しかしながら、上記特許文献1記載のパイプコネクターにおいては、コネクター本体の一端部にパイプを取付ける際に、一対の係止爪を撓ませながらパイプ先端の連結部材を押し込むようになっているので、挿入抵抗が大きく、パイプの接続作業性に問題があった。
また、一対の係止爪を有するコネクター本体、及び、各係止爪を撓み規制するロック体の外周には、カバー体が配置されているが、このカバー体に大きな衝撃力や大荷重が付与された場合、一対の係止爪やロック体が破損する虞れがあり、コネクター本体の一端部からパイプが抜け外れる可能性がある。
したがって、本発明の目的は、他方の管体に対して一方の管体を容易に接続することができると共に、一旦接続された管体どうしをしっかりと接続した状態に保持することができる、コネクタを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、接続されるべき一方の管体に接続される雄型管体と、接続されるべき他方の管体に接続される雌型管体とを備えた配管用コネクタにおいて、前記雄型管体は、その外周に環状突部を有しており、前記雌型管体は、一端面で連結され、他端面で分離して開口する、内筒と外筒とからなる二重筒からなり、前記一端面に前記内筒に連通する、前記他方の管体に対する接続部が設けられ、前記内筒の周壁の所定箇所に第1窓部が設けられたハウジングと、前記ハウジングの内筒内に配置されたシールリングと、前記ハウジングの内筒内に回り止めされて装着され、その内部に前記雄型管体が挿入される第1リテーナと、前記ハウジングの内筒と外筒との間に装着され、前記ハウジングに対して回転可能とされた第2リテーナとを有しており、前記第1リテーナには、前記内筒の第1窓部に整合する位置に、前記雄型管体の環状突部に係合する弾性係合片が設けられており、前記第2リテーナには、前記ハウジングに対して所定の角度位置に回転したとき、前記弾性係合片に整合する第2窓部が形成されており、前記弾性係合片が前記第2窓部に整合する位置にあるときには、前記弾性係合片が外側に撓み可能となって前記環状突部を乗り越えることができ、前記弾性係合片が前記第2窓部に整合しない位置にあるときには、前記弾性係合片が前記第2リテーナの内周により外側への撓みを規制されて、前記環状突部を乗り越えることができないように構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、雄型管体を雌型管体に挿入して連結する際には、弾性係合片が第2窓部に整合する位置となるように第2リテーナを回転させて、雄型管体を雌型管体の内筒に挿入することにより、弾性係合片が外側に撓み可能となって雄型管体の環状突部を乗り越えて係合することができる。その状態で、第2リテーナを回転させて、弾性係合片が第2リテーナの内周により外側への撓みを規制される位置とすることにより、弾性係合片の外側への撓みが規制されて、環状突部との係合がロックされ、雄型管体と雌型管体とを確実に連結することができる。また、雄型管体を雌型管体から抜き出したいときには、再び弾性係合片が第2窓部に整合する位置となるように第2リテーナを回転させることにより、弾性係合片が外側へ撓み可能となるので、雄型管体を引き抜くことができる。
このように、第2リテーナの周壁によって、第1リテーナの弾性係合片の外側への撓みを規制して、係合をロックするので、強い連結力が得られると共に、雄型管体を挿脱する際には、第2リテーナを回転させて、その第2窓部が弾性係合片に整合する位置にして、弾性係合片の外側への撓みを可能にするので、比較的小さな力で挿脱することが可能となる。
また、第2リテーナがハウジングの内筒と外筒との間に装着されると共に、第1リテーナがハウジングの内筒内に装着されて、第2リテーナが外筒でカバーされると共に、第1リテーナの外周も内筒によってカバーされるので、コネクタ外部から予期し得ない衝撃力や大きな荷重が付与されても、第1リテーナや第2リテーナが破損することを防止することができ、雄型管体と雌型管体とを強固に接続した状態に維持することができる。
本発明の配管用コネクタにおいては、前記第2リテーナは、先端部が前記ハウジングに回り止めされ、基端部が前記ハウジングに対して回転可能とされ、前記基端部に前記第2窓部が形成され、前記先端部と前記基端部とがコイル状壁部を介して連結されており、前記弾性係合片が前記第2窓部に整合する位置に前記基端部を回転させた状態で外力がなくなると、前記コイル状壁部の弾性復元力により、前記弾性係合片が前記第2窓部に整合しない位置に回転するように構成されていることが好ましい。
これによれば、弾性係合片が第2窓部に整合するように、第2リテーナの基端部を回転させることにより、雄型管体を雌型管体に挿脱することが可能となり、雄型管体を雌型管体に挿入して弾性係合片を環状突部に係合させた状態で外力を除くと、コイル状壁部の弾性復元力によって、弾性係合片が第2窓部に整合しない位置になるように第2リテーナの基端部が回転するので、雄型管体と雌型管体との連結をロックすることができる。
本発明の配管用コネクタにおいては、前記第2リテーナの基端部には、該基端部の端面に開通して、軸方向及び周方向に対して斜め方向に伸びると共に、途中から周方向に伸びるカム溝が形成されており、前記雄型管体には、前記環状突部よりも基端側に、前記カム溝に挿入される突起が形成されており、前記雄型管体を前記雌型管体に挿入するとき、前記突起が前記カム溝の斜め方向に伸びる部分を押圧して、前記弾性係合片が前記第2窓部に整合する位置になるように前記基端部を回転させ、前記弾性係合片が前記雄型管体の環状突部に係合すると、前記突起が前記カム溝の周方向に伸びる部分に至り、前記コイル状壁部の弾性復元力により前記基端部が回転して、前記弾性係合片が前記第2窓部に整合しない位置になるように構成されていることが好ましい。
これによれば、雄型管体を雌型管体に挿入する際に、雄型管体の突起と、雌型管体の第2リテーナのカム溝との相互作用により、第2リテーナの基端部が回転して弾性係合片が第2窓部に整合する位置になるので、弾性係合片の外側への撓みが許容されて、弾性係合片を環状突部に係合させることができる。
また、弾性係合片が環状突部に係合すると、雄型管体の突起が、カム溝の周方向に伸びる部分に至るので、コイル状壁部の弾性復元力によって、第2リテーナの基端部が回転して、弾性係合片が第2窓部に整合しない位置にすることができ、それによって雄型管体と雌型管体との連結を自動的にロックすることができる。
なお、雄型管体を雌型管体から引き抜きたいときには、コイル状壁部の弾性力にこうして、第2リテーナの基端部を、弾性係合片が第2窓部に整合する位置になるように回転させることにより、弾性係合片の外側への撓みが許容されて、雄型管体を雌型管体から引き抜くことができる。
本発明の配管用コネクタにおいては、前記弾性係合片には、その内側に前記環状突部に係合する係合突部が形成され、その外側に前記第2リテーナの内周に当接して外側への撓みを規制する押え突部が形成されていることが好ましい。これによれば、係合突部によって、雄型管体の環状突部への係合がより確実になされると共に、押え突部によって、内筒の第1窓部から突出しやすくして、第2リテーナの周壁によって外側への撓みを規制しやすくすることができる。
本発明の配管用コネクタにおいては、前記第2リテーナの基端部は、前記ハウジングの他端面側から突出して、そこにフランジ部が形成されており、このフランジ部に操作ツマミが形成されていることが好ましい。これによれば、操作ツマミによって、第2リテーナの基端部を回転させて、弾性係合片と環状突部との係合の解除操作等を容易に行うことができる。
本発明によれば、弾性係合片が第2窓部に整合するように第2リテーナを回転させ、雄型管体を内筒に挿入し、弾性係合片を雄型管体の環状突部に係合させた後、第2リテーナを回転させ、弾性係合片を第2窓部に整合しない位置となるように第2リテーナを回転させることにより、雄型管体と雌型管体とを確実に連結することができる。そして、第2リテーナを回転させて、窓部が弾性係合片に整合する位置としたとき、弾性係合片の外側への撓みを可能とする構造を採用したので、雄型管体を比較的小さな力で挿入することができる。更に第2リテーナが外筒でカバーされ、第1リテーナの外周が内筒によってカバーされるので、第1リテーナや第2リテーナの破損を防止でき、雄型管体と雌型管体とを強固に接続した状態に維持することができる。
以下、図1〜14を参照して、本発明に係る配管用コネクタの一実施形態について説明する。
図1に示すように、この実施形態における配管用コネクタ10は、一方の管体1に接続される雄型管体20と、他方の管体3に接続される雌型管体30とを備えている。管体としては、例えば、自動車のラジエータ、ヒーターユニット、燃料供給系等において用いられるホースや、チューブ、パイプ等が挙げられる。
図2を併せて参照すると、前記雄型管体20は略円筒状をなしており、その軸方向途中の外周に環状突部21が突設されていると共に、基端寄りの部分から環状の鍔部23が突設され、基端側外周に一方の管体1が接続されるようになっている。なお、雄型管体20は、各種の機器の配管部に予め固定配設されていてもよく、その場合には各種機器の配管部が管体1をなす。また、鍔部23の、雄型管体20の軸心に対して斜めに対向した位置からは、三角柱状をなした突起25,25が、半径方向外方に向けて互いに平行となるように延設されている。なお、突起25は、円柱状や四角柱状をなしていてもよい。
図1に示すように、前記雌型管体30は、内筒43及び外筒45を有するハウジング40と、このハウジング40の内筒43内に配置されたシールリング5と、前記ハウジング40の内筒43内に装着された第1リテーナ60と、内筒43及び外筒45の間に装着され、ハウジング40に対して回転可能とされた第2リテーナ70とを有している。
図3,6,8,9に示すように、ハウジング40は、略円筒状をなした内筒43と、この内筒43の外周に同心状に配置された略円筒状の外筒45とを有し、両筒43,45の一端が円形状の基部41に連結され、両筒43,45の他端は分離して開口しており、二重筒構造をなしている。基部41の中央には、内筒43に連通する連通孔41aが形成され、この連通孔41aの外側周縁から、他方の管体3が接続される筒状の接続部47が延設されている。
前記内筒43の一端側内周には、シールリング5を配置するための、段状のシールリング配置部43aが形成されており、同内筒43の他端内周には、第1リテーナ60を嵌合させるための、環状の嵌合凹部が43bが形成されている。また、内筒43の軸方向途中であって、周方向に対向する位置には、矩形状に開口した第1窓部49,49が形成されている。更に図8及び図9に示すように、内筒43の一端側外周には、第2リテーナ70を係止するための係止突部51,51がそれぞれ突設されている。
一方、外筒45の対向する箇所であって、前記内筒43の第1窓部49及び係止突部51に整合する位置には、長孔状に開口した第3窓部53,53が設けられている。また、図8及び図9に示すように、外筒45の一端側内周であって、前記内筒43の係止突部51の周方向両側に、第2リテーナ70を回り止めするための、回り止め突部55,55がそれぞれ形成されている(合計で4つ)。
図4及び図6に示すように、上記ハウジング40の内筒43内に回り止めされて装着され、内部に前記雄型管体20が挿入される第1リテーナ60は略円筒状をなしている。この第1リテーナ60の基端外周には、前記内筒43の嵌合凹部43bに嵌合する環状の嵌合突部61が設けられている。また、第1リテーナ60の周方向に対向する位置には、コ字状のスリット63を介して弾性係合片65,65が撓み可能となるように形成されている。
各弾性係合片65の自由端部内周からは、前記雄型管体20の環状突部21に係合する係合突部67が形成されている。更に各弾性係合片65の外周には、第1リテーナ60の先端側に向けて次第に低くなるテーパ状外面を有し、第2リテーナ70の内周に当接可能な高さで突出した押え突部69が設けられている。この押え突部69は、第2リテーナ70の内周が当接したとき、前記弾性係合片65の外側への撓みを規制すると共に(図8参照)、第1窓部49の内周に係合して(図11参照)、第1リテーナ60を内筒43に対して回り止めする部分となっている。
図5,6,8,9に示すように、第2リテーナ70は、全体として略円筒状をなしており、その先端部71が前記ハウジング40に回り止めされると共に、基端部73がハウジング40に対して回転可能とされ、先端部71と基端部73とがコイル状壁部75によって連結された構造となっている。
先端部71の周方向に対向する位置には係止孔71a,71aが形成されており、これらに前記ハウジング40の係止突部51,51が係止して、ハウジング40に対して第2リテーナ70が抜け止め保持されるようになっている(図8参照)。また、先端部71の前記係止孔71aの周方向両側には、先端側が開口した切欠き71b,71bがそれぞれ形成されており(合計で4つ)、これらに前記ハウジング40の回り止め突部55,55が入り込んで、ハウジング40に対して第2リテーナ70が回り止めされるようになっている(図9参照)。
前記コイル状壁部75は、第2リテーナ70の周方向に沿って形成された螺旋状の切込み75aを介して設けられており、基端部73に回転力が作用したときに、捩られるように弾性変形して基端部73を回転させ、基端部73に回転力が作用しなくなったときに弾性復元して、基端部73を元の位置に回転復帰させる部分となっている。
なお、この実施形態では、先端部71と基端部73とをコイル状壁部75で連結した構造となっているが、これに限定されるものではなく、基端部73に対して先端部71を回転可能に且つ回転復帰可能な構造であればよい。
また、基端部73の周方向に対向する位置には、第2リテーナ70がハウジング40に対して所定の角度位置に回転したときに、第1リテーナ60の弾性係合片65,65に整合する、矩形状に開口した第2窓部77,77が形成されている。
そして、この第2リテーナ70は、その先端部71がハウジング40に回り止めして装着された状態で、第1リテーナ60の弾性係合片65が第2窓部77に整合しない位置とされ、この状態から弾性係合片65が第2窓部77に整合する位置に基端部73を回転させ(図11参照)、その状態で基端部73に回転力が付与されなくなると、コイル状壁部75の弾性復元力によって、弾性係合片65が第2窓部77に整合しない位置となるように基端部73が回転するように構成されている(図12参照)。
また、第1リテーナ60の弾性係合片65が第2窓部77に整合する位置にあるときには、その押え突部69が第2リテーナ70の内周に当接せずに、弾性係合片65が外側に撓み可能となり、雄型管体20の環状突部21を乗り越え可能とされ(図11及び図13参照)、一方、弾性係合片65が第2窓部77に整合しない位置にあるときは、押え突部69が第2リテーナ70の内周に当接して、弾性係合片65の外側への撓みが規制され、雄型管体20の環状突部21を乗り越え不能となっている(図8,10,12参照)。
更に前記第2リテーナ70の先端部71をハウジング40に係止した状態で、第2リテーナ70の基端部73は、ハウジング40の他端から所定長さ突出するようになっており、この基端部73の端部外周から環状のフランジ部79が突設されている。このフランジ部79の周方向に対向する位置に操作ツマミ79a,79aが外筒45の外周に延出するように設けられており、第2リテーナ70の基端部73を所定方向に回転させることができるようになっている。
また、第2リテーナ70の基端部73には、その端面に開通して軸方向及び周方向に対して斜め方向に伸びると共に途中から、V字状に折り返して周方向に伸びるように、前記雄型管体20の突起25が摺動するカム溝80が形成されている。この実施形態では、雄型管体20に設けられた一対の突起25,25に対応して、基端部73の周方向に対向した位置に一対のカム溝80,80が形成されている。
各カム溝80は、基端部73のフランジ部79を含む端面から、雌型管体30への雄型管体20の挿入方向A(図1及び図6参照)に対して右回りとなるように、第2リテーナ70の軸方向及び周方向に斜めに伸びる第1溝部81と、該第1溝部81の端部から、雄型管体20の挿入方向Aに対して左回りとなるように、第2リテーナ70の周方向に沿って伸びる第2溝部82とからなる。なお、以下の説明において、「右回り」又は「左回り」とは、雌型管体30への雄型管体20の挿入方向Aに対する回転方向を意味する。また、第2溝部82の始端部82a及び終端部82bの内周面は、三角柱状の突起25に対応して鋭角形状をなしている(図5及び図6参照)。
そして、雌型管体30に雄型管体20を挿入すると、突起25がカム溝80の第1溝部81を押圧し、弾性係合片65が第2窓部77に整合する位置となるように、第2リテーナ70の基端部73を左回りに回転させると共に(図11参照)、弾性係合片65が第2窓部77に整合して、その係合突部67が雄型管体20の環状突部21に係合すると、突起25が第2溝部82の始端部82aに至り、コイル状壁部75の弾性復元力によって、突起25が第2溝部82を移動して、基端部73が先端部71に対して右回りに回転復帰し、弾性係合片65が第2窓部77に整合しない位置となり、弾性係合片65の外側への撓みが規制された状態で、雄型管体20と雌型管体30とが連結されるようになっている(図12参照)。
なお、この実施形態では、雄型管体20の挿入方向Aに対して、カム溝80の第1溝部81を右回りに斜めに設けると共に第2溝部82を左回りに周方向に沿って設けて、雄型管体20の雌型管体30への挿入時に、第2リテーナ70を左回りに回転させた後、右回りに回転復帰させる構造となっているが、例えば、雄型管体20の挿入方向Aに対して、カム溝80の第1溝部81を左回りに斜めに設けると共に第2溝部82を右回りに周方向に沿って設けて、雄型管体20の雌型管体30への挿入時に、第2リテーナ70を右回りに回転させた後、左回りに回転復帰させる構造としてもよい。また、カム溝80は、第2リテーナ70の基端部73に1つ又は3つ以上設けても良く、特に限定されない。
次に上記構成からなる配管用コネクタ10の使用方法の一例について説明する。
まず、ハウジング40の内筒43の他端開口からシールリング5を挿入して、内筒43のシールリング配置部43aに配置した後、内筒43内に第1リテーナ60を挿入して、内筒43の第1窓部49,49に弾性係合片65の押え突部69をそれぞれ係合させると共に、内筒43の嵌合凹部43bに第1リテーナ60の嵌合突部61を嵌合させて、第1リテーナ60を内筒43に回り止めして装着させると共に、シールリング5を抜け止め保持させる(図7及び図8参照)。
この状態で、ハウジング40の他端開口から、内筒43及び外筒45の間に第2リテーナ70を挿入して、図8及び図9に示すように、先端部71の各係止孔71aを、ハウジング40の係止突部51に係止させると共に、先端部71の切欠き71b,71bを、ハウジング40の回り止め突部55,55に挿入させることにより、ハウジング40に対して第2リテーナ70が抜け止め及び回り止めされた状態で装着される。
上記のように、ハウジング40に第1リテーナ60及び第2リテーナ70を装着した状態において、雄型管体20に雌型管体30を挿入していない場合には、弾性係合片65,65が第2窓部77,77に整合しない位置に配置され、押え突部69が第2リテーナ70の内周に当接して、弾性係合片65,65の外側への撓みが規制され、雄型管体20の環状突部21を乗り越えることができない状態となっている(図8参照)。
そして、第2リテーナ70のカム溝80,80に雄型管体20の突起25,25を整合させ、雌型管体30に対して雄型管体20を矢印A方向に挿入していく。すると、突起25がカム溝80の第1溝部81を押圧して、図10に示すように、弾性係合片65が第2窓部77に整合する位置となるように、コイル状壁部75を弾性変形させつつ基端部73を先端部71に対して左回りに回転させる。
その後、図11に示すように、弾性係合片65が第2窓部77に整合し、外方への撓みを許容されて雄型管体20の環状突部1を乗り越えて、係合突部67が雄型管体20の環状突部21に係合すると、雄型管体20の突起25がカム溝80の第2溝部82の始端部82aに至る。すると、コイル状壁部75の弾性復元力が作用して、弾性係合片65が第2窓部77に整合しない位置となるように、突起25が第2溝部82を通って、第2リテーナ70の基端部73が先端部71に対して右回りに回転復帰する。そして、図12に示すように、突起25がカム溝80の第2溝部82の終端部82bに至ると、基端部73の回転が停止すると共に、押え突部69が第2リテーナ70の内周に当接して弾性係合片65の外側への撓みが規制され、弾性係合片65と雄型管体20の環状突部21との係合状態がロックされて、雌型管体30に雄型管体20を抜け外れることのないように強固に連結することができる。また、この状態では、雄型管体20の先端部外周と、ハウジング40の内筒43の内周とが、シールリング5によってシールされるようになっている(図7参照)。
一方、メンテナンス等の理由により雌型管体30から雄型管体20を取外したい場合には、図12に示す状態から第2リテーナ70の操作ツマミ79a,79aを把持して、弾性係合片65が第2窓部77に整合するように、カム溝80の第2溝部82内で突起25を移動させつつ、コイル状壁部75の弾性力に抗して基端部73を先端部71に対して左回りに回転させる。そして、図13に示すように、突起25がカム溝80の第2溝部82の始端部82aに至り、弾性係合片65が第2窓部77に整合して、弾性係合片65が外側へ撓み可能となったら、雌型管体30に対して雄型管体20を引き抜いて、突起25をカム溝80から抜き出すことにより、雌型管体30から雄型管体20を取外すことができる。
なお、上記の雄型管体20の引き抜きの際には、突起25が第1溝部81を通るため、第2リテーナ70の基端部73を右回りに回転させる必要があるが、作業者が第2リテーナ70の基端部73を右回りに回転させつつ雄型管体20を引き抜いてもよいし、或いは、単純に雌型管体30から雄型管体20を引き抜くことで、突起25によりカム溝80の第1溝部81を押圧して、第2リテーナ70の基端部73を右回りに回転させながら雄型管体20を引き抜いてもよい。
以上のように、この配管用コネクタ10においては、雌型管体30に第2リテーナ70を回転させながら雄型管体20を挿入し、第1リテーナ60の弾性係合片65を、外側に撓まない状態から撓み可能な状態として、それにより弾性係合片65を雄型管体20の環状突部21に係合させる構造としたので、特許文献1のパイプコネクターのように、コネクター本体の一端部に一対の係止爪を撓ませながらパイプを圧入する構造と比べて、雄型管体20の挿入抵抗を低減することができ、雌型管体30と雄型管体20との連結作業をスムーズに行うことができる。また、雄型管体20を回転させつつ雌型管体30から引き抜ける構造となっているので、雄型管体20の引き抜き抵抗を低減することができ、雌型管体30と雄型管体20との連結解除作業をスムーズに行うことができる。
また、この配管用コネクタ10においては、第2リテーナ70がハウジング40の内筒43と外筒45との間に装着され、第1リテーナ60が内筒43内に装着されて、第2リテーナ70の外周がハウジング40の外筒45によってカバーされると共に、第1リテーナ60の外周も内筒43によってカバーされるので、コネクタ外部から予期し得ない衝撃力や大きな荷重が付与されても、第1リテーナ60や第2リテーナ70が破損することを防止することができ、雄型管体20と雌型管体30とを強固に接続した状態に維持することができる。
更に本実施形態では、第2リテーナ70のカム溝80と雄型管体20の突起25との相互作用によって、雌型管体30に雄型管体20を挿入すると、第2リテーナ70の基端部73を自動的に回転させて、第1リテーナ60の弾性係合片65を第2窓部77に整合させ(図11参照)、雄型管体20の環状突部21に係合させることができるので、第2リテーナ70を作業者自ら回転させる必要がなく、作業性を高めることができる。また、弾性係合片65が雄型管体20の環状突部21に係合すると、コイル状壁部75の弾性復元力により、基端部73が回転復帰して弾性係合片65が第2窓部77に整合しない位置となるので、弾性係合片65の外側への撓みが規制され、雄型管体20と雌型管体30とを自動的に連結することができ(図12参照)、雄型管体20と雌型管体30との連結作業性をより向上させることができる。
また、この実施形態では、第1リテーナ60の弾性係合片65の内側に係合突部67が設けられており、これが雄型管体20の環状突部21に係合するようになっているので、弾性係合片65の環状突部21への係合がより確実になされて、雌型管体30と雄型管体20との連結強度をより高めることができる。更に、弾性係合片65の外側に押え突部69が設けられており、これが内筒43の第1窓部49から突出しやすくなるので、第2リテーナ70の内周による弾性係合片65の外側への撓み規制がより確実になされ、また、押え突部69が内筒43の第1窓部49の内周に係合しやすくなり、ハウジング40の内筒43内に第1リテーナ60を回り止めさせやすくなる。
更に本実施形態では、第2リテーナ70にフランジ部79が設けられていると共に、このフランジ部79に操作ツマミ79aが設けられているので、この操作ツマミ79aを把持することで、第2リテーナ70の基端部73を回転させることができるので、図13に示すように、基端部73を容易に回転させることができ、雌型管体30と雄型管体20との連結解除作業を簡単に行うことができる。