JP5895969B2 - 三次元成形加飾フィルムの製造方法、加飾成形品及びその製造方法 - Google Patents

三次元成形加飾フィルムの製造方法、加飾成形品及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、射出成形による加飾成形品に用いられる射出成形同時加飾用の三次元成形加飾フィルムの製造方法、該三次元成形加飾フィルムを用いた加飾成形品及びその製造方法に関する。
従来、三次元曲面などの複雑な表面形状を有する樹脂成形体の加飾には、射出成形同時加飾方法が用いられる。射出成形同時加飾方法とは、射出成形の際に金型内に挿入された加飾フィルムをキャビティ内に射出注入された溶融した射出樹脂と一体化させて、樹脂成形体表面に加飾を施す方法であって、樹脂成形体と一体化される加飾フィルムの構成の違いによって、一般に射出成形同時ラミネート加飾法と射出成形同時転写加飾法に大別される。
射出成形同時ラミネート加飾法においては、射出成形同時ラミネート加飾用の加飾フィルムの基材側を金型内に向けて接着剤層側から熱盤によって加熱し、該加飾フィルムが金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した成形用樹脂を射出して該加飾フィルムと成形用樹脂とを一体化し、次いで加飾成形品を冷却して金型から取り出すことにより、ラミネート加飾された加飾成形品を得る。
一方、射出成形同時転写加飾法においては、射出成形同時転写加飾用の加飾フィルムの転写層側を金型内に向けて転写層側から熱盤によって加熱し、該加飾フィルムが金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締した後、キャビティ内に溶融した成形用樹脂を射出して該加飾フィルムと成形用樹脂とを一体化し、次いで加飾成形品を冷却して金型から取り出し、加飾フィルムの基材を剥離することにより、転写層を転写した加飾成形品を得る。
射出成形同時ラミネート加飾法と射出成形同時転写加飾法を比べた場合、前者の射出成形同時ラミネート加飾法においては、三次元成形加飾フィルムの層構成が簡単であり、製造が容易であるという利点を有するものの、該加飾フィルムを構成する基材が、加飾樹脂成形品中へ取り込まれるため、該基材の種類が制限されるという問題がある。
一方、後者の転写加飾法においては、三次元成形加飾フィルムを構成する基材は、加飾樹脂成形品から剥離除去されるため、該基材の種類に特に制限はないという利点を有するものの、三次元成形加飾フィルムの層構成が複雑となり、得られる加飾樹脂成形品の製造コストが上がるという問題がある。
このように、射出成形同時ラミネート加飾法と、射出成形同時転写加飾法は、それぞれ一長一短があり、通常、得られる加飾樹脂成形品の用途に応じて使い分けられている。
ところで、射出成形同時転写加飾法に用いられる転写シートとしては、例えば、離型性シートの離型性面に、未硬化状態において常温で固体であり、且つ、熱可塑性樹脂である紫外線硬化性又は電子線硬化性の樹脂の未硬化樹脂を有することを特徴とする転写シートが提案されている(特許文献1参照)。該転写シートは、未硬化樹脂が熱可塑性、溶剤溶解性を有していながら、塗装及び乾燥によって見かけ上、あるいは手で触ったときに非流動性であり、かつ非粘着性であるため、該未硬化樹脂層の上に模様層を形成することができる。しかしながら、シートの状態で硬化させると、十分な成形性が得られなくなるため、射出同時成形法によって、被転写体に転写した後、紫外線もしくは電子線を照射して、硬化がなされる。ところが、この方法であると、射出同時成形の際に、未硬化樹脂層が流動するために、成形体にシートが良好に転写されない場合があり、均一に硬化させるのが非常に困難であるという問題があった。
また、成形性の良好な基材の上に、未硬化状態では熱可塑性の固体である電離放射線硬化性樹脂からなる保護層を設けた転写シートを、射出成形金型内に配置して、転写シートを真空成形又は真空・圧空成形をした後に、電離放射線を照射して樹脂を硬化させて保護層を形成し、更に金型を閉じて溶融樹脂を射出して射出成形を行い、金型内で硬度の高い保護層を形成させることを特徴とする成形品の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
この方法においても、真空成形又は真空・圧空成形をした後に、電離放射線を照射して樹脂を硬化させて保護層を形成しているため、特許文献1に開示される加飾フィルムと同様の問題点がある。すなわち、シートの状態で硬化させると、十分な成形性が得られなくなるため、真空成形又は真空・圧空成形の後に、紫外線もしくは電子線を照射して、硬化がなされるが、真空成形又は真空・圧空成形の際に、未硬化樹脂層が流動するために、成形体への転写が良好になされない場合があった。
このような問題を解決するために、特許文献3には、透明基材シートの表面側にアクリレート系電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層を積層すると共に、該基材シートの裏面側に装飾層と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を主成分とする接着剤層とを、この順に積層してなる加飾シートが開示されており、そして、前記加飾シートを、その接着剤層を射出樹脂と接する向きにして、雌雄両型間に挿入した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し、該樹脂を固化させた後、型開きして、樹脂成形物に前記加飾シートが積層一体化された加飾成形品を得る、射出成形同時加飾方法が開示されている。
この場合、電離放射線硬化性樹脂の硬化物からなる表面保護層が積層された加飾シートを用いて、射出成形同時加飾方法により、加飾成形品を作製しているため、前述した特許文献1や特許文献2に記載されているような電離放射線硬化性樹脂の未硬化樹脂を有する転写シートを用いて、加飾成形品を作製する際に生じる問題は発生しない。
特開昭63−132095号公報 特開平6−155518号公報 特開2002−225070号公報
前記特許文献3に記載の技術は、加飾樹脂成形品の最表面の層として転写される保護層が、電離放射線硬化性樹脂を含有し、かつ保護層が架橋硬化されていても加飾樹脂成形品に良好に転写されるなど、前記特許文献1及び2に記載の技術に比べて優れた技術であるが、転写シートに用いる基材シートが、加飾樹脂成形品中へ取り込まれるため、該基材シートの種類が制限され、基材シートの種類に特に制限はないという転写加飾法の特徴が損なわれる。
本発明者らは、射出成形同時ラミネート加飾法、及び射出成形同時転写加飾法において、良好な品質の加飾樹脂成形品を得るには、射出成形樹脂と加飾フィルムとの密着性が十分に高くなければならないことに着目し、三次元成形加飾フィルムを構成する接着剤層について、鋭意研究を重ねてきた。
そして、射出樹脂として、ABS樹脂(射出成形時の樹脂温度:約230℃)又はポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイ(射出成形時の樹脂温度:約260℃)を用いる際には、金型温度(射出成形直後、成形品を取り出す場合にはほぼ成形品取り出し温度となる。)は40〜60℃程度であり、この場合、接着剤層を構成する接着剤として、軟化温度が100℃近辺のもの、例えばアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物や低軟化温度のアクリル樹脂を用いれば、射出樹脂と加飾フィルムとの密着性が良好となることを見出した。しかし、射出成形樹脂として、射出成形時の樹脂温度が高い、例えば約310℃であるポリカーボネート樹脂を用いる場合、該接着剤層を構成する接着剤が、軟化点100℃近辺のものでは、射出成形樹脂と加飾フィルムとの密着性が不充分となることが分かった。
本発明は、このような状況下で、加飾樹脂成形品に意匠性を付与するための射出成形同時加飾法に用いられる加飾フィルムであって、射出成形樹脂と加飾フィルムとの密着性が良好な加飾フィルムの製造方法、該製造方法により得られる加飾フィルムを用いた加飾成形品及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、接着剤層を構成する接着剤として、「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が特定の範囲にあり、かつ「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が特定の範囲にある接着剤を用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、基材上に、接着剤として「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が25〜65℃であり、かつ「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が90〜190℃である接着剤を用いて接着剤層を積層する工程を含む三次元成形加飾フィルムの製造方法、を提供するものである。
本発明によれば、射出成形樹脂と密着性の高い加飾フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により得られる三次元成形加飾フィルム(ラミネート加飾フィルム)の一例の断面を示す模式図である。 本発明の製造方法により得られる三次元成形加飾フィルム(転写用加飾フィルム)の一例の断面を示す模式図である。 本発明の加飾成形品の一例の断面を示す模式図である。 本発明の加飾成形品の異なる一例の断面を示す模式図である。
本発明の三次元成形加飾フィルムの製造方法は、基材上に、接着剤として「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が25〜65℃であり、かつ「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が90〜190℃である接着剤を用いて接着剤層を積層する工程を含むことを特徴とする。
[三次元成形加飾フィルムの製造方法]
本発明の三次元成形加飾フィルムの製造方法は、(1)ラミネート用加飾フィルムの製造方法、及び(2)転写用加飾フィルムの製造方法の2つの態様がある。
ここで、「ラミネート用加飾フィルム」とは、基材及び接着剤層を有する三次元成形加飾フィルムをいい、「転写用加飾フィルム」とは、基材上に、離型層、保護層及び接着剤層をこの順に積層してなる三次元成形加飾フィルムをいう。
(ラミネート用加飾フィルムの製造方法)
本発明のラミネート用加飾フィルムの製造方法は、射出成形同時ラミネート用の三次元成形加飾フィルムの製造方法であって、装飾層を有する態様では、以下の[1]及び[2]の工程を含むものである。
[1]基材上に装飾層を積層する工程、及び
[2]装飾層の上に、接着剤として、「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が25〜65℃であり、かつ「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が90〜190℃である接着剤を用いて接着剤層を積層する工程。
ここで、装飾層は所望により設けられる層であり、特に基材側に絵柄層を、接着剤層側に隠蔽層を設けることが好ましい。
基材上に積層される装飾層及び接着剤層の積層方法は、グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗工手段が用いられる。
なお、装飾層を例えば上記のように絵柄層と隠蔽層との組み合わせとする場合は、一層を積層した後、乾燥し、その後次の層を積層すれば良い。
また、装飾層を有さない態様では、本発明のラミネート用加飾フィルムの製造方法は、通常、基材上に直接、接着剤層を積層する工程からなる。
(転写用加飾フィルムの製造方法)
本発明の転写用加飾フィルムの製造方法は、射出成形同時転写用の三次元成形加飾フィルムの製造方法であって、装飾層を有する態様では、以下の[1]〜[5]の工程を含むものである。
[1]基材上に離型層を積層する工程、
[2]離型層上に重合性(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化性樹脂組成物層を積層する工程、
[3]該電離放射線硬化性樹脂組成物層に電離放射線を照射し該電離放射線硬化性樹脂組成物層を架橋硬化して保護層を形成する工程、
[4]保護層の上に装飾層を積層する工程、及び
[5]装飾層の上に、接着剤として、「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が25〜65℃であり、かつ「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が90〜190℃である接着剤を用いて接着剤層を積層する工程。
そして、保護層を形成する工程と装飾層を積層する工程との間に、さらに保護層の上にプライマー層を積層する工程を含むことが好ましい。なお、装飾層を有さない態様では、工程[4]が省略される。
基材上に、積層される離型層、保護層、所望により設けられるプライマー層、装飾層及び接着剤層の積層方法は、グラビア印刷、ロールコートなどの公知の印刷又は塗工手段が用いられる。
なお、装飾層を例えば上記のように絵柄層と隠蔽層との組み合わせとする場合は、一層を積層した後、乾燥し、その後次の層を積層すれば良い。
本発明における保護層を形成する工程において、離型層上に積層された電離放射線硬化性樹脂組成物層に、電子線、紫外線などの電離放射線を照射して該電離放射線硬化性樹脂組成物層を架橋硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜60kGy(1〜6Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
以下、本発明の製造方法により得られる三次元成形加飾フィルムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の製造方法により得られる三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)の好ましい一例の断面を示す模式図である。
図1に示される三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)10は、基材11上に、装飾層15及び接着剤層16をこの順に積層してなる射出成形同時ラミネート用の三次元成形加飾フィルムである。
一方、図2に示される三次元成形加飾フィルム(転写用加飾フィルム)20は、基材11上に、離型層12、保護層13、所望により設けられるプライマー層14、装飾層15及び接着剤層16をこの順に積層してなる射出成形同時転写用の三次元成形加飾フィルムである。
[基材]
本発明の製造方法を用いてラミネート用加飾フィルムを製造する場合に用いる基材11は、該基材が加飾成形品中に取り込まれるため、無色透明であることが肝要であるが、転写用加飾フィルムに用いられる基材11は、得られる加飾成形品から剥離除去されるために、無色透明である必要はない。
ラミネート用加飾フィルム及び転写用加飾フィルムにおける基材11は、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムが使用される。該熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
本発明に用いられる樹脂フィルムの厚みは、通常10〜200μmであり、10〜150μmが好ましく、20〜125μmがより好ましい。
また、基材11は、これら樹脂の単層フィルム、あるいは同種又は異種樹脂による複層フィルムとして使用することができる。
本発明においては、基材11として、ポリエステルフィルムを用いることが、耐熱性、寸法安定性、成形性、及び汎用性の点で好ましい。なお、ラミネート用加飾フィルムの基材としては、アクリル樹脂フィルムも好ましく用いられる。
ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸と、多価アルコールとから重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーをいう。多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカンジオール、2−エチル−ブチル−1−プロパンジオール、ビスフェノールAなどが挙げられる。さらに本発明で用いるポリエステル樹脂は、3種類以上の多価カルボン酸や多価アルコールの共重合体であっても良く、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのモノマーやポリマーとの共重合体であっても良い。
ポリエステルフィルムに用いられるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などを好ましく挙げることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)が、耐熱性や寸法安定性の点で特に好ましい。
なお、該ポリエステル樹脂はホモポリマーでも良く、コポリマーでも良く、また第三成分を共重合させたものであっても良い。例えば、一般に耐熱性や寸法安定性に優れるポリエチレンテレフタレートを主成分(通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上)としたポリエステル樹脂と、一般に成形性に優れるポリブチレンテレフタレートを主成分(通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上)とするポリエステル樹脂とを配合することができる。該配合比としては、得られるフィルムの動的弾性率により適宜選択すれば良く、通常質量比で70/30〜95/5であり、75/25〜85/15の範囲が好ましい。このように配合したポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性、及び成形性に優れるため、本発明の基材として好適に用いることができる。
また、ポリエステルフィルムには、作業性を向上させる目的で、微粒子を含有させることが好ましい。微粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、カオリンなどの無機粒子、アクリル系樹脂などからなる有機粒子、内部析出粒子などを挙げることができる。微粒子の平均粒径は0.01〜5.0μmが好ましく、0.05〜3.0μmがより好ましい。また、ポリエステル系樹脂中の微粒子の含有量は0.01〜5.0質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。また、必要に応じて各種安定剤、潤滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、蛍光増白剤などを配合することもできる。
本発明に用いられるポリエステルフィルムは、例えば以下のように製造される。まず上記のポリエステル系樹脂とその他の原料をエクストルーダーなどの周知の溶融押出装置に供給し、当該ポリエステル系樹脂の融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで溶融ポリマーを押出しながら、回転冷却ドラム状でガラス転移温度以下の温度になるよう急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。このシートを2軸方向に延伸してフィルム化し、熱固定を施すことで得られる。この場合、延伸方法は逐次2軸延伸でも同時2軸延伸でも良い。また、必要に応じ、熱固定を施す前又は後に再度縦及び/又は横方向に延伸しても良い。本発明においては十分な寸法安定性を得るため延伸倍率を面積倍率として7倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。この範囲内であれば、得られるポリエステルフィルムを三次元成形加飾フィルムに用いた場合、該三次元成形加飾フィルムが射出樹脂を射出する際の温度域で再び収縮せず、当該温度域で必要なフィルム強度を得ることができる。なお、ポリエステルフィルムは、上記のように製造しても良いし、市販のものを用いても良い。
また、基材としてプラスチックフィルムを用いる場合、ラミネート用加飾フィルムにおいては、後述する装飾層又は接着剤層との密着性を向上させる目的で、酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。特に基材としてポリエステルフィルムを用いる場合に効果的である。
一方、転写用加飾フィルムにおいては、離型層を有する態様では、所望に応じて上記表面処理を行い、離型層との密着性を向上させ、転写層と離型層との層間密着強度に比較して、相対的に強い密着性を付与することで、基材の離型が容易に行えるようにすることができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また、基材は、基材とその上に設けられる層との層間密着性の強化などを目的として、易接着層を形成するなどの処理を施しても良い。なお、プラスチックフィルムとして市販のポリエステルフィルムを用いる場合には、該市販品は予め上記したような表面処理が施されたものや、易接着剤層が設けられたものも用いることができる。
[離型層]
転写用加飾フィルムにおける離型層12は、保護層13、所望により積層されるプライマー層14、装飾層15、及び接着剤層16からなる転写層17の、基材シート11からの剥離を容易に行うために設けられるものである。離型層12は、図2に示すように、全面を被覆(全面ベタ状)しているベタ離型層であっても良いし、一部に設けられるものであっても良い。通常は、剥離性を考慮して、ベタ離型層が好ましい。
離型層は、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル−メラミン系樹脂が含まれる。)、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、硝化綿などの熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を形成するモノマーの共重合体、あるいはこれらの樹脂を(メタ)アクリル酸やウレタンで変性したものを、単独で又は複数を混合した樹脂組成物を用いて形成することができる。なかでも、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、これらの樹脂を形成するモノマーの共重合体、及びこれらをウレタン変性したものが好ましく、より具体的には、アクリル−メラミン系樹脂単独、アクリル−メラミン系樹脂含有組成物、ポリエステル系樹脂とエチレン及びアクリル酸の共重合体をウレタン変性したものとを混合した樹脂組成物、アクリル系樹脂とスチレン及びアクリルとの共重合体のエマルションとを混合した樹脂組成物などが挙げられる。これらの内、アクリル−メラミン系樹脂単独又はアクリル−メラミン系樹脂を50質量%以上含有する組成物で離型層12を構成することが特に好ましい。
離型層12の厚みは、通常、0.01〜5μm程度であり、好ましくは、0.05〜3μmの範囲である。
[保護層]
転写用加飾フィルムにおける保護層13は、重合性(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。この重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量Mwは1000〜40000であることが好ましい。重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量Mwが1000以上であれば転写後の剥離強度が高過ぎることがなく、また、重量平均分子量Mwが40000以下であれば剥離強度が低過ぎることがない。これらの観点から、重量平均分子量Mwは、より好ましくは1500〜25000、特に好ましくは2000〜20000である。
本発明において、保護層13を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物に電離放射線硬化性樹脂として用いられる重合性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、分子中に複数のラジカル重合性不飽和基を持つ多官能性(メタ)アクリレートオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
上述の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく、成形性の観点から2官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが特に好ましい。
本発明においては、前記重合性(メタ)アクリレートオリゴマーとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
さらに、本発明においては、当該保護層に、より耐擦傷性などを付与する目的で、前記重合性(メタ)アクリレートオリゴマーと共に、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。
この多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を有する重合性(メタ)アクリレートオリゴマーに対しては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタールなどが挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
また、保護層13には所望によりフィラーを含有させても良い。フィラーを含有させることで、タック性をさらに改善させることができ、印刷適性を付与し得る。
フィラーの種類としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、アルミノシリケート、硫酸バリウムなどの無機物、アクリル樹脂、ポリエチレン、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロン)などの有機高分子などからなる粒子が用いられる。これらのうち、タック性低減効果を有し、取り扱いが容易で、かつ安価なシリカが好適である。
フィラーの平均粒径は好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmであり、添加量は、保護層を形成する樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、0.5〜5質量部の範囲がさらに好ましい。なお、粒子の形状は、多面体、球形、鱗片状などである。
保護層13の厚みは、通常、1〜50μm程度であり、好ましくは、5〜15μmの範囲である。この保護層13は、後述するプライマー層との密着性を向上させる目的で、コロナ放電処理やプラズマ放電処理を施してもよい。
保護層13には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐傷付き性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
[プライマー層]
本発明により製造される転写用加飾フィルムは、保護層13と後述する装飾層15との間に、さらにプライマー層14を積層することが好ましい。プライマー層14を積層することにより、保護層13と装飾層15の密着性をさらに向上させることができるからである。プライマー層14は透明又は半透明な層であることが好ましく、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの樹脂の1種単独又は2種以上の混合物が用いられるが、特にポリウレタン系2液硬化型樹脂を用いたものが好ましい。
前記ポリウレタン系2液硬化型樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系などのポリマーポリオール単独、又はそれらの混合物に対して、使用直前に硬化剤を添加したものが用いられる。硬化剤としては、多価イソシアネートが好ましく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート;を用いることができ、あるいは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いることができる。
前記ポリマーポリオールとしては、ポリエステルポリオールが好ましく、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトン等が用いられる。
上記樹脂を溶媒に溶解した塗工液を、公知の方法で塗布、乾燥してプライマー層とする。プライマー層の厚みについては、通常、0.5〜20μm程度であり、好ましくは、1〜5μmの範囲である。
[装飾層]
本発明により製造されるラミネート用加飾フィルム及び転写用加飾フィルムにおける装飾層15は、通常絵柄層及び/又は隠蔽層により構成される。ここで、絵柄層は、模様や文字などとパターン状の絵柄を表現するために設けられる層であり、隠蔽層は、通常全面ベタ層であり射出樹脂などの着色等を隠蔽するために設けられる層である。隠蔽層には、絵柄層の絵柄を引き立てるために絵柄層の内側に設けられる場合の外、それ単独で装飾層を形成する場合がある。また、当該装飾層は、透明であってもよいし、色付きであってもよい。
ここで絵柄層は、模様や文字などとパターン状の絵柄を表現するために設けられる層である。絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄を挙げることができる。
装飾層15は、通常、ラミネート用加飾フィルムにおいては、基材11に、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、昇華転写印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷法により形成することで、図1に示すように、基材11と接着剤層16との間に形成される。一方、転写用加飾フィルムにおいては、上記の保護層13又はプライマー層14に、上記と同様の公知の印刷法により形成することで、図2に示すように保護層13と接着剤層16との間に形成される。装飾層15の厚みは、意匠性の観点から3〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
装飾層15の形成に用いられる印刷インキのバインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂などを好ましく挙げることができるが、アクリル系樹脂単独又はアクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合物を主成分とするのが好ましい。これらの中では、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂又は別のアクリル系樹脂を混合すると印刷適性、成形適性がより良好となり好ましい。ここで、アクリル系樹脂としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体などのアクリル系樹脂〔ただし、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう〕、フッ素などによる変性アクリル樹脂が挙げられ、これらを1種又は2種以上の混合物として用いることができる。この他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどの分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、を共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることもできる。また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。必要に応じ、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂にさらにマレイン酸、フマル酸などのカルボン酸を共重合させても良い。アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合比は、アクリル系樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂=1/9〜9/1(質量比)程度である。この他、副成分の樹脂として、必要に応じて、適宜その他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどの塩素化ポリオレフィン系樹脂などの樹脂を混合しても良い。
本発明に係る装飾層15に用いられる着色剤としては、アルミニウム、クロム、ニッケル、錫、チタン、リン化鉄、銅、金、銀、真鍮などの金属、合金、又は金属化合物の鱗片状箔粉からなるメタリック顔料、マイカ状酸化鉄、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、二酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、着色二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、アルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸バリウム、硫化亜鉛、硫化カルシウムなどの蛍光顔料、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモンなどの白色無機顔料、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラックなどの無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラックなどの有機顔料(染料も含む)を1種又は2種以上混合して用いることができる。
このような装飾層15は、三次元成形加飾フィルム(ラミネート用、転写用)に意匠性を付与するために設けられる層であるが、意匠性を向上させる目的で、さらに金属薄膜層などを形成しても良い。金属薄膜層の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅などの金属を用いて、真空蒸着、スパッタリングなどの方法で製膜することができる。この金属薄膜層は全面に設けても、部分的にパターン状に設けても良い。
装飾層15の形成に用いられる印刷インキは、上記成分の他に、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、滑剤などを適宜添加することができる。印刷インキは、上記成分を、通常溶剤に溶解又は分散した態様で提供される。溶剤としては、バインダー樹脂を溶解又は分散させるものであれば良く、有機溶剤及び/又は水を使用することができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテートなどのエステル類、アルコール類が挙げられる。
[接着剤層]
本発明の製造方法における接着剤層16は、ラミネート用加飾フィルムにおいては、基材11及び装飾層15を、また、転写用加飾フィルムにおいては、好ましくは保護層13、所望により積層されるプライマー層14、及び装飾層15を、接着性良く射出成形樹脂に積層するために形成される。すなわち、この接着剤層16としては、射出成形同時加飾法において、射出成形樹脂と当該三次元成形加飾フィルムとを、密着性よく、かつ端部に剥がれが生じることがないように接合し得ることが肝要である。
したがって、本発明においては、当該接着剤層を構成する接着剤として、「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が25〜65℃であり、かつ「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が90〜190℃である接着剤を用いる。上記観点から、接着剤の「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」は、130〜190℃であることが好ましく、170〜185℃であることがさらに好ましい。
また、射出成形時の樹脂温度によって、接着剤の軟化温度の好適範囲が存在する。具体的には、射出成形時の樹脂温度が250℃以上の場合、特に樹脂温度が300℃以上の場合には、接着剤の軟化温度は110〜150℃の範囲が好ましく、120〜150℃の範囲がさらに好ましい。
当該接着剤層を構成する接着剤が、上記条件を満たすことにより、射出樹脂として、例えばABS樹脂(射出成形時の樹脂温度:約230℃)、ポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイ(射出成形時の樹脂温度:約260℃)及びポリカーボネート樹脂(射出成形時の樹脂温度:約310℃)をそれぞれ用いた場合、それぞれの金型温度が40〜80℃程度、40〜80℃程度及び70〜100℃程度において、ラミネート用加飾フィルムでは、基材11及び装飾層15と射出樹脂成形体とが、一方、転写用加飾フィルムでは、加飾フィルムの転写層17と、射出樹脂成形体とが、密着性よく接合してなる加飾成形品を得ることができる。
当該接着剤層16としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成されるものが挙げられるが、本発明においては、必要に応じて加熱及び加圧によって、加飾成形品に対する密着性を発現するヒートシール層であることが好ましい。接着剤層16を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂の中で、接着剤として前記条件を満たすものを適宜選択して使用する。選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
接着剤層16の厚みとしては、三次元成形加飾フィルムを接着性良く、かつ効率的に加飾成形品に転写し得るという点から、0.1〜6μm程度が好ましい。
接着剤層16には、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、サリシレート系化合物などの有機系の紫外線吸収剤や、亜鉛、チタン、セリウム、スズ、鉄などの酸化物のような無機系の紫外線吸収能を有する微粒子の添加剤を含有させることができる。また、添加剤として、着色顔料、白色顔料、体質顔料、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、蛍光増白剤なども適宜、必要に応じて含有させることができる。
このような構成を有する本発明の製造方法により得られる三次元成形加飾フィルムは、特にポリカーボネート樹脂成形体の加飾用として好適である。
[加飾成形品の製造方法]
本発明の加飾成形品の製造方法は、(1)前記のようにして製造されたラミネート用加飾フィルムを用いて加飾成形品を製造する方法、(2)前記のようにして製造された転写用加飾フィルムを用いて加飾成形品を製造する方法、の2つの態様がある。
(ラミネート用加飾フィルムを用いる方法)
ラミネート用加飾フィルムによる本発明の加飾成形品の製造方法は、以下の工程(1)〜(4)を含むものである。
(1)まず、上記ラミネート用加飾フィルムの基材側を金型内に向けて、熱盤によって接着剤層側からラミネート用加飾フィルムを加熱する工程、
(2)加熱された該ラミネート用加飾フィルムを金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締する工程、
(3)射出樹脂を金型内に射出する工程、及び
(4)該射出樹脂が冷却した後に金型から加飾成形品を取り出す工程。
(転写用加飾フィルムを用いる方法)
一方、転写用加飾フィルムによる本発明の加飾成形品の製造方法は、以下の工程(1)〜(5)を含むものである。
(1)まず、上記転写用加飾フィルムの基材側を金型内に向けて、熱盤によって接着剤層側から転写用加飾フィルムを加熱する工程、
(2)加熱された該転写用加飾フィルムを金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締する工程、
(3)射出樹脂を金型内に射出する工程、
(4)該射出樹脂が冷却した後に金型から加飾成形品を取り出す工程、及び
(5)該加飾成形品から基材及び離型層を剥離する工程。
上記両工程(1)及び(2)において、三次元成形加飾フィルム(ラミネート用、転写用)を加熱する温度は、基材のガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(又は融点)未満の範囲であることが好ましい。通常はガラス転移温度近傍の温度で行うことが、より好ましい。
なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲をさし、基材として好適なポリエステルフィルムを使用する場合には、一般に70〜130℃程度である。
上記両工程(3)において、後述する射出樹脂を溶融させて、キャビティ内に射出して該三次元成形加飾フィルム(ラミネート用、転写用)と射出樹脂とを一体化させる。射出樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、射出樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を室温又は適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、三次元成形加飾フィルムが、形成された樹脂成形体と一体化して貼り付き、加飾成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、射出樹脂によるが、一般に180〜320℃程度である。
このようにして得られた加飾成形品は、ラミネート用加飾フィルムを用いる場合には、冷却した後に金型から取り出し、加飾成形品を得る。一方、転写用加飾フィルムを用いる場合には、冷却した後に金型から取り出した後、基材11及び離型層12を剥離することにより保護層13、所望により設けられるプライマー層14、装飾層15及び接着剤層16からなる転写層17が転写された加飾成形品を得る。
[製造方法:射出樹脂]
加飾成形品に用いられる射出樹脂としては、射出成形可能な熱可塑性樹脂あるいは、熱硬化性樹脂(2液硬化性樹脂を含む)であれば良く、特に制限されず、様々な樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂材料としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン系共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂)などのスチレン系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレングリコール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、2液反応硬化型のポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独でも良いし、二種以上混合して用いても良い。
また、これらの樹脂には、必要に応じて各種添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの無機物粉末、木粉、ガラス繊維などの充填剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤などを添加することができる。なお、射出樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。着色剤には、前述の基材に用いることのできるものと同様の公知の着色剤を使用できる。
加飾成形品を構成する射出樹脂成形体の厚みについては特に制限はなく、当該加飾成形品の用途に応じて選定されるが、通常1〜5mm、好ましくは2〜3mmである。
図3は、本発明の加飾成形品の一例の断面を示す模式図であり、加飾成形品30は、射出樹脂成形体18上に、基材11と装飾層15が、接着剤層16を介して積層一体化された構造を有している。
図4は、本発明の加飾成形品の異なる一例の断面を示す模式図であり、加飾成形品40は、射出樹脂成形体18上に、保護層13と、所望により設けられるプライマー層14と、装飾層15と、接着剤層16とからなる転写層17が、接着剤層16を介して積層一体化された構造を有している。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
<評価方法>
(1)電子線硬化性樹脂の重量平均分子量
GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された値を用いた。
(2)接着剤層を構成する接着剤の軟化温度
接着剤として用いる樹脂の軟化温度Tmは、フローテスター法により求めた。
(3)加飾成形品における、射出樹脂成形体と転写層との密着性
加飾成形品を成形直後、基材のアクリル樹脂フィルムを180度の方向に剥離させた際の密着性を、下記の判定基準で評価した。
判定基準
○;フィルム剥離なし
△;成形品の端部で若干の剥離
×;成形品全面的に剥離
なお、○は合格、△及び×は不合格である。
参考例1
(1)三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)の作製
厚み75μmのポリメチルメタクリレートフィルムの表面に、アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂とをバインダー樹脂とした印刷インキ(アクリル樹脂:50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂:50質量%)を塗工量3g/m2でグラビア印刷を施して木目模様の絵柄層を形成した後、その上に、厚み3μmの隠蔽層(をグラビア印刷を施して)設けた。さらにこの隠蔽層上に接着剤として、アクリル系樹脂[軟化温度Tm:125℃]を塗工量4g/m2でグラビア印刷を施して接着剤層を形成し、図1に示す構成の三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)を得た。
(2)加飾成形品の作製
上記(1)で得られた加飾フィルム(a)を熱盤温度150℃で加熱して射出成形の金型内形状に沿うように成形して、金型内面に密着させた。金型は、80mm角の大きさで、立ち上がり10mm、コーナー部が2Rのトレー状である深絞り度の高い形状のものを用いた。一方、射出樹脂としてABS樹脂[日本エイアンドエル(株)製、商品名「クラスチックMTH−2」]を用いて、これを230℃にて溶融状態にしてから、キャビティ内に射出した。温度80℃の金型から取り出し、表面に基材、絵柄層、隠蔽層及び接着剤層からなる転写層を転写形成してなる図3に示す構成の加飾成形品30を得た。なお、本発明において、深絞りとは、加飾フィルムの成形前と成形後との面積比が130%以上となるような形状をいい、深絞り度が高いとは、面積比が大きいことをいう。
射出成形同時ラミネート加飾法における各条件、及び得られた加飾成形品30における、射出樹脂成形体とラミネート層との密着性の評価結果を表1に示す。
実施例1〜3、参考例2〜8
(1)三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)の作製
参考例1(1)において、接着剤として表1に示す種類と軟化温度を有するものを用いたこと以外は、参考例1(1)と同様にして、図1に示す構成を有する10種類の三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)2を作製した。
(2)加飾成形品の作製
上記(1)で得られた10種類の三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)を用い、かつ射出樹脂として、表1に示す種類のものを用いたこと以外は、参考例1(2)と同様な操作を行い、図3に示す構成の10種類の加飾成形品を作製した。
比較例1〜10
(1)三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)の作製
参考例1(1)において、アクリル系樹脂[軟化温度Tm:125℃]の代わりに、表1に示す樹脂を、それぞれ用いた以外は、参考例1(1)と同様にして、10種類の三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)を作製した。
(2)加飾成形品の作製
上記(1)で得られた10種類の加飾フィルムと、表1に示す種類の射出樹脂を用い、表1に示す各条件にて、参考例1(2)と同様な操作を行い、10種類の加飾成形品を作製した。
得られた各加飾成形品における、射出樹脂成形体とラミネート層との密着性の評価結果を表1に示す。
参考例9
(1)三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)の作製
参考例1(1)において、アクリル樹脂[軟化温度Tm:125℃]の代わりに、アクリル系樹脂[軟化温度Tm:135℃]を用いた以外は、参考例1(1)と同様にして三次元成形加飾フィルム(ラミネート用加飾フィルム)を作製した。
(2)加飾成形品の作製
参考例1(2)において、射出樹脂として、ABS樹脂の代わりにポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と略記する)[帝人化成社製、商品名「パンライト L−1225Z」]を用いて、290℃でキャビティ内に射出した以外は、参考例1(2)と同様な操作を行い、加飾成形品を作製しようとしたが、射出時の樹脂温度が低すぎて、成形ができなかった。
[注]
1)接着剤の種類
A:アクリル系樹脂[軟化温度:125℃]
B:アクリル系樹脂[軟化温度:129℃]
C:アクリル系樹脂[軟化温度:135℃]
D:アクリル系樹脂[軟化温度:102℃]と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体[軟化温度:72℃]との質量比1:1の混合樹脂[軟化温度:87℃(計算値)]
E:アクリル系樹脂[軟化温度:102℃]
F:アクリル系樹脂[軟化温度:155℃]
表1から明らかなように、実施例のものは、いずれも「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が25〜65℃、及び「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が90〜190℃の範囲にあり、上記両方の条件を満たしている。
これに対し、比較例のものは、上記条件のうちのいずれか一方、又は両方を満たしていない。
本発明の三次元成形加飾フィルムは、加飾樹脂成形品に意匠性を付与するための射出成形同時加飾法に用いられる加飾フィルムであって、射出樹脂成形体と加飾フィルムとの密着性もが良好な加飾樹脂成形品を与えることができる。
10 ラミネート用加飾フィルム
11 基材
12 離型層
13 保護層
14 プライマー層
15 装飾層
16 接着剤層
17 転写層
18 射出樹脂成形体
20 転写用加飾フィルム
30 加飾成形品
40 加飾成形品

Claims (8)

  1. 基材上に、接着剤として「該接着剤の軟化温度−射出成形時の金型温度」の値が25〜65℃であり、かつ「射出成形時の樹脂温度−該接着剤の軟化温度」の値が90〜190℃である接着剤を用いて接着剤層を積層する工程を含む、射出樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いる射出成形同時加飾方法用の三次元成形加飾フィルムの製造方法。
  2. さらに基材上に装飾層を積層する工程を有し、該装飾層の上に接着剤層を積層する請求項1に記載の三次元成形加飾フィルムの製造方法。
  3. さらに基材上に離型層を積層する工程、該離型層上に重合性(メタ)アクリレートオリゴマーを含む電離放射線硬化性樹脂組成物層を積層する工程、及び該電離放射線硬化性樹脂組成物層に電離放射線を照射し該電離放射線硬化性樹脂組成物層を架橋硬化して保護層を形成する工程を有し、該保護層の上に接着剤層を積層する請求項1に記載の三次元成形加飾フィルムの製造方法。
  4. さらに保護層の上に装飾層を積層する工程を有し、該装飾層の上に接着剤層を積層する請求項3に記載の三次元成形加飾フィルムの製造方法。
  5. 前記接着剤層がヒートシール層である請求項1〜4のいずれか1項に記載の三次元成形加飾フィルムの製造方法。
  6. 前記接着剤を塗布可能にしてなる塗布液を塗布、乾燥することにより、前記接着剤層を積層する工程を行う請求項1〜5のいずれか1項に記載の三次元成形加飾フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られた三次元成形加飾フィルムを、基材側を金型内に向けて配し、熱盤によって接着剤層側から該三次元成形加飾フィルムを加熱する工程、加熱された該三次元成形加飾フィルムを金型内形状に沿うように予備成形して金型内面に密着させて型締する工程、ポリカーボネート樹脂を金型内に射出する工程、及び該ポリカーボネート樹脂が冷却した後に金型から加飾成形品を取り出す工程を含む加飾成形品の製造方法。
  8. さらに加飾成形品から基材及び離型層を剥離する工程を含む請求項に記載の加飾成形品の製造方法。
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