JP3968414B2 - ポリ[3]ロタキサン製造用モノマ−及びその製造方法。 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ポリ[3]ロタキサン製造用モノマー及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子の主鎖構造は、モノマーの種類と重合様式によって異なり、これまでに炭素の単結合、二重結合、三重結合を含む高分子、またはエステル、エーテル、アミド結合を含む高分子、さらには主鎖に金属が入っている高分子など様々な高分子が知られている。モノマーを高分子化して得られる高分子化合物は、モノマー分子の共有結合によって結合された主鎖構造により得られる構造体である。
近年、環状化合物の環状部分に特定の直鎖状化合物が貫通した構造であるロタキサンが注目されている。この化合物は、環状化合物の空洞部分を貫通した直鎖状化合物を親水性及び疎水性の状態とし、両末端を嵩高の置換基により修飾し、直鎖状化合物に沿って、環状化合物が移動するようにできる構造とし、分子ピストン機能ないしセンサー機能を発現させようとするものである。本発明者らは、このような新規物質としていくつかの構造体を発明した(例えば、1.特願2000−71252「ロタキサン球状集合体及びその製造方法、並びにロタキサン球状高分子重合体及びその製造方法」浅川真澄、エイデン・マーフィー、清水敏美。2.特願平11−176952「ロータキサン構造を主鎖に含む化合物及びその中間体、並びにその製造方法」浅川真澄、エイデン・マーフィー、デイビッド・エイ・レイ、清水敏美。等)。
このロタキサン化合物を高分子化することも検討され、ポリロタキサンとすることにより、より魅力ある特性が得られるものと期待されている。このポリロタキサン構造体として、環状化合物が特定の移動範囲をもって規則的に配列された構造体である、環状分子の環とその環状部分を貫通する軸となる構造体(そろばんのたまのような構造体)を合成することができれば、前記分子ピストン機能及びセンサー機能は一層有効に発揮するものと考えられる。
ここで言うところのポリロタキサンとは、これまでに報告されている多数のシクロデキストリンに高分子鎖が貫通したAのタイプの化合物群を指すものではなく、Bのタイプのように2つの環状化合物の環状部分に直鎖状化合物が貫通した構造であるロタキサンの環状化合物部位でつないだ構造を有するものである。Bのタイプのポリロタキサンは環状化合物と直鎖状化合物間の機械的結合に由来する自由回転を積極的にポリマーの物性に反映することが出来る。
【化6】
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、新規なロタキサン化合物及びその製造方法を提供することである。このロタキサンは、ポリ[3]ロタキサンを製造することに用いることができるものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリ[3]ロタキサンの製造に利用しうるロタキサンを開発するために、鋭意研究を重ねた結果、一般式(II)
【化7】
(II)
(式中、Qは、反応性の置換基を表す。)
で表されるジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体と一般式(III)
【化8】
(III)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Eは、反応性の置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造であり、クラウンエーテルが抜けることを阻止することができる構造であり、
Eは、Rの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度の低い置換基である。)で表される2級アンモニウム誘導体を非極性有機溶媒中、混合することによって、新規な、下記一般式
【化9】
(IV)
(式中、Qは、反応性の置換基を表し、Rは脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Eは、反応性の置換基を表し、Xは任意の陰イオン原子を表す。ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造であり、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。また、EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度の低い置換基である。)
で表されるロタキサン前駆体を得ることが出来る。
このロタキサン前駆体を、スペーサーである置換基Yにより連結することにより、新規な、下記一般式(I)で表される、ロタキサンを合成することができること、このロタキサンを用いると、ポリ[3]ロタキサンを製造することができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【化10】
(I)
【0005】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(I)
【化11】
(I)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、
Qは、反応性の置換基を表し、
Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、前記Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる大きさの構造である。)
で表されることを特徴とするロタキサン化合物。
(2)下記一般式(II)で示されるジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体及び下記一般式(III)で示される2級アンモニウム誘導体を反応させて、下記一般式(IV)で示されるロタキサンを製造し、引き続いて、下記一般式(IV)で示されるロタキサンを反応させることを特徴とする、下記一般式(I)で示されるロタキサン化合物の製造方法。
【化12】
(II)
(式中、Qは、反応性の置換基を表す。)
【化13】
(III)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Eは、反応性の置換基を表し、
Xは任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造であり、クラウンエーテルが抜けることを阻止することができる構造であり、また、EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度が低い置換基である。)
【化14】
(IV)
(式中、Qは、反応性の置換基を表し、
Rは、炭化水素基を表し、
Eは、反応性の置換基を表し、Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる構造であること、また、EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度の低い置換基である。)
【化15】
(I)
(式中、Rは、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、
Qは、反応性の置換基を表し、
Xは任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造である。)
【0006】
【発明実施の形態】
本発明の、ロタキサンモノマーは、下記一般式(I)で表される化学構造を有するものである。
【化16】
(I)
前記式中、Rは、炭化水素基である。炭化水素基は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、及び芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素基を表す。
脂肪族炭化水素としては、炭素数4から20の分岐状アルキル基であり、アルキル基の一部の水素基は,ハロゲン原子などで置換されていても差し支えない。具体的には、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造の置換基であることが必要である。
芳香族炭化水素としては、単環式炭化水素、多環式芳香族炭化水素、縮合芳香族炭化水素から選ばれる炭化水素を挙げることができる。これらの基も、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造の置換基であることが必要である。「ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造」とは、具体的には,4−t−ブチルベンゼン、3,5−ジメチルベンゼン、トリフェニルメタン、アントラセンよりも大きい構造に相当する。
具体的な芳香族炭化水素としては、分岐状アルキル基で置換されているフェニル基及びナフタレン基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、アントラセン基である。また、これらの基がさらにアルキル基、またはジアルキル基により置換されていても差し支えない。
脂環式炭化水素としては、一部の水素が、分岐状アルキル基、フエニル基、トリフエニル基、アントラセン基などの芳香族炭化水素基、アルキルエーテル基、またはこれらの基に加えてハロゲン原子により置換されている、炭素数6以上の脂環式炭化水素である。これらの基もジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造の置換基であることが必要である。
すなわち、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる大きさの構造であって、かつ以下の(a)〜(d)で示される炭化水素基のいずれかの群から選択されるものである。
(a)炭素数4から20の分岐状アルキル基からなる脂肪族炭化水素基、
(b)分岐状アルキル基で置換されているフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、分岐状アルキル基で置換されているナフタレン基、アントラセン基、及びこれらの芳香族炭化水素基がさらにアルキル基、ジアルキル基により置換されている芳香族炭化水素基、
(c)分岐状アルキル基、フエニル基、トリフエニル基、アントラセン基、アルキルエーテル基のうちの1つ以上の基により置換されている、炭素数6以上の脂環式炭化水素基、
(d)上記(a)又は(c)の炭化水素基がさらにハロゲン原子で置換されている炭化水素基。
Yは、スペーサーの役割を果たす置換基であり、芳香族環の結合基を示している。化学的に安定な基である。
置換基としては、炭素原子、アルキル基、アルキルエーテル基、チオエーテル基、フェニル基、アミノビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフィド基などの基である。
Qは、反応性の置換基であり(ポリ[3]ロタキサン製造の際の結合部位となる。つまり適当な連結器で連結もしくは、置換基同士を直接連結することが可能な反応性を持つ置換基である。)、置換基としてはアルデヒド基、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルなどのエステル基、ビニル基、アリル基、カルボン酸、酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸基、メタンチオール、エタンチオールなどのチオール基、臭素化メチレン、塩素化メチレンなどのハロゲン化メチレン、アルキルアミン基、水酸基、メチルアルコール、エチルアルコールなどのアルキルアルコール基、イソシアネート、イソチオシアネートなどのイソシアネート基である。
これらの基は、置換基同士が反応して直接連結することが可能な反応性を持つ置換基である。この反応としては、アルドール反応、クライゼン縮合、エステル基とアルコールの重縮合、アルコキシドとハロゲン化アルキルの置換反応などを挙げることができる。
Xは、任意の陰イオン原子を表す。非極性有機溶媒に対して、ロタキサン化合物を溶解させるようにするができる基であれば、任意に用いることができる。具体的には、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオンなどの基を挙げることができる。
このロタキサン化合物は、高分子エラストマー、ポリ[3]ロタキサンを製造するためのモノマーとして有用な化合物である。
この化合物の全体の構造は、環状分子と棒状分子がそろばんの珠と軸のような形状の構造をしており、この化合物の組み合わせは、共有結合を介することなく、機械的につながったものであり、ポリロタキサン構造を効率的に合成するのに有効な物質である。
【0007】
前記一般式(I)の化合物としては、以下のような構造式の化合物を挙げることができる。
さらに、具体的に、一般式(I)で表される化合物について説明する。
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【0008】
本発明の下記一般式(I)で示されるロタキサンの製法は、クラウンエーテル誘導体およびアンモニウム誘導体から下記一般式(IV)で示されるロタキサンを製造する工程(第一工程),一般式(IV)で示されるロタキサンから一般式(I)で示されるロタキサンを製造する工程(第2工程)からなっている.
【0009】
第一工程は以下のとおりである。
下記一般式(II)で示されるジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体及び下記一般式(III)で示される2級アンモニウム誘導体を反応させて、下記一般式(IV)で示されるロタキサンを製造する。
一般式(II)で示されるジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体は、公知物質である。この物質は、ベンゼン−1,2−ジオールから合成された1,2−フェニレンビス(オキシエチレンオキシエチレンオキシエチレン)ジトシレートと置換基Qを持つ3,4−ジヒドロキシベンゼン誘導体を炭酸セシウム存在下、高温で反応させることによって製造される。
【化26】
(II)
(式中、Qは前記一般式(I)示される化合物において説明したとおりである。)
一般式(III)で示される2級アンモニウム誘導体は、公知化合物である。この物質は、アルデヒドとアミンをトルエン中で加熱還流させ、脱水縮合してイミンとし、さらに水素化ホウ素ナトリウムで還元後、トリフルオロ酢酸等により、アンモニウム塩とすることによって製造される。
【化27】
(III)
(式中、R、Xは、前記一般式(I)で示される化合物において説明したとおりである。
Eは反応性の置換基である。具体的には、アミノ基、水酸基、カルボニル基、シアノ基などである。
又,EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度の低い置換基であることが必要である。)
この反応は、原料比1対1の割合で、溶剤の存在下に行う。溶剤には、非極性溶媒を用いる。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルムなどが用いられる。温度は10℃〜40℃である。目的生成物の分離はシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる。この工程で得られる目的生成物の構造式は以下のとおりである。
【化28】
(IV)
式中、R、Q及びXは前記一般式(I)で説明した場合と同じである。
Eは、前記一般式(III)で説明した場合と同じである。
【0010】
第2工程は以下の通りである.
前記工程で得られた一般式(IV)のロタキサンを、反応させて目的生成物質である、新規な、下記一般式(I)で表される、ロタキサンを製造する。
【化29】
(I)
式中、R,Q,Y,Xは、前記一般式(I)で説明したとおりである。
反応は、溶剤及びスぺーサーの存在下に、温度10℃〜40℃の範囲で行う。生成物の分離はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行う。
得られた生成物の確認は、質量分析、NMRにより行う。
【0011】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0012】
参考例1
4−tert−ブチル−ベンズアルデヒド9.8g(61ミリモル)と4−アミノメチル−フェニルアミン7.4g(61ミリモル)にトルエン500mlを加えて18時間還流することにより、脱水反応を行った。溶媒を減圧下で留去し4−{[(4−4−tert−ブチルベンジリデン)−アミノ]−メチル}フェニルアミンを得た。これを窒素下、メタノール320mlに溶解し、水素化ホウ素ナトリウム24g(0.63モル)をゆっくり添加した後、加温し、還流下で18時間還元反応を行った。放冷後、5Nの塩酸を加えて酸性(pH<2)にした。溶媒を減圧下で留去した後、残渣にジクロロメタンと2Nの水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタン抽出を3回行った。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で1回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去して粗アミンを得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC-400HG , ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、構造式
【化30】
(V)
で表される4−[(4−4−tert−ブチル−ベンジルアミノ)−メチル] −フェニルアミン14g(87%)を得た。
質量分析値(C18H24N2として)
計算値:268
実測値:267(M−H+)
【0013】
参考例2
2−[2−(2−クロロエトキシ)−エトキシ]エタノール34g(0.20モル)を窒素下でジメチルホルムアミド100mlに溶解し、炭酸カリウム42g(0,31モル)を加えた。ベンゼン−1,2−ジオール11g(0.10モル)をジメチルホルムアミド150mlに溶解し、室温で反応液に滴下した後、80℃に加温し、1晩反応させた。放冷後、反応液を濾過し、溶媒を減圧下で留去して1,2−ビス(2−{2−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼンの粗体を得た。この1,2−ビス(2−{2−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼンの粗体と、トリエチルアミン31g(0.30モル)、ジメチルアミノピリジン0.60g(4.9ミリモル)を窒素下でジクロロメタン300mlに溶解し、0℃に氷冷した。塩化p−トルエンスルホン酸31g(0.18モル)をジクロロメタン600mlに溶解したものを、窒素下、0℃で強く攪拌している反応液に30分かけて滴下した。0℃で1時間反応後、室温に戻し更に1時間反応させ、溶媒を減圧下で留去した。残渣をジクロロメタンに溶解し、0.1M塩酸で2回、飽和食塩水で2回洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC-400HG、ジクロロメタン:酢酸エチル=1:1)で精製することにより、構造式
【化31】
(VI)
で表される1,2−フェニレンビス(オキシエチレンオキシエチレンオキシエチレン)ジトシレートを36g(52%)で得た。
質量分析値(C32H42O12S2として)
計算値:682
実測値:682
【0014】
参考例3
参考例2で得られた1,2−フェニレンビス(オキシエチレンオキシエチレンオキシエチレン)ジトシレート17g(25ミリモル)と3,4−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル4.2g(25ミリモル)を窒素下でジメチルホルムアミド1.6リットルに溶解し、炭酸セシウム41g(0.13ミリモル)を加えた後110℃に加温し、3日間反応させた。放冷後、反応液を濾過し、溶媒を減圧下で留去した。残渣にトルエンと1N塩酸を加え、トルエン抽出を3回行った後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC-400HG , 酢酸エチル)で精製し、さらに酢酸エチルとヘキサンで再結晶することにより、構造式
【化32】
(VII)
で表される2,5,8,11,18,21,24,27−オクタオキサ−トリシクロ[26.4.0.012,17]ドトリアコンタ−1(28),12,14,16,29,31−ヘキサエン−14−カルボン酸メチルエステルを5.2g(41%)で得た。
質量分析値(C26H34O10として)
計算値:506
実測値:506
【0015】
実施例1
参考例1で得られた4−[(4−4−tert−ブチル−ベンジルアミノ)−メチル] −フェニルアミン0.21g(0.78ミリモル)を窒素下でジクロロメタン10mlに溶解し、トリフルオロ酢酸60ml(0.78ミリモル)を加えてよく攪拌後、参考例3で得られた2,5,8,11,18,21,24,27−オクタオキサ−トリシクロ[26.4.0.012,17]ドトリアコンタ−1(28),12,14,16,29,31−ヘキサエン−14−カルボン酸メチルエステル1.2g(2.3ミリモル)を添加し、室温で15分間攪拌した。3,5−ジメチルフェニルイソシアネート0.10g(0.39ミリモル)をジクロロメタン6.5mlに溶解し、反応液に滴下後、室温で7日間反応させた。溶媒を減圧下で留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC-400HG , ジクロロロメタン:メタノール=5:1)で分画し、目的画分を再度精製(ワコーゲルC-400HG , 酢酸エチル:メタノール=10:1)することにより、構造式
【化33】
(VIII)
で表されるポリ[3]ロタキサン用モノマーを0.24g(15%)で得た。
質量分析値(C107H128F6N6O26として)
計算値:2027
実測値:1801(M−2CF3CO2 −−H+)
この化合物のプロトンNMRスペクトルチャート(重クロロホルム、濃度10mg/0.6ml、25℃、600MHz)を図1に示す。
【0016】
【発明の効果】
本発明により得られる新規なロタキサンは、重合処理してポリ[3]ロタキサンを製造することが出来る。本発明のモノマーは環状分子に置換した官能基を適当な連結基で連結、もしくは官能基同士を直接連結し一段階でポリロタキサン合成に利用することができ、低温エラストマーや高弾性ゴム材料などとして、有機系高分子材料分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られる化合物のプロトンNMRスペクトル(濃度は10mg/0.6ml、重クロロホルム中、25℃、600MHz)である。
Claims (2)
- 下記一般式(I)
【化1】
(I)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、
Yは、置換基を表し、
Qは、反応性の置換基を表し、
Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、前記Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる大きさの構造であって、かつ以下の(a)〜(d)で示される炭化水素基のいずれかの群から選択されるものである。
(a)炭素数4から20の分岐状アルキル基からなる脂肪族炭化水素基、
(b)分岐状アルキル基で置換されているフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、分岐状アルキル基で置換されているナフタレン基、アントラセン基、及びこれらの芳香族炭化水素基がさらにアルキル基、ジアルキル基により置換されている芳香族炭化水素基、
(c)分岐状アルキル基、フエニル基、トリフエニル基、アントラセン基、アルキルエーテル基のうちの1つ以上の基により置換されている、炭素数6以上の脂環式炭化水素基、
(d)上記(a)又は(c)の炭化水素基がさらにハロゲン原子で置換されている炭化水素基。)
で表されることを特徴とするロタキサン化合物。 - 下記一般式(II)で示されるジベンゾ−24−クラウン−8−エーテル誘導体及び下記一般式(III)で示される2級アンモニウム誘導体を反応させて、下記一般式(IV)で示されるロタキサンを製造し、引き続いて、下記一般式(IV)で示されるロタキサンを反応させることを特徴とする、下記一般式(I)で示されるロタキサン化合物の製造方法。
【化2】
(II)
(式中、Qは、反応性の置換基を表す。)
【化3】
(III)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、
Eは、反応性の置換基を表し、
Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きい構造であり、クラウンエーテルが抜けることを阻止することができる構造であって、かつ以下の(a)〜(d)で示される炭化水素基のいずれかの群から選択されるものである。
(a)炭素数4から20の分岐状アルキル基からなる脂肪族炭化水素基、
(b)分岐状アルキル基で置換されているフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、分岐状アルキル基で置換されているナフタレン基、アントラセン基、及びこれらの芳香族炭化水素基がさらにアルキル基、ジアルキル基により置換されている芳香族炭化水素基、
(c)分岐状アルキル基、フエニル基、トリフエニル基、アントラセン基、アルキルエーテル基のうちの1つ以上の基により置換されている、炭素数6以上の脂環式炭化水素基、
(d)上記(a)又は(c)の炭化水素基がさらにハロゲン原子で置換されている炭化水素基。
また、EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度が低い置換基である。)
【化4】
(IV)
(式中、Qは、反応性の置換基を表し、
Rは、炭化水素基を表し、
Eは、反応性の置換基を表し、
Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することができる構造であって、かつ以下の(a)〜(d)で示される炭化水素基のいずれかの群から選択されるものである。
(a)炭素数4から20の分岐状アルキル基からなる脂肪族炭化水素基、
(b)分岐状アルキル基で置換されているフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、分岐状アルキル基で置換されているナフタレン基、アントラセン基、及びこれらの芳香族炭化水素基がさらにアルキル基、ジアルキル基により置換されている芳香族炭化水素基、
(c)分岐状アルキル基、フエニル基、トリフエニル基、アントラセン基、アルキルエーテル基のうちの1つ以上の基により置換されている、炭素数6以上の脂環式炭化水素基、
(d)上記(a)又は(c)の炭化水素基がさらにハロゲン原子で置換されている炭化水素基。
EはRの隣に置換した2級アンモニウムよりも酸性度の低い置換基である。)
【化5】
(I)
(式中、Rは、炭化水素基を表し、Yは、置換基を表し、
Qは、反応性の置換基を表し、
Xは、任意の陰イオン原子を表す。
ただし、Rは、ジベンゾ−24−クラウン−8−エーテルの内径より大きな構造をしており、クラウンエーテルから抜けることを阻止することが出来る構造であって、かつ以下の(a)〜(d)で示される炭化水素基のいずれかの群から選択されるものである。
(a)炭素数4から20の分岐状アルキル基からなる脂肪族炭化水素基、
(b)分岐状アルキル基で置換されているフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、分岐状アルキル基で置換されているナフタレン基、アントラセン基、及びこれらの芳香族炭化水素基がさらにアルキル基、ジアルキル基により置換されている芳香族炭化水素基、
(c)分岐状アルキル基、フエニル基、トリフエニル基、アントラセン基、アルキルエーテル基のうちの1つ以上の基により置換されている、炭素数6以上の脂環式炭化水素基、
(d)上記(a)又は(c)の炭化水素基がさらにハロゲン原子で置換されている炭化水素基。
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