて使用されるカートリッジのRF−IDからは、初回使用日時が読み取られないので、この場合には、演算処理部201は、初回使用日時から所定の期間(例えば、2週間)を経過していないと判定することになる。
初回使用時から所定の期間(例えば、2週間)を経過していないと(ステップS317において、NO)、演算処理部201は十分な滅菌処理を実行できると判定して、ステップS307の処理に進む。
滅菌剤の残量が滅菌1回分の所定の量以下であると(ステップS315において、NO)、演算処理部201は、十分な滅菌処理ができないとして、後述するステップS318の処理に進む。
同様に、製造年月日から所定の期間が経過していると(ステップS316において、YES)、演算処理部201は、十分な滅菌処理を実行できないと判定して、ステップS318の処理に進む。
また、初回使用時から所定の期間(例えば、2週間)を経過している(ステップS317において、YES)、演算処理部201は、十分な滅菌処理を実行できないと判定して、ステップS318の処理に進む。
ステップS318において、演算処理部201は、図4に示す滅菌開始画面401を表示部102に表示する。但し、ここでは表示される滅菌開始画面401においては、滅菌開始ボタン402は、ユーザによって押下不可能な状態で表示される(つまり、滅菌開始ボタン402はアクティブではない。これによって、演算処理部201は、ユーザによる滅菌処理の開始指示を受け付けない。
続いて、演算処理部201は、濃縮済み滅菌剤プール部237における滅菌剤の排出処理を行ったか否かを判定する(ステップS319)。ここでは、前述のステップS314の濃縮処理によって、濃縮済み滅菌剤プール部237に濃縮された滅菌剤が貯留された後、次の低濃度カートリッジ232の滅菌剤についてステップS314の濃縮処理が行われる前、ステップS319の処理が行われる。
濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留された滅菌剤について排出処理が行われていないと(ステップS319において、NO)、演算処理部201の制御下で濃縮済み滅菌剤プール部237に残っている液体滅菌剤の残量が全てを吸い取って、全ての滅菌剤を分解処理した後、滅菌装置100の外に放出する滅菌剤の排出処理が行われる(ステップS320)。
このようにして、低濃度カートリッジ内の滅菌剤毎に、ステップS319の処理が行われるので、他の低濃度カートリッジの滅菌剤と混合されることがなくなる。この結果、滅菌処理を管理することが可能となり、期待する滅菌効果を得ることができるようになる。
次に、演算処理部201は、RF−IDから取得したシリアル番号に応じて、カートリッジの取り付け場所に設置してある低濃度カートリッジが既に滅菌剤の排出処理済みの低濃度カートリッジであるか否かを判定する(ステップS321)。
具体的には、滅菌装置100内のメモリ(記憶部)には既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジを識別するシリアル番号が記憶されており、演算処理部201は、RF−IDから取得したシリアル番号が当該メモリ(記憶部)に記憶されているシリアル番号に一致するか否かを判定する。
これによって、演算処理部201は、現在、滅菌装置100に取り付けられている低濃度カートリッジが既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジであるか否かを判定することができる。
なお、濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留された滅菌剤について排出処理が行われていると(ステップS319において、YES)、演算処理部201は、ステップS321の処理に進む。
低濃度カートリッジが既に滅菌剤の排出処理済みでないと(ステップS321において、NO)、演算処理部201は、当該低濃度カートリッジについて、後述する滅菌剤排出処理を行う(ステップS322)。ここでは、低濃度カートリッジに残っている液体滅菌剤の残量の全てを吸い取って、全ての滅菌剤を分解処理した後、滅菌装置100の外に放出する。
そして、演算処理部201は、低濃度カートリッジ232のRF−IDに既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジである旨を示す情報を記録する。さらに、演算処理部201は、滅菌装置100内のメモリ(記憶部)に既に滅菌剤の排出処理(廃棄処理)済みである低濃度カートリッジを識別するシリアル番号として、ステップS301で読み取ったシリアル番号を記憶する。
なお、ステップS322の処理は、例えば、低濃度カートリッジの過酸化水素水溶液を廃棄する廃棄手段として機能する。すなわち、廃棄手段は、低濃度カートリッジの中の全ての滅菌剤(例えば、過酸化水素を含む溶液)を、触媒(二酸化マンガンなど)を用いて分解して廃棄する。
続いて、演算処理部201は、カートリッジ取付用扉105を開錠する(ステップS323)。つまり、ステップS323は、ロック手段によるロックを解除する解除手段として機能することになる。ここでは、例えば、低濃度カートリッジに挿入されている注射針を低濃度カートリッジから抜くことによって、ロックを解除する。
このように、ロックを解除する前に、低濃度カートリッジ232の全ての滅菌剤を吸い出して廃棄する処理(排出処理)を行うので、ユーザに滅菌剤を触れさせないようにすることができ安全性が向上する。
低濃度カートリッジが既に滅菌剤の排出処理済みであると(ステップS321において、YES)、つまり、ステップS301において既に滅菌剤の排出処理済みの低濃度カートリッジである旨を示す情報を読み取ることができると、演算処理部201は、ステップS323の処理に移行する。
このようにして、演算処理部201は、滅菌装置100に現在取り付けられている低濃度カートリッジが既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジであるか否かを判定することになる。
ステップS302において、RF−IDからデータが読み取れないと判定すると(ステップS302において、NO)、演算処理部201は、低濃度カートリッジの取り付け場所に低濃度カートリッジが設置されていないと判定して、図5に示すカートリッジ取付要求画面を表示する(ステップS324)。
<図5の説明>
図5は、図2Aに示す表示部102に表示されるカートリッジ取付要求画面501についてその一例を示す図である。
図5において、表示部102に表示されたカートリッジ取付要求画面501には、OKボタン502が表示される。
図3Aおよび図3Bも参照して、演算処理部201は、カートリッジ取付要求画面501においてOKボタン502がユーザによって押下されたか否かを判定する(ステップS325)。OKボタン502が押下されると(ステップS3325において、YES)、演算処部201は、ロック動作制御部229によって低濃度カートリッジ取付用扉105を開錠する(ステップS326)。そして、演算処理部201は、ステップS301の処理に戻る。
一方、OKボタン502が押し下げられないと(ステップS325において、NO)、演算処理部201は、待機してカートリッジ取付要求画面501の表示を継続する。
<図6の説明>
図6は、図3Aに示す濃縮処理(ステップS314)についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図6に示すフローチャートに係る処理は演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201は読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して濃縮処理を行うことになる。
濃縮処理が開始されると、演算処理部201の制御下で、抽出針動作制御部230は、抽出針を低濃度カートリッジ232に挿入するべく、抽出針を低濃度カートリッジ232の方向に移動する。演算処理部201は、液送ロータリーポンプ234を駆動して、低濃度カートリッジ232に収納されている低濃度の滅菌剤を吸い出す。そして、演算処理部201は、濃縮炉(大型)235に、当該取り出された滅菌剤を導入する(ステップS601)。
ステップS601の処理においては、演算処理部201は、低濃度カートリッジ232に少なくとも1回分の滅菌処理を行える量の低濃度滅菌剤を残して、低濃度カートリッジ232の滅菌剤を全て取り出す。つまり、演算処理部201は、1回分の滅菌処理を行える低濃度の滅菌剤の量よりも、多い量の滅菌剤を取り出すことになる。このため、ステップS601において取り出される滅菌剤を濃縮する際には、時間が掛ってしまうことになる。
そこで、ここでは、ステップS601の処理で取り出さ濃縮された滅菌剤を用いて、滅菌処理を行うか又は低濃度カートリッジ232から1回分の滅菌処理を行える低濃度の滅菌剤の量を取り出して当該取り出された滅菌剤を濃縮して滅菌処理を行うかについてユーザに選択させる。
これによって、急ぎで滅菌処理を行いたい場合には、1回分の滅菌処理を行える低濃度の滅菌剤を濃縮して滅菌処理を行えるようにする。
ステップS601の処理の後、演算処理部201は、図7に示す選択画面を表示部102に表示する(ステップS602)。
<図7の説明>
図7は、図2Aに示す表示部102に表示される選択画面についてその一例を示す図である。
図7において、選択画面701には、「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる(第1の滅菌処理モード)」ボタン702と「濃縮炉での濃縮の完了を待ち、濃縮済みの滅菌剤プール部の滅菌剤を用いる(第2の滅菌処理モード)」ボタン703とが表示される。
図6も参照して、演算処理部201は、図7に示す選択画面701において「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザによって押下されたか又は「濃縮炉での濃縮の完了を待ち、濃縮済みの滅菌剤プール部の滅菌剤を用いる」ボタン703がユーザによって押下されたかを判定する(ステップS603)。
「濃縮炉での濃縮の完了を待ち、濃縮済みの滅菌剤プール部の滅菌剤を用いる」のボタン703がユーザによって押下されると(ステップS603において、NO)、演算処理部201は、ステップS601の処理において濃縮炉(大型)235に滅菌剤を導入(投入)してから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS604)。
濃縮炉(大型)235に滅菌剤を導入(投入)してから所定時間が経過しないと(ステップS604において、NO)、演算処理部201は待機する。
一方、濃縮炉(大型)235に滅菌剤を導入(投入)してから所定時間が経過すると(ステップS604において、YES)、演算処理部201は、弁(V10)238を開けて、濃縮炉(大型)235で濃縮された滅菌剤を濃縮済み滅菌剤プール部237に導入する(ステップS605)。そして、演算処理部201は、ステップS305の処理に進む。
ステップS603において、「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザによって押下されると(ステップS603において、YES)、演算処理部201は、図3Bに示すステップS305の処理を行うとともに、次のステップS607の処理を行う。
ステップS607において、演算処理部201は、ステップS604の処理と同様に、ステップS601において濃縮炉(大型)235に滅菌剤を導入(投入)してから所定時間が経過したか否かを判定する。
濃縮炉(大型)235に滅菌剤を導入(投入)してから所定時間が経過しないと(ステップS607において、NO)、演算処理部201は待機する。
一方、濃縮炉(大型)235に滅菌剤を導入(投入)してから所定時間が経過すると(ステップS607において、YES)、演算処理部201は、弁(V10)238を開けて、濃縮炉(大型)235で濃縮された滅菌剤を濃縮済み滅菌剤プール部237に導入する(ステップS608)。そして、演算処理部201は、図3Aに示すステップS301の処理に戻る。
このように、ステップS601の処理において、低濃度カートリッジ232に少なくとも1回分の滅菌処理を行える量の低濃度の滅菌剤を残して、低濃度カートリッジ232の滅菌剤を全て取り出す。そして、ステップS602およびステップS603の処理において、「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザにより押下された場合には、低濃度カートリッジ232に収納された少なくとも1回分の滅菌処理を行える量の低濃度の滅菌剤を用いて、ステップS305以降の処理を行う。
これによって、濃縮済みの滅菌剤プール部237に濃縮済みの滅菌剤が格納されておらず、早く滅菌処理を開始したい場合には、効率的に滅菌処理を開始することができる。さらに、並行して濃縮炉(大型)235において低濃度の滅菌剤の濃縮が行われるので、ユーザの作業効率が向上する。
滅菌装置100で電源が入っているときは、常に濃縮炉(大型)235に備え付けられたヒータが発熱するので、ステップ313の処理において、濃縮炉(大型)235に入れられた滅菌剤は、所定の濃縮時間(例えば、15分)だけヒータの熱によって、加熱される。これによって、濃縮炉(大型)235の滅菌剤に含まれる水分を蒸発させる。例えば、濃縮炉(大型)235は80度で温められる。
上述のように、ステップS605又はステップS608の処理において、弁(V10)が開弁されて、所定時間濃縮されて所定の濃度に濃縮された滅菌剤が滅菌剤済み滅菌剤プール部237に移動する。
この際、滅菌装置100のメモリには、濃縮炉(大型)235が備えているヒータによる滅菌剤の加熱時間における滅菌剤の濃縮率(実験により得られたデータ)が記憶されており、演算処理部201は、当該濃縮率に基づいて、濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留される濃縮された滅菌剤の量を算出する。そして、演算処理部201は、当該算出された滅菌剤の量を滅菌装置100のメモリに記憶する。
このようにして、滅菌装置100のメモリに記憶された濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留される濃縮された滅菌剤の量に応じて、演算処理部201は、図3Bに示すステップS305の処理において、滅菌済み滅菌剤プール部237に1回の滅菌処理で必要な量の濃縮された滅菌剤(濃度59%)が貯留されているか否かを判定する。
なお、他の手法として、濃縮済み滅菌剤プール部237に流量計を設けて、当該流量計によって濃縮済み滅菌剤プール部237の濃縮された滅菌剤の量を検出する。演算処理部201は、当該検出結果を滅菌装置100のメモリに記憶する。そして、演算処理部201は、当該検出結果(濃縮済み滅菌剤プール部237内の濃縮された滅菌剤の量)に応じて、滅菌済み滅菌剤プール部237に濃縮された滅菌剤が貯留されているか否かを判定するようにしてもよい。
<図8の説明>
図8は、図3Bに示す滅菌処理(ステップS311)についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図8に示すフローチャートに係る処理は演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201は読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して滅菌処理を行うことになる。
滅菌処理を開始する際、演算処理部201は、弁(V1)211、弁(V2)215、弁(V3)212、弁(V4)213、弁(V9)227、および弁(V7)226)を閉じた状態する。
その後、演算処理部201は、気送真空ポンプ220を動作させて、滅菌室219の気体を吸引し、滅菌室219内の気圧が所定の気圧(例えば、45パスカル)になるまで減圧する滅菌前工程処理を行う(ステップS801)。なお、滅菌前工程処理については後述する。
続いて、演算処理部201は、滅菌室219に滅菌剤を入れて、滅菌対象物を滅菌する滅菌工程の処理を行う(ステップS802)。滅菌工程の処理の詳細な処理は後述する。
次に、演算処理部201は、滅菌室219内および気化炉216内に含まれている滅菌剤を取り除くための換気工程処理を行う(ステップS803)。そして、演算処理部201は、図3Aに示すステップS301の処理に戻る。なお、換気工程処理については後述する。
<図9の説明>
図9は、図8に示す滅菌前工程処理(ステップS801)についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図9に示す滅菌前工程は、図2Aに示す演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201が読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して、滅菌前工程を行う。
滅菌前工程が開始されると、演算処理部201は、気送真空ポンプ220を駆動して、滅菌室219の気体を吸引する処理(つまり、滅菌室219の減圧)を開始する(ステップS901)。そして、演算処理部201は、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されているか否かを判定する(ステップS902)。
具体的には、演算処理部201は、滅菌室219内に備えられた圧力センサーによって測定された滅菌室219内の圧力(気圧)が所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されているか否かを判定する。
滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されていないと判定すると(ステップS902において、NO)、演算処理部201は、気送真空ポンプ220を引き続き駆動して、滅菌室219の気体を吸引し、滅菌室219内の圧力(気圧)を減圧する。
一方、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されたと判定すると(ステップS902において、YES)、演算処理部201は、気送真空ポンプ220を引き続き駆動して、滅菌室219の気体を吸引し、図6に示すステップS802の処理を開始する。
<図10Aおよび図10Bの説明>
図10Aおよび図10Bは、図8に示す滅菌工程処理(ステップS802)についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図10Aおよび図10Bに示す滅菌工程は、図2Aに示す演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201が読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して、滅菌工程を行う。
滅菌工程が開始されると、演算処理部201は、弁(V5)217を開いて、滅菌室219と気化炉216とを導管によって導通させる(ステップS1001)。これによって、現在、気送真空ポンプ220によって滅菌室219の気体が吸引されて減圧が行われているので、滅菌室219および気化炉216の減圧が開始される(ステップS1002)。
続いて、演算処理部201は、「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード」ボタン404と「滅菌剤を標準濃度で滅菌するモード」ボタン405のいずれが押下されたかを判定する。つまり、演算処理部201は高濃度モードであるか否かを判定する(ステップS1003)。
「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード」ボタン404が押下されたと判定すると、つまり、高濃度モードであると(ステップS1003において、YES)、演算処理部201は、図7に示す選択画面701を表示部102に表示して、低濃度カートリッジの滅菌剤を使用するか否かを判定する(ステップS1004)。
ステップS1004の処理では、演算処理部201は、選択画面701において「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザにより押下されたか又は「濃縮炉での濃縮の完了を待ち、濃縮済みの滅菌剤プール部の滅菌剤を用いる」ボタン703がユーザにより押下されたかを判定する。
「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザにより押下された場合には(ステップS1004において、YES)、演算処理部201は、低濃度カートリッジ232から吸い取られる(取り出される)液体滅菌剤を濃縮炉208に投入するため、導管切替部240の切換え弁を、液センサ204および導管切替部240が導通している導管と抽出管230−Aおよび導管切替部240が導通している導管とが導通するように切り替える。
そして、演算処理部201は、液送ロータリーポンプ207を駆動して、低濃度カートリッジ232から低濃度の滅菌剤を所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取りって、濃縮炉208に投入する(ステップS1005)。
一方、「濃縮炉での濃縮の完了を待ち、濃縮済みの滅菌剤プール部の滅菌剤を用いる」ボタン703がユーザにより押下された場合には(ステップS1004において、NO)、演算処理部201は、濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留された濃縮済みの液体滅菌剤を濃縮炉208に投入するため、導管切替部240の切換え弁を、液センサ204および導管切替部240が導通している導管と抽出管241−Aおよび導管切替部240が導通している導管とが導通するように切り替える。
そして、演算処理部201は、液送ロータリーポンプ207を駆動して、濃縮済み滅菌剤プール部237から濃縮済みの液体滅菌剤を所定量(例えば、1.5ミリリットル)吸い取って、濃縮炉208に投入する(ステップS1006)。
なお、ステップS1005およびS1006の処理では、濃縮炉208に投入する滅菌剤の量は、例えば、滅菌室219内の空間を滅菌剤で飽和状態にさせることができる量である。
ステップS1005の処理の後、演算処理部201は、低濃度カートリッジの取り付け場所に取り付けられた低濃度カートリッジ232のRF−IDに低濃度カートリッジ232に残っている滅菌剤の残量を書き込む(ステップS1007)。
具体的には、演算処理部201は、ステップS301で読み取ったカートリッジ232内の滅菌剤の残量からステップS1005で低濃度カートリッジ232から吸い取った所定量(例えば、2ミリリットル)を減算した値をRF−IDに記憶する。
つまり、演算処理部201は、ステップS301で読み取ったカートリッジ205内の滅菌剤の残量からステップS1005で低濃度カートリッジ205から滅菌剤を吸い取った量の累計を減算した値をRF−IDに記憶する。
さらに、ステップS1007の処理においては、演算処理部201は、ステップS301でRF−IDから読み取った初回使用日時(カートリッジが滅菌装置で初めて使用された日時)に日時を示す情報が含まれていないと、今回カートリッジが滅菌装置100で初めて使用されたと判定する。
つまり、演算処理部201は、ステップS301でRF−IDから初回使用日時を読み取ることができなかった場合には、今回カートリッジが滅菌装置100で初めて使用されたと判定する。そして、演算処理部201は、カートリッジが滅菌装置100で初めて使用されたと判定すると、現在の日時情報をRF−IDに書き込む。
ステップS1006の処理の後、演算処理部201は、滅菌装置100内のメモリに滅菌剤プール部237に残っている滅菌剤の残量を書き込む(ステップS1008)。具体的には、演算処理部201は、滅菌剤プール部237内の滅菌剤の残量からステップS806で滅菌剤プール部237から吸い取った所定量(例えば、2ミリリットル)を減算した値を滅菌装置100内のメモリに記憶する。
ステップS1007又はS1008の処理に続いて、演算処理部201は、後述するようにして、濃縮炉208に投入された滅菌剤の濃縮する濃縮時間を決定する濃縮時間決定処理を行う(ステップS1009)。
次に、滅菌装置100に電源が入っている際には、常に、濃縮炉208に備え付けられたヒータに通電されるため、ステップS1005又はS1006で濃縮炉208に入れられた滅菌剤は、ヒータの熱によって加熱されて、濃縮炉208内の滅菌剤に含まれる水分が蒸発する(ステップS1010)。つまり、殺菌剤が濃縮されることになる。
滅菌装置100に電源が入っている際に、常に、濃縮炉208に備え付けられたヒータに通電を行うのは、例えば、手術室で、いつでも直ぐに滅菌装置100を使用することができるようにするためである。
このように、常に濃縮炉208のヒータに通電して濃縮炉208を加熱するために要する時間を低減しているので、いつでも直ぐに滅菌装置100を使用することができることになる。
つまり、滅菌剤が過酸化水素水(過酸化水素水溶液ともいう)である場合に、濃縮炉208に備え付けられたヒータを、例えば、80度とする。これによって、主に水分を蒸発(気化)させることができ、滅菌剤を濃縮させることが可能となる。
次に、演算処理部201は、ステップS1005又はS1006において濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間(例えば、6分)が経過したか否かを判定する(ステップS1011)。濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間が経過しないと判定すると(ステップS1011において、NO)、演算処理部201は、ステップS1010の処理に戻って、引き続き濃縮炉208に滅菌剤を入れたままにして滅菌剤を濃縮する。
濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間が経過したと判定すると(ステップS1011において、YES)、演算処理部201は、滅菌室219および気化炉216の気圧が所定の気圧(例えば、500パスカル)まで減圧されたか否かを判定する(ステップS1012)。
滅菌室219および気化炉216の気圧が所定の気圧まで減圧されていない場合には(ステップS1012において、NO)、演算処理部201は、ステップS1010の処理に戻って引き続き滅菌剤の濃縮を行う。
一方、滅菌室219および気化炉216の気圧が所定の気圧まで減圧された場合には(ステップS1012において、YES)、演算処理部201は、弁(V3)212および弁(V4)213を所定の時間開ける(ステップS1013)。ここでは、弁(V3)212および弁(V4)213を所定の時間(例えば、3秒)開けて、弁(V3)212および弁(V4)213を閉じる。これによって、演算処理部201は計量管214内を減圧する(負圧とする)。
ステップS1013において、弁(V3)212および弁(V4)213を所定の時間開けて、弁(V3)212および弁(V4)213を閉じた後に、演算処理部201は、弁(V1)211を所定時間(例えば、3秒)開ける(ステップS1014)。
これによって、濃縮炉208(外部)の気圧よりも計量管214内の気圧の方が低いので、濃縮炉208に入っている滅菌剤が計量管214に吸い込まれて入る。
ここでは、弁(V1)211を所定の時間開けて閉じることによって、濃縮炉208に入っている滅菌剤が計量管214に吸い込まれて入る。そして、滅菌剤のみではなく、濃縮炉208内の空気も一緒に計量管214内に吸い込まれる。
この後、引き続いて、気送真空ポンプ220によって滅菌室219内が減圧される。このため、滅菌室219内の気圧は、計量管214内の気圧よりも低くなる。具体的には、滅菌室219内の気圧は400Pa程度であり、計量管214内の気圧は大気圧(101325Pa)程度である。
計量管214内の気圧が大気圧近くまで上がるのは、滅菌剤のみではなく、濃縮炉208内の空気も一緒に計量管214に吸い込まれてくるためである。
次に、演算処理部201は、弁(V3)212および弁(V4)213を所定時間(例えば、3秒)開けて、計量管214内の空気(液体の滅菌剤は含まない)を滅菌室219に吸い出す(ステップS1015)。
つまり、ここでは、弁(V3)212および弁(V4)213を開けて所定時間が経過すると、演算処理部201は、弁(V3)212および弁(V4)213を閉じる。
続いて、演算処理部201は、滅菌室219内および気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、80Pa)まで減圧されているか否かを判定する(ステップS1016)。滅菌室219内および気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、80Pa)まで減圧されていないと(ステップS1016において、NO)、演算処理部201は、待機する。
一方、滅菌室219内および気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、80Pa)まで減圧されると(ステップS1016において、YES)、演算処理部201は、弁(V5)217を閉める(ステップS1017)。
その後、演算処理部201は、弁(V2)215を開ける(ステップS1018)。これによって、計量管214内の滅菌剤が気化炉216に吸い込まれて、気化炉216内で気化する。ここでは、滅菌剤は、分子クラスターとして気化炉216内で気化する。
滅菌室219は、その容積が気化炉216よりも大きく、気化炉216においては、滅菌剤は分子クラスターとして気化される。これは、気化炉216の容積が滅菌室219より小さいため、滅菌室219内の滅菌剤の分子間の距離が近く分子間力によって、分子クラスターを形成しやすいためである。
このときも、引き続き気送真空ポンプ220によって、滅菌室219内の気体が吸引されて、滅菌室219内が減圧される。そして、計量管214内の滅菌剤が吸い込まれた気化炉216内は気圧が上昇する。つまり、気化炉216内の気圧は、滅菌室219内の気圧よりも高くなる。
次に、演算処理部201は、滅菌室219内の気圧が、所定の気圧(例えば、50Pa)まで減圧され、かつステップS818で弁(V2)215を開けてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1019)。滅菌室219内の気圧が所定の気圧(例えば、50Pa)まで減圧されないか又は弁(V2)215を開けてから所定時間が経過しないと(ステップS1019において、NO)、演算処理部201は待機する。
一方、滅菌室219内の気圧が所定の気圧(例えば、50Pa)まで減圧され、かつ弁(V2)215を開けてから所定時間が経過すると(ステップS1019において、YES)、演算処理部201は、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を停止する(ステップS1020)。そして、演算処理部201は弁(V5)217を開ける(ステップS1021)。
これによって、滅菌室219内で気化した滅菌剤が拡散して、滅菌対象物を滅菌することができる。ここでは、気化炉216内の気圧よりも滅菌室219内の気圧(例えば、50Pa)の方が低いため、滅菌剤が拡散する。
ここで拡散する滅菌剤においては、気化炉内の分子クラスターがさらに細分化される結果、より効果的に滅菌剤を滅菌室内に拡散させることができ、滅菌作用を高めることが可能となる。また、細かい内腔などの滅菌対象物を効果的に滅菌することができるようになる。
続いて、演算処理部201は、ステップS1021において弁(V5)217を開けてから所定時間(例えば、330秒)が経過したか否かを判定する(ステップS1022)。弁(V5)217を開けてから所定時間(例えば、330秒)が経過しないと(ステップS1022において、NO)、演算処理部201は待機する。
一方、弁(V5)217を開けてから所定時間(例えば、330秒)が経過すると(ステップS1022において、YES)、演算処理部201は、弁(V9)227を開ける(ステップS1023)。
これによって、滅菌装置100の外の気圧よりも気化炉216内および滅菌室219内の気圧の方が低いので、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された外気(空気)が、気化炉216内に吸い込まれる。
そして、気化炉216内に送り込まれた空気によって、気化炉216内に気体として充満している滅菌剤および気化炉216の内部の表面に付着した滅菌剤が滅菌室219内に送り込まれて、滅菌室219内にある滅菌対象物に対する滅菌作用が高まる。つまり、例えば、滅菌対象物である細いチューブなどの奥などの滅菌し難い部分についても滅菌作用が高まる。
続いて、演算処理部201は、ステップS1023において弁(V9)227を開けてから所定の時間(15秒)が経過すると、弁(V7)226を開ける(ステップS1024)。これによって、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された外気(空気)が滅菌室219内に吸い込まれる。
ここでは、滅菌装置100の外の気圧よりも滅菌室219内および気化炉216内の気圧の方が低いため、滅菌装置100の外の外気(空気)が滅菌室219内に吸い込まれることになる。これによって、滅菌対象物である細いチューブなどの奥などの滅菌し難い部分(特に、内腔部分)についても滅菌作用が高まる。
次に、演算処理部201は、滅菌室219内および気化炉216内が大気圧まで上昇したか否かを判定する(ステップS1025)。滅菌室219内および気化炉216内が大気圧まで上昇しないと(ステップS1025において、NO)、演算処理部201は待機する。
一方、滅菌室219内および気化炉216内が大気圧まで上昇すると(ステップS1025において、YES)、演算処理部201は、弁(V2)215を閉める(ステップS1026)。
続いて、演算処理部201は、弁(V7)226を閉める(ステップS1027)。そして、演算処理部201は、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を再開する(ステップS1028)。
これによって、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された外気(空気)が吸気用HEPAフィルタ210と気化炉216とが導通している導管を通じて、気化炉216内に吸い込まれる。
気化炉216内に送り込まれた空気によって、気化炉216内に気体として充満している滅菌剤および気化炉216の内部の表面に付着した滅菌剤が、さらに滅菌室219内に送り込まれる。
これによって、滅菌対象物である細いチューブなどの奥などの滅菌し難い部分(特に内腔部分)についても滅菌作用が高まるばかりでなく、気化炉216内の滅菌剤を効果的に減少させることが可能となる。
次に、演算処理部201は、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を再開してから、所定時間(例えば、15秒)の後、弁(V9)227を閉じる(ステップS1029)。
この際も、引き続き、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)が行われて、ステップS1029における閉弁によって、滅菌室219および気化炉216が密閉されて、滅菌室219内および気化炉216内が減圧されることになる(ステップS1030)。
次に、演算処理部201は、所定回数(例えば、4回)、ステップS1002からステップS1030の処理を実行したか否かを判定する(ステップS1031)。所定回数の実行を行ったと判定すると(ステップS1031において、YES)演算処理部201は、図8に示すステップS803の処理に進む。
一方、所定回数の実行を行っていないと判定すると(ステップS1031において、NO)、演算処理部201はステップS1002の処理に戻る。
このように、所定回数ステップS1002からステップS1030の処理を実行することによって、滅菌対象物に対する滅菌作用の効果が高まって、滅菌対象物を十分に滅菌することが可能となる。
「滅菌剤を標準濃度で滅菌するモード」ボタン405が押下されたと判定すると、つまり、標準濃度モードであると(ステップS1003において、NO)、演算処理部201は、図7に示す選択画面701を表示部102に表示して、カートリッジの滅菌剤を使用するか否かを判定する(ステップS1032)。
ステップS1032の処理では、演算処理部201は、選択画面701において「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザにより押下されたか又は「濃縮炉での濃縮の完了を待ち、濃縮済みの滅菌剤プール部の滅菌剤を用いる」ボタン703がユーザにより押下されたかを判定する。
「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザにより押下された場合には(ステップS1032において、YES)、演算処理部201は、ステップS1005の処理に進んで、低濃度カートリッジ232から吸い取られる(取り出される)液体滅菌剤を濃縮炉208に投入するため、導管切替部240の切換え弁を、液センサ204および導管切替部240が導通している導管と抽出管230−Aおよび導管切替部240が導通している導管とが導通するように切り替える。
「濃縮炉での濃縮の完了を待ち、濃縮済みの滅菌剤プール部の滅菌剤を用いる」ボタン703がユーザにより押下された場合には(ステップS1032において、NO)、演算処理部201は、滅菌室219内および気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、1000Pa)にまで減圧されたか否かを判定する(ステップS1033)。
滅菌室219内および気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、1000Pa)にまで減圧されないと判定すると(ステップS1033において、NO)、演算処理部201は、待機する。
滅菌室219内および気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、1000Pa)にまで減圧されたと判定すると(ステップS1033において、YES)、演算処理部201は、濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留された濃縮済みの液体滅菌剤を濃縮炉208に投入するため、導管切替部240の切換え弁を、液センサ204および導管切替部240が導通している導管と抽出管241−Aおよび導管切替部240が導通している導管とが導通するように切り替える。
そして、演算処理部201は、液送ロータリーポンプ207を駆動して、濃縮済み滅菌剤プール部237から濃縮済みの液体滅菌剤を所定量(例えば、1.5ミリリットル)吸い取って、濃縮炉208に投入する(ステップS1034)。
ここで吸い取る滅菌剤の所定量は、例えば、滅菌室219内の空間を滅菌剤で飽和状態にさせることができる量である。
次に、演算処理部201は、滅菌装置100内のメモリに滅菌剤プール部237に残っている滅菌剤の残量を書き込む(ステップS1035)。具体的には、演算処理部201は、滅菌剤プール部237内の滅菌剤の残量から、ステップS1034で滅菌剤プール部237から吸い取った所定量(例えば、2ミリリットル)を減算した値をメモリに記憶する。その後、演算処理部201は、ステップS1013の処理に進む。
上述のステップS1033の処理において、滅菌室219内が所定の気圧(例えば、1000Pa)になったと判定されると、ステップS1034の処理において、滅菌剤を吸い始めて、ステップS1034の処理において滅菌剤を吸い終わる頃には、滅菌室219内が500Paを下回るので、効率的にステップS1013の処理に移行することができる。
このように、滅菌室219内および気化炉216内の気圧が、計量管214内の減圧を開始する所定の気圧(例えば、1000Pa)まで減圧された後、吸い取られた所定量の滅菌剤を濃縮炉208に入れば、直ちにステップS813の処理で計量管214内を減圧することができる。
その後、ステップS1014の処理において、濃縮炉208内の滅菌剤を計量管214に入れるので、濃縮炉208から計量管214に直ぐに滅菌剤を入れることが可能となる。つまり、滅菌剤が濃縮炉208でほぼ濃縮されることなく計量管214に入れることが可能となる。
<図11の説明>
図11は、図8に示す換気工程処理(ステップS803)についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図11に示す換気工程は、図2Aに示す演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201が読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して、換気工程を行う。
換気工程が開始されると、演算処理部201は、弁V(7)226を開ける(ステップS1101)。続いて、演算処理部201は弁V(7)226を開けてから所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS1102)。弁V(7)226を開けてから所定時間が経過しないと(ステップS1102において、NO)、演算処理部201は待機する。
弁V(7)226を開けてから所定時間が経過すると(ステップS1102において、YES)、演算処理部201は、弁V(7)226を閉める(ステップS1103)。そして、演算処理部201は、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を引き続き行う。これによって、滅菌室219内が減圧される。
演算処理部201は、滅菌室219内の減圧を継続する(ステップS1104)。そして、演算処理部201は、滅菌室219内が所定の気圧(50Pa)まで減圧されたか否かを判定する(ステップS1105)。滅菌室219内が所定の気圧(50Pa)まで減圧されないと(ステップS1105において、NO)、演算処理部201は待機する。
一方、滅菌室219内が所定の気圧(50Pa)まで減圧されると(ステップS1105において、YES)、演算処理部201は、弁V(7)226を開ける(ステップS1106)。
これによって、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された外気(空気)が、滅菌室219内に吸い込まれる。ここでは、滅菌装置100の外の気圧よりも滅菌室219内の気圧の方が低いので、外気(空気)が滅菌室219内に吸い込まれることになる。
続いて、演算処理部201は、滅菌室219内の気圧が大気圧まで上昇したか否かを判定する(ステップS1107)。そして、滅菌室219内の気圧が大気圧まで上昇していない場合(ステップS1107において、NO)、演算処理部201は、待機する。
一方、滅菌室219内の気圧が大気圧まで上昇すると(ステップS1107において、YES)、演算処理部201は、ステップS1103からステップS1107の処理を所定回数(例えば、4回)行ったかを判定する(ステップS1108)。
ステップS1103からステップS1107までの処理が所定回数(例えば、4回)行われていないと(ステップS1108において、NO)、演算処理部201はステップS1103の処理に戻る。
ステップS1103からステップS1107までの処理が所定回数(例えば、4回)行われると(ステップS1108において、YES)、演算処理部201は、弁V(7)226を閉めて(ステップS1109)、換気工程を終了する。
これによって、滅菌室219内の表面に付着している滅菌剤および滅菌室219内に気体として残っている滅菌剤が気送真空ポンプ220により吸引される。ここで、吸引された気体(滅菌剤を含む)は、排気用HEPAフィルタ221を通って、滅菌剤分解装置222に送られる。そして、滅菌剤分解装置222において滅菌剤が分解されて、分解後の分子が外部に放出される。
ところで、図6に示すステップS603の処理において、「濃縮炉での濃縮の完了を待つことなくカートリッジの滅菌剤を用いる」ボタン702がユーザによって選択されると、「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード」ボタン304および「滅菌剤を標準濃度で滅菌するモード」ボタン305のいずれが選択された場合であっても、演算処理部210は、低濃度カートリッジ232の滅菌剤(20%)を濃縮炉208に入れて、プール部237の滅菌剤(59%)を使用する場合よりも長い時間濃縮して、当該濃縮された滅菌剤を用いて滅菌処理を行う。
<図12の説明>
図12は、図10Aに示す濃縮時間決定処理(ステップS1009)についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図12に示す濃縮時間決定処理は、図2Aに示す演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201が読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して、濃縮時間決定処理を行う。
ここで、「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード」においては、滅菌の効果を発揮する成分(例えば、過酸化水素)の濃度が90%の高濃度の滅菌剤(例えば、過酸化水素水溶液)を用いる。
このため、濃度が90%の高濃度の滅菌剤(例えば、過酸化水素水溶液)を生成するために、どの程度の時間、濃縮炉208で濃縮するかを決定する処理が濃縮時間決定処理である。
濃縮時間決定処理が開始されると、演算処理部201は、ステップS1005において低濃度カートリッジ232から低濃度の滅菌剤を所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取って濃縮炉208に投入したか又はステップS1006において濃縮済み滅菌剤プール部237から濃縮済みの液体の滅菌剤を所定量(例えば、1.5ミリリットル)吸い取って濃縮炉208に投入したかを判定する(ステップS1201)。
濃縮済み滅菌剤プール部237から濃縮済みの液体の滅菌剤を所定量(例えば、1.5ミリリットル)吸い取って濃縮炉208に投入した場合(ステップS1201において、YES)、演算処理部201は、濃縮済み滅菌剤プール部237に貯留された滅菌剤の濃度は約59%であるので、その滅菌剤の濃度を90%まで濃縮するための時間を7分(所定時間:第3の濃縮時間)と決定する(ステップS1202)。そして、演算処理部201は、図10Aに示すステップS1010の処理に進む。
一方、低濃度カートリッジ232から低濃度の滅菌剤を所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取って濃縮炉208に投入した場合(ステップS1201において、NO)、演算処理部201は、図3Bに示すステップS310において「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード」ボタン304および「滅菌剤を標準濃度で滅菌するモード」ボタン305のいずれが押下げられたかを判定する(ステップS1203)。
つまり、ここでは、演算処理部201は、図10Aに示すS1032において”YES”と判定されて、ステップS1005の処理を実行したか又はステップS1004において”YES”と判定されて、ステップS1005の処理を実行したかを判定することになる。
ステップS310において「滅菌剤を高濃度で滅菌するモード」ボタン304が押下されたと判定すると(ステップS1602において、YES)、つまり、ステップS1004において”YES”と判定してステップS1005の処理を実行した場合、演算処理部201は、低濃度カートリッジ232内の滅菌剤の濃度は約20%であるので、その滅菌剤の濃度を90%まで濃縮するための時間を15分(所定時間:第2の濃縮時間)と決定する(ステップS1204)。そして、演算処理部201は、図10Aに示すステップS1010の処理に進む。
一方、ステップS310において「滅菌剤を標準濃度で滅菌するモード」ボタン305が押下されたと判定すると(ステップS1203において、NO)、つまり、ステップS1032において”YES”と判定されて、ステップS1005の処理を実行した場合、演算処理部201は、カートリッジ232内の滅菌剤の濃度は約20%であるため、その滅菌剤の濃度を59%まで濃縮するための時間を10分(所定時間:第1の濃縮時間)と決定する(ステップS1205)。そして、演算処理部201は、図10Aに示すステップS1010の処理に進む。
このようにして、低濃度カートリッジ232から取り出された滅菌剤(濃度が20%の滅菌剤)の濃度を90%に濃縮する時間(所定時間)は、濃縮済み滅菌剤ブール部237から取り出された滅菌剤(濃度が59%の滅菌剤)の濃度を90%に濃縮する時間(所定時間)よりも長くなるように決定される。
<図13の説明>
図13は、図3Bに示す滅菌剤排出処理(ステップS320又はS322)についてその一例を説明するためのフローチャートである。
なお、図13に示す滅菌剤排出処理は、図2Aに示す演算処理部201の制御下で行われる。つまり、演算処理部201が読み取り実行可能なプログラムを実行することによって、滅菌装置100の動作を制御して、滅菌剤排出処理を行う。
まず、ここでは、図3Bに示すステップS322で行われるカートリッジ内の滅菌剤排出処理について説明する。
滅菌剤排出処理が開始されると、演算処理部201は、液センサ204および導管切替部240が導通している導管と導管切替部240および抽出管230−Aが導通している導管とが導通するように、導管切替部240の切替弁を切り替える。
そして、演算処理部201は、抽出針動作制御部230を動作させて、低濃度カートリッジの底又は底近傍に抽出針230−Aの先がくるように、抽出針230−Aを移動する(ステップS1301)。
つまり、演算処理部201は、抽出針230−Aを用いて低濃度カートリッジ内の滅菌剤を抽出するため、低濃度カートリッジ内の底又は底近傍に抽出針230−Aを移動するように、抽出針動作制御部230を制御することになる。
次に、演算処理部201は、液送ロータリーポンプ223によって、低濃度カートリッジ232内の全ての液体滅菌剤を吸引して、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気蒸発炉224内に送る(ステップS1302)。
そして、演算処理部201100は、排気蒸発炉224によって、全ての液体の滅菌剤(排気蒸発炉224内に溜められた滅菌剤)を、排気蒸発炉224に備え付けられたヒータによって加熱し、滅菌剤の全てを気化させる。
気化した滅菌剤は、滅菌剤分解装置228と排気蒸発炉224との間の導管を通して、滅菌剤分解装置228に送られる。
演算処理部201は、滅菌剤分解装置228によって気化した滅菌剤を分解し、分解熱によって生成される水および酸素のガスが加熱する。そして、当該分解されて生成された水と酸素のガスは、導管を通って排気用HEPAフィルタ221に導入される(ステップS1303)。
排気用HEPAフィルタ221によって、気化した滅菌剤が清浄されて、清浄された気体(滅菌剤を含む)は導管を通って滅菌剤分解装置222に送られる。
ここで、排気蒸発炉224に備え付けられたヒータは、例えば、滅菌剤(過酸化水素)の沸点(過酸化水素の沸点は141度)よりも高い温度に加熱される。このため、排気蒸発炉224によって滅菌剤は全て気化されることとなる。
滅菌剤分解装置222は、演算処理部201の制御下で気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成された分子を滅菌装置100の外に放出する(ステップS1304)。
次に、演算処理部201は、低濃度カートリッジ232内の全ての液体滅菌剤を排気蒸発炉224に送ると、抽出針動作制御部230を動作させて、低濃度カートリッジに挿入されている抽出針230−Aを、低濃度カートリッジから抜き出すように、移動させる(ステップS1305)。その後、演算処理部201は、図3Bに示すステップS323の処理に進む。
つまり、演算処理部201は、低濃度カートリッジに入っている滅菌剤を廃棄するため、抽出針230−Aを用いて低濃度カートリッジの全ての滅菌剤を抽出したことを条件として、低濃度カートリッジ内から抽出針230−Aを抜き出すように、抽出針動作制御部230を制御することになる。
次に、図3Bに示すステップS320で行われる濃縮済み滅菌剤プール部237内の滅菌剤排出処理について説明する。
演算処理部201は、液センサ204および導管切替部240が導通している導管と導管切替部240および抽出管241−Aが導通している導管とが導通するように、導管切替部240の切替弁を切り替える。
そして、演算処理部201は、抽出針動作制御部241を動作させ、濃縮済み滅菌剤プール部237の底又は底近傍に抽出針241−Aの先がくるように、抽出針241−Aを移動する(ステップS1301)。
つまり、演算処理部201は、抽出針241−Aを用いて濃縮済み滅菌剤プール部237内の滅菌剤を抽出するため、濃縮済み滅菌剤プール部237内の底又は底近傍に抽出針241−Aを移動するように、抽出針動作制御部241を制御することになる。
次に、演算処理部100は、液送ロータリーポンプ223によって濃縮済み滅菌剤プール部237内の全ての液体滅菌剤を吸引して、全ての滅菌剤を導管を通して、排気蒸発炉224に送る(ステップS1302)。
続いて、演算処理部201は、排気蒸発炉224によって、全ての液体滅菌剤(排気蒸発炉224内に溜められた滅菌剤)を、排気蒸発炉224に備え付けられたヒータにより加熱して、滅菌剤の全てを気化させる。そして、気化された滅菌剤は、滅菌剤分解装置228から導管を通して滅菌剤分解装置228に送られる。
滅菌剤分解装置228は、演算処理部201の制御下で、当該気化した滅菌剤を分解して、分解熱によって生成された水および酸素のガスを加熱する。そして、当該分解されて生成された水および酸素のガスは、滅菌剤分解装置228から導管を通って排気用HEPAフィルタ221に導入される(ステップS1303)。
そして、排気用HEPAフィルタ221は、気化した滅菌剤を清浄して、清浄された気体(滅菌剤を含む)は、排気用HEPAフィルタ221から導管を通って滅菌剤分解装置222に送られる。
ここで、排気蒸発炉224に備え付けられたヒータは、例えば、滅菌剤(過酸化水素)の沸点(過酸化水素の沸点は141度)よりも高い温度に加熱される。このため、排気蒸発炉224によって滅菌剤は全て気化されることとなる。
滅菌剤分解装置222は、演算処理部201の制御下で、気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成される分子を滅菌装置100の外に放出する(ステップS1304)。
次に、演算処理部201は、濃縮済み滅菌剤プール部237内の全ての液体滅菌剤を排気蒸発炉224に送ると、抽出針動作制御部241を動作させて、濃縮済み滅菌剤プール部237に挿入されている抽出針241−Aを、濃縮済み滅菌剤プール部237から抜き出すように、移動させる(ステップS1305)。その後、演算処理部201は、図3Bに示すステップS321の処理に進む。
つまり、演算処理部201は、濃縮済み滅菌剤プール部237に入っている滅菌剤を廃棄するため、抽出針241−Aを用いて濃縮済み滅菌剤プール部237の全ての滅菌剤を抽出したことを条件として、濃縮済み滅菌剤プール部237内から抽出針241−Aを抜き出すように抽出針動作制御部241を制御することになる。
前述のように、カートリッジに収納された滅菌剤を濃縮して濃縮済み滅菌剤プール部(貯留室)237に貯留する際、当該貯留はカートリッジ毎に行われる。そして、濃縮済み滅菌剤プール部(貯留室)237に、滅菌処理で用いられる所定量の滅菌剤が貯留されていない場合には、濃縮済み滅菌剤プール部(貯留室)237に残留する滅菌剤が廃棄される。
その後、次のカートリッジが滅菌装置100にセットされると、当該カートリッジの滅菌剤が濃縮されて濃縮済み滅菌剤プール部(貯留室)237に貯留される。
このように、1つのカートリッジの滅菌剤が濃縮されて濃縮済み滅菌剤プール部(貯留室)237に貯留されるので、濃縮済み滅菌剤プール部(貯留室)237に複数のカートリッジの滅菌剤が入ることが防止されて、例えば、製造日の古い滅菌剤と製造日の新しい滅菌剤とが混合されることを回避することができる。この結果、濃縮された滅菌剤の管理が容易となるばかりでなく、期待する滅菌効果を得られることができる。
ここで、図2Bに示す濃縮済み滅菌剤プール部237の構造について説明する。
<図14の説明>
図14は、図2Bに示す濃縮済み滅菌剤プール部237の一例についてその構造を示す断面図である。
図14において、濃縮済み滅菌剤プール部237は、濃縮炉(大型)235で、所定の濃度に濃縮された滅菌剤を一時的に貯留(プール)する容器であって、この容器の材質は、例えば、SUS304(ステンレス鋼材)で構成されている。また、濃縮済み滅菌剤プール部237には、前述のように、その底部付近にヒータが備えられている。
続いて、図2Aおよび図2Bに示す滅菌装置100において、濃縮炉、弁、計量管、および気化炉について詳細に説明する。
<図15の説明>
図15は、図2Aおよび図2Bに示す滅菌装置100において、濃縮炉、弁、計量管、および気化炉を詳細に示すブロック図である。
なお、図15において、図2Aおよび図2Bに示す構成要素と同一の構成要素について同一参照番号を付す。
前述のステップS1005、S1006、又はS1034の処理において、演算処理部201は、液送ロータリーポンプ207を駆動して、低濃度カートリッジ又はプール部内の滅菌剤を所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取って、当該吸い取った所定量の滅菌剤を濃縮炉208に入れる。
図15に示すように、濃縮炉208の下部にヒータが設けられており、このヒータの熱によって滅菌剤が加熱される。滅菌剤が過酸化水素水溶液の場合、このヒータの熱によって水が気化される。そして、気化した水は、気送加圧ポンプ209から導管を通して送り込まれる空気によって、排気用HEPAフィルタ221に導通している導管に押し出され、濃縮炉208内から排気される。これによって、滅菌剤(過酸化水素水溶液)が濃縮される。
図10Aで説明したように、ステップS1010において、濃縮炉208内の滅菌剤は計量管214内に入る。
図15に示すように、計量管214は、直管部1501と枝管部1502とを有している。直管部1501は、直線の管状の部分であり、重力方向に延在している。一方、枝管部1502は、直管部1501の中間部又は上部から枝状に延びた管状の部分である。直管部1501は、直管部の軸心と枝管部1502の軸心とが垂直になるように据え付けられる。
このような構成によって、濃縮炉208から入ってきた滅菌剤は、計量管214内の直管部1501に溜まることになる。ここでは、直管部1501において滅菌剤が溜まる部分を滅菌剤溜まり部1503という。そして、滅菌剤溜まり部1503は、濃縮炉208から入ってくる滅菌剤が入るために十分な空間を有している。
これによって、濃縮炉208から入ってきた滅菌剤は、滅菌剤溜まり部1503に溜まり、滅菌剤とともに濃縮炉208から入ってきた空気は、滅菌剤溜まり部1503に溜まっている滅菌剤の空間以外の空間に充満することとなる。つまり、滅菌剤の空間以外の空間は、枝管部1502内の空間と通じた空間であるため、図10Aに示すステップS1015において、弁(V3)212および弁(V4)213を開けると、滅菌室219内にその空気が吸い取られることになる。
そして、図10Bに示すステップS1018で弁(V2)を開けると、滅菌剤溜まり部1503に溜まっていた滅菌剤が、気化炉216に吸い込まれて、気化する。図15に示すように、気化炉216の上部から液体滅菌剤が気化炉216に入るので、滅菌剤は気化しやすい。
また、図15に示すように、吸気用HEPAフィルタ210と気化炉216との間の導管は、気化炉216の上部に備え付けられている。このため、図10Bに示すステップS1023において、弁(V9)を開けると、空気(外気)が気化炉216の上部から気化炉216の下部にある滅菌室219に抜ける。
これによって、気化炉216の内部に付着している滅菌剤および気化炉216内の気化した滅菌剤を広範囲に取り除きやすくなって、その取り除いた滅菌剤を滅菌室219に流すことが可能となる。
以上の説明から明らかなように、本発明の実施の形態では、医療器具などの滅菌対象物を滅菌処理する際、濃縮する必要のある滅菌剤を用いる場合であっても、滅菌効果を高めて、かつ滅菌処理を開始するまでの時間を短くすることができる。
なお、図2Aおよび図2Bに示す例においては、濃縮炉(大型)235が第1の濃縮室であり、少なくとも演算処理部201および液送ロータリーポンプ234が第1の投入手段として機能する。
また、濃縮済み滅菌剤プール部237が貯留室であり、少なくとも滅菌室219および演算処理部201が滅菌手段として機能する。
さらに、濃縮炉208が第2の濃縮室であり、少なくとも演算処理部201および液送ロータリーポンプ207が第2の投入手段として機能する。そして、演算処理部210および表示部102が滅菌モード選択手段および濃縮モード選択手段として機能する。
加えて、演算処理部201は制御手段、判定手段、および濃縮判定手段として機能し、演算処理部201が行う滅菌剤排出処理は廃棄手段として機能することになる。
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態の機能を滅菌方法として、この滅菌方法を滅菌装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを滅菌装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。つまり、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種の記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPUなど)がプログラムを読み出して実行する処理である。