JP2015119777A - 滅菌装置、滅菌方法 - Google Patents

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康史 花田
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康史 花田
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Abstract

【課題】滅菌プロセスで用いられる滅菌剤の経路から漏れ出した滅菌剤を分解するための仕組みを提供すること。
【解決手段】 滅菌剤を用いて対象物を滅菌する滅菌装置であって、滅菌プロセスで用いられる滅菌剤の経路と、前記経路ではない位置に設けられ滅菌剤を分解する分解手段と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、滅菌装置、滅菌方法に関する。特に、滅菌装置における滅菌剤の経路から漏れ出した滅菌剤を分解するための技術に関する。
注射器や手術道具などの医療器具を使用した後に、当該医療器具に病原菌等が付着していることがあるため、次回、使用する前までに滅菌を行っておく必要がある。
そこで、医療器具等の滅菌が必要な対象物を滅菌処理する滅菌装置が一般に知られている。
このように医療で使用する医療用器具を滅菌する方法として、過酸化水素ガスを用いて滅菌する滅菌装置が知られている。
この滅菌装置では、一般的に、過酸化水素水溶液を蒸発させることで過酸化水素ガスを発生させ、発生させた過酸化水素ガスが滅菌室に投入して被対象物に接触することで、被対象物を滅菌することが可能とする。
そして、滅菌処理が終了すると、滅菌室内に投入された過酸化水素ガスを、触媒を用いて分解する滅菌装置が知られている。
例えば、特許文献1には、滅菌チャンバ内の過酸化水素ガスを、触媒を用いて分解することが記載されている。
特許3783337号公報
しかしながら、従来、滅菌装置による滅菌プロセスで滅菌剤(過酸化水素ガス)が流れる経路(管)に、滅菌剤(過酸化水素ガス)を分解する分解触媒が設けられているものは開示されているものの、その経路から漏れた滅菌剤(過酸化水素ガス)を分解する仕組みについては開示されてない。
たとえば、地震や滅菌装置の移動の際に転倒する等、滅菌装置に意図しない衝撃が与えられる可能性がある。そのような衝撃により滅菌プロセスで滅菌剤(過酸化水素ガス)が流れる経路(管)の一部の部品の接合部が緩み、当該経路から意図しない漏気が発生する可能性も考えられる。
また、この漏気に滅菌剤(過酸化水素ガス)が含まれている場合には、当該漏気に含まれる滅菌剤(過酸化水素ガス)を分解処理することが求められる。
本発明の目的は、滅菌プロセスで用いられる滅菌剤の経路から漏れ出した滅菌剤を分解するための仕組みを提供することである。
本発明は、滅菌剤を用いて対象物を滅菌する滅菌装置であって、滅菌プロセスで用いられる滅菌剤の経路と、前記経路ではない位置に設けられ滅菌剤を分解する分解手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明は、滅菌剤を用いて対象物を滅菌する滅菌装置における制御方法であって、滅菌プロセスで滅菌剤の経路に滅菌剤を流すステップと、前記経路ではない位置に設けられた分解手段により滅菌剤を分解する分解ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明により、滅菌プロセスで用いられる滅菌剤の経路から漏れ出した滅菌剤を分解することができる。
本発明に係る滅菌装置の外観の正面図である。 本発明に係る滅菌装置のハードウエアの構成の一例を示す図である。 滅菌装置100の表示部102に表示される画面の一例を示す図である。 本発明に係る滅菌装置による滅菌処理の各工程の一例を示す図である。 図4のS111に示す滅菌処理の詳細処理の一例を示す図である。 図5のS501に示す滅菌前工程の詳細処理の一例を示す図である。 図5のS502に示す滅菌工程の詳細処理の一例を示す図である。 図5のS503に示す換気工程の詳細処理の一例を示す図である。 図4のS114に示す滅菌排出処理の詳細処理の一例を示す図である。 滅菌装置100の表示部102に表示されるカートリッジ取付要求画面1001の一例を示す図である。 本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジ205を横側から見た図(側面図)である。 カートリッジ内の滅菌剤を吸引するために、カートリッジの底、又は底近傍まで抽出針203−Aの先が挿入された際のカートリッジの断面1の断面図である。 湿度測定部228の詳細な構成を示す図の一例である。 湿度測定部228による測定の結果得られた水の成分の湿度の値を縦軸にとり、時間を横軸にとったグラフである。 滅菌剤を滅菌室219内に追加投入した場合の、滅菌室219内の水の成分の湿度の測定結果の一例を示す図である。 図7のステップS717−1の滅菌ガス濃度測定処理の詳細処理の一例を示す図である。 図16のステップS1603に示す滅菌剤追加投入処理の詳細処理の一例を示す図である。 図13に示した湿度測定部228の変形例の一例を示す図である。 滅菌装置100のメモリに記憶されたテーブルの一例を示す図である。 滅菌室219内の過酸化水素のガスの濃度(%)と、滅菌室219内の水のガスの湿度(%)の一定の相関関係を示す図である。 漏気滅菌剤分解装置229のファン2291と分解触媒2292との位置関係を示す漏気滅菌剤分解装置229の構成図である。 本発明に係る漏気滅菌剤分解装置229の動作処理の各工程の一例について説明する。 本発明に係る漏気滅菌剤分解装置229の動作処理の各工程の一例について説明する。 漏気滅菌剤分解装置229のハードウェアブロック図の一例を示す図である。
図面を用いて、本発明の滅菌装置、及び滅菌方法について、説明する。
<図1の説明>
まず、図1を用いて、本発明に係る滅菌装置の外観について説明する。
図1は、本発明に係る滅菌装置の外観を正面から見た正面図である。
100は、本発明に係る滅菌装置であり、101は、カートリッジ取付用扉であり、102は、表示部であり、103は、印刷部103であり、104は、滅菌室の扉である。
カートリッジ取付用扉101は、滅菌剤(例えば、過酸化水素溶液の液体)が充填された容器であるカートリッジを取り付けるための扉である。
カートリッジ取付用扉101を開くと、カートリッジの取り付け場所があり、ユーザは、そこにカートリッジを取り付けることができるようになる。
表示部102は、液晶ディスプレイなどのタッチパネルの表示画面である。
印刷部103は、滅菌処理の履歴や処理の結果を印刷用紙に印刷するプリンタであり、適宜、滅菌処理の履歴や処理の結果を印刷用紙に印刷する。
滅菌室の扉104は、例えば医療用器具などの被滅菌対象物(被滅菌物)を滅菌するために、該被滅菌物を滅菌室に入れるための扉である。滅菌室の扉104を開くと、滅菌室があり、そこに該被滅菌物を入れて、滅菌室の扉104を閉じることで、滅菌室内に被滅菌対象物を入れることができる。このように、滅菌室には、被滅菌対象物(単に対象物とも言う)が格納される。
滅菌室は、所定の容量の筐体である。滅菌室内の圧力は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室内の温度は、滅菌処理中において、所定の範囲の温度に維持されている。
<図2の説明>
次に、図2を用いて、本発明に係る滅菌装置のハードウエアの構成の一例について説明する。
図2は、本発明に係る滅菌装置のハードウエアの構成の一例を示す図である。
本発明に係る滅菌装置100は、演算処理部(MPU等)201と、表示部102と、印刷部103と、ロック動作制御部202と、抽出針動作制御部203と、滅菌室の扉104と、液センサ204と、カートリッジ205と、RF−IDリーダ/ライタ206と、液送ロータリーポンプ207と、濃縮炉208と、気送加圧ポンプ209と、吸気用HEPAフィルタ210と、弁(V1)211と、弁(V3)212と、弁(V4)213と、計量管214と、弁(V2)215と、気化炉216と、弁(V5)217と、弁(V9)227と、弁(V7)226と、滅菌室(真空チャンバーとも言う)219と、湿度測定部228と、気送真空ポンプ220と、排気用HEPAフィルタ221と、滅菌剤分解装置222と、液送ロータリーポンプ223と、排気蒸発炉224と、漏気滅菌剤分解装置229とから構成されている。
演算処理部(MPU等)201は、演算処理を行い、滅菌装置100を構成する各ハードウエアを制御する。
表示部102、印刷部103、滅菌室の扉104は、既に図1を用いて説明しているため、ここでは説明を省略する。
ロック動作制御部202は、カートリッジ取付用扉101の施錠、開錠の動作を行う部であり、カートリッジ取付用扉101を施錠することにより、カートリッジ取付用扉101を開かないようにし、また、カートリッジ取付用扉101を開錠することにより、カートリッジ取付用扉101を開けることができるようにする。
カートリッジ205は、滅菌剤(例えば、過酸化水素水溶液の液体であって、過酸化水素の濃度が60%の水溶液)が充填され、密閉された容器である。カートリッジ205に充填されている滅菌剤は、滅菌の効果を生じさせる滅菌成分として過酸化水素(溶質)を含んでおり、この過酸化水素を水(溶媒)に溶けた液体の滅菌剤である。
本実施例では、水を溶媒として説明し、過酸化水素を滅菌成分としての溶質として説明する。
また、カートリッジ205の下側にはRF−ID等の記憶媒体を備えており、その記憶媒体には、該カートリッジを識別する情報としてのシリアル番号と、該カートリッジの製造年月日、該カートリッジが初めて滅菌装置で使用された日時(初回使用日時)、該カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量が記憶されている。
抽出針動作制御部203は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(滅菌剤をカートリッジから取り出すための管)をカートリッジの上部から刺すために、当該抽出針を動作する部である。
すなわち、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するための抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺す場合は、抽出針(注射針)をカートリッジに向けて、該カートリッジの上部から降ろすように動作することで、抽出針(注射針)をカートリッジの上部から刺すことができる。また、抽出針(注射針)をカートリッジから抜く場合は、該カートリッジの上部に抽出針(注射針)を上げるように動作することで、抽出針(注射針)をカートリッジから抜くことができる。
液センサ204は、カートリッジ205内の液体の滅菌剤が、抽出針(注射針)から液送ロータリーポンプ207、液送ロータリーポンプ223に導通している管(導管)を通っているかを検出する装置である。具体的には、該管に赤外線を照射して得られるスペクトルから滅菌剤が該管を通っているかを検出することができる。
RF−IDリーダ/ライタ206は、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDから、シリアル番号、製造年月、初回使用日時、滅菌剤の残量を読み取ることができる装置である。また、RF−IDリーダ/ライタ206から、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDに、初回使用日時、滅菌剤の残量を書き込むことができる装置である。また、RF−IDリーダ/ライタ206は、カートリッジ取付用扉101の裏にあるカートリッジの取り付け場所の下部に設置されており、カートリッジ205の下側に備え付けられているRF−IDを読み取ること、及び初回使用日時、滅菌剤の残量等のデータをRF−IDに書き込むことが可能である。
液送ロータリーポンプ207は、濃縮炉208と導管により導通しており、また、液センサ204と導管により導通している。液送ロータリーポンプ207は、カートリッジ205内の液体の滅菌剤をロータリーポンプにより吸引して、導管を通して滅菌剤を濃縮炉208に送る装置である。また、液送ロータリーポンプ207は、液センサ204と連携して、カートリッジ205から、滅菌剤の所定量を吸引することができる。
濃縮炉208は、液送ロータリーポンプ207と、気送加圧ポンプ209と、計量管214と、排気用HEPAフィルタ221と、それぞれ導管により導通している。濃縮炉208は、液送ロータリーポンプ207から導管を通じて導入された滅菌剤を、ヒーターを用いて加熱し、滅菌剤に含まれる水分などを蒸発(気化)させ滅菌剤を濃縮する。また、気化した水(ガス)は、気送加圧ポンプ209から導管を通して送り込まれる空気により、排気用HEPAフィルタ221に導通している導管に押し出され、濃縮炉208内から排気される。また、計量管214と濃縮炉208との間の導管の間には弁(1)211が設けられている。
気送加圧ポンプ209は、それぞれ、濃縮炉208と、吸気用HEPAフィルタ210と、導管により導通している。気送加圧ポンプ209は、滅菌装置100の外気(空気)を、吸気用HEPAフィルタ210を介して、吸気用HEPAフィルタ210との導管により導入して濃縮炉208に送る装置である。
吸気用HEPAフィルタ210は、それぞれ、気送加圧ポンプ209と、滅菌室219と、気化炉216と、導管により導通している。吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)中のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして空気を清浄する。そして、その清浄された空気は、気送加圧ポンプ209により導管を通して濃縮炉208に導入される。
また、清浄された空気は、気化炉216との導管により導通して気化炉216に導入されたり、滅菌室219との導管により導通して滅菌室219に導入される。
すなわち、吸気用HEPAフィルタ210は、滅菌装置100の外の外気(空気)と導通している。そのため、気送加圧ポンプ209と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管と、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管と、気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管は、吸気用HEPAフィルタ210を介して、外気(空気)と導通している。
また、吸気用HEPAフィルタ210と気化炉216との間の導管には、弁(V9)227が設けられている。また、吸気用HEPAフィルタ210と滅菌室219との間の導管には、弁(V7)226が設けられている。
弁(V1)211は、濃縮炉208と計量管214との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで濃縮炉208と計量管214との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで濃縮炉208と計量管214との間の導管による導通を不可能にする弁である。
弁(V3)212は、計量管214と滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで計量管214と滅菌室219との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで計量管214と滅菌室219との間の導管による導通を不可能にする弁である。また、この弁は、計量管214の近くに設けられており、少なくとも後述する弁(V4)よりも計量管214側の位置に設けられている。
弁(V4)213は、計量管214と滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで計量管214と滅菌室219との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで計量管214と滅菌室219との間の導管による導通を不可能にする弁である。また、この弁は、滅菌室219の近くに設けられており、少なくとも後述する弁(V3)よりも滅菌室219側の位置に設けられている。
本実施例では、弁(V4)213、弁(V3)213の開け閉めにより、計量管と滅菌室との間の導管の導通を可能にするか、不可能にするかを行っているが、弁(V4)213、弁(V3)213のどちらか一方の弁の開け閉めにより、計量管と滅菌室との間の導管の導通を可能にするか、不可能にするかを行うようにしてもよい。
計量管214は、濃縮炉208と、気化炉216と、滅菌室219のそれぞれとの間の導管により導通している。
計量管214は、弁(V1)211を開くことにより、濃縮炉208から滅菌剤が流入し、弁(V3)212、及び弁(V4)213を開くことにより、カートリッジ205内から吸入した不要な空気、及び/又は濃縮炉208内から流入した不要な空気を、計量管214により取り除く装置である。
弁(V2)215は、計量管214と、気化炉216との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで計量管214と気化炉216との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで計量管214と気化炉216との間の導管による導通を不可能にする弁である。
弁(V2)215、及び/又は弁(V5)217、及び/又は液送ロータリーポンプ207は、気化手段により気化された滅菌剤を滅菌室に導入する、本発明の導入手段の適用例である。
気化炉216(気化室とも言う)は、計量管214と、吸気用HEPAフィルタ210と、滅菌室219とのそれぞれとの間の導管により導通している。気化炉216は、液体の滅菌剤を気化するための本発明の気化手段の適用例である。
気化炉216の中は、気送真空ポンプ220により減圧され、減圧された気化炉216内に液体の滅菌剤を導入することで、当該滅菌剤を気化させる装置である。
弁(V5)217は、気化炉216と、滅菌室219との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで気化炉216と滅菌室219との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで気化炉216と滅菌室219との間の導管による導通を不可能にする弁である。
弁(V9)227は、気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで気化炉216と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を不可能にする弁である。すなわち、弁(V9)227は、気化炉216と外気(大気)との導通を開閉できる弁である。
弁(V7)226は、滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管に設けられた弁であって、弁を開けることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を可能にし、弁を閉めることで滅菌室219と吸気用HEPAフィルタ210との間の導管による導通を不可能にする弁である。すなわち、弁(V7)226は、滅菌室219と外気(大気)との導通を開閉できる弁である。
滅菌室(真空チャンバーとも言う)219は、図1でも説明したが、例えば医療用器具などの被滅菌対象物を滅菌する所定の容量の筐体である。滅菌室内の圧力は大気圧から真空圧までの圧力を維持することが可能である。また、滅菌室内の温度は、滅菌処理中において、所定の範囲の温度に維持されている。また、滅菌室219内には、圧力センサが備えられており、圧力センサにより滅菌室219内の圧力(気圧)を測定することができる。滅菌装置100の演算処理部201は、この圧力センサにより測定された滅菌室219内の気圧を用いて、滅菌室219内等の圧力(気圧)が所定の気圧になっているかを判定する。
気送真空ポンプ220は、滅菌室219内、気化炉216内、計量管214内、計量管214と気化炉216との間の導管内、気化炉216と滅菌室219との間の導管内、計量管214と滅菌室219との間の導管内の空間の気体を吸引して、それぞれの空間内を減圧し真空状態(大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態)にする装置である。気送真空ポンプ220は、滅菌室を真空引き(減圧)する、本発明の真空手段の適用例である。
気送真空ポンプ220は、滅菌室219との間で導管により導通されており、排気用HEPAフィルタ221との間で導管により導通されている。
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、排気蒸発炉224との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、滅菌剤分解装置222との間で導管により導通されている。また、排気用HEPAフィルタ221は、濃縮炉208との間で導管により導通されている。
排気用HEPAフィルタ221は、気送真空ポンプ220により、滅菌室219内等から吸引された気体を、気送真空ポンプ220との間の導管から送られてきた気体内のちりやほこり、雑菌などを、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルタでフィルタリングして、吸引された気体を清浄する。
そして、清浄された気体は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られ、滅菌剤分解装置222により該気体に含まれる滅菌剤(薬剤)の分子を分解し、分解後の分子を滅菌装置100の外に放出する。
また、排気用HEPAフィルタ221は、濃縮炉208と排気用HEPAフィルタ221との間の導管により濃縮炉208から排気される気体を清浄する。
この気体は、濃縮炉208で滅菌剤が過熱されて気化されたガスは、水を主成分としたものではあるが、微量の滅菌剤を含むため、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られる。そして、滅菌剤分解装置222により該気体に含まれる滅菌剤の分子を分解し、分解後の分子を滅菌装置100の外に放出する。
また、排気用HEPAフィルタ221は、排気蒸発炉224から、排気蒸発炉224と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り送られてくる気化された滅菌剤を清浄する。
そして、その洗浄された滅菌剤(気体)は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られ、滅菌剤分解装置222により該気体に含まれる滅菌剤の分子を分解し、分解後の分子を滅菌装置100の外に放出する。
滅菌剤分解装置222は、排気用HEPAフィルタ221との間の導管により導通されている。滅菌剤分解装置222は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管から送られてくる気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成される分子(水、酸素)を滅菌装置100の外に放出する。
滅菌剤分解装置222は、例えば、滅菌剤が過酸化水素水溶液である場合、気化された過酸化水素を、触媒(例えば、二酸化マンガン)を用いて、水と酸素に分解することができる装置である。
液送ロータリーポンプ223は、排気蒸発炉224と導管により導通しており、また、液センサ204と導管により導通している。
液送ロータリーポンプ223は、カートリッジ205内の全ての液体の滅菌剤をロータリーポンプにより吸引して、液センサ204と液送ロータリーポンプ223との間の導管を通して送られるその全ての滅菌剤を、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気蒸発炉224に送る装置である。
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223と導管により導通しており、また、排気用HEPAフィルタ221と導管により導通している。
排気蒸発炉224は、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して送られる、カートリッジ205内の全ての液体の滅菌剤を、排気蒸発炉224に備え付けられたヒーターにより加熱し、その滅菌剤の全てを気化させる。そして、気化された滅菌剤は、排気用HEPAフィルタ221と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気用HEPAフィルタ221に送られる。
また、漏気滅菌剤分解装置229は、滅菌装置100内の全ての管(滅菌剤の経路)や、滅菌装置100内の全ての装置(各ハードウエア)の何れかから漏れた滅菌剤を分解する装置である。漏気滅菌剤分解装置229の具体的な構成、及び具体的な処理については、図21〜24を用いて説明する。
また、湿度測定部228は、滅菌室内に投入されたガス状の滅菌剤を、触媒(例えば二酸化マンガン)を用いて分解された水、及び当該滅菌剤に含まれる水の湿度を測定することにより、当該滅菌室内に投入された滅菌剤の濃度を測定する装置である。
また、湿度測定部228は、滅菌室内に投入されたガス状の滅菌剤に含まれる水の湿度を測定することにより、当該滅菌室内に投入された滅菌剤の濃度を測定する装置である。
湿度測定部228の具体的構成については、図13から図18の図面を用いて説明する。
図2で説明した各導管(管)、及び各装置(各ハードウェア)は、滅菌プロセスで用いられる滅菌剤の経路であり、漏気滅菌剤分解装置229が、滅菌剤が流れる管、装置(滅菌剤の経路)ではない滅菌装置内の位置に、滅菌剤を分解する分解手段として設けられている。
次に、図11、図12を用いて、カートリッジ205、及びカートリッジ205に抽出針203−Aが挿入された様子について説明する。
図11は、本発明に係る、滅菌装置に用いられる滅菌剤のカートリッジ205を横側から見た図(側面図)である。
図11に示すカートリッジは、1つのボトルに滅菌処理を複数回行える量の滅菌剤が入ったカートリッジである。
図11に示すカートリッジには、滅菌剤として用いられる過酸化水素(薬剤)を含む薬液が入っている。
図11に示すように、カートリッジは、第1の容器と、その第1の容器の蓋とから構成されている。
第1の容器の外観は、コップの形状をしている。また、この第1の容器の材質(材料)は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。この第1の容器は、後述する第2の容器を保護するためにも設けられている。
蓋は、第1の容器の上側に第1の容器を閉じるため蓋である。すなわち、蓋は、第1の容器の外周の淵と接着している。また、この蓋の材質は、滅菌剤である過酸化水素に対して耐性のあるポリプロピレン(プラスチック)である。
カートリッジの上側から見て、カートリッジの中心点でのカートリッジの断面を断面1とする。
次に、図12を用いて、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するために、カートリッジの底、又は底近傍まで抽出針203−Aの先が挿入された際のカートリッジの内部の構造について説明する。
図12は、カートリッジ内の滅菌剤を吸引するために、カートリッジの底、又は底近傍まで抽出針203−Aの先が挿入された際のカートリッジの断面1の断面図である。
滅菌装置100が、抽出針203−A(注射針)をカートリッジに向けて、該カートリッジの上部(上側)から下部(下側)に降ろすように動作することで、蓋の穴、キャップの穴(開封部)に抽出針203−A(注射針)が挿入される。
このとき、滅菌装置100は、注射針が蓋の穴、キャップの穴を貫通し、第2の容器409に下部に注射針の先端が来るように動作する。
図12に示すように、ステップS103では、注射針をカートリッジの底、又は底近傍まで挿入することで、カートリッジ内の滅菌剤を抽出することが可能となる。
<図4の説明>
次に、図4を用いて、本発明に係る滅菌装置による滅菌処理の各工程の一例について説明する。
図4に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置(各ハードウエア)の動作を制御することにより行われる。
図4は、本発明に係る滅菌装置による滅菌処理の各工程の一例を示す図である。
滅菌装置100は、電源が入れられると、まず、RF−IDリーダ/ライタ206が、カートリッジ205の下側に設けられたRF−ID(記憶媒体)から、データを読み取る(ステップS101)。
ステップS101で、RF−ID(記憶媒体)から読み取られるデータとしては、該カートリッジを識別する情報としてのシリアル番号と、該カートリッジの製造年月日と、該カートリッジが滅菌装置で初めて使用された日時(初回使用日時)と、該カートリッジ内に充填されている滅菌剤の残量とがある。すなわち、カートリッジ205に設けられたRF−ID(記憶媒体)には、予め、シリアル番号、製造年月日、初回使用日時、滅菌剤の残量が記憶されている。
次に、滅菌装置100は、ステップS101でRF−IDからデータが読み取れたと判定された場合は(ステップS102:YES)、滅菌装置100内のカートリッジの取り付け場所にカートリッジが設置されていると判断し、カートリッジ取付用扉101を施錠する(ステップS103)。
そして、滅菌装置100は、カートリッジ内に滅菌1回分の滅菌剤の所定の量があるか否かを判定する。具体的には、RF−IDから取得した滅菌剤の残量が、滅菌1回分の所定の量よりも多いか否かを判定する。すなわち、滅菌剤の残量が、滅菌1回分の所定の量よりも多いと判定された場合は、カートリッジ内に滅菌1回分の滅菌剤の所定の量がある(十分な滅菌処理を実行できる)と判断し(ステップS104:YES)、ステップS105の処理を行う。一方、滅菌剤の残量が、滅菌1回分の所定の量(例えば、8ミリリットル)よりも少ないと判定され場合は、カートリッジ内に滅菌1回分の滅菌剤の所定の量がない(十分な滅菌処理を実行できない)と判断し(ステップS104:NO)、ステップS112の処理を行う。
滅菌装置100は、ステップS105において、RF−IDから取得したカートリッジの製造年月日から、所定の期間(例えば、13か月)を経過しているかを判断する。
そして、製造年月日から所定の期間を経過していると判定された場合は(ステップS105:YES)、十分な滅菌処理を実行できないと判定し、ステップS112の処理を行う。一方、製造年月日から所定の期間を経過していないと判定された場合は(ステップS105:NO)、十分な滅菌処理を実行できると判定し、ステップS106の処理を行う。
滅菌装置100は、ステップS106において、RF−IDから取得した初回使用日時から、所定の期間(例えば、2週間)を経過しているかを判断する。
そして、RF−IDから取得した初回使用日時から、所定の期間(例えば、2週間)を経過していると判定された場合は(ステップS106:YES)、十分な滅菌処理を実行できないと判定し、ステップS112の処理を行う。一方、所定の期間(例えば、2週間)を経過していないと判定された場合は(ステップS106:NO)、十分な滅菌処理を実行できると判定し、ステップS107の処理を行う。
滅菌装置100は、ステップS107において、滅菌開始画面(図3の301)を表示部102に表示する。
図3は、滅菌装置100の表示部102に表示される画面の一例を示す図である。
滅菌開始画面301には、「滅菌開始ボタン」が表示されている。ステップS107で表示される滅菌開始画面301内の「滅菌開始ボタン」302は、ユーザにより押下可能に(アクティブに)なっている。
そして、滅菌装置100は、ユーザにより、「滅菌開始ボタン」302が押下されると(ステップS108:YES)、滅菌モード選択画面(図3の303)を表示部102に表示する。
滅菌モード選択画面303には、「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304と、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305とが表示されている。
滅菌装置100は、「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304と、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305のどちらか一方の選択をユーザから受け付け(ステップS110)、ユーザにより選択されたボタンのモードに従った滅菌処理(ステップS111)を行う。滅菌処理(ステップS111)の詳細は、図5を用いて、後で説明する。
このように、ユーザの指示により、滅菌処理するモードを1台の滅菌装置で切り替えて使用することが可能となる。すなわち、「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304がユーザにより押下された場合は、滅菌剤を濃縮して、滅菌処理を行い、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305が押下された場合は、滅菌剤を濃縮しないで、滅菌処理を行う。
そして、滅菌装置100は、滅菌処理(ステップS111)が終了すると、ステップS101に処理を戻す。
また、滅菌装置100は、ステップS112において、滅菌開始画面(図3の301)を表示部102に表示する。ただし、ステップS112で表示される滅菌開始画面(図3の301)内の「滅菌開始ボタン」302は、ユーザにより押下出来ないように表示されている(「滅菌開始ボタン」302がアクティブではない)。そのため、ユーザによる、滅菌処理の開始指示を受け付けないようにすること可能となる。
そして、滅菌装置100は、ステップS101でRF−IDから取得したシリアル番号から、カートリッジの取り付け場所に設置してあるカートリッジが、既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジであるか否かを判定する(ステップS113)。具体的には、滅菌装置100内のメモリ(記憶部)には、既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジを識別するシリアル番号が記憶されており、ステップS101でRF−IDから取得したシリアル番号が、該メモリ(記憶部)に記憶されているシリアル番号に一致するか否かを判定することにより、現在、滅菌装置100に取り付けられているカートリッジが、既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジであるか否かを判定する。
現在、滅菌装置100に取り付けられているカートリッジが、既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジであると判定された場合は(ステップS113:YES)、ステップS115の処理を行う。一方、既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジではないと判定された場合は(ステップS113:NO)、カートリッジ内に残っている液体の滅菌剤の残量の全てを吸い取り、その全ての滅菌剤を分解処理して、滅菌装置100の外に放出する、滅菌剤の排出処理(ステップS114)を行い、その後、ステップS115の処理を行う。ステップS114の滅菌剤の排出処理の詳細は、図9を用いて、後で説明する。
ステップS114の処理を行うと、滅菌装置100内のメモリ(記憶部)に、既に滅菌剤の排出処理済みのカートリッジを識別するシリアル番号として、ステップS101で読み取ったシリアル番号を記憶する。
滅菌装置100は、ステップ115において、カートリッジ取付用扉101を開錠する。
また、滅菌装置100は、ステップS102において、ステップS101でRF−IDからデータが読み取れなかったと判定された場合は(ステップS102:NO)、滅菌装置100内のカートリッジの取り付け場所にカートリッジが設置されていないと判断し、図10に示すカートリッジ取付要求画面1001を表示する(ステップS116)。
図10は、滅菌装置100の表示部102に表示されるカートリッジ取付要求画面1001の一例を示す図である。
カートリッジ取付要求画面1001には、「OK」ボタン1002が表示されている。
そして、滅菌装置100は、カートリッジ取付要求画面1001の「OK」ボタン1002がユーザにより押下されたかを判定し(ステップS117)、「OK」ボタン1002が押下された場合は(YES)、カートリッジ取付用扉101を開錠し(ステップS118)、処理をステップS101に戻す。一方、「OK」ボタン1002が押下されていない場合は(NO)、カートリッジ取付要求画面1001を表示し続ける。
カートリッジ取付用扉101の開錠、及び施錠の処理は、ロック動作制御部202による動作により行われる。
<図5の説明>
次に、図5を用いて、図4のS111に示す滅菌処理の詳細処理の一例について説明する。
図5は、図4のS111に示す滅菌処理の詳細処理の一例を示す図である。
図5に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置の動作を制御することにより行われる。
まず、滅菌装置100は、ステップS501において、気送真空ポンプ220を動作し、滅菌室219の気体を吸引し、滅菌室219内の気圧が所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧する滅菌前工程の処理を行う。滅菌前工程の処理の詳細な処理は、図6を用いて後で説明する。
そして、滅菌装置100は、ステップS502において、滅菌室219に、滅菌剤を入れて、被滅菌対象物を滅菌する滅菌工程の処理を行う。滅菌工程の処理の詳細な処理は、図7を用いて後で説明する。
次に、滅菌装置100は、ステップS503において、滅菌室219内、及び気化炉216内に含まれている滅菌剤を取り除くための換気工程の処理を行う。換気工程の処理の詳細な処理は、図8を用いて後で説明する。
<図6の説明>
次に、図6を用いて、図5のS501に示す滅菌前工程の詳細処理の一例について説明する。
図6は、図5のS501に示す滅菌前工程の詳細処理の一例を示す図である。
図6に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置(各ハードウエア)の動作を制御することにより行われる。
まず、滅菌装置100は、気送真空ポンプ220を動作し、滅菌室219の気体を吸引する処理を開始する(ステップS601)。ここで、滅菌装置100の全ての弁は閉じているものとする。
そして、滅菌装置100は、ステップS602において、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されているかを判定する。具体的には、滅菌室219内に備えられた圧力センサにより測定されている滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されているかを判定する。
ステップS602において、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されていないと判定された場合は(NO)、気送真空ポンプ220を引き続き動作させ、滅菌室219の気体を吸引し、滅菌室219内の圧力(気圧)を減圧する。
一方、ステップS602において、滅菌室219内の圧力(気圧)が、所定の気圧(例えば、45パスカル)まで減圧されていると判定された場合は(YES)、気送真空ポンプ220を引き続き動作させ、滅菌室219の気体を吸引し、ステップS502の処理を開始する。ステップS502の処理を開始する際にも、引き続き気送真空ポンプ220により滅菌室219の気体を吸引し減圧する。
<図7の説明>
次に、図7を用いて、図5のS502に示す滅菌工程の詳細処理の一例について説明する。
図7は、図5のS502に示す滅菌工程の詳細処理の一例を示す図である。
図7に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置(各ハードウエア)の動作を制御することにより行われる。
まず、滅菌装置100は、弁(V5)217を開けて、滅菌室219と気化炉216との間の導管を導通させる(ステップS701)。これにより、現在、気送真空ポンプ220により滅菌室219の気体を吸引し減圧しているため、滅菌室219内、及び気化炉216内の減圧を開始する(ステップS702)。
そして、滅菌装置100は、ステップS110で、「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304と、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305のどちらが押下されたのかを判定する(ステップS703)。「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304が押下されたと判定された場合は(YES)、ステップS704の処理を行い、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305が押下されたと判定された場合は(NO)、ステップS728の処理を行う。
ここでは、まず、「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304が押下された場合(滅菌剤を濃縮して滅菌処理する場合)について、説明する。
滅菌装置100は、ステップS704において、液送ロータリーポンプ207を動作し、カートリッジ205内の滅菌剤を、所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取る。そして、吸い取られた所定量の滅菌剤を、濃縮炉208に入れる。ここで吸い取る所定量の滅菌剤は、滅菌室219内の空間を滅菌剤で飽和状態にさせることができる量である。
そして、滅菌装置100は、ステップS705において、カートリッジの取り付け場所に取り付けられているカートリッジ205のRF−IDに、カートリッジ205内に残っている滅菌剤の残量を書き込む。具体的には、ステップS101で読み取ったカートリッジ205内の滅菌剤の残量から、ステップS704でカートリッジ205から吸い取った所定量(例えば、2ミリリットル)を引いた値をRF−IDに記憶する。
また、滅菌装置100は、ステップS101でRF−IDから読み取られた初回使用日時(カートリッジが滅菌装置で初めて使用された日時)に、日時を示す情報が含まれていない場合は、今回、カートリッジが滅菌装置で初めて使用されたと判定する。このようにカートリッジが滅菌装置で初めて使用されたと判定された場合のみ、現在の日時情報もRF−IDに書き込む。
次に、滅菌装置100は、滅菌装置100に電源が入っているときは、常に、濃縮炉208に備え付けられたヒータを加熱するため、ステップS704で濃縮炉208に入れられた滅菌剤は、そのヒータの熱により、加熱され、濃縮炉208内の滅菌剤に含まれる水分を蒸発させる(ステップS706)。
滅菌装置100に電源が入っている場合に、常に、濃縮炉208に備え付けられたヒータを加熱する理由は、例えば、手術等ですぐに滅菌を行う必要がある場合に備えるためである。
滅菌剤が、例えば、過酸化水素水溶液である場合、濃縮炉208に備え付けられたヒータを、ここでは、具体的には、80度で温める。これにより、主に水分を蒸発(気化)させることができ、滅菌剤を濃縮させることが可能となる。
次に、滅菌装置100は、ステップS707において、ステップS704で濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間(例えば、6分)が経過したかを判定する。そして、濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間が経過したと判定されると(YES)、ステップS708の処理を行う。一方、濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間が経過していない場合は(NO)、引き続き、濃縮炉208に滅菌剤を入れたままにしておき、引き続き滅菌剤を濃縮する。
次に、滅菌装置100は、ステップS708において、滅菌室219内、及び気化炉216内の気圧が、所定の気圧(例えば、500パスカル)まで減圧されたかを判定する。
そして、滅菌装置100は、滅菌室219内、及び気化炉216内の気圧が、所定の気圧まで減圧された場合は(YES)、ステップS709において、弁(V3)212と、弁(V4)213とを所定時間開ける(弁(V3)212と、弁(V4)213とを所定時間(例えば、3秒)開けて弁(V3)212と、弁(V4)213を閉じる)ことで、計量管214内を減圧する。一方、滅菌室219内、及び気化炉216内の気圧が、所定の気圧まで減圧されていない場合は(NO)、引き続き滅菌剤の濃縮を行う。
そして、次に、滅菌装置100は、ステップS710において、ステップS709で、弁(V3)212と弁(V4)213とを所定時間開けて弁(V3)212と弁(V4)213を閉じた後に、弁(V1)を所定時間(例えば3秒)開けると、濃縮炉208(外部)の気圧よりも計量管214内の気圧の方が低いので濃縮炉208に入っている滅菌剤が計量管214に吸い込まれて入る(ステップS710)。ここでは、弁(V1)を所定時間開けて閉じることで、濃縮炉208に入っている滅菌剤が計量管214に吸い込まれて入る。ここでは、滅菌剤だけではなく、濃縮炉208内の空気も一緒に計量管214内に吸い込まれてくる。
そして、この後も、引き続き、気送真空ポンプ220により、滅菌室219内が減圧されている。
そのため、滅菌室219内の気圧は、計量管内の気圧よりも低くなる。具体的には、滅菌室219内の気圧は、例えば、400Paであり、計量管内の気圧は大気圧(例えば、101325Pa)位の値である。計量管内の気圧は大気圧近くまで上がる理由は、滅菌剤だけではなく、濃縮炉208内の空気も一緒に計量管214内に吸い込まれてくるためである。
次に、滅菌装置100は、ステップS711において、弁(V3)212と、弁(V4)213とを所定時間(例えば、3秒)開けて、計量管内の空気(液体の滅菌剤は含まない)を滅菌室219に吸い出される。すなわち、ここでは、弁(V3)212と弁(V4)213とを開けて該所定時間が経過すると、弁(V3)212と弁(V4)213とを閉じる。これにより、計量管214内の空気は、滅菌室219に吸い出され、このときも、引き続き、気送真空ポンプ220により、滅菌室219内が減圧されているため、滅菌室219に吸い出された空気は、排気用HEPAフィルタ221を介して滅菌室外に排出されることとなる。
次に、滅菌装置100は、滅菌室219内、及び気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、80Pa)まで減圧されているかを判定し、減圧されていると判定された場合に(ステップS712)、弁(V5)217を閉める(ステップS713)。
そして、滅菌装置100は、弁(V2)215を開ける(ステップS714)。これにより、計量管214内の滅菌剤は、気化炉216に吸い込まれ、気化炉216内で気化する。
ここで、滅菌剤は、分子クラスターとして気化炉内で気化する。
滅菌室内は、気化炉よりも大きい容積であり、気化炉内では、滅菌剤は、分子クラスターとして気化される。これは、気化炉の容積が滅菌室内より小さいため、滅菌室内の滅菌剤の分子間の距離が近く分子間力により、分子クラスターを形成しやすいためである。
このときも引き続き、気送真空ポンプ220は、滅菌室219内の気体を吸引し、滅菌室219内を減圧している。計量管214内の滅菌剤が吸い込まれた気化炉216内は、気圧が上昇する。
すなわち、気化炉216内の気圧は、滅菌室219内の気圧よりも高くなる。
次に、滅菌装置100は、湿度測定部228のフラッシング弁1107を開ける(ステップS714−1)。
図13に、湿度測定部228の詳細な構成を示す。
図13は、湿度測定部228の詳細な構成を示す図の一例である。
湿度測定部228は、ガス導入弁1102、ニードル弁1103、触媒チャンバ1104、半導体湿度センサ1108、測定チャンバ1105、加温装置1109、陰圧チャンバ1106、フラッシング弁1107、管(ステンレス管)を含む装置により構成される。
ここで、加温装置1109内には、触媒チャンバ1104と、測定チャンバ1105が設けられており、測定チャンバ1105内には、半導体湿度センサ1108が設けられている。
滅菌室219に管(例えばステンレス管)でガス導入弁1102と導通している。
また、ガス導入弁1102とニードル弁1103とが管(例えばステンレス管)で導通している。
また、ニードル弁1103と触媒チャンバ1104とが管(例えばステンレス管)で導通している。
また、触媒チャンバ1104と測定チャンバ1105とが管(例えばステンレス管)で導通している。
また、測定チャンバ1105と陰圧チャンバ1106とが管(例えばステンレス管)で導通している。
また、陰圧チャンバ1106とフラッシング弁1107とが管(例えばステンレス管)で導通している。
また、フラッシング弁1107と滅菌室219とが管(例えばステンレス管)で導通している。
ここで説明したステンレス管は、滅菌室から気化された滅菌剤を吸引する、本発明の経路の適用例である。また、このステンレス管は、滅菌室から気化された滅菌剤を吸引して滅菌室に排出する、本発明の経路の適用例である。
すなわち、ガス導入弁1102は、経路に設けられている。また、ニードル弁1103は、経路に吸引される気化された滅菌剤を所定の流量で吸引するニードル弁であって経路に設けられている。また、フラッシング弁1107は、ガス導入弁1102を介して吸引され滅菌室に排出される経路に設けられた本発明のフラッシング弁の適用例である。
ステップS501の滅菌前工程処理を開始する際には、ガス導入弁1102、フラッシング弁1107は閉じているものとする。
ステップS714−1で、滅菌装置100が、湿度測定部228のフラッシング弁1107を開けることで、湿度測定部228内の全ての管、陰圧チャンバ1106が減圧される。これは、滅菌室219内が気送真空ポンプ220により引き続き減圧されているためである。
次に、滅菌装置100は、滅菌室219内の気圧が、所定の気圧(例えば、50Pa)まで減圧され、かつ、ステップS714で弁(V2)215を開けてから所定時間が経過したかを判定し(ステップS715)、滅菌室219内の気圧が、所定の気圧(例えば、50Pa)まで減圧され、かつ、ステップS714で弁(V2)215を開けてから所定時間が経過した場合は(YES)、フラッシング弁1107を閉めてガス導入弁1102を開け(ステップS715−1)、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を停止して(ステップS716)、弁(V5)217を開ける(ステップS717)。これにより、滅菌室219内に気化した滅菌剤が拡散し、被滅菌対象物を滅菌することができる。
これは、気化炉216内の気圧よりも、滅菌室219内の気圧(例えば50Pa)の方が、低いため拡散する。
ここで拡散する滅菌剤は、気化炉内の分子クラスターが更に細分化され、より滅菌剤を滅菌室内に拡散させることができ、滅菌作用を高めることが可能となる。
また、被滅菌対象物などの細かい内腔などを効果的に滅菌することが出来るようになる。
ステップS714−1でフラッシング弁1107を開ける。そのため、ガス導入弁1102を閉めておりフラッシング弁が開いた状態となる。そして、このときも、引き続き、、気送真空ポンプ220による滅菌室の真空引きが行われており、少なくともこのときに滅菌室の真空引きが行われた後(または行われている最中)に、S715−1において、フラッシング弁1107を閉めてガス導入弁1102を開ける。
これにより、経路内は、陰圧状態(減圧されている状態)となり、S717で気化された滅菌剤が滅菌室に導入されると、ガス導入弁が開いているため、陰圧状態の経路内にも、滅菌剤が吸い込まれて導入されることとなる。
このように、経路内が、陰圧状態(減圧されている状態)であることは、滅菌室に導入された滅菌剤を経路に吸引する手段(吸引手段の適用例)となる。
また、228は、陰圧チャンバ1106(吸引手段の適用例)を設けているため、滅菌室に導入された滅菌剤を経路に持続的に吸引し易くなる。
また、ここでは、経路内を陰圧状態(減圧されている状態)にして、滅菌室に導入された滅菌剤を吸引しているが、吸引装置(吸引手段の適用例)を用いて経路内に、滅菌室に導入された滅菌剤を吸引するようにしてもよい。
次に、滅菌装置100は、滅菌室219内に拡散された滅菌剤のガスの濃度を測定する処理を実行する(ステップS717−1)。
ステップS717−7の滅菌ガス濃度測定処理の詳細処理を図16に示す。
ここで、図16を用いて、図7のS717−1に示す滅菌ガス濃度測定処理の詳細処理の一例について説明する。
図16は、図7のステップS717−1の滅菌ガス濃度測定処理の詳細処理の一例を示す図である。
図16に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置(各ハードウエア)の動作を制御することにより行われる。
ステップS714−1で、フラッシング弁1107を開けたことで、湿度測定部228内の全ての管、及び陰圧チャンバ1106内が減圧されており、ステップS715−1でフラッシング弁を閉めてガス導入弁1102を開け、ステップ717で弁(V5)217を開けて滅菌剤のガスを滅菌室219内に導入したことで、滅菌室219内に導入された滅菌剤のガスが、滅菌室219とガス導入弁1102と導通している管を通じて、湿度測定部228内に吸い込まれて導入される。
陰圧チャンバ1106は、測定手段とフラッシング弁との間の経路に、導入手段により滅菌室に導入された滅菌剤を吸引するための本発明の陰圧チャンバの適用例である。
ここで、湿度測定部228内に吸い込まれるガスの量は、滅菌効果に大きな影響を与えない僅かな量であり、滅菌室219内よりも、湿度測定部228内の方が、気圧が低いため、湿度測定部228内に吸い込まれたガスが滅菌室219内に戻らない。
そして、吸い込まれたガスは、ガス導入弁1102を介してニードル弁1103に到達する。ニードル弁1103は、流入したガスの流量と流速を調整する弁であり、所定の流量、流速を維持して、加温装置1109内の触媒チャンバ1104に導入される。
そして、触媒チャンバ1104には、二酸化マンガン等の滅菌剤(例えば、過酸化水素)を分解する触媒が充填されており、滅菌剤のガスは、触媒チャンバ1104を通過中に水と酸素のガスに変換される。
このように、触媒チャンバ1104は、ニードル弁と測定手段との間の経路に、滅菌成分を分解する触媒が設けられている。
そして、水と酸素に変換されたガスは、触媒チャンバ1104から、触媒チャンバ1104と測定チャンバ1105とが導通している管を通じて、測定チャンバ1105に流入する。
測定チャンバ1105内には、半導体湿度センサ1108が設けられており、半導体湿度センサ1108が、通過する水(ガス)の成分の湿度を検出して(ステップ1601)、その検出結果のデータを演算処理部201に送信する。そして、演算処理部201は、その検出結果として示される水(ガス)の湿度が所定値(例えば65%)以下であるか否かを判定する(ステップ1602)。
ここで、半導体湿度センサ1108は、導入手段により滅菌室に導入された気化された滅菌剤に含まれる溶媒(水)の湿度を測定する、本発明の測定手段の適用例である。
そして、この測定手段は、ガス導入弁1102とフラッシング弁1107との間の経路内に設けられており、吸引手段により経路(ステンレス管)に吸引された滅菌剤に含まれる溶媒の湿度を測定する。
このように、レーザや分光装置を用いずに、半導体湿度センサ1108を用いることで、滅菌成分の濃度測定に係る装置のコストを低減させることができる。
また、半導体湿度センサ1108は、過酸化水素の湿度を直接測定するものではなく、水(溶媒)の湿度を測定するものであるため、滅菌装置の製作コストを低減させることが可能となる。
また、測定チャンバ1105を通過したガスは、陰圧チャンバ1106内の陰圧に引かれ、測定チャンバ1105と陰圧チャンバ1106とが導通している管を通じて、陰圧チャンバ1106に達する。
陰圧チャンバ1106は、検出済みのガスの貯留庫としても機能し、滅菌室219と陰圧チャンバ1106が同圧になるまで、半導体湿度センサ1108は水の湿度の測定を続けることが出来る。
演算処理部201は、水(ガス)の湿度が所定値(例えば65%)以下であると判定された場合には(ステップS1602:YES)、滅菌剤を追加投入する処理を実行する(ステップS1603)。一方、水(ガス)の湿度が所定値(例えば65%)以下ではないと判定された場合には(ステップS1602:NO)、滅菌剤を追加投入する処理を実行することなく、処理を図7のステップS718に戻す。
ここで、ステップS1602は、測定手段により測定された溶媒(水)の湿度に従って、滅菌室に追加の滅菌剤を導入手段により導入するかを決定する、本発明の追加決定手段、及び、測定手段により測定された溶媒の湿度が所定値以下であるかを判定する、本発明の判定手段の適用例である。この追加決定手段は、測定手段により測定された溶媒の湿度が所定値以下であると判定されたことを条件に、滅菌室に追加の滅菌剤を導入手段により導入することを決定し、導入手段は、追加決定手段で、滅菌室に追加の滅菌剤を前記導入手段により導入すると決定されたことを条件に、追加の滅菌剤を滅菌室に導入する。
ステップS717で弁(V5)217を開けてから、所定時間(例えば、330秒)が経過したかを判定し(ステップ718)、弁(V5)217を開けてから、所定時間(例えば、330秒)が経過していないと判定されると、引き続きステップS717−1の処理を実行する。
ここで、図17を用いて、図16のS1603に示す滅菌剤追加投入処理の詳細処理の一例について説明する。
図17は、図16のステップS1603に示す滅菌剤追加投入処理の詳細処理の一例を示す図である。
図17に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置(各ハードウエア)の動作を制御することにより行われる。
図17に示すステップS703〜707、S709、S710、S729、S730は、図7の処理に対応した処理であるため、同一の符号を付している。以下の図17の説明で用いるS703〜707、S709、S710、S729、S730は、図17のステップの符号として説明する。
まず、滅菌装置100は、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量を決定する(ステップS1701)。
具体的には、例えば、ステップS1601で測定された水の湿度が45%以下であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量が1.5ミリリットル、ステップS1601で測定された水の湿度が46%〜55%であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量が1ミリリットル、ステップS1601で測定された水の湿度が56%〜65%であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量が0.5ミリリットル、と定められたテーブル(図19の1901)を滅菌装置100のメモリに記憶しておき、このテーブルを参照して、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、追加投入する滅菌剤の量を決定する。すなわち、例えば、ステップS1601で測定された水の湿度が64%であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量を0.5ミリリットルと決定する。
また、ステップS1601で測定された水の湿度から、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量を、所定の計算式を用いて算出して、決定してもよい。
ステップS1701は、測定手段により測定された溶媒の湿度に従って、導入手段により滅菌室に追加で導入する滅菌剤の量を決定する、本発明の追加量決定手段の適用例である。
これにより、滅菌室に追加で滅菌剤を導入することができ、滅菌室内の滅菌成分が低下する場合であっても、適切な滅菌処理を行えることが可能となる。
カートリッジ205に充填されている滅菌剤は、過酸化水素の濃度が60%の水溶液であるため、過酸化水素と水の割合は、6(過酸化水素):4(水)である。
また、過酸化水素(H2O2)と水(H2O)は、水素結合で結合しており、親和性が高く分子クラスターを形成しやすい。そのため、滅菌剤がゴムなどの対象物への、過酸化水素(H2O2)と水(H2O)の吸着割合は、それぞれ、滅菌剤の濃度と同一の割合である。
すなわち、過酸化水素と水の割合は、6(過酸化水素):4(水)の場合、過酸化水素と水が、6(過酸化水素):4(水)の割合で、ゴムなどの対象物に吸着されることとなる。
そのため、過酸化水素の濃度が60%の水溶液の場合、滅菌室内の水の成分の湿度(計測された値)に1.5を乗算した値が、過酸化水素の成分の湿度として推定することが可能となる。
次に、滅菌装置100は、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、図7のステップS718で計時している所定時間をどれくらい伸ばすかを決定する(ステップS1702)。
具体的には、例えば、ステップS1601で測定された水の湿度が45%以下であった場合には、ステップS718で判定する所定時間を2倍に伸ばすこと、ステップS1601で測定された水の湿度が46%〜55%であった場合には、ステップS718で判定する所定時間を1.5倍に伸ばすこと、ステップS1601で測定された水の湿度が56%〜65%であった場合には、ステップS718で判定する所定時間を1.2倍に伸ばすことが、それぞれ定められたテーブル(図19の1901)を滅菌装置100のメモリに記憶しておき、このテーブルを参照して、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、ステップS718で判定する所定時間をどれくらい伸ばすかを決定する。
また、ステップS1601で測定された水の湿度から、ステップS718で判定する所定時間をどれくらい伸ばすかを、所定の計算式を用いて算出して決定してもよい。
ステップS1702は、測定手段により測定された溶媒の湿度に従って、導入手段により滅菌室に気化された滅菌剤が導入されてから、真空手段により滅菌室の真空引きを開始することにより滅菌室からの当該滅菌剤の排出を開始するまでの時間を決定する、本発明の時間決定手段の適用例である。
そして、滅菌装置100は、ステップS718で判定する所定時間を、ステップS1702で決定された時間に伸ばす。例えば、ステップS1601で測定された水の湿度が64%であった場合には、ステップS718で判定する所定時間(例えば、規定値である330秒)を1.2倍に伸ばして396秒に設定変更する(ステップS1703)。
すなわち、ステップS1703は、時間決定手段で決定された時間を経過したことを条件に、滅菌室の真空引きを開始することにより滅菌室からの当該滅菌剤の排出を開始できるように、ステップS718で判定する所定時間を設定変更している。
これにより、滅菌室内の対象物に滅菌成分が接触しやすくなるため、滅菌室内の滅菌成分が低下する場合であっても、適切な滅菌処理を行えることが可能となる。
次に、滅菌装置100は、弁(V2)215を閉める(ステップS1704)。
そして、滅菌装置100は、ステップS110で、「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304と、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305のどちらが押下されたのかを判定する(ステップS703)。「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304が押下されたと判定された場合は(YES)、ステップS704の処理を行い、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305が押下されたと判定された場合は(NO)、ステップS729の処理を行う。
ここでは、まず、「滅菌剤を濃縮して滅菌するモード」ボタン304が押下された場合(滅菌剤を濃縮して滅菌処理する場合)について、説明する。
滅菌装置100は、ステップS704において、液送ロータリーポンプ207を動作し、カートリッジ205内の滅菌剤を、ステップS1701で決定された量(例えば、0.5ミリリットル)吸い取る。そして、吸い取られた所定量の滅菌剤を、濃縮炉208に入れる。
このようにして、導入手段は、追加決定手段(ステップS1701)により決定された量の滅菌剤を滅菌室に導入することとなる。
そして、滅菌装置100は、ステップS705において、カートリッジの取り付け場所に取り付けられているカートリッジ205のRF−IDに、カートリッジ205内に残っている滅菌剤の残量を書き込む。具体的には、ステップS101で読み取ったカートリッジ205内の滅菌剤の残量から、ステップS704でカートリッジ205から吸い取った量(例えば、0.5ミリリットル)を引いた値をRF−IDに記憶する。
次に、滅菌装置100は、ステップS704で濃縮炉208に入れられた滅菌剤は、そのヒータの熱により、加熱され、濃縮炉208内の滅菌剤に含まれる水分を蒸発させる(ステップS706)。
次に、滅菌装置100は、ステップS707において、ステップS704で濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定時間(例えば、1.5分)が経過したかを判定する。
ステップS707で滅菌剤を入れてから所定時間が経過するかを判定しているが、ここでの所定時間についても、ステップS1601で測定された水の湿度に従って決定される。
すなわち、滅菌装置100は、ステップS1601で測定された水の湿度が45%以下であった場合には、ステップS707で判定する所定時間を4.5分にすること、ステップS1601で測定された水の湿度が46%〜55%であった場合には、ステップS707で判定する所定時間を3分にすること、ステップS1601で測定された水の湿度が56%〜65%であった場合には、ステップS707で判定する所定時間を1.5分にすることが、それぞれ定められたテーブル(図19の1901)を滅菌装置100のメモリに記憶しておき、このテーブルを参照して、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、ステップS707で判定する所定時間を決定する。また、ステップS1601で測定された水の湿度から、ステップS707で判定する所定時間を、所定の計算式を用いて算出して決定してもよい。
ここでは、ステップS1601で測定された水の湿度が64%であった場合を例に説明する。
そのため、ステップS707では、ステップS704で濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定時間(例えば、1.5分)が経過したかを判定している。
そして、濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間が経過したと判定されると(ステップS707:YES)、ステップS709の処理を行う。一方、濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定の時間が経過していない場合は(ステップS707:NO)、引き続き、濃縮炉208に滅菌剤を入れたままにしておき、引き続き滅菌剤を濃縮する。
次に、滅菌装置100は、ステップS709において、弁(V3)212と、弁(V4)213とを所定時間開ける(弁(V3)212と、弁(V4)213とを所定時間(例えば、3秒)開けて弁(V3)212と、弁(V4)213を閉じる)ことで、計量管214内を減圧する。ここでは、計量管214内の気圧よりも滅菌室219内の気圧の方が低いことを前提に説明する。
そして、次に、滅菌装置100は、ステップS710において、ステップS709で、弁(V3)212と弁(V4)213とを所定時間開けて弁(V3)212と弁(V4)213を閉じた後に、弁(V1)を所定時間(例えば3秒)開けると、濃縮炉208内の気圧よりも計量管214内の気圧の方が低いので濃縮炉208に入っている滅菌剤が計量管214に吸い込まれて入る(ステップS710)。ここでは、弁(V1)を所定時間開けて閉じることで、濃縮炉208に入っている滅菌剤が計量管214に吸い込まれて入る。
そして、滅菌装置100は、弁(V2)を開けて、計量管214内の滅菌剤を、気化炉216に導入する。このとき、弁(V5)217は開いているため、気化炉216を介して、滅菌室219に滅菌剤が追加投入されることとなる。
そして、滅菌装置100は、処理をステップS718に移行する。
次に、ステップS703で、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305が押下されたと判定された場合(滅菌剤を濃縮しないで滅菌処理する場合)について、説明する。
滅菌装置100は、液送ロータリーポンプ207を動作し、カートリッジ205内の滅菌剤を、ステップS1701で決定された量(例えば、0.5ミリリットル)吸い取る。そして、吸い取られた所定量の滅菌剤を、濃縮炉208に入れる(ステップS729)。
次に、滅菌装置100は、ステップS730において、カートリッジの取り付け場所に取り付けられているカートリッジ205のRF−IDに、カートリッジ205内に残っている滅菌剤の残量を書き込む。具体的には、ステップS101で読み取ったカートリッジ205内の滅菌剤の残量から、ステップS729でカートリッジ205から吸い取った所定量(0.5ミリリットル)を引いた値をRF−IDに記憶する。
そして、滅菌装置100は、ステップS730の処理を行うと、既に説明したステップS709の処理に移行する。
ステップS729で滅菌剤を吸い取り、吸い取られた滅菌剤を濃縮炉208に入れ、直ぐにステップS709で計量管214内を減圧して、ステップS710で濃縮炉208内の滅菌剤を計量管に入れるので、濃縮炉208から、計量管214に直ぐに滅菌剤を入れることが可能となる。すなわち、滅菌剤が濃縮炉208で濃縮されることなく、計量管214に入れることが可能となる。
以上が、図17に示す図の説明である。
図7の説明に戻る。
滅菌装置100は、ステップS717で、弁(V5)217を開けてから、所定時間が経過したかを判定し(ステップS718)、弁(V5)217を開けてから、所定時間(例えば、330秒)が経過していないと判定されると(ステップS718:NO)、処理をステップS717−1に戻す。
ステップS718では、ステップS1703で当該所定時間の設定変更されている場合には、その設定変更された所定時間を、弁(V5)217を開けてから経過したか否かを判定することとなる。
すなわち、滅菌装置100は、時間決定手段で決定された時間を経過したことを条件に(ステップS718:YES)、滅菌室の真空引きを開始することにより滅菌室からの当該滅菌剤の排出を開始する(ステップS724)こととなる。
また、滅菌装置100は、ステップS717で、弁(V5)217を開けてから、所定時間が経過したかを判定し(ステップS718)、弁(V5)217を開けてから、所定時間(例えば、330秒)が経過したと判定されると(ステップS718:YES)、弁(V9)227を開ける(ステップS719)。
これにより、滅菌装置100の外の気圧よりも気化炉216内、及び滅菌室219内の気圧の方が低いため、吸気用HEPAフィルタで清浄された、滅菌装置100の外の外気(空気)が、気化炉216内に吸い込まれる。そして、気化炉216内に送り込まれた空気により、気化炉216内に気体として充満している滅菌剤、及び、気化炉216の内部の表面に付着した滅菌剤が、滅菌室219内に送り込まれ、滅菌室219内にある被滅菌対象物に対する滅菌作用が高まる。すなわち、例えば、これにより、被滅菌対象の細いチューブなどの奥などの滅菌し難い部分についての滅菌作用が高まる。
そして、滅菌装置100は、ステップS719で、弁(V9)227を開けてから所定の時間(例えば15秒)が経過すると、弁(V7)226を開けて、更に、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された、滅菌装置100の外の外気(空気)が、滅菌室219内に吸い込まれる。これは、滅菌装置100の外の気圧よりも滅菌室219内、気化炉216内の気圧の方が低いため、滅菌装置100の外の外気(空気)が、滅菌室219内に吸い込まれる。
これにより、被滅菌対象の細いチューブなどの奥などの滅菌し難い部分についての滅菌作用が高まる。
次に、滅菌装置100は、滅菌室219内、及び気化炉216内が大気圧まで上昇したかを判定し、大気圧まで上昇したと判定した場合に(ステップS721:YES)、弁(V2)215を閉める。
次に、滅菌装置100は、弁(V7)226を閉め(ステップS723)、フラッシング弁1107を開けて、ガス導入弁1102を閉める(ステップS723−1)。
そして、滅菌装置100は、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を再開する(ステップS724)。これにより、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された、滅菌装置100の外の外気(空気)が、気化炉216内に吸い込まれる。
そして、気化炉216内に送り込まれた空気により、気化炉216内に気体として充満している滅菌剤、及び、気化炉216の内部の表面に付着した滅菌剤が、更に、滅菌室219内に送り込まれる。
これにより、被滅菌対象の細いチューブなどの奥などの滅菌し難い部分についての滅菌作用が高まると共に、気化炉216内の滅菌剤を効果的に減少させることが可能となる。
滅菌装置100は、ステップS724で、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を再開する。
これにより、フラッシング弁1107を介して、湿度測定部228のガスが導入する経路の全て(管、及び陰圧チャンバ)に存在するガスが、気送真空ポンプ220により、滅菌室219内に吸い込まれ、滅菌装置100の外部に排出される。
このように、湿度測定部228内に導入されたガスは、S718でYESと判定される(滅菌中)までは、滅菌室219内に導入されないため、被滅菌対象物の滅菌を妨げることはない。
気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を再開して所定時間(例えば15秒)後に、弁(V9)227を閉める(ステップS725)。
このときも引き続き、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を行っており、ステップS725により、滅菌室219内、及び気化炉216内が密閉され、滅菌室219内、及び気化炉216内を減圧することとなる(ステップS726)。
次に滅菌装置100は、所定回数(例えば、4回)、ステップS702からステップS726の処理を実行したかを判定し(ステップS727)、実行したと判定された場合は(YES)、ステップS503の処理を行う。一方、ステップS702からステップS726の処理を、所定回数実行していないと判定された場合は(NO)、ステップS702以降の処理を再度行う。このように、所定回数、ステップS702からステップS726の処理を実行することで、被滅菌対象物に対する滅菌作用の効果が高まり、被滅菌対象物を十分に滅菌することが可能となる。
次に、ステップS703で、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305が押下されたと判定された場合(滅菌剤を濃縮しないで滅菌処理する場合)について、説明する。
滅菌装置100は、ステップS703で、「滅菌剤を濃縮しないで滅菌するモード」ボタン305が押下されたと判定された場合(NO)、滅菌室219内と気化炉216内の気圧が所定の気圧(例えば、1000Pa)にまで減圧されたかを判定する(ステップS728)。
そして、滅菌装置100は、滅菌室219内と気化炉216内の気圧が所定の気圧(100Pa)にまで減圧されたと判定された場合に(ステップS728:YES)、液送ロータリーポンプ207を動作し、カートリッジ205内の滅菌剤を、所定量(例えば、2ミリリットル)吸い取る。そして、吸い取られた所定量の滅菌剤を、濃縮炉208に入れる(ステップS729)。
ここで吸い取る所定量の滅菌剤は、滅菌室219内の空間を滅菌剤で飽和状態にさせることができる量である。
次に、滅菌装置100は、ステップS730において、カートリッジの取り付け場所に取り付けられているカートリッジ205のRF−IDに、カートリッジ205内に残っている滅菌剤の残量を書き込む。具体的には、ステップS101で読み取ったカートリッジ205内の滅菌剤の残量から、ステップS729でカートリッジ205から吸い取った所定量(例えば、2ミリリットル)を引いた値をRF−IDに記憶する。
また、滅菌装置100は、ステップS730において、ステップS101でRF−IDから読み取られた初回使用日時(カートリッジが滅菌装置で初めて使用された日時)に、日時を示す情報が含まれていない場合は、今回、カートリッジが滅菌装置で初めて使用されたと判定する。このようにカートリッジが滅菌装置で初めて使用されたと判定された場合のみ、現在の日時情報もRF−IDに書き込む。
そして、滅菌装置100は、ステップS730の処理を行うと、既に説明したステップS709以降の処理を行う。
ステップS728では、滅菌室219内が1000Paになったら、ステップS729で滅菌剤を吸い始め、ステップS729で滅菌剤を吸い終わる頃には500Paを下回るため、効率的にS709へ移行することができる。
このように、滅菌室219内、及び気化炉216内の気圧が、計量管214内の減圧を開始する所定の気圧(1000パスカル)まで減圧された後に、吸い取られた所定量の滅菌剤を濃縮炉208に入れ、直ぐにステップS709で計量管214内を減圧することができ、その後、ステップS710で濃縮炉208内の滅菌剤を計量管に入れるので、濃縮炉208から、計量管214に直ぐに滅菌剤を入れることが可能となる。すなわち、滅菌剤が濃縮炉208で濃縮されることなく、計量管214に入れることが可能となる。
<図8の説明>
次に、図8を用いて、図5のS503に示す換気工程の詳細処理の一例について説明する。
図8は、図5のS503に示す換気工程の詳細処理の一例を示す図である。
図8に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置の動作を制御することにより行われる。
滅菌装置100は、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)をステップS724で再開して以降、引き続き実行している。
まず、滅菌装置100は、弁V(7)226を開ける(ステップS801)。
そして、弁V(7)226を開けてから、所定時間を経過すると、弁V(7)226を閉めて(ステップS803)、気送真空ポンプ220による滅菌室219内の吸引(真空引き)を行う。これにより、滅菌室219内が減圧される。
次に、滅菌装置100は、滅菌室219内が所定の気圧(例えば、50Pa)まで減圧されると(ステップS804:YES)、弁V(7)226を開ける(ステップS805)。これにより、吸気用HEPAフィルタ210で清浄された、滅菌装置100の外の外気(空気)が、滅菌室219内に吸い込まれる。これは、滅菌装置100の外の気圧よりも滅菌室219内の気圧の方が低いため、滅菌装置100の外の外気(空気)が、滅菌室219内に吸い込まれる。
そして、滅菌装置100は、滅菌室219内の気圧が、大気圧まで上昇したかを判定し、滅菌室219内の気圧が、大気圧まで上昇したと判定された場合(ステップS806:YES)、ステップS803からステップS805の処理を所定回数(例えば、4回)行ったかを判定し(ステップS807)、ステップS803からステップS805の処理を所定回数(例えば、4回)行った場合は(YES)、弁V(7)226を閉めて(ステップS809)、換気工程を終了し、処理をステップS101に戻す。
一方、ステップS803からステップS805の処理を所定回数(例えば、4回)行っていない場合は(NO)、再度、ステップS803の処理から行う。
これにより、滅菌室219内の表面に付着している滅菌剤、及び、滅菌室219内に気体として残っている滅菌剤を気送真空ポンプ220により吸引される。ここで吸引された気体(滅菌剤を含む)は、排気用HEPAフィルタ221を通り、滅菌剤分解装置222で滅菌剤は分解され、分解後の分子が外部に放出される。
<図9の説明>
次に、図9を用いて、図4のS114に示す滅菌排出処理の詳細処理の一例について説明する。
図9は、図4のS114に示す滅菌排出処理の詳細処理の一例を示す図である。
図8に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201により滅菌装置内の各装置の動作を制御することにより行われる。
まず、滅菌装置100は、液送ロータリーポンプ223により、カートリッジ205内の全ての液体の滅菌剤をロータリーポンプにより吸引して、液センサ204と液送ロータリーポンプ223との間の導管を通して送られるその全ての滅菌剤を、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気蒸発炉224内に導入する(ステップS901)。
そして、滅菌装置100は、排気蒸発炉224により、液送ロータリーポンプ223と排気蒸発炉224との間の導管を通して送られる全ての液体の滅菌剤(排気蒸発炉224内に溜められた滅菌剤)を、排気蒸発炉224に備え付けられたヒーターにより加熱し、その滅菌剤の全てを気化させる。そして、気化された滅菌剤は、排気用HEPAフィルタ221と排気蒸発炉224との間の導管を通して、排気用HEPAフィルタ221に送られる(ステップS902)。
ここで、排気蒸発炉224に備え付けられたヒーターは、滅菌剤(過酸化水素)の沸点(過酸化水素の沸点は141度)よりも高い温度に加熱されている。そのため、排気蒸発炉224により、滅菌剤は全て気化されることとなる。
そして、滅菌装置100は、排気用HEPAフィルタ221により、排気蒸発炉224と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り送られてくる気化された滅菌剤を清浄し、清浄された気体(滅菌剤を含む)は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管を通り、滅菌剤分解装置222に送られる。
そして、滅菌剤分解装置222は、滅菌剤分解装置222と排気用HEPAフィルタ221との間の導管から送られてくる気体に含まれる滅菌剤の分子を分解して、分解して生成される分子を滅菌装置100の外に放出する(ステップS903)。
次に、漏気滅菌剤分解装置229について説明する。
図24は、漏気滅菌剤分解装置229のハードウェアブロック図の一例を示す図である。
図24に示すように、漏気滅菌剤分解装置229は、演算処理部1701、電池2293(電源)、ファン2291、分解触媒2292から構成されている。
漏気滅菌剤分解装置229は、本発明の分解手段の適用例である。
また、分解触媒2292は、滅菌剤の滅菌成分を分解する、本発明の触媒の適用例である。
また、ファン2291は、触媒の方向に風を発生させる動作を行う、本発明の送風手段の適用例である。
漏気滅菌剤分解装置229は、電池2293(電源)から供給される電気により、稼動することも出来るし、滅菌装置100から電気の供給を受けて稼動することもできる。
そして、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701は、図22、図23に示す処理を実行する。また、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701ではなく、滅菌装置100の演算処理部201により、図22、図23に示す処理を実行することもできる。
また、ファン2291は、気体を送風する送風機であり、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701により制御されるものである。また、滅菌装置100の演算処理部201が、ファン2291を制御することもできる。
図21は、漏気滅菌剤分解装置229のファン2291と分解触媒2292との位置関係を示す漏気滅菌剤分解装置229の構成図である。
図21(A)に示す漏気滅菌剤分解装置229は、ファン2291が分解触媒2292の方向に滅菌装置100内の気体を送風し、分解触媒2292が、送風された気体に含まれる過酸化水素(滅菌剤の滅菌成分)を分解することを示している。
また、図21(B)に示す漏気滅菌剤分解装置229は、ファン2291が分解触媒2292から滅菌装置100内の気体を吸い込み、分解触媒2292が、吸い込まれた気体に含まれる過酸化水素を分解することを示している。
滅菌装置100内には、図21(A)に示す漏気滅菌剤分解装置229、又は図21(B)に示す漏気滅菌剤分解装置229が設けられている。
漏気滅菌剤分解装置229は、滅菌装置100内の全ての管(滅菌剤が流れる経路)や、滅菌装置100内の全ての、滅菌剤が流れる装置(各ハードウエア)の、何れかから漏れた滅菌剤を分解する装置であるため、図2に示すように、滅菌剤が流れる経路ではない位置に設けられている。
次に、図22を用いて、本発明に係る漏気滅菌剤分解装置229の動作処理の各工程の一例について説明する。
図22に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201、又は漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701により漏気滅菌剤分解装置229の各装置(各ハードウエア)の動作を制御することにより行われる。
図22は、本発明に係る漏気滅菌剤分解装置229の動作処理の各工程の一例を示す図である。
ここでは、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701により漏気滅菌剤分解装置229の各装置(各ハードウエア)の動作を制御する例について説明する。
滅菌装置100は、滅菌装置100の電源が入れられると、滅菌装置100の演算処理部201が、電源が入れられたことを、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701に通知し、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701が、その通知に基づいて、電源が入れられたか否かを判定する(ステップS1501)。
そして、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701が、電源が入れられたと判定すると(ステップS1501:YES)、ファン2291に設けられた羽根の回転を開始して、風を発生させて送風する(ステップS1502)。
ステップS1502で、ファン2291に設けられた羽根の回転を開始することで、滅菌剤が流れる経路ではない滅菌装置100内に当該経路から漏れた過酸化水素を分解触媒2292に接触し易くし、当該漏れた過酸化水素を分解触媒2292により水や酸素に分解することが可能となる。
そして、滅菌装置100は、滅菌装置100の電源が切られると、滅菌装置100の演算処理部201が、電源が切られたことを、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701に通知し、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701が、その通知に基づいて、電源が切られたか否かを判定する(ステップS1503)。
漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701が、滅菌装置100の電源が切られたと判定されると(ステップS1503:YES)、ファン2291に設けられた羽根の回転を停止する(ステップS1504)。
また、滅菌装置100の電源が切られてから、所定時間、ファン2291に設けられた羽根の回転をし続けるようにすることもできる。この場合には、電池2293の電気を用いて稼動する。
これにより、滅菌装置100の電源が切られた場合であっても、滅菌剤の経路から漏れた過酸化水素を分解することが可能となる。
このように、分解手段は、滅菌装置の電源が入れられている間に、送風手段により風を発生させる動作を行う。また、分解手段は、滅菌装置の電源が入れられてから、滅菌装置の電源が切られて所定時間が経過するまで、送風手段により風を発生させる動作を行うこともできる。
気送真空ポンプ220は、滅菌室219内を真空引きするものであるため、気送真空ポンプ220内が、最も過酸化水素(ガス)が高圧状態で存在する。
そのため、例えば、地震などの災害等により、気送真空ポンプ220に亀裂が入ってしまった場合には、気送真空ポンプ220から過酸化水素が漏れる量が増えるおそれも考えられる。
そこで、次に、気送真空ポンプ220が稼動すると、漏気滅菌剤分解装置229が稼動して、気送真空ポンプ220の稼動が停止すると、それから所定時間経過した場合に、漏気滅菌剤分解装置229の稼動を停止する仕組みについて図23を用いて説明する。
次に、図23を用いて、本発明に係る漏気滅菌剤分解装置229の動作処理の各工程の一例について説明する。
図23に示す各工程(処理)は、滅菌装置100の演算処理部201、又は漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701により漏気滅菌剤分解装置229の各装置(各ハードウエア)の動作を制御することにより行われる。
図23は、本発明に係る漏気滅菌剤分解装置229の動作処理の各工程の一例を示す図である。
ここでは、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701により漏気滅菌剤分解装置229の各装置(各ハードウエア)の動作を制御する例について説明する。
滅菌装置100の演算処理部201は、滅菌装置100の気送真空ポンプ220が稼動しているか(真空引きしているか)を判定し、その判定結果を、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701に通知し、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701が、その判定結果に基づいて、滅菌装置100の気送真空ポンプ220が稼動しているか(真空引きしているか)否かを判定する(ステップS1601)。
そして、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701が、滅菌装置100の気送真空ポンプ220が稼動している(真空引きしている)と判定すると(ステップS1601:YES)、ファン2291に設けられた羽根の回転を開始して、風を発生させて送風する(ステップS1602)。
ステップS1602で、ファン2291に設けられた羽根の回転を開始することで、滅菌剤が流れる経路ではない滅菌装置100内に当該経路から漏れた過酸化水素を分解触媒2292に接触し易くし、当該漏れた過酸化水素を分解触媒2292により水や酸素に分解することが可能となる。
そして、滅菌装置100の演算処理部201は、滅菌装置100の気送真空ポンプ220が稼動しているか(真空引きしているか)を判定し、その判定結果を、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701に通知し、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701が、その判定結果に基づいて、滅菌装置100の気送真空ポンプ220が稼動しているか(真空引きしているか)否かを繰り返し判定する(ステップS1603)。
そして、漏気滅菌剤分解装置229の演算処理部1701は、滅菌装置100の気送真空ポンプ220が停止している(真空引きしていない)と判定された場合には(ステップS1603:YES)、それから所定時間、ファン2291に設けられた羽根の回転をし続けて、当該所定時間が経過したと判定された場合には(ステップS1604:YES)、ファン2291に設けられた羽根の回転を停止する(ステップS1605)。
このように、滅菌装置100の気送真空ポンプ220が停止してから、所定時間は、ファン2291に設けられた羽根の回転をし続けて送風するため、例えば、地震などの災害等により、気送真空ポンプ220に亀裂が入ってしまった場合でも、気送真空ポンプ220から漏れた過酸化水素を分解することが可能となり、気送真空ポンプ220から過酸化水素が漏れる量を低減することができる。
また、図23では、真空手段による真空引きを行っている間に、送風手段により風を発生させる動作を行うこと、及び、真空手段による真空引きを開始してから、真空手段による真空引きを停止して所定時間が経過するまで、送風手段により風を発生させる動作を行うことについて説明したが、滅菌プロセスによる処理を実行中に、送風手段により風を発生させる動作を行うようにすることもできる。
これにより、過酸化水素(滅菌剤)が経路から漏れる量を低減することができる。
以下、図18を用いて、図13に示した湿度測定部228の変形例について説明する。
図18は、図13に示した湿度測定部228の変形例の一例を示す図である。
すなわち、図18では、図13に示した湿度測定部228の触媒チャンバ1104を備えておらず、ニードル弁1103から直接測定チャンバに導管を通じている構成となっており、他の構成は図13と同一である。ここでは、図13と異なる部分について説明する。
図18に示すように、図13に示した湿度測定部228の触媒チャンバ1104を備えていないため、ニードル弁1103を通じて滅菌剤のガス(滅菌剤の薬剤の成分のガスと、水の成分のガスを含む)が、測定チャンバ1105に導入され、測定チャンバ1105内に設けられた半導体湿度センサが水の成分のガスの湿度をステップS1601で測定する。
すなわち、滅菌剤(ガス)に含まれる水(ガス)の成分の湿度を測定することにより、滅菌室内の滅菌剤(ガス)に含まれる薬剤(過酸化水素ガス)の成分の濃度が十分であるか否かを判定し、滅菌処理を適切に行えるかを判定することが可能となる。
滅菌装置100は、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量を決定する(ステップS1701)。
具体的には、例えば、ステップS1601で測定された水の湿度が10%以下であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量が1.5ミリリットル、ステップS1601で測定された水の湿度が11%〜20%であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量が1ミリリットル、ステップS1601で測定された水の湿度が21%〜30%であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量が0.5ミリリットル、と定められたテーブル(図19の1902)を滅菌装置100のメモリに記憶しておき、このテーブルを参照して、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、追加投入する滅菌剤の量を決定する。すなわち、例えば、ステップS1601で測定された水の湿度が28%であった場合には、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量を0.5ミリリットルと決定する。このように、図13の湿度測定部228を用いた場合では、図19の1901のテーブルを用いたが、図18の湿度測定部228を用いた場合では、図19の1902のテーブルを用いることとなる。
また、滅菌装置100は、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、図7のステップS718で計時している所定時間をどれくらい伸ばすかを決定する(ステップS1702)。
具体的には、例えば、ステップS1601で測定された水の湿度が10%以下であった場合には、ステップS718で判定する所定時間を2倍に伸ばすこと、ステップS1601で測定された水の湿度が11%〜20%であった場合には、ステップS718で判定する所定時間を1.5倍に伸ばすこと、ステップS1601で測定された水の湿度が21%〜30%であった場合には、ステップS718で判定する所定時間を1.2倍に伸ばすことが、それぞれ定められたテーブル(図19の1902)を滅菌装置100のメモリに記憶しておき、このテーブルを参照して、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、ステップS718で判定する所定時間をどれくらい伸ばすかを決定する。
また、滅菌装置100は、ステップS707において、ステップS704で濃縮炉208に滅菌剤を入れてから所定時間が経過したかを判定しているが、ここでの所定時間についても、ステップS1601で測定された水の湿度に従って決定される。
すなわち、滅菌装置100は、ステップS1601で測定された水の湿度が10%以下であった場合には、ステップS707で判定する所定時間を4.5分にすること、ステップS1601で測定された水の湿度が11%〜20%であった場合には、ステップS707で判定する所定時間を3分にすること、ステップS1601で測定された水の湿度が21%〜30%であった場合には、ステップS707で判定する所定時間を1.5分にすることが、それぞれ定められたテーブル(図19の1902)を滅菌装置100のメモリに記憶しておき、このテーブルを参照して、ステップS1601で測定された水の湿度に従って、ステップS707で判定する所定時間を決定する。
このように、図18の湿度測定部228を用いる場合では、触媒チャンバ1104を用いることなく、滅菌室219内に含まれる水の成分の湿度を測定することで、滅菌室219内に十分な滅菌剤に含まれる薬剤(過酸化水素)のガスの濃度が、滅菌処理を行ううえで十分であるかを判定し、十分でないと判定された場合には、滅菌剤を追加投入する等の処理を実行することが可能となり、適切に滅菌処理を実行することが可能となる。
また、図20に示すように、滅菌室219内の過酸化水素のガスの濃度(%)と、滅菌室219内の水のガスの湿度(%)は、一定の相関関係が確認できる。
図20は、滅菌室219内の過酸化水素のガスの濃度(%)と、滅菌室219内の水のガスの湿度(%)の一定の相関関係を示す図である。
そのため、ステップS1601で測定された水の湿度(%)と、図20に示す、滅菌室219内の過酸化水素のガスの濃度(%)と滅菌室219内の水のガスの湿度(%)の一定の相関関係を示すデータ(滅菌装置のメモリに記憶されているデータ)とに従って、滅菌室219内の過酸化水素のガスの濃度(%)を決定し、滅菌室219内の過酸化水素のガスの濃度(%)に従って、滅菌室219に滅菌剤を追加投入する滅菌剤の量をステップS1701で決定することもできる。
次に、図14を用いて、上述の実施形態で説明した湿度測定部228により測定された測定結果(実験結果)について説明する。
図14は、湿度測定部228による測定の結果得られた水の成分の湿度の値を縦軸にとり、時間を横軸にとったグラフである。
図14に示す点線は、滅菌室219内に被滅菌物を入れていない状態で測定したグラフである。
図14に示す点線は、滅菌室219内に被滅菌物を入れていない状態で測定した測定結果が示されている。
また、図14に示す一点鎖線は、滅菌室219内に吸湿材であるラテックス(天然ゴム)のシート2枚を置いた状態で測定したグラフを示している。
図14に示す点線、及び一点鎖線を比較して分かるように、滅菌室219内に被滅菌物を入れていない場合よりも、滅菌室219内にラテックスのシート2枚を置いた場合の方が、明らかに低い測定結果を示している。
これは過酸化水素ガス及び水のガスがラテックスのシートに吸湿され濃度が低下した結果であると考えられる。
すなわち、吸湿材の被滅菌対象物には、過酸化水素ガスと共に水のガスが同一の一定の比率で吸着されるため、水のガスの湿度が低下していることは、過酸化水素ガスの湿度が低下していることを示す。すなわち、滅菌室219内の過酸化水素ガスの濃度が低下していることを現している。
このように、水の成分のガスの湿度を測定することにより、滅菌室219内の過酸化水素ガスの濃度を相対的に確認できることが可能である。
つまり、滅菌室219内の水の成分の湿度を測定した結果、その湿度が所定の湿度以下であると判断された場合には、滅菌剤を滅菌室219内に追加投入し、滅菌室219内を所定の濃度に維持させることができるようになる。
次に、図15を用いて、滅菌剤を滅菌室219内に追加投入した場合の、滅菌室219内の水の成分の湿度の測定結果について説明する。
図15は、滅菌剤を滅菌室219内に追加投入した場合の、滅菌室219内の水の成分の湿度の測定結果の一例を示す図である。
図15に示すグラフは、縦軸に、滅菌室219内の水の成分の湿度をとり、横軸に、時間をとってプロットしたものである。
図15では、(1)のタイミングで滅菌剤が滅菌室219内に投入され、滅菌室219内の水の成分の湿度が上がっていることを示している。しかしながら、滅菌室219内の水の成分の湿度が65%以下であったため、(2)のタイミングで滅菌剤が滅菌室219内に追加投入され、滅菌室219内の水の成分の湿度が上がっていることを示している。滅菌剤が滅菌室219内に追加投入されることで、滅菌室219内の水の成分の湿度が65%よりも高くなったため、適切に滅菌処理を行うことができると判定し、適切に滅菌処理を実行することが出来るようになる。
そして、(3)のタイミングで大気が滅菌室内に導入され、(4)のタイミングで気送真空ポンプ220により滅菌室219内が真空引きされ、滅菌室219内の水の成分の湿度が低下していることを示している。
上述した実施形態では、液体の滅菌剤を、気化炉216に導入して気化して、当該気化した滅菌剤を滅菌室219に導入する実施形態について説明したが、気化炉216を設けない(または気化炉216で液体の滅菌剤を気化しない)構成でもよい。例えば、計量管と滅菌室とが導管により導通しており、当該導管に弁(V5)217が設けられている構成でもよい。
すなわち、気送真空ポンプ220により、滅菌室を真空引きして、当該真空引きされた滅菌室に液体の滅菌剤を導入することで、当該液体の滅菌剤が滅菌室内で気化し、当該気化した滅菌剤に含まれる溶媒の湿度を測定手段(1108)が測定するようにすることができる。
100 滅菌装置
101 カートリッジ取付用扉
102 表示部
103 印刷部
104 滅菌室の扉

Claims (10)

  1. 滅菌剤を用いて対象物を滅菌する滅菌装置であって、
    滅菌プロセスで用いられる滅菌剤の経路と、
    前記経路ではない位置に設けられ滅菌剤を分解する分解手段と、
    を備えることを特徴とする滅菌装置。
  2. 前記分解手段は、前記滅菌剤を分解する触媒を備えることを特徴とする請求項1に記載の滅菌装置。
  3. 前記分解手段は、前記触媒の方向に風を発生させる動作を行う送風手段を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の滅菌装置。
  4. 前記分解手段は、前記滅菌装置の電源が入れられている間に、前記送風手段により風を発生させる動作を行うこと特徴とする請求項3に記載の滅菌装置。
  5. 前記分解手段は、前記滅菌装置の電源が入れられてから、前記滅菌装置の電源が切られて所定時間が経過するまで、前記送風手段により風を発生させる動作を行うこと特徴とする請求項4に記載の滅菌装置。
  6. 前記分解手段は、前記滅菌プロセスによる処理を実行中に、前記送風手段により風を発生させる動作を行うこと特徴とする請求項3に記載の滅菌装置。
  7. 前記経路は、
    対象物を格納する滅菌室と、
    前記滅菌室を真空引きする真空手段と、
    を含み、
    前記分解手段は、前記真空手段による真空引きを行っている間に、前記送風手段により風を発生させる動作を行うこと特徴とする請求項3に記載の滅菌装置。
  8. 前記分解手段は、前記真空手段による真空引きを開始してから、前記真空手段による真空引きを停止して所定時間が経過するまで、前記送風手段により風を発生させる動作を行うこと特徴とする請求項7に記載の滅菌装置。
  9. 前記分解手段は、前記経路から漏れ出した滅菌剤を分解することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の滅菌装置。
  10. 滅菌剤を用いて対象物を滅菌する滅菌装置における制御方法であって、
    滅菌プロセスで滅菌剤の経路に滅菌剤を流すステップと、
    前記経路ではない位置に設けられた分解手段により滅菌剤を分解する分解ステップと、
    を備えることを特徴とする制御方法。

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