JP5892843B2 - 高分子成形体及びその表面改質処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面が改質処理された高分子成形体及びその表面改質処理方法に関するものである。
加硫されたジエン系ゴム製品の表面に滑り性を付与する方法として、特許文献1に記載のように、塩素ガス置換され、かつ乾燥状態の雰囲気を有する処理槽内でゴム製品に塩素化処理を施して、ゴム製品の表面に塩素を付加反応させる方法がある。
なお、表面改質処理の技術ではないものの、特許文献2には、ニトリルオキシド化合物を用いて、ジエン系ゴム等を変性する技術が提案されている。
特開平5−320394号公報 特開2011−52072号公報
しかし、特許文献1に記載の方法には、塩素ガス等の有毒ガスによる作業環境の悪化や、排水の処理問題等があった。また、上記のとおり、同方法は、滑り性の付与等については有効であるが、その他の機能を発現させるものではなかった。
そこで、本発明の目的は、高分子成形体の表面改質処理を、有毒ガスによる作業環境の悪化や排水の処理問題が生じにくい新たな化合物を用いて行えるようにすることにあり、さらには、滑り性に限らず、様々な機能を発現させうる基礎技術としての表面改質処理技術を提供することにある。
上記課題を解決する本発明の高分子成形体の表面改質処理方法は、分子内にニトリルオキシドと反応する多重結合を有する高分子材料を成形してなる高分子成形体の表面のみに、下記の一般式[1]、[2]又は[3]で表されるニトリルオキシド化合物を塗布し、前記高分子成形体表面の前記高分子材料に前記ニトリルオキシド化合物を反応させて、前記高分子成形体の表面を改質処理する。
Figure 0005892843
(一般式[1]において、R12は、置換基であり、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)

Figure 0005892843
(一般式[2]において、R22は、置換基であり、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)

Figure 0005892843
(一般式[3]において、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、置換基である。)
上記課題を解決する本発明の表面改質高分子成形体は、分子内にニトリルオキシドと反応する多重結合を有する高分子材料を成形してなる高分子成形体の表面が改質処理された表面改質高分子成形体であって、前記高分子成形体の表面のみに、上記の一般式[1]、[2]又は[3]で表されるニトリルオキシド化合物を塗布し、前記高分子成形体表面の前記高分子材料に前記ニトリルオキシド化合物を反応させてなるものである。
本発明の高分子成形体の表面改質処理方法及び表面改質高分子成形体における各要素の態様を以下に例示する。
1.ニトリルオキシド化合物
ニトリルオキシド化合物を高分子成形体の表面に塗布する塗布方法は、特に限定されないが、刷け塗り、ローラー塗り、エアースプレー、エアーレススプレー、シャワーコート、ドブ付け等が例示できる。
ニトリルオキシド化合物を高分子材料に反応させる温度は、ニトリルオキシド化合物が高分子材料と反応する温度であれば、特に限定されない。敢えていうならば、化学反応であることから温度が高ければ反応が促進され、また加熱等の温度調節を行わなければ反応工程の管理が容易になることから、0〜150℃であることが好ましい。高分子成形体が加硫ゴム成形体の場合には、ゴムを加硫する温度より低いことが、加硫ゴム成形体への表面改質処理による熱ダメージが少なくなって好ましい。
1−1.一般式[1]で表されるニトリルオキシド化合物
一般式[1]で表されるニトリルオキシド化合物は、特に限定されないが、R12及びR16が、それぞれ独立して、アルキル基(例えば、炭素数が1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基)、置換基を有するアルキル基、アリール基、置換基を有するアリール基、アルコキシ基(例えば、炭素数が1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基)、置換基を有するアルコキシ基、アリールオキシ基又は置換基を有するアリールオキシ基であり、R13が、水素原子、アルキルカルボニル基、置換基を有するアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又は置換基を有するアリールカルボニル基であり、R14及びR15が、水素原子であるものが例示でき、具体的には、2,6−ジメトキシベンゾニトリルオキシド、2,6−ジエトキシベンゾニトリルオキシド等が例示できる。
1−2.一般式[2]で表されるニトリルオキシド化合物
一般式[2]で表されるニトリルオキシド化合物は、特に限定されないが、R22が、アルキル基(例えば、炭素数が1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基)、置換基を有するアルキル基、アリール基、置換基を有するアリール基、アルコキシ基(例えば、炭素数が1〜4の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基)、置換基を有するアルコキシ基、アリールオキシ基又は置換基を有するアリールオキシ基であり、R23、R24、R25、R26、R27及びR28が、水素原子であるものが例示でき、具体的には、2−メトキシ−1−ナフトニトリルオキシド等が例示できる。
1−3.一般式[3]で表されるニトリルオキシド化合物
一般式[3]で表されるニトリルオキシド化合物は、特に限定されないが、R31及びR32が、それぞれ独立して、アルキル基(例えば、炭素数が1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基)、置換基を有するアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基であり、R33が、アルキル基(例えば、炭素数が1〜20の直鎖状又は分岐状のアルキル基)又は置換基を有するアルキル基であるものが例示でき、具体的には、2−メチル−2−フェニルヘキサンニトリル−N−オキシド、2,2−ジフェニルヘキサンニトリル−N−オキシド等が例示できる。
1−4.様々な機能を発現させるためのニトリルオキシド化合物の態様
本発明は、ニトリルオキシド化合物による表面改質処理の基礎となる技術である。上記の一般式[1]、[2]又は[3]で表されるニトリルオキシド化合物の上記1−1〜1−3で例示した態様は、概して高分子成形体の表面の摩擦係数又は水接触角を変化させる改質を行うことができるものであるが、改質する物性はこれに限られるものではなく、例えば次の(ア)、(イ)のように、さらに様々な性質を持つ置換基を有するニトリルオキシド化合物を用いることにより、高分子成形体の表面に様々な機能を発現させることができる。これは、様々な置換基を導入できるニトリルオキシド化合物を用いるからこそできることであって、従来の塩素化処理では望めなかったものであり、ニトリルオキシド化合物の適切な設計によって望みの物性変化をもたらすことができる非常に有用な技術である。
(ア)パーフルオロ基等のフッ素原子を含む置換基を有するニトリルオキシド化合物を用いることにより、高分子成形体の表面に高い撥水性を付与することができる。
(イ)カルボキシル基、エポキシ基等の反応性の置換基を有するニトリルオキシド化合物等を用いることにより、高分子成形体の表面に接着性を付与することができる。
2.高分子材料
高分子材料の多重結合は、特に限定されないが、C=S、N=N、P(V)=C、C=P(III)、C=As、C=C、C=N、C=Se、B=N、C≡P、C≡C、P(V)=N、C≡N、C=O等が例示できる。
高分子材料は、特に限定されないが、分子内にニトリル基(C≡N)を有するPAN(ポリアクリロニトリル)等の樹脂や、分子内に炭素−炭素二重結合(C=C)を有するNR(天然ゴム)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)、分子内にニトリル基及び炭素−炭素二重結合を有するNBR(ニトリルゴム)等の分子内に炭素−炭素二重結合を有するゴム等が例示できる。
3.高分子成形体
高分子成形体は、特に限定されないが、有機溶剤による影響を受けにくいため、表面へのニトリルオキシド化合物の塗布に有機溶剤にニトリルオキシド化合物を溶かした溶液を用いることができることから、加硫ゴム成形体であることが好ましい。
高分子成形体の成形方法は、特に限定されないが、射出成形、プレス成形、ブロー成形、押出し成形等が例示できる。
本発明によれば、高分子成形体の表面改質処理を、有毒ガスによる作業環境の悪化や排水の処理問題が生じにくい新たな化合物を用いて行うことができる。さらに本発明は、高分子成形体の表面に、滑り性に限らず、様々な機能を発現させうる基礎技術としての表面改質処理技術となるものである。
本発明の実施例1の表面改質処理反応(ニトリルオキシド化合物Aの付加反応)の模式図である。 本発明の実施例1の表面改質処理前後の加硫NBR成形体の表面のIR測定のグラフである。
<ニトリルオキシド化合物>
本発明の実施例に用いた2種類のニトリルオキシド化合物について説明する。
〈1〉2−メトキシ−1−ナフトニトリルオキシド
2−メトキシ−1−ナフトニトリルオキシド(以下、ニトリルオキシド化合物Aと言う場合がある)の構造式[A]を次に示す。この2−メトキシ−1−ナフトニトリルオキシドの合成は、特許文献2の段落0020に記載の方法で行った。
Figure 0005892843
〈2〉2,2−ジフェニルヘキサンニトリル−N−オキシド
2,2−ジフェニルヘキサンニトリル−N−オキシド(以下、ニトリルオキシド化合物Bと言う場合がある)の構造式[B]を次に示す。
Figure 0005892843
ニトリルオキシド化合物Bの合成は、次に示すように二段階で行った。具体的には、ニトリルオキシド基を導入するための1−ニトロ−2,2−ジフェニルエチレン(構造式[4])を合成した後、この1−ニトロ−2,2−ジフェニルエチレンを用いてニトリルオキシド化合物Bを合成した。
Figure 0005892843
1−ニトロ−2,2−ジフェニルエチレンの合成は、次のようにして行った。
Figure 0005892843
32.3g(200mmol)のHMDS(ヘキサメチルジシラザン)を溶かした100mLのTHF(テトラヒドロフラン)溶液を、0℃で攪拌しているところへ、2.6Mのn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液76.9mL(n−BuLi量:200mmol)を加えて、0℃で30分間攪拌した。なお、THFは、ナトリウム−ベンゾフェノンで蒸留したものを使用した。
その後、18.2g(100mmol)のベンゾフェノンを加えて、室温で1日間攪拌した。
その後、この反応溶液を減圧濃縮した後に、40mLのニトロメタンを加えて、10分間超音波を照射した後に、濾過して、濾液を3日間還流した。
その後、室温に放冷した後に、減圧濃縮して粗生成物を得た。
そして、この粗生成物をヘキサン/酢酸エチルで再結晶し、さらにトルエンで再結晶して、黄色板状結晶の1−ニトロ−2,2−ジフェニルエチレンを16.3g(収率:73%)得た。
ニトリルオキシド化合物Bの合成は、次のようにして行った。
Figure 0005892843
アルゴン雰囲気下において、−78℃の80mLのTHFに、2.6Mのn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液3.08mL(n−BuLi量:8.00mmol)を滴下し、5分間攪拌した後に、901mg(4.00mmol)の1−ニトロ−2,2−ジフェニルエチレンを加えて、30分間攪拌した。なお、THFは、ナトリウム−ベンゾフェノンで蒸留したものを使用した。
その後、この反応溶液を0℃の95%濃硫酸中に滴下し、30分間攪拌した。
その後、ジクロロメタンで抽出し、純水で洗浄した後に、MgSO(硫酸マグネシウム)で乾燥して粗生成物を得た。
その後、この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液は、ヘキサン:酢酸エチル=5:1(体積比)を使用)によって、橙色オイル状のニトリルオキシド化合物Bを1.01g(収率:95%)得た。
<高分子成形体>
本発明の実施例及び比較例の高分子成形体には、ゴムを加硫成形した加硫ゴム成形体又は未加硫で成形した未加硫ゴム成形体を用いた。
ゴムは、NBR(ニトリルゴム)、NR(天然ゴム)又はEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)を用いた。
NBRは、結合アクリロニトリルの量が42.5質量%、ムーニー粘度(ML1+4、150℃)が77.5のものを使用した。
NRは、マレーシア産のSMRを使用した。
EPDMは、エチレンの含有量が53.0質量%、ジエンの含有量が9.4質量%、ムーニー粘度(ML1+4、125℃)が79.5のENBタイプを使用した。
加硫ゴム成形体は、次のように作成した。
NBR等のゴムに、充填剤、補強剤等を添加したものを、密閉式バンバリーミキサーで混練した後、オープンロールに供し、硫黄及び加硫促進剤を配合して未加硫ゴムとした。
そして、ゴムにNBR又はNRを用いた未加硫ゴムは、160℃で10分間の条件で熱プレスして加硫処理を施し、厚さ2mmに成形された加硫NBR成形体又は加硫NR成形体を作成した。
また、ゴムにEPDMを用いた未加硫ゴムは、160℃で15分間の条件で熱プレスして加硫処理を施し、厚さ2mmに成形された加硫EPDM成形体を作成した。
未加硫ゴム成形体は、ゴムにNBRを用い、上記のようにして作成した未加硫ゴムを、80℃で2分間の条件で熱プレスして、成形された未加硫NBR成形体を作成した。
<表面改質処理>
上記のニトリルオキシド化合物で、上記の加硫ゴム成形体又は未加硫ゴム成形体を表面改質処理した5種類の実施例を作成した。そして、それぞれについて、水接触角及び摩擦係数(静摩擦係数と動摩擦係数)を測定し、その結果を表1に示す。また、表面改質処理を行っていない4種類の比較例を作成し、それらについても、水接触角及び摩擦係数(静摩擦係数と動摩擦係数)を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 0005892843
各実施例及び比較例について説明する。
実施例1は、ニトリルオキシド化合物Aで加硫NBR成形体を表面改質処理したものである。
この表面改質処理は次のようにして行った。70℃におけるニトリルオキシド化合物Aの飽和トルエン溶液に、加硫NBR成形体をドブ付けし、70℃で24時間浸漬して、NBRにニトリルオキシド化合物Aを反応させた。その後、この加硫NBR成形体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥を行った。この表面改質処理反応を図1に示す。また、この表面改質処理の前後の加硫NBR成形体の表面をIR(赤外吸収分析)測定したグラフを図2に示す。
実施例2は、ニトリルオキシド化合物Aで加硫NR成形体を表面改質処理したものである。
実施例3は、ニトリルオキシド化合物Aで加硫EPDM成形体を表面改質処理したものである。
実施例2、3は、加硫ゴム成形体を加硫NR成形体又は加硫EPDM成形体に変更した以外は、実施例1と同様に表面改質処理を行った。
実施例4は、ニトリルオキシド化合物Bで加硫NBR成形体を表面改質処理したものである。
この表面改質処理は次のようにして行った。ニトリルオキシド化合物Bのトルエン溶液(2.0M/L)に、加硫NBR成形体をドブ付けし、70℃で24時間浸漬して、NBRにニトリルオキシド化合物Bを反応させた。その後、この加硫NBR成形体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥を行った。
実施例5は、ニトリルオキシド化合物Bで未加硫NBR成形体を表面改質処理したものである。
この表面改質処理は次のようにして行った。未加硫NBR成形体の表面に、ニトリルオキシド化合物Bを直接塗り付けた後、70℃の恒温槽中で24時間静置して、NBRにニトリルオキシド化合物Bを反応させた。その後、この未加硫NBR成形体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥を行った。
比較例1は、加硫NBR成形体である。
但し、実施例における溶剤等の影響を考慮して、次に示す処理を行った。70℃のトルエンに、加硫NBR成形体を、70℃で24時間浸漬した。その後、この加硫NBR成形体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥を行った。
比較例2は、加硫NR成形体である。
比較例3は、加硫EPDM成形体である。
但し、比較例2、3とも比較例1と同じ処理を行った。
比較例4は、未加硫NBR成形体である。
但し、実施例における熱等の影響を考慮して、次に示す処理を行った。70℃の恒温槽中で24時間静置した。その後、この未加硫NBR成形体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥を行った。
(1)水接触角の測定
接触角計(協和界面科学社のCA−X型)を用いて、水との接触角を測定した。
(2)摩擦係数の測定
摩擦係数は、次のようにして測定した。
2.0cm×2.4cmの矩形状にした各加硫ゴム成形体を金属板に貼着して試験片を作成した。
そして、表面が平滑なアルミニウム板上に、この試験片を加硫ゴム成形体が下側になる(加硫ゴム成形体とアルミニウム板とが接する)ようにして載置した。
そして、この試験体を、荷重250g、移動速度500mm/分の条件でアルミニウム板上を移動させ、そのときの摩擦力をメカニカルフォースゲージを用いて測定し、静摩擦係数(μ)及び動摩擦係数(μ)を求めた。
実施例1は、図2に示す、表面改質処理前後の表面のIR測定のグラフから明らかなように、表面改質処理前には比較的強く観測されたニトリル基(CN)の吸収ピーク(2230cm−1付近)及び二重結合炭素に結合した水素(=C−H)の吸収ピーク(970cm−1付近)が、表面改質処理後には比較的弱くなっていることから、図1に示すように、加硫NBR成形体表面のニトリル基及び炭素−炭素の二重結合にニトリルオキシド化合物Aが結合している。
以上より、本発明の実施例は、塩素ガスを用いないことから、塩素ガス等の有毒なガスによる作業環境の悪化や、排水の処理問題が生じることなく、加硫ゴム(加硫NBR、加硫NR、加硫EPDM)成形体、及び未加硫ゴム(未加硫NBR)成形体の表面を改質処理することができる。
また、70℃で表面改質処理が行われることから、加硫ゴム成形体及び未加硫ゴム成形体に熱によるダメージを与えることなく表面を改質処理することができる。
また、触媒を使用しなで表面を改質処理することができる。
また、副反応を伴わないことから、副産物を生じることなく表面を改質処理することができる。
表面改質処理を行わなかった比較例1〜4と比較して、水接触角が大きくなるよう加硫ゴム成形体、及び未加硫ゴム成形体の表面を改質処理することができる。
また、実施例1、4は、比較例1と比較して、静摩擦係数及び動摩擦係数が小さくなるように加硫NBR成形体の表面を改質処理することができる。
また、実施例2は、比較例2と比較して、静摩擦係数及び動摩擦係数が小さくなるように加硫NR成形体の表面を改質処理することができる。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
例えば、ニトリルオキシド化合物に2,6−ジメトキシベンゾニトリルオキシドを用いる。

Claims (6)

  1. 分子内にニトリルオキシドと反応する多重結合を有する高分子材料を成形してなる高分子成形体の表面のみに、下記の一般式[1]、[2]又は[3]で表されるニトリルオキシド化合物としての2,6−ジメトキシベンゾニトリルオキシド、2−メトキシ−1−ナフトニトリルオキシド又は2,2−ジフェニルヘキサンニトリル−N−オキシドを塗布し、前記高分子成形体表面の前記高分子材料に前記ニトリルオキシド化合物を反応させて、前記高分子成形体の表面を改質処理する高分子成形体の表面改質処理方法。
    Figure 0005892843
    (一般式[1]において、R12は、置換基であり、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[2]において、R22は、置換基であり、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[3]において、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、置換基である。)
  2. 分子内にニトリルオキシドと反応する多重結合を有する高分子材料としてのNBR、NR又はEPDMを成形してなる高分子成形体の表面のみに、下記の一般式[1]、[2]又は[3]で表されるニトリルオキシド化合物を塗布し、前記高分子成形体表面の前記高分子材料に前記ニトリルオキシド化合物を反応させて、前記高分子成形体の表面を改質処理する高分子成形体の表面改質処理方法。
    Figure 0005892843
    (一般式[1]において、R12は、置換基であり、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[2]において、R22は、置換基であり、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[3]において、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、置換基である。)
  3. 前記高分子成形体は、NBR、NR又はEPDMを加硫した加硫ゴム成形体である請求項記載の表面改質処理方法。
  4. 分子内にニトリルオキシドと反応する多重結合を有する高分子材料を成形してなる高分子成形体の表面が改質処理された表面改質高分子成形体であって、
    前記高分子成形体の表面のみに、下記の一般式[1]、[2]又は[3]で表されるニトリルオキシド化合物としての2,6−ジメトキシベンゾニトリルオキシド、2−メトキシ−1−ナフトニトリルオキシド又は2,2−ジフェニルヘキサンニトリル−N−オキシドを塗布し、前記高分子成形体表面の前記高分子材料に前記ニトリルオキシド化合物を反応させてなる表面改質高分子成形体。
    Figure 0005892843
    (一般式[1]において、R12は、置換基であり、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[2]において、R22は、置換基であり、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[3]において、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、置換基である。)
  5. 分子内にニトリルオキシドと反応する多重結合を有する高分子材料としてのNBR、NR又はEPDMを成形してなる高分子成形体の表面が改質処理された表面改質高分子成形体であって、
    前記高分子成形体の表面のみに、下記の一般式[1]、[2]又は[3]で表されるニトリルオキシド化合物を塗布し、前記高分子成形体表面の前記高分子材料に前記ニトリルオキシド化合物を反応させてなる表面改質高分子成形体。
    Figure 0005892843
    (一般式[1]において、R12は、置換基であり、R13、R14、R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[2]において、R22は、置換基であり、R23、R24、R25、R26、R27及びR28は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
    Figure 0005892843
    (一般式[3]において、R31、R32及びR33は、それぞれ独立して、置換基である。)
  6. 前記高分子成形体は、NBR、NR又はEPDMを加硫した加硫ゴム成形体である請求項記載の表面改質高分子成形体。
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