JP5900482B2 - 水回収方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スケール成分、有機物、無機イオン等を含む排水、特に、閉鎖系空間で生じた人体排出水、生活排水などの排水を処理して水を回収する水回収方法及び装置に関するものである。詳しくは、本発明は、核シェルター、災害避難所、宇宙ステーション又は月・火星ミッションの有人宇宙船、月面基地などの閉鎖系空間で生じる排水を、この閉鎖系空間内において、簡易な構成の装置で効率的に処理する水回収方法及び装置に関する。
核シェルター、災害避難所、宇宙ステーション又は月・火星ミッションの有人宇宙船、月面基地などの閉鎖系空間で発生した尿などの人体排出水や生活排水をこの閉鎖系空間内で処理して水回収を図る場合、
(1) 宇宙空間などでは重力が微少であるため、重力による気液分離、固液分離は困難である。
(2) 閉鎖系空間であるため、放出ガス種や放出量に制限がある。
(3) 高い水回収率が要求され、また消費電力や設置スペースを小さくする必要がある。
といった制約がある。
このような制約に対して、膜蒸留法(特許文献1)が提案されているが、膜蒸留法では以下のような問題がある。即ち、被処理排出物には揮発性のものもあり、このような排出物は蒸留や膜蒸留では除去し得ない;硬度成分を含む排水を蒸発させるとスケール障害が起こる;排出物には通常たんぱく質などの有機物が含まれているので、ファウリングが起こり膜蒸留性能を低下させる;基本的な操作は蒸発なのでエネルギー消費量が大きい。
また、膜蒸留の前処理として膜式活性汚泥処理を行う方法(特許文献2)も提案されているが、この方法では運転条件が適正値を外れると微生物が失活し易く、一旦微生物が失活してしまうと元に戻らない;活性汚泥は有機物の1/3〜1/2を汚泥としてしまうため、貴重な水を含んだ汚泥が廃棄物となる;などの問題があった。
これらの問題を解決するものとして、硬度成分粗取り装置、軟化装置、電解装置、触媒分解装置、及び電気透析装置から構成される水回収装置(特許文献3)が提案されている。
しかし、この水回収装置でも、電気透析装置において、酸・アルカリ製造時に水の損失があり、水回収率が低い水準となるといった問題がある。また、電解装置における電気分解で発生したアンモニアや次亜塩素酸等の酸化物質を処理するために、電解装置の後段に多量の触媒を充填した触媒装置を設ける必要があり、設置スペースやメンテナンス等を考慮するとより簡易な構成とすることが望まれる。
特開2006−095526号公報 特開2010−119963号公報 特開2013−075259号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、スケール成分、有機物、無機イオン等を含む排水、特に、核シェルター、災害避難所、宇宙ステーション又は月・火星ミッションの有人宇宙船、月面基地などの閉鎖系空間で生じた人体排出水、生活排水などの排水を、スケール発生による目詰まり、有機物によるファウリング等を懸念することなく、また、蒸発のような多量のエネルギーを消費することなく、簡易な構成の装置により効率的に処理する水回収方法及び装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、宇宙ステーション等の閉鎖系空間で発生した生活排水又は人体排出水等の排水を、電気分解して排水中の有機物やアンモニアなどの被酸化性物質を分解除去した後、電解処理水をまず第一の電気透析装置で処理して、有機物やアンモニアなどの電気分解で生じた有機酸や硝酸イオン、残留したアンモニア、その他の無機イオンなどを、酸やアルカリを製造する前に除去して生産水と高濃度の塩分濃縮液とに分け、その後第二の酸・アルカリ製造用電気透析装置で、第一の脱塩用電気透析装置で得られた塩分濃縮液から酸溶液とアルカリ溶液を製造すること、即ち、電気透析工程を脱塩用電気透析装置と酸・アルカリ製造用電気透析装置との2段で行うことにより、以下の作用により、前段の脱塩用電気透析装置において、電解処理水中の無機イオンの濃度を著しく低減して、前段の脱塩用電気透析装置から清澄な脱塩水を生産水として得ることができるため、特許文献3における電解装置の後段の触媒分解装置を不要とすることが可能となること、また、後段の酸・アルカリ製造用電気透析装置においては、水の損失を最低減に抑えて酸溶液及びアルカリ溶液を製造することができるため、高い水回収率を得ることが可能となること、を見出した。
即ち、電気透析装置による電気透析を1段で処理する場合と2段で処理する場合とでは、生産水(脱塩水)と膜を隔して隣り合う水溶液(濃縮液)の濃度が異なり、1段で処理する場合は、1段の電気透析装置のみで塩類を高度に除去しようとするため、濃度の濃い酸溶液又はアルカリ溶液となるが、2段で処理する場合は、後段の電気透析装置でもイオン除去を行うため、前段の電気透析装置の塩分濃縮液は比較的濃度の薄い濃縮液となる。このため、2段の場合、前段の電気透析装置における脱塩室内の脱塩水と膜隔を隔てた塩分濃縮室内の塩分濃縮液との濃度差が小さく、この結果、前段の電気透析装置から清澄な生産水を得ることができる。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 排水を処理して処理水を生産水として回収する方法において、上流側から順に、該排水を電解装置で直流電流を供給して電気分解することにより、該排水中の被酸化性物質を分解する電解工程と、該電解工程で得られた電解処理水を第一の電気透析装置で処理して、該電解処理水からイオン類を除去した脱塩水よりなる生産水と塩分濃縮液とを得る第一の電気透析工程と、該第一の電気透析工程で得られた塩分濃縮液を第二の電気透析装置で処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る第二の電気透析工程とを備えることを特徴とする水回収方法。
[2] [1]において、前記排水は、閉鎖系空間で生じた人体排出水及び/又は生活排水であることを特徴とする水回収方法。
[3] [1]又は[2]において、前記電解処理水は、前記電解工程から、他の水処理工程を経ることなく、前記第一の電気透析工程に送給されることを特徴とする水回収方法。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて前記第一の電気透析装置は、少なくとも塩分濃縮室と脱塩室との2室を有し、前記電解処理水を脱塩しつつ、塩分濃縮液を製造するものであることを特徴とする水回収方法。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて前記第二の電気透析装置は、少なくとも酸室、脱塩室、及びアルカリ室の3室を有し、前記塩分濃縮液を脱塩しつつ、酸溶液及びアルカリ溶液を製造するものであることを特徴とする水回収方法。
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて前記電解工程の前段に、前記排水を軟化装置で処理して該排水中の硬度成分を除去する軟化工程を備え、該軟化工程で得られた軟化処理水が前記電解工程で処理される水回収方法であって、前記第二の電気透析工程で得られた酸溶液とアルカリ溶液を用いて該軟化装置を再生する再生工程を備えることを特徴とする水回収方法。
[7] [1]ないし[6]のいずれかにおいて、前記電解装置は、導電性ダイヤモンド電極を備えることを特徴とする水回収方法。
[8] [1]ないし[7]のいずれかにおいて、前記第一の電気透析装置への前記電解処理水の通液及び/又は前記第二の電気透析装置への前記塩分濃縮液の通液が一過式で行われることを特徴とする水回収方法。
[9] 排水を処理して処理水を生産水として回収する装置において、上流側から順に、該排水を、直流電流を供給して電気分解することにより、該排水中の被酸化性物質を分解する電解装置と、該電解装置で得られた電解処理水を処理して、該電解処理水からイオン類を除去した脱塩水よりなる生産水と、塩分濃縮液とを得る第一の電気透析装置と、該第一の電気透析装置で得られた塩分濃縮液を処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る第二の電気透析装置とを備えることを特徴とする水回収装置。
[10] [9]において、前記排水は、閉鎖系空間で生じた人体排出水及び/又は生活排水であることを特徴とする水回収装置。
[11] [9]又は[10]において、前記電解処理水は、前記電解装置から、他の水処理手段を経ることなく、前記第一の電気透析装置に送給されることを特徴とする水回収装置。
[12] [9]ないし[11]のいずれかにおいて前記第一の電気透析装置は、少なくとも塩分濃縮室と脱塩室との2室を有し、前記電解処理水を脱塩しつつ、塩分濃縮液を製造するものであることを特徴とする水回収装置。
[13] [9]ないし[12]のいずれかにおいて前記第二の電気透析装置は、少なくとも酸室、脱塩室、及びアルカリ室の3室を有し、前記塩分濃縮液を脱塩しつつ、酸溶液及びアルカリ溶液を製造するものであることを特徴とする水回収装置。
[14] [9]ないし[13]のいずれかにおいて前記電解装置の前段に、前記排水を処理して該排水中の硬度成分を除去する軟化装置を備え、該軟化装置で得られた軟化処理水が前記電解装置で処理される水回収装置であって、前記第二の電気透析装置で得られた酸溶液とアルカリ溶液をそれぞれ該軟化装置へ送給する配管を備え、該酸溶液とアルカリ溶液を用いて該軟化装置が再生されることを特徴とする水回収装置。
[15] [9]ないし[14]のいずれかにおいて、前記電解装置は、導電性ダイヤモンド電極を備えることを特徴とする水回収装置。
[16] [9]ないし[15]のいずれかにおいて、前記第一の電気透析装置への前記電解処理水の通液及び/又は前記第二の電気透析装置への前記塩分濃縮液の通液が一過式で行われることを特徴とする水回収装置。
本発明によれば、スケール成分、有機物、無機イオン等を含む排水を、スケール発生による目詰まり、有機物によるファウリング等を懸念することなく、また、蒸発のような多量のエネルギーを消費することなく、簡易な構成の装置により、効率的に処理して処理水を回収、再利用することが可能となる。このため、例えば宇宙ステーションや宇宙船等の宇宙空間において、人間の生命維持に不可欠な水を再利用することができ、宇宙での人間の長期滞在が可能となる。
本発明の水回収装置の実施の形態の一例を示す系統図である。 本発明で用いる脱塩用電気透析装置の構成とイオン移動を説明する模式的な断面図である。 本発明で用いる酸・アルカリ製造用電気透析装置の構成とイオン移動を説明する模式的な断面図である。
以下に、図面を参照して本発明の水回収方法及び装置の実施の形態を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、以下においては、本発明を、主として、閉鎖系空間で発生した排水を処理して再利用するための水回収方法及び装置に適用した場合を例示して説明するが、本発明は、閉鎖系空間内で生じた排水の処理、回収に限らず、スケール成分、有機物、無機イオン等を含む様々な排水の処理、回収に適用することができる。
図1は本発明の水回収装置の実施の形態の一例を示す系統図である。
本実施の形態では、図1に示されるように、被処理水であるスケール成分、有機物、無機イオン等を含む排水、例えば閉鎖系空間内で生じた排水を、まず軟化装置1に導入して該排水中の硬度成分を除去し、軟化処理水を、電解装置2で電気分解することにより、該軟化処理水中の被酸化性物質を分解除去し、電解処理水を第一の電気透析装置(以下、「脱塩用電気透析装置」と称す場合がある。)3で処理して該電解処理水からイオン類を除去した脱塩水よりなる生産水と、塩分濃縮液とを得、脱塩用電気透析装置3で得られた塩分濃縮液を第二の電気透析装置(以下、「酸・アルカリ製造用電気透析装置」と称す場合がある。)4で処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る。酸・アルカリ製造用電気透析装置4で得られた酸溶液とアルカリ溶液は、軟化装置1の再生に利用することができる。また、酸・アルカリ製造用電気透析装置4で得られた脱塩水の一部又は全部は、脱塩用電気透析装置3の入口側に返送して電解装置2からの電解処理水と共にこの脱塩用電気透析装置3で処理することができる。
<被処理水>
本発明において処理対象となる被処理水は、スケール成分、有機物、無機イオン等を含む排水であって、例えば、核シェルター、災害避難所、宇宙ステーション又は月・火星ミッションの有人宇宙船、月面基地などの閉鎖系空間で発生した人体排出水(尿、汗など)や生活排水(空調関係の凝縮水、厨房排水、洗濯排水、風呂・シャワー排水、清掃排水、動植物などの飼育栽培により発生する排水など)などの排水が挙げられる。ここで、閉鎖系空間とは、内外での物質やエネルギーのやりとりが制限された空間をさし、特に、本発明が好適に適用される閉鎖系空間としては、シェルター、宇宙ステーションや宇宙船等の宇宙空間が挙げられ、特に宇宙空間の有人環境において本発明を有効に適用することができる。
これらの閉鎖系空間から排出される排水は、主として空調関係の凝縮水や人体から排出される汗や尿などであり、Mg、Ca等のスケール成分、たんぱく質や尿素等の有機物、Na、K、Cl、SO、PO、NH、NO等の無機イオンが含まれている。
本発明において処理対象となる被処理水の水質としては、例えば次のようなものが挙げられるが、以下の排水の混合排水であってもよい。
<人体から排出される汗や尿を主体とする排水>
pH:6〜8
TOC:2000〜15000mg/L
無機イオン:5000〜20000mg/L
Na:1000〜5000mg/L
NH:100〜1500mg/L
K:500〜2500mg/L
Cl:2000〜10000mg/L
PO:500〜2500mg/L
<生活排水>
pH:5〜13
TOC:1〜200mg/L
無機イオン:0.01〜200mg/L
Na:0.01〜10mg/L
NH:0.01〜100mg/L
K:0.01〜10mg/L
Cl:0.01〜10mg/L
PO:0.01〜10mg/L
なお、閉鎖系空間において発生する尿や各種の生活排水はそれぞれ水質が異なるため、本発明により水回収するに当たり、必要に応じてそれぞれの水種を単独で処理しても良いし、それらを予め混合して処理しても良い。また、処理工程の途中から特定の水種の被処理水を合流させることも可能である。これらの処理方法は処理効率を考慮して決めることが望ましい。
一般的に前記被処理水のうち、スケール成分は尿に最も多く含まれるため、軟化装置1による硬度成分の除去は尿のみを処理対象とし、次工程の電解装置2において、他の被処理水を合流させて処理してもよく、このようにすることにより、各工程における被処理水量を無駄に増やすことなく、効率的に処理することができる。
<軟化処理>
図1の水回収装置においては、閉鎖系空間で生じた上記のような排水からまず硬度成分を除去する。この軟化処理には、Na型の強酸性カチオン交換樹脂もしくは弱酸性カチオン交換樹脂を用いることができ、以下のイオン交換反応で硬度成分が除去される。
CaX、MgX + R−Na → R=Ca、R=Mg + NaX
ここで、Xは陰イオンを、Rはイオン交換樹脂交換基を示す。
通常、軟化装置1としては、Na型強酸性カチオン交換樹脂もしくは弱酸性カチオン交換樹脂を充填したイオン交換樹脂塔が用いられる。その処理条件には特に制限はないが、通常、処理温度は20〜40℃、通液SV(空間速度)は5〜20hr−1である。
この軟化処理により、被処理水中の2価のMg、Ca等のスケール成分が除去されるため、後段の電解装置2において、スケールの発生が抑制され、電流が効率良く流れるようになり、また、後段の電気透析装置3,4のイオン交換膜の目詰まりが防止される。
なお、本発明において、軟化処理は必須ではない。即ち、軟化処理は、被処理水中に硬度成分が多く含まれており、後段の電解装置2や電気透析装置3,4において、スケール障害が発生することが予想される場合に必要とされ、被処理水となる排水が硬度成分を含まないか、或いはその含有量が少ない場合には、軟化処理を行う必要はなく、従って、軟化装置1を省略して、排水を直接電解装置2で処理することができる。
<電気分解>
必要に応じて上記の軟化処理で被処理水中の硬度成分を除去した軟化処理水は、次いで電解装置2で電気分解することにより、排水中に含まれている有機物、尿素、アンモニアなどの被酸化性物質を分解除去する。
即ち、後段の電気透析装置3,4のイオン交換膜をファウリングさせるたんぱく質などの有機物を分解除去すると共に、後段の電気透析装置3,4や必要に応じて設けられる後述の電気再生式脱塩装置では除去し得ない尿素を、電解装置2でアンモニアと炭酸に分解する。
排水中に含まれるこれらの被酸化性物質のうち具体的なTOC濃度は100〜20000mg/L程度であり、尿を対象とする場合は1000〜10000mg/L、通常5000〜7000mg/L程度である。
電解装置2に適用される反応容器としては、次のようなものが好ましい。
一端側に被処理水の入口、他端側に電解処理水の出口を設けた配管などの円筒形の容器(円筒状配管型容器)の内部に、陽極を、被処理水(排水又は軟化処理水)の流れと平行方向に、かつ容器と絶縁するように離隔して設置し、配管自体を陰極として、陽極、陰極間に直流電源を接続する。円筒形の容器は、角筒形等の他の形状の容器に比べて内圧に対して強度を保持しやすく、反応容器の肉厚を薄くすることができ、装置の小型化が可能となる。また、電極を被処理水の流れに対して平行に設置することで、発生した気泡を処理水とともに容器外へ押し出すことが可能となり、電極への気泡付着を抑制し、反応効率を高めることができる。
電解装置の陰極(即ち、反応容器の内壁)の構成材料としては、例えばハステロイ、インコロイ等のニッケル基合金;チタン基合金;炭素鋼、ステンレス鋼等の鋼材等を用いることができる。また、白金等の金属で被覆されたものであってもよい。
また、陰極は導電性ダイヤモンド電極からなるものであってもよく、導電性ダイヤモンド電極であれば、化学的安定性に優れ、電流効率が高く、電解効率の面で好ましい。この場合、ニオブ、タングステン、ステンレス、モリブデン、白金、イリジウム等の金属からなる基材に導電性ダイヤモンドの被覆層を形成したものとすることができる。
陽極は、陽極と陰極となる反応容器内壁との距離が均等となるように設けられることが好ましい。この距離にばらつきがある場合には、距離が短い部分に局部的に過大な電流が流れ、その部分の陽極の劣化が促進されることとなり好ましくない。本発明では、円筒状配管型容器内に、平板状、円柱形状又は円筒形状の陽極を、その中心軸が反応容器の内壁の中心軸と実質的に一致するように設けることが好ましい。
陽極は、1枚又は複数枚の平板状のものをそのまま設置してもよいし、メッシュ又は網を円筒形状に形成したものでもよいし、板を円筒形状に形成したものでもよいし、棒状体であってもよい。
陽極としては、少なくともその表面が、ルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、錫若しくはこれらの酸化物又はフェライトであるものが好ましい。陽極そのものがこれらの物質で構成されていてもよいし、陽極の基材の表面がこれらの物質で被覆されていてもよい。
陽極を構成するルテニウム、イリジウム、白金、パラジウム、ロジウム、錫は、金属元素そのものであってもよいし、酸化物であってもよい。また、これらの金属の合金も好適に用いられる。合金としては、例えば、白金−イリジウム、ルテニウム−錫、ルテニウム−チタンなどが挙げられる。上記した金属等は、耐食性に優れており、陽極として用いる場合に優れた不溶性を示す。
陽極もまた陰極と同様の理由から導電性ダイヤモンド電極からなるものであってもよく、この場合、陽極全体が導電性ダイヤモンドから構成されるものであってもよく、シリコン、ニオブ、タングステン、ステンレス、モリブデン、白金、イリジウム等の金属、或いは、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭化モリブデン、炭化タングステン等の非金属等からなる基材に導電性ダイヤモンドの被覆層を形成したものであってもよい。TOCの分解は特に陽極で起こるため、陽極に導電性ダイヤモンド電極を用いることにより、たんぱく質等のTOCを効率的に分解することができる。
電解装置2における電気分解は、
(1)高温高圧下、即ち100℃以上であって、被処理水の臨界温度以下の温度において、該被処理水が液相を維持する圧力下
(2)上記(1)の高温高圧条件よりも低い温度及び圧力条件(以下、便宜上、「通常条件」という。)下
のいずれかで行われる。
通常条件下で電気分解を行う場合、温度は20〜90℃、特に50〜80℃で、圧力は常圧〜0.5MPa、特に常圧〜0.2MPaの範囲で行うことが好ましい。電気分解時の温度や圧力は、高い程電解効率が向上するが、高温高圧条件を採用する場合、電解装置の耐熱、耐圧構造のためのコストと加熱、加圧のためのコストが高くつくことになる。通常条件下での電気分解であれば、コスト面で有利である。
本発明では、電解装置2の後段に第一の電気透析装置3と第二の電気透析装置4で2段階の電気透析を行うことによる前述の優れた脱塩効果で、後段の第一の電気透析装置である脱塩用電気透析装置3から、高水質の生産水を得ることができるため、電解装置2においては、高温高圧条件を採用することなく、通常条件での電気分解を行っても、その後の2段電気透析処理で良好な水質の生産水を得ることができ、電気分解にかかるコストを低減することができる。
通常条件下での電解条件は、被処理水の水質や用いる電極の種類、反応容器の構成等によっても異なるが、供給する直流電流は通常2〜50A、好ましくは5〜30A程度であり、電流密度は通常0.1〜500A/dm、好ましくは1〜50A/dmであり、電解時間は通常0.3〜30hr、好ましくは5〜20hrである。従って、被処理水を円筒状配管型容器の一端側から他端側へ通液して電気分解を行う一過式通液型の反応容器にあっては、被処理水の反応容器内の滞在時間が上記の好適な電解時間となるように流速を調節することが好ましい。
なお、通常条件下での電気分解の場合、電解装置2における線速は好ましくは1〜500m/hr、より好ましくは10〜200m/hrとして、後述の高温高圧条件下での電気分解の場合よりも線速を上げることにより、電気分解で発生した気泡を水流で押し出して装置外に除去するようにすることが好ましい。
一方、高温高圧条件とは、100℃以上であって、被処理水の臨界温度以下の温度において、該被処理水が液相を維持する圧力であり、温度は通常100〜374℃、好ましくは200〜250℃で、圧力は通常2〜20MPa、好ましくは5〜10MPaである。特に、電気分解時の温度が200℃以上であると、たんぱく質や尿素の分解効率が向上する。
また、高温高圧下での電解条件は、被処理水の水質や用いる電極の種類、反応容器の構成等によっても異なるが、供給する直流電流は通常2〜30A、好ましくは5〜20A程度であり、電流密度は通常0.1〜500A/dm、好ましくは1〜50A/dmであり、電解時間は通常0.5〜30hr、好ましくは5〜20hrである。従って、被処理水を円筒状配管型容器の一端側から他端側へ通液して電気分解を行う一過式通液型の反応容器にあっては、被処理水の反応容器内の滞在時間が上記の好適な電解時間となるように流速を調節することが好ましい。
なお、高温高圧条件下で電気分解を行う場合、電解装置2における具体的な線速は0.1〜50m/hr、好ましくは1〜20m/hrである。低温低圧での電気分解の場合には、電極に気泡が溜まるため、この気泡を取り除くために線速を大きくする必要があるが、高温高圧下での電気分解では、このような気泡の発生が抑制され、溶液の表面張力も低下し電極面から気泡が離脱しやすくなるため、線速を大きくする必要はなく、装置の小型化を図ることができる。
電解装置2における電気分解により、排水中の被酸化性物質を、後段の第一の電気透析装置3で直接除去することができる炭酸や有機酸、硝酸等のイオンに変換することができる。
この電気分解で、排水中の有機物の一部は炭酸ガスに、アンモニアや硝酸の一部は分解されて窒素ガスとなる。特に高圧下の電気分解では、その圧力によって、電気分解で発生するガスが水に溶解し、また、気泡のサイズも小さくなるため、気泡による電極面への被分解物接触妨害を抑制することができる。また、高温で処理することによって熱分解の効果を利用するとともに物質移動速度を高めることで、電気分解効率を高めることもできる。更には、水の電気分解で生じた水素と酸素のガスを、再度水に戻す反応を引き起こすことができるため、爆発性の高い水素/酸素の混合ガスから、酸素濃度を低減させることができ、副生ガスを、爆発限界値を下回る安全性の高いものとすることができる上に、水回収率を高いものとすることができる。また、電気分解での酸化物の生成が抑制されることから、電解装置の後段にある電気透析装置への負荷を低減することもできる。
電気分解により、以下の反応で有機物や尿素、アンモニア等を分解するが、その際、上記の高温高圧条件で電気分解を行う場合には、電気分解時における酸素ガスや水素ガスの発生を抑制するとともに、過塩素酸等の酸化物質の生成を抑制することができる。また、酸素と水素から水を生成する条件に設定することで、水回収率を向上させることができる。
有機物→(酸化)→有機酸、CO
尿素→NH +CO 2−
2NH+3HClO→N+3HO+3HCl
上記の反応で生じた次亜塩素酸を利用して、たんぱく質等の有機物や尿素を分解し、後段の脱塩用電気透析装置3で除去可能な有機酸、アンモニア等のイオンに変換することができる。このように、電解装置2において、後段の電気透析装置3や、後述の電気再生式脱イオン装置では除去し得ない尿素を分解除去でき、さらに、高温高圧下の電気分解であればより効率的に尿素をアンモニアと炭酸に分解除去することができる。なお、上記反応式中、HClOは被処理水(排水)に含まれる塩素イオンの電解反応(2Cl+HO→HClO+HCl+2e)により発生したものである。
通常条件下での電気分解では、無機イオンが酸化され、ClOやClO等の塩素酸化物が生成するが、高温高圧条件で処理することにより、これらの酸化物質の生成が抑えられ、更に後段の脱塩用電気透析装置3の負荷となるClOやClO等の過塩素酸の生成を抑制することができる。
ただし、本発明では、第一の脱塩用電気透析装置3と第二の酸・アルカリ製造用電気透析装置4とで2段階の電気透析処理を行い、前段の脱塩用電気透析装置3で生産水(脱塩処理水)を製造し、後段の酸・アルカリ製造用電気透析装置4で前段の脱塩用電気透析装置3で得られた塩分濃縮水から酸溶液とアルカリ溶液を製造するため、電解装置2で高温高圧条件での電気分解を行わず、通常条件下で電気分解を行う場合であっても、塩素酸化物を低減でき、前述の作用効果で特許文献3における触媒分解装置を不要とすることができる。また、尿素の電気分解で生じるアンモニアは、電気透析の負荷となり、従来は、電解装置の後段に触媒分解装置を必要としていたが、本発明では、2段階の電気透析処理でアンモニアを十分に除去することができ、装置を簡略化できる。
高温高圧下の電気分解においては、電解処理水を高圧条件下で被処理水と熱交換することにより、加温エネルギーの削減を図ることができる。従って、高温高圧下で電気分解を行う場合は、電解装置2に流入する被処理水と、電解装置2から流出する電解処理水とをその高圧条件を維持して熱交換させる熱交換器を設けることが好ましい。
また、電解装置2の被処理水の昇圧においては、ガスを用いた昇圧などが考えられるが、閉鎖系空間内では設備、スペースなどが限られているため、ポンプを用いて昇圧することで目的の圧力を設定することによって装置の小型化、省スペース化が達成される。この場合、電気分解時の圧力は、被処理水を昇圧して電解装置2に送液する高圧ポンプと電解装置2の処理水出口に設けた背圧バルブの調整により制御することができる。
本発明において、電解装置2は、被処理水を一過式で通液して処理するものであることが、循環式の場合に比べて設備コストや消費電力を抑えることができ、好ましい。即ち、循環式では、特に高圧を維持して循環する場合には、タンクを高圧仕様にする必要があり、また、圧を開放して循環する場合には、昇圧を繰り返す必要があり、通液ポンプの消費電力が過大となるが、一過式であればこのような問題が解消される。ただし、一過式通液型は反応経路を長くとる必要があるが、電解装置2を循環式通液型とする場合には、反応経路長に制限がなく小型化できる点において有利であるため、装置の設置場所や設置目的、要求特性に応じて、一過式通液型とするか、循環式通液型とするかを決定すればよい。
また、電解装置2は、前述の円筒状配管型の反応容器を複数個直列に連結して設置したものであってもよく、また、反応容器を複数個直列に連結した反応容器群を複数列並列に設置したものであってもよく、このようにして反応容器を複数個設けることにより、電解装置2の処理水量、有機物等の分解量を高めることができる。また、各反応容器の入り口の有機物濃度に合わせ、各反応容器の電流条件を最適化することで、電流効率の向上、印加電圧の低減を図ることができ、消費電力を抑えることができる。
<脱塩処理>
本発明においては、特許文献3におけるような触媒分解装置を設けずに、電解装置2の後段に、電解処理水からイオン類を除去して生産水(脱塩処理水)と塩分濃縮液とに分離する第一の脱塩用電気透析装置3を設置する。これにより、被処理水中に含まれる塩分とともに、前段の電解装置2で生成する有機酸やCOガス、アンモニア、硝酸等のイオン類を除去することができる。
この脱塩用電気透析装置3は、図2に示すように、陽極と陰極の間に、それぞれ電極室及びバイポーラ膜BPMを介して塩分濃縮室、アニオン交換膜AM、脱塩室、カチオン交換膜CM、塩分濃縮室………………の繰り返し単位が、両極側が塩分濃縮室となるように設けられた2室型の電気透析装置である。脱塩用電気透析装置3では、脱塩室内を通過する被処理水中の塩類(XY)を構成する陰イオンX及び陽イオンYがそれぞれアニオン交換膜AM、カチオン交換膜CMを透過して塩分濃縮室内に濃縮されることにより、脱塩室からは塩分が除去された脱塩水が得られ、一方、塩分濃縮室からは、塩分濃縮液が得られる。脱塩室からの生産水はそのまま飲料用として用いることが可能である。また、塩分濃縮室からの塩分濃縮液は後段の酸・アルカリ製造用電気透析装置4に供給することで、被処理水中の成分の有効利用が可能となる。なお、脱塩用電気透析装置3に供給される被処理水(電解処理水)の導電率は1000〜5000mS/m、特に2000〜3000mS/mの範囲にあり、脱塩により生産水として許容される水質は導電率として100mS/m以下であり、好ましくは10mS/m以下、より好ましくは5mS/m以下である。
このような脱塩用電気透析装置3における電気透析処理の処理条件は特に制限はないが、処理温度は20〜40℃、圧力は0〜0.1MPa、線速は1〜100m/hr程度、流速は装置のサイズにより異なるが1〜100mL/min程度とすることが好ましい。
なお、この脱塩用電気透析装置3は、電解装置2と同様、一過式で通液処理されることが、循環方式の場合に比べて、水回収率を維持しつつ消費電力を下げることができ好ましい。
<酸・アルカリ製造>
本発明では、脱塩用電気透析装置3の塩分濃縮室から排出される塩分濃縮液を、次いで第二の電気透析装置である酸・アルカリ製造用電気透析装置4に送給して酸溶液とアルカリ溶液を製造する。
酸・アルカリ製造用電気透析装置4は、3室式の電気透析装置であり、図3に示すように、陽極と陰極の間に、それぞれ電極室及びバイポーラ膜BPMを介して、酸室、アニオン交換膜AM、脱塩室、カチオン交換膜CM、アルカリ室、………………………の繰り返し単位が、陽極側が酸室、陰極側がアルカリ室となるように設けられたものであり、図3の通り、被処理水中の陰イオンX及び陽イオンYがそれぞれアニオン膜AM又はカチオン膜CMを透過して酸室又はアルカリ室に移動し、脱塩室から脱塩水が得られると共に、酸室から酸溶液が、アルカリ室からアルカリ溶液が得られる。即ち、酸・アルカリ製造用電気透析装置4は、脱塩室に隣接する室が、陰イオンX及び陽イオンYが濃縮される濃縮室ではなく、陰イオンのみが濃縮され水中からHが生成する酸室と、陽イオンのみが濃縮され、水中からOHが生成するアルカリ室である点において、脱塩用電気透析装置3とは異なる構造とされている。
酸・アルカリ製造用電気透析装置4で得られた脱塩水は、その一部を生産水として回収してもよい。また、この脱塩水の一部又は全部を前段の脱塩用電気透析装置3の入口側に返送し、電解処理水と共に脱塩処理することにより、水回収率を高めることができる。
なお、脱塩水の一部又は全部を前段の脱塩用電気透析装置3の入口に返送する場合には、酸・アルカリ製造用電気透析装置4において得られる脱塩水の水質が電解処理水と同程度の水質となるように処理すれば良い。
一方、酸・アルカリ製造用電気透析装置4で得られた酸溶液、アルカリ溶液は、前段の軟化装置1の再生に利用することができる。即ち、酸溶液は、軟化装置1のNa型強酸性カチオン交換樹脂もしくは弱酸性カチオン交換樹脂の再生剤として利用することができ、アルカリ溶液は強酸性カチオン交換樹脂もしくは弱酸性カチオン交換樹脂のNa形化剤として利用することができる。
このような酸・アルカリ製造用電気透析装置4における電気透析処理の処理条件は特に制限はないが、処理温度は20〜40℃、圧力は0〜0.1MPa、流速は50〜100m/hr程度、流速は装置のサイズにより異なるが1〜100mL/min程度とすることが好ましい。
なお、この酸・アルカリ製造用電気透析装置4もまた、電解装置2と同様一過式で通液処理することが好ましい。なお、循環方式とすることにより、酸、アルカリの回収率を高くすることができる。
本発明においては、このように、脱塩のための第一の電気透析装置3と、酸・アルカリ製造のための第二の電気透析装置4とで2段の電気透析を行うことにより、無機イオンの濃度を著しく低減して、前段の脱塩用電気透析装置3から清澄な脱塩水を生産水として得ることができる。即ち、電気透析装置による電気透析を1段で処理する場合と2段で処理する場合とでは、生産水(脱塩水)と膜を隔して隣り合う水溶液(濃縮液)の濃度が異なり、1段で処理する場合は、1段の電気透析装置のみで塩類を高度に除去しようとするため、濃度の濃い酸溶液又はアルカリ溶液となるが、2段で処理する場合は、後段の電気透析装置でもイオン除去を行うため、比較的濃度の薄い濃縮液となる。このため、2段の場合、脱塩室内の脱塩水と膜隔を隔てた濃縮室内の濃縮液との濃度差が小さく、この結果、清澄な生産水を得ることができる。
<その他>
脱塩用電気透析装置3から得られた生産水は、そのままで十分に清澄なものとなるが、より水質を向上させることを目的として、逆浸透膜や電気再生式脱イオン装置により処理してもよい。その場合、逆浸透膜分離装置や電気再生式脱イオン装置による処理で排出される濃縮液は、脱塩用電気透析装置3の入口側へ返送して循環処理することができる。
なお、循環式の装置とは、当該装置の流出水を当該装置の入口側へ返送して再度当該装置で処理する方式の装置をさし、一過式の装置とは、当該装置の流出水を当該装置及びその上流側へ返送することなく、後段の装置へ送給する装置をさす。いずれの方式の装置にあっても、装置間にタンクを設けてもよく、配管により送液するようにしてもよい。
以下に実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下の実施例、比較例及び参考例においては、各装置間にタンクを設置し、循環する場合は各装置の前段にあるタンクを介して水を循環させている。
[実施例1]
図1に示す水回収装置を用いて、表1−1に示す水質の被処理水を処理した。各装置の仕様、処理条件は次の通りである。
<軟化装置>
Na型強酸性カチオン交換樹脂塔
温度:25℃
通液SV:10hr−1
<電解装置>
反応容器:一端側に被処理水の流入口、他端側に処理水の流出口を有する円筒状配管型反応容器(内径8mm、長さ140mm)
陽極:反応容器の中心に、同軸状に設けられた幅6mm、長さ120mmの板状導電性ダイヤモンド電極
陰極:反応器内壁を兼ねる導電性チタン配管
通液方式:循環式(電解処理水がTOC1mg/L以下になるまで循環させる。)
温度:70℃
圧力:0.1MPa
電流密度:2A/dm
通液線速:150m/hr
<脱塩用電気透析装置>
図2に示す構成の循環式通液型脱塩用電気透析装置
温度:室温
圧力:0.1MPa
電流密度:1A/dm
流速:50mL/min
塩分濃縮液:全量を酸・アルカリ製造用電気透析装置に送給する。
脱塩水:生産水として系外へ排出する脱塩水の導電率が2mS/m以下になるまで
循環させる。
<酸・アルカリ製造用電気透析装置>
図3に示す構成の循環式通液型酸・アルカリ製造用電気透析装置
温度:室温
圧力:0.1MPa
電流密度:1A/dm
流速:50mL/min
濃縮液:酸室からの酸溶液はその全量を酸室の入口側へ循環し、アルカリ室からの
アルカリ溶液はその全量をアルカリ室の入口側へ循環する。
脱塩水:全量を脱塩用電気透析装置に返送する。
軟化処理水、電解処理水、生産水(脱塩用電気透析装置の脱塩水)の水質を調べ、結果を表1−1に示した。
また、消費電力(9L/日処理したときのシステム消費電力)と、水回収率(被処理水に対する生産水の割合)を表3に示した。なお、上記の通り、電解処理水のTOC濃度は1mg/L以下、生産水は導電率2mS/m以下となるように処理し、脱塩水(酸・アルカリ製造用電気透析装置の処理水)は導電率2000mS/m以下となるように処理した。
[実施例2]
実施例1において、脱塩用電気透析装置及び酸・アルカリ製造用電気透析装置をそれぞれ一過式通液型とし、各室の流速をそれぞれ以下の通りとしたこと以外は同様にして、表1−2に示す水質の被処理水を処理した。
<脱塩用電気透析装置>
脱塩室:2.5mL/min
塩分濃縮室:0.25mL/min
<酸・アルカリ製造用電気透析装置>
脱塩室:2.5mL/min
酸室及びアルカリ室:2.5mL/min
得られた軟化処理水、電解処理水、生産水(脱塩用電気透析装置の脱塩水)の水質を調べ、結果を表1−2に示した。
また、消費電力と、水回収率(被処理水に対する生産水の割合)を表3に示した。
Figure 0005900482
[比較例1]
特許文献3に記載される軟化装置→電解装置→触媒分解装置→酸・アルカリ製造用電気透析装置よりなる水回収装置で、表2−1に示す水質の被処理水の処理を行った。装置の仕様、処理条件は次の通りである。
<軟化装置>
Na型強酸性カチオン交換樹脂塔
温度:25℃
通液SV:10hr−1
<電解装置>
実施例1で用いたものと同様(ただし、一過式連続通液処理とする。)
温度:70℃
圧力:0.1MPa
電流密度:2A/dm
通液線速:150m/hr
<触媒分解装置>
過酸化ニッケルを用いた触媒分解装置
温度:室温
通水SV:10hr−1
<酸・アルカリ製造用電気透析装置>
図3に示す構成の循環式通液型酸・アルカリ製造用電気透析装置
温度:室温
圧力:0.1MPa
電流密度:1A/dm
流速:50mL/min
脱塩水:生産水である脱塩水の導電率が2mS/m以下になるまで循環する。
得られた軟化処理水、電解処理水、触媒分解処理水、生産水(酸・アルカリ製造用電気透析装置の脱塩水)の水質を調べ、結果を表2−1に示した。
なお、表2−1には、アメリカ航空宇宙局(NASA)の設定する水質基準(SYSTEM SPECIFICATON FOR THE INTERNATIONAL SPACE STATION, March 2009, SSP41000BN)を基準値として併記した。
また、消費電力と、水回収率(被処理水に対する生産水の割合)を表3に示した。なお、電解処理水のTOC濃度は1mg/L以下、生産水は上記の通り、導電率2mS/m以下となるように処理した。
[参考例1]
実施例1において、電解装置と脱塩用電気透析装置との間に、比較例1で用いたものと同様の構成及び条件の触媒分解装置を設け、軟化装置→電解装置→触媒分解装置→脱塩用電気透析装置→酸・アルカリ製造用電気透析装置の順で処理したこと以外は同様にして、表2−2に示す水質の被処理水を処理した。
得られた軟化処理水、電解処理水、触媒分解処理水、生産水(脱塩用電気透析装置の脱塩水)の水質を調べ、結果を表2−2に示した。
また、消費電力と、水回収率(被処理水に対する生産水の割合)を表3に示した。
Figure 0005900482
Figure 0005900482
以上の結果から、次のことが分かる。
実施例1,2、比較例1及び参考例1のいずれにおいても、基準値を満たす生産水が得られている。
これら実施例1,2、比較例1及び参考例1は、電解装置までの処理条件は同じであるため、電解処理水についてはほぼ同等の水質のものが得られる。
実施例1,2では、電気透析装置を2段に設けたことにより、触媒分解装置を設けなくても、生産水の無機イオンの濃度を大幅に低減することができ、実施例1では、触媒分解装置を設けた参考例1と同等レベルの生産水を得ることができ、脱塩用電気透析装置と酸・アルカリ製造用電気透析装置を一過式で通液した実施例2ではこれら実施例1及び参考例1に比べて生産水の水質が格段に優れる。
水回収率についても、実施例1,2は比較例1の従来法に比べて格段に良好な結果を示し、参考例1に比べても同等の水準となっている。
以上のように、本発明の水回収方法及び装置によれば、小型で簡易な構成の装置により生活排水や人体排出水から不純物を取り除いて再利用することができるため、本発明は特に、宇宙ステーションの生命維持装置に好適に適用することができる。
1 軟化装置
2 電解装置
3 第一の電気透析装置(脱塩用電気透析装置)
4 第二の電気透析装置(酸・アルカリ製造用電気透析装置)
AM アニオン交換膜
CM カチオン交換膜
BPM バイポーラ膜

Claims (16)

  1. 排水を処理して処理水を生産水として回収する方法において、
    上流側から順に、
    該排水を電解装置で直流電流を供給して電気分解することにより、該排水中の被酸化性物質を分解する電解工程と、
    該電解工程で得られた電解処理水を第一の電気透析装置で処理して、該電解処理水からイオン類を除去した脱塩水よりなる生産水と塩分濃縮液とを得る第一の電気透析工程と、
    該第一の電気透析工程で得られた塩分濃縮液を第二の電気透析装置で処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る第二の電気透析工程と
    を備えることを特徴とする水回収方法。
  2. 請求項1において、前記排水は、閉鎖系空間で生じた人体排出水及び/又は生活排水であることを特徴とする水回収方法。
  3. 請求項1又は2において、前記電解処理水は、前記電解工程から、他の水処理工程を経ることなく、前記第一の電気透析工程に送給されることを特徴とする水回収方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記第一の電気透析装置は、少なくとも塩分濃縮室と脱塩室との2室を有し、前記電解処理水を脱塩しつつ、塩分濃縮液を製造するものであることを特徴とする水回収方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記第二の電気透析装置は、少なくとも酸室、脱塩室、及びアルカリ室の3室を有し、前記塩分濃縮液を脱塩しつつ、酸溶液及びアルカリ溶液を製造するものであることを特徴とする水回収方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記電解工程の前段に、前記排水を軟化装置で処理して該排水中の硬度成分を除去する軟化工程を備え、該軟化工程で得られた軟化処理水が前記電解工程で処理される水回収方法であって、
    前記第二の電気透析工程で得られた酸溶液とアルカリ溶液を用いて該軟化装置を再生する再生工程を備えることを特徴とする水回収方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記電解装置は、導電性ダイヤモンド電極を備えることを特徴とする水回収方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記第一の電気透析装置への前記電解処理水の通液及び/又は前記第二の電気透析装置への前記塩分濃縮液の通液が一過式で行われることを特徴とする水回収方法。
  9. 排水を処理して処理水を生産水として回収する装置において、
    上流側から順に、
    該排水を、直流電流を供給して電気分解することにより、該排水中の被酸化性物質を分解する電解装置と、
    該電解装置で得られた電解処理水を処理して、該電解処理水からイオン類を除去した脱塩水よりなる生産水と、塩分濃縮液とを得る第一の電気透析装置と、
    該第一の電気透析装置で得られた塩分濃縮液を処理して脱塩水と酸溶液とアルカリ溶液とを得る第二の電気透析装置と
    を備えることを特徴とする水回収装置。
  10. 請求項9において、前記排水は、閉鎖系空間で生じた人体排出水及び/又は生活排水であることを特徴とする水回収装置。
  11. 請求項9又は10において、前記電解処理水は、前記電解装置から、他の水処理手段を経ることなく、前記第一の電気透析装置に送給されることを特徴とする水回収装置。
  12. 請求項9ないし11のいずれか1項において、前記第一の電気透析装置は、少なくとも塩分濃縮室と脱塩室との2室を有し、前記電解処理水を脱塩しつつ、塩分濃縮液を製造するものであることを特徴とする水回収装置。
  13. 請求項9ないし12のいずれか1項において、前記第二の電気透析装置は、少なくとも酸室、脱塩室、及びアルカリ室の3室を有し、前記塩分濃縮液を脱塩しつつ、酸溶液及びアルカリ溶液を製造するものであることを特徴とする水回収装置。
  14. 請求項9ないし13のいずれか1項において、前記電解装置の前段に、前記排水を処理して該排水中の硬度成分を除去する軟化装置を備え、該軟化装置で得られた軟化処理水が前記電解装置で処理される水回収装置であって、
    前記第二の電気透析装置で得られた酸溶液とアルカリ溶液をそれぞれ該軟化装置へ送給する配管を備え、該酸溶液とアルカリ溶液を用いて該軟化装置が再生されることを特徴とする水回収装置。
  15. 請求項9ないし14のいずれか1項において、前記電解装置は、導電性ダイヤモンド電極を備えることを特徴とする水回収装置。
  16. 請求項9ないし15のいずれか1項において、前記第一の電気透析装置への前記電解処理水の通液及び/又は前記第二の電気透析装置への前記塩分濃縮液の通液が一過式で行われることを特徴とする水回収装置。
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