JP5897406B2 - 電解研磨用電解液 - Google Patents

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本発明は、ステンレス鋼に代表される含クロム合金鋼の溶接によって発生する溶接焼けを除去する際に使用される電解研磨用電解液に関する。
ステンレス鋼を溶接すると、溶接部周辺に溶接焼け(酸化スケール)が発生するため、従来から電解研磨による溶接焼け取りが行われている。電解研磨に用いられる電解液は市販されているものの、従来の電解液では完全に焼けを除去することが困難であった。溶接焼けが残ると、溶接部分の跡が残るため、見栄えが悪く、商品価値を低下させてしまう。
一方、強酸性の電解液を使用することで、溶接焼けを綺麗に除去することができるものの、強酸を使用すると、強酸性溶液が作業者の体に飛散して薬傷を負ってしまうといった危険性があった。また、工業用水の排水基準(pH5.8〜8.6)を満たすため、焼け取り終了後に大量のアルカリを用いて電解液を中和する必要があった。
このような問題に鑑み、下記特許文献1には、硫酸、燐酸、硝酸のカリウムやナトリウム塩の水溶液にアスコルビン酸又はその塩を添加した、中性の含クロム合金鋼の電解研磨用電解液が開示されている。
特許第2649625号公報
しかし、アスコルビン酸は、ビタミンCとしての働きも知られ、医薬品にも用いられていることから高価であり、電解研磨用電解液に使用するにはコストの問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、電解研磨作業の危険性が低く、排水基準の範囲内で使用できる安価な電解研磨用電解液であって、含クロム合金鋼の溶接焼けを綺麗に除去できる電解研磨用電解液を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る電解研磨用電解液は、含クロム合金鋼の電解研磨に用いられる電解研磨用電解液において、リン酸二水素カリウムと、リン酸水素二カリウムと、クエン酸と、クエン酸ナトリウムと、を含む水溶液であることを特徴とする。
本発明に係る電解研磨用電解液によれば、排水基準の範囲内で安全に電解研磨作業を行うことができ、含クロム合金鋼の溶接焼けを綺麗に除去することができる。
本発明の実施形態に係る電解研磨用電解液の実施例を示す図である。 本発明の実施形態に係る電解研磨用電解液の比較例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電解研磨用電解液を例示するものであって、本発明は電解研磨用電解液を以下のものに特定しない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
図1は、本実施形態に係る電解研磨用電解液の実施例1〜23を示す図である。本実施形態では、10cm×10cmの正方形状のステンレス鋼板材に溶接により発生した溶接焼け(中心を通る長さ10cmの直線)を直流法の電解研磨により除去する場合を例に挙げて説明する。
本実施形態の電解研磨作業においては、15Vの直流電圧を印加する電源器の陰極側にステンレス鋼を接続し、陽極側の金属に電解研磨用電解液を含浸した布を取り付け、この布でステンレス鋼表面をなぞることで、溶接焼けの除去を行った。
図1に示すように、実施例1〜23では、電解研磨用電解液全体で100gとなるように電解液の原料を配合している。「焼け取り時間(秒)」は、溶接焼けが綺麗に除去できるまでに要した時間を示しており、「ビード部」は、ビード部(溶接跡)の焼けの除去に要した時間、「全体」は、ステンレス鋼の表面全体の焼けの除去に要した時間を示している。
本実施形態に係る電解研磨用電解液は、原料である水、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを所定の質量配合比で混合し、スターラーで撹拌することで生成したことを特徴としており、実施例1〜23に係る電解液を用いた電解研磨によれば、溶接焼けを短時間で綺麗に除去することができた。以下、実施例1〜23について、それぞれ詳細に説明する。
実施例1は、水84gと、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)7gと、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)7gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを配合した電解液であり、当該電解液のpHは6.05であった。実施例1の焼け取り時間は、ビード部が7秒、全体で36秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例2は、水82gと、リン酸二水素カリウム7gと、リン酸水素二カリウム7gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム3gとを配合した電解液であり、当該電解液のpHは6.17であった。実施例2の焼け取り時間は、ビード部が7秒、全体で35秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例3は、水84.5gと、リン酸二水素カリウム7gと、リン酸水素二カリウム7gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム0.5gとを配合した電解液であり、当該電解液のpHは6.21であった。実施例3の焼け取り時間は、ビード部が12秒、全体で34秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例4は、水84.3gと、リン酸二水素カリウム7gと、リン酸水素二カリウム7gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム0.7gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.19であった。実施例4の焼け取り時間は、ビード部が3秒、全体で37秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例5は、水90gと、リン酸二水素カリウム4gと、リン酸水素二カリウム4gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを配合した電解液であり、当該電解液のpHは5.98であった。実施例5の焼け取り時間は、ビード部が7秒、全体で77秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例6は、水88gと、リン酸二水素カリウム5gと、リン酸水素二カリウム5gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.11であった。実施例6の焼け取り時間は、ビード部が8秒、全体で60秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例7は、水86gと、リン酸二水素カリウム6gと、リン酸水素二カリウム6gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.18であった。実施例7の焼け取り時間は、ビード部が8秒、全体で60秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例8は、水82gと、リン酸二水素カリウム8gと、リン酸水素二カリウム8gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.26であった。実施例8の焼け取り時間は、ビード部が13秒、全体で41秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例9は、水80gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.27であった。実施例9の焼け取り時間は、ビード部が8秒、全体で33秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例10は、水78gと、リン酸二水素カリウム10gと、リン酸水素二カリウム10gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.29であった。実施例10の焼け取り時間は、ビード部が6秒、全体で36秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例11は、水81gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸0.5gと、クエン酸ナトリウム0.5gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.46であった。実施例11の焼け取り時間は、ビード部が7秒、全体で26秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例12は、水78gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸2gと、クエン酸ナトリウム2gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは5.94であった。実施例12の焼け取り時間は、ビード部が12秒、全体で25秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例13は、水80gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸0.5gと、クエン酸ナトリウム1.5gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.47であった。実施例13の焼け取り時間は、ビード部が7秒、全体で34秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例14は、水79gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム2gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.29であった。実施例14の焼け取り時間は、ビード部が9秒、全体で34秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例15は、水79gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸2gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは5.94であった。実施例15の焼け取り時間は、ビード部が8秒、全体で30秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例16は、水80gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸1.5gと、クエン酸ナトリウム0.5gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.09であった。実施例16の焼け取り時間は、ビード部が9秒、全体で30秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例17は、水83gと、リン酸二水素カリウム8gと、リン酸水素二カリウム8gと、クエン酸0.5gと、クエン酸ナトリウム0.5gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.50であった。実施例17の焼け取り時間は、ビード部が15秒、全体で35秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例18は、水80gと、リン酸二水素カリウム8gと、リン酸水素二カリウム8gと、クエン酸2gと、クエン酸ナトリウム2gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは5.90であった。実施例18の焼け取り時間は、ビード部が16秒、全体で34秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例19は、水74gと、リン酸二水素カリウム12gと、リン酸水素二カリウム12gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.42であった。実施例19の焼け取り時間は、ビード部が9秒、全体で40秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例20は、水70gと、リン酸二水素カリウム14gと、リン酸水素二カリウム14gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.46であった。実施例20の焼け取り時間は、ビード部が10秒、全体で40秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例21は、水80gと、リン酸二水素カリウム4gと、リン酸水素二カリウム14gと、クエン酸1gと、クエン酸ナトリウム1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは7.12であった。実施例21の焼け取り時間は、ビード部が9秒、全体で38秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例22は、水81.8gと、リン酸二水素カリウム9gと、リン酸水素二カリウム9gと、クエン酸0.1gと、クエン酸ナトリウム0.1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.65であった。実施例20の焼け取り時間は、ビード部が6秒、全体で45秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
実施例23は、水91.8gと、リン酸二水素カリウム4gと、リン酸水素二カリウム4gと、クエン酸0.1gと、クエン酸ナトリウム0.1gとを混合した電解液であり、当該電解液のpHは6.69であった。実施例23の焼け取り時間は、ビード部が14秒、全体で54秒であり、溶接焼け除去後の表面は非常に綺麗であった。
以上、焼け取りを適切に行うことのできた電解研磨用電解液の各実施例について説明したが、続いて、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムの好適な配合量について、さらに図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る電解研磨用電解液の比較例1〜8について示す図である。
まず、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二カリウムの電解液全体の質量に対する質量配合比の下限について、実施例5のリン酸二水素カリウム4質量%及びリン酸水素二カリウム4質量%が下限に近い値であった。カリウムのリン酸塩であるリン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムの配合量が少なくなると、電解液のpHが小さくなり、排水基準(pH5.8〜8.6)を満たさなくなってしまう。
図2に示す比較例1は、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムの質量配合比がそれぞれ2質量%であり、比較例2は、同質量配合比がそれぞれ3質量%である。比較例1のpHは5.43、比較例2のpHは5.78となっており、排出基準を満たしていない。このように、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二カリウムの質量配合比は、電解液の全質量に対してそれぞれ4質量%以上であることが望ましい。
また、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二カリウムの質量配合比の上限について、実施例20のリン酸二水素カリウム14質量%及びリン酸水素二カリウム14質量%が上限に近い値であった。リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムの配合量が多くなると、電解研磨作業中に白い結晶(原料であるリン酸カリウムの結晶)の固形物が析出し、焼け取り作業性が大きく低下し、続行が困難になってしまう場合もある。
図2に示す比較例3は、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムの質量配合比がそれぞれ15質量%であるが、比較例3の電解研磨用電解液を用いて電解研磨作業を行うと、固形物が析出して作業続行が困難になった。このように、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二カリウムの質量配合比は、電解液の全質量に対してそれぞれ14質量%以下であることが望ましい。
以上、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムの質量配合比は、それぞれ4〜14(4以上14以下)質量%であることが望ましいが、電解研磨用電解液のpHをより中性に近づけると共に、電解研磨作業中の固形物の析出を確実に防ぐためには、それぞれ5〜12質量%であることが望ましく、さらには7〜9質量%であることが望ましい。
次に、クエン酸とクエン酸ナトリウムの電解液全体の質量に対する質量配合比の下限について、実施例22のクエン酸0.1質量%及びクエン酸ナトリウム0.1質量%が下限に近い値であった。比較例4はクエン酸ナトリウムの配合量を0、比較例5はクエン酸の配合量を0とした電解液であるが、比較例4,5の電解液を用いて電解研磨作業を行っても溶接焼け取りが不十分であったり、表面汚れが発生したりした。
また、クエン酸とクエン酸ナトリウムの電解液全体の質量に対する質量配合比の上限について、実施例2のクエン酸1質量%及びクエン酸ナトリウム3質量%、実施例12のクエン酸2質量%及びクエン酸ナトリウム2質量%の電解液であれば、溶接焼けを良好に除去することができた。
一方、比較例6はクエン酸4質量%及びクエン酸ナトリウム4質量%の電解液であるが、比較例6のpHは5.35と排水基準を満たしていない。但し、クエン酸の質量配合比が2質量%以下であれば、クエン酸ナトリウムの質量配合比が4質量%であっても排水基準を満たしていた。
以上より、クエン酸の質量配合比は、0.1〜2質量%であることが望ましく、クエン酸ナトリウムの質量配合比は、0.1〜4質量%であることが望ましい。また、電解研磨用電解液のpHをより中性に近づけると共に、溶接焼け取りをより効果的に行うためには、クエン酸の質量配合比が0.5〜2質量%、クエン酸ナトリウムの質量配合比が0.5〜2質量%であることが望ましく、さらには、クエン酸の質量配合比が0.8〜2質量%、クエン酸ナトリウムの質量配合比が0.8〜2質量%であることがより望ましい。
次に、リン酸二水素カリウムに対するリン酸水素二カリウムとの質量配合比の下限について、リン酸二水素カリウムの配合量が相対的に大きくなると、電解液の酸性が強くなり排水基準を満たさなくなる。例えば、比較例7のリン酸二水素カリウム14質量%及びリン酸水素二カリウム4質量%の電解液は、pHが5.44となり排水基準を満たしていない。よって、リン酸二水素カリウムに対するリン酸水素二カリウムとの質量配合比は、0.5以上であることが望ましい。
また、リン酸二水素カリウムに対するリン酸水素二カリウムとの質量配合比の上限について、実施例21のリン酸二水素カリウム4質量%及びリン酸水素二カリウム14質量%が上限に近い値であった。リン酸水素二カリウムの配合量が相対的に大きくなると、溶接焼け取りが不十分であったり、表面汚れが発生したりした。例えば、比較例8のリン酸二水素カリウム2質量%及びリン酸水素二カリウム16質量%の電解液は、溶接焼け取りが不十分であった。
以上より、リン酸二水素カリウムに対するリン酸水素二カリウムとの質量配合比は、0.5〜4であることが望ましい。また、電解研磨用電解液のpHをより中性に近づけると共に、溶接焼け取りをより効果的に行うためには、同質量配合比が0.5〜2.4であることが望ましく、さらには0.7〜1.3であることが望ましい。
次に、クエン酸に対するクエン酸ナトリウムの質量配合比の下限について、実施例16のクエン酸1.5質量%及びクエン酸ナトリウム0.5質量%が下限に近い値であった。クエン酸の配合量が相対的に大きくなると、各原料の配合量にもよるが、排水基準を満たさなくなったり、溶接焼け取りが不十分であったり、表面汚れが発生したりした。
また、クエン酸に対するクエン酸ナトリウムの質量配合比の上限について、実施例2のクエン酸1質量%及びクエン酸ナトリウム3質量%が上限に近い値であった。クエン酸ナトリウムの配合量が相対的に大きくなると、各原料の配合量にもよるが、排水基準を満たさなくなったり、溶接焼け取りが不十分であったり、表面汚れが発生したりした。
以上より、クエン酸に対するクエン酸ナトリウムの質量配合比は、0.3〜3.5であることが望ましく、さらには0.5〜3であることが望ましい。
以上、詳細に説明した本実施形態に係る電解研磨用電解液によれば、ステンレス鋼に形成された溶接焼けを短時間で綺麗に除去することができる。また、本実施形態に係る電解研磨用電解液のpHは排水基準を満たしており、電解研磨作業時の作業者の安全性を確保することができると共に、中和することなく廃棄することができ、作業効率を格段に向上させることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ステンレス鋼の溶接焼け取りに使用する場合を例に挙げて説明したが、上記実施形態に係る電解研磨用電解液は、ステンレス鋼に限らず、広く含クロム合金鋼の電解研磨に使用することができる。
また、上記実施形態では、直流法の電解研磨に使用する場合を例に挙げて説明したが、交流法の電解研磨にも使用できるのは言うまでもない。
また、上記実施形態に係る電解研磨用電解液として、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムのみを配合した水溶液について説明したが、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、他の添加剤を加えた水溶液としても良い。

Claims (4)

  1. 含クロム合金鋼の電解研磨に用いられる電解研磨用電解液において、
    リン酸二水素カリウムと、
    リン酸水素二カリウムと、
    クエン酸と、
    クエン酸ナトリウムと、
    を含む水溶液であって、
    前記水溶液のpHが5.8〜8.6であることを特徴とする電解研磨用電解液。
  2. 含クロム合金鋼の電解研磨に用いられる電解研磨用電解液において、
    リン酸二水素カリウムと、
    リン酸水素二カリウムと、
    クエン酸と、
    クエン酸ナトリウムと、
    を含む水溶液であって、
    前記水溶液は、その合計質量に対して、4〜14質量%のリン酸二水素カリウム、4〜14質量%のリン酸水素二カリウム、0.1〜2質量%のクエン酸、0.1〜4質量%のクエン酸ナトリウムを含むことを特徴とする電解研磨用電解液。
  3. 前記リン酸二水素カリウムに対する前記リン酸水素二カリウムの質量配合比が0.5〜4であることを特徴とする請求項記載の電解研磨用電解液。
  4. 前記クエン酸に対する前記クエン酸ナトリウムの質量配合比が0.3〜3.5であることを特徴とする請求項又は記載の電解研磨用電解液。
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