しかしながら特許文献1等に記載された従来の圧電トランス部品では、圧電素子のみをケースに収容する構造であり、電子機器の電源基板上で他の電子部品と相互に接続して用いるため、電源基板上で大きなスペースを必要としてしまう。また、圧電トランスと他の電子部品により高電圧回路を構成する場合等に電源基板上で相互に接続するだけでは、耐圧性能や防塵・防埃性の点で不十分な場合もある。そこで、最近では、例えば、3kV以上の高電圧回路を圧電素子及び他の電子部品により高圧パックとして形成した高電圧部品モジュールが提案されている。このような高電圧部品モジュールでは、例えば、ダイオードその他の電子部品をプリント基板に実装し、このプリント基板を別途圧電素子を収納したケースに組み込んで当該ケース内で圧電トランスの2次側にダイオードその他の電子部品を接続し、また、ケース端子と圧電素子のリード線とを接続する等した上で、ケース内に樹脂を充填して耐圧性能や塵埃密閉関性を向上させて安全性を高めるようにしている。
近年では、電子機器そのものの小型化・薄型化が進行し、かかる電子機器に用いる電子部品やそれらのモジュールにも、より一層の小型化・省スペース化が求められている。しなしながら、他の電子部品を実装したプリント基板と圧電素子とをケースに収納する構造の高電圧部品モジュールでは、プリント基板を用いる分、小型化・省スペース化に制約を免れない。また、プリント基板上の電子部品と圧電素子のリード線等との接続や半田付け作業をケース内で行うのが面倒であった。
そこで、より一層の小型化・省スペース化が可能な上に、他の電子部品と圧電素子のリード線等との接続や半田付け作業が容易な電子部品モジュールの開発が望まれている。
本発明の目的は、小型化・省スペース化が可能な上に、他の電子部品と圧電素子のリード線等との接続や半田付け作業が容易な電子部品モジュールを提供することにある。
本発明者は、更なる小型化・省スペース化が可能な上に組み立ての作業性に優れた電子部品モジュールの構造を種々検討した結果、ケースの様々な箇所に構造的工夫を施すことによって圧電素子のみならず他の電子部品もプリント基板を用いることなくケース内に位置決めし配置可能な上に、圧電素子のリード線と他の電子部品等との接続や半田付け作業をケース内で容易に行うことが可能な電子部品モジュールのケーシング構造を見出した。
即ち、上記目的を達成するため、本発明の電子部品モジュールは、圧電素子と、少なくとも該圧電素子とリード線を介して接続される電子部品と、前記圧電素子及び電子部品を収納するケースを備え、前記ケースは前記圧電素子を位置決めし収納する第1の区画部と、前記電子部品を位置決めし収納する第2の区画部と、リード線係止部を有し、該リード線係止部は、前記圧電素子から伸びるリード線である金糸線が係止され該金糸線の浮き上りを防止する切欠きと、前記電子部品のリード線が係止される切欠きを有し、前記圧電素子から伸びるリード線である金糸線と前記電子部品のリード線の係止及び相互接続が行われることを特徴としている。かかる構成によれば、第2の区画部により電子部品を位置決めし収納することができるので、プリント基板を用いずに電子部品モジュールの小型化・薄型化が可能となる。
尚、前記圧電素子とリード線を介して接続される電子部品に加え、更に他の電子部品を有し、前記第2の区画部には、前記各電子部品をそれぞれ位置決めして収容する小区画が複数形成されているようにしても良い。かかる構成によれば、小区画により各電子部品をそれぞれ位置決めして収容することができるので、プリント基板を用いずに圧電素子の他に2以上の電子部品を含む電子部品モジュールを小型化・薄型化することが可能となる。
また、前記小区画は、第2の区画部に形成した凸部又は凹部により形成するのが好適である。かかる構成によれば、プリント基板を用いずに他の電子部品を第2の区画部に簡単に位置決めして収容することが可能となる。
更に、前記リード線係止部は、前記第1の区画部と前記第2の区画部とは略区画された接続領域内に設けられているようにしても良い。かかる構成によれば、圧電素子や電子部品とは略区画された接続領域内において圧電素子と電子部品との接続や半田付け作業を行えるので、空間的な作業性に優れ、接続や半田付けの作業効率を向上させることができる。
更に、前記リード線係止部は、前記第2の区画部に設けられているようにしても良い。かかる構成によれば、リード線係止部専用の接続領域を設ける必要がないので、スペースを削減でき、ケースを小型化、至っては電子部品モジュールをより小型化することができる。
更に、前記リード線係止部は、金属製の端子により構成するようにしても良い。かかる構成によれば、圧電素子と電子部品との電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
本発明によれば、小型化・省スペース化が可能な上に、他の電子部品と圧電素子のリード線等との接続や半田付け作業が容易な電子部品モジュールを提供することができる。
本発明の第1の実施形態が適用された電子部品モジュールについて図面を参照して詳細に説明する。図1(a),(b),(c),(d)は、本発明の第1の実施形態が適用された電子部品モジュールを示す斜視図であり、(a),(b)は樹脂が充填される表面側から見た斜視図、(c),(d)は、裏面側から見た斜視図である。図2(a),(b),(c),(d),(e),(f)は、図1に示した電子部品モジュールの平面図、底面図、左側面図、右側面図、正面図、背面図である。
本実施形態の電子部品モジュール10は、図1(a),(b),(c),(d)及び図2(a),(b),(c),(d),(e),(f)に示すように、圧電素子12と、圧電素子12とリード線14を介して接続される電子部品16と、圧電素子12及び電子部品16を収納するケース30とを有している。ケース30は、圧電素子12を位置決めし収納する第1の区画部30Aと電子部品16を位置決めし収納する第2の区画部30Bとを含んでいる。また、本実施形態の電子部品モジュール10は、電子部品16に加え、更に他の電子部品17、18、19、20を有しており、ケース30の第2の区画部30Bには、これら他の電子部品17、18、19、20も位置決めされ収納されるようになっている。即ち、第2の区画部30Bの底面には、各電子部品16、17、18、19、20の平面形状に略対応する小区画(後述する図4参照)がそれぞれの個所に形成されており、各電子部品16、17、18、19、20は、各小区画に位置決めされ、嵌め込まれることにより収納されるようになっている。このように、本実施形態では、第2の区画部30Bにより電子部品16、17、18、19、20を位置決めし収納することができるので、従来のようなプリント基板を用いずに電子部品モジュール10の小型化・薄型化が可能となる。即ち、電子部品16、17、18、19、20を各小区画に位置決めし、嵌め込むことで第2の区画部30Bに収容することができるので、プリント基板を用いずに圧電素子12の他に5つの電子部品16、17、18、19、20を含む電子部品をパックにすることができるので、電子部品モジュール10の小型化・薄型化が容易である。
ここで、本実施形態の電子部品モジュール10のケース30、第1の区画部30A及び第1の区画部30A内に収納される圧電素子12、第2の区画部30B及び第2の区画部30B内に収納される第1乃至第5の電子部品16、17、18、19、20並びにそれら部品相互の接続関係について説明しておく。まず、ケース30は、図4に示すように、全体として、一の角部に異形部30Cを有する略矩形の箱形状に形成され、一方の側面側(図4では左側面側)に沿って上記異形部30Cを含んで構成される縦長(細長)の第1の区画部30Aと、略それ以外の領域の全てを含んで第1の区画部30Aよりは大きい矩形状に構成される第2の区画部30Bを有している。尚、ケース30の他の一の角部には、第1の区画部30Aと第2の区画部30Bの接続領域30Dが設けられている。この接続領域30D内で、後述するように、第1の区画部30Aに収納された圧電素子12のリード線と第2の区画部30Bに収納された電子部品16のリード線の係止及び相互接続が行われる。
さて、図4及び図5に示すように、第1の区画部30Aは、上述した異形部30Cを含めて圧電素子12を、いわゆる縦置きに収納するような形状に区画されている。即ち、第1の区画部30Aは、縦置きに収納される圧電素子12の形状に対応して区画壁30A1、30A2が立設され、この区画壁30A1、30A2内に圧電素子12を嵌め込むだけで収納することができる。区画壁30A2には、圧電素子12のリード線14Lを引き出すための切欠き溝30A2Gが形成されており、圧電素子12のリード線14Lは、この切欠き溝30A2G内を接続領域30D側に直線状に引き出された後に、接続領域30D内で後述するリード線係止部40に係止され、電子部品16のリード線16L1と相互に接続される。尚、第1の区画部30Aには、圧電素子12の振動の節に対応する位置にリブ30A8が設けられている。また、圧電素子12の他の一方のリード線14L2は、異形部30C付近でケース30外に引き出されて、ケース30の裏面において図示しない端子に接続されている。以上のように、圧電素子12は、ケース30内に縦置きに収納されて実装されるタイプの圧電トランスであるため、横置きの場合と比べてケース30内でその分平面上のスペースを必要とせず、ケース内の他の電子部品のレイアウトの点で有利であるため、ある程度の高さが許容される場合には、使用し易いというメリットがある。
次に、図4及び図5に示すように、第2の区画部30Bは、壁30B1、30B2、30B3、30B4等により、それぞれ第1、第2、第3、第4、第5の電子部品16、17、18、19、20を収納する小区画160、170、180、190、200に略分けられており、これらの小区画160、170、180、190、200にそれぞれ第1、第2、第3、第4、第5の電子部品16、17、18、19、20を嵌め込むだけで、図5に示すように、位置決めし収納できるようになっている。尚、小区画190は、第2の区画部30Bの底面よりも凹んだ矩形状の窪みにより形成されており、この矩形状の窪み内に第4の電子部品19を嵌め込むことにより、第4の電子部品19を位置決めし収納することができる。また、各小区画160、170、180、190、200或いは壁30B1、30B2、30B3、30B4等には、第1、第2、第3、第4、第5の電子部品16、17、18、19、20を相互に接続するため、或いはケース外の金属端子と接続するためのリード線係止部301、302、303、304、305、306が設けられている。
更に、接続領域30D内には、リード線係止部40が設けられている。即ち、本実施形態の電子部品モジュール10は、図1(a),(b)、図2(a)、図4、図5及び図7に示すように、ケース30内に圧電素子12から伸びるリード線14Lが係止されるリード線係止部40を設けたことを大きな特徴としており、このリード線係止部40が接続領域30D内に設けられている。ここで、本実施形態の電子部品モジュール10は、圧電素子12から伸びるリード線14L,14L2として金糸線を用いている(以下、リード線14Lを金糸線14Lと称する場合もある)。即ち、圧電素子12から伸びるリード線14L,14L2として金糸線を用い、圧電素子12から伸びるリード線(金糸線)14Lの余長部が係止されるリード線係止部40をケース30の接続領域30D内に設けている。即ち、金糸線は芯線に腰があるため、端子に絡げても、すぐに端子からほつれてくるので、半田付けが終了するまでリード線係止部40に金糸線を引っぱって係止させ仮固定することができれば、リード線の取り回しと半田付けの作業性を著しく向上させることができる。ここで、図6を参照して、本実施形態の電子部品モジュールにおける圧電素子12のリード線(金糸線)14Lの配線形態を説明しておく。図6に示すように、縦置きの圧電素子12の一端側(2次側)から、まずリード線(金糸線)14Lを圧電素子12の上面に向けて鉛直に伸ばした後、水平方向に略90度湾曲させて伸長させ、リード線係止部40に係止させ、第1の電子部品16のリード線16L1と接続する。ここで、金糸線は芯線に腰があるため、リード線(金糸線)14Lは、上記のように水平方向に略90度湾曲させていても上方向に浮き上がり易いという性質がある。そこで、後述するリード線係止部40の水平方向に切り欠かれて形成されている係止溝40M1(図7参照)に係止させ、浮き上がりを防止した状態で第1の電子部品16のリード線16L1と接続する。
本実施形態の大きな特徴であるリード線係止部40について、更に詳しく説明する。接続領域30D内には、図4、図5及び図7に示すように、窪み30DGが形成されており、この窪み30DGに金属端子40Mが嵌入されてリード線係止部40が構成されている。金属端子40Mは、図に拡大して示すような形状を有し、共通の切欠きから、圧電素子12の一方のリード線14Lが係止される係止溝40M1が水平方向に切り欠かれて形成されると共に、第1の電子部品16の一方のリード線16L1が係止される係止溝40M2が鉛直方向に切り欠かれて形成されている。
さて、上述したように、金糸線は芯線に腰があるため、圧電素子12の金糸線から成るリード線14Lは、ケース30内で浮き上がってしまい易く、第1の電子部品16のリード線16L1との接続に困難をきたす。しかしながら、図4、図5及び図7に示すように、リード線係止部40では、係止溝40M1が水平方向に切り欠かれて形成されており、この係止溝40M1に金糸線から成るリード線14Lを係入させて仮固定できるので、リード線14Lの浮き上りを有効に防止することができる。従って、第1の電子部品16のリード線16L1との接続作業が著しく容易になる。尚、第1の電子部品16のリード線16L1は、圧電素子12のリード線14Lと比べて線径も大きく、金糸線ではないので、浮き上がり等の問題は無いので、その係止溝40M2は鉛直方向に切り欠かれて形成されている。そして、第1の電子部品16のリード線16L1は、一旦、小区画160の壁面に形成されたリード線係止部301を挿通され、L字状に曲げられてケース30の正面側から係止溝40M2に係入され仮固定される。そして、圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1が、どちらもリード線係止部40に係止された状態で半田付け作業が行われる。このように、リード線係止部40は、圧電素子12や第1の電子部品16の本体部16Bとは略区画された接続領域30D内に設けられ、このリード線係止部40において圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1の接続や半田付け作業を行えるので、空間的な作業性に優れ、接続や半田付けの作業効率を向上させることができる。また、上述したように、本実施形態では、圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1が共通して係止される金属端子40Mによりリード線係止部40を構成しているので、圧電素子12と第1の電子部品16との電気的な接続の信頼性を向上させることができる。
尚、第1、第2、第3、第4、第5の電子部品16、17、18、19、20は、第2の区画部30Bの各小区画160、170、180、190、200に嵌め込まれた後、リード線係止部302、303、304、305、306を用いて相互にリード線接続され、必要な半田付け作業が行われる。このように、第1、第2、第3、第4、第5の電子部品16、17、18、19、20は、第2の区画部30B内で相互にリード線接続され、半田付け作業も行えるので、従来のように基板を用いる必要が無い。従って、ケース30を含めた電子部品モジュール10の小型化・低背化が可能である。さて、以上のように、圧電素子12や第1、第2、第3、第4、第5の電子部品16、17、18、19、20が収納され、相互にリード線接続された後、本実施形態では、ケース30内に樹脂が充填され、圧電素子12や第1、第2、第3、第4、第5の電子部品16、17、18、19、20並びにそれらの接続部が、図3に示すように、樹脂封止される。本実施形態では、ケース30を含めた電子部品モジュール10の小型化・低背化が図られているので、この樹脂の充填量も大幅に減少させることが可能となっており、その分、電子部品モジュール10の製造コストを低減することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は、図8に示すように、圧電素子12と第1の電子部品16とのリード線係止部以外の基本的な構成は、第1の実施形態と略同様であるので、その説明を省略し、本実施形態の特徴であるリード線係止部240について、説明する。図8に示すように、接続領域30D内には、壁状のリード線係止部240が、ケース30と一体的に形成されており、この壁状のリード線係止部240の中央部より下方側でケース30の内側に、やや広めに共通係止溝240Mが水平方向に切り欠かれて形成されている。この共通係止溝240Mに圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1が共通して係入され、仮固定される。この時、圧電素子12の金糸線から成るリード線14Lは、浮き上がり易いが、共通係止溝240Mの上側の壁面で浮き上がりを規制されることで、共通係止溝240Mの下側に係入されている第1の電子部品16のリード線16L1と略整列して係止させることができる。尚、本実施形態のリード線係止部240は、樹脂製のケース30と一体的に形成されており、金属製ではないが、上記のように整列して係止させた状態で半田付けを行うことができるので、圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1の信頼性の高い接続が可能であり、半田付けの作業性も優れている。尚、リード線係止部240を金属製にしても良いのは勿論である。即ち、リード線係止部240を本実施形態と同様の形状の(樹脂製のケース30とは別体に)金属製のものとして形成し、ケース30の同様の箇所に固定した構成にしても良い。
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は、図9に示すように、圧電素子12と第1の電子部品16とのリード線係止部以外の基本的な構成は、第1及び第2の実施形態と略同様であるので、その説明を省略し、本実施形態の特徴であるリード線係止部340について、説明する。尚、図9では、第1の電子部品16のリード線16L1の配線形態が一部見えにくいが、第1及び第2の実施形態と同様である。この第3の実施形態では、図9に示すように、接続領域30D内には、窪み30DG2が形成されており、この窪み30DG2に金属端子340Mが嵌入されてリード線係止部340が構成されている。金属端子340Mは、図に示すような形状を有し、圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1が共通して挿通される円形の挿通穴340Hが形成されると共に、挿通穴340Hの下部に金属製の樋状の半田受け340Uが設けられている。圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1は、樋状の半田受け340Uの上に載置されるように挿通穴340Hに挿通されている。尚、本実施形態においても、圧電素子12の金糸線から成るリード線14Lは、浮き上がり易いが、円形の挿通穴340H内で浮き上がりを規制されることで、半田付け作業等が容易になる。更に、本実施形態においては、金属端子340Mを介して圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1が接続されるので、電気的な接続の信頼性が向上する上に、金属製の樋状の半田受け340Uが設けられているので、圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1の半田付け作業が一層容易になる。
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、ケースの形状およびケースに収納される圧電素子のレイアウト、そしてリード線係止部が異なっている点である。それ以外の基本的な構成は、第1の実施形態と略同様であるので、その説明を省略する。その違いについて、図10〜12を用いて説明する。
図10は、本発明の第4の実施形態が適用された電子部品モジュールを示す斜視図であり、樹脂が充填される表面側から見た斜視図である。図11は、図10に示した電子部品モジュールの樹脂が充填されていない平面図である。
図11に示すように、圧電素子12は、第1の区画部30Aに、横置きにして配置される。圧電素子12を横置きにして配置し、リード線(金糸線)14Lを第2の区画部30Bに向かって水平方向に伸長させることで、圧電素子12の下部方向に、リード線14Lを伸長することがなくなったので、電子部品モジュール10の縦方向の長さをより小型にすることを可能としている。
次に圧電素子12のリード線14Lと、第2の区画部30Bに配置される電子部品のリード線との接続の仕方を説明する。リード線14Lは、第1の区画部30Aから、第1の区画部30Aと第2の区画部30Bとを区分けする壁の切欠き部50を通して、第2の区画部30Bのリード線係止部440に係止される。切欠き部50を通ったリード線14Lは、上方に約90度折り曲げられて、リード線係止部440に係止される。ここで、金糸線は芯線に腰があり一直線に戻ろうとするため、圧電素子12とは反対の方向に戻ろうとする。そのため図12に示すように、リード線係止部440の水平方向に切り欠かれて形成されている係止溝440M1に係止される。
こうして係止溝440M1に係止されたリード線14Lは、金糸線が一直線に戻るのを防止した状態で、係止溝440M2、440M3に係止された電子部品16や17のリード線16L1、17L1と、半田付けなどによって接続される。またリード線係止部440は導電性のある金属で構成することが好ましい。
切欠き部50は空洞になっているので、この部分のリード線14Lを粘度の高い接着剤などを用いて固定する。この接着剤にはシリコン系の接着剤を用いることができる。この後、第2の区画部30Bをウレタンなどの樹脂で充填するわけであるが、第2の区画部30Bを樹脂で充填する前に、第1の区画部30Aに樹脂が流れ込まないようにするために、切欠き部50を接着剤などで固定することが好ましい。切欠き部50の接着剤によるリード線14Lの固定は、リード線14Lと電子部品のリード線とを接続する前に行ってもよいし、接続した後に固定してもよい。
以上のように、本発明の第1乃至第4の実施形態によれば、第2の区画部30Bにより電子部品16、17、18、19、20を位置決めし収納することができるので、従来のようなプリント基板を用いずに電子部品モジュールの小型化・薄型化が可能となる。また、ケース30を含めた電子部品モジュール10の小型化・低背化が図られているので、圧電素子12や電子部品16、17、18、19、20を収納し相互に接続等した後にケース30に充填される樹脂の充填量も大幅に減少させることが可能となっており、その分、電子部品モジュール10の製造コストを低減することができる。更に、リード線係止部40、240、340は、圧電素子12や第1の電子部品16の本体部16Bとは略区画された接続領域30D内に設けられ、このリード線係止部40、240、340において圧電素子12のリード線14Lと第1の電子部品16のリード線16L1の接続や半田付け作業を行えるので、空間的な作業性に優れ、接続や半田付けの作業効率を向上させることができる。また、第2の区画部30B内に設けられたリード線係止部440においては、接続領域を第2の区画部内に設けているため、リード線係止部専用の接続領域を設ける必要がないので、スペースを削減でき、ケースを小型化、至っては電子部品モジュールをより小型化することができる。特に、リード線係止部40、240、340、440において、圧電素子12の金糸線から成るリード線14Lの浮き上がりを防止する構造となっているので、従来、その取り回しや半田付けが大変であった金糸線から成るリード線14Lの接続および半田付けが大変容易になり、作業性も大幅に向上する。
以上、本発明について実施の形態をもとに説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。例えば、第2の区画部に、各電子部品をそれぞれ位置決めして収容する小区画を立設された壁面(凸部)により複数形成し、これら小区画により各電子部品をそれぞれ位置決めして収容するようにしたが、第2の区画部に各電子部品をそれぞれ位置決めして収容する凹部(ケース底面の窪み部)を複数形成するようにしても良い。更に、リード線係止部は、圧電素子のリード線を仮固定でき、圧電素子と電子部品のリード線を容易に半田付けできる形状であれば良く、上記実施形態の形状のものに限定されない。またリード線係止部は接続領域や第2の区画部以外に、第1の区画部に設けられていても良い。また、リード線の接続や半田付けの作業効率を向上させたり、スペースを削減できる場所であれば、実施形態の場所や第1の区画部以外の場所に限定されない。