JP5893114B1 - 繊維処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維上へのポリカルボン酸の固定をより効率的に行うことができる繊維処理剤、さらにはより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化を可能にする繊維処理剤を提供すること。【解決手段】多価アルコール、及びポリカルボン酸を含有することを特徴とする、繊維処理剤。【選択図】なし

Description

本発明は、繊維処理剤、これを用いた繊維又は繊維製品処理方法等に関する。より具体的には、ポリカルボン酸固定化促進方法、ポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上方法に関する。
繊維への機能性付与の方法の一例として、ポリカルボン酸を繊維に保持させこれを熱処理する方法が知られている。この処理を行うことにより、ポリカルボン酸のカルボキシル基と繊維中の官能基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)との反応が引き起こされ、その結果としてポリカルボン酸が繊維上に固定される。また、これに伴い、繊維間が架橋され、或いは繊維にポリカルボン酸を含む被膜が形成される。
この処理は、多様な性質、例えば、ポリカルボン酸のカルボキシル基が悪臭原因物質であるアンモニアやアミンを中和することにより発揮される消臭性; 親水性であるカルボキシル基によって発揮される親水性、保湿性及び帯電防止性; 繊維間架橋や被膜形成によって発揮される防縮性、防しわ性及びプリーツ性等を繊維に付与することができる(特許文献1〜4)。また、ポリカルボン酸と共に、各種機能成分、例えば消臭成分、美白成分、抗ウイルス成分等を用いることにより、これらの成分の性質を繊維に付与することも可能である。
このように、上記性質は繊維上に固定されたポリカルボン酸、並びにそれよる繊維間架橋及び被膜形成に起因するものであるので、上記性質の効率的な付与には、より多くのポリカルボン酸を繊維上に固定することが肝要である。また、上記性質を長期間に渡ってより安定に発揮させるためには、洗濯を経ても、より多くのポリカルボン酸が繊維上に固定されていることが肝要である。
特開2013−067918号公報 特開2003−301380号公報 米国特許第3526048号明細書 特開平07−258967号公報
本発明は、繊維上へのポリカルボン酸の固定をより効率的に行うことができる繊維処理剤、さらにはより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化を可能にする繊維処理剤を提供することを目的とする。
本発明者等は鋭意研究を進めた結果、ポリカルボン酸、及び多価アルコールを用いることにより、繊維上へのポリカルボン酸固定化(及びこれに伴う繊維間架橋やポリカルボン酸被膜形成)をより効率的に行うことができ、さらにはより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化ができることを見出した。さらに、これらの効果は、より高い分子量の多価アルコールを用いることにより、より顕著に発揮されることをも見出した。以上の知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1.多価アルコール、及びポリカルボン酸を含有することを特徴とする、繊維処理剤。
項2.前記多価アルコールの重量平均分子量が1000以上である、項1に記載の繊維処理剤。
項3.セルロール系繊維処理剤である、項1又は2に記載の繊維処理剤。
項4.前記多価アルコールがポリアルキレングリコールである、項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤。
項5.前記ポリカルボン酸が分子中に少なくとも3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸である、項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤。
項6.さらに中和剤を含有する、項1〜5のいずれかに記載の繊維処理剤。
項7.項1〜6のいずれかに記載の繊維処理剤を保持する繊維又は繊維製品を熱処理することを特徴とする、繊維又は繊維製品処理方法。
項8.項7に記載の繊維処理方法で処理された繊維又は繊維製品。
項9.多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理におけるポリカルボン酸固定化促進剤。
項10.ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、ポリカルボン酸固定化促進方法。
項11.多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理におけるポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上剤。
項12.ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、ポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上方法。
項13.多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理する繊維間架橋処理における繊維間架橋促進剤。
項14.ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理する繊維間架橋処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、繊維間架橋促進方法。
項15.多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理する繊維間架橋処理における繊維間架橋の耐洗濯性向上剤。
項16.ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理する繊維間架橋において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、繊維間架橋の耐洗濯性向上方法。
項17.多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸被膜形成処理におけるポリカルボン酸被膜形成促進剤。
項18.ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸被膜形成処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、ポリカルボン酸被膜形成促進方法。
項19.多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸被膜形成処理におけるポリカルボン酸被膜の耐洗濯性向上剤。
項20.ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸被膜形成処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、ポリカルボン酸被膜の耐洗濯性向上方法。
本発明の繊維処理剤を繊維に適用することにより、繊維上へのポリカルボン酸固定化をより効率的に行うことができ、さらにはより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化が可能になる。これにより、繊維に、ポリカルボン酸固定化、並びにそれよる繊維間架橋及び被膜形成に起因する各種性質、例えば消臭性、親水性、保湿性、帯電防止性、防縮性、防しわ性、プリーツ性等をより効率的に付与することが可能になり、さらには該性質を長期間に渡ってより安定的に発揮させることが可能になる。また、各種機能成分を併用することにより、該成分の性質を繊維に付与することも可能である。
特に断りが無い限り、含有割合に関する「%」は、「重量体積%(w/v)」を意味するものとする。
1.繊維処理剤
「多価アルコール、及びポリカルボン酸を含有することを特徴とする、繊維処理剤(以下、「本発明の繊維処理剤」と表記することもある。)」について説明する。
多価アルコールは、分子中に少なくとも2個のアルコール性水酸基を有し、且つ繊維に適用することが許容されるものである限り特に限定されない。多価アルコールとしては、例えば、ポリアルキレングリコール、又はアミン類、フェノール類、アルコール類等の2個以上の活性水素を有する化合物のエチレンオキシド付加物が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、好ましくはポリアルキレングリコールが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の、アルキレン基の炭素数が2〜5程度のものが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、より好ましくはポリエチレングリコール等が挙げられる。
2個以上の活性水素を有する化合物としては、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、トリメチルペンタンジオール等の炭素数5〜12のジオール及びそれらの分岐アルコール;ポリプロピレングリコール、1,2−ブチレンオキシドの重合物、ポリ(1,4−ブチレングリコール)等のポリエーテルアルコール類;グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有するアルコール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、スピログリコール及びそれらの幾何異性体等の脂環アルコール類;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール等の還元糖;キシロース、ソルボース、アラビノース、リボース、エリスロース、ガラクトース、ソルビタン等の単糖類;ラクトース、ショ糖、マルトース等の二糖類;ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール類;アンモニア、炭素数1〜22のモノアルキルアミン、アルキレンジアミン、アルキレントリアミン、アニリン、o−、m−、p−フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルケトン、アニリンとホルマリンの重縮合物等のアミン類を挙げることができる。2個以上の活性水素を有する化合物のエチレンオキシド付加物としては、原料入手の容易性等の観点から、好ましくはビスフェノールA、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン等のエチレンオキシド付加物等が挙げられる。
多価アルコールは1種単独でもよいし、2種又は3種以上の組み合わせであってもよい。
多価アルコールの重量平均分子量は、これを含む繊維処理剤の粘度が繊維処理に適している限り特に限定されず、繊維処理剤に配合される他の成分(例えば後述のポリカルボン酸、機能成分等)との相溶性に応じて適宜選択することができる。多価アルコールの重量平均分子量は、例えば50〜7000000程度であることができる。なお、繊維上へのポリカルボン酸固定化をより効率的に行うことができるという観点、及び/又はより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化が可能になるという観点から、多価アルコールの重量平均分子量の下限はより高い方が好ましい。該下限は、例えば400、好ましくは600、より好ましくは1000、よりさらに好ましくは2000、よりさらに好ましくは6000、よりさらに好ましくは10000、よりさらに好ましくは20000、よりさらに好ましくは60000、よりさらに好ましくは100000であることができる。但し併用するポリカルボン酸及び機能成分との相溶性を第一とする。
多価アルコールの含有割合は、これを含む繊維処理剤の粘度が繊維処理に適しており、且つポリカルボン酸の固定化が促進される限り、特に限定されない。ここで、「ポリカルボン酸の固定化が促進」とは、繊維上にポリカルボン酸が固定化される速度が高まること、及び/又は繊維上に固定化可能なポリカルボン酸の総量が増加することを意味する。多価アルコールの含有割合は、繊維上へのポリカルボン酸固定化をより効率的に行うことができるという観点、及び/又はより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化が可能になるという観点から、繊維又は繊維製品に保持させる際の処理液の容量に対して、例えば0.1〜70%、好ましくは0.5〜60%、より好ましくは1〜50%、よりさらに好ましくは3〜40%、よりさらに好ましくは5〜30%、よりさらに好ましくは10〜30%であることができる。但し作業性を考慮にした範囲で比率は高い方が望ましい。
ポリカルボン酸は、分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有し、且つ繊維に適用することが許容されるものである限り特に限定されない。ポリカルボン酸としては、例えば各種の脂肪族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。これらカルボン酸は、水酸基、ハロゲン基、カルボニル基、炭素−炭素二重結合を有していてもよい。
分子中に2個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、例えば飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸等を挙げることができる。
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、具体的にはシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ヘプチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、イミノジ酢酸、チオジプロピオン酸、チオマレイン酸等を例示できる。
不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、具体的にはマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサジエン二酸(ムコン酸)、ドデカジエン二酸等を例示できる。
芳香族ジカルボン酸としては、具体的にはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、メチルフタル酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドリンデンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、カルボキシメチル安息香酸、トリフルオロメチルフタル酸、アゾキシベンゼンジカルボン酸、ヒドラゾベンゼンジカルボン酸、スルホイソフタル酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ケリダム酸、ピラジンジカルボン酸等を例示できる。
脂環式ジカルボン酸としては、具体的にはヘット酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ピペリジン−2,3−ジカルボン酸(ヘキサヒドロキノリン酸)、ピペリジン−2,6−ジカルボン酸(ヘキサヒドロジピコリン酸)、ピペリジン−3,4−ジカルボン酸(ヘキサヒドロシンコメロン酸)等を例示できる。
本発明において、ポリカルボン酸として、分子中に少なくとも3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸を使用するのが好ましい。このようなポリカルボン酸としては、少なくとも3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸である限り従来公知のものを広く使用でき、例えば各種の脂肪族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。これらカルボン酸は、水酸基、ハロゲン基、カルボニル基、炭素−炭素二重結合を有していても差し支えない。
少なくとも3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、脂肪族トリカルボン酸、脂肪族テトラカルボン酸、脂肪族ペンタカルボン酸、脂肪族ヘキサカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、カルボン酸ポリマー等を例示できる。
脂肪族トリカルボン酸としては、具体的には、トリカルバリル酸、アコニチン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、クエン酸、1,2,3−ブタントリカルボン酸等を例示できる。
脂肪族テトラカルボン酸としては、具体的には、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸とマレイン酸のエン付加物、エチレンジアミン四酢酸、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ジフタル酸、エポキシ化コハク酸二量化物等を例示できる。
脂肪族ペンタカルボン酸としては、具体的には、ジエチレントリアミン五酢酸等を例示できる。
脂肪族ヘキサカルボン酸としては、具体的には、トリエチレンテトラミン六酢酸等を例示できる。
芳香族ポリカルボン酸としては、具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸等を例示できる。
カルボン酸ポリマーとしては、具体的には、アクリル酸重合物、クロトン酸重合物、マレイン酸重合物、イタコン酸(又は無水イタコン酸)重合物、アクリル酸・メタアクリル酸共重合物、アクリル酸・(無水)マレイン酸共重合物、メタアクリル酸・(無水)マレイン酸共重合物、アクリル酸・イタコン酸共重合物、アクリル酸・3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸共重合物、(無水)マレイン酸・α−メチルスチレン共重合物、(無水)マレイン酸・スチレン共重合物(スチレンと無水マレイン酸よりディールス・アルダー反応とエン反応によって生じたテトラカルボン酸を含む)、(無水)マレイン酸・アクリル酸アルキル共重合物、アクリル酸・3−ブテン−1,2,3−トリカルボン酸・アクリル酸アルキル共重合物、メタアクリル酸・(無水)マレイン酸・メタアクリル酸アルキル共重合物、(無水)マレイン酸・アクリル酸アルキル・メタアクリル酸アルキル共重合物、(無水)マレイン酸・アクリル酸アルキル・スチレン共重合物、アクリル酸・(無水)マレイン酸・アクリル酸アルキル・スチレン共重合物、メタアクリル酸・(無水)マレイン酸・アクリル酸2−エチルヘキシル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル・スチレン共重合物等を例示できる。
これらのポリカルボン酸のうち、アクリル酸重合物、クエン酸、トリカルバリル酸、アコニチン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等の水溶性のポリカルボン酸は作業性が良好であることから好ましい。これらの中でも、本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、好ましくはアクリル酸重合物、クエン酸等が挙げられる。なお、多価アルコールとして比較的高分子量のもの(例えば6000以上)を用いる場合は、成分の凝集を避けるという観点から、好ましくはクエン酸、トリカルバリル酸、アコニチン酸等の低分子量のポリカルボン酸が挙げられ、より好ましくはクエン酸が挙げられる。
ポリカルボン酸は1種単独でもよいし、2種又は3種以上の組み合わせであってもよい。
ポリカルボン酸の含有割合は、これを含む繊維処理剤の粘度が繊維処理に適している限り、特に限定されない。ポリカルボン酸の含有割合は、下限についてはポリカルボン酸固定化による効果を十分に得ることができるという観点、上限については経済性の観点から、例えば0.01〜20%、好ましくは0.1〜10%であることができる。
本発明の繊維処理剤は、上記成分以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば溶媒、触媒、中和剤、消臭成分、美白成分、アレルゲン不活性化成分(例えばタンニン酸等)、抗ウイルス成分等の公知の機能成分が挙げられる。他の成分は1種単独でもよいし、2種又は3種以上の組み合わせであってもよい。
溶媒は、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、安全性等の観点から、水であることが好ましい。
触媒は、ポリカルボン酸の繊維への固定化を促進する塩であれば特に限定されない。このような塩としては、好ましくはリン酸塩、炭酸塩等が挙げられる。リン酸塩としては、例えば第一リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、トリリン酸カリウム等が挙げられる。リン酸塩としては、これらの他にも、オルソリン酸、次亜リン酸、亜リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ピロ亜リン酸の中性塩又は酸性塩等が挙げられる。炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
触媒の含有割合は、繊維処理剤中のポリカルボン酸の種類及び含有割合に応じて適宜設定することができる。触媒の含有割合は、繊維又は繊維製品に保持させる際の処理液の容量に対して、例えば0.1〜10%程度であることができる。
本発明の繊維処理剤は、繊維に保持させる際のpHが、例えば1〜9、好ましくは2〜7であることができる。pHは、繊維処理剤に中和剤を配合することにより調節できる。
中和剤としては、例えば水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。また、上記のナトリウム塩に代わり、カリウム塩、アンモニウム塩、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の揮発性の低級アミンの塩も使用できる。中和剤は1種単独でもよいし、2種又は3種以上の組み合わせであってもよい。
中和剤の含有割合は、繊維処理剤中のポリカルボン酸の種類及び含有割合に応じて適宜設定することができる。中和剤の含有割合は、繊維又は繊維製品に保持させる際の処理液の容量に対して、例えば0.1〜10%程度であることができる。
2.繊維又は繊維製品処理方法
「本発明の繊維処理剤を保持する繊維又は繊維製品を熱処理することを特徴とする、繊維又は繊維製品処理方法(以下、「本発明の繊維又は繊維製品処理方法」と表記することもある。)」について説明する。
上記した本発明の繊維処理剤を、繊維又は繊維製品に保持させ、これを熱処理することにより(すなわち本発明の繊維又は繊維製品処理方法により)、繊維にポリカルボン酸をより効率的に固定化することができ、さらにはより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化が可能になる。
本発明の繊維処理剤の適用対象である繊維は、ポリカルボン酸の固定化が可能な繊維である限り特に限定されない。繊維としては、例えば植物繊維、動物繊維等の天然繊維; ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維;アセテート繊維等の半合成繊維;レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維、等の再生繊維等が挙げられる。これらの中でも、繊維上へのポリカルボン酸固定化をより効率的に行うことができるという観点、及び/又はより耐洗濯性が高いポリカルボン酸固定化が可能になるという観点から、好ましくはセルロール系繊維が挙げられる。
セルロース系繊維としては、例えば綿繊維、麻繊維、亜麻繊維、レーヨン繊維、ポリノジック繊維、キュプラ繊維、リヨセル繊維、アセテート繊維等が挙げられる。
本発明の繊維は、上記各種繊維の混紡であってもよい。また、本発明の繊維には、上記繊維の一次加工品、例えば糸、紐、ロープ、織物、編物、不織布、紙等が包含される。
繊維製品としては、上記繊維を加工して得られた製品であれば特に限定されず、コート、ジャケット、ズボン、スカート、ワイシャツ、ニットシャツ、ブラウス、セーター、カーディガン、ナイトウエア、肌着、サポーター、靴下、タイツ、帽子、スカーフ、マフラー、襟巻き、手袋、服の裏地、服の芯地、服の中綿、作業着、ユニフォーム、学童用制服等の衣料、カーテン、布団地、布団綿、枕カバー、シーツ、マット、カーペット、タオル、ハンカチ、マスク、フィルター、壁布、壁紙、フロア外張り等が挙げられる。
本発明の繊維処理剤の、繊維又は繊維製品への保持は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、繊維又は繊維製品を本発明の繊維処理剤を含む処理液中に浸漬することにより行うことができる。この場合、浸漬時間は特に限定されず、例えば0.1〜300秒程度であることができる。保持させる際の処理液の温度は特に限定されず、例えば10〜40℃程度であることができる。
なお、上記処理液としては、本発明の繊維処理剤が溶媒を含む場合はこれをそのまま、本発明の繊維処理剤が溶媒を含まない場合はこれに適宜溶媒を添加したものを用いることができる。
本発明の繊維処理剤を保持する繊維又は繊維製品は、そのまま後述の熱処理に供してもよいが、必要に応じて、余分な繊維処理剤を除去してから熱処理に供してもよい。
除去方法としては、例えばマングル等で絞る方法が挙げられる。この際、絞り率は、繊維又は繊維製品の種類によって適宜設定することができる。絞り率は、例えば30〜200%程度であることができる。
また、余分な繊維処理剤の除去を、繊維又は繊維製品を乾燥させることによって行ってもよい。乾燥温度は、例えば40〜150℃程度であることができる。
熱処理の温度は、ポリカルボン酸を繊維上に固定化できる温度である限り特に限定されない。熱処理の温度は、例えば100〜250℃、好ましくは120〜200℃であることができる。また、熱処理の時間は、ポリカルボン酸を繊維上に固定化できる時間である限り特に限定されず、熱処理の温度に応じて適宜設定することができる。
熱処理後は、必要に応じて、繊維又は繊維製品を洗浄してもよい。
3.繊維又は繊維製品
「本発明の繊維又は繊維製品処理方法で処理された繊維又は繊維製品」について説明する。
上記した本発明の繊維又は繊維製品処理方法で処理された繊維又は繊維製品においては、繊維上により多くのポリカルボン酸が固定化されており、またポリカルボン酸固定化の耐洗濯性がより高められている。このため、これらの繊維又は繊維製品は、ポリカルボン酸固定化、並びにそれよる繊維間架橋及び被膜形成に起因する各種性質、例えば消臭性、親水性、保湿性、帯電防止性、防縮性、防しわ性、プリーツ性等により優れており、且つこれらの性質を長期間に渡ってより安定的に発揮することができる。
4.ポリカルボン酸固定化促進剤、及びポリカルボン酸固定化促進方法
本発明は、「多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理におけるポリカルボン酸固定化促進剤」、及び「ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、ポリカルボン酸固定化促進方法」にも関する。
繊維上へのポリカルボン酸の固定化に伴い、繊維間架橋やポリカルボン酸被膜形成も起こることが知られている。よって、上記促進剤及び促進方法を、繊維間架橋促進剤及び繊維間架橋促進方法、或いはポリカルボン酸被膜形成促進剤及びポリカルボン酸被膜形成促進方法として利用することもできる。
上記「ポリカルボン酸固定化促進」とは、繊維上にポリカルボン酸が固定化される速度が高まること、及び/又は繊維上に固定化可能なポリカルボン酸の総量が増加することを意味する。
その他の構成については、上記「1.繊維処理剤、繊維又は繊維製品処理方法、及び繊維又は繊維製品」と同様である。
5.ポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上剤、及びポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上方法
本発明は、「多価アルコールを含有することを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理におけるポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上剤」、及び「ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、多価アルコールを保持させることを特徴とする、ポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上方法」にも関する。
繊維上へのポリカルボン酸の固定化に伴い、繊維間架橋やポリカルボン酸被膜形成も起こることが知られている。よって、上記耐洗濯性向上剤及び耐洗濯性向上方法を、繊維間架橋の耐洗濯性向上剤及び繊維間架橋の耐洗濯性向上方法、或いはポリカルボン酸被膜の耐洗濯性向上剤及びポリカルボン酸被膜の耐洗濯性向上方法として利用することもできる。
上記「ポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上」とは、繊維上へのポリカルボン酸固定化後、該固定化が、洗濯を経てもより維持されるようになることを意味する。
その他の構成については、上記「1.繊維処理剤、繊維又は繊維製品処理方法、及び繊維又は繊維製品」と同様である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りが無い限り、「%」は、「重量体積%(w/v)」を意味するものとする。
試験例1
<1-1.試験繊維片の調製>
繊維処理剤として、ポリアクリル酸(BASF社製、Sokalan PA80S)2.5 %、ホスフィン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製、ホスフィン酸ナトリウム一水和物)0.5 %、及び多価アルコール{エチレングリコール(EG)(和光純薬株式会社製、エチレングリコール)、ポリエチレングリコール−200(PEG200)(第一工業株式会社製、PEG200)、ポリエチレングリコール−400(PEG400)(第一工業株式会社製、PEG400)、又はポリエチレングリコール−600(PEG600)(第一工業株式会社製、PEG600)}4.0 %を含む水溶液(実施例1〜4)と、多価アルコールを含まない以外は実施例1〜4と同じ水溶液(比較例1)を調製した。綿ニット(目付:200 g/m2)をこれらの水溶液に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに160℃で2分間乾熱処理を行った。乾熱処理後の綿ニットを水洗し、乾燥させた。上記処理により得られた綿ニットを、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<1-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験繊維片上により多くのポリカルボン酸が固定されていることは、該繊維片上に酸性を示すカルボキシル基がより多いことを示す。したがって、アルカリ性フェノールフタレイン溶液(赤色)を試験繊維片に滴下し、滴下後、該溶液が該繊維片のカルボキシル基によって中和されて無色になるまでの時間が短い程、該繊維片上により多くのポリカルボン酸が固定されていると評価することができる。具体的には次のように行った。
試験繊維片に、フェノールフタレイン0.01 %、炭酸ナトリウム0.2 %、及びエタノール1.0%を含む水溶液0.03 mlを滴下した。滴下後、試験繊維片における滴下部位の色が、当初の赤色から無色になるまでの時間(フェノールフタレイン消色時間)を測定した。表1に、繊維処理剤中の多価アルコールの有無及び種類、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。表1中、「L-0」はJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に供していない試験繊維片の結果を示し、「L-10」はJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回供した試験繊維片の結果を示す(以下の表2〜9についても同様である)。
Figure 0005893114
表1より、ポリカルボン酸を熱処理により繊維上に固定する際に、多価アルコールを併用することにより、より多くのポリカルボン酸を繊維上に固定できることが示された。また、より分子量の高い多価アルコールを用いることにより、さらにより多くのポリカルボン酸を繊維上に固定できることが示された。
試験例2
<2-1.試験繊維片の調製>
繊維処理剤として、ポリアクリル酸2.5 %、ホスフィン酸ナトリウム0.5 %、及び多価アルコール{ポリエチレングリコール−1000(PEG1000)(第一工業株式会社製、PEG1000)}5.0 %を含む水溶液(実施例5)と、多価アルコールを含まない以外は実施例5と同じ水溶液(比較例1)を調製した。綿ニット(目付:200 g/m2)をこれらの水溶液に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに160℃で2分間乾熱処理を行った。乾熱処理後の綿ニットを80℃で5分間湯洗いし、乾燥させた。上記処理により得られた綿ニットを、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回、若しくは20回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<2-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験例1と同様に、フェノールフタレイン消色試験を行った。表2に、繊維処理剤中の多価アルコールの有無、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。
Figure 0005893114
表2より、ポリカルボン酸を熱処理により繊維上に固定する際に、多価アルコールを併用することにより、より多くのポリカルボン酸を繊維上に固定できることが示された。なお、試験例2では、乾熱処理後の洗いを、試験例1の条件(水洗い)よりもより厳しい条件(80℃の湯洗い)で行っている。このため、試験例2(PEG1000)のL-0における消色時間(18秒)が、試験例1(EG、PEG200〜600)のL-0における消色時間(8〜15秒)よりも長いことは、試験例1の上記結論(より分子量の高い多価アルコールを用いることにより、さらにより多くのポリカルボン酸を繊維上に固定できるという結論)に影響を与えるものではない。
また、表1の結果と比較すると、PEG600を用いた場合(実施例4)は洗濯処理に10回供することによる消色時間の増加が約8倍(8秒→62秒)であるのに対して、より分子量の大きなPEG1000を用いた場合(実施例5)は洗濯処理に10回供することによる消色時間の増加が約2倍(18秒→37秒)であった。このことから、より分子量の高い多価アルコール(特に分子量1000以上)を用いることにより、ポリカルボン酸固定化の耐洗濯性が大きく向上することが示唆された。
試験例3
<3-1.試験繊維片の調製>
繊維処理剤として、クエン酸(和光純薬株式会社製、クエン酸一水和物)2.5 %、ホスフィン酸ナトリウム1.5 %、及び多価アルコール{ポリエチレングリコール−6000(PEG6000)(第一工業株式会社製、PEG6000)、又はポリエチレンオキサイド(POE)(明成化学工業社製、ALKOX R-150(分子量10〜17万))}3.0 %を含む水溶液(実施例6〜7)を調製した。綿ニット(目付:200 g/m2)をこれらの水溶液に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに160℃で2分間乾熱処理を行った。乾熱処理後の綿ニットを水洗し、乾燥させた。上記処理により得られた綿ニットを、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回、20回、30回、40回、若しくは50回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<3-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験例1と同様に、フェノールフタレイン消色試験を行った。表3に、繊維処理剤中の多価アルコールの種類、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。
Figure 0005893114
表3より、PEG6000やPOE(MW 10〜17万)等の高分子量の多価アルコールを用いることにより、極めて多くのポリカルボン酸(L-0で1〜2秒)を固定できることが示された。また、より分子量の高い多価アルコール(POE(MW 10〜17万))を用いた方が、洗濯処理を数十回(10〜50回)繰り返した場合の消色時間の増加の程度が低い、すなわちポリカルボン酸固定化の耐洗濯性がより優れていることが示された。
試験例4
<4-1.試験繊維片の調製>
繊維処理剤として、クエン酸3.0 %、ホスフィン酸ナトリウム1.5 %、及び多価アルコール{ポリエチレングリコール−6000(PEG6000)、又はポリエチレングリコール−20000(PEG20000)(第一工業株式会社製、PEG20000)}10.0 %を含む水溶液(実施例8〜9)を調製した。綿ニット(目付:200 g/m2)をこれらの水溶液に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに160℃で2分間乾熱処理を行った。乾熱処理後の綿ニットを水洗し、乾燥させた。上記処理により得られた綿ニットを、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回、30回、若しくは50回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<4-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験例1と同様に、フェノールフタレイン消色試験を行った。表4に、繊維処理剤中の多価アルコールの種類、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。
Figure 0005893114
表4より、PEG6000やPEG20000等の高分子量の多価アルコールを用いることにより、極めて多くのポリカルボン酸を固定でき(L-0で1秒以下)、また洗濯処理を数十回(L-10〜50)繰り返しても消色時間がほとんど変化しない程に、優れた耐洗濯性を付与できることが示された。
試験例5
<5-1.試験繊維片の調製>
繊維処理剤として、クエン酸2.5 %、ホスフィン酸ナトリウム1.0 %、及び機能成分{タンニン酸(富士化学工業株式会社製、タンニン酸S)}5.0 %を含む水溶液(実施例10)、実施例10にさらに多価アルコール{ポリエチレングリコール−200(PEG200)}10.0%を含む水溶液(実施例11)を調製した。綿ニット(目付:200 g/m2)をこれらの水溶液に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに160℃で2分間乾熱処理を行った。乾熱処理後の綿ニットを水洗し、乾燥させた。上記処理により得られた綿ニットを、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回、若しくは30回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<5-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験例1と同様に、フェノールフタレイン消色試験を行った。表5に、繊維処理剤中の機能成分及び多価アルコールの有無及び種類、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。
Figure 0005893114
表5より、機能成分を併用した場合も、多価アルコールを用いた場合と同様に、ポリカルボン酸固定化促進効果、及びポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上効果を発揮できることが示された。
試験例6
<6-1.試験繊維片の調製>
繊維処理剤として、ポリアクリル酸2.5 %、ホスフィン酸ナトリウム0.5 %、及び多価アルコール{ポリエチレングリコール−2000(PEG2000)(第一工業株式会社製、PEG2000)}5.0 %を含む水溶液(実施例11)、並びに多価アルコールを含まない以外は実施例11と同じ水溶液(比較例1)を調製した。ポリエステルニット(目付:190g/m2)をこれらの水溶液に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに180℃で3分間乾熱処理を行った。乾熱処理後のポリエステルニットを水洗し、乾燥させた。上記処理により得られたポリエステルニットを、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<6-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験例1と同様に、フェノールフタレイン消色試験を行った。表6に、繊維処理剤中の多価アルコールの有無、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。
Figure 0005893114
表6より、上記試験例1〜5で綿繊維に対して示された、ポリカルボン酸固定化促進効果、及びポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上効果は、ポリエステル繊維に対しても発揮されることが示された。
試験例7
<7-1.試験繊維片の調製>
6−ナイロンニット(目付:220 g/m2)、又はウールサージ(目付:250 g/m2)を、繊維処理剤(実施例11又は比較例1)に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに160℃で2分間乾熱処理を行った。乾熱処理後の6−ナイロンニット及びウールサージを水洗し、乾燥させた。上記処理により得られた6−ナイロンニット及びウールサージを、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<7-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験例1と同様に、フェノールフタレイン消色試験を行った。表7に、試験繊維片が6−ナイロンニットである場合の、繊維処理剤中の多価アルコールの有無、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。表8に、試験繊維片がウールサージである場合の、繊維処理剤中の多価アルコールの有無、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。
Figure 0005893114
Figure 0005893114
表7及び8より、上記試験例1〜5で綿繊維に対して示された、ポリカルボン酸固定化促進効果、及びポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上効果は、ナイロン繊維やウール繊維に対しても発揮されることが示された。
試験例8
<8-1.試験繊維片の調製>
繊維処理剤として、ポリアクリル酸4.0 %、ホスフィン酸ナトリウム1.5 %、及び多価アルコール{ポリエチレングリコール−2000(PEG2000)}5.0 %を含む水溶液(実施例12)、並びに多価アルコールを含まない以外は実施例12と同じ水溶液(比較例3)を調製した。ポリエステル85/ポリウレタン15 ベア天(目付:200 g/m2)をこれらの水溶液に浸漬した後、絞り率100 %になるようにマングルで絞った。これを100℃で2分間乾燥させ、さらに180℃で2分間乾熱処理を行った。乾熱処理後のベア天を水洗し、乾燥させた。上記処理により得られたベア天を、そのまま、或いはJIS L0217 103法に従った家庭洗濯処理に10回供した後、下記フェノールフタレイン消色試験の試験繊維片として用いた。
<8-2.フェノールフタレイン消色試験>
試験例1と同様に、フェノールフタレイン消色試験を行った。表9に、繊維処理剤中の多価アルコールの有無、並びに家庭洗濯処理回数別のフェノールフタレイン消色時間(秒)を示す。
Figure 0005893114
表9より、上記試験例1〜5で綿繊維に対して示された、ポリカルボン酸固定化促進効果、及びポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上効果は、ポリエステルとポリウレタンとの混合繊維に対しても発揮されることが示された。

Claims (11)

  1. 重量平均分子量が20000以上である多価アルコール、及びポリカルボン酸を含有する(但し、有機炭酸エステルを含有する場合を除く。)ことを特徴とする、繊維又は繊維製品に保持させて熱処理して用いられる繊維処理剤。
  2. セルロール系繊維処理剤である、請求項1に記載の繊維処理剤。
  3. 前記多価アルコールがポリアルキレングリコールである、請求項1又は2に記載の繊維処理剤。
  4. 前記ポリカルボン酸が分子中に少なくとも3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤。
  5. さらに触媒を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維処理剤を保持する繊維又は繊維製品を熱処理することを特徴とする、繊維又は繊維製品処理方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維処理剤を保持する繊維又は繊維製品を熱処理することを特徴とする、ポリカルボン酸が固定化された繊維又は繊維製品の製造方法。
  8. 重量平均分子量が20000以上である多価アルコールを含有する(但し、有機炭酸エステルを含有する場合を除く。)ことを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する(但し、有機炭酸エステルを保持する場合を除く。)繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理におけるポリカルボン酸固定化促進剤。
  9. ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、重量平均分子量が20000以上である多価アルコールを保持させる(但し、有機炭酸エステルを共に保持させる場合を除く。)ことを特徴とする、ポリカルボン酸固定化促進方法。
  10. 重量平均分子量が20000以上である多価アルコールを含有する(但し、有機炭酸エステルを含有する場合を除く。)ことを特徴とする、ポリカルボン酸を保持する(但し、有機炭酸エステルを保持する場合を除く。)繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理におけるポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上剤。
  11. ポリカルボン酸を保持する繊維又は繊維製品を熱処理するポリカルボン酸固定化処理において、該繊維又は繊維製品にポリカルボン酸と共に、重量平均分子量が20000以上である多価アルコールを保持させる(但し、有機炭酸エステルを共に保持させる場合を除く。)ことを特徴とする、ポリカルボン酸固定化の耐洗濯性向上方法。
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