JP2002034557A - リグニンの主要な単位間結合であるアリールグリセロール−β−アリールエーテル型結合の切断酵素、その製造方法およびその生産微生物 - Google Patents

リグニンの主要な単位間結合であるアリールグリセロール−β−アリールエーテル型結合の切断酵素、その製造方法およびその生産微生物

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JP2002034557A JP2000217648A JP2000217648A JP2002034557A JP 2002034557 A JP2002034557 A JP 2002034557A JP 2000217648 A JP2000217648 A JP 2000217648A JP 2000217648 A JP2000217648 A JP 2000217648A JP 2002034557 A JP2002034557 A JP 2002034557A
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Satoko Shiraki
聡子 白木
Tatsuhiko Oe
達彦 大江
Takashi Omoto
貴士 大本
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Rengo Co Ltd
Osaka City
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Rengo Co Ltd
Osaka City
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リグニンの主要な単位間結合であるアリール
グリセロール−β−アリールエーテル型結合を特異的か
つ還元的に切断する水溶性エーテラーゼ、その製造方法
およびその生産微生物を提供すること。 【解決手段】 アリールグリセロール−β−アリールエ
ーテル型結合を特異的かつ還元的に切断する活性を有す
る水溶性エーテラーゼを生産する微生物を培養し、培養
物から該水溶性エーテラーゼを採取する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リグニンの主要な
単位間結合であるアリールグリセロール−β−アリール
型結合(以下、β−アリールエーテル型結合と称する)
を特異的に切断する酵素(以下、エーテラーゼと称す
る)、その製造方法およびその生産微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、製紙用パルプの漂白には、塩素が
用いられている。しかしながら、塩素は生態系に影響を
及ぼすばかりでなく、猛毒であり、かつ環境ホルモンと
しても人体に与える影響が懸念されているダイオキシン
等の有害な有機塩素化合物を発生させる。そこで、環境
問題等の観点から、塩素に替えて微生物を用いるバイオ
漂白法の研究開発が進められている。
【0003】木材等のリグノセルロース物質に白色腐朽
菌を接種、培養することによってリグニンを分解し、セ
ルロースパルプを製造する試みがなされている(特開昭
50−46903号公報)。しかしながら、この方法で
用いる白色腐朽菌は共存するセルロースをも分解してし
まう問題があり、また、この問題を解消するためにセル
ラーゼ欠損変異株を用いた場合には、本来のリグニン分
解力が弱まってしまう等の問題がある。従って、白色腐
朽菌を用いる方法は実用化には至っていない。さらに、
白色腐朽菌そのものではなく、白色腐朽菌のリグニン分
解酵素をリグノセルロース物質に作用させ、リグニンの
みを選択的に分解させようとする試みがなされている
が、この場合、分解活性は非常に弱く、逆に主として重
合が進行することが報告されている。
【0004】また、白色腐朽菌が生産する酵素は、リグ
ニン分解反応の特異性が非常に低いため、分解生成物の
構造に統一性がない。そのため、分解生成物の工業原料
としての利用については検討されていない。
【0005】ところで、天然リグニン中にはβ−アリー
ルエーテル型結合が約50%存在していることから、β
−アリールエーテル型結合を分解することは天然リグニ
ンの分解において極めて意義がある。このβ−アリール
エーテル型結合の特異的な分解酵素としては、細菌由来
のものが知られている(FEBS Lett. 249, 348(198
9))。該酵素が作用する基質については、遊離フェノー
ル性水酸基を有する化合物の分解のみが知られており、
遊離フェノール性水酸基を有しない化合物については言
及されていない。また、該酵素は膜蛋白質であり、本来
の細菌からは酵素を得ることが難しいため、大量に酵素
を得るには遺伝子操作を行う必要があることが報告され
ている(特開平3−103181号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、リグ
ニンの主要な単位間結合であるβ−アリールエーテル型
結合を特異的に分解する新規エーテラーゼ、その製造方
法およびその生産微生物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため、森林や市街地等の立地の異なる数十種
類の土壌から、有機合成したリグニン関連化合物を分解
する微生物のスクリーニングを行った。その結果、新規
な菌株を単離することに成功した。数種のリグニンモデ
ル化合物を基質として本菌株による分解生成物を解析し
た結果、リグニンの主要な単位間結合であるβ−アリー
ルエーテル型結合を分解すること、および該菌株より生
産されるβ−アリールエーテル型結合を特異的かつ還元
的に切断する酵素が膜蛋白質ではない新規な酵素である
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は以下の通りである。 〔1〕下記の理化学的性質を有するエーテラーゼ: (a)作用:リグニンの主要な単位間結合であるアリー
ルグリセロール−β−アリールエーテル型結合を特異的
かつ還元的に切断する; (b)水溶性である; (c)至適pH:約8.9; (d)安定pH範囲:7〜8; (e)至適温度:約40℃; (f)熱安定性:約35℃以下で安定; (g)活性化:グルタチオンで活性化される; (h)安定化:ジチオトレイトールで安定化される; (i)基質特異性:1−(4−ヒドロキシ−3−メトキ
シフェニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフ
ェノキシ)プロパン−1−オンおよび1−(4−ベンジ
ロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2
−(2−メトキシフェノキシ)プロパン−1−オンのア
リールグリセロール−β−アリールエーテル型結合を特
異的かつ還元的に切断する。 〔2〕Brevundimonas属に属する微生物から採取し得る
ものである上記〔1〕のエーテラーゼ。 〔3〕微生物が、Brevundimonas vesicularisに属する
微生物である上記〔2〕のエーテラーゼ。 〔4〕微生物が、Brevundimonas vesicularis REN-5
(FERM P−17848)である上記〔3〕のエー
テラーゼ。 〔5〕Brevundimonas属に属する微生物を培地中で培養
し、得られる培養物から採取することを特徴とする上記
〔1〕のエーテラーゼの製造方法。 〔6〕培地にアリールグリセロール−β−アリールエー
テル型結合を分子内に有する化合物を添加することを特
徴とする上記〔5〕の製造方法。 〔7〕上記〔1〕のエーテラーゼを生産する微生物Brev
undimonas vesicularisREN-5(FERM P−1784
8)。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のエーテラーゼは、下記の
理化学的性質を有する。
【0010】(a)作用 当該エーテラーゼは、リグニンの主要な単位間結合であ
るβ−アリールエーテル型結合を特異的かつ還元的に切
断する(当該活性を、以下、エーテラーゼ活性と称す
る)。該エーテラーゼ活性は、例えば、β−アリールエ
ーテル型結合を分子内に有する化合物(以下、β−アリ
ールエーテル型結合含有化合物と称する)として、1−
(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒド
ロキシ−2−(2−メトキシフェノキシ)プロパン−1
−オン(化合物I)を用いた場合、図1のように示すこ
とができる。ここで、化合物Iのβ−アリールエーテル
型結合が還元的に切断されると、1−(4−ヒドロキシ
−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシプロパン−
1−オン(化合物II)と、グアイアコール(化合物II
I)が生成される。
【0011】(b)水溶性 当該エーテラーゼは水溶性の酵素である。該酵素が水溶
性であるとは、該酵素が膜蛋白質でないこと、すなわ
ち、界面活性剤等の可溶化剤を含有しない緩衝液中で、
菌体破砕液を100,000×g、60minの遠心分
離を行った場合、その酵素活性が上清に存在し、かつ細
胞膜等の細胞の膜成分や界面活性剤等の可溶化剤が存在
しなくてもエーテラーゼ活性を有することをいう。従っ
て、微生物等の細胞から該酵素を採集する場合や、エー
テラーゼ活性を発現させる場合等において、膜酵素であ
る場合に必要となる細胞の膜成分や、界面活性剤等の可
溶化剤が必要でないことから、その採集や活性の発現が
容易である。
【0012】(c)至適pH 当該エーテラーゼは、30℃でのエーテラーゼ活性を指
標とすると、その至適pHは約8.9である。
【0013】(d)安定pH範囲 当該エーテラーゼは、4℃で24時間保持した後の残存
活性を指標とすると、pH7〜8の範囲で安定である。
【0014】(e)至適温度 当該エーテラーゼは、pH8.0の緩衝液中でのエーテ
ラーゼ活性を指標すると、その至適温度は約40℃であ
る。
【0015】(f)熱安定性 当該エーテラーゼは、pH8.0の緩衝液中に10分間
保温後氷冷した後の残存酵素活性を指標とすると、約3
5℃以下で安定である。
【0016】(g)活性化 当該エーテラーゼは、pH8.0の緩衝液中、30℃で
のエーテラーゼ活性を指標とすると、活性化にはグルタ
チオンが必要である。
【0017】(h)安定化 当該エーテラーゼは、pH8.0の緩衝液に7日間透析
した後の残存酵素活性を指標とすると、ジチオトレイト
ールで安定化される。
【0018】(i)基質特異性 当該エーテラーゼは、pH8.0の緩衝液中、30℃で
のエーテラーゼ活性を指標とすると、1−(4−ヒドロ
キシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−
(2−メトキシフェノキシ)プロパン−1−オン(化合
物I)および1−(4−ベンジロキシ−3−メトキシフ
ェニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェノ
キシ)プロパン−1−オン(後記表6、化合物IX)のβ
−アリールエーテル型結合を特異的かつ還元的に切断す
るが、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシルエ
ーテル(図3、化合物VIII)のβ−アリールエーテル型
結合を切断しない。
【0019】このようなエーテラーゼの具体例として
は、後述のBrevundimonas vesicularis REN-5(FER
M P−17848)由来のエーテラーゼが挙げられ
る。
【0020】本発明のエーテラーゼの由来は特に限定さ
れず、動物、植物、微生物(細菌、放線菌、酵母、糸状
菌等)、ならびにそれらの組織および細胞由来のものが
挙げられる。なかでも生産が容易なことから、微生物由
来のものが挙げられる。当該微生物としては、上記エー
テラーゼを生産する微生物であれば特に限定されない
が、好ましくはBrevundimonas属に属する微生物、より
好ましくはBrevundimonasvesicularisに属する微生物、
特に好ましくは後述するBrevundimonas vesicularis RE
N-5(FERM P−17848)が挙げられる。以
下、これらの微生物を得るための好ましい実施態様の一
つについて説明する。
【0021】まず、適当な場所から採取した土壌試料
を、グアイアシルグリコール−β−O−(β−メチルウ
ンベリフェリル)エーテル(図2、化合物IV)等のβ−
アリールエーテル型結合含有化合物と窒素源等の無機塩
を含む培地に加え、培養を行う。次いで、同じ組成の新
しい培地に複数回植え継ぎながら同様に培養を行い、生
育した菌を分離する(集積培養)。次いで、得られた菌
を、ペプトン・酵母エキス培地(後記表3)等の寒天培
地上で培養する。この菌体を、β−アリールエーテル型
結合含有化合物を含有する培地に加え、エーテラーゼ活
性を測定することにより、有意にエーテラーゼ活性を有
する酵素を生産する菌株をスクリーニングすることがで
きる。
【0022】上記スクリーニングにおいて、エーテラー
ゼ活性を測定する方法としては、β−アリールエーテル
型結合の切断に際して特徴的な吸収波長を有する化合物
や蛍光体を生成するような化合物を使用する方法が好ま
しい。このような化合物としては、β−アリールエーテ
ル型結合の切断に際して蛍光体である4−メチルウンベ
リフェロン(図2、化合物VII)を生成するようなグア
イアシルグリコール−β−O−(β−メチルウンベリフ
ェリル)エーテル(化合物IV)およびα−O−(β−メ
チルウンベリフェリル)アセトバニロン(図2、化合物
V)等が挙げられる。以下、化合物IVを用いる方法の一
例を、図2を参照して説明する。
【0023】図2に示されるように、化合物IVは、その
β−アリールエーテル型結合が切断されるとアセトバニ
ロン(化合物VI)と、4−メチルウンベリフェロン(化
合物VII)に分解される。該化合物VIIは、50mM グ
リシン−NaOH緩衝液(pH10)中で360nm付
近の励起光を照射すると、450nm付近の蛍光を発す
る。従って、エーテラーゼの作用により化合物IVのβ−
アリールエーテル型結合が切断されると化合物VIIが生
成されるので、該化合物VIIによる蛍光を測定すること
で該酵素反応を定量的に測定することができる。
【0024】上記のようにしてスクリーニングされたβ
−アリールエーテル型結合を切断するエーテラーゼ生産
菌株の一つとして、本発明者らにより大阪府下の森林の
土壌より新たに分離されたREN−5株が挙げられる。
該菌株の菌学的性質は以下の通りである。
【0025】(1)形態的性質 0.8×2〜3μmの桿菌である。極毛を有し、運動性
を有する。また、胞子は有さない。
【0026】(2)培養的性質 (a)寒天平板培養(ペプトン・酵母エキス培地);3
0℃、96時間で直径0.5〜1.5mmの円形コロニ
ーを形成する。コロニーは、その全縁はなめらかであ
り、低凸状であり、光沢があり、黄色を呈する。 (b)肉汁液体培養:懸濁 (c)リトマスミルク:不変
【0027】(3)生理学的性質 生理学的性質については以下の表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】以上の菌学的性質に基づいて、REN−5
株は、Brevundimonas vesicularisに属すると結論され
た。しかしながら、REN−5株はこれまでに報告され
ていない新規な酵素を生産する微生物であることから、
新菌株と設定することが妥当であるとの結論に達した。
そこで本発明者らは、REN−5株をBrevundimonasves
icularis REN-5と命名し、保存サンプルを2000年5
月10日付で通商産業省工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託した(受託番号:FERM P−1784
8)。
【0030】次に、REN−5株等のエーテラーゼの生
産微生物を培養することによる本発明のエーテラーゼの
製造方法について説明する。
【0031】まず、エーテラーゼの生産能力がある微生
物を、当該酵素を生産する状態で通常の方法にて培養す
る。使用する培地としては、使用する微生物が資化しう
る炭素源、窒素源、無機物、その他の必要な栄養素を適
量含有するものであれば、合成培地、天然培地のいずれ
でもよい。また、大量培養のためには、液体培地を用い
ることが好ましい。
【0032】炭素源としてはグルコース、フラクトー
ス、キシロース、サッカロース、マルトース、可溶性澱
粉、糖蜜、グリセロール、マンニトール等の一般的に使
用されるものを用いることができるが、培養する微生物
がβ−アリールエーテル型結合含有化合物を資化し得る
場合や、エーテラーゼの生産を誘導するために該化合物
を必要とする場合、培地には、該化合物を添加すること
が好ましい。また、培養する微生物がβ−アリールエー
テル型結合含有化合物以外の通常の炭素源となる化合物
を資化することが困難である場合や、資化できない場
合、β−アリールエーテル型結合含有化合物のみを炭素
源としてもよい。該化合物としては、グアイアシルグリ
コール−β−O−(β−メチルウンベリフェリル)エー
テル(化合物IV)、α−O−(β−メチルウンベリフェ
リル)アセトバニロン(化合物V)、1−(4−ヒドロ
キシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−
(2−メトキシフェノキシ)プロパン−1−オン(化合
物I)、グアイアシルグリセロール−β−グアイアシル
エーテル(化合物VIII)、1−(4−ベンジロキシ−3
−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メ
トキシフェノキシ)プロパン−1−オン(化合物IX)等
が挙げられる。なかでも、エーテラーゼ活性の確認が容
易にできることから、β−アリールエーテル型結合が切
断されると蛍光体である4−メチルウンベリフェロン
(化合物VII)を生成する化合物IVおよび化合物Vが好ま
しい。また、該化合物の培地中の濃度は、通常0.01
〜1%(w/v)、好ましくは0.02〜0.1%(w
/v)とする。
【0033】窒素源としては、ペプトン、酵母エキス、
麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、大豆粉、コーンス
ティープリカー等の天然窒素源、尿素等の有機窒素源、
および硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモ
ニウム、酢酸アンモニウム等の無機窒素源を用いること
ができる。また、この他に必要に応じてリン酸塩、硫酸
マグネシウム、硫酸鉄、硫酸銅等の無機塩、およびビタ
ミン等も微量栄養素として使用できる。さらに、各種の
抗生物質等を含んでいてもよい。これらの培地成分は微
生物の生育を害しない濃度であれば特に制限はない。
【0034】上記培地において、一般的に炭素源(上記
β−アリールエーテル型結合含有化合物を含めて)は
0.01〜5%(w/v)、好ましくは0.02〜1%
(w/v)、窒素源は0.01〜5%(w/v)、好ま
しくは0.1〜2%(w/v)の濃度とする。
【0035】微生物の培養に際して、まず、その微生物
の胞子、菌糸あるいは予め培養して得られた前培養液を
上記培地に接種し培養する。培養は、通常、通気攪拌培
養、振盪培養または静置培養で行う。また、温度、培地
のpHおよび培養時間等の培養条件は、培養する微生物
の種類に応じて本発明のエーテラーゼが大量に生産され
るように適宜設定することができるが、通常、培養温度
は10〜40℃、好ましくは25〜35℃とし、培地の
pHは4〜9、好ましくは5〜8とする。また、培養時
間は、通常、1〜3日間である。
【0036】上記のようにして培養することにより、培
養物(微生物の細胞内および/または培養液)中にβ−
アリールエーテル型結合を切断するエーテラーゼが蓄積
される。これらの培養物からのエーテラーゼの採取は、
一般に使用される酵素精製法を用いることができる。
【0037】例えば、酵素が菌体内に生産される場合、
次のようにして行うことができる。培養液より遠心分離
または濾過等の分離手段により菌体を回収し、菌体を溶
菌することによって粗酵素液を得る。溶菌の方法として
は、超音波破砕、ガラスビーズを用いる機械的な破壊、
フレンチプレス、界面活性剤等の一般に菌体の溶菌に使
用される方法を用いることができる。次いで、得られた
粗酵素液から、一般に酵素タンパク質の単離精製に使用
される分離技術を適宜組み合わせることによって、目的
の酵素を単離精製することができる。具体的には、塩
析、溶媒沈殿法等の溶解度の差を利用する方法;透析、
限外濾過、ゲル濾過、PAGE、SDS−PAGE等の
分子量の差を利用する方法;イオン交換クロマトグラフ
ィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー等の
荷電を利用する方法;アフィニティークロマトグラフィ
ー等の特異的親和性を利用する方法;逆相高速液体クロ
マトグラフィー等の疎水性の差を利用する方法;等電点
電気泳動等の等電点の差を利用する方法等が挙げられ
る。
【0038】以上のようにして得られる本発明のエーテ
ラーゼは、リグニンの主要な単位間結合であるβ−アリ
ールエーテル型結合を切断する活性を有し、かつ水溶性
であるので生産および取り扱いが容易である。従って、
該酵素は、木材等を原料とする製紙用パルプの漂白等の
紙パルプ製造工程や、木材の糖化において、糖化の前段
の処理としてリグニンを分解することによって、セルラ
ーゼの作用を高めるという、いわゆるセルロース系バイ
オマス利用の分野、さらにリグニンを分解し、生化学的
に変換利用するといった、リグニン系バイオマス利用の
分野等のリグニンの分解が所望される様々な用途に好適
に適用することができる。
【0039】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、これらは単なる例示であって何ら本発明の
範囲を限定するものではない。なお、実施例において、
エーテラーゼ活性は以下の方法で測定した。
【0040】〔エーテラーゼ活性測定方法〕図1に示す
反応を利用してエーテラーゼ活性を測定した。まず、終
濃度が1mM 1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフ
ェニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェノ
キシ)プロパン−1−オン(化合物I)、4mM グル
タチオンになるように加えた20mM トリス−塩酸緩
衝液(pH8.0)を、30℃で数分間保持し、温度を
均一にした。その後、適当に希釈した酵素液を加えて反
応を開始した(総容量50μl)。30℃で数分間保持
した後、400mMリン酸水溶液12.5μlを加え、
反応を停止した。反応液を下記条件で逆相HPLC分析
した。活性は化合物Iのβ−アリールエーテル型結合の
切断により生成するグアイアコール(化合物III)の2
80nmにおける吸光ピーク面積により定量した。
【0041】〔逆相HPLC条件〕 カラム;NUCLEOSIL100-3C18(Chemco製)、4.6 mm I.D.
x 50 mm L. 溶離液;アセトアルデヒド:[10mM リン酸二水素
カリウム、1mM テトラ−n−ブチルアンモニウム硫
酸水素塩]=1:2.5 温度;40℃ 流速;0.5ml/min
【0042】実施例1 REN−5株のスクリーニング (1)第1次スクリーニング 大阪府および京都府下の森林より採取した土壌約0.1
gを、グアイアシルグリコール−β−O−(β−メチル
ウンベリフェリル)エーテル(化合物IV)を単一炭素源
とする表2に示す液体培地に接種し、30℃で3〜5日
間振盪培養を行った。2〜3回の集積培養を行った後、
培養液に50mM グリシン−NaOH緩衝液(pH1
0.0)を加え、365nmの励起光を照射して、45
0nmの蛍光を検出した。約60試料から、化合物IVの
β−アリールエーテル型結合の切断により生成した4−
メチルウンベリフェロン(化合物VII)に起因する蛍光
を発した6試料を得た。
【0043】
【表2】
【0044】(2)第2次スクリーニング 上記(1)で得られた6試料を表3に示す組成の寒天培
地に塗布し、30℃で3〜7日間培養した。得られたコ
ロニーを表2に示す培地へ接種し、振盪培養した。培養
液を酢酸エチルで抽出し、N,O−ビス(トリメチルシ
リル)アセトアミドでTMS化した。これをGC/MS
分析した(HEWLETT PACKARD製5890 SERIES II、JEOL製J
MS-AX500)。その結果、REN−5株と命名した分離株
においてm/e 238、248、412のマススペクトルが得られ
た。従って、REN−5株は図2に示すように化合物IV
のβ−アリールエーテル型結合を還元的に分解したこと
がわかった。また、同様に分析したところ、図3に示す
反応を行うことも確認された。以後、REN−5株を用
いて実験を行った。
【0045】
【表3】
【0046】実施例2 REN−5株由来エーテラーゼ
の精製 〔1〕REN−5株の培養 REN−5株を表3に示すペプトン・酵母エキス寒天培
地スラント上で30℃、5日間培養した。これを同じ組
成からなるペプトン・酵母エキス液体培地10mlを含
む太口試験管に植菌し、30℃、4日間1次前培養を行
った。1次前培養液0.5mlを、ペプトン・酵母エキ
ス液体培地100mlを含む500ml容坂口フラスコ
に植菌し、30℃、3日間2次前培養を行った。2次前
培養液200mlを、ペプトン・酵母エキス液体培地1
5lを含む30l容ジャーファーメンターに植菌し、3
0℃、3日間通気攪拌培養した。培養液を9,040×
g、15minで遠心分離し、15lの培地から約10
0gの菌体を得た。
【0047】〔2〕エーテラーゼの精製 上記〔1〕で得られた菌体を、1mM ジチオトレイト
ールを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
(緩衝液A)に懸濁し、超音波破砕した。これを4℃に
て18,600×g、30minで遠心分離し、上清を
粗酵素液とした。該粗酵素液を、緩衝液Aに1夜透析し
た。透析後の酵素液をDEAE−セルロース(和光純薬
(株)製)カラムクロマトグラフィーにかけ、0〜40
0mM 塩化ナトリウムで段階溶出した。エーテラーゼ
活性画分を回収し、硫酸アンモニウムを800mMにな
るように加え、Phenyl-TOYOPEARL(東ソー(株)製)ク
ロマトグラフィーにかけた。800〜0mM 硫酸アン
モニウムの直線濃度勾配で溶出して、エーテラーゼ活性
画分を回収した。得られた酵素液を、緩衝液Aに1夜透
析し、MONO-Q(アマシャムファルマシアバイオテク
(株)製)カラムクロマトグラフィーにかけた。0〜3
00mM 塩化ナトリウムの直線濃度勾配で溶出し、エ
ーテラーゼ活性画分を回収した。得られた酵素液を、緩
衝液Aに透析し、精製エーテラーゼとして用いた。
【0048】〔3〕エーテラーゼによる分解生成物の構
造解析 (a)分解生成物の調製 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼを用いて、上記
活性測定方法に準じて化合物Iの分解反応を行った。時
間は3時間、反応液量は80mlとした。反応終了後、
上記活性測定方法に記載される条件で逆相HPLC分離
を行った。280nmにおける2つの吸光ピーク画分を
分取し、それぞれ精製分解生成物AおよびBとした。
【0049】(b)分解生成物のGC/MS分析 上記(a)で得られた精製分解生成物AおよびBをそれ
ぞれ、少量の酢酸エチルに溶解した。これらについて下
記条件でガスクロマトグラフ−二重収束型質量分析(G
C/MS分析)を行った。その結果、精製分解生成物A
のマススペクトルはm/e 196、精製分解生成物Bのマス
スペクトルはm/e 124であった。
【0050】〔GC/MS分析条件〕 ガスクロマトグラフ分析装置;HEWLETT PACKARD 5890 S
ERIES II カラム;DB-5HT(J&W Scientific製) 温度;50℃で5分間保持、10℃/minで昇温、2
50℃で10分間保持 質量分析装置;JEOL JMS-AX500、70eV
【0051】(c)精製分解生成物のNMR分析 上記(a)で得られた精製分解生成物AおよびBをそれ
ぞれDMSO−d6に溶解した。内部標準としてテトラ
メチルシランを加え、1H−NMRおよび13C−NMR
分析を行った(日本電子製JMN-AL300)。それぞれにつ
いて得られたケミカルシフト値を以下に示す。
【0052】精製分解生成物A;1 H-NMR δ(ppm):3.02(2H, t, J=6.5, β-H), 3.73(2H,
t, J=6.5, γ-H), 3.79(3H, s), 4.52(1H, s, アルコー
ル-H), 6.80(1H, d, J=8.1, Ar-H), 7.39(1H, s,Ar-H),
7.46(1H, d, J=8.4, Ar-H), 9.91(1H, s, フェノール-
H).13 C-NMR δ(ppm):40.7(β-C), 55.5(OCH3-C), 57.3(γ-
C), 111.0, 115.0, 123.4, 127.7, 147.8, 153.5(Ar-
C), 196.9(γ-C).
【0053】精製分解生成物B;1 H-NMR δ(ppm):3.75(3H, s), 6.75(3H, m, Ar-H), 6.8
9(1H, t, J=8.7, Ar-H),8.84(1H, s, フェノール-H).13 C-NMR δ(ppm):54.4(OCH3-C), 111.2, 114.4, 118.0,
119.7, 145.4, 146.5(Ar-C).
【0054】(d)分解生成物の構造 上記(b)および(c)の結果から、化合物Iの分解生
成物は1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)
−3−ヒドロキシプロパン−1−オン(化合物II)と、
グアイアコール(化合物III)であることがわかった。
該分解反応を図1に示す。
【0055】〔4〕エーテラーゼの特性解析 (a)水溶性 上記〔1〕で得られた菌体を、1mM ジチオトレイト
ールを含む20mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
に懸濁し、超音波破砕した。これを4℃にて18,60
0×g、30min遠心分離し、上清を得た(上清
1)。この上清を4℃にて100,000×g、60m
in遠心分離し、上清を得た(上清2)。上記活性測定
方法に準じて上清1および2の活性を測定した。上清2
は上清1の95.4%の活性を有していた。このことか
ら、該酵素は水溶性であることがわかった。
【0056】(b)至適pH 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼの活性を、pH
3.3〜12.6の各緩衝液中で上記活性測定方法に準
じて測定した。活性は最大活性値を100とした相対値
で表した。各pHにおける相対活性を図4に示す。該酵
素の至適pHは約8.9であった。
【0057】(c)安定pH範囲 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼをpH3.3〜
11.1の各条件下、4℃で24時間保持した後、上記
活性測定方法に準じてその活性を測定した。各pHにお
ける残存活性を図5に示す。該酵素はpH7〜8で安定
であった。
【0058】(d)至適温度 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼの活性を、5〜
60℃の各温度で上記活性測定方法に準じて測定した。
活性は最大活性値を100とした相対値で表した。各温
度における相対活性を図6に示す。該酵素の至適温度は
約40℃であった。
【0059】(e)熱安定性 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼを20mM ト
リス−塩酸緩衝液(pH8.0)中で、20〜55℃の
各温度で10分間保持した後、氷冷し、上記活性測定方
法に準じてその活性を測定した。各温度における残存活
性を図7に示す。該酵素は約35℃以下で安定であっ
た。
【0060】(f)活性化 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼの活性を、上記
活性測定方法においてグルタチオン(GSH)を他の各
種活性化剤(電子供与体)に置き換えて測定した。活性
はGSHを用いた場合の活性を100とした相対値で表
した。各種活性化剤を用いた場合における相対活性を表
4に示す。使用した他の活性化剤では活性は検出され
ず、該酵素の活性化にはGSHが必要であることがわか
った。
【0061】
【表4】
【0062】(g)安定化 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼを1mMの各種
安定化剤を含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH
8.0)に対して7日間透析した後、上記活性測定方法
に準じてその活性を測定した。各安定化剤の存在下にお
ける残存活性を表5に示す。該酵素はジチオトレイトー
ルで安定化されることがわかった。
【0063】
【表5】
【0064】(h)酵素学的パラメータ 上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼの化合物Iに対
するKmは、GSHの濃度を一定(4mM)にして、化
合物Iの濃度を5〜100μMの範囲で変化させて反応
を行った場合の反応速度から求めた。また、GSHに対
するKmは、化合物Iの濃度を一定(100μM)にし
て、GSHの濃度を0.4〜4mMの範囲で変化させて
反応を行った場合の反応速度から求めた。活性は上記活
性測定方法に準じて測定した。該酵素の化合物Iおよび
GSHに対するKmは、それぞれ6.6μMおよび2.
0mMであった。
【0065】(i)グルタチオン(GSH)との反応量
比 (1)2mM GSH、各濃度の化合物Iおよび上記
〔2〕で得られた精製エーテラーゼの酵素液を含む20
mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を、30℃で
30分間保持した後、反応液を下記条件で逆相HPLC
分析した。
【0066】〔逆相HPLC分析条件〕 カラム;NUCLEOSIL100-3C18(Chemco製)、4.6 mm I.D.
x 50 mm L. 溶離液;100mM ホウ酸カリウム、20mM テト
ラ−n−ブチルアンモニウム硫酸水素塩(pH8.0) 温度;30℃ 流速;0.8ml/min
【0067】次いで、オルトフタルアルデヒド(OP
A)でGSHを下記条件で誘導体化し、得られたOPA
誘導体化GSHの蛍光を励起波長348nm、蛍光波長
450nmで検出し、そのピーク面積から定量した。そ
の結果、加えた化合物Iの2倍量のGSHがグルタチオ
ンジスルフィド(GSSG)に酸化されたことがわかっ
た。
【0068】〔OPA誘導体化条件〕 反応液;100mM ホウ酸カリウム(pH10.
0)、0.08% OPA、0.04% N−アセチル
−L−システイン 流速;0.23ml/min 温度;30℃ 反応管;0.5 mm I.D. x 1 m L.
【0069】(2)1mM 化合物I、各濃度のGSH
および上記〔2〕で得られた精製エーテラーゼの酵素液
を含む20mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
を、30℃で30分間保持した。上記活性測定方法に準
じて分解生成物であるグアイアコール(化合物III)の
定量を行った。その結果、加えたGSHの0.5倍量の
化合物Iが分解されたことがわかった。
【0070】(j)基質特異性 基質として、1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェ
ニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェノキ
シ)プロパン−1−オン(化合物I)、グアイアシルグ
リセロール−β−グアイアシルエーテル(化合物VII
I)、および1−(4−ベンジロキシ−3−メトキシフ
ェニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフェノ
キシ)プロパン−1−オン(化合物IX)を用いた。各基
質を0.1mM含む20mM トリス−塩酸緩衝液(p
H8.0)中で、上記活性測定方法に準じて、上記
〔2〕で得られた精製エーテラーゼの活性を測定した。
活性は化合物Iに対する値を100とした相対値で表し
た。各基質に対する相対活性値を表6に示す。その結
果、該酵素は化合物IおよびIXのβ−アリールエーテル
型結合を特異的かつ還元的に切断したが、化合物VIIIの
該結合を切断しなかった。従って、該酵素は、α位の炭
素がカルボニル基を構成する化合物のβ−アリールエー
テル型結合を切断するが、α位の炭素に水酸基が結合し
た化合物のβ−アリールエーテル型結合を切断しないと
考えられる。また、化合物IおよびIXの該結合を切断し
たことから、β−アリールエーテル型結合におけるアリ
ールグリセロール部分の遊離フェノール性水酸基の有無
に関わらず、β−アリールエーテル型結合を切断すると
考えられる。
【0071】
【表6】
【0072】(k)金属イオン、阻害剤の影響 表7に示す各種金属イオンおよび阻害剤を1mM含む2
0mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)中で、上記
活性測定方法に準じて、上記〔2〕で得られた精製エー
テラーゼの活性を測定した。活性は各阻害剤を含まない
場合の値を100とした相対値で表した。各阻害剤の存
在下における相対活性を表7に示す。該酵素は、F
2+、Co2+、Zn2+、Ni2+、Cu2+の各金属イオ
ン、特にZn2+によって阻害されることがわかった。
【0073】
【表7】
【0074】
【発明の効果】本発明のエーテラーゼは、リグニンの主
要な単位間結合であるβ−アリールエーテル型結合を切
断する活性を有し、かつ水溶性であるので、生産および
取り扱いが容易であることから、紙パルプ製造工程、セ
ルロース系バイオマス利用の分野、リグニン系バイオマ
ス利用の分野等のリグニンの分解が所望される種々用途
に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】REN−5株由来エーテラーゼによる1−(4
−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキ
シ−2−(2−メトキシフェノキシ)プロパン−1−オ
ン(化合物I)の分解反応を示す図である。
【図2】REN−5株によるグアイアシルグリコール−
β−O−(β−メチルウンベリフェリル)エーテル(化
合物IV)の分解反応を示す図である。
【図3】REN−5株によるグアイアシルグリセロール
−β−グアイアシルエーテル(化合物VIII)の分解反応
を示す図である。
【図4】REN−5株由来エーテラーゼの各pHにおけ
る活性を示すグラフである。活性は最大活性値を100
とした相対値で表している。(○)は酢酸ナトリウム緩
衝液、(●)はモプス緩衝液、(□)はトリス−塩酸緩
衝液、(黒四角)はビシン緩衝液、(△)はカプス緩衝
液を示す。
【図5】REN−5株由来エーテラーゼの各pHにおけ
る安定性を示すグラフである。(○)は酢酸ナトリウム
緩衝液、(●)はモプス緩衝液、(□)はトリス−塩酸
緩衝液、(▲)はグリシン−NaOH緩衝液、(△)は
カプス緩衝液を示す。
【図6】REN−5株由来エーテラーゼの各温度におけ
る活性を示すグラフである。活性は最大活性値を100
とした相対値で表している。
【図7】REN−5株由来エーテラーゼの各温度におけ
る安定性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大本 貴士 奈良県桜井市阿部559番地1−203 Fターム(参考) 4B050 CC01 DD02 EE01 EE02 FF03E FF05E FF09E FF11E HH01 HH02 LL05 4B065 AA01X AC14 AC16 BA23 BC02 BC03 BC26 BD01 BD14 BD15 BD17 BD50 CA28 CA56

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有するエーテラー
    ゼ: (a)作用:リグニンの主要な単位間結合であるアリー
    ルグリセロール−β−アリールエーテル型結合を特異的
    かつ還元的に切断する; (b)水溶性である; (c)至適pH:約8.9; (d)安定pH範囲:7〜8; (e)至適温度:約40℃; (f)熱安定性:約35℃以下で安定; (g)活性化:グルタチオンで活性化される; (h)安定化:ジチオトレイトールで安定化される; (i)基質特異性:1−(4−ヒドロキシ−3−メトキ
    シフェニル)−3−ヒドロキシ−2−(2−メトキシフ
    ェノキシ)プロパン−1−オンおよび1−(4−ベンジ
    ロキシ−3−メトキシフェニル)−3−ヒドロキシ−2
    −(2−メトキシフェノキシ)プロパン−1−オンのア
    リールグリセロール−β−アリールエーテル型結合を特
    異的かつ還元的に切断する。
  2. 【請求項2】 Brevundimonas属に属する微生物から採
    取し得るものである請求項1記載のエーテラーゼ。
  3. 【請求項3】 微生物が、Brevundimonas vesicularis
    に属する微生物である請求項2記載のエーテラーゼ。
  4. 【請求項4】 微生物が、Brevundimonas vesicularis
    REN-5(FERMP−17848)である請求項3記載
    のエーテラーゼ。
  5. 【請求項5】 Brevundimonas属に属する微生物を培地
    中で培養し、得られる培養物から採取することを特徴と
    する請求項1記載のエーテラーゼの製造方法。
  6. 【請求項6】 培地にアリールグリセロール−β−アリ
    ールエーテル型結合を分子内に有する化合物を添加する
    ことを特徴とする請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のエーテラーゼを生産する
    微生物Brevundimonas vesicularis REN-5(FERM
    P−17848)。
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