JP2004083726A - ロタキサン複合体及びその製造方法。 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ロタキサン複合体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、多数の環状化合物の環状部分に特定の直鎖状化合物が貫通した構造であるロタキサンが注目されている。
この化合物は、環状化合物の空洞部分を貫通した直鎖状化合物を親水性及び疎水性の状態とし、両末端を嵩高の置換基により修飾することにより、直鎖状化合物に沿って、環状化合物を移動させることができる構造となっている。環状化合物を移動させることにより、この化合物に分子ピストン機能ないしセンサー機能を発現させることができる。
本発明者らは、このような作用に注目して、この新規なロタキサン構造体に関する発明をした(特願平11−176952「ロータキサン構造を主鎖に含む化合物及びその中間体、並びにその製造方法」浅川真澄、エイデン・マーフィー、デイビッド・エイ・レイ、清水敏美、及び特願2001−337377「ポリ[3]ロタキサン製造用モノマー及びその製造方法」浅川真澄、秋山めぐみ、平本真由美、清水敏美等)。
この新規な構造体において、環状化合物をできるだけ数多く組み込むようにすることができれば、従来のロタキサンと比較して、数多くの環状化合物を存在させることができることになり、より周囲の状況やその変化を明確に把握することができると考えられる。環状化合物を数多く存在させるためには、ロタキサン化合物をできるだけ多くつなぎ合わせた複合体、あるいは連続化して得られる複合体が有効であると考えられる。このような構造体が得られれば、環状化合物が特定の範囲内を移動することができるので、規則的に配列された構造体では、環状分子の環とその環状部分を貫通する軸となる構造体、わかりやすくその構造を表現すれば、そろばんのたまのような構造体を、合成することができることになり、前記分子ピストン機能及びセンサー機能を、より一層有効に発揮するものと考えられる。
一般に、従来から知られている複合体は、構造単位であるモノマーが単純な構造をしているために、オリゴマー、テロマー或いはポリマー化することは通常の手段が採用されてきた。これらの手段により複合化される主鎖構造は、モノマーの種類と反応様式によって相違する。たとえば、二重結合或いは三重結合を有するモノマーではラジカル反応が用いられ、又単結合を有し、その末端に反応性の基を有する構造のモノマーでは縮重合反応により、複合化することが行われてきた。
しかしながら、ロタキサンは従来から知られている前記のモノマーと比較して、構造が複雑であり、単純に従来の複合化手段を用いることができるというものではないと考えられる。ロタキサンを構成する環状部分は、嵩の大きな空間配置を有する化合物であり、このような構造体について前記のモノマーと同様な手段を適用したとしても果たして満足する結果が得られるかどうかということは、わからないということである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、新規なロタキサン複合体及びその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ロタキサン複合体或いは高分子体を開発するために、鋭意研究を重ねた結果、一般式
【化5】(II)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、Qは、反応性の置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。)
で表される二種類のロタキサン化合物を反応させ、又は、二種類のロタキサンを二官能性試薬とともに反応させることにより複合化することができ、新規な、下記一般式(I)で表される、ロタキサン複合体を製造することができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【化6】(I)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Yは、2価の有機基を表し、Lは、2価の有機基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。
ただし、前記Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる大きさの構造である。m、nは、任意の数を表す。)
【0005】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(I)
【化7】(I)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、Lは、置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、前記Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる大きさの構造である。この複合体は2種類の異性体混合物からなり、m、nは任意の数を表す。)
で表されることを特徴とするロタキサン複合体。
(2)下記一般式(II)で示されるロタキサン化合物を反応させることを特徴とする、前記一般式(I)で示されるロタキサン複合体の製造方法。
【化8】(II)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、Qは、反応性の置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。)
(3)下記一般式(II)で示される2種類のロタキサン化合物を、下記一般式(III)で表される二官能性試薬と反応させる事を特徴とする前記一般式(I)で示されるロタキサン複合体の製造方法。
【化9】(II)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Yは、2価の有機基を表し、Qは、反応性の置換基を表し、Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。)
【化10】(III)
(式中、Pは、反応性の置換基を表す。ただし、Pは、前記Qと反応が行われ、カルボニル基、アミド基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルフィド基、ウレア基などを生成する基であり、水酸基、アミノ基、ハロゲン基、イソシアナート基、カルボキシル基、ホルミル基、チオール基、ビニル基である。また、式中Aは、置換基を表し、アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基である。Aは必ずしも必要ではなく、Pが直接結合していてもよい。Aは、Qと反応しない基である。)
【0006】
【発明実施の形態】
本発明で得られるロタキサン複合体は、下記一般式(I)で表される化学構造を有するものである。
【化11】(I)
前記式中、Rは、炭化水素基である。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表す。
脂肪族炭化水素としては、炭素数4から20のアルキル基であり、直鎖状であっても、分岐状であっても差し支えない。アルキル基の一部又は全部の水素原子は,ハロゲン原子などで置換されていても差し支えない。ハロゲン原子は、塩素、フッ素、ヨウ素、臭素から選ばれる原子である。この脂肪族炭化水素基は、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造の置換基であることが必要である。
芳香族炭化水素としては、単環式炭化水素、多環式芳香族炭化水素、縮合芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を挙げることができる。前記脂肪族炭化水素基の場合と同じく、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造の置換基であることが必要である。芳香族炭化水素としては、アルキル基により置換されているもの又は置換されていないものであってもよい。具体的には、フェニル基、フェノール基、4−t−ブチルベンジル基、3,5−ジメチルベンジル基、トリフェニルメチル基、アントラセン基の他、 アルキル基により置換されているフェニル基、ジアルキル基置換されているフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、ナフタレン基、アントラセン基及びこれらの基がアルキル基、またはジアルキル基により置換されていても差し支えない。
脂環式炭化水素としては、これらの基も、前記脂肪族炭化水素の場合と同じく、クラウンエーテルの部分が外れてしまうことを防止する役割を果たすものであり、一部の水素がアルキル基により置換されているものでも差し支えない。脂環式炭化水素もジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造の置換基であることが必要である。具体的には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基であり、これらの基は、アルキル基により置換されていてもよい。
Lは、二種類のロタキサンを結合させる基(ロタキサン化合物の反応性の基Qが、他のロタキサン化合物のQと結合して形成される、または、後で述べる二官能試薬P−A−Pを介して、他のロタキサン化合物のQと結合して形成される)であり、2価の有機基を表し、二つの芳香族環の結合基の役割を果たしており、化学的には安定な基である。置換基Aとしては、具体的には、アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンチオエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基である。これらの基の間には、エステル基、アミド基、ウレア基、NR基(Rは、アルキル基又はフェニル基を表す。)を含んでいてもよい。Lは、原料物質である2種類の一般式(II)で表されるロタキサン化合物の置換基Qを反応させることにより形成されるものである。この反応では、前記反応性の置換基(Q)同士を反応させる場合と二官能性試薬(P−A−P:Pは反応性の置換基、Aは結合基である。)を介して2つのロタキサン化合物のQを反応させる場合がある。アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンチオエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基が存在し(前記Aの部分に相当)、その両端にエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、スルフィド基、ジスルフィド基などが両端に存在する(Qと前記Pが反応して生成したものである。)場合、及びエステル基、エーテル基、ジスルフィド基、アルキル基、ビニル基により結合されている場合(QとQが反応して生成される基)がある。
Xは、陰イオンを表し、過塩素酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム、又はトリフルオロ酢酸などの一部から構成される任意の陰イオン原子を表す。
非極性有機溶媒に対して、ロタキサン化合物を溶解させるようにするためのものであり、具体的には、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなどの基を挙げることができる。
n,mは、2種類のロタキサンが反応することにより形成される複合体により定まる値である。つまり2種類のロタキサンが反応する結果により定まる値である。たとえば、n,m=1という場合には、1種類のロタキサン1分子と1種類のロタキサン1分子が反応して生成していることを表す。
【0007】
このポリロタキサンの全体の構造は、環状分子と棒状分子がそろばんの珠(環状分子に相当)と軸(棒状分子に相当)のような形状の立体構造をしており、この化合物の組み合わせは、共有結合を介することなく、機械的につながったものであり、高分子エラストマーとして有用な化合物である。この化合物の組み合わせ自体は、共有結合を介することなく、反応により結合した基により結合されており、環状部分が多数存在するものである。環状部分は、周囲の特定の条件が変化すると、それに応じて変化するので、その応答には変化が生ずることとなる。機能性分子としての働きを有するものである。低温エラストマーや高弾性ゴム材料などとして、有機系高分子材料として用いることができる。
【0008】
前記一般式(I)の化合物としては、以下のような構造式の化合物を挙げることができる。
さらに、具体的に、一般式(I)で表される化合物について説明する。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0009】
前記ロタキサン複合体の製造方法は、以下の工程により製造される。
(1)ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体(下記一般式(IV))及び2級アンモニウム塩誘導体(下記一般式(V))を反応させて、ロタキサン(下記一般式(VI))を製造する。
(2)ロタキサン(下記一般式(VI))を反応させて、ロタキサン化合物(一般式(II)を製造する。
(3)ロタキサン化合物(一般式(II))を反応させて、目的とするロタキサン複合体(一般式(I))を製造する。
さらに、(1)から(3)の工程を詳細に以下に説明する。
【0010】
(1)ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体(下記一般式(IV))及び2級アンモニウム塩誘導体(下記一般式(V))を反応させて、ロタキサン(下記一般式(VI))を製造する工程について
反応出発物質のジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体(下記一般式(IV))は公知物質である。この物質は、ベンゼン−1,2−ジオールから合成された1,2−フェニレンビス(オキシエチレンオキシエテレンオキシエチレン)ジトシレートと置換基Qを持つ3,4−ジヒドロキシベンゼン誘導体を炭酸セシウム存在下、高温で反応させることによって得られる。(David J. Williams, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 37, 1294−1297 (1998))
【化17】(IV)
式中、Qは、反応性の置換基を表す。
Qは、OH基,COOH基、NH2基、CHO基、SH基、エステル基、ビニル基、ハロゲン原子などの反応性の基が直接芳香族化合物の水素原子と置換されているか,又は末端が前記の反応性の基により置換されているアルキル基を表す。
もう一方の原料物質は、2級アンモニウム塩誘導体(下記一般式(V))であり、公知物質である。この物質は、アルデヒドとアミンの脱水縮合反応とそれに続く還元によって得られた2級アミンに酸を添加することによって得られる。(David J. Williams, et al., Chem. Eur. J., 6, 2274−2287 (2002))
【化18】(V)
式中、Rは、炭化水素基を表し、Eは、反応性の置換基を表す。
Rは、前記一般式(I)で表される化学構造の置換基Rと同じである。炭化水素基は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表す。Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造であり、クラウンエーテルが抜けることを阻止することができる構造である。Eは、OH基,COOH基、NH2基、CHO基、SH基、ビニル基、ハロゲン原子などの反応性の基が直接芳香族化合物の水素原子と置換されているか,又は末端が前記の反応性の基により置換されているアルキル基を表す。
この反応性の基は、次の工程で他の反応性の基Eと、又は二官能性試薬((P−A−P:Pは反応性の置換基、Aは結合基である。結合基としては、具体的には、アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基などである。これらの基の間には、エステル基、アミド基、ウレア基、NR基(Rは、アルキル基またはフェニル基をあらわす。)を含んでいてもよい。また、このAを介することなく、直接以下のPが結合していてもよい。Pは前記置換基Eと反応が行われ、カルボニル基、アミド基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルフィド基、ウレア基などを生成するような構造であり、水酸基、アミノ基、ハロゲン基、イソシアナート基、カルボキシル基、ホルミル基、ビニル基、チオール基、が挙げられる。)と反応する基である。
反応性の基であるEとE、又は、Eと二官能性試薬(P−A−P)が反応した結果、一般式(II)で示されるロタキサン化合物の基Yを形成する。
アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンチオエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基が存在し(前記Aの部分に相当)、その両端にエステル基、アミド基、エーテル基、ウレア基、スルフィド基、ジスルフィド基などが両端に存在する(Qと前記Pが反応して生成したものである。)場合、及びエステル基、エーテル基、ジスルフィド基、アルキル基、ビニル基により結合されている場合(QとQが反応して生成される基)がある。
Xは、任意の陰イオン原子を表す。前記EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度が低く、ロタキサン形成の際クラウンエーテルと2級アンモニウム塩間の相互作用を妨げない置換基であることが必要である。
前記一般式(III)で示されるジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体と前記一般式(IV)で示される2級アンモニウム塩誘導体を、非極性溶媒中反応温度10〜60℃で反応させてロタキサン(下記一般式(V))を得ることができる。具体的な溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホルムを用いる。
【化19】(VI)
式中、Qは、前記反応性の置換基を表し、Rは、前記炭化水素基を表し、Eは、前記反応性の置換基を表し、
Xは、前記任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる構造であり、EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度の低い置換基である。
【0011】
(2)ロタキサン(前記一般式(VI))を反応させて、ロタキサン化合物(下記一般式(II))を製造する工程について
前記ロタキサン(前記一般式(VI))を反応させて、下記ロタキサン化合物(一般式(II))を製造するものである。
ロタキサン化合物(一般式(II))を製造する際には、反応性の基Eが反応することにより、ロタキサン化合物を結合する。
前記のように、Eは、OH基,COOH基、NH2基、CHO基、SH基、ビニル基、ハロゲン原子などの反応性の基が直接芳香族化合物の水素原子と置換されているか,又は末端に前記の反応性の基により置換されているアルキル基を表す。
この反応性の基は、他のロタキサンの反応性の基Eと、又は二つのロタキサンのEと二官能性試薬((P−A−P:Pは反応性の置換基、Aは置換基である。置換基としては、具体的には、アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基などである。これらの基の間には、エステル基、アミド基、ウレア基、NR基(Rは、アルキル基またはフェニル基をあらわす。)を含んでいてもよい。また、このAを介することなく、直接以下のPが結合していてもよい。Pは前記置換基Eと反応が行われ、カルボニル基、アミド基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルフィド基、ウレア基などを生成するような構造であり、水酸基、アミノ基、ハロゲン基、イソシアナート基、カルボキシル基、ホルミル基、ビニル基、チオール基、が挙げられる。)と反応させる。
反応性の基であるEとEまたは、EとP−A−Pが反応した結果、一般式(II)で示されるロタキサン化合物の基Yを形成する
反応は、溶剤存在下、反応温度10〜60℃で行い、生成物の分離はカラムクロマトグラフィーで行う。得られた生成物の確認はNMR及びマススペクトルで行う。溶剤には非極性溶媒を用い、具体的にはジクロロメタン、クロロホルムが挙げられるがこれらによって何ら限定されるものではない。
【0012】
(3)前記ロタキサン化合物(一般式(II))を反応させて、目的とするロタキサン複合体(一般式(I))を製造する工程について
この反応には、以下の2つの方法がある。
(イ)ロタキサン化合物(一般式II)同士を反応させる。
(ロ)ロタキサン化合物(一般式II)と下記一般式(VI)で示される二官能性反応試薬とを反応させる。
【0013】
(イ)ロタキサン化合物(一般式II)同士を反応させる方法について
下記2分子のロタキサン化合物(一般式II)を直接反応させてロタキサン複合体(一般式I)を製造する。
反応は、溶剤の存在下に、反応温度20から80℃程度で反応させる。溶剤には、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリルが挙げられるが、これらによって何ら限定されるものではない。
この反応により反応性の置換基Q同士が直接反応させることにより、機械的につながったロタキサン複合体を得ることが出来る。
得られた生成物の確認はNMR及びマススペクトルで行う。
【化20】(II)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、Qは、反応性の置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。)
【化21】(I)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、Lは、置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、前記Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる大きさの構造である。この複合体は2種類の異性体混合物からなり、m、nは任意の数を表す。)
【0014】
(ロ)ロタキサン化合物(一般式II)と下記一般式(III)で示される二官能性反応試薬を反応させる方法について
下記一般式(II)で示されるロタキサン化合物の置換基Qを、下記一般式(VI)で示される二官能性反応試薬を用いて反応させ、下記一般式(I)で示されるロタキサン複合体を得ることが出来る。
【化22】(II)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、Qは、反応性の置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。)
【化23】(III)
(式中Pは反応性の置換基を表す。ただし、Pは前記Qと反応が行われ、カルボニル基、アミド基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルフィド基、ウレア基などを生成する基であり、水酸基、アミノ基、ハロゲン基、イソシアナート基、カルボキシル基、ホルミル基、チオール基、ビニル基である。また、式中Aは、置換基を表し、アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基である。これらの基の間には、エステル基、アミド基、ウレア基、NR基(Rは、アルキル基またはフェニル基をあらわす。)を含んでいてもよい。また、このAを介することなく、直接以下のPが結合していてもよい。Aは、上記Qと反応が行われないような構造である。)
【化24】(I)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、Lは、置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、前記Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる大きさの構造である。この複合体は2種類の異性体混合物からなり、m、nは任意の数を表す。)
反応は、溶剤の存在下に、反応温度20から80℃程度、または、無溶剤下、減圧条件で行われる。
溶剤には、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、トルエン、テトラヒドロフランが挙げられるが、これらによって何ら限定されるものではない。
この反応により反応性の置換基Qが 二官能性反応試薬を介して反応することにより、機械的につながったロタキサン複合体を得ることが出来る。
得られた生成物の確認はNMR及びマススペクトルで行う。
【0015】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0016】
実施例1
トリフェニルホスフィンオキシド2.40mg(0.0086ミリモル)を14μlのジクロロメタンに溶解させた溶液に、オキサリルクロライド0.759μl(0.0087ミリモル)とジクロロメタン7.3μlの混合液を滴下した。ガスの発生終了後、ロタキサン化合物(構造式VII)6.00mg(0.0029ミリモル)を200μlのジクロロメタンに溶解した液を加えた。さらにエチレングリコール0.163μl(0.0029ミリモル)とピリジン1.41μl(0.017ミリモル)を加え、40℃で4時間反応させた。反応液にジクロロメタンを加え、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。
その結果下記構造式 (VIII)で示されるロタキサン複合体を得た。
【化25】(VII)
【化26】(VIII)
【0017】
実施例2
ロタキサン化合物(構造式IX)50.0mg(0.024ミリモル)、エチレングリコール3.1μl(0.056ミリモル)、酢酸カルシウム・1水和物(触媒量)、三酸化アンチモン(触媒量)を反応フラスコに入れ、100℃で3時間反応させた。その後3トールに減圧し、更に3時間反応させることにより下記構造式(X)で示されるロタキサン複合体を得た。
【化27】(IX)
【化28】(X)
【0018】
【発明の効果】
本発明により得られる新規なロタキサン複合体は、低温エラストマーや高弾性ゴム材料などとして、有機系高分子材料分野において用いることができる。
Claims (3)
- 下記一般式(II)で示される2種類のロタキサン化合物を、下記一般式(III)で表される二官能性試薬と反応させて、前記ポリロタキサンを得ることを特徴とする請求項1記載のロタキサン複合体の製造方法。
【化3】(II)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Yは、2価の有機基を表し、Qは、反応性の置換基を表し、Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。)
【化4】(III)
(式中、Pは、反応性の置換基を表す。ただし、Pは、前記Qと反応が行われ、カルボニル基、アミド基、アルコキシ基、カルボキシ基、スルフィド基、ウレア基などを生成する基であり、水酸基、アミノ基、ハロゲン基、イソシアナート基、カルボキシル基、ホルミル基、チオール基、ビニル基である。また、式中Aは、置換基を表し、アルキレン基、エーテル基、ジアルキレンエーテル基、チオエーテル基、ジアルキレンエーテル基、フェニレン基、アミノビフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルフィド基である。Aは必ずしも必要ではなく、Pが直接結合していてもよい。Aは、Qと反応しない基である。)
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