JP6825816B2 - ニトリルオキシド化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、ニトリルオキシド化合物、特に、置換されていてもよいアミノ酸部を1個以上有するニトリルオキシド化合物等に関する。
従来、タンパク質に特徴的な機能を有する低分子を共有結合的に取り込ませる試みがなされている。例えば、非特許文献1では、ケテン類を用いた、ペプチドのN末端の修飾が提案されている。
しかし、このように、タンパク質に低分子を共有結合的に取り込ませることは、容易ではない。
Anna On-Yee Chanら, J. Am. Chem.Soc. 2012, 134, 2589-2598
本発明者らは、アミノ酸、又はペプチドに、他の化合物中の不飽和結合と容易に結合する性質を付与することにより、アミノ酸、又はペプチドに、当該他の化合物の性質を付与すること、及び逆に、当該他の化合物に、アミノ酸、又はペプチドに由来する性質を付与することを案出した。
本発明者らは、鋭意検討の結果、置換されていてもよいアミノ酸部を1個以上有するニトリルオキシド化合物により、当該課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
置換されていてもよいアミノ酸部を1個以上有するニトリルオキシド化合物。
項2.
式(1):
[式中、
は、各出現において同一又は異なって、アミノ酸残基を表し、
は、水素原子、又は置換基を表し、
nは、1以上の整数を表し、及び
Lは、結合手、又はリンカーを表す。]
で表される化合物である、
項1に記載のニトリルオキシド化合物。
項3.
項1又は2に記載のニトリルオキシド化合物を含有する組成物。
項4.
更に、ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料を含有する、項3に記載の組成物。
項5.
前記材料がゴムである、項4に記載の組成物。
項6.
ニトリルオキシド基との反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、項3に記載の組成物。
項7.
前記材料がゴムである、項6に記載の組成物。
項8.
項1又は2に記載のニトリルオキシド化合物を含有する改質剤。
項9.
不飽和結合を有する有機化合物、又はこれを含有する物質の改質方法であって、
当該有機化合物に、項1又は2に記載のニトリルオキシド化合物を接触させる方法。
項10.
置換されていてもよいアミノ酸部を1個以上有するゴム化合物。
本発明のニトリルオキシド化合物は、不飽和結合を有する化合物と容易に結合して、これにアミノ酸、又はペプチドを付与できる。
1. 用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
本明細書中、「有機基」とは、有機化合物から1個以上の水素原子を除去して形成される、1価以上の基を意味する。
本明細書中、特に断りのない限り、「炭化水素基」とは、1個以上の炭素原子、及び1個以上の水素原子を含有する基を意味する。
本明細書中、特に断りのない限り、「炭化水素基」の例は、「非芳香族環状炭化水素基」(又は、「脂肪族炭化水素基」)、及び「芳香族炭化水素基」を包含する。
当該「非芳香族環状炭化水素基」(又は、「脂肪族炭化水素基」)は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、1個以上の環構造を含んでいてもよい。
当該「脂肪族炭化水素基」としては、特に限定されるものではないが、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキル基」としては、例えば、C1−6アルキル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C1−6アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びヘキシルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基」とは、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基を意味し、その例としては、例えば、トリフルオロメチルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルケニル基」としては、例えば、C2−6アルケニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C2−6アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−1−イル、イソプロペニル、2−ブテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、及び5−へキセン−1−イルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキニル基」としては、例えば、C2−6アルキニル基が挙げられる。「C2−6アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、5−へキシン−1−イルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族環状炭化水素基」としては、例えば、それぞれ1個以上(好ましくは1個又は2個)の炭化水素環と縮合していてもよい、C3−7シクロアルキル基、C3−7シクロアルケニル基、C4−10シクロアルカジエニル基が挙げられる。
当該「炭化水素環」としては、例えば、前記「非芳香族炭化水素環」、及び前記「芳香族炭化水素環」が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C3−7シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C3−7シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C4−10シクロアルカジエニル基」としては、例えば、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香族炭化水素環基」は、単環性、2環性、又は3環性であってよい。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香族炭化水素環基」としては、例えば、C6−14アリール基等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C6−14アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、及び2−アンスリルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C7−16アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、2−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルメチル、及び4−ビフェニリルメチルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C1−6アルキレン基」(すなわち、C1−6アルカンジイル基)としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、2−ブテニレン、2−メチルテトラメチレン、ペンタメチレン、及びヘキサメチレン等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキレン基」(又は「アルキレン鎖」)の例は、「C1−6アルキレン基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「C1−6アルキレン基」(すなわち、C1−6アルカンジイル基)としては、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、2−ブテニレン、2−メチルテトラメチレン、ペンタメチレン、及びヘキサメチレン等が挙げられる。
本明細書中、用語「ゴム(rubber)」は、ベンゼン、メチルエチルケトン、エタノール・トルエン共沸混合物などの沸騰中の溶剤に本質的には不溶性(しかし、膨潤できる)の状態に改質できる原料ゴム、又は既に改質されているエラストマー材料を意味する。
本明細書中、用語「原料ゴム(raw rubber)」は、ゴム製品を製造するための天然ゴム又は合成ゴムを意味する。
本明細書中、用語「ゴム化合物」は、ゴムを構成する主成分である化合物を意味する。ゴム化合物の例は、シス-1,4-ポリイソプレン等のゴム炭化水素を包含する。
2. ニトリルオキシド化合物
本発明は、置換されていてもよいアミノ酸部を1個以上有するニトリルオキシド化合物を提供する。本明細書中、当該化合物を、本発明のニトリルオキシド化合物、又は単にニトリルオキシド化合物と称する場合がある。
本明細書中、用語「アミノ酸部」は、特に限定されない限り、アミノ酸、又はペプチドから、カルボキシ基における1個の−OH基を除去して形成される1価の基を包含することを意図して用いられる。すなわち、当該「アミノ酸部」は、1個以上のアミノ酸残基を有し得る。
本発明において、「アミノ酸部」の−NH基がモノ−、又はジ−置換されていることを排除されない。
本明細書中、用語「アミノ酸」は、特に限定されない限り、自然界に存在するアミノ酸、及び自然界に存在しないアミノ酸を包含することを意図して用いられる。
当該アミノ酸の例は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリン、並びにそれらの誘導体を包含する。
前記「置換されていてもよいアミノ酸部」における置換基の例は、tert-ブトキシカルボニル基(Boc基)、又はベンジルオキシカルボニル基(Z基)を包含する。
前述の「アミノ酸部」についての説明から容易に理解される通り、本発明のニトリルオキシド化合物は、1個以上のペプチド鎖を有し得る。
当該ペプチド鎖が有するアミノ酸残基の数は、特に限定されないが、
その下限は、例えば、2、3、4、又は5であることができ;
その上限は、例えば、3、4、5、10、100、1000、1万、10万、30万、又は100万であることができ;及び
その範囲は、例えば、2〜100、2〜1000、又は2〜1万の範囲であることができる。
当該ペプチド鎖の形態は、特に限定されず、例えば、直鎖状、又は分枝鎖状であることができ、及び環状構造を含有してもよい。
本発明のニトリルオキシド化合物は、アミノ酸部とニトリルオキシド部との間に、リンカーを有していてもよい。
本発明のニトリルオキシド化合物において、アミノ酸部は、好ましくは、そのカルボキシ末端で、所望によるリンカーを介して、ニトリルオキシド部に連結する。
本発明のニトリルオキシド化合物は、前記アミノ酸部を1個以上(例、1〜10個、1〜6個、1〜3個、1〜2個)を有することができる。
本発明のニトリルオキシド化合物における前記アミノ酸部の位置は特に限定されない。すなわち、例えば、本発明のニトリルオキシド化合物は、前記アミノ酸部を、その主鎖、側鎖、及び末端部のいずれの部位に有してもよい。
本発明のニトリルオキシド化合物は、前記ニトリルオキシド部を1個以上(例、1〜10個、1〜6個、1〜3個、1〜2個)を有することができる。
本発明のニトリルオキシド化合物における前記ニトリルオキシド部の位置は特に限定されない。すなわち、例えば、本発明のニトリルオキシド化合物は、前記ニトリルオキシド部を、その主鎖、側鎖、及び末端部のいずれの部位に有してもよい。
より具体的には、本発明のニトリルオキシド化合物が有し得る構造の非限定的な例は、
(1)2個のペプチド鎖を主鎖の両末端にそれぞれ有する鎖状(例、直鎖状、分枝鎖状)構造、及び
(2)1個以上のグラフト鎖として、若しくは1個以上のグラフト鎖において、ペプチド鎖を有するグラフトポリマー構造
を包含する。
本発明のニトリルオキシド化合物の一態様は、式(1):
[式中、
は、各出現において同一又は異なって、置換基されていてもよいアミノ酸残基を表し、
は、水素原子、又は置換基を表し、
nは、1以上の整数を表し、
m1は、1以上の整数を表し、
m2は、1以上の整数を表し、及び
Lは、結合手、又は(m1+m2)価のリンカーを表す。]
で表される化合物である。
ここで、当業者に明らかなように、Lが結合手であるとき、m1、及びm2は、共に1である。
は、好ましくは、式(1)の左側(すなわち、式(1)のR−側)にN末端を有する。
で表される置換基、及び「置換基されていてもよいアミノ酸残基」の置換基の例は、それぞれ、前記で説明した、「置換されていてもよいアミノ酸部」における置換基の例と同様である。
前記リンカー(−L−)の例は、(m1+m2)価(例、2価)の有機基を包含する。
当該(m1+m2)価の有機基の長さは、その最長の連結鎖長として、例えば、1〜20原子、1〜15原子、又は1〜10原子である。
本発明の好適な一態様では、前記リンカー(−L−)は、その一部、又は全部としての−NR−CR−、−O−CR−、又は−S−CR−(各式中、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭化水素基を表す。)を介して、−CN基の一部、又は全てと、連結している。
当該リンカー(−L−)の例は、式(La):
[式中、
Yは、NH、又はOを表し、
は、(m1+m2)価の基を表し、及び
Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素部を表す。]
で表される2価の基を包含する。
ここで、本発明のニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド基は、Aが有する炭素原子に直接結合している。
当該Aで表される「1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素部」の炭化水素部は、脂肪族炭化水素(当該脂肪族炭化水素は、直鎖状、分枝鎖状、環状、及びこれらの組み合わせであることができる。)、芳香族炭化水素、又はこれらの組み合わせであることができる。
当該炭化水素部の炭素数は、例えば、1〜20、又は1〜10であることができる。
式(La)で表されるリンカーの一態様は、
[式中、
Yは、NH、又はOを表し、
は、(m1+m2)価の炭化水素基を表し、及び
m1、m2、R、及びRは、前記と同意義を表す。]
で表される(m1+m2)価の基である。
当該式(La)で表されるリンカーを有する、本発明のニトリルオキシド化合物の一態様は、式(1a):
[式中の記号は、式(1)、及び式(La)における記号と同意義である。]
で表される化合物である。
Aは、好ましくは、
(1)アルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基[例、t−ブチル基])、及びアリール基(例、フェニル、ナフチル)からなる群より選択される1個以上(例、1個、2個)の置換基で置換されていてもよい炭素数1〜6(好ましくは炭素数1)のアルカン(例、メタン、エタン)、又は
(2)1個以上(例、1個、2個、3個、4個、5個)の置換基(例、炭素数1〜4のアルコキシ基[例、メトキシ基、エトキシ基])で置換されていてもよい芳香族炭素環(例、ベンゼン環、ナフタレン環)である。
熱安定性の観点から好ましくは、Aは、1個以上(例、1個、2個)のアリール基(例、フェニル、ナフチル)で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルカンである。
は、好ましくは、
1個以上(例、1個、2個、3個、4個、5個)の置換基で置換されていてもよい、アルキレン−R−鎖(式中、Rは、結合手、O、S、又は−NR−を表し、及びRは、水素原子、又は炭化水素基を表す。)である。
当該アルキレン(鎖)は、好ましくは、炭素数が1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン鎖である。
本発明の好適な一態様では、前記リンカー(−L−)は、その一部、又は全部としての、1個以上の置換基(例、炭化水素基)を有していてもよい芳香族炭素環(例、ベンゼン環、ナフタレン環)を介して、−CN基の一部、又は全てと、連結している。
本発明のニトリルオキシド化合物は、フリー体、塩、又は溶媒和物であることができる。
3. 置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物の製造方法
本発明の「置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物」は、例えば、後記の方法、又はこれに準じる方法で製造できる。
3.1. 製造方法1
本発明の「置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物」の製造方法の一態様は、
(1−1)アミン部を有するニトロ化合物を、α−アミノ酸−N−カルボキシ無水物と反応させて、置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物を得る工程、及び
(1−2)工程(1−1)で得られた、置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物を分子内脱水させて、置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物を得る工程
を含む。
工程(1−1)
工程(1−1)で用いられる「アミン部を有するニトロ化合物」は、公知の方法、又はこれに準じる方法により、製造できる。
工程(1−1)で用いられる「α−アミノ酸−N−カルボキシ無水物」は、公知の方法、又はこれに準じる方法により製造するか、又は商業的に入手可能である。
工程(1−1)で用いられる前記「アミン部を有するニトロ化合物」の例は、
式(2a):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を包含する。
工程(1−1)で得られる前記「置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物」の例は、
式(3a):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を包含する。当該化合物は、前記式(2a)で表される化合物から得られる。式中、−(R−は、前記「α−アミノ酸−N−カルボキシ無水物」に由来する。
工程(1−1)の反応は、公知のペプチド化学合成方法に準じて条件を設定して、実施すればよい。
工程(1−1)の反応は、有機溶媒中で好適に実施できる。当該有機溶媒の例は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びジメチルホルムアミド(DMF)を包含する。
当該有機溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
工程(1−1)の反応温度は、適宜、技術常識によって決定すればよいが、低温(例、約0℃)が好適である。
置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物に対する、α−アミノ酸−N−カルボキシ無水物の使用量、及び工程(1−1)の反応時間は、目的とする「置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物」のアミノ酸部のアミノ酸残基数によって、異なり得るが、公知のペプチド化学合成方法に準じて条件を設定すればよい。
工程(1−2)
工程(1−2)では、分子内脱水により、−CHNO部が−CNOに変換され、ニトリルオキシド化合物を得ることができる。
前記「置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物」の例は、
式(1a):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を包含し、当該化合物は、前記式(3a)で表される化合物から得られる。
当該脱水処理は、特に限定されるものではないが、濃硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホンイミド、又はフェニルイソシアナート、或いは他の求核性の無い対アニオンを有する強酸を用いることにより行うことができる。
当該強酸の使用量は、置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物の1モルに対して、好ましくは1〜5モルの範囲内である。
好ましい一態様において、脱水処理は、塩基(例、トリエチルアミン等のアミン)の存在下、イソシアネート化合物(例、p−クロロフェニルイソシアネート、及びフェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート)を用いて行われる。
特に好ましい一態様において、脱水処理は、トリエチルアミンの存在下、フェニルイソシアネートを用いて行われる。
当該塩基の使用量は、置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物の1モルに対して、好ましくは1〜5モルの範囲内である。
当該イソシアネート化合物の使用量は、置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトロ化合物の1モルに対して、好ましくは1〜5モルの範囲内である。
工程(1−2)の反応温度は、好ましくは−20℃〜100℃の範囲内であり、より好ましくは0℃〜50℃の範囲内、及び更に好ましくは、10℃〜40℃の範囲内である。
工程(1−2)の反応時間は、好ましくは、1分〜300分間、又は10分〜60分間の範囲内である。
工程(1−2)の反応は、有機溶媒中で好適に実施できる。
当該有機溶媒の例は、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、二硫化炭素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ダイグライム、トリグライム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、2−ブタノン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エタノール、メタノール、及びジアセトンアルコール、並びにこれらの組み合わせを包含する。
3.2. 製造方法2
本発明の「置換されていてもよいアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物」の製造方法の別の一態様は、
(2−1)ヒドロキシ基を有するニトロ化合物を、アミノ基を保護基でそれぞれ保護された、アミノ酸、又はペプチドと反応させて、保護基で保護されたアミノ酸部を有するニトロ化合物を得る工程、及び
(2−2)工程(2−1)で得られた、保護基で保護されたアミノ酸部を有するニトロ化合物を分子内脱水させて、保護基で保護されたアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物を得る工程
を有する。
当該保護基で保護されたアミノ酸部は、所望により、慣用の方法で脱保護してもよい。
工程(2−1)
前記「ヒドロキシ基を有するニトロ化合物」は、公知の方法、又はこれに準じる方法により、製造できる。
前記「アミノ基を保護基でそれぞれ保護された、アミノ酸、又はペプチド」は、固相ペプチド合成法等の公知の方法、又はこれに準じる方法により製造するか、又は商業的に入手可能である。
前記「ヒドロキシ基を有するニトロ化合物」の例は、
式(2b):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を包含する。
前記「アミノ基を保護基でそれぞれ保護された、アミノ酸、又はペプチド」の例は、
式(3b):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を包含する。
「保護基で保護されたアミノ酸部を有するニトロ化合物」の例は、
式(4b):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を包含する。当該化合物は、前記式(2b)で表される化合物を、前記式(3b)で表される化合物と反応させて、得られる。
工程(2−2)
工程(2−2)の反応は、前記「アミノ基を保護基でそれぞれ保護された、アミノ酸、又はペプチド」に、イソシアネート、及びアミンを作用させることで実施される。
工程(2−2)の反応は、例えば、前記した製造方法1の工程(1−2)の反応と同様の条件、及び物質を用いて実施すればよい。
前記「保護基で保護されたアミノ酸部を有するニトリルオキシド化合物」の例は、
式(5b):
[式中の記号は前記と同意義を表す。]
で表される化合物を包含する。当該化合物は、前記式(4b)で表される化合物から得られる。
4. 組成物
本発明の組成物は、1種以上の、前記した本発明のニトリルオキシド化合物を含有する。当該組成物は液体であっても固体であってもよい。また、当該組成物は、前記した本発明のニトリルオキシド化合物のみから構成されていてもよい。
一の態様において、本発明の組成物は、本発明のニトリルオキシド化合物に加え、さらにニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料を含んでいてもよい。即ち、この態様において、本発明の組成物は、(1)本発明のニトリルオキシド化合物、及び(2)ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料の混合物であり得る。
別の態様において、本発明の組成物は、他の組成物(例えば、ニトリルオキシド基との反応性を有する基を含む材料)を含有する組成物と組み合わせられた形態であってもよい。この態様において、本発明の組成物と他の組成物とは、例えば、所望の用途に用いるために、使用直前に混合され得る。
前記組み合わせでは、本発明の組成物と他の組成物との両方が液体であってもよく、一方が固体(ゲルを包含する)であってもよく、或いは両方が固体(ゲルを包含する)であってもよい。
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。かかる溶剤は、組成物に含有される成分に応じて適宜選択することができる。
好ましい態様において、本発明の組成物、又は本発明の組成物と他の組成物との組み合わせは、ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料に適用するために使用される。
前記「ニトリルオキシド基との反応性を有する基」の例は、二重結合(例、C=C、C=N、N=N、C=S、P(V)=C、C=P(III)、C=As、C=Se、B=N、P(V)=N、C=O)を有する基、及び三重結合(例、C≡C、C≡N、C≡P)を有する基を包含する。その具体例は、アルケニル基、アルキニル基、及びニトリル基を包含する。
前記ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料は、特に限定されず、その例は、有機材料(例えば、樹脂等の高分子材料、高分子化合物等の化合物)、及び無機材料(例えば、ガラス、セラミック、金属)、並びにこれらの組み合わせ等を包含する。
本発明の改質剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものである限り、あらゆる有機化合物(好ましくは、ポリマー等の高分子材料)に対して、好適に使用できる。
前記ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料の好適な例は、ゴム化合物、及びそれを主成分として含有するゴムを包含する。
当該ゴム化合物の例は、
分子内にニトリル基(C≡N)を有する化合物である、PAN(ポリアクリロニトリル)化合物;
それぞれ分子内に炭素−炭素二重結合(C=C)を有する化合物である、NR(天然ゴム)化合物、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)化合物、及びポリノルボルネン化合物;及び
分子内にニトリル基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物である、NBR(ニトリルゴム)化合物等
を包含する。
5. 改質剤
本発明は、本発明のニトリルオキシド化合物を含有する改質剤も、また、提供する。
当該改質剤は、前記した、本発明の組成物であってもよい。
本発明が含有する、本発明のニトリルオキシド化合物は、不飽和結合を有する有機化合物と反応して、共有結合できる。これにより、例えば、本発明のニトリルオキシド化合物は、それが有するアミノ酸、又はペプチドに由来する性質を、当該有機化合物に付与することができる。
本発明の改質剤は、前記で「本発明の組成物」について記述した、「ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料」、又はその成形体の改質に好適に使用できる。
本発明のニトリルオキシド化合物を用いた「改質」は、本発明のニトリルオキシド化合物を用いた「変性」であることができる。
本発明のニトリルオキシド化合物を用いた「改質」は、本発明のニトリルオキシド化合物と、その改質対象となる物質(例、化合物)との反応による、別の物質(例、化合物)製造であることができる。
本発明の改質剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものである限り、あらゆる有機化合物(好ましくは、ポリマー等の高分子材料)に対して、好適に使用できる。
本発明の改質剤、又は本発明のニトリルオキシド化合物を用いる改質処理は、特に限定されないが、有機溶媒中又は無溶媒で、本発明の改質剤、又は本発明のニトリルオキシド化合物と高分子材料を接触させることにより行うことができる。
改質処理の反応は、有機溶媒中で好適に実施され得る。
改質処理の反応に使用できる有機溶媒は、特に限定はされないが、高分子材料及び本発明のニトリルオキシド化合物が共に溶解し易いものであることが好ましい。その具体例は、クロロホルム、及びDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、並びにそれらの組み合わせ等を包含する。
改質処理は、空気下で行ってもよいし、不活性ガスが充填された雰囲気下で行ってもよい。
改質処理に使用できる不活性ガスは、特に限定はされないが、その例は、アルゴン、及び窒素等を包含する。
改質処理が無溶媒で行われる場合には、前記改質処理は、混練装置で行うことが好ましい。
改質処理に使用できる混練装置は、特に限定はされはないが、その例は、二軸混練機、密閉式混練機、バンバリーミキサー、及びインターミックス等の混練機;並びに二軸押出機、単軸押出機、及び多軸押出機等の押出機等を包含する。
改質処理の温度は、本発明のニトリルオキシド化合物が高分子材料と反応する温度であれば、特に限定はされないが、例えば、化学反応であることから温度が高ければ反応が促進され、また加熱等の温度調節を行わなければ製造工程の管理が容易になるので、この観点から決定してもよい。
改質処理の温度は、具体的には、好ましくは、例えば、0〜150℃の範囲であることができる。
高分子材料がNBR、NR、EPDM等のように、不飽和結合として1個以上の炭素−炭素二重結合を少なくとも有するものである場合、改質処理の好適な温度は、例えば、20〜100℃である。PAN等のように、不飽和結合として三重結合のみを有するものである場合には、改質処理の好適な温度は、例えば、60〜150℃であることができる。
改質処理は、触媒を使用せずに好適に実施し得る。
改質処理の時間は、改質処理の目的が達成できるように、適宜設定すればよいが、例えば、好ましくは、1時間〜2日間であることができる。
当該結合は加熱、及び洗浄等の処理に対して、強固である。
従って、本発明の改質剤は、特に、不飽和結合を有する有機化合物(好ましくは、ポリマー)、又はその成形体を簡便、且つ強固に改質できる改質剤として使用できる。
当該改質は、本発明の改質剤、又は本発明のニトリルオキシド化合物を、有機化合物(好ましくは、ポリマー)、又はその成形体に接触させることによって実施できる。
当該接触は、例えば、
(1)本発明の改質剤、又は本発明のニトリルオキシド化合物を、有機化合物(好ましくは、ポリマー)、又はその成形体と混合すること、又は
(2)本発明の改質剤、又は本発明のニトリルオキシド化合物を含有する改質剤を有機化合物(好ましくは、ポリマー)の成形体の表面に、塗布、又は流延等の方法で接触させること
によって実施できる。
すなわち、本発明は、有機化合物(好ましくは、ポリマー)、又はその成形体の改質方法もまた提供する。
当該方法の一態様は、
不飽和結合を有する有機化合物、又はこれを含有する物質の改質方法であって、
当該有機化合物に、請求項1又は2に記載のニトリルオキシド化合物を接触させる方法
である。
当該「有機化合物を含有する物質」は、(1)有機化合物を含有する組成物、及び(2)有機化合物の成形体を包含する。
4. アミノ酸部を1個以上有する化合物
本発明は、本発明のニトリルオキシド化合物と、
ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する化合物との共有結合物もまた提供する。
当該化合物は、アミノ酸部を1個以上有する化合物である。
当該「ニトリルオキシド基との反応性を有する基」の例は、前記で本発明の組成物に関して例示したものと同様である。
当該共有結合物である化合物は、ニトリルオキシド基に由来する、イソオキサゾリン環を有することができる。
前記共有結合物の例は、ゴム化合物を包含する。
従って、本発明は、置換されていてもよいアミノ酸部を1個以上有するゴム化合物もまた提供するものである。
当該ゴム化合物は、イソオキサゾリン環を有することができる。当該イソオキサゾリン環は、本発明のニトリルオキシド化合物のニトリルオキシド基に由来することができる。
本発明のアミノ酸部を1個以上有する化合物の例は、本発明のニトリルオキシド化合物ゴム化合物との共有結合物を包含する。
当該ゴム化合物の例は、前記改質剤に関して記載した例を包含する。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、特に記載の無い限り、収率の記載は単離収率である。
当業者が理解する通り、化学式中の丸括弧は、構造単位を表す。丸括弧内の構造単位は、ブロックを形成していてもよく、又は形成していなくてもよい。
実施例1
(1)アルコール 1-1の合成
6-アミノ-1-へキサノール 3.9 g (34 mmol) に乾燥THF 50 mL、二炭酸ジ-tert-ブチル 8.8 g (40 mmol) を加え室温で4時間攪拌した。水と酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を水とbrineで洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:ヘキサン=1:3)によって精製した結果、アルコール 1の6.0 g (27 mmol, 82%) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 4.51 (s, 1H), 3.65 (t, 2H), 3.12 (t, 2H), 1.72-1.57 (m, 4H), 1.38 (s, 9H), 1.29-1.25 (m, 2H) ppm.
(2)ニトロアルカン 1-2の合成
水素化ナトリウム 0.36 g (15 mmol) をヘキサンで三回洗浄し、アルゴン置換した後、乾燥DMF 5.0 mL を加えた。0 ℃で乾燥DMF 5.0 mLに溶かしたアルコール 1の1.1 g (5.0 mmol) を加え、4時間撹拌した。乾燥DMF 5 mL に溶解させたジフェニルニトロエテン 0.74 g (3.3 mmol) を加え、0 ℃で12時間撹拌した。酢酸エチル、NaHCO3 aqで分液を行い、brineで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製することで、ニトロアルカン 2の1.2 g (2.7 mmol, 80 %) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.35-7.25 (m, 10H), 5.34 (s, 2H), 4.50 (s, 1H), 3.34 (t, 2H), 3.10 (t, 2H), 1.64-1.58 (m, 6H), 1.45 (s, 9H), 1.30 (m, 2H) ppm.
(3)ニトロアルカン 1-3の合成
ニトロアルカン 1-2の0.83 g (1.9 mmol)を0 ℃で攪拌し、HCl/dioxane溶液 30 mL (120 mmol) を加えた。その後、室温で30分間攪拌した。反応溶液をジクロロメタンを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。水層をジクロロメタンで2回抽出した後、すべての有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及びbrineで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、アルミナカラムクロマトグラフィー (クロロホルム/メタノール=95/5→80/20)で精製することで、ニトロアルカン 1-3の0.10 g (0.28 mmol, 15 %) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.36-7.25 (m, 10H), 5.34 (s, 2H), 3.35 (t, 2H), 2.68 (t, 2H), 1.65 (m, 2H), 1.44-1.38 (m, 4H), 1.28 (m, 2H) ppm.
(4)ニトロアルカン 1-3を用いたNCAの重合
アルゴン雰囲気下でBLG-NCA 1.5 g (6.0 mmol) を乾燥DMF 9.0mLに溶かし、乾燥DMF 1.0 mL に溶かしたニトロアルカン 1-3 50 mg (150 μmol) を加え、0 ℃で3日間攪拌した。メタノールに再沈殿させることで、固体としてペプチド含有ニトロアルカン 1-4を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.36-7.25 (br, Ar, 10H), 5.34-5.28 (br, CH2NO2, 2H), 5.10-4.90 (br, COOCH2Ph), 4.01-3.85 (br, -NHCHCO-), 3.25-3.08 (br, -CONHCH2(CH2)5-, -CH2OC(Ph)2CH2NO2), 2.78-1.89 (br, -CHCH2CH2COOCH2Ph-, -CHCH2CH2COOCH2Ph-), 1.82-1.08 (br, -CONHCH2(CH2)5-) ppm.
(4)ニトリル-N-オキシド1-5の合成
窒素雰囲気下でニトロアルカン 1-4 0.51 g (0.20 mmol)を乾燥ジクロロメタン 20 mLに溶かし、p-クロロフェニルイソシアネート 0.31 g (2.0 mmol)、トリエチルアミン 0.30 g (3.0 mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。不溶部をろ別し、溶媒を留去した後、ジクロロメタンに溶かし、不溶部をろ別した。残渣をヘキサン/エタノール = 7/3 に3回再沈殿させることで白色固体ニトリル-N-オキシド 1-5 0.53 g (98%)を得た。

1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.36-7.25 (br, Ar, 10H), 5.10-4.90 (br, COOCH2Ph), 4.01-3.85 (br, -NHCHCO-), 3.89-3.78 (br, -CH2OC(Ph)2CNO) 3.43-3.38 (br, -CONHCH2(CH2)5-, 2.68-1.82 (br, -CHCH2CH2COOCH2Ph-, -CHCH2CH2COOCH2Ph-), 1.382-1.08 (br, -CONHCH2(CH2)5-) ppm.
(5)g-PBDの合成
PBD 54 mg (1.0 mmol)をトルエンに溶解させ、ニトリル-N-オキシド1-5 140 mg (50 μmol)を加え、オイルバス100 ℃で12時間加熱攪拌を行った。ヘキサン/エタノール = 7/3 に2回再沈殿させることで、固体としてg-PBD 0.11 g を得た。
実施例2
(1)ニトロアルカン 2-1の合成
水素化ナトリウム 0.72 g (30 mmol) をヘキサンで三回洗浄し、アルゴン置換した後、乾燥DMF 30 mL を加えた。0 ℃で乾燥DMF 10 mLに溶かした1,4-ブタンジオール 2.7 g (30 mmol) を加え、1時間撹拌した。乾燥DMF 10 mL に溶解させたジフェニルニトロエテン 2.3 g (10 mmol) を加え、室温で1時間撹拌した。0 ℃で少量の酢酸を加え、ジクロロメタンに溶解させた後、水、brineで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン=1/1) で精製することで、固体としてニトロアルカン 2-1の2.5 g (7.8 mmol, 78 %) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.35-7.25 (m, 10H), 5.34 (s, 2H), 3.67 (t, 2H), 3.39 (t, 2H), 1.71 (m, 4H) ppm.
(2)ニトロアルカン2-2の合成
ニトロアルカン 2-1の1.9 g (6.0 mmol)をアルゴン置換した後、二塩化エチレン 1.4 g (7.2 mmol)、HOBt・H2O 0.97 g (7.2 mmol) を加え、室温で10分間攪拌した後、N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-バリンを 1.3 g (6.0 mmol) を加え、室温で24時間攪拌した。反応終了後1MHCl水溶液を少量加え、NaHCO3 aqを加えてbrineで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製することで、粘性体ニトロアルカン 2-2の1.3 g (2.5 mmol, 42 %) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.35-7.23 (m, 10H), 5.34 (s, 2H), 5.03 (s, 1H), 4.18-4.15 (m, 3H), 3.39 (t, 2H), 2.13 (m, 1H), 1.80 (m, 2H), 1.72 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 0.96-0.88 (m, 6H) ppm.
(3)ニトリル-N-オキシド2-3の合成
アルゴン雰囲気下でニトロアルカン2-2の1.3 g (2.5 mmol) に乾燥ジクロロメタン 30 mL、p-クロロフェニルイソシアネート 0.86 g (5.6 mmol)、トリエチルアミン 0.85 g (8.4 mmol) を加え、室温で2時間攪拌した。不溶部をろ別し、溶媒を留去した後、ジクロロメタンに溶かし、不溶部をろ別した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル/ヘキサン=1/5→1/3) で精製することで、ニトリル-N-オキシド 2-3の0.76 g (1.5 mmol, 60 %) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.42-7.33 (m, 10H), 5.03 (d, 1H), 4.21-4.15 (m, 3H), 3.49 (t, 2H), 2.12 (m, 1H), 1.77 (m, 4H), 1.44 (s, 9H), 0.96-0.88 (m, 6H) ppm.
実施例3
ニトリル-N-オキシド2-3のモデルクリック反応によるイソオキサゾリン環化体2-4の合成

ニトリル-N-オキシド2-3の0.16 g (0.31 mmol) とアリルトリメチルシラン 0.35 g (3.1 mmol) を加え、クロロホルムに溶解させた後、オイルバス60 ℃で24時間加熱撹拌した。溶媒を留去し、減圧乾燥することでイソオキサゾリン環化体2-4の0.20 g (0.30 mmol, 97 %) を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K) δ 7.55-7.51 (m, 4H), 7.29-7.24 (m, 6H), 5.00 (d, 1H), 4.64-4.60 (m, 1H), 4.19-4.14 (m, 3H), 3.25-3.22 (t, 2H), 2.89-2.82 (m, 1H), 2.37-2.33 (m, 1H), 2.10 (m, 1H), 1.74 (m, 2H), 1.66 (m, 2H), 1.44 (s, 9H), 1.10 (m, 1H), 1.06-0.80 (m, 7H), 0.00 (s, 9H) ppm.

Claims (10)

  1. 式(1):
    [式中、
    は、各出現において同一又は異なって、置換されていてもよいアミノ酸残基(当該アミノ酸は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンから選択される。)を表し、当該アミノ酸残基のN末端側がR に結合し、
    は、水素原子、又は置換基を表し、
    nは、1以上の整数を表し、
    m1は、1以上の整数を表し、
    m2は、1以上の整数を表し、及び
    Lは、結合手、又は式(La):
    [式中、
    Yは、NH、又はOを表し、
    は、1個以上の置換基で置換されていてもよい、アルキレン−R−鎖(式中、Rは、結合手、O、S、又は−NR −を表し、及びR は、水素原子、又は炭化水素基を表す。)を表し、
    Aは、1個以上のアリール基で置換されていてもよい、炭素数1〜6のアルキレンを表す。]
    で表される、(m1+m2)価のリンカーを表す。]
    で表されるニトリルオキシド化合物。
  2. m1は、1であり、且つm2は、1である、請求項1に記載のニトリルオキシド化合物。
  3. 請求項1又は2に記載のニトリルオキシド化合物を含有する組成物。
  4. 更に、ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料を含有する、請求項3に記載の組成物。
  5. 前記材料がゴムである、請求項4に記載の組成物。
  6. ニトリルオキシド基との反応性を有する基を含む材料に適用するために使用される、請求項3に記載の組成物。
  7. 前記材料がゴムである、請求項6に記載の組成物。
  8. 請求項1又は2に記載のニトリルオキシド化合物を含有する改質剤。
  9. 不飽和結合を有する有機化合物、又はこれを含有する物質の改質方法であって、
    当該有機化合物に、請求項1又は2に記載のニトリルオキシド化合物を接触させる方法。
  10. 請求項1に記載のニトリルオキシド化合物と、ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する化合物との共有結合物である、置換されていてもよいアミノ酸部を1個以上有するゴム化合物。
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