JP5900931B2 - 微生物を利用したフェニルプロパン系化合物の製造方法 - Google Patents

微生物を利用したフェニルプロパン系化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、微生物を利用してリグニンやリグニン関連物質を含むバイオマスからフェニルプロパン構造を有する化合物を特異的に生産する方法及びそのための微生物に関する。
リグニンは植物の維管束細胞壁成分として存在する無定形高分子物質であって、フェニルプロパン系の構成単位が複雑に縮合したものであり、メトキシ基を含有することが化学構造上の大きな特徴になっている。リグニンは木質化した植物細胞を相互に膠着し、組織を強化する働きをしており、木材中に18〜36%、草本中には15〜25%存在する。そこで、木材を有効利用するために、リグニンを分解し、有用化合物を得ようとする試みが種々なされている。
一方、フェニルプロパン系化合物としては、例えば、クマル酸、ケイ皮酸、コーヒー酸(3,4−ジヒドロキシケイ皮酸)、オイゲノール、アネトール、コニフェリルアルコール、シナピルアルコール、フェルラ酸などが知られている。フェニルプロパン系化合物は、工業分野においては、香水、香料、精油、殺菌剤、麻酔薬、抗酸化剤などの医薬品や機能性食品及びそれらの合成中間体となる有用な化合物群である。
例えば、木材、イナワラなどのリグノセルロース物質に含まれるリグニンを、高温高圧処理によりガス化する方法(特許文献1及び2を参照)、加圧熱水法(特許文献3を参照)などの物理化学的な方法によって、非特異的に低分子化する方法が知られている。しかしながら、これらの手法では、リグニンから特定の化合物を製造することは非常に困難である。これらの方法を採用すると、リグニンの持つ単位構造であり、ベンゼン環骨格に直接結合する炭素側鎖の炭素数が3個であるフェニルプロパン系化合物はさらに低分子化される。すなわち、グアイヤコール、シリンゴールなどのベンゼン環骨格に直接結合する炭素側鎖の炭素数が0個のフェノール類や、バニリン、シリンガアルデヒドなどのベンゼン環骨格に直接結合する炭素側鎖の炭素数が1個のフェニルメタン化合物などに非特異的に変換される。また、分解生成物は多種多様な成分が混在しており、フェニルプロパン系化合物のみを取得することは非常に困難であり、特異的に製造することができない。また、これらの物理化学的な方法を採用する場合、これらの方法を実施するためには多くのエネルギーや特別な装置が必要である。
そこで、リグニンを生物学的に処理してリグニン分解物を得ようとする試みがなされている。例えば、リグノセルロース物質に白色腐朽菌を接種及び培養することによってリグニンを分解する方法が知られている(特許文献4を参照)。
ところで、天然リグニン中にはβ−アリールエーテル型結合が約50%存在していることから、β−アリールエーテル型結合を分解し得るか否かは、天然リグニンの分解において重要な意義をもつ。このβ−アリールエーテル型結合の特異的な分解酵素を生産する微生物としては、スフィンゴビウム(Sphingobium)属細菌(特許文献5及び非特許文献1を参照;ただし、非特許文献1には「シュードモナス(Pseudomonas)属細菌」として記載されている)、ブレバンディモナス(Brevundimonas)属細菌(特許文献6を参照)及びシュードモナス属細菌(非特許文献2を参照)が知られている。
特許文献4〜6及び非特許文献1〜2には、スフィンゴビウム属細菌、ブレバンディモナス属細菌及びシュードモナス属細菌並びにこれらの微生物によって生産されるβ−アリールエーテル切断酵素によって、リグニンのモデル化合物であるグアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテル又は3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェノキシ)−1−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノンのβ−アリールエーテル切断によってフェニルプロパン系化合物を生産する方法が記載されている。
特開2012−140346号公報 特開2012−50924号公報 特開2010−239913号公報 特開昭50−46903号公報 特開平5−336976号公報 特開2002−34557号公報
FEBS Lett.249(2),1989,pp.348−352 Mokuzai Gakkaishi,Vol.31(11),1985,pp.956−958
特許文献4に記載の方法によれば、微生物の作用によってリグニンを分解し得る可能性がある。しかし、特許文献4に記載の白色腐朽菌や白色腐朽菌が産生するリグニン分解酵素をリグノセルロース物質に作用させた場合、これらのリグニン分解反応の特異性が非常に低いことから、構造に統一性がない生成物ができるばかりか、主として生成物による重合反応が進行する。したがって、特許文献4に記載の方法は、反応生成物が工業原料としての利用性に欠けるという問題を有する。
特許文献5〜6及び非特許文献1〜2に記載の方法は、リグニンのモデル化合物から、微生物やその生産酵素を利用して、フェニルプロパン系化合物を製造する方法である。しかし、これらの文献には、天然のバイオマスから、微生物や酵素を作用させることによって、フェニルプロパン系化合物を得たとする記載はない。特に、特許文献5に記載の酵素だけでは、フェニルプロパン系化合物を生産することはできない。また、非特許文献1に記載の微生物はグアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテルを完全に分解して資化、すなわちCOにまで分解するため、フェニルプロパン系化合物を生産することはできない。グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテルのように、β−アリールエーテル型結合のうちα位の炭素にOH基が結合した構造は天然のバイオマスに多く見られることから、特許文献6に記載の微生物やその生産酵素を用いて天然のバイオマスを分解することは非常に困難なことである。
また、非特許文献2に記載の微生物は、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテルを代謝することが可能であるとしても、生成されるフェニルプロパン系化合物がさらに代謝され、別の化合物へと変換されるため、生成物の収率は非常に低くなる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、特許文献5〜6及び非特許文献1〜2に記載の方法と比較して、微生物を作用させることにより、リグニンを含む天然バイオマスからフェニルプロパン構造を有する化合物を特異的かつ効率的に生産する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ね、深海沈木から、リグニン関連化合物を分解する微生物のスクリーニングを行った。その結果、1,000以上の菌株の中から、リグニン関連化合物を分解する新規な菌株を単離することに成功した。しかも、本菌株は、リグニンのモデル化合物からだけではなく、天然のリグニンを含有するバイオマスを基質として、特異的にフェニルプロパン系化合物を生産することができるものであった。さらに本発明者らは、本菌株がリグニンのモデル化合物を効率的に分解して、高収率でフェニルプロパン系化合物を生産することができるものであることを見出した。本発明はこのような成功例や知見に基づいて完成するに至った発明である。
したがって、本発明によれば、リグニン及び/又はリグニン関連物質を含むバイオマスに、ノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)属微生物を作用させることにより、フェニルプロパン系化合物を得る工程を含む、フェニルプロパン系化合物の製造方法が提供される。
好ましくは、本発明の製造方法において、前記フェニルプロパン系化合物が、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノン、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3、5−ジメトキシフェニル)−1−プロパノン及び3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノンからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
好ましくは、本発明の製造方法において、前記ノボスフィンゴビウム属微生物が、ノボスフィンゴビウム・スピーシーズ(Novosphingobium sp.) MBES04(国際寄託番号:NITE P−01797)である。
本発明の別の側面によれば、ノボスフィンゴビウム・スピーシーズ(Novosphingobium sp.) MBES04(国際寄託番号:NITE P−01797)が提供される。
本発明の製造方法及び微生物によれば、農業廃棄物や木材などの天然物に由来するリグニンやリグニン関連物質を含むバイオマスからフェニルプロパン構造を有する化合物を特異的かつ効率的に生産することができる。
図1は、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテルをMBES04株に作用させて得られた基質量及び生成物量の経時変化を示した図である。図中のGGGEはグアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテルを、GPGEは1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェノキシ)プロパン−1−オンを、GHPは3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンを表わす。 図2は、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテルをMBES04株に作用させて得られた培養上清のクロマトグラムを示した図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明の製造方法は、リグニン及び/又はリグニン関連物質を含むバイオマスに、ノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)属微生物を作用させることにより、フェニルプロパン系化合物を得る工程を含む、フェニルプロパン系化合物の製造方法である。
本発明の製造方法では、バイオマス中のリグニン及びリグニン関連物質が、ノボスフィンゴビウム属微生物の代謝作用を受けることにより、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノン、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3、5−ジメトキシフェニル)−1−プロパノン、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノンなどのフェニルプロパン系化合物が生成される。
本発明の製造方法で得られるフェニルプロパン系化合物は、フェニルプロパン構造を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、下記一般式(A)
(A)
(式中、Rは1個又は2個以上の炭素数が1〜5であるアルキル基、アルコキシ基又は水素原子を示す。)
で表わされる、1位の位置にカルボニル基を有し、かつ、3位及びフェニル基の4位にヒドロキシ基を有する化合物であり、より具体的には3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノン、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3、5−ジメトキシフェニル)−1−プロパノン又は3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノンである。
これらのうち、例えば、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンは、下記式(I)の構造からなる。
(I)
3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンは、例えば、逆相HPLCにより、定性及び定量的に分析できる。逆相HPLCの条件は、例えば、オクタデシルシリル基修飾シリカゲルカラム(ODSカラム)を用いて、溶離液A(2mM 酢酸アンモニウム、0.05%V/V ギ酸)及び溶離液B(100%V/V メタノール)を用いて、カラム温度を40℃、流速を1.2ml/minと設定して、溶離液A 90%V/V、溶離液B 10%V/Vの混合液を1分間送液した後、溶離液Bを10%V/V〜95%V/Vのグラジェントで7分間送液する。この条件により、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンは、UV検出器(270nm)を用いることにより、保持時間4.4分付近のピークとして検出できる。3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンの標準品を用いれば、検量線法や内標準法などにより、定量することが可能である。
本発明の製造方法では、リグニン、リグニン関連物質又はこの両方を含むバイオマスを原料として用いる。リグニンは、当業界において通常知られるものであれば特に限定されないが、例えば、植物の維管束に存在し、主として下記式(B)〜(D)として示す3種のフェニルプロパノイドを構成単位として複雑に重合した樹枝状構造を有するものとして知られているものである。
(B)
(C)
(D)
リグニン関連物質は、リグニンから誘導される物質であれば特に限定されず、例えば、リグニンの分解物やリグニンを処理して得られる物質に加えて、リグニンのモデル化合物とされている物質、例えば、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテルなどを含む。バイオマスは、リグニン、リグニン関連物質又はこの両方を含むものであれば特に限定されず、例えば、草や木などの天然物、これら天然物に処理を加えて得られるもの、農業廃棄物などが挙げられる。
リグニン及び/又はリグニン関連物質を含むバイオマス(以下、リグニン含有バイオマスともよぶ。)は、前処理の有無などによって、例えば、固体状、懸濁状、液体状などであり得る。例えば、リグニン含有バイオマスを粉砕したものを液体に加えて得られる懸濁液とすることもできる。
また、リグニン含有バイオマスは、リグニン抽出物であってもよい。リグニン抽出物としては、例えば、リグニン含有バイオマスの粉末化したものを、0.1%W/V〜50%W/V、好ましくは1%W/V〜20%W/Vとなるように、リグニンの抽出に適した溶媒中に懸濁して懸濁液とし、この懸濁液を10℃〜150℃、好ましくは20℃〜130℃、より好ましくは20℃〜80℃で、数時間〜数日間、好ましくは1時間〜6日間の抽出処理に供し、次いで抽出処理液から固形分を除いた液体状のリグニン抽出物、又は液体状のリグニン抽出物から溶媒を留去し、乾固することにより得られる固体状のリグニン抽出物などが挙げられる。
リグニンの抽出に適した溶媒は特に限定されず、例えば、水、ジオキサン、メタノール、イソプロパノールなどの低分子アルコール類、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、好ましくは水及びジオキサンである。
本発明の製造方法では、リグニン含有バイオマスからフェニルプロパン系化合物を得るために、ノボスフィンゴビウム属微生物を用いる。ノボスフィンゴビウム属微生物は、ノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)属、別名としてスフィンゴモナス(Sphingomonas)属に属する、0.3〜0.8×2〜3μmのグラム陰性桿菌であれば特に限定されないが、例えば、各種芳香族化合物を分解することが知られているノボスフィンゴビウム属微生物である。本発明の製造方法において用いられるノボスフィンゴビウム属微生物の好ましい具体例は、ノボスフィンゴビウム・スピーシーズ(Novosphingobium sp.) MBES04(以下、MBES04株ともよぶ。)である。
MBES04株の菌学的性質、生理学的性質及び基質資化性は後述する実施例3及び4に記載があるとおりである。また、MBES04株の16S リボソームRNAをコードするDNAの塩基配列は配列表の配列番号3(アクセッション番号:AB733576)に記載されているとおりである。そこで、ノボスフィンゴビウム属であって、このようなMBES04株の菌学的性質、生理学的性質、基質資化性又は塩基配列を有するものは、MBES04株に相当するもの又は同等のものとみなすことができる。特に、後述する表1に記載の酵素活性との一致性が90%、好ましくは95%、より好ましくは99%;後述する表2に記載の基質資化性との一致性が90%、好ましくは95%、より好ましくは99%;及び/又は配列表の配列番号3に記載の塩基配列との同一性が98%、好ましくは99%、より好ましくは99.5%であるノボスフィンゴビウム属微生物は、実質的にMBES04株であるとみなすことができる。
同様に、本発明の製造方法で用いられるノボスフィンゴビウム属微生物は、MBES04株の菌学的性質、生理学的性質、基質資化性及び/又は塩基配列に基づいて、自然界、例えば、腐食や腐敗が見られる木材から単離することが可能である。MBES04株を単離する方法は特に限定されないが、例えば、画線法と限界希釈法により純粋培養株とすることができる。
リグニン含有バイオマスにノボスフィンゴビウム属微生物を作用させることにより、フェニルプロパン系化合物が得られる。ここで、「ノボスフィンゴビウム属微生物を作用させる」とは、ノボスフィンゴビウム属微生物が有する、リグニンやリグニン関連物質をフェニルプロパン系化合物へ転換する能力を発揮させることを意味する。
リグニン含有バイオマスをノボスフィンゴビウム属微生物に作用させる系(作用系)の条件は、ノボスフィンゴビウム属微生物が生存可能な条件であれば特に限定されず、例えば、ノボスフィンゴビウム属微生物が培養可能な条件である。ノボスフィンゴビウム属微生物がMBES04株である場合、例えば、MBES04株の培養可能な条件である温度10〜45℃、好ましくは15〜37℃、pH5.5〜8.5、好ましくはpH6〜8、NaCl濃度0〜6%W/V、好ましくは0〜3%W/Vである。
また、作用系において、培地成分を存在させてもよい。培地成分は、通常知られている微生物用培地成分であれば特に限定されず、例えば、炭素源、窒素源、無機物及び必要に応じて使用菌株の必要とする微量栄養素などが挙げられ、これらの成分は天然物、合成物のいずれであってもよい。
炭素源としてはノボスフィンゴビウム属微生物が資化し得るものであれば特に限定されず、例えば、グルコース、ラクトース、マルトース、セロビオース、キシロース、デキストリンなどの糖質;グルコン酸、ピルビン酸、コハク酸などの有機酸;アラニン、セリンなどのアミノ酸;バニリン、フェルラ酸、安息香酸などの芳香族炭化水素などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
窒素源としてはノボスフィンゴビウム属微生物が資化し得るものであれば特に限定されず、例えば、ペプトン、ポリペプトン、バクトペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスティープリカー、大豆粉、大豆粕、酵母エキスなどの有機窒素源;塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、尿素、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、リン酸アンモニウムなどの無機窒素源などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
無機物としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、亜鉛塩、鉄塩、銅塩、モリブデン塩、コバルト塩などが挙げられる。具体的には、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。さらに、微量栄養素としては、例えば、アミノ酸;ビオチン、チアミンなどの微量栄養素ビタミンなどが挙げられる。
作用系において、リグニン、リグニン関連物質及び培地成分などの濃度、ノボスフィンゴビウム属微生物の菌数などの各種成分の存在量は特に限定されず、適宜設定できる。また、リグニンやリグニン関連物質とノボスフィンゴビウム属微生物との接触頻度を高めるために、作用系を撹拌や振とうなどすることが好ましい。作用時間はフェニルプロパン系化合物の生成が認められる時間であれば特に限定されず、例えば、数時間〜数日間であり、作用系に採用する培養法によって適宜設定することができる。回分培養法を採用した場合は、12時間〜36時間程度又はそれ以降の時間経過していることが好ましい。
作用系において生成されたフェニルプロパン系化合物は、特別な処理を加えることなくそのままの状態で使用することができるが、作用後にノボスフィンゴビウム属微生物と分離することにより粗精製状態のフェニルプロパン系化合物とすることが好ましい。さらに、フェニルプロパン系化合物は、固相抽出法やクロマトグラム法などの通常知られる芳香族化合物を精製する手段を採用して精製したものとすることができ、さらに溶媒を留去し乾燥させれば固体状のものとして得られる。
本発明の製造方法では、本発明の目的を達成し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。
本発明の製造方法の具体的態様は、例えば、以下のとおりである。
リグニン含有バイオマスを水又はジオキサン中に懸濁し、20℃〜80℃にて1〜10時間水浴中で保温する。保温後の懸濁液から固形分を除去して、リグニン抽出液を得る。リグニン抽出液に少量のアルカリを滴下し、pHを弱酸性に調整し、次いで栄養培地成分及びマグネシウム塩を添加する。得られた液体を滅菌したものに、ノボスフィンゴビウム属微生物を植菌する。15〜40℃で10〜120時間培養した後に得られる培養液を遠心操作に供して培養上清を得る。培養上清から目的物であるフェニルプロパン系化合物を精製し、不活性ガス下で乾固して、固体状のフェニルプロパン系化合物を得る。
本発明の製造方法によって得られたフェニルプロパン系化合物は、例えば、樹脂、接着剤、レジスト材料、医薬品などの原料又はその中間体として利用することができる。具体的には、本発明の製造方法によって3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンが得られる場合、該化合物は、1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオールを経由して、医薬品、香料、食品材料などの原料として産業上有用なコニフェリルアルコールなどへと転換することができる。
本発明の微生物は、本発明の製造方法において使用され得る、ノボスフィンゴビウム・スピーシーズ(Novosphingobium sp.) MBES04(国際寄託番号:NITE P−01797)である。MBES04株は、微生物の識別の表示を「Novosphingobium sp.MBES04」とし、かつ、国際寄託番号を「NITE P−01797」として、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に2014年1月30日付けで国内寄託されたものに基づいて国際寄託されている。
本発明の微生物は、上述したとおり、例えば、MBES04株の菌学的性質、生理学的性質、基質資化性及び/又は塩基配列を指標として、腐食や腐敗が見られる木材などのリグニン含有バイオマスに存在する微生物の中から単離することができる。
MBES04株の培養法は特に限定されないが、例えば、液体培養法(振とう培養法や通気攪拌培養法)が挙げられ、工業的には通気攪拌培養法が好ましい。培養時間はMBES04株が増殖し始める時間以上の時間であればよく、例えば、8〜120時間である。MBES04株の増殖を確認する方法は特に限定されないが、例えば、培養物を採取して顕微鏡で観察することや吸光度で観察することなどが挙げられる。また、培養液の溶存酸素濃度は特に限定されず、例えば、0.5〜20ppmである。好気的な培養条件を維持するために、通気量を調節すること、撹拌すること、通気に酸素を追加することなどを実施する。培養方式は、回分培養、流加培養、連続培養、灌流培養のいずれでもよい。
本発明の微生物は、これまでに知られている微生物利用技術を適用したものであることができ、液体中に存在する状態のものに限定されず、例えば、担体に吸着や埋入などした状態のもの、凍結乾燥された状態のものなどの種々の態様を採り得る。また、本発明の微生物は、フェニルプロパン系化合物の製造キットの一成分とすることができる。リグニンの抽出に適した溶媒、培地成分などの成分と同梱されることにより、例えば、入手したバイオマスが、フェニルプロパン系化合物の原料になり得るかを判断することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
[実施例1.リグニン代謝微生物のスクリーニング]
0.2%W/V ブナオガクズ及び2%W/V バクトアガーを人工海水に懸濁した混合物を、121℃、15分間でオートクレーブ処理した。オートクレーブ後の混合物を60℃まで冷却し、IMK培地(ダイゴ社製)をメーカー添付の手順書に従い添加した。IMK培地添加後の混合物を、シャーレ内で固化させ、微生物単離用の固体培地とした。
駿河湾深度260mの海底から、フナクイムシに浸食され腐食が進んだ針葉樹沈木を回収した。この沈木サンプル0.1gを人工海水(ダイゴ社製)に懸濁し、懸濁液数滴を上記微生物単離用の固体培地上に塗布し、25℃で10日間保温した。固体培地上にコロニーを形成した微生物をDifcoマリンアガー2216(べクトンディッキンソン社製)に移し、25℃にて繰り返し画線培養することにより、単一の微生物1,000株程度を得た。
トリプチケースソイブロス(ベクトンディッキンソン社製)とDifcoマリンブロス2216(ベクトンディッキンソン社製)培地とを1対1に混合した培地に1mMの終濃度となるようにグアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテル(化合物I)を添加して化合物I含有培地を調製した。この化合物I含有培地に、単離した微生物を個別に植菌した。25℃、120rpmで3日間培養した後、4800rpm、5分間の遠心操作により培養上清を得た。本培養上清0.1mLに0.9mLのメタノールを添加して混合したものを、4800rpm、5分間の遠心操作に供した。得られた培養上清を、以下の条件で逆相HPLC分析に供した。UV270nmにおける吸光度を示すクロマトグラムに基づき、保持時間5.7分付近のピークの消失から、化合物Iの減少を検出した。
逆相HPLC条件
カラム;Xbridge OST C18(ウォーターズ製)、4.6 mm I.d. x 100 mm L.溶離液;(A)[2mM 酢酸アンモニウム、0.05%V/V ギ酸]、(B)メタノール、送液:0−1min 10%V/V(B)1−8min、10%V/V−90%V/V(B)、カラム温度;40℃、流速:1.2ml/min、検出 フォトダイオードアレイ検出器 UV200-500nm(PDA モデル2998、ウォーターズ製)
培養上清の逆相クロマトグラフィー分析の結果、MBES04株と名付けた微生物株を植菌した培養上清から化合物Iが完全に消滅していることが分かった。この結果、MBES04株は、リグニンやリグニン関連物質を資化する可能性がある微生物であることが判明した。
[実施例2.MBES04株による化合物I分解代謝物の同定]
トリプチケースソイブロス(ベクトンディッキンソン社製)とDifcoマリンブロス2216(ベクトンディッキンソン社製)培地とを1対1に混合した培地に3mMの終濃度となるように化合物Iを添加した化合物I含有培地に、MBES04株を植菌した。植菌後6時間ごとに培養液の一部を抜き取り、遠心操作により得た培養上清を逆相HPLC分析に供した。その結果、化合物Iの減少に伴い、保持時間4.4分付近と5.5分付近の位置に新たな化合物が生成されることが分かった(図1を参照)。これらの化合物をそれぞれ化合物III及び化合物VIとした。化合物VIはその保持時間と吸光スペクトルからグアイアコール(図2中のグアヤコール)と同定された。化合物IIIは、さらなる代謝変換を受けることなく、培地中に蓄積していることが確認された。
化合物IIIを同定するために、上記培養上清を固相抽出法(OASIS WAX ;ウォーターズ社製)にて精製し、以下の条件で逆相超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)−飛行時間型精密質量分析(ACCUITY UPLC H―Class, XevoG2 QTOF,ウォーターズ社製)に供した。
逆相UPLC条件(UPLC−飛行時間型精密質量分析)
カラム;ACQUITY UPLC BEH C18 Column,130オングストローム, 1.7 μm、(ウォーターズ製)、2.1 mm I.d. x 100 mm L(Part Number:186002352)
溶離液;(A)[2mM 酢酸アンモニウム、0.05%V/V ギ酸]、(B)[95%V/V アセトニトリル]、送液 0−5分 5%V/V−95%V/V(B)、5−7分 95%V/V(B)、カラム温度;40℃、流速;0.4ml/min
質量分析条件(UPLC−飛行時間型精密質量分析)
検出質量範囲100−1000 Da、データ取得スキャン間隔0.1秒、デソルベーションガス温度 500℃、イオンソース ESIネガティブモード イオンソース温度150℃、コーン電圧20 V
逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析の結果、化合物IIIから、m/z195.1のイオンが検出され、化合物IIIの分子量は196.1、組成式はC1012と推定された。
続いて、微生物培養上清300mLから化合物IIIを酢酸エチル100mLで3回抽出した。酢酸エチル層を減圧下、濃縮乾固して、粗製物0.5gを得た。これを以下のカラムクロマトグラフィー精製にかけ、化合物IIIを含有するフラクションから、溶離溶媒を留去することにより、0.14gの精製品結晶を得た。
カラム:シリカゲル、(ワコーゲル200、和光純薬製)2.1 cm I.d. x 110 mm L
溶離液:酢酸エチル/トルエン=2/3
分取した化合物IIIを重クロロホルムに溶解し、400MHzの核磁気共鳴装置にかけ、1H−NMR、13C−NMRスペクトルを得た。
精製化合物IIIのNMR分析で得られたケミカルシフト値を以下に示す:
1H―NMR δ(ppm):3.19(t,J=4.4,2H,β―H),3.96(s,3H,O―CH3),4.02(t,J=4.4,2H,γ―H),6.12(s,1H,phenol―OH),6.97(d,J=6.8,1H,Ar―H),7.55(m,2H, Ar―H).13C―NMR δ(ppm):39.753(β―C),56.086(OCH3−C),58.333(γ―C),109.549,113.927,123.660,129.658,146.677,150.744(Ar―C),199.096(α―C).
これらの分析の結果から、化合物IIIが3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンであると同定され、フェニルプロパン構造を有する化合物が得られたことが分かった。
[実施例3.MBES04株の同定]
MBES04株をトリプチケースソイブロス(ベクトンディッキンソン社製)とDifcoマリンブロス2216(ベクトンディッキンソン社製)培地とを1対1に混合した培地で25℃、120rpmで3日間培養した後、4800rpm、5分間の遠心操作により沈殿したMBES04株細胞を得た。MBES04株細胞より、DNA抽出キットNucleoSpin(登録商標) Plant II(タカラバイオ社製)を用いて全DNAを抽出した。全DNAを鋳型として、プライマー27f(5’−AGAGTTTGATCCTGGCTCAG−3’)(配列番号1)、1525r(5’−AAAGGAGGTGATCCAGCC−3’)(配列番号2)を用いてPCRを行い、得られた増幅断片の塩基配列を解析した。PCR及び塩基配列解析の条件は以下の通りである。
PCR条件
1× PCR buffer (MgCl含有)200 μm dNTPs, 0.6 μm 27f, 0.6 μm 1525r, 1.4 U of LA Taq DNA (ポリメラーゼタカラバイオ社製)
サーマルサイクラー温度条件97℃ 2分、[97℃30秒、60℃1分、72℃90秒]×30サイクル、72℃ 5分
塩基配列解析
BigDye(登録商標) Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit、v3.1(Applied Biosystems社製)
ABI 3730 XL DNA Analyzer (Applied Biosystems社製)
上記塩基配列解析した塩基配列(16S ribosomal RNAをコードするDNA塩基配列)(配列番号3)(アクセッション番号:AB733576)をNCBI nucleotide database16S ribosomal RNA sequences(Bacteria and Archaea)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast)に対してMegablast(Optimize for highly similar sequences)法にてBLAST検索したところ、MBES04株はノボスフィンゴビウム(Novosphingobium)属に属する微生物であることが分かった。
また、MBES04株にもっとも近縁な種は、ノボスフィンゴビウム・ペンタロマチボランス(Novosphingobium pentaromativorans)(アクセッション番号NR_041046)及びノボスフィンゴビウム・パニパテンス(Novosphingobium panipatense)(アクセッション番号NR_044210)であった。しかし、16S ribosomal RNA−DNAの一致性(同一性)が97%であったことから、MBES04株はノボスフィンゴビウム属細菌に属する新種細菌であると判断した。そこで本発明者らは、MBES04株をノボスフィンゴビウム・スピーシーズ(Novosphingobium sp.) MBES04と命名し、保存サンプルを、微生物の識別の表示を「Novosphingobium sp.MBES04」とし、かつ、国際寄託番号を「NITE P−01797」として、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に2014年1月30日付けで国内寄託されたものに基づいて国際寄託した。
[実施例4.MBES04株の性質調査]
MBES04株は以下の条件で培養が可能であった。
培地:0.1%W/V MgSOを含む栄養液体・固体培地
温度:10−45℃(最適温度30℃)
pH:5.5−8.5(最適pH6)
NaCl濃度:0−6%W/V(最適濃度1%W/V)
MBES04株の菌学的性質は以下の通りである。
(1)形態的性質
0.3〜0.8×2〜3μmの桿菌である。
(2)培養的性質
寒天平板培養(0.1%W/V MgSO添加LB培地);30℃、48時間で直径0.5〜1.5mmの円形コロニーを形成する。コロニーは、その全縁はなめらかであり、低凸状であり、光沢があり、黄色を呈する。
MBES04株の生理学的性質について、アピザイムによる生理学的性質試験結果を以下の表1に示す。酵素活性が認められた場合を+、認められなかった場合を−とした。
バイオログ社製GN2プレートを用いたMBES04株の基質資化能の試験結果を表2に示す。資化性が認められた場合を+、認められなかった場合を−とした。
また、非特許文献Int J Syst Evol Microbiol. 2009 Jan;59(Pt 1):156−61. Gupta SK et al.に記載のNovosphingobium pentaromativorans及びNovosphingobium panipatenseの性状とMBES04株の性状を比較した。結果を表3に示す。MBES04株の性質調査結果から、MBES04株は、少なくともキシロース資化能を有する点で、Novosphingobium pentaromativorans及びNovosphingobium panipatenseと相違する微生物株であることがわかった。
[実施例5.草植物系バイオマスからのフェニルプロパン構造を有する化合物の生産]
イナワラ抽出液からのフェニルプロパン構造を有する化合物の製造を、以下の手順で行った。
乾燥イナワラ粉末50gを、リグニンを抽出するのに適した溶媒として広く認められているジオキサン300mL及び水15mLの混合液に懸濁し、室温で6日間浸漬した。浸漬後、懸濁液をろ紙で固形物をろ別し、ろ液を得た。ろ液をエバポレーターで減圧乾固した後、デシケーターにて乾燥させ、2.65gの固形物を得た。固形物に酢酸エチル50ml、純水70mLを添加し固形物を溶解した。酢酸エチル層を抜き取りエバポレーターで減圧乾固し、固形物0.86gを得た。この固形物を10%W/VとなるようにDMFに溶解して、リグニン含有イワナラ抽出液を得た。
イオン交換水にDifcoイーストエキストラクト(ベクトンディッキンソン社製)を0.5%W/V、MgSO(和光純薬社製)を0.1%W/V終濃度となるように添加した後、少量の1N NaOHを滴下してpHを6.5に調製し、0.22μMのフィルターでろ過滅菌した。得られたろ液に、上記リグニン含有イナワラ抽出液1/40容量を無菌的に添加し、無菌培地とした。本無菌培地中のジオキサン抽出物濃度は2.5mg/mLである。本無菌培地を実施例2に記載の条件で逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析に供したところ、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテル(化合物I)は検出されなかった。
得られた無菌培地に、MBES04株を植菌し、30℃で48時間振とう培養した後、培養液を10000rpm、5分間の遠心操作に供して培養上清を得た。得られた培養上清0.5mLを固相抽出法(OASIS WAX ;ウォーターズ社製)にて精製し、窒素ガス下にて乾固した。乾固後の残渣を、0.5mLの20%V/V アセトニトリルに溶解し、実施例2に記載の条件で逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析に供した。比較対象として、MBES04株を植菌しないサンプルを同様に処理し、同分析に供した。
逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析の結果、MBES04株の作用により、化合物III 1.10μg/mLが生成されていることが確認された。MBES04株を接種しない場合は0.02μg/mLであった。収率は、イナワラジオキサン酢酸エチル可溶性画分乾燥固形物に対して0.04%W/Wであった。また、分析の結果、化合物IIIよりも分子量が30ほど大きなイオン(225.1m/z)が検出された。これは化合物IIIと比較してメトキシ基が一つ多い化合物に相当する。マスクロマトグラムの面積値から、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンの検量線(感度補正無)に基づいて計算すると、0.08μg/mL相当の濃度と計算された。また、化合物IIIと比較して、分子量が30小さいイオン(m/z165.1)が検出された。これは化合物IIIと比較してメトキシ基が一つ少ない化合物に相当する。マスクロマトグラムの面積値から、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノン検量線(感度補正無)に基づいて計算すると、本化合物が0.73μg/mL相当の濃度で生成されていることが確認された。MBES04株を接種しない場合は、化合物IIIとその誘導体は0.01μg/mL以下であった。
[実施例6.木質系バイオマスからのフェニルプロパン構造を有する化合物の生産]
カシオガクズ抽出液からのフェニルプロパン構造を有する化合物の製造を、以下の手順で行った。
乾燥カシオガクズ粉末20gを、ジオキサン100mL及び水5mLの混合液中に懸濁し、室温にて5日間浸漬した。浸漬後の懸濁液から、ろ紙でろ過することにより固形分を除去し、ろ液を得た。
得られたろ液をエバポレーターで減圧乾固し、カシジオキサン抽出物0.53gを得た。このカシジオキサン抽出物を10%W/V DMFに溶解した。イオン交換水にDifcoイーストエキストラクト(ベクトンディッキンソン社製)を0.5%W/V MgSO(和光純薬社製)を0.1%W/V終濃度となるように添加した後、少量の1N NaOHを滴下し、pHを6.5に調製し、0.22μMのフィルターでろ過滅菌した。得られたろ液に、カシジオキサン抽出物DMF溶液1/40容量を無菌的に添加し、無菌培地とした。本無菌培地中のカシジオキサン抽出物濃度は2.5mg/mLである。本無菌培地を前述の条件で逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析に供したところ、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテル(化合物I)は検出されなかった。
得られた無菌培地に、MBES04株を植菌し、30℃で48時間振とう培養した後、培養液を10000rpm、5分間の遠心操作に供して培養上清を得た。得られた培養上清0.5mLを固相抽出法(OASIS WAX ;ウォーターズ社製)にて精製し、窒素ガス下にて乾固した。乾固後の残渣を、0.5mLの20%V/V アセトニトリルに溶解し、前述の条件で逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析に供した。比較対象として、MBES04株を植菌しないサンプルを同様に処理し、同分析に供した。
逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析の結果、MBES04株の作用により、化合物IIIが0.93μg/mLが生成されていることが確認された。MBES04株を接種しない場合は0.02μg/mLであった。収率は、カシジオキサン抽出物に対して0.04%W/Wであった。また、分析の結果、化合物IIIよりも分子量が30ほど大きなイオン(225.1m/z)が検出された。これは化合物IIIと比較してメトキシ基が一つ多い化合物に相当する。マスクロマトグラムの面積値から0.30μg/mLの濃度と計算された。逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析の結果、MBES04株の作用により、化合物IIIと比較して、分子量が30小さいイオン(m/z165.1)も検出された。マスクロマトグラムの面積値から、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノン検量線(感度補正無)に基づいて計算すると、本化合物が0.90μg/mL相当の濃度で生成されていることが確認された。
[実施例7.農業廃棄物系バイオマスからのフェニルプロパン構造を有する化合物の生産]
シイタケ廃菌床からのフェニルプロパン構造を有する化合物の製造を、以下の手順で行った。
乾燥シイタケ廃菌床粉末10gを10%W/Vとなるようにイオン交換水中に懸濁し、60℃にて3時間水浴中で保温した。保温後の懸濁液から、ろ紙でろ過することにより固形分を除去して、ろ液を得た。除去した固形分の乾燥重量は1.88gであった。また、ろ液をUPLC−飛行時間型精密質量分析に供したところ、ろ液中のグアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテル(化合物I)は検出されなかった。
得られたろ液に少量の1N NaOHを滴下し、pHを6.5に調製した後、Difcoイーストエキストラクト(ベクトンディッキンソン社製)を0.5%W/V終濃度になるように、さらにMgSO(和光純薬社製)を0.1%W/V終濃度となるように添加した。得られた液体を0.22μMのフィルターでろ過滅菌した無菌培地に、MBES04株を植菌した。30℃で72時間培養した後、培養液を10000rpm、5分の遠心操作に供して培養上清を得た。得られた培養上清0.5mLを固相抽出法(OASIS WAX ;ウォーターズ社製)にて精製し、窒素ガス下にて乾固した。乾固後の残渣を、0.5mLの20%V/V アセトニトリルに溶解し、実施例2に記載の条件で逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析に供した。
逆相UPLC−飛行時間型精密質量分析の結果、MBES04株の作用により、化合物III 2.96μg/mLが生成されていることが確認された。MBES04株を接種しない場合は0.09μg/mLであった。収率は、シイタケ廃菌床温水抽出物に対して0.02%W/Wであった。また、分析の結果、化合物IIIよりも分子量が30ほど大きいイオン(225.1m/z)が検出された。マスクロマトグラムの面積値から、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノン検量線(感度補正無)に基づいて計算すると、本化合物が1.61μg/mL相当の濃度で生成されていることが確認された。また化合物IIIよりも分子量が30ほど小さいイオン(165.1m/z)も検出され、5.89μg/mLの濃度と計算された。
[実施例8.MBES04株による3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンの生成効率の測定]
1M グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエーテル(化合物I・GGGEと略記)、5mM MgSOLB培地を含む培地120mLにMBES04株を接種し、30℃で振とう培養を行った。培養開始から48時間後までは6時間経過するごとに、48時間経過後は24時間経過ごとに培養液を2mL抜き取り14000rpm 5分間の遠心操作で培養上清を得た。培養上清に9−ヒドロキシフルオレンを内部標準物質として終濃度0.025mMとなるよう添加し、メタノールで10倍希釈した後、14000rpm 5分間の遠心で不溶性物を除去した。得られた上清を実施例1に記載されているのと同一の条件でHPLC分析に供し、化合物Iの減少と新たに生成した代謝生成物を定量した。分析操作中の誤差による影響を防ぐため、定量値は内部標準物質の面積値を基に補正した。それぞれの成分が、初期添加濃度の1mMの濃度で回収された場合を100%として生成率を算出した。その結果、化合物IIIを30時間以降、50%以上の収率で回収することができた。化合物IIIは、培養時間を120時間に延長しても減少せず、MBES04株の培養液から50%以上の収率で回収可能であった(図1を参照)。48時間のサンプルを用いて得られたクロマトグラムを図2に示した。
[配列番号1]プライマー27f
AGAGTTTGATCCTGGCTCAG
[配列番号2]プライマー1525r
AAAGGAGGTGATCCAGCC
[配列番号3]MBES04株の16S ribosomal RNA−DNA
AACGAACGCTGGCGGCATGCCTAACACATGCAAGTCGAACGAACCCTTCGGGGTTAGTGGCGCACGGGTG
CGTAACACGTGGGAATCTGCCTCTTGGTTCGGAATAACAGTGAGAAATTACTGCTAATACCGGATGATGA
CTTCGGTCCAAAGATTTATCGCCAAGAGATGAGCCCGCGCAGGATTAGGTAGTTGGTGGGGTAAAGGCCT
ACCAAGCCGACGATCCTTAGCTGGTCTGAGAGGATGATCAGCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGAC
TCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGGACAATGGGCGAAAGCCTGATCCAGCAATGCCGCGTGAGT
GATGAAGGCCTTAGGGTTGTAAAGCTCTTTTACCAGGGATGATAATGACAGTACCTGGAGAATAAGCTCC
GGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGGAGCTAGCGTTGTTCGGAATTACTGGGCGTAAA
GCGCGCGTAGGCGGTTACTCAAGTCAGAGGTGAAAGCCCGGGGCTCAACCCCGGAACTGCCTTTGAAACT
AGGTGACTAGAATCTTGGAGAGGTCAGTGGAATTCCGAGTGTAGAGGTGAAATTCGTAGATATTCGGAAG
AACACCAGTGGCGAAGGCGACTGACTGGACAAGTATTGACGCTGAGGTGCGAAAGTGTGGGGAGCAAACA
GGATTAGATACCCTGGTAGTCCACACCGTAAACGATGATAACTAGCTGTCCGGGTTCTTGGAATTTGGGT
GGCGCAGCTAACGCATTAAGTTATCCGCCTGGGGAGTACGGTCGCAAGATTAAAACTCAAAGGAATTGAC
GGGGGCCTGCACAAGCGGTGGAGCATGTGGTTTAATTCGAAGCAACGCGCAGAACCTTACCAGCGTTTGA
CATCCTCATCGCGATTTCCAGAGATGGATTTCTTCAGTTCGGCTGGATGAGTGACAGGTGCTGCATGGCT
GTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTCATCCTTAGTTGCCA
GCATTTAGTTGGGCACTCTAAGGAAACTGCCGGTGATAAGCCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAGTCC
TCATGGCCCTTACACGCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGCGGTGACAGTGGGCAGCAAGTGCGCGAGC
ACAAGCTAATCTCCAAAAGCCGTCTCAGTTCGGATTGTTCTCTGCAACTCGAGAGCATGAAGGCGGAATC
GCTAGTAATCGCGGATCAGCATGCCGCGGTGAATACGTTCCCAGGCCTTGTACACACCGCCCGTCACACC
ATGGGAGTTGGTTTCACCCGAAGGTAGTGTGCTAACCGCAAGGAGGCAGCTAACCACGGTGGGATCAGCG
ACTGGGGTGAAGTCGTAACAAGGTAGCCGTAGGGGAACCTGC
本発明の製造方法や微生物によって、天然のリグニンやリグニン関連物質を含むバイオマスから3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンが得られる。3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノンは、種々の産業上有用な化合物に変換することができ、例えば、樹脂、接着剤、レジスト材料、医薬品などの原料として利用することが期待できる1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオールなどの製造方法の原料として利用することができる。

Claims (3)

  1. 天然物に由来するリグニン及び/又はリグニン関連物質を含むバイオマスに、ノボスフィンゴビウム・スピーシーズ(Novosphingobium sp.) MBES04(国際寄託番号:NITE BP−01797)を作用させることにより、フェニルプロパン系化合物を得る工程を含む、フェニルプロパン系化合物の製造方法。
  2. 前記フェニルプロパン系化合物が、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1−プロパノン、3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシ−3、5−ジメトキシフェニル)−1−プロパノン及び3−ヒドロキシ−1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−プロパノンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. ノボスフィンゴビウム・スピーシーズ(Novosphingobium sp.) MBES04(国際寄託番号:NITE BP−01797)。
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