JP5899697B2 - 液体描画装置および吸入排出体 - Google Patents
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Description
例えば、電気回路配線は、マスクを用いてのエッチングやメッキ等の複製技術にて行われてきたが、従来の技術では少量多品種な昨今の顧客ニーズに適応することが困難になってきており、金属ナノ粒子材料を用いたインクジェット方式による随時描画可能な技術の開発が行われている。
しかしながら、規定されたサイズのノズルは微細であり、高粘度材料を流動させるのは非常に困難であることが予想される。
しかしながら、飛翔しない液滴を再度回収する必要があり、液濃度変化等による品質低下が懸念される。
一方、生産性を高めるために、多数のインクジェットヘッドを千鳥状等に配列することにより長尺、大型なラインヘッドを構成したヘッドユニットを用いて描画を行う描画装置が知られているが、装置の小型化が困難となる。
被吸入流動体を吸入排出する吸入排出手段と、
前記吸入排出手段に非接触に設けられて前記被吸入流動体を貯留する被吸入部から、前記吸入排出手段に前記被吸入流動体を吸入させる吸入駆動部と、
前記吸入排出手段から前記被吸入流動体を被描画媒体へ排出させる排出駆動部と、
前記吸入排出手段に当接し回転する複数の回転部と、を備え、
前記吸入排出手段は、
開口部と該開口部に通じる空間を有する吸入排出セルが複数配列された無端状のベルト部材であり、
複数の前記回転部に掛け渡されて回転し、前記吸入排出セルごとに前記被吸入流動体を前記被吸入部において吸入し前記被描画媒体へ排出することを特徴とする液体描画装置である。
図1に示すように、本発明の液体描画装置は、被吸入流動体10を吸入排出する吸入排出手段11と、吸入排出手段11に被吸入流動体10を吸入させる吸入駆動部30と、吸入排出手段11に吸入される被吸入流動体10を貯留する被吸入部20と、吸入排出手段11から被吸入流動体10を排出させる排出駆動部50と、排出された被吸入流動体10を被描画媒体61へ転写する描画部60と、吸入排出手段11と当接し回転する複数のローラ40とを備える。
吸入排出手段11は、開口部と該開口部に通じる空間を有する吸入排出セル12が複数配列された無端状のベルト部材であり、複数のローラ40に掛け渡されて回転し、被吸入流動体10を被吸入部20において吸入して描画部60において排出する連続処理が可能である。
回転移動は、例えば、無端状ベルト部材である吸入排出手段11の長さを300mmとして、ローラの回転が伝達されることによる移動速度を100mm/秒、周回速度を20rpmとすることができる。
被吸入部20に収容される被吸入流動体10としては、描画するのに用いられる液体であれば特に限定されず、必要に応じて適宜選択することができ、複数の被吸入部20にそれぞれ異なった被吸入流動体10を収容することができる。例えば、図1のAの被吸入部20には水を媒体とする金属ナノ粒子(例えば、銀、銅等の導電性ナノ粒子)を収容し、Bの被吸入部20には絶縁性の紫外線硬化樹脂を収容することができる。
図2に示すように、吸入排出手段11は、吸入排出セル12と、吸入排出セル12に収容され被吸入流動体10に接触する誘導材14と、誘導材14に電荷を与える誘導材駆動部13とを備える。
誘導材14は、電荷を与えられることにより吸入排出セル12の前記開口部に向かって移動し、
誘導材14が前記開口部から外部に向かって露呈することにより、被吸入流動体10に接触し、誘導材14が元の位置に戻ることにより被吸入流動体10が吸入排出セル12の空間内に吸入され、次いで誘導材14が前記開口部から外部に向かって移動することにより吸入された被吸入流動体10が前記開口部から排出される。
吸入排出セル12の寸法としては、例えば、図2中aで示す隔壁17の高さが約0.1mmであることが好ましく、図3中gで示す隔壁17のピッチが約0.05mmであることが好ましい。
なお、吸入排出セル12は、図3に示すように、開口部が垂直断面において幅方向に鋭角に突出した端部を有し、該開口部の幅eが、隔壁により形成されるセル内部空間の幅fよりも狭い構造を有することが好ましい。
図3に示す例においては、fで示すセル内部空間の幅は0.04mm、eで示す開口部の幅は0.035mmであるが、この値に限定されない。
具体的には、図3に示すように、吸入排出セル12の開口部周辺17aは、被吸入流動体10に対する濡れ性が小さい材料で構成されるか濡れ性を小さくするために撥水処理されてなり、吸入排出セル12の内部空間を形成する隔壁17の壁面17bは、被吸入流動体10に対する濡れ性が高い材料で構成されるか濡れ性を高めるために親水処理されてなることが好ましい。
吸入排出セル12の開口部周辺(吸入時に液体が接触している部分)17aは、被吸入流動体10に対して濡れ性が低い撥水材料、例えばシリコーンゴムを使用し、材料が撥水性に富まない材料の場合は、フッ素皮膜やシリコーン皮膜を形成する撥水処理を施すことが好ましい。一方、吸入排出セル12内部空間を形成する隔壁17の壁面17bには、放電処理等により濡れ性を高くする処理(親水処理、接触角度10°)を施すことが好ましい。
このように吸入排出セル12の開口部周辺を撥水性、内壁を親水性とすることにより、
被吸入流動体10の不要な流入を防ぐことができ、また一度吸入された被吸入流動体が毛細管現象により奥部までとりこまれる効果が得られる。
誘導材14は、吸入排出セル12内に収容され、その量としては、被吸入流動体10の吸入量を想定した量とすることが好ましい。例えば、図2に示すように、隔壁17の高さでもある吸入排出セル12の深さaが0.1mmの場合、誘導材14はbで示す0.04〜0.08mmの位置に満たされることが好ましい。cで示す0〜0.04mmの位置はガス空間である。
図2及び図3に示した例において、隔壁17のピッチgが0.05mmであって、形成される内部空間の幅fが縦横とも約0.04mmである場合、被吸入流動体10の吸入排出セルの1区画(空間)あたりの吸入量は約40ピコリットルとなる。
図2中dで示す支持体16の厚み(高さ)としては約0.1mmが好ましく、電極15の直径としては約0.02mmが好ましい。
電極15は支持体16から上方向に吸入排出セル12の空間内に突出し、突出部分の高さは約0.08mmが好ましい。電極15の下方は支持体16の底部まで連通している。
吸入用電極32は、導電性材料からなる接点電極31を備え、誘導材駆動部13を構成する電極15と接して、前記電気信号を送る。除電用電極35は、グランド36に接続され、導電性材料からなる接点電極34を備え、誘導材駆動部13を構成する電極15と接して残留した電荷を除去する。
接点電極31,34は、誘導材駆動部13を構成する複数の電極15をまたがないように配置されている。
吸入用電源33と接続された吸入用電極32の接点電極31は、誘導材14を帯電させて移動させる。なお、吸入用電源33から発信される電気信号の電圧は50〜400V程度である。誘導材14に残留した電荷は、除電用電極35により除去される。
なお、図示していないが、図の奥行方向にも同様の形状の構造の吸入駆動部30が配置されている。
まず、図4(1)に示すように、吸入排出手段11が図面の左から右の方向へ移動して吸入排出セル12の開口部と被吸入流動体10とが接近する。次いで(2)に示すように、吸入用電極32の接点電極31と電極15とが接触する。吸入駆動部30の電圧(吸入用電源33)をONにすることにより電圧(応答速度2kHz以上)が発生し、誘導材14が帯電する。帯電した誘導材14は、電極との斥力や対向電極24及び被吸入流動体10との引力により、被吸入部20側へ移動する。同時に、被吸入流動体10も、相対的に誘導材14に引き寄せられて移動する。なお、吸入駆動部30の電圧(吸入用電源33)がOFFの場合には、誘導材14の移動は起こらないため、被吸入流動体10は吸入されない(図示せず)。
次いで、図4(4)に示すように、除電用電極35の接点電極34と電極15とが接触することにより、誘導材14の電荷はさらに除去され、大気圧により元の位置に戻ろうとして、被吸入流動体10はさらに吸入排出セル12内に取り込まれ、図4(5)に示すように吸入が完了する。
図5は、描画部60における吸入排出手段11及び排出駆動部50の構成例を示す模式図である。
図5に示すように、排出駆動部50は、常時高電圧を発生している排出用電源53と、排出用電源53に接続された排出用電極52と、グランドに接続された除電用電極55とからなる。排出用電極52は、排出用電源53に接続され、導電性材料からなる接点電極51を備え、誘導材駆動部13を構成する電極15と接する。除電用電極55は、グランドに接続され、導電性材料からなる接点電極54を備え、誘導材駆動部13を構成する電極15と接して残留した電荷を除去する。
排出用電源53は、常時高電圧(400〜4000V)を発生している。図示していないが、図面の奥行き方向も同様な断面形状でつながっている。
被描画媒体61は、被吸入流動体10が転写される箇所であり、表面は被吸入流動体10との濡れ性の良い表面処理(例えば、大気圧プラズマ処理、UVオゾン処理、酸化チタン塗布等)が施されていることが好ましい。
移動プレート62は、被描画媒体61を移動させる基板であり、平坦性を維持する材料(例えば、ステンレス系等)からなる。
対向電極63は、導電性がある材料(例えば、銅、ステンレス、黒鉛等)からなり、グランド(電圧0)につながっている。また、移動プレート62に対向電極63の作用(導電性)を持たせた一体の一部品構成としても良い。
図6(1)に示す初期状態において、排出用電源53は常時ON状態であるが、排出用電源と接続された排出用電極52と誘導材駆動部13の電極15とが接していないので、電荷は発生していない。
次いで図6(2)に示すように、吸入排出手段11が図面の右から左方向へ移動し、排出用電極52と電極15とが接すると、電圧が発生し、誘導材14及び被吸入流動体10が帯電する。帯電した誘導材14及び被吸入流動体10は、対向電極63に引き寄せられて移動し、被描画媒体61に接触する。
排出用電極52と電極15とが接して、高電圧(例えば、2.5kV)が発生する場合、コロナ放電によるイオン風により被吸入流動体10が被描画媒体61へ飛翔する。この場合、描画部の対向電極63は無くてもよい。
例えば、水にPVA(ポリビニルアルコール)を添加することにより高粘度化した誘導材14を使用することができる。
また、コロナ放電の1mm以内はストリーマ状の放電を発生するので、吸入排出手段11の開口部から被描画媒体61の距離をその範囲以内に設定することにより、被吸入流動体10は飛散することなく飛翔して被描画媒体61に転写される。
11 吸入排出手段
12 吸入排出セル
13 誘導材駆動部
14 誘導材
15 (誘導材駆動部の)電極
16 支持材
17 セル隔壁
20 被吸入部
21 容器(貯留容器)
22 被吸入流動体補給口
23 開口部
24 対向電極
30 吸入駆動部
31 接点電極
32 吸入用電極
33 吸入用電源
34 接点電極
35 除電用電極
36 グランド
40 ローラ
50 排出駆動部
51 接点電極
52 排出用電極
53 排出用電源
54 接点電極
55 除電用電極
60 描画部
61 被描画媒体
62 移動プレート
63 対向電極
Claims (11)
- 被吸入流動体を吸入排出する吸入排出手段と、
前記吸入排出手段に非接触に設けられて前記被吸入流動体を貯留する被吸入部から、前記吸入排出手段に前記被吸入流動体を吸入させる吸入駆動部と、
前記吸入排出手段から前記被吸入流動体を被描画媒体へ排出させる排出駆動部と、
前記吸入排出手段に当接し回転する複数の回転部と、を備え、
前記吸入排出手段は、
開口部と該開口部に通じる空間を有する吸入排出セルが複数配列された無端状のベルト部材であり、
複数の前記回転部に掛け渡されて回転し、前記吸入排出セルごとに前記被吸入流動体を前記被吸入部において吸入し前記被描画媒体へ排出することを特徴とする液体描画装置。 - 前記吸入排出手段は、前記吸入排出セルと、前記吸入排出セルに収容され電荷の授受により該吸入排出セル内を移動して前記被吸入流動体を前記吸入排出セル内外に誘導する誘導材と、前記吸入駆動部または前記排出駆動部と前記誘導材との電荷の授受を仲介する誘導材駆動部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の液体描画装置。
- 前記吸入排出手段の移動に伴い、所定の前記吸入排出セルが前記被吸入部の位置に来たとき、前記吸入駆動部から前記誘導材に電荷が与えられて該誘導材が前記開口部へ移動することにより前記被吸入流動体に接触し、ついで前記誘導材から前記電荷が除去されて該誘導材が元の位置に戻ることにより前記被吸入流動体が前記吸入排出セル内に吸入され、
前記吸入排出セルが前記被描画媒体への排出位置に来たとき、前記排出駆動部から前記誘導材に電荷が与えられて該誘導材が前記開口部側へ移動することにより前記吸入された被吸入流動体が該開口部から排出されることを特徴とする請求項2に記載の液体描画装置。 - 前記被吸入部は、前記被吸入流動体を貯留する容器と、前記誘導材駆動部の電極と相対する対向電極とを備え、
前記容器には、前記被吸入流動体が外部から補給される吸入流動体補給口と、前記被吸入流動体が前記吸入排出手段へ吸引される開口部とが形成されていることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の液体描画装置。 - 前記吸入駆動部は、
描画に応じた電気信号を発信する吸入用電源と、
前記吸入用電源と接続され、導電性材料からなる接点電極を備え、前記誘導材駆動部の電極と接して前記電気信号を送る吸入用電極と、
グランドに接続され、導電性材料からなる接点電極を備え、前記誘導材駆動部の電極と接して残留した電荷を除去する除電用電極とからなり、
前記接点電極は、前記誘導材駆動部の複数の電極をまたがないように配置されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の液体描画装置。 - 前記排出駆動部は、
常時高電圧を発生している排出用電源と、
前記排出用電源と接続され、導電性材料からなる接点電極を備え、前記誘導材駆動部の電極と接する排出用電極と、
グランドに接続され、導電性材料からなる接点電極を備え、前記誘導材駆動部の電極と接して残留した電荷を除去する除電用電極とからなることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の液体描画装置。 - 前記接点電極を構成する導電性材料が、水銀であることを特徴とする請求項5または6に記載の液体描画装置。
- 排出された前記被吸入流動体を前記被描画媒体へ転写する描画部をさらに備え、
前記描画部は、前記被描画媒体を前記吸入排出手段と連動して移動させる移動プレートと、グランドと接続された導電性を有する材料からなる対向電極とを備えることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の液体描画装置。 - 被吸入流動体を吸入排出する吸入排出手段と、
前記吸入排出手段に前記被吸入流動体を吸入させる吸入駆動部と、
前記吸入排出手段に吸入される前記被吸入流動体を貯留する被吸入部と、
前記吸入排出手段から前記被吸入流動体を排出させる排出駆動部と、
排出された前記被吸入流動体を被描画媒体へ転写する描画部と、
前記吸入排出手段に当接し回転する複数のローラと、を備え、
前記吸入排出手段は、
開口部と該開口部に通じる空間を有する吸入排出セルが複数配列された無端状のベルト部材であり、
前記吸入排出セルと、前記吸入排出セルに収容され電荷の授受により該吸入排出セル内を移動して前記被吸入流動体を前記吸入排出セル内外に誘導する誘導材と、前記吸入駆動部または前記排出駆動部と前記誘導材との電荷の授受を仲介する誘導材駆動部と、を備え、
複数の前記ローラに掛け渡されて回転し、前記吸入排出セルごとに前記被吸入流動体を前記被吸入部において吸入し前記描画部において排出する連続処理が可能であることを特徴とする液体描画装置。 - 被吸入部から被吸入流動体を吸入して、該被吸入流動体を被描画媒体に排出する液体描画装置の吸入排出体であって、
開口部と該開口部に通じる空間を有する吸入排出セルと、
前記吸入排出セルに収容され電荷の授受により該吸入排出セル内を移動して前記被吸入流動体を前記吸入排出セル内外に誘導する誘導材と、を備え、
前記吸入排出セルは、前記開口部が垂直断面において幅方向に鋭角に突出した端部を有し、前記開口部の幅が、該開口部に向かって通じる空間の幅よりも狭い構造を有することを特徴とする吸入排出体。 - 前記吸入排出セルの前記開口部の周辺は、前記被吸入流動体に対する濡れ性が小さい材料で構成されるか撥水処理されてなり、前記吸入排出セルの空間を形成する隔壁の壁面は、前記被吸入流動体に対する濡れ性が高い材料で構成されるか親水処理されてなることを特徴とする請求項10に記載の吸入排出体。
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