以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態における滅菌装置100の外観を模式的に示した図である。
滅菌装置100には、滅菌剤着脱扉101と液晶ディスプレイ等のタッチパネル式の表示部102(操作部)と、印刷部103と、滅菌室扉104とが設けられている。
滅菌装置100は、本発明の滅菌装置の適用例であり、滅菌室219に滅菌剤を投入して当該滅菌室内の被滅菌物を滅菌可能な装置である。
図1(a)は、滅菌室扉104と滅菌剤着脱扉101が閉まっている状態を図示したものであり、図1(b)は、滅菌室扉104と滅菌剤着脱扉101が開いている状態を図示したものである。
滅菌剤着脱扉101は、液体の滅菌剤が充填されたカートリッジ205をカートリッジ収容室228に着脱可能するために用いられる開閉可能な扉である。
カートリッジ205に充填可能な液体の滅菌剤としては、過酸化水素溶液を用いることができるが、過酸化水素水溶液に限らず、ホルムアルデヒド、過酢酸等の酸化物など、被滅菌物を滅菌可能な液体であれば本実施形態に適用可能である。本実施形態では、説明を簡略化するために、過酸化水素水溶液を、液体の滅菌剤の一例として説明する。
カートリッジ205は、滅菌剤である薬液が収容され、薬液を用いて被滅菌物の滅菌処理を行う滅菌装置により薬液を抽出する抽出管が挿入されるカートリッジである。
タッチパネル式の表示部102は、ユーザによる滅菌開始や滅菌中止の指示を受け付けるための操作部として用いることができ、滅菌処理中に滅菌状態を確認することができる表示画面である。
なお、表示部102は、液晶ディスプレイに限られず、CRTディスプレイなど他の表示手段であってもよい。
印刷部103は、滅菌処理の履歴や滅菌処理の結果を印刷用紙に印刷するためのプリンタである。
滅菌室扉104は、例えば医療用器具などの被滅菌対象物(被滅菌物)を滅菌室219に出し入れするために用いられる開閉可能な扉である。この滅菌室扉104は、滅菌室219の開口部を閉めるための扉である。
滅菌装置100は、表示部102などの操作部を介してユーザが滅菌室扉104を開ける指示を受け付けると、滅菌室扉104がモータ等の駆動部を駆動させて、滅菌室扉104を開ける。
滅菌装置100は、表示部102などの操作部を介してユーザが滅菌室扉104を閉める指示を受け付けると、滅菌室扉104がモータ等の駆動部を駆動させて、滅菌室扉104を閉める。
滅菌室扉104を開くと、滅菌室219に被滅菌物を入れることができる。すなわち、滅菌室219は、被滅菌物が収容される部屋である。
そして、滅菌装置100が、滅菌室扉104を閉じて滅菌室219を閉鎖空間にすることができる。
滅菌室219は、所定の容量の筐体であり、滅菌室219を閉じた状態で真空ポンプ220を動作させ減圧することにより真空状態とすることができる。また、滅菌室内の温度は滅菌処理中に所定温度域に保持できるようにヒータ等の各加温部が設けられている。各加温部は、電流を用いて加熱する部である。
図2は、本実施形態に係る滅菌装置100のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
制御処理部(MPU1001等)(以下、単に制御部ともいう)は、システムバス1004に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御するする。
また、ROM1002あるいは外部メモリ1011には、MPU1001の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、滅菌装置100の実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
RAM1003は、MPU1001の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
MPU1001は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM1002あるいは外部メモリ1011からRAM1003にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
入力コントローラ1005は、タッチパネル等の表示部102を操作部として入力処理を受け付けることができ、これ以外にもマウス等のポインティングデバイスやキーボード等からの入力を受け付けることもできる。
ビデオコントローラ1006は、表示部102への表示を制御することができる。
メモリコントローラ1007は、ブートプログラム、各種アプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種滅菌条件のデータ等を記憶するハードディスク(HD)やフレキシブルディスク(FD)、あるいはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ1011にアクセス制御することができる。
出力コントローラ1009は、印刷部103での印刷を制御することができる。
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)1008は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。
さらに、制御部1000は、入出力(I/O1010)を介して滅菌装置の各構成(各部品、装置)を制御可能であり、例えば、弁226や真空ポンプなどのポンプ207,220の制御やカートリッジから供給される液体の滅菌剤を検出する液センサ204、抽出管の移動動作を行うモータ等の駆動源である抽出管動作部201の制御を行うことができる。
滅菌装置100を制御する各種プログラムは、外部メモリ1011に記録されており、必要に応じてRAM1003にロードされることによりMPU1001によって実行されるものである。さらに、上記プログラムの実行時に用いられるデータファイル及びデータテーブル等も、外部メモリ1011または記憶部に格納されている。
次に、図3を用いて、滅菌装置100の内部構造の一例について説明する。
図3は、滅菌装置100の内部構造の一例を示す図である。
滅菌剤着脱扉101が開けられて、カートリッジ収容室228に、カートリッジ205が収容され、ユーザによる滅菌開始指示を、操作部を介して受け付けると、抽出管動作部201が、カートリッジ205内の液体の滅菌剤200(後述の液体の滅菌剤200と同一)を抽出するための抽出管241(抽出針とも言う。)をカートリッジに刺し込む動作を行う。
抽出管241は、抽出管動作部201の動作により重力方向に関して上下に移動可能に設けられており、抽出管241が上方から下方に移動することで、抽出管241がカートリッジに刺し込まれ、抽出管241の先端がカートリッジの底、又は底近傍の、液体の滅菌剤200を抽出可能な位置に配置する。
また、抽出管動作部201が、抽出管241を上方に移動させて抽出管241をカートリッジ205から抜き出すことにより、ユーザによるカートリッジ205の取り外しが可能となる。
ロータリーポンプ等の液送ポンプ207による吸い出し動作により、カートリッジ205内の液体の滅菌剤は、抽出管241を介して吸い出され、滅菌室219に供給される。
液センサ204は、カートリッジ205から抽出された液体の滅菌剤が、カートリッジ205と滅菌室219とを接続する管(チューブなどの導管)を流れているかを検出することができるセンサであり、具体的には管に赤外線を照射して得られるスペクトルから液体の滅菌剤が管内を通解しているか検出することができる。
これにより、カートリッジ205から滅菌室219に液体の滅菌剤が供給されているかを検出することができる。
吸気用HEPAフィルタ210は、それぞれ滅菌室219(滅菌チャンバー)と導管により連通しており、滅菌装置100外の外気(空気)と取り込む際に空気を清浄するために用いられる。
吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)中のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして空気を清浄し、このように浄化された空気が滅菌室219へと送り込まれる。
滅菌装置100は、真空ポンプ220により滅菌室219内が減圧された状態で、液体滅菌剤を滅菌室に投入する。真空ポンプ220は、減圧手段の適用例であり、滅菌室内を減圧する装置である。
開閉弁(V1)226は、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による連通を可能にし、弁を閉めることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による連通を遮断することができる。すなわち、開閉弁(V1)226は、滅菌室219と外気(大気)との連通を開閉できる。
滅菌室(真空チャンバーとも言う)219は、例えば医療用器具などの被滅菌物を滅菌する所定の容量の筐体である。
滅菌室219内には、図示しない圧力センサが備えられており、圧力センサにより滅菌室219内部の圧力(気圧)を測定することができ、滅菌装置100は、この圧力センサにより測定された滅菌室219内の気圧を用いて、滅菌室219内等の圧力(気圧)が所定の気圧になっているかを判定することができる。
真空ポンプ220は、滅菌室219の内部と、導管を介して連通し、吸引して空間内を減圧することで、滅菌室219の内部を真空状態にすることができる。
真空ポンプ220は、滅菌室219と導管により連通されており、排気用HEPAフィルタ221との間で導管により連通されている。
排気用HEPAフィルタ221は、真空ポンプ220、及び滅菌剤(ガス)の分解装置222との間で導管により連通されている。
排気用HEPAフィルタ221は、真空ポンプ220により、滅菌室219内等から吸引された気体を、真空ポンプ220との間の導管から送られてきた気体内のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして、吸引された気体を清浄するフィルタである。
分解装置222は、滅菌剤の滅菌成分を分解する装置であって、例えば、滅菌成分が過酸化水素である場合、気化された過酸化水素の分子を、二酸化マンガンを触媒として用いて、水と酸素に分解することができる装置である。
つまり、真空ポンプ220により滅菌室219内のガスが吸引され、排気用HEPAフィルタ221に当該ガスが送り出され、排気用HEPAフィルタ221によって当該ガスが清浄され、当該清浄されたガス(気体)は分解装置222に送られ、分解装置222により該ガスに含まれる滅菌成分の分子は分解され、分解後の分子が滅菌装置100の外に放出される。
本実施形態の滅菌装置は、液送ポンプ207がカートリッジ205から液体の滅菌剤を滅菌室219に投入するものとして説明するが、液送ポンプ207と滅菌室219との間に気化室を設け、液送ポンプ207が当該気化室に液体の滅菌剤を投入して、当該気化室が当該液体の滅菌剤を気化して、気化した滅菌剤ガスを滅菌室219に投入する滅菌装置であってもよい。
次に、図4を用いて、滅菌装置100が実行する滅菌のプロセスについて説明する。
図4は、滅菌装置100が実行する滅菌のプロセスの処理を示すフローチャートである。
図4に示す各処理・工程は、滅菌装置100の制御部(MPU1001等)が実行することにより、実現される。
まず、滅菌装置100は、被滅菌物選択画面801を表示部に表示して、これから滅菌する被滅菌物の種類とその個数の入力をユーザから受け付け、当該入力結果に基づいて、推奨する滅菌モードを特定して表示する(S401)。S401の詳細処理については、図9を用いて説明する。
そして、滅菌装置100は、ユーザにより、滅菌開始指示を受け付けたか否かを判定する(S402)。滅菌装置100は、ユーザにより、滅菌開始指示を受け付けたと判定された場合には(YES)、S401で表示された滅菌モードで滅菌することを決定し、当該決定された滅菌モードに対して、滅菌モード設定テーブル812に設定されている滅菌回数、滅菌剤量、暴露時間を設定し、処理をS403に移行して、当該滅菌モードで以降の処理(S403〜S405)を実行する。
また、滅菌装置100は、当該滅菌開始指示を受け付けていないと判定された場合には(S402:NO)、処理をS401に移行する。
滅菌装置100は、ユーザによる滅菌開始指示(滅菌開始ボタン809の押下)を、操作部を介して受け付けると、抽出管動作部201を動作させて、カートリッジ205に対して、抽出管241を挿入する。
そして、滅菌装置100は、真空ポンプ220による真空引きを開始して滅菌室219を減圧させる(滅菌前工程)(S403)。S403の詳細処理を図5に示す。
そして、滅菌装置100は、滅菌室内が所定の気圧まで減圧されると、真空ポンプ220による真空引きを停止して、液送ポンプ207を動作させ、カートリッジ205内の液体の滅菌剤を、所定量だけ吸い取り、当該吸い取られた液体の滅菌剤を、滅菌室219に投入する。これにより、滅菌室219内で当該液体の滅菌剤が気化して拡散する(滅菌処理)。そして、所定時間だけ滅菌剤ガスを被滅菌物に暴露させ、その後、滅菌室内の減圧を行う。そして、滅菌装置100は、この滅菌工程を、所定回数分、繰り返し行う(滅菌工程)(S404)。S404の詳細処理を図6に示す。
そして、滅菌装置100は、S404の滅菌工程の処理を実行すると、真空ポンプ220による真空引きを再開して、弁(V1)226を開けて、滅菌室内のガスを滅菌室219内のガスを滅菌室外に排気して、滅菌室内を換気する(換気工程)(S405)。S405の詳細処理を図7に示す。
次に、滅菌装置100は、S405の換気工程の処理を実行すると、処理をS401に移行する。
次に、図5を用いて、図4のS403に示す滅菌前工程の詳細処理の一例について説明する。
図5は、図4のS403に示す滅菌前工程の詳細処理の一例を示す図である。
図5に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の制御部により滅菌装置内の各装置の動作を制御することにより行われる。
すなわち、滅菌装置100の制御部が読み取り実行可能なプログラムを実行することにより、各装置の動作を制御して、図に示す各工程(処理)を実行する。
まず、滅菌装置100は、真空ポンプ220を動作し、滅菌室219の気体を吸引する処理を開始する(S501)。
そして、滅菌装置100は、S502において、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されているかを判定する。
具体的には、滅菌室219内に備えられた圧力センサにより測定されている滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されているかを判定する。
S502において、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されていないと判定された場合は(NO)、真空ポンプ220を引き続き動作させ、滅菌室219の気体を吸引し、滅菌室219内の圧力(気圧)を減圧する。
一方、S502において、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されていると判定された場合は(YES)、真空ポンプ220を引き続き動作させ、滅菌室219の気体を吸引し、S404の処理を開始する。
<S404に示す滅菌工程の詳細処理の説明>
次に、図6を用いて、図4のS404に示す滅菌工程の詳細処理の一例について説明する。
図6は、図4のS404に示す滅菌工程の詳細処理の一例を示す図である。
図6に示す各工程(処理)は、滅菌装置100のMPU1001により滅菌装置内の各装置の動作を制御することにより行われる。
すなわち、滅菌装置100のMPU1001が読み取り実行可能なプログラムを実行することにより、各装置の動作を制御して、図に示す各工程(処理)を実行する。
まず、滅菌装置100は、真空ポンプ220を引き続き動作させ、滅菌室219の気体を吸引し、滅菌室219内の圧力(気圧)を減圧する。滅菌装置100は、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、30パスカル)まで減圧されていると判定された場合は(YES)、真空ポンプ220による滅菌室219内の気体の吸引動作(真空引きの動作)を停止する(S602)。
そして、滅菌装置100は、設定された滅菌剤量分の液体の滅菌剤を、カートリッジ205から吸い出して滅菌室219に入れる。これは、液送ポンプ207が吸い出す動作を行うことにより行われる(S603)。
これにより、減圧された滅菌室219に液体の滅菌剤が入ることで、当該液体の滅菌剤が気化して滅菌剤ガスとなり、当該滅菌剤ガスが滅菌室219内に拡散し、滅菌室内の被滅菌物を滅菌することができる。
次に、滅菌装置100は、S603で滅菌剤を滅菌室に入れてから、設定された時間(暴露時間)が経過したか否かを判定する(S604)。設定された時間(暴露時間)が経過したと判定された場合には(S604:YES)、処理をS605に移行し、一方、設定された時間(暴露時間)が経過していないと判定された場合には(S604:NO)、引き続き滅菌剤ガスを被滅菌物に暴露させる。
次に、滅菌装置100は、開閉弁(V1)226を開け(S605)、滅菌室内の気圧が大気圧、又は大気圧付近まで上昇したら(S606:YES)、真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を再開する(S607)。
そして、滅菌装置100は、S607で真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を再開してから、所定時間(例えば、15秒)後に、開閉弁(V1)227を閉める(S608)。
このときも引き続き、滅菌装置100は、真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を行い、滅菌室219内を減圧する(S609)。
次に、滅菌装置100は、設定された滅菌回数分、S601〜S609の滅菌処理を実行したか否かを判定する(S610)。
滅菌装置100は、設定された滅菌回数分、S601〜S609の滅菌処理を実行していないと判定された場合には(S610:NO)、処理をS601に戻して、S601〜S609の処理を実行する。また、設定された滅菌回数分、S601〜S609の滅菌処理を実行したと判定された場合には(S610:YES)、処理をS405(S701)に移行して、換気工程の処理を実行する。
<図4のS405に示す換気工程の詳細処理の説明>
図7を用いて、図4のS405に示す換気工程の詳細処理の一例について説明する。
図7は、S405に示す換気工程の詳細処理の一例を示す図である。
図7に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の制御部により滅菌装置内の各装置の動作を制御することにより行われる。
すなわち、滅菌装置100の制御部が読み取り実行可能なプログラムを実行することにより、各装置の動作を制御して、図に示す各工程(処理)を実行する。
滅菌装置100は、開閉弁(V1)226を開ける(S701)。
滅菌装置100は、真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を引き続き行う(S702)。
S701で開閉弁(V1)226を開けてから、S702で真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を行い、所定時間が経過すると(S703:YES)、開閉弁(V1)226を閉めて(S704)、真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を引き続き行う(S705)。これにより滅菌室219内が減圧される。
次に、滅菌装置100は、滅菌室219内の圧力が所定気圧(50Pa)まで減圧されると(S706:YES)、開閉弁(V1)226を開ける(S707)。これにより、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された滅菌装置100の外の外気(大気)が滅菌室219内に吸い込まれる。これは、滅菌装置100の外の気圧よりも滅菌室219内の圧力の方が低いため、滅菌装置100の外の外気(大気)が滅菌室219内に吸い込まれる。
滅菌装置100は、滅菌室219内の圧力が大気圧まで上昇したかを判定し、滅菌室219内の圧力が大気圧まで上昇したと判定された場合(S708:YES)、S704からS708の処理を所定回数(例えば、4回)行ったかを判定し(S709)、S704からS708の処理を所定回数(例えば、4回)行った場合は(YES)、開閉弁(V1)226を閉めて(S110)、換気工程の処理を終了する。一方、S704からS708の処理を所定回数(例えば、4回)行っていない場合は(S709:NO)、再度、S704の処理から行う。
これにより、滅菌室219内の表面に付着している滅菌剤及び滅菌室219内に気体として残っている滅菌剤を真空ポンプ220により吸引される。ここで吸引された気体(滅菌剤を含む)は、排気用HEPAフィルタ221を通り、分解装置222で滅菌剤は分解され、分解後の分子が外部に放出される。
滅菌装置100は、S710の処理を実行すると、処理をS401に移行する。
次に、図9を用いて、S401の詳細処理について説明する。
図9は、S401の詳細処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の制御部により滅菌装置内の各装置の動作を制御することにより行われる。
すなわち、滅菌装置100の制御部が読み取り実行可能なプログラムを実行することにより、各装置の動作を制御して、図に示す各工程(処理)を実行する。
まず、滅菌装置100は、図8に示す被滅菌物選択画面801を表示部に表示する(S901)。
図8の801は、被滅菌物選択画面の一例を示す図である。
被滅菌物選択画面801には、被滅菌物の種類ごとの画像(802、804、806)と、当該種類ごとの被滅菌物の個数の入力欄(表示欄)(803、805、807)と、決定された推奨の滅菌モードの表示欄(プルダウン)808と、滅菌開始ボタン809とが表示されている。
被滅菌物選択画面801には、被滅菌物Aの画像802、被滅菌物Bの画像804、被滅菌物Cの画像806が表示されており、これらの画像はボタンとして機能する。
ユーザにより、802、804、806のいずれかの画像の選択を受け付けると、当該画像に表示されている被滅菌物の数がカウントアップし、対応する表示欄(803、805、807)に表示する機能を備えている。
また、ユーザの手入力により、入力欄(表示欄)(803、805、807)に、それぞれの種類の被滅菌物の個数の入力を受け付けることも可能である。
入力欄803は、被滅菌物Aの数の入力を受け付ける欄である。入力欄805は、被滅菌物Bの数の入力を受け付ける欄である。入力欄807は、被滅菌物Cの数の入力を受け付ける欄である。
滅菌装置100は、各被滅菌物A,B、Cの各画像802、804、806のいずれかのボタンを押下するか、入力欄803、805、807の何れかから該当する被滅菌物の数の入力を受け付ける。これにより、これから滅菌する被滅菌物の種類と、その被滅菌物の数の入力を受け付ける(S902)。
S902は、本発明の受付手段の適用例であり、滅菌する被滅菌物の種類(1又は複数種類)の選択を受け付ける。また、S902では、滅菌する被滅菌物の種類ごとに、滅菌する当該被滅菌物の数の入力を受け付ける。
そして、滅菌装置100は、外部メモリ1011の記憶手段に記憶されている滅菌モード決定テーブル810を参照して、S902で入力された被滅菌物の種類と、その数(個数)に対応する滅菌モードを決定(特定)する。
すなわち、滅菌装置100は、S902で入力された被滅菌物の種類と、その数(個数)に対応して滅菌モード決定テーブル810に記憶されている滅菌モードを、推奨する滅菌モードとして決定(特定)する(S903)。
S903は、本発明の特定手段の適用例であり、S902の受付手段により選択を受け付けた被滅菌物の種類に対応する滅菌モードを特定する。
図8の810は、滅菌モード決定テーブルの一例を示す図である。
滅菌モード決定テーブル810は、被滅菌物の種類ごとの個数に対応して、決定される滅菌モードが外部メモリ1011の記憶手段に記憶されている。
このように、滅菌モード決定テーブル810は、複数種類の被滅菌物の組み合わせに対応して、当該被滅菌物を滅菌する滅菌モードが記憶されている。
例えば、被滅菌物Aが1個のみであれば、滅菌モード1が決定する。また、例えば、被滅菌物Aが1個で、被滅菌物Bが1個で、被滅菌物Cが1個である場合、滅菌モード2が決定する。また、例えば、被滅菌物Aが1個で、被滅菌物Bが2個で、被滅菌物Cが1個である場合、滅菌モード3が決定する。
この滅菌モードの後の数字は、滅菌レベルを示しており、値が大きい方が、滅菌効果が高いことを示している。
このように、S903の特定手段は、S902の受付手段により選択を受け付けた複数種類の被滅菌物の組み合わせに対応する滅菌モードを特定する。
すなわち、S903の特定手段は、S902の受付手段により選択を受け付けた複数種類の被滅菌物の組み合わせに対応して、記憶手段に記憶された滅菌モードを特定する。
また、S903の特定手段は、S902の受付手段により選択を受け付けた複数種類の被滅菌物の組み合わせ、及び当該被滅菌物の数に対応する滅菌モードを特定する。
次に、滅菌装置100は、S903で特定された滅菌モードを808のプルダウンに表示する(S904)。
これにより、ユーザは、選択した被滅菌物、及びその個数を滅菌するためには、どの滅菌モードで滅菌すればよいかを把握することができるようになると共に、ユーザにより誤った滅菌モードで滅菌されることを低減可能にすることができる。
プルダウン808には、推奨の滅菌モードが表示されるものの、ユーザによりプルダウン808が押下されると、他の滅菌モードも選択することができる。ここでは、他の全ての滅菌モードの選択ができることで説明するが、S903で特定された滅菌モードの滅菌レベル以上の滅菌モードしか他の滅菌モードとして表示されないようにすることもできる。
滅菌装置100は、ユーザにより、プルダウン808が押下され、S903で特定された滅菌モードではない他の滅菌モードに変更されたか否かを判定する(S905)。
そして、滅菌装置100は、ユーザにより、S903で特定された滅菌モードではない他の滅菌モードに変更されていないと判定されると(S905:NO)、S404に処理を戻す。
また、滅菌装置100は、ユーザにより、S903で特定された滅菌モードではない他の滅菌モードに変更されたと判定されると(S905:YES)、当該変更された滅菌モードが、S903で特定された滅菌モードよりも滅菌レベルが高いか否かを判定することにより、変更された滅菌モードが被滅菌物を滅菌できるレベルであるか否かを判定する(S906)。
滅菌装置100は、当該変更された滅菌モードが、S903で特定された滅菌モードよりも滅菌レベルが高い(変更された滅菌モードが被滅菌物を滅菌できるレベルである)と判定された場合には(S906:YES)、処理をS404に移行する。
また、滅菌装置100は、当該変更された滅菌モードが、S903で特定された滅菌モードよりも滅菌レベルよりも低い(変更された滅菌モードが被滅菌物を滅菌できるレベルではない)と判定された場合には(S906:NO)、警告表示画面10001を表示部に表示する(S907)。
図10は、警告表示画面10001の一例を示す図である。
S907では、変更された滅菌モードでは、被滅菌物を滅菌できないおそれがある旨、及び、推奨の滅菌モードのレベル以上に変更する旨の通知を行う。
そして、滅菌装置100は、S907の処理を実行すると、処理をS904に移行する。
滅菌装置100は、滅菌開始ボタン809がユーザにより押下されると、滅菌開始指示を受け付けたと判定し(S402:YES)、808に表示されている滅菌モードで滅菌することを決定し、当該滅菌モードで以降の処理(S403〜S405)を実行する。
図8に示す滅菌モード設定テーブル812は、滅菌モードごとに、滅菌回数、滅菌剤量、暴露時間が設定されている。
滅菌モード設定テーブル812は、滅菌装置100の外部メモリ1011の記憶手段に記憶されている。
そのため、滅菌装置100は、当該決定された滅菌モードに対して、滅菌モード設定テーブル812に設定されている滅菌回数、滅菌剤量、暴露時間を設定し、当該滅菌モードで以降の処理(S403〜S405)を実行する。
そのため、滅菌装置100は、S603において、当該設定された滅菌剤量分の液体の滅菌剤を、カートリッジ205から吸い出して滅菌室219に入れる。
また、滅菌装置100は、S604において、S603で滅菌剤を滅菌室に入れてから、当該設定された暴露時間が経過したか否かを判定する(S604)。当該暴露時間が経過したと判定された場合には(S604:YES)、処理をS605に移行し、一方、当該暴露時間が経過していないと判定された場合には(S604:NO)、引き続き滅菌剤ガスを被滅菌物に暴露させる。
また、滅菌装置100は、S610において、当該設定された滅菌剤数分、S601〜S609の滅菌処理を実行したか否かを判定する。
滅菌装置100は、当該設定された滅菌剤数分、S601〜S609の滅菌処理を実行していないと判定された場合には(S610:NO)、処理をS601に戻して、S601〜S609の処理を実行する。また、当該設定された滅菌剤数分、S601〜S609の滅菌処理を実行したと判定された場合には(S610:YES)、処理をS405(S701)に移行して、換気工程の処理を実行する。
以上の通り、S903の特定手段は、滅菌室219に滅菌剤を投入する滅菌回数、滅菌室219に投入する滅菌剤の量である滅菌剤量、及び滅菌室219に投入する滅菌剤を被滅菌物に暴露させる時間である暴露時間のうち少なくとも1つが互いに異なる複数の滅菌モードのうち、S902の受付手段により選択を受け付けた被滅菌物に対応する滅菌モードを特定する。
そして、滅菌装置100の制御部(制御手段)は、図6の滅菌工程の処理で説明したように、S903の特定手段により特定された滅菌モードで、S902の受付手段により選択を受け付けた種類の被滅菌物を滅菌するように制御する。
また、滅菌装置100は、図9のS905〜S907の処理のステップをスキップして、S904で特定された滅菌モードが表示された状態でS402に処理を移行することができる。
以上の通り、ユーザが誤った滅菌モードを選択すること低減可能にすることができる。
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
また、例えば、上記の実施の形態の機能を滅菌方法として、この滅菌方法を滅菌装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを滅菌装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。つまり、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種の記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPUなど)がプログラムを読み出して実行する処理である。