JP5893885B2 - 変性天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに、変性天然ゴム、ゴム組成物、及びタイヤ - Google Patents

変性天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに、変性天然ゴム、ゴム組成物、及びタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、変性天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに、変性天然ゴム、ゴム組成物、及びタイヤに関し、特に、通常の天然ゴムと比べて、ゴム組成物の低発熱性(低ロス性)を向上させることができる変性天然ゴムを得ることが可能な変性天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに、前記変性天然ゴムラテックスに含まれる変性天然ゴム、該変性天然ゴムを含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤに関するものである。
ゴムの改質法として、ゴム分子に単量体(モノマー)をグラフト共重合させることが行われており、例えば、天然ゴムラテックスに対し、耐油性や補強効果を増大させることを目的として、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン、などをグラフト共重合させて、ラテックス状態の重合生成物を得ている。
さらに、シンジオタクチック 1,2−ポリブタジエンと、網目構造を有するジエン系ゴムとを均一分散させて、樹脂加工成形に優れ、特に、耐摩耗性、耐受傷性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ること(例えば、特許文献1参照)や、ゴムラテックスにビニル基を2個以上有する反応性モノマーを反応させて、ゴム分子間に架橋構造を形成させて改質し、製膜性よく十分な強度を有し、焼却する際に灰分量が非常に少なく廃棄処理が容易なゴム製品を得ること(例えば、特許文献2参照)などがなされている。
しかしながら、天然ゴムを改質して、ゴム組成物の低発熱性(低ロス性)を向上させることは、未だなされておらず、ゴム組成物の低発熱性(低ロス性)を向上させることができる変性天然ゴムの開発が強く望まれている。
特開平7−118446号公報 特開2003−12736号公報
本発明の目的は、通常の天然ゴムと比べて、ゴム組成物の低発熱性(低ロス性)を向上させることができる変性天然ゴムを得ることが可能な変性天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに、前記変性天然ゴムラテックスに含まれる変性天然ゴム、該変性天然ゴムを含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物(のみ)をラジカルグラフト重合反応(乳化重合反応)させてなることにより、通常の天然ゴムと比べて、高度な網目構造を有し、極性基付きであり、分子量が大きい変性天然ゴムを得ることができることを見出し、結果、ゴム組成物の低発熱性(低ロス性)を向上させることができ、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の変性天然ゴムラテックスは、天然ゴム分子と該天然ゴム分子間を架橋してなる架橋部とからなり、数平均分子量が330000〜450000である変性天然ゴムを含む変性天然ゴムラテックスであって、前記天然ゴム分子を含む天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物をラジカルグラフト重合反応させてなり、前記極性基がアミノ基であることを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムラテックスの製造方法は、天然ゴム分子と該天然ゴム分子間を架橋してなる架橋部とからなり、数平均分子量が330000〜450000である変性天然ゴムを含む変性天然ゴムラテックスの製造方法であって、前記天然ゴム分子を含む天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物をラジカルグラフト重合反応させてなり、前記極性基がアミノ基であることを特徴とする。
本発明の変性天然ゴムラテックスの製造方法は、前記天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子(固形ゴム分)100質量部に対し、前記化合物を0.01質量部〜10.0質量部添加してなることが好ましい。
本発明の変性天然ゴムは、本発明の変性天然ゴムラテックスを凝固し、乾燥してなることを特徴とする。
本発明のゴム組成物は、本発明の変性天然ゴムを含むことを特徴とする。
本発明のゴム組成物は、該ゴム組成物中に、本発明の変性天然ゴムを15質量%以上含むことが好ましい。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、通常の天然ゴムと比べて、ゴム組成物の低発熱性(低ロス性)を向上させることができる変性天然ゴムを得ることが可能な変性天然ゴムラテックス及びその製造方法、並びに、前記変性天然ゴムラテックスに含まれる変性天然ゴム、該変性天然ゴムを含むゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
(変性天然ゴム)
本発明の変性天然ゴムは、天然ゴム分子と、該天然ゴム分子を架橋してなる架橋部とからなる。
また、本発明の変性天然ゴムは、後述する本発明の変性天然ゴムラテックスを凝固し、洗浄後、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、薄膜蒸留等の通常の乾燥機を用いて乾燥することにより得られる。
<天然ゴム分子>
前記天然ゴム分子の数平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150000〜450000が好ましく、250000〜450000がより好ましい。
前記天然ゴム分子の数平均分子量が150000未満であると、低分子量成分による発熱性の悪化が生じることがあり、450000を超えると、粘度が高くなり、配合作業性が悪化することがある。一方、前記天然ゴム分子の数平均分子量が、前記より好ましい範囲内であると、分子量、発熱性、及び配合作業性のバランスの点で有利である。
なお、前記天然ゴム分子の数平均分子量は、例えば、テトラヒドロフランに溶解させることにより得られた天然ゴム分子をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
<架橋部>
前記架橋部としては、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物に由来する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−化合物−
前記化合物としては、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式で表される化合物、などが挙げられる。
Figure 0005893885
Figure 0005893885
前記化合物の市販品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジアリルアミン、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリアリルアミン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,6−ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン、N,N'−ビス(アクリロイル)シスタミン、ビス(ビニルスルホニル)メタン、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、N,N´−ビス(ビニルスルホニルアセチル)エチレンジアミン、アジピン酸ジアリル、10−ウンデセン酸ビニル、trans,cis−2,6−ノナジエナール、アジピン酸ジビニル、cis−3−ヘキセン酸cis−3−ヘキセニル、2−イソプロペニル−5−メチル−5−ビニルテトラヒドロフラン、(2,7−オクタジエン−1−イル)こはく酸無水物、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(cis−,trans−混合物)(以上、東京化成工業株式会社製);ジビニルグリコール、ジビニルスルホン、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル酸エチレングリコール、ビスアクリル酸1,4−フェニレン、ジアクリル酸ポリエチレングリコール、N,N’−ジアクリロイルエチレンジアミン、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(以上、和光純薬工業株式会社製);ジアクリル酸1,4−ブタンジオール(メルク株式会社製);などが挙げられる。
−−重合性官能基−−
前記重合性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル基、アクリル基、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アクリル基が、重合反応性の点で、好ましい。
−−極性基−−
前記極性基としては、後述する充填剤との親和性が高いものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、オキシカルボニル基、含窒素複素環基、含酸素複素環基、スズ含有基、アルコキシシリル基、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アミノ基が、充填剤との親和性が高く、低ロス性(低転がり抵抗性)が高い変性天然ゴムを得ることができる点で、好ましい。
前記含窒素複素環基における含窒素複素環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール、ヒスチジン、イミダゾール、トリアゾリジン、トリアゾール、トリアジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、キノリン、プリン、フェナジン、プテリジン、メラミン、などが挙げられる。前記含窒素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。
前記含酸素複素環基における含酸素複素環としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記含酸素複素環は、他のヘテロ原子を環中に含んでいてもよい。
前記スズ含有基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリブチルビニルスズ、などが挙げられる。
<変性天然ゴムの数平均分子量>
前記変性天然ゴムの数平均分子量としては、150000〜450000である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、250000〜450000が好ましい。
前記変性天然ゴムの数平均分子量が150000未満であると、低分子量成分により発熱性が悪化することがあり、450000を超えると、粘度が高くなり、配合作業性が悪化することがある。一方、前記変性天然ゴムの分子量が、前記好ましい範囲内であると、分子量、発熱性、及び配合作業性のバランスの点で有利である。
なお、前記変性天然ゴムの数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
<凝固>
前記凝固の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選することができ、例えば、後述する本発明の変性天然ゴムラテックスにギ酸を添加してpHを4.7に調整する方法、などが挙げられる。
<乾燥>
前記乾燥の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選することができるが、
60℃〜150℃の温度条件で、0.5時間〜72時間加熱することが好ましい。
(変性天然ゴムラテックス)
本発明の変性天然ゴムラテックスとしては、少なくとも変性天然ゴムを含んでなり、変性天然ゴム以外の成分として、未変性天然ゴム未変性天然ゴム、界面活性剤、などを含んでいてもよい。
前記変性天然ゴムラテックス中における前記変性天然ゴムの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記変性天然ゴムラテックス100質量部に対し、10質量部〜60質量部が好ましく、15質量部〜30質量部がより好ましい。
前記変性天然ゴムの含有量が10質量部未満であると、凝固速度や非ゴム成分の取り込みへの影響があることがあり、60質量部を超えると、不均一な凝固になる懸念がある。一方、前記変性天然ゴムの含有量が、前記より好ましい範囲内であると、均一な凝固反応の点で有利である。
(変性天然ゴムラテックスの製造方法)
本発明の変性天然ゴムラテックスの製造方法としては、天然ゴム分子を含む天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物(のみ)をラジカルグラフト重合反応させてなる方法である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<天然ゴムラテックス>
前記天然ゴムラテックスとしては、天然ゴム分子を含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選することができ、例えば、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱蛋白ラテックスおよびこれらを組合せたもの、などが挙げられる。
また、前記天然ゴムラテックスは、天然ゴム分子以外の成分として、水、タンパク質、脂質、無機質、炭水化物、などを含んでいてもよい。
また、前記天然ゴムラテックスに対して、例えば、(i)過酸化物もしくはアゾ化合物共存下での過熱によりラジカル反応を行うこと、(ii)過硫酸塩を一成分とするレドックス系開始剤を用いてラジカル反応を行うこと、(iii)X線、α線、γ線等の放射線照射を行うこと、(iv)カルボニル化合物を添加し、ラジカル発生剤の存在下で空気酸化させること、などによって得られる解重合天然ゴムラテックスを出発原料とすることもできる。前記空気酸化を促進するためのラジカル発生剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化物系ラジカル発生剤、アゾ系ラジカル発生剤、レドックス系ラジカル発生剤、などが挙げられる。前記カルボニル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、種々のアルデヒド類、ケトン類、などが挙げられる。
前記天然ゴムラテックス中における前記天然ゴム分子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記天然ゴムラテックス100質量部に対し、10質量部〜60質量部が好ましく、15質量部〜30質量部がより好ましい。
前記天然ゴム分子の含有量が10質量部未満であると、反応効率が低下する、凝固速度や非ゴム成分の取り込みへの影響があることがあり、60質量部を超えると、粘性が高くなるため均一性が悪くなる懸念がある。一方、前記天然ゴム分子の含有量が、前記より好ましい範囲内であると、極性基の均一な反応の点で有利である。
前記天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子(固形ゴム分)100質量部に対する前記化合物の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量部〜10.0質量部が好ましく、0.1質量部〜5.0質量部がより好ましい。
前記化合物の添加量が0.01質量部未満であると、分子量向上効果が小さいことがあり、10.0質量部を超えると、前記天然ゴムラテックスがゲル化しすぎてしまい、前記天然ゴムラテックスを含むゴム組成物におけるフィラー(例えば、充填剤、など)の分散が困難になってしまい、ゴム物性への影響が大きくなることがある。一方、前記化合物の添加量が、前記より好ましい範囲内であると、発熱とその他物性とのバランスの点で有利である。
<ラジカルグラフト重合>
前記ラジカルグラフト重合において、グラフト重合開始剤の種類及び添加量、重合温度、などは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、前記ラジカルグラフト重合において、ラジカル開始剤の添加による解重合反応を行う際、同時にグラフト重合させることができる。また、既に解重合された天然ゴムラテックス中に必要に応じて水及び乳化剤を加えたものの中に前記化合物を加え、さらにグラフト重合開始剤を加えて、所定の温度で攪拌して重合してもよい。なお、前記化合物の天然ゴムラテックスへの添加に際しては、予め天然ゴムラテックス中に乳化剤を加えてもよいし、又は前記化合物を乳化した後、天然ゴムラテックスに加えてもよい。乳化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のノニオン系の界面活性剤、などが挙げられる。
−グラフト重合開始剤−
前記グラフト重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、種々の乳化重合用の開始剤を用いることができ、その添加方法についても、特に制限はない。
前記グラフト重合開始剤の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジーtert−ブチルパーオキサイド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、などが挙げられる。なお、重合温度を低減させるためには、レドックス系のグラフト重合開始剤を用いるのが好ましい。
前記レドックス系重合開始剤に用いる過酸化物と組み合わせる還元剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸、などが挙げられる。
前記レドックス系開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、tert−ブチルヒドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組合せが好ましい。
前記天然ゴムラテックス中における前記グラフト重合開始剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、充填剤(カーボンブラック、シリカ)を配合したとき、加工性を低下させずに低ロス特性を向上させる観点より、前記重合性官能基含有化合物(極性基含有化合物)に対し、1モル%〜100モル%が好ましく、10モル%〜100モル%がより好ましい。
前記グラフト重合開始剤の添加量が1モル%未満であると、グラフト重合開始剤を入れる効果が得られないことがあり、100モル%を超えると、各天然ゴム分子に均一に重合性官能基含有化合物(極性基含有化合物)が導入されないことがある。一方、前記グラフト重合開始剤の添加量が、前記より好ましい範囲内であると、各天然ゴム分子に重合性官能基含有化合物(極性基含有化合物)が均一かつ十分な量で導入されて、発熱性が改良される効果がある点で有利である。
−重合温度−
前記重合温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、室温付近の温度であることが好ましい。
本発明の製造方法によれば、天然ゴム分子を含む天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物を混合させるので、分散性を高めることができ、もって重合温度を室温付近の温度とすることができる。
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物としては、本発明の変性天然ゴムを含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、本発明の変性天然ゴム以外のゴム成分、充填剤、架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤などを含むことが好ましい。
<変性天然ゴム>
前記ゴム組成物中における本発明の変性天然ゴムの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%以上が好ましい。
前記ゴム組成物中における変性天然ゴムの含有量が、15質量%未満であると、発熱低減効果が小さいことがある。
<ゴム成分>
前記ゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の変性天然ゴム、天然ゴム、各種ブタジエンゴム、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、イソブチレンとp−メチルスチレンの共重合体の臭化物、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリロブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム成分中における本発明の変性天然ゴムの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%以上が好ましい。
前記ゴム成分中における変性天然ゴムの含有量が、20質量%未満であると、発熱低減効果が小さいことがある。
<充填剤>
前記充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、SAF,ISAF,HAF,FEF,GPFグレードのカーボンブラックが好ましい。
また、前記シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
前記充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、5質量部〜100質量部が好ましく、10質量部〜70質量部の範囲が更に好ましい。
前記充填剤の含有量が、5質量部未満であると、充填剤を入れる効果があまりみられないことがあり、100質量部を超えると、前記ゴム成分に充填剤が混ざり込まなくなる傾向がある。
<架橋剤>
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄、などが挙げられる。
前記架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部が好ましい。
前記架橋剤の含有量が0.1質量部未満では、架橋剤を入れる効果があまり得られないという傾向があり、20質量部を超えると、一部の架橋剤により混練り中に架橋が進んでしまう傾向がある。
(タイヤ)
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、空気入りタイヤが好ましい。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤを製造することができる。
前記加熱加硫の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度100℃〜200℃、加温時間10分間〜15時間が好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
以下、本明細書においては、実施例2〜5を、それぞれ、参考例2〜5とする。
(製造例1:変性天然ゴムAの製造方法)
クローン種GT−1、NH0.4wt%処理天然ゴムラテックスをラテックスセパレーター(斎藤遠心工業製)を用いて回転数7500rpmで遠心分離することで、乾燥ゴム濃度60質量%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機、温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mlの水と90mgの乳化剤(エマルゲン1108,花王株式会社製)をジアリルアミン1.6gに加えて乳化したものを990mlの水とともに添加し、これらを窒素置換しながら30分間撹拌した。次いで、重合開始剤としてtert−ブチルヒドロパーオキサイド1.2gとテトラエチレンペンタミン1.2gとを添加し、40℃で30分間反応させることにより、変性天然ゴムラテックスを得た。
次いで、ギ酸を添加してpHを4.7に調整することにより、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得た固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化し、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムAを得た(表1)。
(製造例2:変性天然ゴムBの製造方法)
製造例1においてジアリルアミン1.6gを加える代わりに、N、N’-(1、2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド3.3gを加えたこと以外は、製造例1と同様にして、変性天然ゴムBを得た(表1)。
(製造例3:変性天然ゴムCの製造方法)
製造例1においてジアリルアミン1.6gを加える代わりに、N、N’-メチレンビスアクリルアミド2.5gを加えたこと以外は、製造例1と同様にして、変性天然ゴムCを得た(表1)。
(製造例4:変性天然ゴムDの製造方法)
製造例1においてジアリルアミン1.6gを加える代わりに、N、N’-ヘキサメチレンビスアクリルアミド3.6gを加えたこと以外は、製造例1と同様にして、変性天然ゴムDを得た(表1)。
(製造例5:変性天然ゴムEの製造方法)
製造例1においてジアリルアミン1.6gを加える代わりに、ジアクリル酸1、4-ブタンジオール3.2gを加えたこと以外は、製造例1と同様にして、変性天然ゴムEを得た(表1)。
(製造例6:変性天然ゴムaの製造方法)
クローン種GT−1、NH0.4wt%処理天然ゴムラテックスをラテックスセパレーター(斎藤遠心工業製)を用いて回転数7500rpmで遠心分離することで、乾燥ゴム濃度60質量%の濃縮ラテックスを得た。
次いで、ギ酸を添加してpHを4.7に調整することにより、天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得た固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化し、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して天然ゴムaを得た(表1)。
(製造例7:天然ゴムbの製造方法)
製造例1において、ジアリルアミン1.6gを加える代わりに、ジビニルベンゼン2.1gを加え、それ以外は同等の条件で製造することで変性天然ゴムbを得た。
Figure 0005893885
(実施例1〜5及び比較例1及び2)
次に、プラストミルによる混練により、製造例1〜7で得られた変性天然ゴムA〜E及び(変性)天然ゴムa及びbを表2に示す配合処方で含むゴム組成物1〜7を調製し、ゴム組成物1〜7の各々について、「原料ムーニー(ML1+4,100℃)」、「数平均分子量(Mn)」、「配合ムーニー(ML1+4,130℃)」及び「tanδ」を以下に示す測定方法で測定した。測定結果を表3−1及び表3−2に示す。
<原料ムーニー(ML1+4,100℃)の測定方法>
JIS K6300−1994に準拠して、100℃にて(変性)天然ゴムのムーニー粘度ML1+4(100℃)を測定した。
<数平均分子量(Mn)の測定方法>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラ
ム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリ
スチレンを基準として、各(変性)天然ゴムのポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を求めた。
<配合ムーニー(ML1+4,130℃)の測定方法>
JIS K6300−1994に準拠して、130℃にてゴム組成物のムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定した。
<tanδの測定方法>
上記ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得た加硫ゴムに対し、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製]を用い、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzで損失正接(tanδ)を測定した。tanδが小さい程、低ロス性に優れることを示す。
Figure 0005893885
カーボンブラックN339:東海カーボン社製「シーストKH」
老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)−N´−フェニル−p−フェニレンジアミン
加硫促進剤DZ:N,N´−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
Figure 0005893885
Figure 0005893885
以上より、天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物をラジカルグラフト重合させることにより得られた、数平均分子量が150000〜450000である変性天然ゴムは、通常の天然ゴムと比べて、ゴム組成物の低発熱性(低ロス性)(配合ゴムの正弦損失(tanδ)が低い)を向上させることができることが分かった。
本発明の変性天然ゴムは、エラストマー製品全般、特にタイヤ部材に用いることができる。

Claims (7)

  1. 天然ゴム分子と該天然ゴム分子間を架橋してなる架橋部とからなり、数平均分子量が330000〜450000である変性天然ゴムを含む変性天然ゴムラテックスであって、
    前記天然ゴム分子を含む天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物をラジカルグラフト重合反応させてなり、
    前記極性基がアミノ基であることを特徴とする変性天然ゴムラテックス。
  2. 天然ゴム分子と該天然ゴム分子間を架橋してなる架橋部とからなり、数平均分子量が330000〜450000である変性天然ゴムを含む変性天然ゴムラテックスの製造方法であって、
    前記天然ゴム分子を含む天然ゴムラテックスに、2個以上の重合性官能基及び1個以上の極性基を分子内に有する化合物をラジカルグラフト重合反応させてなり、
    前記極性基がアミノ基であることを特徴とする変性天然ゴムラテックスの製造方法。
  3. 前記天然ゴムラテックス中の天然ゴム分子100質量部に対し、前記化合物を0.01質量部〜10.0質量部添加してなることを特徴とする請求項に記載の変性天然ゴムラテックスの製造方法。
  4. 請求項1に記載の変性天然ゴムラテックスを凝固し、乾燥させてなることを特徴とする変性天然ゴム。
  5. 請求項に記載の変性天然ゴムを含むことを特徴とするゴム組成物。
  6. 前記ゴム組成物中における前記変性天然ゴムの含有量が15質量%以上であることを特徴とする請求項に記載のゴム組成物。
  7. 請求項に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とするタイヤ。
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