JP2017160164A - ロタキサン化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、多様な構造のロタキサンネットワークポリマー等の合成を可能とする技術の提供を課題とする。【解決手段】1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、前記1個以上の環状分子、及び前記1個の鎖状分子のうちのいずれか1個以上の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、ロタキサン化合物。【選択図】なし

Description

本発明は、ロタキサン化合物(特に反応性基を有するロタキサン化合物)等に関する。
ロタキサンは軸成分である鎖状分子と輪成分である環状分子とが共有結合を介することなく、空間的な結合で結ばれた超分子化合物である。その各構成要素は結合長や結合角の制限を受けず、高い自由度と運動性を有しているため、特異な動的特性や物性を発現する。ロタキサンネットワークポリマー(RCP)は、架橋点にロタキサン構造を有する架橋高分子の総称であり、その可動型架橋点の構造に起因した高い柔軟性や弾力性を発現することが報告されている(非特許文献1〜3)。
しかしながら、その多くはポリロタキサン構造をネットワークの主鎖骨格として用いる必要があるので、ロタキサンは、従来の化学架橋型ネットワークとは異なる新しいタイプの高分子材料として注目を集めながらも、その汎用性や使用用途には制限があった。
Okumuraら, Advanced Materials (2001), Vol. 13, No. 7, pp. 485-487 Ito, Polymer Journal (2007), Vol. 39, No. 6, pp. 489-499 Koyamaら, Polymer Journal (2014), 46, pp. 315-322
従って、多様な構造のロタキサンネットワークポリマー等の合成を可能とする技術が提供されれば、その有用性は極めて高い。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリマーと結合可能な
「1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子、及び前記1個の鎖状分子のうちのいずれか1個以上の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、ロタキサン化合物」
によって、多様な構造のロタキサンネットワークポリマー等の合成が可能になることを考えだし、更なる検討の結果、本発明を完成するに至った。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子、及び前記1個の鎖状分子のうちのいずれか1個以上の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、ロタキサン化合物。
項2.
前記1個以上の環状分子のうちのいずれか1個以上の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、項1に記載のロタキサン化合物。
項3.
前記1個の鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、項1又は2に記載のロタキサン化合物。
項4.
前記1個以上の環状分子のうちの一部又は全部が、1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよいクラウンエーテルである、
項1〜3のいずれか1項に記載のロタキサン化合物。
項5.
1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有し、且つ、
鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有する
ロタキサン化合物を含有する、
1個以上の不飽和結合を有するポリマーの連結剤。
項6.
項1〜4のいずれか1項に記載のロタキサン化合物、及びゴム化合物を含有する組成物。
項7.
(1)1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有し、且つ、
鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有する
ロタキサン化合物と、
(2)1個以上の不飽和結合を有するポリマーと
の共有化合物を含有する、
ロタキサンネットワークポリマー。
項8.
項1〜4のいずれか1項に記載のロタキサン化合物と、ゴム化合物の共有結合物である、ロタキサンゴム化合物。
項9.
1個以上のニトリルオキシド基を有し、且つ更に1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよい、21〜42員のクラウンエーテル。
本発明によれば、多様な構造のロタキサンネットワークポリマーの合成が可能になる。
1. 用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本発明が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。
本明細書中、室温は、10〜40℃の範囲内の温度を意味する。
念のために注記するにすぎないが、本明細書中に記載の化合物(これは、「化合物」との明記がないものも包含する。)は、特に記載が無い限り、フリー体、塩、溶媒和物、又はイオン等の形態にあると解釈されることを排除されず、その形態は、技術常識に基づいて解釈され得る。塩を構成するアニオンの例は、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンを包含する。
本明細書中、用語「ゴム(rubber)」は、ベンゼン、メチルエチルケトン、エタノール・トルエン共沸混合物などの沸騰中の溶剤に本質的には不溶性(しかし、膨潤できる)の状態に改質できる原料ゴム、又は既に改質されているエラストマー材料を意味する。
本明細書中、用語「原料ゴム(raw rubber)」は、ゴム製品を製造するための天然ゴム又は合成ゴムを意味する。
本明細書中、用語「ゴム化合物」は、ゴムを構成する主成分である化合物を意味する。ゴム化合物の例は、シス-1,4-ポリイソプレン等のゴム炭化水素を包含する。
2. ロタキサン化合物
本発明のロタキサン化合物は、
1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子、及び前記1個の鎖状分子のうちのいずれか1個以上の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する。
本発明のロタキサン化合物は、当業者が通常ロタキサンについて理解する通り、前記環状分子と前記鎖状分子が共有結合を介することなく、空間的な結合で結ばれた分子である。
前記反応性基は、不飽和結合を有するポリマーと反応できる。
このことに基づき、本発明のロタキサン化合物を使用して、様々な構造のポリマー化合物、特にロタキサンネットワークポリマーを合成できる。
2.1. 環状分子
本発明のロタキサン化合物は、その構成分子として環状分子を含有する。
当該環状分子は、後記で説明する鎖状分子が貫通する環(本明細書中、当該環を、主環と称する場合がある。)として、好ましくは21〜42員、より好ましくは21〜30員、特に好ましくは24員の環を1個有する。
当該環の好適な例は、環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよい、クラウンエーテルを包含する。
当該環状分子は、環構成原子上に1個以上の置換基を有していてもよい。
すなわち、本発明のロタキサン化合物の好適な例は、
前記1個以上の環状分子のうちの一部又は全部が、1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよいクラウンエーテルである、ロタキサン化合物
を包含する。
本発明のロタキサン化合物を構成する環状分子の好ましい例は、
1個以上のニトリルオキシド基を有し、且つ更に1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよい、21〜42員のクラウンエーテル
を包含する。
前記置換基の例は、(1)メルカプトメチル基、(2)メルカプト基、(3)アミノメチル基、(4)アミノ基、(5)水酸基、(6)ヒドロキシルメチル基、(7)カルボキシル基、(8)カルボキシルメチル基、(9)ハロゲン、(10)エーテル基、(11)チオエーテル基、(12)カルバメート基、(13)アミド基、(14)ペプチド基、(15)ビニル基、(16)アリル基、(17)エチニル基、(18)アルデヒド基、(19)アクリレート基、及び(20)メタクリレート基を包含する。
当該エーテル基の例は、フェニル基、及びケト基からなる群より選択される1個以上の置換基を有していてもよいポリエーテル基を包含する。
当該置換基は、例えば、1〜20個、又は1〜30個の原子から構成されることができる。
当該環状分子の一態様は、式(1):
[式中、各Rは、同一又は異なって、水素原子、又は置換基を表し、及び
nは、2〜8の整数を表す。
環構成酸素原子のうちの1〜3個は、NH、NR、又はSに置き換えられていてもよい。
−CHR−CHR−部の一部(例、2個)、又は全部は、置換基を有していてもよい環(例、ベンゼン環)を形成していてもよい。]
で表される化合物である。
前記環状分子の好適な例は、1個以上の置換基をそれぞれ有していてもよい、ジベンゾ−24−クラウン−8、24-クラウン-8、ベンゾ-24-クラウン-8、ビス(ビナフチル)-28-クラウン-8、ビス(ビフェニル)-28-クラウン-8、ジシクロヘキシル-24-クラウン-8、及びベンゾ/ビナフチル-24-クラウン-8を包含する。
前記環状分子のより好適な例は、1個以上の置換基をそれぞれ有していてもよい、ジベンゾ−24−クラウン−8、24-クラウン-8、ベンゾ-24-クラウン-8、及びジシクロヘキシル-24-クラウン-8を包含する。
本発明の好適な一態様では、本発明のロタキサン化合物が有する、前記1個以上の環状分子のうちのいずれか1個以上(好ましくは、全て)の分子は、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個)の反応性基を有する。
前記環状分子は、主環を構成する原子上に、前記反応性基を直接(すなわち、例えば、式(1)中のRで表される置換基として)有してよく、或いは前記置換基(例えば、式(1)中のRで表される置換基)上に反応性基を有してもよい。
前記主環が有する2個の置換基は、連結して、1個以上の置換基を有してもよい環(本明細書中、当該環を、副環と称する場合がある。)を形成していてもよい。前記反応性基、又は前記反応性基を有する置換基は、当該副環上に存在してもよい。
当該副環の例は、ベンゼン環を包含する。
本発明の一態様では、本発明のロタキサン化合物を構成する環状分子は、
式:−A−CN
[式中、Aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素部を表す]
で表される部分を有する。
Aは、好ましくは、
(1)アルキル基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基[例、t−ブチル基])、及びアリール基(例、フェニル、ナフチル)からなる群より選択される1個以上(例、1個、2個)の置換基で置換されていてもよい炭素数1〜6(好ましくは炭素数1)のアルカン(例、メタン、エタン)、又は
(2)1個以上(例、1個、2個、3個、4個、5個)の置換基(例、炭素数1〜4のアルコキシ基[例、メトキシ基、エトキシ基])で置換されていてもよい芳香族炭素環(例、ベンゼン環、ナフタレン環)である。
熱安定性の観点から好ましくは、Aは、1個以上(例、1個、2個)のアリール基(例、フェニル、ナフチル)で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルカンである。
前記した、1個以上のニトリルオキシド基を有し、且つ更に1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよい、21〜42員のクラウンエーテルは、新規化合物であり、本発明は当該化合物もまた提供する。
2.2. 鎖状分子
本発明のロタキサン化合物は、その構成分子として鎖状分子を含有する。
当該鎖状分子は、一般的なロタキサン化合物と同様に、前記主環の内径よりも大きい外径を有する嵩高い基(本明細書中、ブロック基と称する場合がある)の2個を、前記環状分子の主環の内径より小さい外径を有するリンカーが連結している分子構造を有する。
当該リンカーの鎖長は、前述したロタキサン化合物の運動性が失われない限り、特に限定されないが、例えば、その主鎖が、例えば、4〜100個、2〜200個、又は1〜500個の原子から構成されることができる。
当該リンカーは、前述したロタキサン化合物の運動性が失われない限り、置換基(例、オキソ基)を有していてもよい。
当該リンカーは、例えば、ポリテトラヒドロフラン、ポリエーテル、ポリアクリレート、又はポリカーボネート等のポリマー、或いはこれらをベースとするポリマーで構成され得る。
当該リンカーは、1個以上の−N−部を有することができる。当該部は、後記で説明する本発明のロタキサン化合物の製造時に、前記環状分子が有する酸素原子との間の静電相互作用により、当該鎖状分子の原料が当該環状分子主環を貫通している位置関係を保持することに寄与できる。1個以上の−N−部を有する本発明のロタキサン化合物は、アニオン(例、PF )を含有してもよい。
当該リンカーは、例えば、1個以上の−N−部を有し、且つ、アルキレン鎖、−CO−O−、−O−CO−、−O−、−CO−、−S−、−CS−、−NH−、及び−NR−(当該式中、Rは、アルキル基等の置換基を表す。)等からなる群より選択される構成単位を有することができる。
前記嵩高い基は、前記鎖状分子の前記環状分子からの脱離を防止できる程度に嵩高い基である限り、特に限定されず、例えば、それぞれ置換基(例、アルキル基)を有してもよい単環基(例、フェニル基)、縮合環基、若しくは集合環基、又はこれらを有する非環式基(例、アルキル基)であることができる。当該環は、芳香環であっても、非芳香環であってもよい。当該環は、炭素環であっても、複素環であってもよい。ここで、例えば、置換基を有する単環基は、嵩高い基であるために、t−ブチル基のような嵩高い置換基を1個以上有する単環であることができる。
当該嵩高い基の好適な例は、1個以上のC1−6アルキル基で置換されていてもよいアリール基(例、3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジニトロフェニル基、4−tert-ブチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、tert-ブチル基、トリチル基、ナフチル基、アントラセニル基)を包含する。
本発明のロタキサン化合物を構成する鎖状分子が前記反応性基を有する場合、その位置は、当該反応性基がポリマーと結合した際に、前述したロタキサン化合物の運動性が失われない限り、特に限定されないが、例えば、前記嵩高い基、又はその置換基上に(すなわち、前記リンカー上以外の位置に)好適に存在することができる。
本発明の好適な一態様では、本発明のロタキサン化合物が有する、前記1個の鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個)の反応性基を有する。
本発明のロタキサン化合物は、特に好ましくは、
(1)前記1個以上の環状分子のうちのいずれか1個以上(好ましくは、全て)の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個)の反応性基を有し、且つ
(2)前記1個の鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上(好ましくは、1個)の反応性基を有する。
本発明のロタキサン化合物の好適な一態様は、式(2)
[式中、
環状エーテル構造である環Aは、1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよいクラウンエーテル環状分子を表し、
Rは、置換基を表し、
nは、2〜8の整数を表す。
mは1、又2以上の繰り返し数を表し、
鎖状構造である鎖Bは、m個の−N−部を有する鎖状分子を表し、
、及びBは、同一又は異なって、ブロック基を表し、及び
は、−N−部と対をなすアニオンを表す。
m個の環A、及び鎖Bのうちの1個以上は、1個以上のニトリルオキシド基を有する。]
で表される化合物である。
当該式中の用語、及びそれらの態様、及び例は、前記の本発明のロタキサン化合物の説明から理解される。
で表されるアニオンの例は、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、及びテトラフルオロホウ酸イオンを包含する。
2.3. ロタキサン化合物の製造方法
本発明のロタキサン化合物は、後記の方法、又はこれに準じる方法により、製造できる。
後記の各反応の終了後は、所望により、常法に従って後処理操作を行なうことにより、生成物を単離、又は精製してもよい。前記生成物は、精製することなく、次工程に使用してもよい。
得られた本発明のロタキサン化合物は、所望により単離、又は精製できる。
精製方法の例は、再結晶、及びカラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段を包含する。
製造方法1
本発明のロタキサン化合物の製造方法の一態様は、
(1)環状分子(例、1個以上の置換基を有していてもよく、且つ環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよい、21〜42員のクラウンエーテル)に、ニトロ基を導入し、ニトロ基を有する環状分子1−1を得る工程;
(2)主鎖の一方の末端1Aにブロック基を有し、主鎖の他方の末端1Bに共有結合可能な基(例、水酸基)を有し、且つ当該ブロック基(末端1A)、及び当該共有結合可能な基(末端1B)の間に−N−部を有する鎖状分子1−2(当該鎖状分子は、塩[例、ヘキサフルオロリン酸]であることができる。)を用意する工程;
(3)環状分子1−1と、鎖状分子1−2を混合して、当該環状分子1の主環内に当該鎖状分子2を静電相互作用により保持させる工程;
(4)前記鎖状分子1の末端1Bの基と反応可能な基、及びニトロ基を有する化合物1−3を前記鎖状分子と反応させて、ブロック基、及びニトロ基を有する鎖状化合物1−4を得る工程;及び
(5)環状分子1−1、及び鎖状化合物1−4がそれぞれ有するニトロ基をニトリルオキシド基に変換する工程
を含む。
当該工程(1)〜工程(5)は、公知の方法、又はこれに準じる方法により、技術常識に従って、実施できるが、以下に工程(5)について、説明する。
工程(5)
工程(5)の反応は、環状分子1−1、及び鎖状化合物1−4に、イソシアネート、及びアミンを作用させることで実施される。
イソシアネートの使用量は、前記ニトロ基の1モルに対して、好ましくは、0.5〜5モルの割合であることができる。
イソシアネートの例は、芳香族イソシアネート(例、p−クロロフェニルイソシアネート)を包含する。
アミンの使用量は、前記「環状分子1−1、及び鎖状化合物1−4」の合計の1モルに対して、好ましくは、0.5〜5モルの割合であることができる。
アミンの例は、トリエチルアミンを包含する。
工程(5)の反応温度は、好ましくは10℃〜40℃の範囲内である。
工程(5)の反応時間は、好ましくは1〜5時間の範囲内である。
工程(5)の反応は、有機溶媒中で好適に実施できる。当該有機溶媒の例は、ジクロロメタンを包含する。
製造方法2
本発明のロタキサン化合物の製造方法の一態様は、
(1)環状分子(例、1個以上の置換基を有していてもよく、且つ環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよい、21〜42員のクラウンエーテル)であって、ニトリルオキシド基を有する環状分子2−1を用意する工程;
(2)任意の部位にニトリルオキシド基を有し、主鎖の一方の末端2Aにブロック基を有し、且つ主鎖の他方の末端2Bに共有結合可能な基(例、水酸基)を有し、且つ当該ブロック基(末端2A)、及び当該共有結合可能な基(末端2B)の間に−N−部を有する鎖状分子2−2(当該鎖状分子は、塩[例、ヘキサフルオロリン酸]であることができる。)を用意する工程;
(3)環状分子2−1と、鎖状分子2−2を混合して、当該環状分子2−1の主環内に当該鎖状分子2−2を静電相互作用により保持させる工程;及び
(4)前記鎖状分子2−1の末端2Bの基と反応可能な基を有する化合物2−3を前記鎖状分子と反応させて、本発明のロタキサン化合物を得る工程。
当業者は、製造方法2の各工程を、技術常識、及び製造方法1の説明から理解して、実施可能である。
製造方法3
本発明のロタキサン化合物は、前記の製造方法におけるニトリルオキシド基の導入方法に換えて、別の公知のニトリルオキシド基の導入方法を採用して、製造してもよい。
このような方法の例は、例えば、
ニトリルオキシド化合物は、
(3−1)目的とするニトリルオキシド化合物に対応する構造を有するホルミル体から、オキシム体を製造する工程、及び
(3−2)当該オキシム体をニトリルオキシド化合物に変換する工程
を含む方法が挙げられる。
ホルミル体をオキシム体に誘導する方法(工程(3−1))としては、特に制限されないが、ホルミル体をヒドロキシルアミン、又はその塩及び塩基で処理する方法が好ましく用いられ得る。
ヒドロキシルアミン塩の例は、塩酸ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン、及びリン酸ヒドロキシルアミンを包含する。
ヒドロキシルアミン、又はその塩の使用量は、例えば、ホルミル体のホルミル基1モルに対して、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1〜1.5モルであることができる。
前記塩基の例は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩を包含する。
塩基の使用量は、例えば、ホルミル体のホルミル基1モルに対して、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1〜1.5モルであることができる。
前記工程(3−1)は、通常溶媒中にて行なわれる。
使用可能な溶媒としては、特に制限されるものではないが、その例は、メタノール、エタノール等のアルコール;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル等のエステル;水、及びこれらの組み合わせを包含する。
反応温度は、好ましくは0〜100℃の範囲内、より好ましくは、10〜50℃程度の範囲内であることができる。
前記工程(3−2)により、オキシム体からニトリルオキシド化合物を得る方法としては、例えば、オキシム体を塩基及び塩素化剤、臭素化剤、又はヨウ素化剤で処理する方法が好ましく用いられ得る。
より具体的には、オキシム体を溶媒中に溶解、又は懸濁させ、当該溶液、又は懸濁液に、塩基を加え、ついで塩素化剤、臭素化剤、又はヨウ素化剤を添加して反応を行なう方法が好適である。
前記塩基としては、オキシム体が有する水酸基から水素を引き抜くことができる程度の塩基性を有する限り特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリブチルアミンなどを用いることができる。
塩基の使用量は、好ましくは、オキシム体1モルに対して1〜10モル、より好ましくは1〜5モルであることができる。
前記塩素化剤の例は、N−クロロこはく酸イミド(NCS)、塩素を包含し、なかでもNCSが好ましく用いられ得る。
臭素化剤の例は、N−ブロモこはく酸イミド(NBS)、臭素、2,4,4,6−テトラブロモ−2,5−シクロヘキサジエノン(TBCO)を包含し、なかでもNBS、臭素が好ましく用いられ得る。
ヨウ素化剤の例は、N−ヨードこはく酸イミド(NIS)、ICl(一塩化ヨウ素)、ヨウ素を包含し、なかでもNISが好ましく用いられ得る。
塩素化剤の使用量は、オキシム体1モルに対して、好ましくは1〜5モル、及びより好ましくは1〜3モルであることができる。
前記溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;酢酸エチル等のエステル;及び水;並びにこれらの組み合わせなどが挙げられる。
反応温度は、好ましくは0〜200℃の範囲内、及びより好ましくは、10〜100℃範囲内である。
組成物
本発明の組成物は、1種以上の、前記した本発明のロタキサン化合物を含有する。当該組成物は液体であっても固体であってもよい。また、当該組成物は、前記した本発明のニトリルオキシド化合物のみから構成されていてもよい。
一の態様において、本発明の組成物は、本発明のロタキサン化合物に加え、さらにニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料を含んでいてもよい。即ち、この態様において、本発明の組成物は、(1)本発明のロタキサン化合物、及び(2)ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料の混合物であり得る。
別の態様において、本発明の組成物は、他の組成物(例えば、ニトリルオキシド基との反応性を有する基を含む材料)を含有する組成物と組み合わせられた形態であってもよい。この態様において、本発明の組成物と他の組成物とは、例えば、所望の用途に用いるために、使用直前に混合され得る。
前記組み合わせでは、本発明の組成物と他の組成物との両方が液体であってもよく、一方が固体(ゲルを包含する)であってもよく、或いは両方が固体(ゲルを包含する)であってもよい。
本発明の組成物は、溶剤を含んでいてもよい。かかる溶剤は、組成物に含有される成分に応じて適宜選択することができる。
好ましい態様において、本発明の組成物、又は本発明の組成物と他の組成物との組み合わせは、ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料に適用するために使用される。
前記「ニトリルオキシド基との反応性を有する基」の例は、二重結合(例、C=C、C=N、N=N、C=S、P(V)=C、C=P(III)、C=As、C=Se、B=N、P(V)=N、C=O)を有する基、及び三重結合(例、C≡C、C≡N、C≡P)を有する基を包含する。その具体例は、アルケニル基、アルキニル基、及びニトリル基を包含する。
前記ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料は、特に限定されず、その例は、有機材料(例えば、樹脂等の高分子材料、ポリマー等の化合物)、及び無機材料(例えば、ガラス、セラミック、金属)、並びにこれらの組み合わせ等を包含する。
本発明の改質剤は、ニトリルオキシド基と反応性を有するものである限り、あらゆる有機化合物(好ましくは、ポリマー等の高分子材料)に対して、好適に使用できる。
前記ニトリルオキシド基との反応性を有する基を有する材料の好適な例は、ゴム化合物、及びそれを主成分として含有するゴムを包含する。
当該ゴム化合物の例は、
分子内にニトリル基(C≡N)を有する化合物である、PAN(ポリアクリロニトリル)化合物;
それぞれ分子内に炭素−炭素二重結合(C=C)を有する化合物である、NR(天然ゴム)化合物、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)化合物、及びポリノルボルネン化合物;及び
分子内にニトリル基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物である、NBR(ニトリルゴム)化合物等
を包含する。
2.4. 連結剤
本発明の連結剤は、
本発明の1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有し、且つ、
鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有する
ロタキサン化合物を含有する。
本発明の連結剤は、不飽和結合を有するポリマーの連結剤であることができる。
すなわち、本発明の連結剤は、不飽和結合を有するポリマーの連結に使用できる。
本発明の連結剤を用いて、不飽和結合を有するポリマーを連結することにより、ロタキサンネットワークポリマーを製造できる。
当該不飽和結合を有するポリマーの例は、ゴム化合物を包含する。
当該ゴム化合物の例は、
分子内にニトリル基(C≡N)を有する化合物である、PAN(ポリアクリロニトリル)化合物;
それぞれ分子内に炭素−炭素二重結合(C=C)を有する化合物である、NR(天然ゴム)化合物、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム)化合物、及びポリノルボルネン化合物;及び
分子内にニトリル基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物である、NBR(ニトリルゴム)化合物等
を包含する。
不飽和結合を有するポリマーの連結は、不飽和結合を有するポリマーと前記ロタキサン化合物との共有結合反応によって実現される。
当該反応は、特に限定されないが、有機溶媒中又は無溶媒で、本発明の前記ロタキサン化合物と前記ポリマーを接触させることにより行うことができる。
当該反応における、前記ロタキサン化合物の使用量は、不飽和結合を有するポリマーの不飽和結合の1モルに対して、好ましくは0.01〜0.10モル範囲内である。
当該反応は、有機溶媒中で好適に実施され得る。
当該反応に使用できる有機溶媒は、特に限定はされないが、ポリマー及び本発明のロタキサン化合物が共に溶解し易いものであることが好ましい。その具体例は、クロロホルム、及びDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、並びにそれらの組み合わせ等を包含する。
当該反応は、空気下で行ってもよいし、不活性ガスが充填された雰囲気下で行ってもよい。
当該反応に使用できる不活性ガスは、特に限定はされないが、その例は、アルゴン、及び窒素等を包含する。
当該反応が無溶媒で行われる場合には、前記当該反応は、混練装置で行うことが好ましい。
当該反応に使用できる混練装置は、特に限定はされはないが、その例は、二軸混練機、密閉式混練機、バンバリーミキサー、及びインターミックス等の混練機;並びに二軸押出機、単軸押出機、及び多軸押出機等の押出機等を包含する。
当該反応の温度は、本発明のロタキサン化合物がポリマーと反応する温度であれば、特に限定はされないが、例えば、化学反応であることから温度が高ければ反応が促進され、また加熱等の温度調節を行わなければ製造工程の管理が容易になるので、この観点から決定してもよい。
当該反応の温度は、具体的には、好ましくは、例えば、0〜150℃の範囲であることができる。
ポリマーがNBR、NR、EPDM等のように、不飽和結合として1個以上の炭素−炭素二重結合を少なくとも有するものである場合、当該反応の好適な温度は、例えば、20〜100℃である。PAN等のように、不飽和結合として三重結合のみを有するものである場合には、当該反応の好適な温度は、例えば、60〜150℃であることができる。
当該反応は、触媒を使用せずに好適に実施し得る。
当該反応の時間は、当該反応の目的が達成できるように、適宜設定すればよいが、例えば、好ましくは、1時間〜2日間であることができる。
当該結合は加熱、及び洗浄等の処理に対して、強固である。
これから理解される通り、本発明は、
(1)不飽和結合を有するポリマーの連結方法、
(2)本発明のロタキサン化合物と、1個以上の不飽和結合を有するポリマーとの共有化合物であるロタキサンポリマー化合物、及びその製造方法
ロタキサンネットワークポリマー、及びその製造方法、並びに
(3)本発明のロタキサン化合物と、ゴム化合物の共有結合物である、ロタキサンゴム化合物、及びその製造方法
もまた提供する。
2.5. ロタキサンポリマー化合物
本発明のロタキサンポリマー化合物は、本発明のロタキサン化合物と、1個以上の不飽和結合を有するポリマーとの共有化合物である。
当該ロタキサンポリマー化合物は、前記の記載を含む本明細書の記載から理解可能である。
当該ロタキサンポリマー化合物の製造方法は、前記の記載を含む本明細書の記載から理解可能である。
当該ロタキサンポリマー化合物は、ニトリルオキシド基に由来する、イソオキサゾリン環を有することができる。
2.6. ロタキサンネットワークポリマー
本発明のロタキサンネットワークポリマーは、
(1)1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有し、且つ、
鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有する
ロタキサン化合物と、
(2)1個以上の不飽和結合を有するポリマーと
の共有化合物
を含有する。
当該ロタキサンネットワークポリマーは、前記の記載を含む本明細書の記載から理解可能である。
当該ロタキサンネットワークポリマーの製造方法は、前記の記載を含む本明細書の記載から理解可能である。
当該ロタキサンネットワークポリマーは、ニトリルオキシド基に由来する、イソオキサゾリン環を有することができる。
2.7 ロタキサンゴム化合物
本発明のロタキサンゴム化合物は、本発明のロタキサン化合物と、ゴム化合物の共有結合物である。
当該ロタキサンゴム化合物、及びその製造方法は、前記の記載を含む本明細書の記載において、1個以上の不飽和結合を有するポリマーがゴム化合物である場合として、理解可能である。
当該ロタキサンゴム化合物は、ニトリルオキシド基に由来する、イソオキサゾリン環を有することができる。
本発明のロタキサンゴム化合物の好適な一態様は、
(1)1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
前記1個以上の環状分子が、イソオキサゾリン環を介してゴム化合物と連結されてあり、且つ、
鎖状分子が、イソオキサゾリン環を介してゴム化合物と連結されている。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中の記号及び略号の意味を以下に示す。
DMAP: 4−ジメチルアミノピリジン
DB24C8: ジベンゾ−24−クラウン−8
DIC: ジイソプロピルカルボジイミド
Bu3P: トリ(t−ブチル)ホスフィン
THF: テトラヒドロフラン
iPrOH: 2−プロパノール
TEA: トリエチルアミン
実施例中、特に記載の無い限り、収率(yield)は、単離収率を意味する。
当業者が理解する通り、化学式中の丸括弧は、構造単位を表す。丸括弧内の構造単位は、ブロックを形成していてもよく、又は形成していなくてもよい。
実施例1
次のスキーム1に示した方法、及び条件により、ニトリルオキシド[2]ロタキサン2-2を合成した。
スキーム1
前記スキーム1に記載の化合物の合成方法も含めて、当該スキーム1の方法を以下に記載する。
<(1)ニトロアルカン1-1の合成>

アルゴン雰囲気下で水酸化カリウム 2.2 g (40 mmol) を1,3-プロパンジオール 52 mLに溶解させ、ジフェニルニトロエテン 4.5 g (20 mmol)の脱水テトラヒドロフラン溶液 30 mLを加え、10時間室温にて撹拌した。1N塩酸とジエチルエーテルを加えて、抽出した後、水、Brineにて2回ずつ有機層を洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムによって乾燥させ、溶媒留去することで無色オイルのニトロアルカン1-1 4.21 g ( yield: 67%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K): δ(ppm) 1.91 (2H, m, -CH2), 3.50 (2H, t, J= 4.0 Hz, -CH2), 3.84 (2H, t, J= 4.0 Hz, -CH2), 5.36 (2H, s, -CH2NO2), 7.37 (10H, m, Ar-H)
<(2)ニトロアルカン1-2の合成)>

ニトロアルカン1-1 4.21 g (14 mmol)をジクロロメタン 24 mLに溶かし、無水グルタル酸 1.45 g (13 mmol)とDMAP 0.16 g (10 mol%)を加え、還流条件下で2時間撹拌した。反応を停止させるため、1N塩酸を加え30分程撹拌した。ジエチルエーテルによって抽出したのち、硫酸マグネシウムを加えることでニトロアルカン1-2 (yield: 47%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, 6d-DMSO, 298 K): δ(ppm) 12.1 (1H, s, -COOH), 7.31-7.24 (10H, m, Ar), 5.75 (2H, s, -CH2NO2), 4.13 (2H, t, J= 4.0 MHz, -CH2COO-), 3.39 (2H, t, J= 4.0 MHz, -CH2O-), 2.24 (4H, m, -CH2), 1.86 (2H, t, -CH2-), 1.68 (2H, t, -CH2-).
<(3)ニトロアルカン[2]ロタキサン2-1の合成)>
ニトロアルカン1-2 0.30 g (0.72 mmol)を脱水ジクロロメタン 0.5 0mLに溶解させ、30分間撹拌した(溶液1)。軸成分 1-0 0.19 g (0.48 mmol)の脱水ジクロロメタン溶液 0.5 mLにDB24C8 0.38 g (0.58 mmol)を加え、室温にて撹拌した。さらに、トリブチルホスフィン 78 μLと溶液1を加えて、室温で12時間撹拌した。分取GPCによって精製することでニトロアルカン[2]ロタキサン2-1 0.40 g ( yield: 47%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K): δ(ppm) 0.94 (22H, m, -CH2-), 1.55 (2H, m, -CH2-), 2.17 (6H, s, -CH3), 2.33 (4H, m, -CH2COO-), 3.07 (2H, s, -CH2NH2-), 3.44 (2H, m, -CH2O-), 3.62 (8H, m), 3.82 (8H, m), 4.08 (8H, m), 4.22 (2H, m, -CH2O-), 4.49 (2H, m, -CH2NH2-), 5.34 (2H, s, -CH2NO2), 6.85-7.33 (13H, m, Ar-H)
<(4)ニトリルオキシド[2]ロタキサン2-2の合成>
ニトロアルカン[2]ロタキサン2-1 0.40g (0.30 mmol)を脱水ジクロロメタン 0.50mLに溶解させ、p-クロロフェニルイソシアネート 0.14 g (0.91mmol)とトリエチルアミン 0.52mL (1.81 mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。濾過後、ろ液の溶媒を留去し、分取GPCを用いて精製することでニトリルオキシド[2]ロタキサン2-2 0.18 g ( yield: 46%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K): δ(ppm) 0.94 (22H, m, -CH2-), 1.55 (2H, m, -CH2-), 2.17 (6H, s, -CH3), 2.33 (4H, m, -CH2COO-), 3.07 (2H, s, -CH2NH2-), 3.44 (2H, m, -CH2O-), 3.62 (8H, m), 3.82 (8H, m), 4.08 (8H, m), 4.22 (2H, m, -CH2O-), 4.49 (2H, m, -CH2NH2-), 6.85-7.33 (13H, m, Ar-H)
実施例2
<ニトリルオキシド[2]ロタキサン 2-2のNRへの修飾>
天然ゴム(NR) 58 mg ( 0.83 mmol) をクロロホルム 1.0 mLに溶解し、ニトリルオキシド[2]ロタキサン2-2 110 mg (82 μmol) を加え40℃26時間加熱撹拌した。溶媒を除去後、分取BPCにて精製して、ロタキサン修飾NRを得た。
実施例3
<イソオキサゾリン[2]ロタキサン2-3の合成>
ニトリルオキシド[2]ロタキサン2-2 80 mg (60 μmol) クロロホルム溶液 0.50 mLにアリルトリメチルシラン 70μL (0.60 mmol)を加え、40℃で10時間加熱撹拌した。溶媒及び未反応のアリルトリメチルシランを除去することでイソオキサゾリン[2]ロタキサン2-3を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K): δ(ppm) 0.94 (22H, m, -CH2-), 1.55 (2H, m, -CH2-), 2.17 (6H, s, -CH3), 2.33 (4H, m, -CH2COO-), 3.07 (2H, s, -CH2NH2-), 3.44 (2H, m, -CH2O-), 3.62 (8H, m), 3.82 (8H, m), 4.08 (8H, m), 4.22 (2H, m, -CH2O-), 4.49 (2H, m, -CH2NH2-), 6.85-7.33 (13H, m, Ar-H)
実施例4−1
<ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン3-3の合成>
次のスキーム2に示した方法、及び条件により、軸成分1-0の末端にニトリル-N-オキシド基を有するロタキサン3-3を合成した。具体的には、カルボン酸含有ナフトアルデヒドB(後記スキーム中の化合物B)をエンドキャップ剤として、アルデヒド含有[2]ロタキサン3-1を合成した。さらに、ヒドロキシルアミン塩酸塩と酢酸ナトリウム三水和物とを反応させることで、オキシム[2]ロタキサン3-2を合成した。そして、NCSとトリエチルアミンを加え4時間撹拌することでニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン3-3を合成した。目的物の生成は、1H-NMR、MALDI-TOF-MS、及びIRスペクトルによって確認された。
スキーム2
実施例4−2
<ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン3-3の合成>
実施例4−1と類似の方法で、以下に記載する通り、ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン3-3の合成を行った。
<(1)アルデヒド3-1の合成>
カルボン酸含有ナフトアルデヒドB 92 mg (0.30 mmol)を脱水ジクロロメタン 0.50mLに溶解させ、30分間撹拌した。また、軸成分1-0 0.10 g (0.22 mmol)の脱水ジクロロメタン溶液 0.5 mLにDB24C8 0.12 g (0.25 mmol)を加え、室温にて撹拌した。これらを混合し、さらにトリブチルホスフィン 39μLを加えて、室温で12時間撹拌した。反応溶液をヘキサン:ジエチルエーテル(=1:1) で再沈殿し、分取GPCによって精製することでアルデヒド3-1 0.26 g ( yield: 47%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K):δ(ppm) 10.9 (s, 1H, -CHO), 9.26 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.06 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.77 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.61 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.41 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.11( s, 2H, N-H), 6.91-6.75 ( m, 11H), 4.52 (s, 2H), 4.25-4.21 (m, 10H), 3.82 (m, 10H), 3.64-3.42 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.36 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 2.18 (m, 6H), 1.91 (m, 2H), 1.75 (m, 2H), 1.63-1.60 (m, 2H), 1.59-0.94 (m, 20H).
<(2)オキシム[2]ロタキサン3-2の合成>
アルデヒド3-1 0.26 g (0.22 mmol) をエタノール:THF (2:1)溶液に溶解し、酢酸ナトリウム三水和物 48 mg ( 0.35 mmol)とヒドロキシアミン塩酸塩 26 mg (0.37 mmol)水溶液1 mLをかわえて5時間撹拌した。超純水を加えて、反応を停止しクロロホルムにて抽出した。超純水で2回洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて有機層を乾燥させ、溶媒を留去することで黄色オイルであるオキシム[2]ロタキサン3-2 0.12 g ( yield: 52%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K):δ(ppm) 8.86 (s, 1H, -NOH), 8.82 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.86 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.77 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.37 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.10( s, 2H, N-H), 6.98-6.75 ( m, 11H), 4.52 (s, 2H), 4.37-4.07 (m, 10H), 3.92-3.73 (m, 10H), 3.62-3.40 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.38-2.27 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 2.22 (m, 6H), 1.87 (m, 2H), 1.75 (m, 2H), 1.57 (m, 2H), 1.43-0.82 (m, 20H).
<(3)ニトリルオキシド[2]ロタキサン3-3の合成>
オキシム[2]ロタキサン3-2 0.12 g (0.11 mmol) のクロロホルム溶液3 mlにNCS 50 mg (0.16 mmol) とトリエチルアミン 56 μLを加え、5時間撹拌した。MALDI-TOF-MSにより目的物の生成を確認したのち、超純水にて2回洗浄して、白色固体のニトリルオキシド[2]ロタキサン3-3を得た。
H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K):δ(ppm) 7.95 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.86 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.77 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.37 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.10( s, 2H, N-H), 6.98-6.75 ( m, 11H), 4.52 (s, 2H), 4.37-4.07 (m, 10H), 3.92-3.73 (m, 10H), 3.62-3.40 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.38-2.27 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 2.22 (m, 6H), 1.87 (m, 2H), 1.75 (m, 2H), 1.57 (m, 2H), 1.43-0.82 (m, 20H).
実施例5−1
<ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン 4-3の合成>
次のスキームに示した方法、及び条件により、輪成分と軸成分にニトリル-N-オキシド基を導入した二官能性ニトリル-N-オキシド含有ロタキサンの合成を行った。まず、アルデヒド含有クラウンエーテル4-0を合成した。その後、前記の3-3の合成と同様の合成法にて二官能性ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン4-3を合成した。反応の進行、及び目的物の生成が、1H-NMR、及びMALDI-TOF-MSによって確認された。
実施例5−2
<ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン 4-3の合成>
実施例5−1と類似の方法で、以下に記載する通り、ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン 4-3の合成を行った。
<(1)化合物4-0の合成>
カルボン酸含有ナフトアルデヒドB 0.28 mg (0.58 mmol)を脱水ジクロロメタン 0.50mLに溶解させ、30分間撹拌した(溶液1A)。脱水ジクロロメタン 0.5 mLに輪成分4-r 0.28 g (0.87 mmol)を加え、室温にて撹拌した。さらに、トリブチルホスフィン 16μLと溶液1Aを加えて、室温で12時間撹拌した。反応溶液をヘキサン:ジエチルエーテル (=1:1) で再沈殿し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル:アセトニトリル=50:1) によって精製することで化合物4-0 0.23g ( yield: 68%) を得た。
10.9 (s, 1H, -CHO), 9.28 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 8.04 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.77 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.62 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.43 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.30 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 6.89-6.79 ( m, 7H), 5.01 (s,2H, l), 4.52 (s, 2H), 4.25-4.21 (m, 10H), 3.82 (m, 10H), 3.64-3.42 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.36 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 2.18 (m, 6H), 1.91 (m, 2H), 1.75 (m, 2H), 1.63-1.60 (m, 2H),
<(2)化合物4-1の合成>
カルボン酸含有ナフトアルデヒドB 0.14 g (0.50 mmol)を脱水ジクロロメタン 0.25 mLに溶解させ、DIC 0.12 mlを30分間撹拌した(溶液1B)。軸成分4-a 0.15 g (0.33 mmol)の脱水ジクロロメタン溶液 0.25 mLにDB24C8 0.30 g (0.39 mmol)を加え、室温にて撹拌した。さらに、トリブチルホスフィン 39μLと溶液1Bを加えて、室温で12時間撹拌した。反応溶液をヘキサン:ジエチルエーテル(=1:1) で再沈殿し、分取GPCによって精製することで化合物4-1 0.20 g ( yield: 11%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K):δ(ppm) 10.9 (s, 2H, -CHO), 9.26 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 8.06 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.77 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.61 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.41 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.30 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.11( s, 2H, N-H), 6.91-6.75 ( m, 11H), 5.01 (s,2H), 4.52 (s, 2H), 4.25-4.21 (m, 10H), 3.82 (m, 10H), 3.64-3.42 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.36 (t, 4H, J = 4.8 Hz), 2.18 (m, 6H), 1.91 (m, 4H), 1.75 (m, 4H), 1.63-1.60 (m, 4H), 1.59-0.94 (m, 20H).
<(3)化合物4-2の合成>
アルデヒド4-1 50 mg (37 μmol) をエタノール:THF (2:1)溶液に溶解し、酢酸ナトリウム三水和物 15 mg ( 0.11 mmol)とヒドロキシアミン塩酸塩 8 mg (0.11 mmol)水溶液1 mLをかわえて室温で7時間撹拌した。MALDIにて生成を確認後、水を加えて反応を停止させクロロホルムで抽出した。蒸留水で2回洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて有機層を乾燥させた。溶媒流去を行って、白色オイルとして化合物4-2 49 mg ( yield: 98%) を得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K):δ(ppm) 8.86 (s, 2H, -NOH), 8.82 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.85 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.77 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.56 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.37 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.35-7.31 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.07 ( s, 2H, N-H), 6.91-6.75 ( m, 11H), 5.02 (s,2H), 4.48 (s, 2H), 4.15-4.05 (m, 10H), 3.91-3.80 (m, 10H), 3.64-3.41 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.38 (t, 4H, J = 4.8 Hz), 2.16 (m, 6H), 1.88 (m, 4H), 1.85 (m, 4H), 1.55 (m, 4H), 1.43-0.81 (m, 20H).
<(4)ニトリルオキシド[2]ロタキサン4-3の合成>
化合物4-2 0.15 mg (0.11 mmol) のクロロホルム溶液3 mlにNCS 0.12 g (0.33 mmol) とトリエチルアミン 0.12 mLを加え、室温で5時間撹拌した。MALDI-TOF-MSにより目的物の生成を確認したのち、蒸留水にて2回洗浄をした。分取GPCにて精製を行って、固体のニトリルオキシド[2]ロタキサン4-3を得た。
H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K):δ(ppm) 7.94 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.80 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.59 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.42 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 7.29 (d, 2H, J = 4.8 Hz), 6.90 ( m, 11H), 5.02 (s,2H), 4.48 (s, 2H), 4.20-4.06 (m, 10H), 3.89-3.82 (m, 10H), 3.72-3.41 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.41-2.27 (t, 4H, J = 4.8 Hz), 2.16 (m, 6H), 1.89 (m, 4H), 1.73 (m, 4H), 1.57 (m, 4H), 1.43-0.81 (m, 20H).
実施例6
<ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン3-3の安定性試験>
IR測定における、ニトリル-N-オキシド由来の顕著なピークの観測によりニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン3-3は0 °C下で10日間安定であることが分かった。2週間経過したあたりでは、ニトリル-N-オキシド由来のピークの減少、及びイソシアネート由来と考えられるピークの出現が観察された。
実施例7−1
<ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン 3-3の反応試験>
次のスキームに示した条件で、ニトリル-N-オキシド[2]ロタキサン 3-3を、アリルトリメチルシランと反応させることにより、その反応性の評価を行った。1H-NMRにより、反応がほぼ完全に進行したことが確認された。
実施例7−2
<トリメチルシランロタキサン3-4の合成>
実施例7−1の反応試験と類似の方法で、トリメチルシランロタキサン3-4の合成を行った。
ニロリルオキシド[2]ロタキサン 3-3 5.0 mg (3.7 μmol) のクロロホルム溶液 0.5 mLにアリルトリメチルシラン 4.2μL (37 μmol)を加えて、24時間撹拌した。未反応のアリルトリメチルシランを溶媒とともに留去して、トリメチルシランロタキサン3-4を得た。
H-NMR (400 MHz, CDCl3, 298 K):δ(ppm) 8.04 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.88 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.77 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.51 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.37 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.22 (d, 1H, J = 4.8 Hz), 7.11 ( s, 2H, N-H), 6.97-6.84 ( m, 11H), 4.52 (s, 2H), 4.37-4.07 (m, 10H), 3.92-3.73 (m, 10H), 3.62-3.40 (m, 8H), 3.06 (s, 2H), 2.98 (m, 2H), 2.38-2.27 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 2.22 (m, 6H), 1.87 (m, 2H), 1.75 (m, 2H), 1.57 (m, 2H), 1.40-0.85 (m, 20H).
実施例8−1
<ロタキサンゴムの合成>
次のスキームに示した条件で、ニトリル-N-オキシド3-3を分子量の低いポリブタジエン(PBD, Mw 5000)と反応させて、ロタキサンゴムを得た。反応の進行、及び目的物の生成は、1H-NMR、及びIRにて確認した。1H-NMR分析により、反応が定量的に進行したことが確認された。
スキーム4
実施例8−2
<ニトリルオキシド[2]ロタキサン3-3のPBDへの修飾反応>
実施例8ー1の合成と同様の方法で、ニトリルオキシド[2]ロタキサン 3-3 20 mg (19 μmol)のクロロホルム溶液0.5mLにポリブタジエン21mgを加え、50℃、24時間加熱撹拌して、粘性体を得た。これをメタノール中で再沈殿させて、白色オイルとして修飾物を得た。
実施例9−1
汎用高分子である、PBD、NR、及びSBR(スチレン・ブタジエンゴム)等の原料ゴムのそれぞれと、2官能性ニトリル-N-オキシド4-3(0.5-2.0 mol%)とを、触媒の不存在下で、CHCl3中、50℃で24時間加熱攪拌した。その結果、それぞれ、CHCl3等の各種溶媒に不溶な架橋体が得られた。これにより、ロタキサン型の2官能性ニトリル-N-オキシドが架橋剤として有効に作用することが確認された。
実施例9ー2
<ニトリルオキシド[2]ロタキサン4-3のPBDへの架橋反応>
実施例9−1と同様の方法で、ニトリルオキシド[2]ロタキサン4-3のPBDへの架橋反応の架橋反応を実施した。ニトリルオキシド[2]ロタキサン 4-3 20 mg (3.7 μmol)のクロロホルム溶液 0.5 mLにポリブタジエン 17mgを加え、50℃、24時間加熱撹拌して、粘性体を得た。これをメタノール中で再沈殿させて、白色オイルとして架橋物を得た。
実施例10
次のスキームに示した方法、及び条件により、化合物5−5の前駆体である化合物5−4を合成した。目的物の生成は、1H-NMR、MALDI-TOF-MS、及びIRスペクトルによって確認された。

Claims (9)

  1. 1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
    前記1個以上の環状分子、及び前記1個の鎖状分子のうちのいずれか1個以上の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、ロタキサン化合物。
  2. 前記1個以上の環状分子のうちのいずれか1個以上の分子が、それぞれ、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、請求項1に記載のロタキサン化合物。
  3. 前記1個の鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個以上の反応性基を有する、請求項1又は2に記載のロタキサン化合物。
  4. 前記1個以上の環状分子のうちの一部又は全部が、1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
    環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよいクラウンエーテルである、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のロタキサン化合物。
  5. 1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
    前記1個以上の環状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有し、且つ、
    鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有する
    ロタキサン化合物を含有する、
    1個以上の不飽和結合を有するポリマーの連結剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のロタキサン化合物、及びゴム化合物を含有する組成物。
  7. (1)1個以上の環状分子、及び前記1個以上の環状分子を貫通している1個の鎖状分子からなり、
    前記1個以上の環状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有し、且つ、
    鎖状分子が、ニトリルオキシド基、及びアジド基からなる群より選択される1個の反応性基を有する
    ロタキサン化合物と、
    (2)1個以上の不飽和結合を有するポリマーと
    の共有化合物を含有する、
    ロタキサンネットワークポリマー。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のロタキサン化合物と、ゴム化合物の共有結合物である、ロタキサンゴム化合物。
  9. 1個以上のニトリルオキシド基を有し、且つ更に1個以上の置換基を有していてもよく、且つ
    環構成酸素原子のうちの1〜3個がNH、又はSに置き換えられていてもよい、21〜42員のクラウンエーテル。
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